(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398518
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】携帯作業機
(51)【国際特許分類】
A01G 3/04 20060101AFI20180920BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
A01G3/04 501Z
B25F5/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-191787(P2014-191787)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-59352(P2016-59352A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柴田 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】中村 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】古田土 誠一
【審査官】
中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−030543(JP,A)
【文献】
特開2014−091381(JP,A)
【文献】
特開2010−098972(JP,A)
【文献】
特開昭63−291510(JP,A)
【文献】
特開2013−180374(JP,A)
【文献】
実公平02−000037(JP,Y2)
【文献】
実開平06−043322(JP,U)
【文献】
特開2008−012780(JP,A)
【文献】
米国特許第03897630(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/00 − 34/90
A01G 3/00 − 3/08
B25F 5/00 − 5/02
F16B 31/02
F16D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
前記原動機を収容したハウジングと、
前記ハウジングに装着されて前記原動機の動力によって作業を行うための作業具と、
前記ハウジングに設けられ、ネジ部が形成されている被取付部と、
前記被取付部に螺合する第1回転部を有し、前記作業具を前記ハウジングに対して押付けることで着脱可能に装着するノブと、
前記ノブによる所定以上の前記押付けを規制するクラッチ機構と、
前記第1回転部の前記ハウジングに対する回転を規制し、操作により前記規制を解除する操作部を有する緩み止め機構と、を備えることを特徴とする携帯作業機。
【請求項2】
前記クラッチ機構は、前記第1回転部による押付けが所定の大きさを超えたときに、前記ノブの少なくとも一部を空転させることを特徴とする請求項1に記載の携帯作業機。
【請求項3】
前記ノブは、前記クラッチ機構を介して前記第1回転部と接続する第2回転部を有し、前記クラッチ機構は、前記第1回転部による押付けが所定の大きさを超えたときに、前記第2回転部を空転させることを特徴とする請求項2に記載の携帯作業機。
【請求項4】
前記クラッチ機構が作動したことを作業者に報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の携帯作業機。
【請求項5】
前記緩み止め機構の操作部は前記ノブに設けられていることを特徴とする請求項4に記載の携帯作業機。
【請求項6】
前記緩み止め機構の操作部は前記ハウジングに設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の携帯作業機。
【請求項7】
前記緩み止め機構の操作部は前記ハウジングと前記ノブの両方に設けられ、前記両方の緩み止め機構を同時に操作することで、前記ノブを緩めることができることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載の携帯作業機。
【請求項8】
前記ノブは、前記被取付部と螺合する第1回転部と、操作部を有して前記第1回転部と接続する第2回転部と、を備え、
前記緩み止め機構は、前記ハウジングに設けられて前記ハウジングと前記ノブを係止する第1の緩み止め機構と、前記ノブに設けられ、前記第1回転部と前記第2回転部を係止する第2の緩み止め機構と、を有することを特徴とする請求項7に記載の携帯作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庭木や生垣の刈り込みや木材の切断等に用いられる携帯作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
相互に近接して支持された上刃と下刃の相対的な往復動により枝葉等の対象物を刈り込む往復動工具(携帯作業機)が従来から知られている。エンジンやモータ等の原動機にギヤを介して接続されたカム機構が、上刃と下刃を相対的に往復動させる。
【0003】
前述の往復動工具において上刃と下刃(ブレード)を交換する場合、従来は、ギヤケース底面のギヤケースカバーを固定する複数のネジをドライバで取り外し、新しい上刃と下刃をセットし、再度ドライバで複数のネジを締めてギヤケースカバーをギヤケースに固定するという作業が必要であり、慣れない使用者にとってブレード交換は煩雑で敷居の高いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−219425
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これを解決するため、ネジを作業者が手で操作可能なダイヤルと一体化して構成し、ドライバ等の工具を使用せずに取り外しを行えるようにする所謂ツールレス構造が考えられているが、ネジを締め込む際に適正な締め付けトルクを管理することが難しく、締め過ぎて本体を壊したり、締め付けが弱く、適正にブレードが保持されないという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、ブレード交換作業時に、適正にブレードを取り付けられることが可能な携帯作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯作業機は、原動機と、前記原動機を収容したハウジングと、前記ハウジングに装着されて前記原動機の動力によって作業を行うための作業具と、前記ハウジングに設けられ、ネジ部が形成されている被取付部と、前記被取付部に螺合して前記作業具を前記ハウジングに対して押付けることで着脱可能に装着するノブと、前記ノブによる所定以上の押付けを規制するクラッチ機構と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブレード交換作業時に、適正にブレードを取り付けることが可能な携帯作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る携帯作業機の側面図。
【
図2】前記
図1の携帯作業機のブレード組の側面図。
【
図5】第1の緩み防止機構の動作説明図であり
図4の部分拡大図。
【
図8】クラッチ機構の動作説明図であり
図6の部分拡大図。
【
図9】第2の緩み止め機構の動作説明図であり
図6の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0011】
本実施の形態の携帯作業機は、ヘッジトリマ(植木バリカンとも呼ばれる往復動工具)であり、ハウジング1にエンジンやモータ等の原動機7(
図4)を内蔵する。ハウジング1には、メインハンドル(リヤハンドル)1a及びサブハンドル(フロントハンドル)1bが設けられる。メインハンドル1aには、使用者が操作するトリガスイッチ1cが設けられる。飛散防護カバー1dは、ハウジング1の前端部に立設され、刈り込まれた対象物が使用者側に飛散することを防止する。ハウジング1の下部には、ブレード組が取り付けられる。ブレード組は、上刃2、下刃3、ブレードガイド4、ブレードホルダ5、カム機構11、及び第2のスプライン10を、
図2及び
図3に示すように一体化したものである。
【0012】
第1のブレードとしての上刃2及び第2のブレードとしての下刃3は、ブレードガイド4及びブレードホルダ5の間に上下から挟まれた状態でネジ15a及びナット15b(
図3)により、相互に近接しかつ摺動可能に支持される。上刃2及び下刃3の基端部はカム機構11と係合する。カム機構11は、上カム板部(第1のカム板部)11a、下カム板部(第2のカム板部)11b、及びフランジ部11cを含む。フランジ部11cは、上カム板部11aと下カム板部11bとの間に位置する、上カム板部11aと下カム板部11bより大径の円板状部である。上刃2の基端部にはカム係合部としての長穴2a(
図3)が形成され、長穴2aの内周部が上カム板部11aの外周面と係合する。下刃3の基端部にも同様にカム係合部としての長穴(不図示)が形成され、当該長穴の内周部が下カム板部11bの外周面と係合する。フランジ部11cは、上刃2の長穴2a及び下刃3の長穴の短径(短手方向の内径)よりも大径であり、カム機構11が上刃2及び下刃3から抜けるのを防止する。カム機構11の上部には、回転伝達部材10が一体的に設けられている。フランジ部11cの中心軸は、回転伝達部材10の回転中心軸と一致する。
図3及び
図4に示すように、中心穴16は、回転伝達部材10の回転中心軸と同軸であり、回転伝達部材10、カム機構11、及びブレードホルダ5を貫通する。ブレードホルダ5には、ハウジング1側に突出するピン5aが所定数(図示の例では4つ)一体的に設けられている。
【0013】
図4に示すように、原動機7の出力軸7aの先端部にはピニオン(ギヤ)8が設けられる。ピニオン8は、ギヤ9と噛合し、原動機7の回転を所定の減速比でギヤ9に伝達する。ギヤ9は、例えばハスバギヤであり、内側(内周側)には第1のスプラインとしての内側インボリュートスプライン9aが形成されている。ギヤ9は、ハウジング1のギヤ収納空間1k内に支持される。具体的には、ギヤ9は、ハウジング1に固定された中心軸部材(ギヤシャフト)12に、止め輪13により抜け落ちないように支持される。第1のスプライン9aには、第2のスプライン10aが噛合(スプライン嵌合)する。第2のスプライン10aは、例えば外側インボリュートスプラインである。中心軸部材12は、ブレード組に設けられた中心穴16を貫通し、ブレードホルダ5から下方に突出する。中心軸部材12の先端側外周面にはネジが形成されており(中心軸部材12の先端部がネジ部になっていて)、ノブとしてのダイヤルノブ6が中心軸部材12に螺合することで、ブレード組がハウジング1に対して着脱可能に装着される。
【0014】
原動機7の回転は、ピニオン8、ギヤ9、回転伝達部材10と伝達され、その結果として、回転伝達部材10と一体のカム機構11が回転する。カム機構11は、原動機7によって回転駆動され、原動機7の回転を刃2及び下刃3の往復動に変換する。ダイヤルノブ6は、左右の幅方向でハウジング1より大きく形成され、上下方向視においてハウジング1の側部より突出している。このため、掴みやすく操作性が良いとともに、モーメントが大きくなることから軽い力を加えるだけで締付方向に大きな力を発生させることができ、容易に締付けを行うことができる。尚、ダイヤルノブ6は、取り付けた状態でヘッジトリマの接地部を構成している。
【0015】
ハウジング1には緩み防止手段(第1の緩み止め機構)としての緩み止め片14(例えば金属製)が設けられ、緩み止め片14に設けられた係合部14bの下端部がダイヤルノブ6のロックボタン22と係合する。この状態を説明するのが
図5(a)である。係合部14bは、操作部14aと一体に構成されて緩み止め片14を構成しており、ハウジング1との間には弾性部材が圧縮状態で収容されている。
【0016】
ロックボタン22は、ラチェットリング18の外周端面より半径方向に突出して構成されており、突出した状態で係合部14bと係合する。この係合により、ダイヤルノブ6の緩み方向への回転が規制される。緩み止め片14は、ハウジング1の底面から下方に臨む操作部14aを押すことで、係合部14bが本体側に押し込まれてロックボタン22との係合が解除される(
図5(b))。尚、ロックボタン22は、1つ又は対角にある2つが作業者により押圧されてラチェットリング18内に押し込まれるが、ラチェットリング18の周囲には等間隔に4箇所のロックボタン22が設けられているため、操作されていない何れかが緩み止め片14bと係合して回転が規制される。
【0017】
図6及び
図7に示すように、ダイヤルノブ6は、ベース17、ラチェットリング18、ワッシャー19、スプリング20、ニードルピン21、ロックボタン22、ロックピン23、スプリング24により構成される。ダイヤルノブ6の中央にはフランジ形状のついた略円板形状のベース17が配置される。ベース17の中心部には、中心軸部材12と螺合するナット6dが一体的に設けられ、ベース17は中心軸部材12の先端部分を回転軸として回転する。
【0018】
ベース17の外周には、同じく中心軸部材12の先端部分を回転中心としてベース17の外周面に沿って回転するラチェットリング18が配置されている。ラチェットリング18の外周端面には、滑り止めとしても機能する連続した凹凸形状が周方向に沿って施されている。なお、ダイヤルノブ6のベース17とラチェットリング18は、ナット6dを除き例えば樹脂製である。ナット6dは例えば金属製である。
【0019】
ベース17には、中心から外側方向へと向けて配置されたスプリング20を収納するスプリング室と、その先にスプリング20と係接するニードルピン21の動きを制限するためのニードル摺動面17eと、外周部に周方向に対し角度のついた斜面17aと、径方向に直角な壁面17bと、周方向に同心な円筒面17cと、ワッシャ19を固定するための爪17dと、剛性を持たせるための略放射状のリブを有する。
【0020】
ラチェットリング18は、略円環形状であり、内周に、斜面18aと斜面18bと円筒面18cを有し、斜面18aは径方向に対し斜面18bよりも鋭角である。外周部には、ロックボタン22を収納する箇所があり、ロックボタン22はスプリング24により付勢されており、すなわち常に外周部に押し付けられている。
【0021】
スプリング24の内側には、T字型のロックピン23が配置されており、ロックピン23もスプリング24により突起部をおされて常に外周方向へと押し付けられている。ロックピン23の内側にはロックピン23が通過可能なスリットが配置されている。ロックボタン22を内周側へ押し込むと、ロックボタン22に押されて、ロックピン23が内側へと押し込まれ、スリットを通過する。ロックピン23の長さは、斜面18aよりも突出する長さである。ワッシャ19は、ベース17に配置された爪17dに嵌合するための折り曲げ部19aを有し、爪17dの下へと折り曲げ部を押しこむことによって、ベース17に対してワッシャ19は固定される。ワッシャ19により、スプリング20を収容するスプリング室とニードルピン21と係合する斜面が形成されたラチェットリング18の内側壁面とベース17の外周壁面の間の空間を周方向に封鎖する。
【0022】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0023】
ブレード組をハウジングに対して取付を行い、ブレード組の固定の際、中心軸部材の先端に形成されているネジ部に、ダイヤルノブ6のナット部を螺合させ、ダイヤルノブ6によりブレードクミをハウジング側へと押し付けて固定するが、ダイヤルノブ6が適正な押付力になったとき、すなわち、ダイヤルノブ6が適正な締付けトルクとなったとき、ダイヤルノブ6のベース17とラチェットリング18が相対的に空転し、そのトルク以上ではネジはしまらなくなる。この状態を
図8に示す。具体的には、ダイヤルノブ6締め付け時回転時には、ニードルはラチェットリング18の円筒面18cの位置にある。ラチェットリング18を把持してダイヤルノブ6を方向Aに締め込んで行き、次第に締め付けトルクが増大してくると、ニードルピン21とスプリング20は斜面18aに係接し、ニードルはダイヤルノブ6内側へと押される。ニードルピン21が押されることにより、スプリング20は収縮し、ニードルピン21を外側へと押し付ける。ニードルピン21が斜面を押す力の周方向の分力と摩擦力が、すなわち締め付けトルクと同値である。ニードルピン21の接線と斜面18aが接点にて並行であって斜面18aと斜面18bの境目に接している時が、最大の締め付けトルクとなる。ダイヤルノブを方向Aに締め込んでいくと、ニードルピン21が斜面18aによって押され、スプリング20の付勢力に抗して内側に押し込まれ、スプリング20が所定の長さまで圧縮されるとニードルピン21は斜面18aを乗り上げて斜面18b側に移動する。すなわち、中心軸部材12に対する最大の締め付けトルクを超えたときに、ベース17に対してラチェットリング18が空転する。また、ニードルピン21が斜面18aを乗り上げて斜面18bに移動する際に音が発生するとともに、操作する手にはスプリング20の圧縮と開放によるクリック感が与えられ、これにより作業者には適正な締め付けトルクでのダイヤルノブの取り付けが完了したことが報知され、スムーズに作業に移行することができる。
【0024】
ダイヤルノブ6により、ブレードクミをハウジングに適正に取付けられている状態から、ダイヤルノブ6を緩め方向である方向Bへと回転させると、前記同様にニードルピン21は斜面18bに押され、ダイヤルノブ6内側へと押されてスプリング20は次第に収縮していき、ニードルピン21の接線と斜面18bが接点にて平行であり、斜面18aと斜面18bの境目に接している時が、最大の緩めトルクとなる。
【0025】
ここで、斜面18aは径方向に対し斜面18bよりも鋭角であるので、締め付けトルクは、緩めトルクよりも大きな値となる。よって、適正な締め付けトルクでダイヤルノブ6を締め付けたのち、その状態でラチェットリング18を方向Bへと回して緩めようとしても、ダイヤルノブ6は緩めトルクよりも大きな力で締まっているため、ラチェットリング18は空転する。これにより、携帯作業機での作業中などに、あやまってラチェットリング18に方向Bの力が加わっても、ダイヤルノブ6は緩まずに、安全に作業を行うことができる。すなわち、ラチェットリング18とベース17は緩み防止手段(第2の緩み止め機構)を構成する。
【0026】
ダイヤルノブ6を取り外すときの作業について、
図9を用いて説明する。ダイヤルノブ6を取り外すときは、ロックボタン22を押しこみながらラチェットリング18を方向Bへと回すと、ロックボタン22に押されたロックピン23はスリット18dを通り、斜面18aより突出する。ロックボタン22を押し付けたまま方向Bへラチェットリング18を回転させていくと、やがてロックピン23はベース17の壁面17bへと突き当たる。その状態からラチェットリング18をさらに方向Bへと回すと、ラチェットリング18とベース17は同期しながら周り、ダイヤルノブ6を緩めることができる。
【0027】
また、ロックボタン22を押し付けたまま方向Aへとラチェットリング18を回転させると、ロックピン23は、なだらかな斜面17aと円筒面17cを滑るので、ベース17とラチェットリング18は同期せず、ラチェットリング18のみが回転する。
【0028】
これにより、ダイヤルノブ6を締め込む際は、ラチェットリング18を方向Aへと回転させれば、適正なトルクでのブレードクミの固定が可能であり、ダイヤルノブ6を緩めるときは、作業者がダイヤルノブ6を緩めるという意思を持った上でロックボタン22を押しながら方向Bへと回さなければならないため、作業時の不意の緩み防止及びブレード交換時の作業を安全に行うことができる。特に、本体1とダイヤルノブ6は、緩み防止手段として作用する緩み止め片14を更に備えることから、作業者は、ダイヤルノブ6を緩める際に、一方の手で操作部14aを操作し、且つ、他方の手でロックボタン22を操作しながら、ダイヤルノブ6を回転させる必要があるため、ダイヤルノブ6が意図しないタイミングで緩む可能性を可及的に低減させて作業性を向上させることができる。
【0029】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。例えば、本実施の形態において携帯作業機はヘッジトリマとして説明したが、ツールレス構造を備えた他の工具にも適用可能であり、例えばチェンソーにおいて、本体にガイドバーを取付ける構造等でも使用することができる。また、クラッチ機構はダイヤルノブ6が備えたが、本体1に設けられてもよく、例えば締め付けトルクが所定の値を超えたときに中心軸部材12と本体1の係合が外れて中心軸部材12が空転するようにしてもよい。また、中心軸部材12がクラッチ機能を有する継手を備えて分割されて構成されていてもよい。また、中心軸部材12に代えて雌ネジを設け、ダイヤルノブ6と一体に回転する雄ネジを設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 ハウジング
1a メインハンドル(リヤハンドル)
1b サブハンドル(フロントハンドル)
1c トリガスイッチ
1d 飛散防護カバー
1e 第1の凹部
1f 第1の壁部
1g 第2の凹部
1h 第2の壁部
1i ピンガイド凹部
1j ピン嵌合凹部(係合部)
1k ギヤ収納空間
2 上刃(第1のブレード)
2a 長穴(カム係合部)
3 下刃(第2のブレード)
4 ブレードガイド
5 ブレードホルダ
5a ピン
6 ダイヤルノブ
6d ナット
6e ボルト
7 原動機
7a 出力軸
8 ピニオン(ギヤ)
9 第1のスプライン(第1のギヤ)
10 第2のスプライン(第2のギヤ)
11 カム機構
11a 上カム板部(第1のカム板部)
11b 下カム板部(第2のカム板部)
11c フランジ部
12 中心軸部材(ギヤシャフト)
13 止め輪
14 操作部材
15a ネジ
15b ナット
16 中心
17 ベース
17a 斜面
17b 斜面
17c 壁面
17d 爪
18ラチェットリング
18a 斜面
18b 斜面
18c 円筒面
18d スリット
19 ワッシャ
20 スプリング
21 ニードルピン
22 ロックボタン
23 ロックピン
24 スプリング