特許第6398519号(P6398519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398519
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】リング状照明装置、及び時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/30 20060101AFI20180920BHJP
   G01D 11/28 20060101ALI20180920BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20180920BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20180920BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180920BHJP
【FI】
   G04B19/30 Q
   G01D11/28 L
   F21V33/00 420
   F21V8/00 350
   F21Y115:10 100
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-191853(P2014-191853)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-61737(P2016-61737A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】井上 憲一
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−082032(JP,A)
【文献】 特開2010−153155(JP,A)
【文献】 特開平10−311747(JP,A)
【文献】 実開平04−085219(JP,U)
【文献】 特開平09−096682(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0022820(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/30
G01D 7/00,11/28
G12B 11/02
F21V 8/00,33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子がその端部に配置された導光路と、前記導光路が連接されたリング状導光体と、を備える導光部と、を備え、
前記導光部は、前記導光路の外側面に対向し前記発光素子からの光束を反射する反射面を形成する反射部を備え
前記導光路の外側面は、前記リング状導光体の前記リング状導光体と前記導光路とが連接された連接部における接線方向に沿って設けられ、
前記反射部の前記反射面は、前記リング状導光体の内周面の前記接線方向に沿うことを特徴とする、リング状照明装置。
【請求項2】
前記導光部には前記反射部が互いに間隔を開けて複数並列して設けられることを特徴とする請求項1に記載のリング状照明装置。
【請求項3】
前記反射部の前記反射面は、前記導光路の外側面に平行であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリング状照明装置。
【請求項4】
複数の前記反射面と前記導光路の外側面とが成す傾斜角は、前記導光路の光導入口から離れるにつれて、漸次小さくなる、ことを特徴とする請求項2に記載のリング状照明装置。
【請求項5】
前記反射部は、第1の反射面と第2の反射面とを有し、
前記第1の反射面は、前記導光路からの光束の一部を、前記発光素子の照射方向側に全
反射させて前記リング状導光体に導く向きに設けられ、
前記第2の反射面は、前記導光路からの光束の一部を、前記発光素子の照射方向とは反
対側に全反射させて前記リング状導光体に導く向きに設けられる、ことを特徴とする請求
項1乃至請求項4のいずれかに記載のリング状照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のリング状照明装置と、
時計ケースと、
前記時計ケース内に設けられる時計モジュールと、
を備えることを特徴とする時計。
【請求項7】
発光素子と、
前記発光素子がその端部に配置された導光路と、前記導光路が連接されたリング状導光体と、を備える導光部と、を備え、
前記導光部は、前記導光路の外側面に対向し前記発光素子からの光束を反射する反射面を形成する反射部を備え、
前記導光路は、前記リング状導光体の接線方向に設けられ、
前記反射部の前記反射面は、前記リング状導光体の内周面の前記接線方向に沿うことを特徴とするリング状照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング状照明装置、及び時計に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置として、例えば腕時計などに用いられるリング状の照明装置が知られている。このようなリング状の照明装置は、例えばLEDなどの発光体と、この発光体からの光を案内する導光部と、を有している。導光部は、延在方向に沿って連続した発光面を有するリング状導光体と、光源の光をリング状導光体に導入する導光路と、を備える。導光路として、例えば、リング状導光体の上面又は下面の一部に連続するとともに、その中心軸がこの一部に対して鋭角をなして交差するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−100009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、直線状の導光体の端面にLED等の発光体を配置した構造において、導光体の進行方向の側面部が鏡面状の平面であれば、発光体からの光束は全反射を繰り返し導光する。しかしながら、導光体がリング状であり、導光体の一部に光導入部を有する場合には、発光体からの光束が、リング状の導光体内を進行する課程でロスが生じてしまう。したがって、導光体に効率よく光束を導くことが出来ず、光導入部の近くの部分と、光導入部から離れた部分とでは、輝度に大きな差が生じてしまい、均一な照明が困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係るリング状照明装置は、発光素子と、前記発光素子がその端部に配置された導光路と、前記導光路が連接されたリング状導光体と、を備える導光部と、を備え、前記導光部は、前記導光路の外側面に対向し前記発光素子からの光束を反射する反射面を形成する反射部を備え、前記導光路の外側面は、前記リング状導光体の前記リング状導光体と前記導光路とが連接された連接部における接線方向に沿って設けられ、前記反射部の前記反射面は、前記リング状導光体の内周面の前記接線方向に沿うことを特徴とする。
【0006】
本発明の他の実施形態に係る時計は、前記リング状照明装置と、時計ケースと、前記時計ケース内に設けられる時計モジュールと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リング状の導光体において、光を効率良く導き、部位による輝度の差を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る時計の構造を示す断面図。
図2】同実施形態にかかるリング状照明装置を示す斜視図。
図3】同リング状照明装置を示す平面図。
図4】第2実施形態にかかるリング状照明装置を示す平面図。
図5】第3実施形態にかかるリング状照明装置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態にかかるリング状照明装置10及び時計100について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る時計100の一部を示す断面図である。図2は、リング状照明装置10の斜視図であり、腕時計の文字盤に設けられた状態を示している。図3は、リング状照明装置10の平面図であり、光の方向を示している。
【0010】
腕時計100は、腕時計ケース1と、時計ガラス2と、裏蓋3と、時計モジュール4と、リング状照明装置10と、を備えている。
【0011】
腕時計ケース1は、ケース本体と、このケース本体の上部外周に取り付けられたベゼルとを備えている。ケース本体の上側開口部には、時計ガラス2がパッキンを介して取り付けられている。ケース本体の下部には、裏蓋3が防水リングを介して取り付けられている。腕時計ケース1の内部には、時計モジュール4が設けられている。腕時計ケース1の3時側に位置する側部には、りゅうずが設けられている。腕時計ケース1の内部にある時計モジュール4の上部に設けられた文字盤4aの外周部分に、リング状の光を生成するリング状照明装置10が設けられている。
【0012】
リング状照明装置10は、光を発する発光素子11と、発光素子11からの光束を案内する導光部12と、を備える。
【0013】
発光素子11は、例えばいわゆる砲弾型のLED素子であり、導光部12の端部に配置されている。発光素子11から導光路14の先端面に向けて光が照射される。
【0014】
導光部12は、リング状導光体13と、リング状導光体13の一部から接線方向Aに延出する導光路14と、を一体に備える。導光部12は、例えばアクリル等の導光材料で構成され、例えば成型により一部が接線方向Aに沿って外方に突出した円環形状に形成されている。
【0015】
リング状導光体13は、円環形状の上下面と、円弧状の曲面を成す内周面及び外周面とを備えた円環状であり、文字盤4aの外周を囲むように配置されている。リング状導光体13は、一定の幅及び厚みを有し、径方向に沿う断面は矩形状をなしている。リング状導光体13の周方向における一部分に連接部P1が設けられている。ここでは時計100の3時の位置に、連接部P1が設定されている。連接部P1から、リング状導光体13の接線方向Aに沿って、導光路14が連接され、一体に形成されている。
【0016】
導光路14は、リング状導光体13の断面と同じ所定の幅及び厚みを有し、リング状導光体13の連接部P1から、接線方向Aに沿って直線状に延びている。導光路14の先端部には、接線方向Aと直交する平面で構成される端面14aが形成されている。この端面14aに対向して発光素子11が配置されており、発光素子11からの光が端面14aに向けて照射される。すなわち、導光部12の光導入口P2は端面14aに位置する。
【0017】
導光路14とリング状導光体13とが一体に形成された導光部12の内面は、円状の曲面を構成する内周面12aを有している。また、導光部12の外面は、大部分において同一の曲率半径を有する曲面を構成する外周面12bと、連接部P1から延びる接線方向Aに沿う平面を構成する、導光路14の外側面14bと、を有している。導光部12と外部との境界となるこれらの内周面12a、外周面12b、及び外側面14bは、光を反射する反射面となる。
【0018】
導光部12において、リング状導光体13と導光路14とが連接された連接部P1から、内周面12aの接線方向Aに沿って、複数の反射孔15,16,17が並列して設けられた反射孔列18が形成されている。
【0019】
各反射孔15,16,17は、接線方向Aに長い長孔状のスリットであって、導光部12を厚み方向(図中Z方向)に貫通する。各反射孔15,16,17の内側に空隙が形成される。各反射孔15,16,17の外面のうち、導光路14の外側面14bと対向する平面状の面は、発光素子からの光束を反射する全反射面15a,16a,17aを構成する。
【0020】
複数の反射孔15,16,17は所定の間隔を開けて接線方向Aに沿って直線状に並設されている。各反射孔15,16,17の全反射面15a,16a,17aは、導光路14の外側面14bに対向するとともに、導光路14の外側面14bと平行であり、かつ、リング状導光体13の内周面の連接部P1の接線方向Aに沿って設けられる。全反射面15a,16a,17aは、導光路14からの光束の一部を、発光素子11の照射方向に全反射させてリング状導光体13に導く向きに設けられている。
【0021】
本実施形態では、例えば3つ並列形成された全反射面15a,16a,17aは、いずれも導光路14の外側面14bに平行で、リング状導光体13の内周面の接線上に一直線に配置されている。
【0022】
このように構成されたリング状照明装置10では、図3に示すように、発光素子11からの光束は、主に、導光路14の端部の光導入口P2から入射し、導光路14の外側面14bと、これに対向して配置される全反射面15a,16a,17aとによって、反射しながら、接線方向Aの導光路14を通って進む。また、光束は、リング状導光体13において、内周面12aと外周面12bとで反射しながらリング状導光体13を通って、図中矢印で示す反時計回りである案内方向に進む。光束の一部は内周面13から内側に照射される。また、発光素子からの光の一部は隣接する反射孔15,16,17同士の間を通って、内周面13から内側に照射される。
【0023】
本実施形態に係るリング状照明装置10によれば、導光材料からなる導光部12に形成された反射孔15,16,17によって、光が案内方向に効率良く導かれるため、光の減衰を抑制し、輝度の差を低減することが可能となる。また、導光材料から成る導光部12の所定位置にスリット状の空隙を形成するだけで、重量や部品点数を増やすことなく、簡単な製造方法で全反射面を形成できる。このため、例えば導光材料で導光部12を成型する際に、同時に反射孔15,16,17を形成することも可能である。
【0024】
また、一般に光の進行路がリング状である場合には、進行方向の始点と終点が互いに隣接し、輝度の差が最も大きくなるが、本実施形態では、反射孔列18として、断続的に間隔を開けて複数の反射孔15,16,17を配列したことにより、一部の光が光導入口P2から、反射孔15,16,17の間を通って、内周面13から内側にも照射されるため、周方向において隣接する進行路の始点と終点との明るさの差を減らすことができる。
【0025】
このため、例えば腕時計100の文字盤4aを均一に照射することができる。
【0026】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態にかかるリング状照明装置20について、図1及び図4を参照して説明する。図4は、第2実施形態にかかるリング状照明装置20を示す平面図である。図面において、適宜構成を拡大、縮小、省略して概略的に示す。
【0027】
なお、第2実施形態において、リング状照明装置20は、複数の反射光の並び方向において、上記第1実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態にかかるリング状照明装置20及び時計100と同様である。第2実施形態にかかるリング状照明装置20及び時計100において、第1実施形態にかかるリング状照明装置10及び時計100と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】
図4に示すように、本実施形態に係るリング状照明装置20は、導光部12において、リング状導光体13と導光路14とが連接された連接部P1から、複数の反射孔15,16,17が並列に設けられた反射孔列18が形成されている。
【0029】
各反射孔15,16,17は、接線方向Aに長い長孔状のスリットであって、導光部12を厚み方向(図中Z方向)に貫通する。各反射孔15,16,17の内側に空隙が形成される。各反射孔15,16,17の外面のうち、導光路14の外側面14bと対向する平面状の面は、発光素子からの光束を反射する全反射面15a,16a,17aを構成する。全反射面15a,16a,17aは、導光路14からの光束の一部を、発光素子11の照射方向側に全反射させてリング状導光体13に導く向きに設けられている。
【0030】
複数の反射孔15,16,17は所定の間隔を開けて並設されている。これらの反射孔15,16,17は、光導入口P2からの距離に応じて、接線方向Aに対して、傾斜している。全反射面15a,16a,17aと導光路14の外側面14bとが成す傾斜角が、光導入口P2から連接部P1に近づくにつれて、漸次小さくなるように設定されている。例えば本実施形態では3つの反射孔15,16,17が並列しているが、光導入口P2に近い反射孔15から順番に、例えば、傾斜角が16度、8度、0度、に設定されている。すなわち、光導入口P2から最も遠く、連接部P1に最も近い第1反射孔17及び全反射面17aは、外側面14bに対する傾斜角が0であり、導光路14の外側面14bに対向するとともに、導光路14の外側面14bと平行であり、かつ、リング状導光体13の内周面の接線方向Aに沿って設けられる。
【0031】
このように構成されたリング状照明装置20では、図4に示すように、発光素子11からの光束は、導光路14の端部である光導入口P2から入射し、導光路14の外側面14bと、これに対向して配置される全反射面15a,16a,17aとによって、反射しながら、接線方向Aの導光路14を通って進む。また、光束はリング状導光体13において、内周面12aと外周面12bとで反射しながらリング状導光体13を通って反時計回りに進む。また、発光素子11からの光の一部は隣接する反射孔15,16,17同士の間を通って、内周面13から内側に照射される。
【0032】
本実施形態に係るリング状照明装置20によれば、導光材料からなる導光部12に形成された反射孔15,16,17によって、光が効率良く導かれるため、光の減衰を抑制し、輝度の差を低減することが可能となる。また、導光材料から成る導光部12の所定位置にスリット状の空隙を形成するだけの簡単な工程で、重量や部品点数を増やすことなく反射面15a,16a,17aを形成可能である。例えば導光材料で導光部12を成形する際に、同時に反射孔15,16,17を形成することも可能である。
【0033】
また、反射孔列18として、断続的に間隔を開けて複数の反射孔15,16,17を配列したことにより、一部の光が光導入口P2から、反射孔15,16,17の間を通って、内周面13から内側にも照射されるため、周方向において隣接する進行路の始点と終点との明るさの差を減らすことができる。
【0034】
さらに、光導入口P2からの距離に応じて、全反射面15a,16a,17aの角度を、漸次変化するように設定したため、発光素子11からの光束をより効率的に案内方向に向けることができる。
【0035】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態にかかるリング状照明装置30について、図1及び図5を参照して説明する。図5は、第3実施形態にかかるリング状照明装置30を示す平面図である。図面において、適宜構成を拡大、縮小、省略して概略的に示す。
【0036】
なお、第3実施形態において、リング状照明装置30は、複数の反射光の形状において、上記第1実施形態及び第2実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態及び第2実施形態にかかるリング状照明装置10,20及び時計100と同様である。第3実施形態にかかるリング状照明装置30及び時計100において、第1、第2実施形態にかかるリング状照明装置10、20及び時計100と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0037】
図5に示すように、本実施形態に係るリング状照明装置30は、導光部12において、リング状導光体13と導光路14とが連接された連接部P1から、複数の反射孔15,16,17が並列して設けられた反射孔列18が形成されている。複数の反射孔15,16,17は所定の間隔を開けて並設されている。例えば本実施形態では3つの反射孔15,16,17が並列に配置されている。
【0038】
各反射孔15,16,17は、第1の全反射面15a,16a,17aと、第2の全反射面15b,16b,17bと、を有する平面視三角形状の貫通孔であって、導光部12を厚み方向(図中Z方向)に貫通する。各反射孔15,16,17の内側に空隙が形成される。
【0039】
第1の全反射面15a,16a,17aは、導光路14からの光束の一部を、発光素子11の照射方向側に全反射させてリング状導光体13に導く向きに設けられる。すなわち、第1の全反射面15a,16a,17aは、導光路14の外側面14bに対向するとともに外側面14bと平行な平面状の面であり、発光素子11からの光束を、進行方向に反射する。
【0040】
第2の全反射面15b,16b,17bは、導光路14からの光束の一部を、発光素子11の照射方向とは反対側に全反射させ、リング状導光体13に導く向きに設けられる。すなわち、第2の全反射面15b,16b,17bは第1の全反射面15a,16a,17aに対して約70度の傾斜角を有する平面状の面であり、発光素子11からの光を進行方向とは逆方向に向けて反射する。
【0041】
このように構成されたリング状照明装置30では、図5に示すように、発光素子11からの光束は、導光路14の端部である光導入口P2から入射し、導光路14の外側面14bと、これに対向して配置される第1の全反射面15a,16a,17aとによって、反射しながら、接線方向Aの導光路14を通って進む。連接部P1付近に至った光は、さらに、リング状導光体13において、内周面12aと外周面12bとで反射しながらリング状導光体13を通って反時計回りに進む。
【0042】
また、発光素子11からの光の一部は、第2の全反射面15b,16b,17bによって、発光素子11の照射方向とは反対側に反射し、さらに導光部12の内周面12a及び外周面12bとによって反射しながら、リング状導光体13を時計回り方向に進む。また、発光素子11からの光の一部は隣接する反射孔15,16,17同士の間を通って、内周面13から内側に照射される。
【0043】
本実施形態に係るリング状照明装置30によれば、導光材料からなる導光部12に形成された反射孔15,16,17によって、光が効率良く導かれるため、光の減衰を抑制し、輝度の差を低減することが可能となる。また、導光材料から成る導光部12の所定位置に空隙を形成するだけの簡単な工程で重量や部品点数を増やすことなく全反射面15a,16a,17aを形成可能である。例えば導光材料で導光部12を成形する際に、同時に反射孔15,16,17を形成することも可能である。
【0044】
また、反射孔15,16,17は第1の全反射面15a,16a,17aと第2の全反射面15b,16b,17bを有する構造とし、光を反時計回りの案内方向と、この反対方向である時計回り方向の、両方に効率良く導くことができる。また、反射孔列18として、断続的に間隔を開けて複数の反射孔15,16,17を配列したことにより、一部の光が光導入口P2から、反射孔15,16,17の間を通って、反対側に進む。
【0045】
したがって、周方向において隣接する進行路の始点と終点との明るさの差を減らし、均一化が可能となる。
【0046】
なお、上述した実施形態は例示であり、発明の範囲を限定するものではない。例えば、
導光部12を厚み方向(図中Z方向)に貫通する反射孔15,16,17を例示したが、厚み方向に貫通しない反射溝としてもよく、さらには、複数の反射孔15,16,17からなる反射孔列を、貫通しない1つの連続した反射溝としても、上記実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、導光路の外側面に対向し発光素子からの光束の一部を反射する反射面を形成する反射部を設ければ、上記実施形態と同様の効果が得られる。また、複数の実施形態における特徴を組み合わせてもよい。例えば他の実施形態として、第1の全反射面15a〜17aと第2の全反射面15b〜17bを有する三角形状の空隙を備える構成とし、かつ、第1の全反射面15a〜17aと外側面14bとの傾斜角が光導入口P2から離れるにつれて次第に小さくなるように傾斜させる配置してもよい。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0048】
[付記1]
発光素子と、
前記発光素子がその端部に配置された導光路と、前記導光路が連接されたリング状導光体と、を備える導光部と、を備え、
前記導光部は、前記導光路の外側面に対向し前記発光素子からの光束を反射する反射面を形成する反射部を備えることを特徴とする、リング状照明装置。
【0049】
[付記2]
前記導光部には前記反射部が互いに間隔を開けて複数並列して設けられることを特徴とする[付記1]記載のリング状照明装置。
【0050】
[付記3]
前記反射部の前記反射面は、前記導光路の外側面に平行であることを特徴とする[付記1]または[付記2]記載のリング状照明装置。
【0051】
[付記4]
前記導光路の外側面は、前記リング状導光体の、前記リング状導光体と前記導光路とが連接された連接部における接線方向に沿って設けられ、
前記反射部の前記反射面は、前記リング状導光体の内周面の前記接線方向に沿うことを特徴とする[付記1]乃至[付記3]のいずれか記載のリング状照明装置。
【0052】
[付記5]
複数の前記反射面と前記導光路の外側面とが成す傾斜角は、前記導光路の光導入口から離れるにつれて、漸次小さくなる、ことを特徴とする[付記2]記載のリング状照明装置。
【0053】
[付記6]
前記反射部は、第1の反射面と第2の反射面とを有し、
前記第1の反射面は、前記導光路からの光束の一部を、前記発光素子の照射方向側に全反射させて前記リング状導光体に導く向きに設けられ、
前記第2の反射面は、前記導光路からの光束の一部を、前記発光素子の照射方向とは反対側に全反射させて前記リング状導光体に導く向きに設けられる、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のリング状照明装置。
【0054】
[付記7]
[付記1]乃至[付記6]のいずれかに記載のリング状照明装置と、
時計ケースと、
前記時計ケース内に設けられる時計モジュールと、
を備えることを特徴とする時計。
【符号の説明】
【0055】
1…腕時計ケース、2…時計ガラス、3…裏蓋、4…時計モジュール、4a…文字盤、10、20,30…リング状照明装置、11…発光素子、12…導光部、12a…内周面、12b…外周面、13…リング状導光体、14…導光路、14a…端面、14b…外側面、15〜17…反射孔、15a〜17a…全反射面、第1の全反射面(反射面)、15b〜17b…全反射面、第2の全反射面(反射面)、18…反射孔列、100…腕時計、P1…連接部、P2…光導入口。
図1
図2
図3
図4
図5