(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本実施形態は、本発明を、商品の購入代金の支払いを電子決済で行うときに用いられる、決済サービスを行うための無線通信システム1に適用したものである。本実施形態では、近距離無線通信として、NFCを例示する。
(構成)
図1に示すように、無線通信システム1は、NFCリーダライタ2と、クラウドサーバ3と、移動端末装置4とを備える。
【0009】
(NFCリーダライタ2の構成)
NFCリーダライタ2は、店舗のレジ(購入代金を支払う場所)に載置されている。NFCリーダライタ2は、通信可能範囲(例えば、NFCリーダライタ2から0〜10cmの範囲)内の移動端末装置4のNFC受信機4a(後述)にデータを変調した電流を発生可能な電磁界を形成する。これにより、NFCリーダライタ2は、電磁界による近距離無線通信を介して、決済サービスに用いるデータ(個人情報等)の送信を移動端末装置4に要求等する指令(以下、「コマンド」とも呼ぶ)をNFCリーダライタ2の通信可能範囲内に送信する。また、NFCリーダライタ2は、移動端末装置4から決済サービスに用いるデータ(個人情報等)が送信されると、決済サービスのためのサーバ(不図示)に予め蓄積してあるデータ(個人情報等)と照合し、決済サービスのための演算処理を行う。これにより、NFCリーダライタ2は、移動端末装置4との間で電子決済を行う。
【0010】
また、NFCリーダライタ2は、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(例えば、NFCリーダライタ2、移動端末装置4が実行するプログラム)の処理の実行中と判定すると、予め定めた遮断用時間(例えば、5秒)継続して移動端末装置4から応答がないと近距離無線通信を遮断する。近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理としては、例えば、近距離無線通信によるデータ(コマンド、個人情報等)の送受信にともなう処理がある。また、NFCリーダライタ2は、近距離無線通信を介して、移動端末装置4から遮断用時間を延長させる指令(以下、「延長指令」とも呼ぶ)が送信されると、近距離無線通信の遮断に用いる遮断用時間を延長する。延長時間としては、例えば、近距離無線通信を行う処理部の処理に要する時間(例えば、クラウドサーバ3へのアクセスに要すると予測される最大時間)がある。
【0011】
(クラウドサーバ3の構成)
クラウドサーバ3は、処理部(プログラム)の処理に用いられるデータ(個人情報等)を記憶する。そして、クラウドサーバ3は、通信路を介して、移動端末装置4とデータ(指令、個人情報等)を送受信する。これにより、移動端末装置4の認証の指令(以下、「認証指令」とも呼ぶ)を取得すると、移動端末装置4の認証(以下、「クラウド認証」とも呼ぶ)を行う。また、クラウドサーバ3は、移動端末装置4を認証すると、移動端末装置4から決済サービスに用いるデータ(個人情報等)を移動端末装置4に送信する。
【0012】
(移動端末装置4の構成)
移動端末装置4は、NFC受信機4aと、NFCコントローラ4bと、無線通信機4cと、端末メモリ4dと、ホストCPU4eとを備える。移動端末装置4としては、例えば、HCE機能を有するOS(アンドロイド)を搭載したスマートホンを採用できる。
NFC受信機4aは、通信可能範囲(例えば、NFC受信機4aから0〜10cmの範囲)内に存在するNFCリーダライタ2から出力される電磁界で生じた電流、つまり、データ(コマンド)が変調された電流をNFCコントローラ4bに出力する。また、NFC受信機4aは、NFCコントローラ4bから出力される電流、つまり、データ(個人情報等)が変調された電流で電磁界を生じて、通信可能範囲内に存在するNFCリーダライタ2に出力する。NFC受信機4aとしては、例えば、エッチングアンテナがある。
【0013】
NFCコントローラ4bは、NFC受信機4aから出力される電流に変調されたデータ(コマンド)が端末メモリ4dまたはクラウドサーバ3に対応付けられているかを判定する。判定方法としては、例えば、AID(Application ID)リストを用いる方法がある。そして、NFCコントローラ4bは、データ(コマンド)が端末メモリ4dまたはクラウドサーバ3に対応付けられていると判定した場合には、ホストCPU4eにデータ(コマンド)を出力する。また、NFCコントローラ4bは、ホストCPU4eから出力されるデータ(個人情報等)を変調した電流をNFC受信機4aに出力する。これにより、NFCコントローラ4bは、近距離無線通信を介して、NFC受信機4aの通信可能範囲内に存在するNFCリーダライタ2とデータ(コマンド、個人情報等)の送受信を行う。
【0014】
無線通信機4cは、携帯電話通信網、携帯電話基地局、インターネット等を用いて、移動端末装置4とクラウドサーバ3との間に通信路を確立する。そして、無線通信機4cは、確立した通信路を介して、クラウドサーバ3とデータ(個人情報等)の送受信を行う。
端末メモリ4dは、決済サービスに用いるデータ(個人情報等)を記憶している。
ホストCPU4eは、A/D(Analog to Digital)変換回路、D/A(Digital to Analog)変換回路、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等から構成した集積回路を備える。ROMは、各種処理を実現する1または2以上のプログラムを記憶している。そして、ホストCPU4eは、NFCコントローラ4bの出力(コマンド等)と、無線通信機4cの出力(個人情報等)と、端末メモリ4dが記憶しているデータ(個人情報等)とを用い、ROMが記憶している1または2以上のプログラムに従って、OSによる各種処理、無線用アプリによる各種処理、決済サービスを行うための各種処理(決済サービス処理等)を実行する。OSによる各種処理は、動作状態制御部4eaと、電力制御部4ebとを備える。また、無線用アプリによる各種処理は、スリープ状態移行禁止部4ecと、延長指令送信部4edとを備える。さらに、決済サービス処理は、メインUIアプリ実行部4eeを備える。
【0015】
動作状態制御部4eaは、自装置4の動作状態(以下、「ライフサイクル」とも呼ぶ)を制御する。ライフサイクルとしては、例えば、スリープ状態、スクリーンロック状態、通常動作状態がある。スリープ状態としては、例えば、自装置4の一部(ディスプレイ(不図示)、NFCコントローラ4b等)への電力供給を停止して、自装置4の電力消費を低減させる状態がある。また、スクリーンロック状態としては、例えば、スリープ状態が解除された場合に移行され、自装置4の一部の機能にのみアクセス可能な状態がある。
【0016】
スリープ状態の解除は、例えば、自装置4の電源ボタン(不図示)が操作された場合や、ディスプレイへの情報表示の指令があった場合に行われる。また、通常動作状態としては、例えば、スクリーンロック状態が解除された場合に移行され、自装置4のすべての機能にアクセス可能な状態がある。スクリーンロック状態の解除は、例えば、パスワードが入力された場合に行われる。動作状態制御部4eaは、ライフサイクルがスリープ状態または通常動作状態である場合、自装置4への操作入力がない状態が予め定めた設定時間(例えば、15秒)継続すると、ライフサイクルをスリープ状態に移行(変更)する。
【0017】
なお、動作状態制御部4eaは、スリープ状態への移行の禁止を表すフラグ(以下、「移行禁止フラグ」とも呼ぶ)が「1」のセット状態であると判定した場合には、自装置4への操作入力がない状態が設定時間継続しても、スリープ状態への移行を禁止する。
電力制御部4ebは、自装置4がスリープ状態であるかを判定する。そして、電力制御部4ebは、自装置4がスリープ状態であると判定した場合には、NFCコントローラ4bへの電力供給を停止する。これにより、NFCコントローラ4bは、自装置4がスリープ状態に移行すると、NFCリーダライタ2との近距離無線通信が遮断状態となる。一方、電力制御部4ebは、自装置4がスリープ状態でない、つまり、スクリーンロック状態であるまたは通常動作状態であると判定した場合には、NFCコントローラ4bへの電力供給を維持する(なお、NFCコントローラ4bへの電力供給が停止されていたときには、電力供給を再開する)。これにより、NFCコントローラ4bは、NFCリーダライタ2との近距離無線通信が可能な状態が維持される(なお、NFCリーダライタ2との近距離無線通信が遮断状態であったときには、近距離無線通信が可能な状態に変化する)。
【0018】
スリープ状態移行禁止部4ecは、近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理、つまり、近距離無線通信によるデータ(コマンド、個人情報等)の送受信をともなう処理の実行中に、自装置4のスリープ状態への移行を禁止する。自装置4のスリープ状態への移行を禁止する方法としては、例えば、移行禁止フラグを「1」のセット状態とする方法がある。具体的には、スリープ状態移行禁止部4ecは、自装置4が、近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、クラウドサーバ3へのアクセス(通信路を介したデータの送受信)を開始するときに、移行禁止フラグを「1」のセット状態とする。クラウドサーバ3へのアクセス(通信路を介したデータの送受信)の開始を判定する方法としては、例えば、NFCコントローラ4bから出力されたコマンドがクラウドサーバ3にアクセスする必要のあるコマンドであるかを判定する方法がある。
【0019】
延長指令送信部4edは、NFCコントローラ4bから出力されたコマンドがクラウドサーバ3にアクセスする必要のあるコマンドであるかを判定する。そして、延長指令送信部4edは、クラウドサーバ3にアクセスする必要のあるコマンドであると判定した場合には、延長指令をNFCリーダライタ2に送信する。これにより、延長指令送信部4edは、移動端末装置4からクラウドサーバ3へのアクセス中に、延長指令をNFCリーダライタ2に送信する。一方、延長指令送信部4edは、クラウドサーバ3にアクセスする必要のないコマンドであると判定した場合には、以前にNFCコントローラ4bから出力されたコマンドを実行中である場合に、延長指令をNFCリーダライタ2に送信する。
【0020】
メインUIアプリ実行部4eeは、決済サービスのための演算処理を行う。具体的には、メインUIアプリ実行部4eeは、NFCコントローラ4bから出力されるデータ(コマンド)を取得する。続いて、メインUIアプリ実行部4eeは、取得したコマンドの処理(決済サービスのための演算処理)を行う。続いて、メインUIアプリ実行部4eeは、コマンドの処理結果(演算処理結果)をNFCコントローラ4bとNFC受信機4aとを経由し、近距離無線通信を介して、NFCリーダライタ2に送信する。これにより、移動端末装置4は、NFCリーダライタ2との間で電子決済を行う。
【0021】
(演算処理)
次に、ホストCPU4eが実行する決済サービス処理について説明する。決済サービス処理は、移動端末装置4への電源投入にともない実行される。
図2に示すように、ステップS101では、ホストCPU4eは、NFCコントローラ4bからコマンドが出力(取得)されるまで待機する。そして、ホストCPU4eは、NFCコントローラ4bからコマンドが出力されると、ステップS102に移行する。
【0022】
ステップS102では、ホストCPU4e(延長指令送信部4ed)は、ステップS101で取得したコマンドがクラウドサーバ3にアクセスする必要のあるコマンド(PAN(Primary Account Number)情報の読み出し)であるかを判定する。そして、ホストCPU4e(延長指令送信部4ed)は、クラウドサーバ3にアクセスする必要があるコマンドであると判定した場合には(Yes)、ステップS103に移行する。一方、ホストCPU4e(延長指令送信部4ed)は、クラウドサーバ3にアクセスする必要がないコマンドであると判定した場合には(No)、ステップS112に移行する。
【0023】
ステップS103では、ホストCPU4e(延長指令送信部4ed)は、ステップS101で取得したコマンドをホストCPU4eのRAMに記憶させる。
続いてステップS104に移行して、ホストCPU4e(延長指令送信部4ed)は、延長指令をNFCリーダライタ2に送信する。NFCリーダライタ2は、その延長指令を取得すると、近距離無線通信の遮断に用いる遮断用時間を延長する。
【0024】
続いてステップS105に移行して、ホストCPU4e(スリープ状態移行禁止部4ec)は、移行禁止フラグを「1」のセット状態とする。
続いてステップS106に移行して、ホストCPU4eは、クラウド認証に用いるデータを取得する。クラウド認証処理に用いるデータとしては、例えば、ICCID(IC Card ID)、ユーザアクセスコード、ユーザパスワードがある。
【0025】
続いてステップS107に移行して、ホストCPU4eは、無線通信機4cを用いて、移動端末装置4とクラウドサーバ3との間に通信路を確立する。
続いてステップS108に移行して、ホストCPU4eは、ステップS107で確立した通信路を介して、ステップS106で取得したデータ(ICCID等)を用い、移動端末装置4の認証(クラウド認証)を行わせる指令(認証指令)をクラウドサーバ3に出力する。続いて、ホストCPU4eは、移動端末装置4が認証されたかを判定する。そして、ホストCPU4eは、移動端末装置4が認証されたと判定した場合には(Yes)、ステップS109に移行する。一方、ホストCPU4eは、移動端末装置4が認証されないと判定した場合には(No)、この決済サービス処理を終了する。
【0026】
ステップS109では、ホストCPU4eは、クラウドサーバ3から決算サービスに用いるデータ(個人情報等)が出力(取得)されるまで待機する。そして、ホストCPU4eは、データ(個人情報等)が出力(取得)されると、ステップS110に移行する。
続いてステップS110に移行して、ホストCPU4e(メインUIアプリ実行部4ee)は、ステップS109で取得したデータ(個人情報等)を用い、ステップS103で記憶したコマンドを処理する(決済サービスのための演算処理を行う)。続いて、ホストCPU4e(メインUIアプリ実行部4ee)は、処理結果をNFCコントローラ4bとNFC受信機4aとを経由し、近距離無線通信を介して、NFCリーダライタ2に送信する。これにより、移動端末装置4は、NFCリーダライタ2との間で電子決済を行う。
【0027】
ステップS111では、ホストCPU4e(スリープ状態移行禁止部4ec)は、移行禁止フラグを「0」のリセット状態とした後、ステップS113に移行する。
一方、ステップS112では、ホストCPU4e(メインUIアプリ実行部4ee)は、端末メモリ4dが記憶しているデータ(個人情報等)を用い、ステップS103で記憶したコマンドを処理する(決済サービスのための演算処理を行う)。続いて、ホストCPU4e(メインUIアプリ実行部4ee)は、演算処理結果をNFCコントローラ4bとNFC受信機4aとを経由し、近距離無線通信を介して、NFCリーダライタ2に送信する。これにより、移動端末装置4は、NFCリーダライタ2との間で電子決済を行う。
【0028】
ステップS113では、ホストCPU4eは、無線通信機4cから次のコマンドが出力(取得)されるまで待機する。そして、ホストCPU4eは、次のコマンドが出力(取得)されると、ステップS101に移行する。なお、ホストCPU4eは、次のコマンドの出力(出力)の待機を開始してから予め定めた遮断用時間(例えば、5秒)が経過した場合には、次のコマンドが出力されないものとし、この決済サービス処理を終了する。
【0029】
(動作その他)
次に、本実施形態の無線通信システム1の動作を説明する。
移動端末装置4のユーザが、商品の購入代金を電子決済(決済サービス)で支払うために、NFCリーダライタ2を移動端末装置4にかざしたとする。そして、移動端末装置4が、NFCリーダライタ2から0〜10cmの範囲、つまり、NFCリーダライタ2の通信可能範囲内に進入したとする。すると、移動端末装置4のNFCコントローラ4bが、近距離無線通信を介して、NFCリーダライタ2から、決済サービスに用いるデータの送信等を移動端末装置4に要求する指令(コマンド)を受信する。これにより、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(NFCリーダライタ2、移動端末装置4のプログラム)の処理、つまり、近距離無線通信によるデータ(コマンド、個人情報等)の送受信をともなう処理が開始される。ここで、受信したコマンドが、クラウドサーバ3にアクセスする必要があるコマンドであるとする。すると、NFCリーダライタ2が、コマンドを移動端末装置4のホストCPU4eに出力する。
【0030】
続いて、ホストCPU4eが、NFC受信機4a、NFCコントローラ4bからコマンドを取得する(
図2のステップS101)。続いて、ホストCPU4eが、取得したコマンドがクラウドサーバ3にアクセスする必要のあるコマンド(例えば、PAN情報読出)であると判定する(
図2のステップS102「Yes」)。続いて、ホストCPU4eが、取得したコマンドをホストCPU4eのRAMに記憶させる(
図2のステップS103)。続いて、ホストCPU4eが、延長指令をNFCリーダライタ2に送信する(
図2のステップS104)。すると、NFCリーダライタ2が、遮断用時間を延長する。延長時間は、例えば、クラウドサーバ3からのデータ取得に要すると予測される最大時間とする。
【0031】
続いて、ホストCPU4eが、移行禁止フラグを「1」のセット状態とする(
図2のステップS105)。これにより、ホストCPU4eが、近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、クラウドサーバ3へのアクセス(通信路を介したコマンド等の送受信)を開始するときに、移行禁止フラグを「1」のセット状態とする。続いて、ホストCPU4eが、クラウド認証に用いるデータを取得する(
図2のステップS106)。続いて、ホストCPU4eが、無線通信機4cを用いて、移動端末装置4とクラウドサーバ3との間に通信路を確立する(
図2のステップS107)。続いて、ホストCPU4eが、確立した通信路を介して、取得したクラウド認証に用いるデータ(ICCID等)を用い、クラウド認証を実行させる認証指令をクラウドサーバ3に出力する(
図2のステップS108)。
【0032】
ここで、クラウドサーバ3が、移動端末装置4を認証したとする。すると、ホストCPU4eが、移動端末装置4が認証されたと判定する(
図2のステップS108「Yes」)。また、クラウドサーバ3が、通信路を介して、決算サービスに用いるデータ(個人情報等)を移動端末装置4に出力する。これにより、無線通信機4cが、クラウドサーバ3から、移動端末装置4に決済サービスに用いるデータ(個人情報等)を受信する。続いて、無線通信機4cが、受信したデータ(個人情報等)をホストCPU4eに出力する。
【0033】
続いて、ホストCPU4eが、決算サービスに用いるデータ(個人情報等)を取得する(
図2のステップS109)。続いて、ホストCPU4eが、取得したデータ(個人情報等)を用い、記憶したコマンドを処理する(決済サービスのための演算処理を行う)。続いて、ホストCPU4eが、演算処理結果をNFCコントローラ4bとNFC受信機4aとを経由し、近距離無線通信を介して、NFCリーダライタ2に送信する(
図2のステップS110)。これにより、移動端末装置4は、NFCリーダライタ2との間で電子決済を行う。続いて、ホストCPU4eが、移行禁止フラグを「0」のリセット状態とする(
図2のステップS111)。これにより、スリープ状態への移行の禁止が解除される。
【0034】
本実施形態では、NFCコントローラ4bが、NFCリーダライタ2と近距離無線通信を行い、自装置4がスリープ状態に移行すると、近距離無線通信を遮断状態となる。その際、ホストCPU4eが、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、自装置4のスリープ状態への移行を禁止する。それゆえ、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、移動端末装置4のスリープ状態への移行が行われない。それゆえ、スリープ状態への移行を回避する手間がなくて済み、近距離無線通信の継続に要する手間を軽減できる。
【0035】
また、本実施形態では、ホストCPU4eが、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、その処理に用いられるデータを記憶するクラウドサーバ3へのアクセスを開始するときに、自装置4のスリープ状態への移行の禁止を開始する。それゆえ、クラウドサーバ3へのアクセスのために、近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理に多くの時間がかかる場合に、スリープ状態に移行することを回避できる。
【0036】
さらに、本実施形態では、NFCリーダライタ2が、予め定めた遮断用時間継続して移動端末装置4から応答がないと近距離無線通信を遮断する。また、ホストCPU4eが、クラウドサーバ3へのアクセス中、遮断用時間を延長させる指令をNFCリーダライタ2に送信する。それゆえ、クラウドサーバ3へのアクセスのために、移動端末装置4からの応答に多くの時間がかかる場合に、近距離無線通信が遮断することを回避できる。
本実施形態では、
図1のNFCリーダライタ2がリーダライタを構成する。以下同様に、
図1のNFCコントローラ4bが近距離無線通信部を構成する。また、
図1のスリープ状態移行禁止部4ecがスリープ状態移行禁止部を構成する。さらに、
図1の延長指令送信部4edが延長指令送信部を構成する。
【0037】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る発明は、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態に係る移動端末装置4によれば、NFCコントローラ4bが、NFCリーダライタ2と近距離無線通信を行い、自装置4がスリープ状態に移行すると、近距離無線通信を遮断状態とする。その際、ホストCPU4eが、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、自装置4のスリープ状態への移行を禁止する。
このような構成によれば、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、移動端末装置4のスリープ状態への移行が行われない。それゆえ、スリープ状態への移行を回避する手間がなくて済み、近距離無線通信の継続に要する手間を軽減できる。
【0038】
(2)本実施形態に係る移動端末装置4によれば、ホストCPU4eが、処理部(プログラム)が処理に用いられるデータを記憶するクラウドサーバ3へのアクセスを開始するときに、移動端末装置4のスリープ状態への移行の禁止を開始する。
このような構成によれば、クラウドサーバ3へのアクセスのために、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理に多くの時間がかかる場合に、スリープ状態に移行することを回避できる。
【0039】
(3)本実施形態に係る移動端末装置4によれば、NFCリーダライタ2が、予め定めた遮断用時間継続して移動端末装置4から応答がないと近距離無線通信を遮断する。また、ホストCPU4eが、クラウドサーバ3へのアクセス中、遮断用時間を延長させる指令をNFCリーダライタ2に送信する。
このような構成によれば、クラウドサーバ3へのアクセスのために、移動端末装置4からの応答に多くの時間がかかる場合に、近距離無線通信が遮断することを回避できる。
【0040】
(4)本実施形態に係る無線通信システム1によれば、移動端末装置4が、NFCリーダライタ2と近距離無線通信を行い、自装置4がスリープ状態に移行すると、近距離無線通信を遮断状態とする。その際、移動端末装置4が、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、自装置4のスリープ状態への移行を禁止する。
このような構成によれば、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、移動端末装置4のスリープ状態への移行が行われない。それゆえ、スリープ状態への移行を回避する手間がなくて済み、近距離無線通信の継続に要する手間を軽減できる。
【0041】
(5)本実施形態に係る無線通信方法によれば、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、自装置4のスリープ状態への移行を禁止する。
このような構成によれば、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、移動端末装置4のスリープ状態への移行が行われない。それゆえ、スリープ状態への移行を回避する手間がなくて済み、近距離無線通信の継続に要する手間を軽減できる。
【0042】
(変形例)
(1)なお、本実施形態では、ホストCPU4eが、NFCリーダライタ2とNFCコントローラ4bとを介して近距離無線通信を行う処理部(プログラム)の処理の実行中と判定すると、クラウドサーバ3へのアクセスを開始するときに、移行禁止フラグを「1」のセット状態とし、自装置4のスリープ状態への移行を禁止する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、ホストCPU4eが、発行や暗号演算処理等でコマンド処理に時間がかかる場合に移行禁止フラグを「1」のセット状態する構成としてもよい。この場合、コマンド処理を終了すると、移行禁止フラグを「0」のリセット状態とする。
【0043】
また、ホストCPU4eが、NFC受信機4a、NFCコントローラ4bを介して、NFCリーダライタ2からコマンドを受信するたびに、移行禁止フラグを「1」とする構成としてもよい。この場合、予め定めた設定時間(例えば、10秒)が経過すると、移行禁止フラグを「0」のリセット状態とする。
【0044】
(2)さらに、例えば、ホストCPU4eが、近距離無線通信を行う処理部(プログラム)が近距離無線通信を開始するときに、自装置4のスリープ状態への移行の禁止を開始する構成としてもよい。このような構成によれば、クラウドサーバ3へのアクセスの有無にかかわらず、近距離無線通信中にスリープ状態に移行することをより確実に回避できる。
【0045】
具体的には、ホストCPU4eが、決済サービスに用いるデータ(個人情報等)を取得するためにクラウドサーバ3にアクセスしたときに(例えば、移動端末装置4の認証(クラウド認証)を行ったとき)、クラウドサーバ3が、データ(個人情報等)を出力する前に、移行禁止フラグを「1」のセット状態とするコマンドを移動端末装置4に送信する構成としてもよい。この場合、ホストCPU4eが、無線通信機4cを介して、クラウドサーバ3からそのコマンドを取得すると、移行禁止フラグを「1」のセット状態とする。
【0046】
また、例えば、NFCリーダライタ2が、処理に時間がかかるコマンドやクラウドサーバ3にアクセスを行うコマンドを移動端末装置4に送信する前に、移行禁止フラグを「1」のセット状態とするコマンドを移動端末装置4に送信する構成としてもよい。この場合、ホストCPU4eが、NFC受信機4a、NFCコントローラ4bを介して、クラウドサーバ3からそのコマンドを取得すると、移行禁止フラグを「1」のセット状態とする。