特許第6398571号(P6398571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398571
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】読取用線状光源装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 27/54 20060101AFI20180920BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20180920BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   G03B27/54 A
   H04N1/04 101
   H04N1/028 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-206924(P2014-206924)
(22)【出願日】2014年10月8日
(65)【公開番号】特開2016-75835(P2016-75835A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106862
【弁理士】
【氏名又は名称】五十畑 勉男
(72)【発明者】
【氏名】至極 稔
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−90403(JP,A)
【文献】 特開2008−216409(JP,A)
【文献】 特開2014−7464(JP,A)
【文献】 特開2011−61411(JP,A)
【文献】 特開平11−305357(JP,A)
【文献】 特開2002−281241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/54
H04N 1/028
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性部材よりなる長尺な導光体と、該導光体の端面に対向配置されるLEDと、前記導光体に並設されたリフレクタ部材とを有し、
前記導光体は、その側周面に、読取面側に向けて光を反射する第1反射面と、前記リフレクタ部材に向けて光を反射する第2反射面を有するとともに、前記反射面のそれぞれに対向する第1光出射面及び第2光出射面を有してなる読取用線状光源装置において、
前記リフレクタ部材は、前記第2光出射面に対して平行に延びて読取面側に向けて光を反射する反射部と、該反射部の両端部に一体形成された支持部とを備え、
該支持部は、前記導光体の両端を係合支持する係合部を有することを特徴とする読取用線状光源装置。
【請求項2】
前記導光体は、前記リフレクタ部材の係合部に弾性的に押圧支持されていることを特徴とする請求項1に記載の読取用線状光源装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は線状光源装置に関するものであり、特に、ファクシミリ、複写機、イメージスキャナー、バーコードリーダ等に使用される画像読取装置の照明用光源として利用される読取用線状光源装置に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、上述の画像読取装置において、LEDの出力向上と受光素子としてのCCD型センサの高感度化により、小型で低消費電力のLEDを利用した線状光源装置が読取装置の光源として使用されるようになってきていて、例えば、特開2014−90403号公報(特許文献1)にその技術が開示されている。
図5に、この従来技術の読取用線状光源装置が示されている。
【0003】
図5(A)において、読取用線状光源装置50は、LED51と、棒状の導光体52とを有し、図5(C)に示すように、このLED51は、この導光体52の長手方向(軸方向)端面に対向するように配置されている。そして、導光体52に平行に延びるようにリフレクタ部材60が並設されている。
図5(B)に示すように、導光体52の側周面には、長手方向に沿って延びて原稿読取面70に向けて光を反射する第1反射面53と、リフレクタ部材60に向けて光を反射する第2反射面54とが形成されるとともに、これらの反射面53、54にそれぞれ対向する第1光出射面55及び第2光出射面56が形成されている。
【0004】
上記構成において、図5(C)に示すように、LED51より発せられた光は、導光体52の長手方向端面(入射端面)から導光体52の内部に入射し、その内部で反射を繰り返しながら軸方向に進行する。導光体52の内部を進行する光は、一部が第1反射面53または第2反射面54に反射されて、それぞれ第1光出射面55および第2光出射面56から導光体52の長手方向に対して垂直な方向に出射される。
図5(B)に示すように、第1光出射面55から出射した光は、原稿面70に向かい、一方、第2光出射面56から出射した光は、これに対向配置されたリフレクタ部材60により反射されて原稿面70に向かうものである。
【0005】
ところで、このような読取用線状光源装置においては、導光体52とリフレクタ部材60は、撮像素子用光透過部81が形成された基台80に、該光透光部81を挟んで対向する位置に個別に取り付けられている。
しかして、この種の読取用線状光源装置では、原稿読取面70での照度分布の状態は、(1)導光体52の第1光出射面55を出た光が直接原稿読取面70を照らす光と、(2)導光体52の第2光出射面56を出た光が対向するリフレクタ部材60で反射された光が間接的に原稿読取面70を照らす光と、によって決まる。従って、導光体52の光出射面55,56の形成位置と角度、及び、リフレクタ部材60の反射面の形成位置や傾斜角度によって、原稿読取面での照度分布が決定される。
【0006】
しかしながら、上記先行技術においては、導光体52は導光体支持台58に設置された後に基台80に取り付けられ、また一方、リフレクタ部材60はリフレクタ支持台61に設置されたのち、前記基台80に取り付けられている。
このように複数の部材を個別に組み付けることで、導光体52とリフレクタ部材60の最適配置に対して配置関係にバラツキが発生しやすく、原稿読取面での配光分布特性がバラつきやすい。これにより、製品製造の歩留まりを悪化させる一因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−90403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、導光体と、該導光体の端面に対向配置されるLEDと、前記導光体に並設されたリフレクタ部材とを有し、前記導光体は、その側周面に、読取面側に向けて光を反射する第1反射面と、前記リフレクタ部材に向けて光を反射する第2反射面を有するとともに、前記反射面のそれぞれに対向する第1光出射面及び第2光出射面を有してなる読取用線状光源装置において、第1光出射面からの光と、第2出射面から出射してリフレクタ部材で反射される光とが、原稿読取面において精度よく一致して配光分布特性にバラつきが生じないようにした構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明に係る読取用線状光源装置は、前記リフレクタ部材が、前記第2光出射面に対して平行に延びて読取面側に向けて光を反射する反射部と、該反射部の両端部に一体形成された支持部とを備え、該支持部は、前記導光体の両端を係合支持する係合部を有することを特徴とする。
また、前記導光体は、前記リフレクタ部材の係合部に弾性的に押圧支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明の読取用線状光源装置によれば、リフレクタ部材において反射部と支持部とを一体構造としてあるので、導光体をこの支持部の係合部に係合支持させることで、導光体と反射部との位置合わせが自然となされ、両者の相対位置に取り付けに伴う位置ずれが発生することがない。そのために、原稿読取面での配光分布特性にバラつきが生じることを防止できる。
また、導光体はだ弾性力によって支持部の係合部に押圧支持されるので、その取り付け作業が極めて簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の読取用線状光源装置の斜視図。
図2図1の側面図。
図3】本発明の他の実施例の部分斜視図。
図4図3の別の方向からの部分拡大斜視図。
図5】従来の読取用線状光源装置で、(A)は平面図、(B)はB−B断面図、(C)はC−C断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の読取用線状光源装置1を示す斜視図であり、図2はその側面拡大図である。
図1に示すように、透光性部材よりなる長尺な棒状の導光体2の端面(この実施例では両端面)に対向配置されて、LED3が取付け部材4によって基台10上に配設されている。この導光体は、一般的には円柱形状をなすものであるが、楕円柱形状であってもよい。
一方、リフレクタ部材5が基台10上に固定されていて、このリフレクタ部材5は、導光体2と平行に延びて該導光体2からの光を原稿読取面(不図示)に向けて反射する反射部6と、その両端において略直交する方向に延在して一体的に設けられた支持部7,7とからなる。この支持部7,7は、前記導光体2の両端部を支持するためのものであり、その長さは等しく、かつ両支持部7,7の離間距離はほぼ導光体2の長さに等しい。
前記リフレクタ部材5は、支持部7において基台10上にネジ止めされて固定される。
【0013】
図2に示すように、支持部7には反射部6と対向する端部において、凹部からなる係合部8が形成されている。この係合部8は、概略導光体2の断面形状に沿った形状の凹部からなり、その内面には適宜数の係合突起8aが形成されている。
導光体2は、この支持部7,7の係合部8,8内に挿入されて係合支持されることにより、導光体2とリフレクタ部材5とは平行な位置関係に配置される。
また、導光体2はその両端支持部7,7を貫通する形で係合支持されるので、導光体2が、湿度等により長さ方向に伸縮することがあっても支持部7,7によって拘束されることがないので、導光体2とリフレクタ部材5の位置ずれが生じることがない。
導光体2にはバネ状の固定部材9が当接されて、その両端部9a,9bが支持部7の係止部7a,7bに係止されていて、この固定部材9の弾性力によって導光体2を係合部8に押圧当接して係合支持している。前記導光体2の外周には固定突起2aが形成されていて、導光体2が支持部7の係合部8に係合し、固定部材9の弾性力によって押圧されたとき、この固定突起2aも支持部7に押圧当接されて、回転止めとして機能する。
【0014】
こうしてリフレクタ部材5の支持部7,7に固定支持された導光体2の両端面に、図1の説明で述べたように、LED3,3が対向配置されている。このLED3は導光体2の一端面のみに配置されるものであってもよい。
なお、この実施例では導光体2の後部側、即ち、リフレクタ部材5の反射部6とは反対側に補助反射部材11が設けられていて、この補助反射部材11は白色樹脂などで構成され、導光体2から漏れ出た光を集光して拡散反射する機能を有する。
【0015】
導光体2には、図5の従来例で説明したと同様に、第1反射面21、第2反射面22、第1光出射面23、第2光出射面24が形成されており、上記構造により、導光体2の第1光出射面23が原稿読取面(不図示)に向かい、第2光出射面24が反射部6に対向する形で、かつ、導光体2と反射部6との適正な離間距離を保って、導光体2がリフレクタ部材5に固定される。
【0016】
図3,4に他の実施例が示されていて、図1,2のものとは、導光体2の固定部材が相違する。
この実施例では、図1で前述したLED取付け部材4が固定部材としても機能するものであって、その取付け部材4には、固定部材として一対のバネ状固定片12,13が設けられている。取付け部材4が基台10にネジ止めされると、一方のバネ状固定片12は導光体2に、他方の固定片13は導光体2の固定突起2aに当接して、これらを弾性力によって支持部7に押圧当接するものである。
これにより、導光体2は支持部7の係合部8に係合支持されるとともに、その固定突起2aが支持部7に当接して回転止めとして機能する。また、固定片12,13がLED取付け部材4に一体形成されていることで、LED3の放熱フィンとしても機能する。
勿論この実施例においても、LED3は導光体2の一端面にのみ設けるものであってもよく、その場合には、どちらか一方の取付け部材4にのみLED3を取り付けるようにすればよい。
【0017】
以上のように、本発明においては、導光体に並設されたリフレクタ部材を、導光体と平行に延びる反射部と、これと一体に延設された支持部とより構成し、該支持部の端部に形成された係合部に導光体を当接係合して支持したので、導光体と反射部とが所定の間隔を保って固定され、原稿読取面において配光分布特性にバラつきが生じることを防止できるという効果を奏するものである。
また、導光体の固定を弾性力により行うことで、その固定作業が簡略化できる。
【符号の説明】
【0018】
1 読取用線状光源装置
2 導光体
2a 回転防止用突起
21 第1反射面
22 第2反射面
23 第1光出射面
24 第2光出射面
3 LED
4 LED取付け部材
5 リフレクタ部材
6 反射部
7 支持部
8 係合部
8a 係合突起
9 固定部材
10 基台
12,13 バネ状固定片


図1
図2
図3
図4
図5