(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気機器の収容状態を受信しメンテナンス可能状態かメンテナンス不可能状態かを判定する収容状態判定部を備えたことを特徴とする請求項1記載の筐体に収容された電気機器の通信システム。
収容状態判定部は、ロック手段を介して施錠または解錠する開閉自在な筐体扉の状態により、メンテナンス可能状態かメンテナンス不可能状態かを判定することを特徴とする請求項2記載の筐体に収容された電気機器の通信システム。
可視光通信装置は、電気機器の制御情報が重畳された可視光を受光するメンテナンス用受光部と、メンテナンス用受光部で受光した可視光に重畳された制御情報に基づいて電気機器に制御信号を送信する電気機器制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の筐体に収容された電気機器の通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態における電気機器の通信システムは、筐体に収容された電気機器において、従来のように単なる有線通信や電波通信を利用してメンテナンス情報を通信(後述する具体例のように電気機器情報の収集や制御情報の送信等)を行うのではなく、電気機器のメンテナンス用照明部やメンテナンス用受光部を利用したものであって、例えば電気機器が特定の作業者(保守員等)によってメンテナンス可能な状態(例えば、特定の作業者によって筐体扉が開扉あるいはロック手段が解錠された状態;以下、メンテナンス可能状態)で収容されている場合に、当該メンテナンス用照明部から可視光を発光する可視光通信や、当該メンテナンス用受光部にて作業者端末等からの可視光を受光する可視光通信により、所望のメンテナンス情報を通信することを特徴としたものである。
【0014】
可視光通信は、可視光を通信媒体として通信を行うものであって、例えば可視光に送信信号を重畳してそれを空間光として放射し、放射された光を受信器側で受光し、その受光信号から送信信号を復調して通信するシステムが知られており、種々の技術内容が公開(例えば、特許第5301839号公報,特許第5548861号公報;以下、それぞれ参考文献1,2)されているが、その可視光通信を制限、例えば特定の作業者のみに可視光通信を可能にするという技術的思想は無かった。
【0015】
一方、本実施形態の通信システムにおいては、筐体に収容される電気機器のメンテナンス用照明部やメンテナンス用受光部を利用して可視光通信を実施できる構成であり、当該可視光通信の実施をメンテナンス可能状態の場合に制限、具体例としては筐体の筐体扉を開扉したりロック手段(例えば、後述のロック手段19)を解錠できる作業者のみに可視光通信させることが可能な構成である。これにより、筐体に収容された電気機器のメンテナンス情報において、電波通信とは異なる無線通信(すなわち可視光通信)により通信できるだけでなく、電気機器のメンテナンスが不可能な状態(例えば、特定の作業者によって筐体扉が閉扉あるいはロック手段が施錠された状態;以下、メンテナンス不可能状態)の場合には可視光通信をできないようにして当該電気機器に係るセキュリティを保持することが可能となる。
【0016】
本実施形態の通信システムは、前述のようにメンテナンス可能状態である場合に、可視光通信によって、作業者が筐体内の電気機器のメンテナンス情報を通信できる構成であれば、例えば各種分野の技術常識を適宜適用する等により、多彩な変更が可能なものであって、その一例として以下に示すものが挙げられる。
【0017】
≪通信システムの一例≫
図1〜
図5は本実施形態の電気機器の通信システムの一例を示すものであって、図外の発電所等の所望のスペースに設置され筐体扉11を有した筐体1内に、電気機器の一つである制御盤(いわゆる閉鎖制御盤;詳細な説明は省略)10,可視光通信装置20(詳細を後述する)が収容され、制御盤10をメンテナンスする作業者(例えば筐体扉11を開扉できる作業者)Wが、制御盤10の稼働状況や計測値(図示省略)等の各種の電気機器情報(メンテナンス情報)を、可視光通信可能な作業者端末W1を介して通信できる構成となっている。
【0018】
筐体1は、制御盤10の外周側を包囲できるように複数個の筐体部材(例えば、パネル状の筐体部材等)が組み付けられて略直方体状の形状をなし、制御盤10の正面側(
図1では制御盤10の右側)と対向する位置に形成された開口部(例えば制御盤10等の出し入れやメンテナンス等をできるように形成された開口部)12に対し、矩形平板状の筐体扉11がヒンジ13を介して開閉自在に取り付けられた構造(例えば開口部12の環状の端面12aに取り付けられた構造)となっている。
【0019】
符号14は、筐体1の開口部12の端面12aに設けられた環状部材であって、筐体扉11の閉扉時に当該筐体扉11の内側面11aの周縁部と対向する側(後述する突出枠15に支持されるパッキン16と圧接する位置)に環状平坦圧接面14aが形成されている。符号15は、筐体扉11の内側面11aにおける周縁部に対して突設された環状の突出枠を示すものである。この突出枠15は、肉厚方向の断面形状がL字状であって、内側面11aに対して面接合する環状平坦接合面15cが形成された環状の補強部15aと、その補強部15aの外周側の周縁部から垂直方向に突出(
図2では環状平坦圧接面14a側に突出)した環状の支持部15bと、を備え、ボルト等の締結手段15dによって固定される。
【0020】
符号16は、支持部15bによって支持されたパッキンを示すものであり、肉厚方向の断面形状がU字状の内壁面を有する溝16cが形成された脚部16aと、中空状(
図2では肉厚方向の断面形状がO状で圧接により弾性変形した形状)であって閉扉時に環状平坦圧接面14aに圧接されて弾性変形する中空部16bと、を備えている。その脚部16aにおいて溝16c内壁面により支持部15bの先端部を覆うように挟持させることにより、前記のパッキン16が突出枠15に対して支持される。
【0021】
ヒンジ13は、環状部材14におけるパッキン16との圧接位置よりも外周側に固定された筐体側ヒンジ部材13aと、筐体扉11の内側面11aにおける突出枠15よりも外周側に固定された筐体扉側ヒンジ部材13bと、を回動軸13cにより回動自在に接続して構成されている。
【0022】
符号17は、筐体扉11の内側面11aに対して設けられたリンク機構18aを介して掛金具17a〜17cが可動する規制手段を示すものであって、筐体扉11の外側面に取り付けられリンク機構18aと連動するハンドル18によって操作されるものである。符号19は、例えば作業者Wが所有する鍵やパスワード入力等により筐体扉11を施錠または解錠することが可能なロック手段(例えばシリンダー錠,デッドボルト等から成りウェーブ鍵等により施錠や解錠することが可能な機構)を示すものである。このロック手段19において、例えば筐体扉11を閉扉して、パッキン16の中空部16bを環状平坦圧接面14aに対し圧接させた状態にして規制手段17を操作し、筐体1の開口部12の内側に取り付けられた所望のフック(例えば
図2のフック17d;詳細な説明を省略)に対して掛金具17a〜17cをそれぞれ係止(例えば掛金具17aの先端を
図2のフック17dに対して係止)させてから、ロック手段19において施錠することにより、筐体扉11を閉扉した状態で保持(例えば不特定者に開扉されないように保持)することが可能となる。
【0023】
符号20は、制御盤10の電気機器情報を可視光通信し当該電気機器情報を例えば作業者Wの作業者端末W1により受信できるようにする可視光通信装置を示すものであって、例えば
図1,
図5に示すように、制御盤10や当該制御盤10の正面方向側(作業者W側)に対して可視光を発光するメンテナンス用照明部3と、筐体1に収容される制御盤10の収容状態によりメンテナンス可能状態かメンテナンス不可能状態かを判定する収容状態判定部(例えば後述するように、感知手段4aの感知結果に基づいて収容状態を判定する判定部)4と、制御盤10の稼働状況や計測値(図示省略)等の各種の電気機器情報を受け付ける情報受付部5と、その情報受付部5で受け付けた電気機器情報(例えば後述の信号変換部61により信号変換された電気機器情報)をメンテナンス用照明部3に入力(可視光に重畳できるよう信号変換して入力)する送信制御部6と、を備え筐体1(
図1,
図2等では筐体1内の制御盤10の上方側)に設けられている。
【0024】
≪可視光通信装置の一例≫
可視光通信装置20は、特に
図1,
図5に示したようにメンテナンス用照明部3,収容状態判定部4,情報受付部5,送信制御部6等を備え制御盤10や当該制御盤10の正面方向側(作業者W側)に対して可視光(例えば780nm〜380nm程度の可視光)を発光して可視光通信でき、例えば作業者Wの作業者端末W1によって当該電気機器情報を受信できるようにするものであれば、種々の形態の構成を適用することが可能である。
【0025】
例えば
図5に示す可視光通信装置20のように、収容状態判定部4において、感知手段4aで感知した筐体扉11の開閉状態を受信することにより、制御盤10の収容状態を判定(例えば筐体扉11が開扉された場合をメンテナンス可能状態と判定)する構成が挙げられる。また、送信制御部6において、収容状態判定部4による判定結果を受信し、当該受信した判定結果に応じて電気機器情報(情報受付部5で受け付けた電気機器情報)をメンテナンス用照明部3に入力し、メンテナンス用照明部3から可視光を発光させて可視光通信する構成が挙げられる。
【0026】
このように制御盤10の収容状態を判定して可視光通信する可視光通信装置20によれば、メンテナンス可能状態と判定された場合のみ、メンテナンス用照明部3から可視光が発光される構成(例えば筐体扉11が開扉された場合のみ送信制御部6が稼動する構成)とすることも可能である。すなわち、例えばロック手段19を解錠したり筐体扉11を開扉してメンテナンスを実施することが可能な作業者Wのみが、メンテナンス情報を可視光通信できることとなり、不特定者(不審者等)がたとえ作業者端末W1等を所有していたとしても、メンテナンス不可能状態である場合(例えば筐体扉11が開扉されない限り)、当該不特定者に電気機器情報が搾取されることを防止あるいは抑制でき、制御盤10に係る所望のセキュリティを保持することが可能となる。
【0027】
メンテナンス用照明部3は、例えば発光ダイオード,白熱灯などの発光体から成る光源31を有し、その光源31が送信制御部6(詳細を後述する)の制御に従って点滅し、情報受付部5が受信した電気機器情報を可視光により送信できるものであれば、種々の構成のものを適用可能である。光源31においては、例えば制御盤10や当該制御盤10の正面方向側(作業者W側)に対して780nm〜380nm程度の可視光を発光できるものを適用することが挙げられるが、発光ダイオードのように高速に点滅させることが可能なものを適用することが好ましい。また、光源31の個数においては特に限定されるものではなく、複数個の光源31を有する場合には、それぞれ個別に調光、例えば、明るさや光の色等の演色制御等が可能なものも適用できる。
【0028】
光源31の発光強度においては、例えば送信制御部6において当該光源31に供給する電圧を種々設定して調整することが可能である。また、送信制御部6が、電気機器情報に応じた信号、例えば送信制御部6の信号変換部61等を介し電気機器情報を変調して得た信号を、光源31に供給する電圧に重畳して当該光源31に供給することで、光源31を電気機器情報に応じて点滅させて、メンテナンス用照明部3から電気機器情報を可視光通信で送信することが可能となる。メンテナンス用照明部3の照明の光の色を調整可能とする場合、例えば複数個の光源31を有したメンテナンス用照明部3の場合には、各光源31において各々の色が付けられたものを適用し、当該各光源31の光度を送信制御部6等により制御できるようにすればよい。
【0029】
また、メンテナンス用照明部3は、制御盤10や当該制御盤10の正面方向側(作業者W側)に対して可視光を発光する構成であれば良く、その設置位置や個数等は特に限定されるものではないが、メンテナンス用照明部3と作業者W(特に作業者端末W1の受光部W2)との間において可視光が遮られないようにし(例えば作業者Wによる影が形成されないようにし)、可視光通信を実施し易くすることが好ましい。
【0030】
例えば
図2等に示すように、制御盤10等と干渉しないように、筐体1内の制御盤10の上方側に設けることが挙げられるが、これに限定されるものではなく、例えば筐体扉11の内側面11a(例えば内側面11aの上方側)に設けたり、筐体1の外周側(例えば
図2の天井壁1aにおける筐体扉11側)に設けたりしても良い。さらに、前述のように筐体1内,筐体扉11の内側面11a,筐体1の天井壁1aの外側面1b等に設けるメンテナンス用照明部3は、例えば可撓手段(可撓管等;図示省略)を介して支持することにより、メンテナンス用照明部3による発光角度を調整できるようにしても良い。
【0031】
収容状態判定部4は、制御盤10の収容状態においてメンテナンス可能状態かメンテナンス不可能状態かを判定できるものであれば、種々の形態の構成を適用することが可能であり、その一例として筐体扉11の状態に基づいて判定する構成が挙げられる。例えば
図2に示すように筐体扉11の開閉状況を感知する感知手段4aが設けられている場合には、その感知手段4aで感知した筐体扉11の開閉状態(すなわち収容状態)を受信し、筐体扉11が開扉された場合をメンテナンス可能状態と判定して、その判定結果を送信制御部6に送信できる構成が挙げられる。
【0032】
制御盤10の収容状態を感知する感知手段4aとしては、種々の構成のものを適用でき、前述のように筐体扉11の開閉状態を感知する構成の他に、ロック手段19の施錠や解錠状況を感知する構成(図示省略)が挙げられる。
【0033】
図2に示すように筐体扉11の開閉状況を感知する感知手段4aの一例としては、リミットスイッチ等が挙げられ、
図2等に示すように筐体扉11の開閉を妨げないように筐体1の開口部12の端面12a付近(環状平坦圧接面14a等)に設けることが挙げられるが、これに限定されるものではなく、例えば筐体扉11の内側面11a(例えば内側面11aの上方側)に設けたりしても良い。
【0034】
情報受付部5は、可視光通信の対象となる制御盤10の電気機器情報を受け付けるものであれば、種々の構成のものを適用することが可能であり、例えばデータタイプ,プロトコル,データ構造等は、特に限定されるものではない。例えば、電気機器情報は、文字データであっても良いし、画像データであっても良い。また、電気機器情報は、PLCで採用されている標準のプロトコル等で送信されるデータであっても良い。情報受付部5による受け付けとは、通信回線やネットワーク等(LAN等)を介した受信により制御盤10から電気機器情報を受け付けたり、記録媒体等から読み出して受け付ける等が挙げられる。また、情報受付部5は、一旦受け付けた電気機器情報をメモリ等の記録媒体に蓄積し、必要な時に適宜読み出せる構成であっても良い。情報受付部5が受け付ける電気機器情報は、変調されたデータであっても良いし、変調されていないデータであっても良い。さらに、情報受付部5は、入力インターフェースや通信インターフェース等のインターフェースや、当該インターフェースとこれを制御する制御ソフトウェア、あるいは記録媒体からデータを読み出すためのデバイスとそのデバイスドライバ等で実現することも可能である。
【0035】
送信制御部6は、収容状態判定部4による判定結果を受信でき、メンテナンス用照明部3を制御して、情報受付部5が受け付けた電気機器情報を可視光により送信できるものであれば、種々の構成のものを適用することが可能である。例えば、図外の電源から供給される電力の電圧に対して、電気機器情報に応じた信号、例えば電気機器情報を変調して得られる信号を重畳し、この信号を光源31に供給することで、当該光源31を電気機器情報に応じて点滅させて、メンテナンス用照明部3から電気機器情報を可視光で送信できる構成が挙げられる。この送信制御部6は、情報受付部5で受け付けた電気機器情報が変調された信号でない場合には、例えば
図5に示すように信号変換部61等により、電気機器情報を電圧に重畳できるように変調し、その変調された電気機器情報の信号を当該電圧に重畳して光源31に供給するようにしても良い。
【0036】
送信制御部6が可視光により電気機器情報を送信させるトリガーやタイミング等については、前述のように収容状態判定部4においてメンテナンス可能状態であると判定された後であれば、特に限定されるものではなく、例えば筐体扉11が開扉された後に情報受付部5が電気機器情報を受け付けたことをトリガーとして可視光通信を行うようにしても良いし、受け付けた電気機器情報に応じて、可視光通信を行うようにしても良い。
【0037】
また、送信制御部6は、種々のハードウェア(専用回路)で実現したり、その送信制御部6の少なくとも一部をMPUやメモリ等から実現するようにしてもよい。この場合、送信制御部6の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されるようにしてもよい。
【0038】
≪作業者端末の一例≫
前述のような可視光通信装置20から可視光を介して送信される電気機器情報は、例えば作業者Wが所有する作業者端末W1によって受信することができる。この作業者端末W1においては、種々の形態の端末を適用することが可能であり、特に限定されるものではないが、例えばメンテナンス用照明部3からの可視光を受光する受光部W2を備えたものであって、メンテナンス用照明部3から可視光により送信される電気機器情報を当該受光部W2で受信し、その受信した電気機器情報を復調して所望の情報処理を実行できる端末が挙げられ、具体例としては、受光部W2を備えたタブレット型やノート型の携帯可能な端末等が挙げられる。受光部W2においても、種々の形態のものを適用することが可能であり、例えば前記のような携帯可能な端末のLANポート等に接続できるUSB端末等が挙げられる。
【0039】
≪通信システムの他例≫
図1〜
図5の通信システムにおいては、メンテナンス用照明部3から可視光により送信される電気機器情報を当該受光部W2で受信する構成、すなわち一方向の可視光通信に係る構成を説明したが、例えば以下に説明する
図6,
図7に示すようにメンテナンス用受光部7,電気機器制御部8等を備えた可視光通信装置21を適用することにより、双方向の可視光通信を実現することも可能となる。なお、当該双方向の可視光通信について、
図1〜
図5に示した通信システムと同様のものには同一符号を付する等により、その詳細な説明を省略する。
【0040】
まず、
図6,
図7に示す可視光通信装置21においては、例えば作業者端末W11に設けられた発光部W3(詳細を後述する)からの可視光を受光するメンテナンス用受光部7と、そのメンテナンス用受光部7で受光する可視光に重畳された制御情報(例えば信号変換部61により信号変換された制御情報;メンテナンス情報))を受信し制御盤10を制御(例えば各種設定等)する電気機器制御部8と、を備えている。
【0041】
この可視光通信装置21は、種々の形態の構成を適用することが可能であり、例えば
図6,
図7に示すように、メンテナンス用受光部7において、収容状態判定部4による判定結果を受信し、当該受信した判定結果に応じて作業者端末W11の発光部W3からの可視光を受光する構成が挙げられる。また、電気機器制御部8において、収容状態判定部4による判定結果を受信し、当該受信した判定結果に応じて、メンテナンス用受光部7で受光する可視光に重畳された制御情報を受信したり、制御盤10に制御信号(制御情報に基づいた信号)を送信し当該制御盤10を制御する構成も挙げられる。
【0042】
このように制御盤10の収容状態を判定して可視光通信する可視光通信装置21によれば、可視光通信装置20と同様の作用効果を奏するだけでなく、メンテナンス可能状態と判定された場合のみ、作業者端末W11の発光部W3からの可視光を受光したり制御盤10を制御できる構成(例えば筐体扉11が開扉された場合のみメンテナンス用受光部7や電気機器制御部8が稼動する構成)とすることも可能である。すなわち、例えばロック手段19を解錠したり筐体扉11を開扉してメンテナンスを実施することが可能な作業者Wのみが、作業者端末W11等を介して可視光通信装置21と可視光通信できることとなり、不特定者(不審者等)がたとえ作業者端末W11等を所有していたとしても、メンテナンス不可能状態である場合(例えば筐体扉11が開扉されない限り)、当該不特定者に制御盤10が操作等されることを防止あるいは抑制でき、制御盤10に係る所望のセキュリティを保持することが可能となる。
【0043】
メンテナンス用受光部7は、例えば制御盤10に係る制御情報が重畳された可視光(作業者端末W11の発光部W3から発光した可視光等)を受信できる等の構成であれば、種々の形態のものを適用することが可能である。具体例としては、作業者端末W1の受光部W2と同様の構成であって、
図7等に示すように収容状態判定部4による判定結果を受信したり、当該受信した判定結果に応じて稼動(受光)する構成が挙げられる。
【0044】
また、メンテナンス用受光部7が可視光を受光するトリガーやタイミング等については、特に限定されるものではないが、例えば前述のように収容状態判定部4においてメンテナンス可能状態であると判定された後となるように設定することが挙げられ、具体例としては筐体扉11が開扉されたりロック手段19が解錠されたことをトリガーとして設定することが挙げられる。
【0045】
さらに、メンテナンス用受光部7は、筐体1の周辺(作業者W側)から発光した可視光を受光できる構成であれば良く、その設置位置や個数等は特に限定されるものではないが、メンテナンス用受光部7と作業者W(特に作業者端末W11の発光部W3)との間において可視光が遮られないようにし(例えば作業者Wによる影が形成されないようにし)、可視光通信を実施し易くすることが好ましい。
【0046】
例えば
図6等に示すように、制御盤10等と干渉しないように、筐体1内の制御盤10の上方側に設けることが挙げられるが、これに限定されるものではなく、例えば筐体扉11の内側面11a(例えば内側面11aの上方側)に設けたり、筐体1の外周側(例えば
図2の天井壁1aにおける筐体扉11側)に設けたりしても良い。さらに、前述のように筐体1内,筐体扉11の内側面11a,筐体1の天井壁1aの外側面1b等に設けるメンテナンス用受光部7は、例えば可撓手段(可撓管等;図示省略)を介して支持することにより、メンテナンス用受光部7による受光角度を調整できるようにしても良い。
【0047】
電気機器制御部8は、メンテナンス用受光部7で受光した可視光に重畳された制御情報や収容状態判定部4による判定結果を受信したり、制御盤10に制御信号を送信して当該制御盤10を制御できるものであれば、種々の構成のものを適用することが可能である。制御情報については、例えば
図7に示すように信号変換部61等により変調してから受信する構成が挙げられる。
【0048】
また、電気機器制御部8における制御情報の受信や制御信号の送信に係るトリガーやタイミング等については、特に限定されるものではないが、メンテナンス用受光部7の場合と同様に、例えば収容状態判定部4においてメンテナンス可能状態であると判定された後となるように設定することが挙げられる。
【0049】
さらに、電気機器制御部8は、種々のハードウェア(専用回路)で実現したり、その電気機器制御部8の少なくとも一部をMPUやメモリ等から実現するようにしてもよい。この場合、電気機器制御部8の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されるようにしてもよい。
【0050】
作業者端末W11は、特に限定されるものではなく、種々の形態の端末を適用することが可能であり、例えば作業者端末W1に発光部W3を備えたものであって、所望の制御情報に応じた信号を図外の電源(例えば作業者端末W11の電源)から供給される電力の電圧に対して重畳し、この信号を発光部W3の光源(図示省略)に供給することで、当該発光部W3の光源を制御情報に応じて点滅させる構成の端末が挙げられる。このような構成の作業者端末W11により、発光部W3から制御情報を可視光で送信することが可能となる。具体例としては、発光部W3を備えたタブレット型やノート型の携帯可能な端末等が挙げられる。発光部W3においても、種々の形態のものを適用することが可能であり、例えば前記のような携帯可能な端末のLANポート等に接続できるUSB端末や、受光部W2および発光部W3を一体化させたUSB端末等が挙げられる。
【0051】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変更等が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変更等が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0052】
例えば、本実施形態においては、可視光通信装置20や作業者端末W1における各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。また、可視光通信装置20や作業者端末W1における各処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布できるようにしたり、当該ソフトウェアをCD−ROMなどの記録媒体に記録して流布できるようにしても良い。
【0053】
また、可視光通信装置20や作業者端末W1による通信システムを実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムが挙げられる。このプログラムの一例としは、コンピュータを、可視光通信の対象となる情報である電気機器情報を受け付ける情報受付部と、調光可能なメンテナンス用照明部を制御して前記情報受付部が受け付けた電気機器情報を可視光により送信させる送信制御部と、を機能させるためのプログラムであったり、更に電気機器の制御情報が重畳された可視光を受光するメンテナンス用受光部と、メンテナンス用受光部で受光した可視光に重畳された制御情報に基づいて電気機器に制御信号を送信する電気機器制御部と、を機能させるためのプログラムが挙げられる。
【0054】
このようなプログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。また、前記のようなプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。