特許第6398622号(P6398622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398622
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】剥離装置および剥離方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20180920BHJP
   B65H 29/56 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   B65H41/00 Z
   B65H29/56
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-225857(P2014-225857)
(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公開番号】特開2016-88704(P2016-88704A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正敬
(72)【発明者】
【氏名】北島 功朗
(72)【発明者】
【氏名】菊地 栄治
(72)【発明者】
【氏名】田中 利典
【審査官】 五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/090147(WO,A1)
【文献】 実開平07−013849(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 41/00
B65H 29/00
B65H 3/08
B32B 1/00 −43/00
G02F 1/13
G02F 1/137− 1/141
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに貼り付けられたシートを剥離する剥離装置であって、
前記シートを吸着する複数の吸着部を備え、
前記複数の吸着部は、前記シートの一方端部側に配置される第1吸着部と、前記シートの他方端部側に配置される第2吸着部と、前記第1吸着部と前記第2吸着部との間に配置される第3吸着部とを含み、
前記第1吸着部、前記第2吸着部および前記第3吸着部は、弾性変形可能な連結部材によって連結され、
前記第2吸着部がベース部に設けられ、前記ベース部には前記第1吸着部を斜め上方に引き上げる引上部材が設けられ、
前記第1吸着部は、前記シートを吸着した状態で、前記ワークに対する垂直方向から前記シートの他方端部側に傾斜した方向に前記ワークから離れるように移動する構成とされ、
前記第3吸着部は、前記第1吸着部の移動後に、前記シートを吸着した状態で、前記ワークに対する垂直方向から前記シートの他方端部側に傾斜した方向に前記ワークから離れるように移動する構成とされ、
前記第2吸着部は、前記第吸着部の移動後に、前記シートを吸着した状態で、前記ワークに対する垂直方向に前記ワークから離れるように移動する構成とされていることを特徴とする剥離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の剥離装置において、
前記ワークは、照明体を含み、
前記シートは、前記照明体を保護する保護シートを含むことを特徴とする剥離装置。
【請求項3】
ワークに貼り付けられたシートを吸着する複数の吸着部を備え、前記シートを剥離する剥離装置における剥離方法であって、
前記複数の吸着部は、前記シートの一方端部側に配置される第1吸着部と、前記シートの他方端部側に配置される第2吸着部と、前記第1吸着部と前記第2吸着部との間に配置される第3吸着部とを含み、
前記第1吸着部、前記第2吸着部および前記第3吸着部は、弾性変形可能な連結部材によって連結され、
前記第2吸着部がベース部に設けられ、前記ベース部には前記第1吸着部を斜め上方に引き上げる引上部材が設けられ、
前記第1吸着部前記第2吸着部および前記第3吸着部が前記シートを吸着するステップと、
前記第1吸着部が前記シートを吸着した状態で、前記ワークに対する垂直方向から前記シートの他方端部側に傾斜した方向に前記第1吸着部が前記ワークから離れるように移動するステップと、
前記第1吸着部の移動後に前記第3吸着部が前記シートを吸着した状態で、前記ワークに対する垂直方向から前記シートの他方端部側に傾斜した方向に前記第3吸着部が前記ワークから離れるように移動するステップと、
前記第吸着部の移動後に前記第2吸着部が前記シートを吸着した状態で、前記ワークに対する垂直方向に前記第2吸着部が前記ワークから離れるように移動するステップとを備えることを特徴とする剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離装置および剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークに貼り付けられたシートを剥離する剥離装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、液晶パネルに貼り付けられた保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置が開示されている。この保護フィルム剥離装置では、保護フィルムの1つの角部を剥離ハンドが保持した状態で、その剥離ハンドが液晶パネルの表面に沿って平行に移動することにより、保護フィルムが液晶パネルから剥離されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−233988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の保護フィルム剥離装置では、保護フィルムが剥離されるときに鋭角に折り曲げられることから、剥離される保護フィルムに負荷がかかるので、保護フィルムが損傷やカールするおそれがある。したがって、剥離された保護フィルムを再利用することが困難である。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、ワークから剥離されるシートに負荷がかかるのを抑制することが可能な剥離装置および剥離方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による剥離装置は、ワークに貼り付けられたシートを剥離する剥離装置であって、シートを吸着する複数の吸着部を備える。複数の吸着部は、シートの一方端部側に配置される第1吸着部と、シートの他方端部側に配置される第2吸着部と、第1吸着部と第2吸着部との間に配置される第3吸着部とを含む。第1吸着部、第2吸着部および第3吸着部は、弾性変形可能な連結部材によって連結されている。第2吸着部がベース部に設けられ、ベース部には第1吸着部を斜め上方に引き上げる引上部材が設けられている。そして、第1吸着部は、シートを吸着した状態で、ワークに対する垂直方向からシートの他方端部側に傾斜した方向にワークから離れるように移動する構成とされ、第3吸着部は、第1吸着部の移動後に、シートを吸着した状態で、ワークに対する垂直方向からシートの他方端部側に傾斜した方向にワークから離れるように移動する構成とされ、第2吸着部は、第吸着部の移動後に、シートを吸着した状態で、ワークに対する垂直方向にワークから離れるように移動する構成とされている。
【0008】
このように構成することによって、複数の吸着部がシートを吸着して保持する状態で、ワークの一方端部側から他方端部側に向けて順にシートを剥離することができるので、ワークから剥離されるシートに負荷がかかるのを抑制することができる。
【0012】
上記剥離装置において、ワークは、照明体を含み、シートは、照明体を保護する保護シートを含むようにしてもよい。
【0013】
また、本発明による剥離方法は、ワークに貼り付けられたシートを吸着する複数の吸着部を備え、シートを剥離する剥離装置における剥離方法である。複数の吸着部は、シートの一方端部側に配置される第1吸着部と、シートの他方端部側に配置される第2吸着部と、第1吸着部と第2吸着部との間に配置される第3吸着部とを含む。第1吸着部、第2吸着部および第3吸着部は、弾性変形可能な連結部材によって連結されている。第2吸着部がベース部に設けられ、ベース部には第1吸着部を斜め上方に引き上げる引上部材が設けられている。そして、剥離方法は、第1吸着部第2吸着部および第3吸着部がシートを吸着するステップと、第1吸着部がシートを吸着した状態で、ワークに対する垂直方向からシートの他方端部側に傾斜した方向に第1吸着部がワークから離れるように移動するステップと、第1吸着部の移動後に第3吸着部がシートを吸着した状態で、ワークに対する垂直方向からシートの他方端部側に傾斜した方向に第3吸着部がワークから離れるように移動するステップと、吸着部の移動後に第2吸着部がシートを吸着した状態で、ワークに対する垂直方向に第2吸着部がワークから離れるように移動するステップとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の剥離装置および剥離方法によれば、ワークから剥離されるシートに負荷がかかるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による剥離装置の概略構成を示した斜視図である。
図2図1の剥離装置を下側から見た斜視図である。
図3図1の剥離装置において昇降部材が下降した状態を示した斜視図である。
図4図3の剥離装置を示した側面図である。
図5図4の剥離装置においてエアシリンダが作動した状態を示した側面図である。
図6図5の剥離装置において昇降部材が上昇した状態を示した斜視図である。
図7図6の剥離装置においてスライド部材が移動した状態を示した斜視図である。
図8図7の剥離装置において保護シートが仮置き部に載置された状態を示した斜視図である。
図9】照明体および保護シートを拡大して示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
−構成−
まず、図1図2および図9を参照して、本発明の一実施形態による剥離装置100の構成について説明する。この剥離装置100は、たとえば、照明体200を検査する検査装置(図示省略)に設けられており、検査の前に照明体200に貼り付けられた保護シート250を剥離するように構成されている。なお、検査装置は、検査が終了された後に、剥離された保護シート250を照明体200に貼りなおすように構成されている。
【0018】
ここで、照明体200は、たとえば、液晶表示装置等に用いられる面状の照明体である。この照明体200は、図9に示すように、表面200aに矩形枠状の両面テープ201が設けられており、その両面テープ201により保護シート250が照明体200の表面200aに貼り付けられている。この両面テープ201は、一方端部側(X1方向側)の短辺201aの幅がその他の辺の幅に比べて広くなるように形成されている。なお、照明体200は、本発明の「ワーク」の一例であり、保護シート250は、本発明の「シート」の一例である。
【0019】
また、照明体200は、図1に示すように、検査装置の搬送部材300により剥離装置100に供給されるようになっている。搬送部材300は、照明体200が載置される載置部301と、剥離装置100により剥離された保護シート250が一時的に載置される仮置き部302とを有する。載置部301および仮置き部302は、隣接するように配置されている。そして、搬送部材300は、載置部301に載置される照明体200を裏面側から吸着して保持するように構成されている。
【0020】
剥離装置100は、図2に示すように、剥離機構部1と、剥離機構部1を垂直方向(Z1およびZ2方向)に移動させるための昇降部材2と、昇降部材2を水平方向(Y1およびY2方向)に移動させるためのスライド部材3とを備えている。
【0021】
剥離機構部1は、ベース部11と、複数の吸盤12と、吸盤12が設けられる複数の吸盤台13と、吸盤台13を連結する連結部材14と、エアシリンダ15とを含んでいる。
【0022】
ベース部11は、昇降部材2に取り付けられている。ベース部11には、照明体200の長手方向(X1方向)に延びる支持ロッド11aおよび11bが形成されている。支持ロッド11aおよび11bは、同じ高さ位置に平行に配置され、支持ロッド11bが支持ロッド11aよりも長くなっている。具体的には、支持ロッド11aは、後述する吸盤台13cまで延びるように形成され、支持ロッド11bは、後述する吸盤台13aまで延びるように形成されている。
【0023】
複数の吸盤12は、保護シート250(照明体200)の長手方向の一方端部側(X1方向側)に配置される吸盤12aと、保護シート250の長手方向の他方端部側(X2方向側)に配置される吸盤12bと、吸盤12aおよび12bの間に配置される吸盤12cとを含んでいる。なお、吸盤12a、12bおよび12cは、それぞれ、本発明の「第1吸着部」、「第2吸着部」および「第3吸着部」の一例である。
【0024】
吸盤12a、12bおよび12cは、それぞれ、複数(本実施形態では3つ)設けられ、保護シート250の短手方向(Y1およびY2方向)に連なるように配置されている。すなわち、複数の吸盤12は、矩形状の照明体200に対して行列状(格子状)に配置されている。
【0025】
複数の吸盤台13は、吸盤12aが設けられる吸盤台13aと、吸盤12bが設けられる吸盤台13bと、吸盤12cが設けられる吸盤台13cとを含んでいる。吸盤台13a、13bおよび13cは、保護シート250の長手方向(X1およびX2方向)に間隔を隔てて配置されている。
【0026】
吸盤台13aは、ベース部11に対して離れた側(X1方向側)に配置され、保護シート250の短手方向(Y1およびY2方向)に延びるように形成されている。この吸盤台13aの下面には、複数の吸盤12aが間隔を隔てて設けられている。また、吸盤台13aの下面には、吸盤12aの間に連結部材14が取り付けられている。
【0027】
また、吸盤台13aには、内部にエア通路(図示省略)が形成され、そのエア通路に吸盤12aが連通されている。吸盤台13aの一方側面(Y2方向側の側面)には、エアホース(図示省略)の取付金具131aが設けられ、取付金具131aにエア通路が連通されている。そして、エアホースおよびエア通路を介して吸盤12aにエアが給排されることにより、吸盤12aが吸着およびその解除を行うようになっている。
【0028】
吸盤台13aの他方側面(Y1方向側の側面)には、図1に示すように、突部132aおよび押さえロッド133aが形成されている。突部132aは、外側(Y1方向側)に突出するように形成され、支持ロッド11bの上方に配置されている。すなわち、突部132aが支持ロッド11bにより支持されている。押さえロッド133aは、ベース部11側(X2方向側)に延びるように形成され、後述する突部132cの上方に配置されている。
【0029】
そして、吸盤台13aは、エアシリンダ15に回動可能に取り付けられており、そのエアシリンダ15によって斜め上方(図5のD方向)に引き上げられるように構成されている。
【0030】
吸盤台13bは、ベース部11に取り付けられ、保護シート250の短手方向(Y1およびY2方向)に延びるように形成されている。この吸盤台13bの下面には、図2に示すように、複数の吸盤12bが間隔を隔てて設けられている。また、吸盤台13bの下面には、吸盤12bの間に連結部材14が取り付けられている。
【0031】
また、吸盤台13bには、内部にエア通路(図示省略)が形成され、そのエア通路に吸盤12bが連通されている。吸盤台13bの一方側面(Y2方向側の側面)には、エアホース(図示省略)の取付金具131bが設けられ、取付金具131bにエア通路が連通されている。そして、エアホースおよびエア通路を介して吸盤12bにエアが給排されることにより、吸盤12bが吸着およびその解除を行うようになっている。
【0032】
吸盤台13cは、吸盤台13aおよび13bの間に配置され、保護シート250の短手方向(Y1およびY2方向)に延びるように形成されている。この吸盤台13cの下面には、複数の吸盤12cが間隔を隔てて設けられている。また、吸盤台13cの下面には、吸盤12cの間に連結部材14が取り付けられている。
【0033】
また、吸盤台13cには、内部にエア通路(図示省略)が形成され、そのエア通路に吸盤12cが連通されている。吸盤台13cの上端面には、エアホース(図示省略)の取付金具131cが設けられ、取付金具131cにエア通路が連通されている。そして、エアホースおよびエア通路を介して吸盤12cにエアが給排されることにより、吸盤12cが吸着およびその解除を行うようになっている。
【0034】
吸盤台13cの側面には、外側に突出するように突部132cが形成されている。一方側面(Y2方向側の側面)の突部132cは、支持ロッド11aの上方に配置され、その支持ロッド11aにより支持されている。他方側面(Y1方向側の側面)の突部132cは、支持ロッド11bの上方に配置され、その支持ロッド11bにより支持されている。また、他方側面の突部132cの上方には、吸盤台13aの押さえロッド133aが配置されている。
【0035】
そして、吸盤台13cは、吸盤台13aが斜め上方(図5のD方向)に引き上げられるときに、その吸盤台13aに連れて斜め上方に引き上げられるように構成されている。
【0036】
連結部材14は、吸盤台13a、13bおよび13cを連結するために設けられている。この連結部材14は、弾性変形可能に構成され、保護シート250の長手方向(X1およびX2方向)に延びるように形成されている。また、連結部材14は、帯板状に形成されるとともに、複数(本実施形態では2つ)設けられている。
【0037】
エアシリンダ15は、図1に示すように、ベース部11に取り付けられるシリンダ本体151と、シリンダ本体151に対してスライドする可動部材152とを含んでいる。このエアシリンダ15は、ベース部11に対して吸盤台13aおよび13cを移動させるために設けられている。なお、エアシリンダ15は、本発明の「引上部材」の一例である。
【0038】
シリンダ本体151には、エアホース(図示省略)の取付金具151aが設けられ、エアホースを介してエアを給排することが可能である。可動部材152の先端には、アーム152aが設けられ、そのアーム152aに吸盤台13aが回動可能に取り付けられている。そして、エアシリンダ15では、エアが給排されることにより、可動部材152がシリンダ本体151に対してスライドするようになっている。
【0039】
昇降部材2は、スライド部材3に設けられ、そのスライド部材3に対して昇降するように構成されている。これにより、昇降部材2に取り付けられた剥離機構部1が搬送部材300に対して昇降するようになっている。
【0040】
スライド部材3は、フレーム4(図2参照)に設けられ、そのフレーム4に対して水平方向(Y1およびY2方向)に移動するように構成されている。これにより、剥離機構部1および昇降部材2が搬送部材300の上方で載置部301と仮置き部302との間を行き交うようになっている。
【0041】
−動作−
次に、図1図9を参照して、本実施形態による剥離装置100の動作について説明する。なお、以下では、剥離装置100に対して、保護シート250が貼り付けられた照明体200が搬送部材300により順次搬送される場合を一例として説明する。
【0042】
まず、図1に示すように、搬送部材300により、保護シート250が貼り付けられた照明体200が搬送(供給)される。これにより、剥離機構部1の下方にその照明体200が配置される。
【0043】
なお、照明体200は、搬送部材300の載置部301に載置され、搬送部材300により保持されている。また、照明体200は、矩形枠状の両面テープ201の幅が広い短辺201a(図9参照)がX1方向側に配置されている。
【0044】
そして、図3および図4に示すように、昇降部材2がZ1方向に移動(下降)することにより、複数の吸盤12が保護シート250に接触される。この状態で、各吸盤12が保護シート250を吸着する。
【0045】
なお、吸盤12(図2参照)は、行列状に設けられており、保護シート250を全面的に保持するようになっている。また、吸盤12aは、吸盤12bおよび12cに比べて吸着力が高くなるように設定されている。また、吸盤12bおよび12cの吸着力が同じになるように設定されていてもよいし、吸盤12bは吸盤12cよりも吸着力が高くなるように設定されていてもよい。
【0046】
その後、エアシリンダ15が作動することにより、図5に示すように、可動部材152がD方向に移動する。なお、D方向は、照明体200の表面200a(図9参照)に対する垂直方向からX2方向側(ベース部11側)に傾斜した方向である。
【0047】
ここで、吸盤台13aが可動部材152に回動可能に設けられており、吸盤台13aが可動部材152とともにD方向に移動する。これにより、吸盤12aが保護シート250を吸着した状態で照明体200から離れるようにD方向に移動するので、保護シート250が照明体200のX1方向側の端部から剥離される。
【0048】
また、吸盤台13cが連結部材14により吸盤台13aに連結されており、吸盤台13cが吸盤台13aとともにD方向に移動する。これにより、吸盤12aが移動を開始した後に、吸盤12cが保護シート250を吸着した状態で照明体200から離れるようにD方向に移動するので、保護シート250が照明体200からさらに剥離される。すなわち、保護シート250がX1方向側の端部からX2方向側の端部に向けて順に剥離される。
【0049】
このように、エアシリンダ15が作動した状態では、吸盤台13aは、吸盤12aがX1方向側を向くように回動される。また、連結部材14が弾性変形され、吸盤台13cの突部132cが吸盤台13aの押さえロッド133aにより押さえられる。このため、吸盤12cは吸盤12aよりも低い位置に配置されている。また、吸盤台13bはベース部11に設けられているため、吸盤12bの位置は変化しない。すなわち、保護シート250のX2方向側の端部は照明体200に貼り付けられたままである。
【0050】
その後、昇降部材2がZ2方向に移動(上昇)する。これにより、剥離機構部1が上昇するため、保護シート250のX2方向側の端部も照明体200から剥離される。具体的には、吸盤12aおよび12cの移動後に、吸盤12bが保護シート250を吸着した状態で照明体200から離れるように垂直方向(Z2方向)に移動するので、保護シート250のX2方向側の端部が照明体200から剥離される。これにより、保護シート250が照明体200から完全に剥離される。
【0051】
そして、エアシリンダ15の作動が解除される。これにより、図6に示すように、剥離した保護シート250を吸盤12が吸着した状態で、その保護シート250が照明体200の上方に配置される。なお、このとき、吸盤台13aの突部132aが支持ロッド11bにより支持され、吸盤台13cの突部132cが支持ロッド11aおよび11bにより支持される。これにより、連結部材14の弾性変形が解消され、剥離された保護シート250がほぼ平坦な状態で吸盤12により保持される。
【0052】
そして、スライド部材3がY1方向側に移動する。これにより、図7に示すように、剥離された保護シート250が搬送部材300の仮置き部302の上方に配置される。その後、昇降部材2がZ1方向に移動(下降)し、保護シート250が仮置き部302に載置される。そして、吸盤12による保護シート250の吸着が解除される。その後、昇降部材2がZ2方向に移動(上昇)するとともに、スライド部材3がY2方向に移動することにより、図8に示すように、剥離機構部1が元の位置に戻される。
【0053】
このようにして、照明体200に貼り付けられた保護シート250が剥離され、その剥離された保護シート250が仮置き部302に載置される。その後、搬送部材300により、照明体200および剥離された保護シート250が搬送(排出)されるとともに、保護シート250が貼り付けられた新しい照明体200が搬送(供給)される。
【0054】
その後、上記した動作が繰り返し行われる。
【0055】
−効果−
本実施形態では、上記のように、保護シート250を吸着する複数の吸盤12を備え、吸盤12a、12cおよび12bが順に照明体200から離れるように移動することによって、複数の吸盤12が保護シート250を吸着して保持する状態で、照明体200の一方端部側から他方端部側に向けて順に保護シート250を剥離することができる。これにより、小さい力で保護シート250を剥離するとともに、剥離時の保護シート250の変形を抑制することができるので、保護シート250に負荷がかかるのを抑制することができる。したがって、保護シート250が損傷やカールしにくいので、剥離された保護シート250を再利用することができる。たとえば、検査前に照明体200から剥離された保護シート250を、検査後に照明体200に貼りなおすことができる。
【0056】
また、本実施形態では、吸盤台13aおよび13cを連結する連結部材14を設けることによって、エアシリンダ15により吸盤台13aが移動したときに、その吸盤台13aに連れて吸盤台13cを移動させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、吸盤12aおよび12cをD方向に移動させる動作と、吸盤12bをZ2方向に移動させる動作との2段階の動作で保護シート250を剥離することによって、剥離された保護シート250が照明体200の上方に配置される。すなわち、照明体200と対応する領域で保護シート250を剥離することができるので、剥離装置100が大型化するのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、吸盤12bおよび12cに比べて吸盤12aの吸着力を高くすることによって、両面テープ201の幅が広い短辺201aが配置される一方端部側(X1方向側)の保護シート250を適切に剥離することができる。
【0059】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
たとえば、本実施形態では、検査装置に設けられる剥離装置100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、検査装置以外のその他の装置に設けられる剥離装置に本発明を適用してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、ワークの一例として照明体200を示したが、これに限らず、照明体以外のワークにシートが貼り付けられていてもよい。また、シートの一例として保護シート250を示したが、これに限らず、ワークに保護シート以外のシートが貼り付けられていてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、照明体200に矩形枠状の両面テープ201が設けられる例を示したが、これに限らず、照明体の全面に両面テープが設けられていてもよい。また、照明体に両面テープ以外の接着材が設けられていてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、搬送部材300により照明体200が剥離装置100に供給される例を示したが、これに限らず、剥離装置が照明体を搬送する搬送部材を備えていてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、吸盤12a(12b、12c)が1列に設けられる例を示したが、これに限らず、吸盤12a(12b、12c)が複数列に設けられていてもよい。また、吸盤12aおよび12bの間に吸盤12cが設けられていなくてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、吸盤台13a(13b、13c)に3つの吸盤12a(12b、12c)が設けられる例を示したが、これに限らず、吸盤台に設けられる吸盤の数はいくつであってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、吸盤12aの吸着力が吸盤12bおよび12cに比べて高くなるように設定される例を示したが、これに限らず、吸盤の吸着力は適宜設定可能である。たとえば、照明体に対する保護シートの貼付箇所やその接着力に応じて吸盤の吸着力を設定することが好ましい。
【0067】
また、本実施形態では、エアシリンダ15により吸盤台13aを引き上げる例を示したが、これに限らず、電磁ソレノイド式のアクチュエータなどにより吸盤台を引き上げるようにしてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、昇降部材2が上昇した後であってスライド部材3が水平方向に移動する前にエアシリンダ15の作動が解除される例を示したが、これに限らず、昇降部材が上昇した後であれば、エアシリンダの作動が解除されるタイミングはいつであってもよい。
【0069】
また、本実施形態では、照明体200の全面を覆うように保護シート250が貼り付けられる例を示したが、これに限らず、照明体の表面の一部を覆うように保護シートが貼り付けられていてもよい。また、保護シートが照明体からはみ出していてもよいし、保護シートが照明体内に収まっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、ワークに貼り付けられたシートを剥離する剥離装置および剥離方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
11 ベース部
12 吸盤(吸着部)
12a 吸盤(第1吸着部)
12b 吸盤(第2吸着部)
12c 吸盤(第3吸着部)
14 連結部材
15 エアシリンダ(引上部材)
100 剥離装置
200 照明体(ワーク)
250 保護シート(シート)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9