(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。なお、図面において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、場合により重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、透明導電体の一実施形態を示す模式断面図である。透明導電体100は、フィルム状の透明樹脂基材10と、第1の金属酸化物層12と、金属層16と、第2の金属酸化物層14とがこの順に配置された積層構造を有する。
【0019】
本明細書における「透明」とは、可視光が透過することを意味しており、光をある程度散乱してもよい。光の散乱度合いについては、透明導電体100の用途によって要求されるレベルが異なる。一般に半透明といわれるような光の散乱があるものも、本明細書における「透明」の概念に含まれる。光の散乱度合いは小さい方が好ましく、透明性は高い方が好ましい。透明導電体100全体の全光線透過率は、例えば80%以上であり、好ましくは83%以上であり、より好ましくは85%以上である。この全光線透過率は、積分球を用いて求められる、拡散透過光を含む透過率であり、市販のヘイズメーターを用いて測定される。
【0020】
透明樹脂基材10としては、特に限定されず、可撓性を有する有機樹脂フィルムであってもよい。有機樹脂フィルムは有機樹脂シートであってもよい。有機樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ノルボルネンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、並びにトリアセチルセルロースフィルム等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルムが好ましい。
【0021】
透明樹脂基材10は、剛性の観点からは厚い方が好ましい。一方、透明樹脂基材10は、透明導電体100を薄膜化する観点からは薄い方が好ましい。このような観点から、透明樹脂基材10の厚みは、例えば10〜200μmである。透明樹脂基材の屈折率は、光学特性に優れる透明導電体とする観点から、例えば1.50〜1.70である。なお、本明細書における屈折率は、λ=633nm、温度20℃の条件下で測定される値である。
【0022】
透明樹脂基材10は、加熱時の寸法安定性が高いことが好ましい。一般に、可撓性の有機樹脂フィルムはフィルム作製過程において、加熱によって膨張又は収縮による寸法変化を生じる。1軸延伸又は2軸延伸では、低コストで厚みが薄い透明樹脂基材10を作製することができる。引出し電極を形成する際に、透明導電体100を加熱すると、熱収縮することによって寸法変化が生じる。このような寸法変化は、ASTM D1204−02又はJIS−C−2151に準拠して測定することができる。加熱処理前後の寸法変化率は、加熱前の寸法をLo、加熱後の寸法をLとしたとき、以下の式で求められる。
寸法変化率(%)=100×(L−Lo)/Lo
【0023】
寸法変化率(%)がプラスの場合は、加熱処理によって膨張したことを表し、マイナスの場合は、加熱処理によって収縮したことを表す。2軸延伸された透明樹脂基材10の寸法変化率は、延伸時の進行方向(MD方向)と横方向(TD方向)の両方において測定することができる。透明樹脂基材10の寸法変化率は、例えばMD方向にて−1.0〜−0.3%、TD方向にて−0.1〜+0.1%である。
【0024】
透明樹脂基材10は、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、及びオゾン処理からなる群より選ばれる少なくとも一つの表面処理が施されたものであってもよい。透明樹脂基材は、樹脂フィルムであってもよい。樹脂フィルムを用いることによって、透明導電体100を柔軟性に優れたものとすることができる。これによって、タッチパネル用途の透明導電体に限らず、フレキシブルな有機EL照明等の透明電極用、又は電磁波シールドとしても用いることできる。
【0025】
例えば、透明導電体100を、タッチパネルを構成するセンサフィルムとして用いる場合、指及びペン等の外部入力に対して適度に変形できるように、透明樹脂基材10は可撓性を有する有機樹脂フィルムを用いてもよい。
【0026】
第2の金属酸化物層14は、酸化物を含む透明の層であり、主成分としてZnOを含有し、副成分としてGa
2O
3及びGeO
2を含む。ここでいう主成分とは、ZnO、Ga
2O
3及びGeO
2の3成分において、モル基準の含有量が最も多い成分である。副成分とは、上記3成分のうち、主成分ではない成分である。第2の金属酸化物層14は、主成分としてZnOを含有することから経済性に優れる。また、ITOを用いずに、高い導電性と高い透明性を兼ね備えた第2の金属酸化物層14を形成することができる。このため、熱アニールを行わずとも、低い表面抵抗を有する第2の金属酸化物層14とすることができる。
【0027】
第2の金属酸化物層14において、上記3成分の合計に対するZnOの含有量は、透過率と導電性とを十分に高くする観点から、例えば70mol%以上であり、好ましくは75mol%以上である。第2の金属酸化物層14において、上記3成分の合計に対するZnOの含有量は、保存安定性を十分に高くする観点から、例えば90mol%以下であり、好ましくは84mol%以下である。ZnOの含有量が多すぎると、高温高湿環境下で保存した場合に、白濁が発生しやすくなる傾向にある。一方、ZnOの含有量が少なすぎると、透過率及び導電性が低下する傾向にある。
【0028】
第2の金属酸化物層14において、上記3成分の合計に対するGa
2O
3の含有量は、表面抵抗を十分に低くしつつ透過率を十分に高くする観点から、例えば15mol%以下であり、好ましくは11mol%以下である。第2の金属酸化物層14において、上記3成分の合計に対するGa
2O
3の含有量は、保存安定性を十分に高くする観点から、例えば5mol%以上であり、好ましくは8mol%以上である。Ga
2O
3の含有量が多すぎると、表面抵抗が高くなる傾向、及び透過率が低下する傾向にある。一方、Ga
2O
3の含有量が少なすぎると、高温高湿環境下で保存した場合に、白濁が発生しやすくなるとともに表面抵抗が高くなる傾向にある。
【0029】
第2の金属酸化物層14において、上記3成分の合計に対するGeO
2の含有量は、表面抵抗を十分に低くしつつ透過率を十分に高くする観点から、例えば20mol%以下であり、好ましくは14mol%以下である。第2の金属酸化物層14において、上記3成分の合計に対するGeO
2の含有量は、保存安定性を十分に高くする観点から、例えば5mol%以上であり、好ましくは8mol%以上である。GeO
2の含有量が多すぎると、表面抵抗が高くなる傾向、及び透過率が低下する傾向にある。一方、GeO
2の含有量が少なすぎると、高温高湿環境下に保存した場合に、表面抵抗が高くなる傾向にある。
【0030】
第2の金属酸化物層14は、光学特性の調整、金属層16の保護、及び導電性の確保といった機能を兼ね備える。第2の金属酸化物層14は、その機能を大きく損なわない範囲で、上記3成分の他に、微量成分又は不可避的成分を含んでいてもよい。ただし、十分に高い特性を有する透明導電体100とする観点から、第2の金属酸化物層14における該3成分の合計の割合は高い方が好ましい。その割合は、例えば95mol%以上であり、好ましくは97mol%以上である。また、第2の金属酸化物層14は、ITOを含まないことが好ましい。
【0031】
第1の金属酸化物層12と、第2の金属酸化物層14とは、厚み、構造及び組成の点で、同一であってもよく、異なっていてもよい。第2の金属酸化物層14の組成に関する記載は、第1の金属酸化物層12にも、そのまま適用することができる。第1の金属酸化物層12が、第2の金属酸化物層14と同一の組成を有することによって、第1の金属酸化物層12、金属層16、及び第2の金属酸化物層14を、エッチングによって一括して除去することができる。また、透明性、及び、耐腐食性をさらに高くすることができる。
【0032】
第1の金属酸化物層12は、第2の金属酸化物層14とは異なる組成を有していてもよい。この場合、第2の金属酸化物層14及び金属層16のみをエッチングして除去し、第1の金属酸化物層12をそのまま残存させることができる。
【0033】
第1の金属酸化物層12及び第2の金属酸化物層14の厚さは、種々のタッチパネルに適した厚さとする観点から、例えば10〜70nmである。
【0034】
第1の金属酸化物層12及び第2の金属酸化物層14は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、又はCVD法などの真空成膜法によって作製することができる。これらのうち、成膜室を小型化できる点、及び、成膜速度が速い点で、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法としては、DCマグネトロンスパッタリングが挙げられる。ターゲットとしては、酸化物ターゲット、金属又は半金属ターゲットを用いることができる。
【0035】
第2の金属酸化物層14の上には配線電極等が設けられてもよい。後述する金属層16を導通する電流は、第2の金属酸化物層14の上に設けられる配線電極等から、第2の金属酸化物層14を経由して、導かれる。このため、第2の金属酸化物層14は、高い導電性を有することが好ましい。このような観点から、第2の金属酸化物層14単膜での表面抵抗値は、例えば1.0×10
+7Ω/□(=1.0E+7Ω/sq.)以下であることが好ましく、5.0×10
+6Ω/□以下であることがより好ましい。
【0036】
金属層16は、主成分として銀合金を含む層である。金属層16が高い導電性を有することによって、透明導電体100の表面抵抗を十分に低くすることができる。銀合金を構成する金属元素としては、Agと、Pd、Cu、Nd、In、Sn、及びSbから選ばれる少なくとも1種と、が挙げられる。銀合金の例としては、Ag−Pd、Ag−Cu、Ag−Pd−Cu、Ag−Nd−Cu、Ag−In−Sn、及びAg−Sn−Sbが挙げられる。
【0037】
金属層16は、銀合金の他に、添加物を含有していてもよい。添加物は、エッチング液によって容易に除去されるものであることが好ましい。金属層16における銀合金の含有量は、例えば90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。金属層16の厚さは、例えば1〜30nmである。透明導電体100の表面抵抗を十分に低くしつつ全光線透過率を十分に高くする観点から、金属層16の厚さは好ましくは4〜11nmである。金属層16の厚さが大きすぎると全光線透過率が低下する傾向にある。一方、金属層16の厚さが小さすぎると表面抵抗が高くなる傾向がある。
【0038】
金属層16は、透明導電体100の全光線透過率及び表面抵抗を調整する機能を有している。金属層16は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、又はCVD法などの真空成膜法によって作製することができる。これらのうち、成膜室を小型化できる点、及び成膜速度が速い点で、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法としては、DCマグネトロンスパッタリングが挙げられる。ターゲットとしては、金属ターゲットを用いることができる。
【0039】
透明導電体100における第1の金属酸化物層12及び第2の金属酸化物層14の少なくとも一部、及び、金属層16の少なくとも一部は、エッチング等によって除去されていてもよい。
【0040】
図2は、透明導電体の別の実施形態を示す模式断面図である。透明導電体101は、透明樹脂基材10を挟むようにして一対のハードコート層20を備える点で、透明導電体100と異なっている。その他の構成は、透明導電体100と同様である。
【0041】
透明導電体101は、一対のハードコート層20として、透明樹脂基材10の第1の金属酸化物層12側の主面上に第1のハードコート層22と、透明樹脂基材10の第1の金属酸化物層12側とは反対側の主面上に第2のハードコート層24とを備える。すなわち、透明導電体101は、第2のハードコート層24、透明樹脂基材10、第1のハードコート層22、第1の金属酸化物層12、金属層16及び第2の金属酸化物層14がこの順に積層された積層構造を有している。第1のハードコート層22と第2のハードコート層24の厚み、構造及び組成は、同一であってもよく異なっていてもよい。また、必ずしも第1のハードコート層22と第2のハードコート層24の両方を備える必要はなく、どちらか一方のみを備えていてもよい。
【0042】
ハードコート層20を設けることによって、透明樹脂基材10に発生する傷を十分に抑制することができる。ハードコート層20は、樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂硬化物を含有する。樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物、及び電子線硬化性樹脂組成物から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、及びメラミン系樹脂から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。
【0043】
樹脂組成物は、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等のエネルギー線反応性基を有する硬化性化合物を含む組成物である。なお、(メタ)アクリロイル基なる表記は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を含む意味である。硬化性化合物は、1つの分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上のエネルギー線反応性基を含む多官能モノマー又はオリゴマーを含んでいることが好ましい。
【0044】
硬化性化合物は、好ましくはアクリル系モノマーを含有する。アクリル系モノマーとしては、具体的には、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及び3−(メタ)アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない。例えば、ウレタン変性アクリレート、及びエポキシ変性アクリレート等も挙げられる。
【0045】
硬化性化合物として、ビニル基を有する化合物を用いてもよい。ビニル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ヒドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、及び、ジトリメチロールプロパンポリビニルエーテル等が挙げられる。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0046】
樹脂組成物は、硬化性化合物を紫外線によって硬化させる場合、光重合開始剤を含む。光重合開始剤としては、種々のものを用いることができる。例えば、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、及びチオキサントン系等の公知の化合物から適宜選択すればよい。より具体的には、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(以上商品名、チバスペシャルティケミカルズ社製)、及び、KAYACURE DETX−S(商品名、日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0047】
光重合開始剤は、硬化性化合物の質量に対して、0.01〜20質量%、又は0.5〜5質量%程度とすればよい。樹脂組成物は、アクリル系モノマーに光重合開始剤を加えた公知のものであってもよい。アクリル系モノマーに光重合開始剤を加えたものとしては、例えば、紫外線硬化型樹脂であるSD−318(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、及び、XNR5535(商品名、長瀬産業(株)製)等が挙げられる。
【0048】
樹脂組成物は、塗膜の強度を高めること、及び/又は、屈折率を調整すること等のために、有機微粒子及び/又は無機微粒子を含んでいてもよい。有機微粒子としては、例えば、有機珪素微粒子、架橋アクリル微粒子、及び架橋ポリスチレンン微粒子等が挙げられる。無機微粒子としては、例えば、酸化珪素微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子、酸化チタン微粒子、及び酸化鉄微粒子等が挙げられる。これらのうち、酸化珪素微粒子が好ましい。
【0049】
微粒子は、その表面がシランカップリング剤で処理され、(メタ)アクリロイル基、及び/又はビニル基等のエネルギー線反応性基が表面に膜状に存在しているものも好ましい。このような反応性を有する微粒子を用いると、エネルギー線照射の際に、微粒子同士が反応したり、微粒子と多官能モノマー又はオリゴマーとが反応したりして、膜の強度を強くすることができる。(メタ)アクリロイル基を含有するシランカップリング剤で処理された酸化珪素微粒子が好ましく用いられる。
【0050】
微粒子の平均粒径は、ハードコート層20の厚みよりも小さく、十分な透明性を確保する観点から、100nm以下であってもよく、20nm以下であってもよい。一方、コロイド溶液の製造上の観点から、5nm以上であってもよく、10nm以上であってもよい。有機微粒子及び/又は無機微粒子を用いる場合、有機微粒子及び無機微粒子の合計量は、硬化性化合物100質量部に対して、例えば5〜500質量部であってもよく、20〜200質量部であってもよい。
【0051】
エネルギー線で硬化する樹脂組成物を用いると、紫外線等のエネルギー線を照射することによって、樹脂組成物を硬化させることができる。したがって、このような樹脂組成物を用いることが製造工程上の観点からも好ましい。
【0052】
第1のハードコート層22は、樹脂組成物の溶液又は分散液を、透明樹脂基材10の一方面上に塗布して乾燥し、樹脂組成物を硬化させて作製することができる。この際の塗布は、公知の方法により行うことができる。塗布方法としては、例えば、エクストルージョンノズル法、ブレード法、ナイフ法、バーコート法、キスコート法、キスリバース法、グラビアロール法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、カーテン法、及びスクイズ法などが挙げられる。第2のハードコート層24も、第1のハードコート層22と同様にして、透明樹脂基材10の他方面上に作製することができる。
【0053】
第1のハードコート層22及び第2のハードコート層24の厚みは、例えば0.5〜10μmである。厚みが10μmを超えると、厚みムラやシワなどが生じ易くなる傾向にある。一方、厚みが0.5μmを下回ると、透明樹脂基材10中に可塑剤又はオリゴマー等の低分子量成分が相当量含まれている場合に、これらの成分のブリードアウトを十分に抑制することが困難になる場合がある。なお、反りを抑制する観点から、第1のハードコート層22及び第2のハードコート層24の厚みは、同程度にすることが好ましい。
【0054】
第1のハードコート層22及び第2のハードコート層24の屈折率は、例えば1.40〜1.60である。透明樹脂基材10と第1のハードコート層22の屈折率の差の絶対値が0.1以下であること好ましい。透明樹脂基材10と第2のハードコート層24の屈折率の差の絶対値も0.1以下であること好ましい。第1のハードコート層22及び第2のハードコート層24と透明樹脂基材10との屈折率の差の絶対値を小さくすることで、第1のハードコート層22及び第2のハードコート層24の厚みのムラによって発生する干渉ムラの強度を抑制することができる。
【0055】
透明導電体100,101を構成する各層の厚みは、以下の手順で測定することができる。集束イオンビーム装置(FIB,Focused Ion Beam)によって透明導電体100,101を切断して断面を得る。透過電子顕微鏡(TEM)を用いて当該断面を観察し、各層の厚みを測定する。測定は、任意に選択された10箇所以上の位置で測定を行い、その平均値を求めることが好ましい。断面を得る方法として、集束イオンビーム装置以外の装置としてミクロトームを用いてもよい。厚みを測定する方法としては、走査電子顕微鏡(SEM)を用いてもよい。また蛍光X線装置を用いても膜厚を測定することが可能である。
【0056】
透明導電体100,101の厚みは、200μm以下であってもよく、150μm以下であってもよい。このような厚みであれば、薄化の要求レベルを十分に満足することができる。透明導電体100,101の全光線透過率は、例えば85%以上もの高い値とすることができる。また、透明導電体100,101の表面抵抗値(4端子法)は、第1の金属酸化物層12及び第2の金属酸化物層14の熱アニールをしなくても、例えば30Ω/□以下にすることが可能であり、25Ω/□以下にすることもできる。
【0057】
上述の構成を備える透明導電体100,101は、第1の金属酸化物層12、金属層16及び第2の金属酸化物層14が積層された積層構造を有する。この積層構造は、通常のエッチング液を用いて、容易に一括して除去することができる。また、高い透過率を有するとともに、熱アニールを行わなくても高い導電性を有する。このため、タッチパネルのセンサフィルム用として好適に用いることができる。
【0058】
図3は、一対のセンサフィルムを備えるタッチパネル200の断面の一部を拡大して示す模式断面図である。
図4(A)及び
図4(B)は、上述の透明導電体100を用いたセンサフィルム100a及び100bの平面図である。タッチパネル200は、光学のり18を介して対向配置される一対のセンサフィルム100a,100bを備える。タッチパネル200は、接触体のタッチ位置を、画面となるパネル板70に平行な二次元座標(X−Y座標)平面における座標位置(横方向位置と縦方向位置)として算出することが可能なように構成されている。
【0059】
具体的には、タッチパネル200は、光学のり18を介して貼り合わせられた、縦方向位置検出用のセンサフィルム100a(以下、「Y用センサフィルム」と言う)と、横方向位置検出用のセンサフィルム100b(以下、「X用センサフィルム」と言う)とを備える。X用センサフィルム100bの下面側には、X用センサフィルム100bと、表示装置のパネル板70との間に、スペーサ92が設けられている。
【0060】
Y用センサフィルム100aの上面側(パネル板70側とは反対側)には、光学のり17を介して、カバーグラス19が設けられている。すなわち、タッチパネル200は、パネル板70の上に、パネル板70側から、X用センサフィルム100b、Y用センサフィルム100a、及びカバーグラス19がこの順に配置された積層構造を有する。
【0061】
縦方向位置を検出するY用センサフィルム100aと、横方向位置を検出するX用センサフィルム100bは、上述の透明導電体100で構成される。Y用センサフィルム100a及びX用センサフィルム100bは、カバーグラス19と対向するように、導電部であるセンサ電極15a及びセンサ電極15bを有する。
【0062】
このセンサ電極15aは、第1の金属酸化物層12、第2の金属酸化物層14及び金属層16で構成される。
図4(A)に示すように、センサ電極15aは、縦方向(y方向)のタッチ位置を検出できるように、縦方向(y方向)に複数本延在している。複数本のセンサ電極15aは、縦方向(y方向)に沿って、互いに平行に並べて配置されている。センサ電極15aの一端は、銀ペーストで形成される導体線路50を介して、駆動用IC側の電極80と接続されている。
【0063】
横方向位置を検出するX用センサフィルム100bは、Y用センサフィルム100aとの対向面に、センサ電極15bを有する。このセンサ電極15bは、第1の金属酸化物層12、第2の金属酸化物層14及び金属層16で構成される。
図4(B)に示すように、センサ電極15bは、横方向(x方向)のタッチ位置を検出できるように、横方向(x方向)に複数本延在している。複数本のセンサ電極15bは、横方向(x方向)に沿って、互いに平行に並べて配置されている。センサ電極15bの一端は、銀ペーストで形成される導体線路50を介して、駆動用IC側の電極80と接続されている。
【0064】
Y用センサフィルム100aとX用センサフィルム100bとは、Y用センサフィルム100aとX用センサフィルム100bとの積層方向からみたときに、それぞれのセンサ電極15a,15bが互いに直交するように、光学のり18介して重ね合わせられている。Y用センサフィルム100aのX用センサフィルム100b側とは反対側には、光学のり17を介してカバーグラス19が設けられている。光学のり17,18、カバーグラス19、及びパネル板70は、通常のものを用いることができる。
【0065】
図4(A),(B)における導体線路50及び電極80は、金属(例えばAg)等の導電性材料によって構成される。導体線路50及び電極80は、例えば、スクリーン印刷によってパターン形成される。透明樹脂基材10は、タッチパネル200の表面を覆う保護フィルムとしての機能をも有する。
【0066】
各センサフィルム100a,100bにおけるセンサ電極15a,15bの形状及び数は、
図3、
図4(A)及び
図4(B)に示す形態に限定されるものではない。例えば、センサ電極15a,15bの数を増やしてタッチ位置の検出精度を高めてもよい。
【0067】
X用センサフィルム100bのY用センサフィルム100a側とは反対側には、スペーサ92を介してパネル板70が設けられる。スペーサ92は、センサ電極15a,15bの形状に対応する位置と、センサ電極15a,15bの全体を取り囲む位置とに設けることができる。スペーサ92は、透光性を有する材料、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂で形成されていてもよい。スペーサ92の一端は、光学のり或いはアクリル系又はエポキシ系等の透光性を有する接着剤90によって、X用センサフィルム100bの下面に接着される。スペーサ92の他端は、接着剤90によって表示装置のパネル板70に接着される。このように、スペーサ92を介してX用センサフィルム100bとパネル板70とを対向配置することによって、X用センサフィルム100bと表示装置のパネル板70との間に隙間Sを設けることができる。
【0068】
電極80には、制御部(IC)が電気的に接続される。指先とタッチパネル200のY用センサフィルム100aとの間における静電容量の変化によって生じる各センサ電極15a,15bの容量変化がそれぞれ測定される。制御部は、測定結果に基づいて接触体のタッチ位置を座標位置(X軸方向の位置とY軸方向の位置の交点)として算出することができる。なお、センサ電極の駆動方法、及び、座標位置の算出方法は、上述の他に、公知の各種の方法を採用することが可能である。
【0069】
タッチパネル200は以下の手順で製造することができる。透明導電体100を準備した後、第1の金属酸化物層12、金属層16及び第2の金属酸化物層14のエッチングを行って、パターニングを行う。具体的には、フォトリソグラフィーの技術を用いて第2の金属酸化物層14の表面にスピンコーティングによりレジスト材料を塗布する。その後、密着性を向上させるためにプリベークを行ってもよい。続いて、マスクパターンを配置して露光し、現像液で現像することによって、レジストパターンを形成する。レジストパターンの形成は、フォトリソグラフィーに限定されず、スクリーン印刷等によって形成することも可能である。
【0070】
次に、酸性のエッチング液に、レジストパターンを形成した透明導電体100を浸漬し、レジストパターンが形成されて無い部分における第1の金属酸化物層12、第2の金属酸化物層14及び金属層16を溶解除去する。その後、レジストを除去して、センサ電極15aが形成されたY用センサフィルム100aと、センサ電極15bが形成されたX用センサフィルム100bが得られる。
【0071】
第1の金属酸化物層12と第2の金属酸化物層14とを異なる組成とし、第1の金属酸化物層12はエッチングで除去されない組成にすれば、金属層16と第2の金属酸化物層14とを一括エッチングし、第1の金属酸化物層12をエッチング後もそのまま残存させることも可能である。エッチング液としては、無機酸系のエッチング液を用いることができる。例えば、リン酸系のエッチング液が好適である。
【0072】
続いて、例えば銀合金ペーストなどの金属ペーストを塗布して、導体線路50及び電極80を形成する。このようにして、制御部とセンサ電極15a,15bとが電気的に接続される。次に、Y用センサフィルム100aとX用センサフィルム100bを、光学のり18を用いて、それぞれのセンサ電極15a,15bが同一方向に向くようにして貼り合わせる。この場合、Y用センサフィルム100aとX用センサフィルム100bの積層方向からみたときに、センサ電極15a,15bが互いに直交するように貼り合わせる。そして、光学のり17を用いてカバーグラス19とY用センサフィルム100aとを貼り合わせる。このようにして、タッチパネル200を製造することができる。
【0073】
タッチパネル200は、Y用センサフィルム100a及びX用センサフィルム100bとして、透明導電体100を用いている。透明導電体100は、エッチングによって第1の金属酸化物層12、第2の金属酸化物層14及び金属層16を一括して除去することができる。このため、タッチパネル200の製造プロセスを簡略化して、タッチパネル200を容易に製造することができる。
【0074】
なお、Y用センサフィルム100a及びX用センサフィルム100bの双方に、透明導電体100を用いる必要はなく、どちらか一方は、別の透明導電体を用いてもよい。このようなタッチパネルであっても、表示を十分に鮮明にすることができる。また、センサフィルムとして、透明導電体100ではなく、透明導電体101を用いてもよい。
【0075】
このように、透明導電体100,101は、タッチパネル用に好適に用いることができる。ただし、その用途はタッチパネルに限定されるものではなく、例えば、第1の金属酸化物層12、第2の金属酸化物層14及び金属層16をエッチングによって所定形状に加工して、第1の金属酸化物層12、第2の金属酸化物層14及び金属層16を有する部分(導電部)と、第1の金属酸化物層12、第2の金属酸化物層14及び金属層16を有しない部分(非導電部)とを形成し、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスパネル(有機EL、無機EL)、エレクトロクロミック素子、及び電子ペーパーなどの各種表示装置において、透明電極用、帯電防止用、電磁波シールド用として用いることができる。また、アンテナとして用いることもできる。
【0076】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の透明導電体101は一対のハードコート層20を有しているが、第1のハードコート層22及び第2のハードコート層24のどちらか一方のみを備えていてもよい。また、透明樹脂基材10の一方面上にハードコート層を設け、他方面上に塗布により複数の光学調整層を設けてもよい。この場合、第1の金属酸化物層12、金属層16及び第2の金属酸化物層14は、この光学調整層の上に設けてもよい。さらに、透明導電体100,101には、その機能が大きく損なわれない範囲で、上述の層以外に任意の位置に任意の層を設けてもよい。
【実施例】
【0077】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0078】
[実施例1〜18]
(透明導電体101の作製)
図2に示すような透明導電体を作製した。透明導電体は、一対のハードコート層に挟まれた透明樹脂基材、第1の金属酸化物層、金属層及び第2の金属酸化物層がこの順で積層された積層構造を有していた。各実施例の透明導電体を以下の要領で作製した。
【0079】
厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、品番:U48)を準備した。このPETフィルムを透明樹脂基材として用いた。透明樹脂基材上に、DCマグネトロンスパッタリングによって、第1の金属酸化物層、金属層及び第2の金属酸化物層を順次形成した。第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層は、表1に示す組成を有するZnO−Ga
2O
3−GeO
2ターゲットを用いて形成した。それぞれの実施例における第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層は、同一組成を有するターゲットを用いて形成した。各実施例における第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層の組成は、表1に示すとおりであった。各実施例における第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層の厚さは50nmとした。
【0080】
表1に示す全ての実施例において、金属層は、AgPdCu(Ag:Pd:Cu=99.0:0.5:0.5(質量%))ターゲットを用いて形成した。金属層16の厚さは5nmとした。
【0081】
(透明導電体101の評価)
以下の手順でエッチング特性を評価した。まず、リン酸、酢酸、硝酸を含有するPAN系エッチング液を準備した。このエッチング液に各実施例の透明導電体を室温で1分間浸漬してエッチングを行った。その後、全光線透過率測定を行って、第1の金属酸化物層、金属層及び第2の金属酸化物層が溶解されているか否かを判定した。具体的には、エッチング後のサンプルの全光線透過率が、透明樹脂基材のみの全光線透過率と一致した場合は「A」、一致しなかった場合は「B」と判定した。全光線透過率(透過率)は、ヘイズメーター(商品名:NDH−7000、日本電色工業社製)を用いて測定した。評価結果は表1に示すとおりであった。
【0082】
各実施例の表面抵抗を、4端子抵抗率計(商品名:ロレスタGP、三菱化学株式会社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。表1中、「表面抵抗(1)」は、透明導電体を85℃,85%RH(相対湿度85%)の環境下に50時間保存する前の表面抵抗値であり、「表面抵抗(2)」は、上記環境下に保存した後の表面抵抗値である。
【0083】
各実施例の透明導電体を85℃,85%RHの環境下に保存した後、目視にて、保存安定性の評価を行った。透明導電体に白濁が見られた場合は「B」、見られなかった場合は「A」と判定した。結果は表1に示すとおりであった。
【0084】
【表1】
【0085】
表1に示すとおり、全ての実施例において、エッチング特性の評価は「A」であった。このことから、実施例1〜18の透明導電体における金属酸化物層及び金属層は、容易に除去できることが確認された。実施例10の透明導電体は、全光線透過率が最も高かったが、保存安定性の評価がBであった。また、高温高湿環境下に保存した後の表面抵抗も高かった。これは、表面抵抗の測定器の4端子を接触させる第2の金属酸化物層の導電性が低下したためである。このため、第2の金属酸化物層に配線電極を取り付けて導通させる必要がない用途では、表面抵抗(2)が高くても実用上問題とはならない。また、保存安定性についても、それほど高いレベルの透明性が求められない、例えばノイズシート等の用途(例えば、ノイズシールド等)であれば、十分に使用可能な水準である。
【0086】
金属酸化物層の特性を評価するため、上述の手順と同様にして、金属酸化物層のみ(単層)のサンプルを作製した。このサンプルの評価を、上述の手順と同様にして行った。評価結果を表2に示す。なお、表2の吸収率は、分光器を用いて測定した透過率及び反射率の測定結果を用いて、100−透過率―反射率=吸収率の式で求めた値である。この吸収率は、波長380nmにおける値である。
【0087】
【表2】
【0088】
表1に示すとおり、各実施例の金属酸化物層は、吸収率が十分に低いことが確認された。また、ZnOを主成分として含有しても、副成分としてGa
2O
3及びGeO
2を含有することによって、耐食性を向上できることが確認された。
【0089】
[実施例19〜30]
金属層を作製する際のターゲットの組成を変えて、表3に示すとおり、金属層の組成を変更したこと、及び/又は、金属層の厚みを変更したこと以外は、実施例6と同様にして、透明導電体を作製した。すなわち、実施例19〜実施例26では、金属層の厚みを変更した。実施例27では、AgNdCu(Ag:Nd:Cu=99.0:0.5:0.5(質量%))ターゲットを用いて金属層を形成した。実施例28では、AgInSn(Ag:In:Sn=99.0:0.5:0.5(質量%))ターゲットを用いて金属層を形成した。実施例29では、AgSnSb(Ag:Sn:Sb=99.0:0.5:0.5(質量%))ターゲットを用いて金属層を形成した。実施例30では、AgCu(Ag:Cu=99.5:0.5(質量%))ターゲットを用いて金属層を形成した。
【0090】
作製した実施例19〜30の透明導電体の評価を、実施例6と同様にして行った。評価結果は表3に示すとおりであった。なお、実施例19〜30の金属酸化物層の組成及び厚みは、実施例6と同一である。また、保存安定性は、85℃,85%RHの環境下に50時間保存する条件と、60℃,90%RHの環境下に50時間保存する条件で行った。各条件で保存した後、目視にて、透明導電体に白濁が見られた場合は「B」、見られなかった場合は「A」と判定した。
【0091】
【表3】
【0092】
表3に示す結果から、いずれの実施例においても、エッチング特性の評価は「A」であった。このことから、実施例19〜30の透明導電体における金属酸化物層及び金属層は、容易に除去できることが確認された。また、金属層の厚みが大きくなると、表面抵抗が小さくなる傾向、及び、全光線透過率が低下する傾向が確認された。また、銀合金がPdを含有する場合、保存安定性に特に優れることが確認された。
【0093】
[比較例1〜4]
第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層を形成する際のターゲットとして、表4に示す組成を有するターゲットを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜4の透明導電体を作製した。比較例1では、ZnO−TiO
2−Nb
2O
5ターゲットを用いて、第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層を形成した。比較例2では、ZnO−In
2O
3−Cr
2O
3ターゲットを用いた。比較例3では、ZnO−SnO
2−In
2O
3ターゲットを用いた。比較例4では、ZnO−SnO
2−Cr
2O
3ターゲットを用いた。それぞれの比較例において、第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層は、同一組成を有するターゲットを用いて形成した。各比較例における第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層の組成は、表4に示すとおりであった。各比較例の透明導電体のエッチング特性を、実施例1と同様にして評価した。結果は、表4に示すとおりであった。
【0094】
【表4】
【0095】
表4に示すとおり、ZnO−Ga
2O
3−GeO
2の三成分を含有しない金属酸化物層を有する透明導電体は、十分にエッチングできないことが確認された。