(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明および添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態を説明するためのシステム100の概略構成を示す図である。システム100は、複数(
図1の例では5つ)の行動管理装置としての運動情報測定装置10−1〜10−5を備える。運動情報測定装置10−1〜10−5は、利用者(ユーザ)の体に装着されて使用されるものであり、具体例としては歩数計や活動量計やスポーツウォッチ等である。
【0021】
運動情報測定装置10−1〜10−5にはそれぞれ識別情報(ID)が付与されている。運動情報測定装置10−1のIDは“01”であり、運動情報測定装置10−2のIDは“02”であり、運動情報測定装置10−3のIDは“03”であり、運動情報測定装置10−4のIDは“04”であり、運動情報測定装置10−5のIDは“05”である。
【0022】
本実施形態においては、ユーザA〜Eの5人のグループで登山を行うケースを想定している。このケースでは、ユーザA、ユーザB、・・・ユーザEが運動情報測定装置10−1、10−2・・・10−5をそれぞれ装着する。そして、ユーザA〜Eのいずれかをグループのリーダーとして設定し、このリーダーがグループの行動を管理する。
【0023】
なお、説明をわかりやすくするため、ユーザA(例えば、先生)がグループリーダとされる。ユーザAの装着する運動情報測定装置10−1は、ユーザAの操作によりマスター機として予め設定される。また、ユーザB〜ユーザE(例えば、生徒)がそれぞれ装着する運動情報測定装置10−2〜10−5は、各ユーザの操作によりスレーブ機として設定される。これにより、ユーザA(先生)は、自身とメンバー(生徒達)を含めたグループの行動を管理することが可能となる。
【0024】
以下、運動情報測定装置10−1〜10−5を個々に区別する必要がない場合、単に運動情報測定装置10と記載する。
【0025】
図2は、運動情報測定装置10の内部構成を示すブロック図である。
【0026】
運動情報測定装置10は、体動検出部1と、全体を統括制御する制御部2と、通信部3と、操作部4と、フラッシュメモリやROM(Read Only Memory)等の記憶媒体を含む記憶部5と、各種情報を表示するための表示部6と、脈拍センサ7と、を備える。
【0027】
体動検出部1は、運動情報測定装置10が装着(衣服のポケットに入れた状態も含む)されたユーザの体の部位の動きに応じた情報(加速度、角速度等)を検出する。体動検出部1は、加速度センサ、角速度センサ、及び地磁気センサ等の各種センサと、各種センサから出力された信号を処理する信号処理部とを含む。体動検出部1は、少なくとも1つのモーションセンサとこのモーションセンサからの信号を処理する信号処理部を含んでいればよい。
【0028】
制御部2は、記憶部5のROMに記憶されたプログラムを実行するプロセッサを主体に構成される。
【0029】
通信部3は、他の運動情報測定装置10(以下、他装置10ともいう)を含む電子機器と近距離無線通信を行うためのインターフェースである。近距離無線通信とは、インターネット等のネットワークを介さずに装置間で直接通信を行える通信規格に準拠した通信のことを言う。このインターフェースとしては、ANTに準拠した通信インターフェース、ブルートゥース(登録商標)に準拠した通信インターフェース等が用いられる。
【0030】
操作部4は、制御部2に各種指示を入力するためのデバイスであり、ボタンや表示部6に搭載されたタッチパネル等により構成される。
【0031】
記憶部5は、体動検出部1によって検出された検出情報を記憶したり、通信部3を介して受信した情報を記憶したり、運動情報測定装置10の動作に必要な情報を記憶したりする。記憶部5には、自装置の装着者によって、装着者の年齢が予め登録される。
【0032】
脈拍センサ7は、脈拍を検出する周知のセンサである。
【0033】
図3は、
図2に示す運動情報測定装置10の記憶部5に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより制御部2によって実現される機能ブロックを示す図である。
【0034】
図3に示すように、制御部2は、生体情報測定部20と、情報送信部21と、生体情報取得部22と、情報出力部23と、を備える。
【0035】
生体情報測定部20は、脈拍センサ7の検出信号に基づいて、自装置の装着者の生体情報である脈拍数を測定し、測定した脈拍数を自装置のID及び自装置の装着者の最大脈拍数と対応付けて記憶部5に記憶する。
【0036】
情報送信部21は、生体情報測定部20で測定された脈拍数、自装置のID、及び自装置の装着者の最大脈拍数を、マスター機として設定された運動情報測定装置10に通信部3から送信させる。情報送信部21は、自装置がスレーブ機として設定されている場合にのみ機能する。
【0037】
なお、制御部2は、記憶部5に登録された装着者の年齢を“最大脈拍数=220−年齢”の一般的に知られている式に代入することで、装着者の最大脈拍数を算出する。
【0038】
生体情報取得部22は、スレーブ機として設定された他装置10から送信されて通信部3で受信された装置のID、脈拍数、及び最大脈拍数を取得し、取得したIDと脈拍数及び最大脈拍数を対応付けて記憶部5に記憶する。
【0039】
これにより、マスター機として設定された運動情報測定装置10の記憶部5には、運動情報測定装置10−1〜10−5のID毎に、各装置の生体情報測定部20により測定された脈拍数と各装置の装着者の最大脈拍数の情報が記憶される。
【0040】
情報出力部23は、記憶部5に記憶された自装置及び他装置10の各々の脈拍数に基づいて、自装置と他装置10を含むグループに属する装置の装着者の行動を管理するための管理情報を出力する。情報出力部23は、自装置がマスター機として設定された場合に機能する。管理情報とは、その情報によって、グループメンバーの一部又は全部の行動を変化させるべきかどうかを判断することが可能な情報である。管理情報としては、例えば、後述するように、グループ全体の運動負荷の大きさを示す情報が挙げられる。
【0041】
以上のように構成されたシステム100の動作を説明する。
【0042】
図4は、システム100における運動情報測定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
図4では、マスター機となる運動情報測定装置10−1と、1つのスレーブ機(以下では運動情報測定装置10−2とする)の動作を示しており、運動情報測定装置10−1と各スレーブ機の間で、
図4に示した動作が行われる。
【0043】
まず、登山を行うグループメンバー(ユーザA〜ユーザE)は、それぞれ、運動情報測定装置10−1〜10−5を装着する。ユーザAが自身に装着した運動情報測定装置10−1の操作部4を操作してマスター機の設定指示を行うと、運動情報測定装置10−1の制御部2は、自装置をマスター機に設定する(ステップS1)。
【0044】
マスター機の設定がなされると、運動情報測定装置10−1の制御部2は、通信部3の受信用の通信チャネルを全てオープンにして(ステップS2)、スレーブ機からの情報受信待機状態となる。
【0045】
ステップS2の後、運動情報測定装置10−1の生体情報測定部20が脈拍数の測定を開始し、測定した脈拍数と自装置の装着者の最大脈拍数を、自装置のIDと対応付けて記憶部5に記憶する(ステップS2a)。
【0046】
一方、ユーザB〜ユーザEが運動情報測定装置10−2〜10−5の操作部4を操作してスレーブ機の設定指示を行うと、運動情報測定装置10−2〜10−5の制御部2が、自装置をスレーブ機に設定する(ステップS3)。
【0047】
スレーブ機の設定がなされると、スレーブ機の運動情報測定装置10の制御部2は、通信部3の送信用の通信チャネルをオープンにして(ステップS4)、他の運動情報測定装置10と通信可能な状態に移行する。ステップS4の後、スレーブ機の運動情報測定装置10の制御部2は脈拍数の測定を開始する(ステップS5)。
【0048】
この状態で、運動情報測定装置10−1の通信部3の通信可能範囲に運動情報測定装置10−2があると、運動情報測定装置10−2の生体情報測定部20で測定された脈拍数と運動情報測定装置10−2のIDと運動情報測定装置10−2の装着者の最大脈拍数が、運動情報測定装置10−1に送信されて、運動情報測定装置10−1にて受信される(ステップS6)。
【0049】
運動情報測定装置10−2は、運動情報測定装置10−1の通信部3の通信可能範囲にあるとき、生体情報測定部20により測定された脈拍数、装着者の最大脈拍数、及び自装置のIDを定期的に運動情報測定装置10−1に送信する。
【0050】
運動情報測定装置10−1では、通信部3で受信された脈拍数、最大脈拍数、及びIDを制御部2が取得する(ステップS7)。そして、制御部2は、取得したIDに、取得した脈拍数及び最大脈拍数を対応付けて記憶部5に記憶する(ステップS8)。
【0051】
運動情報測定装置10−1の情報出力部23は、記憶部5に記憶されている運動情報測定装置10−1〜10−5の各々のIDに対応するアイコンを表示するための情報を表示部6に出力する。表示部6は、この情報に基づいて、運動情報測定装置10−1〜10−5のID毎にそのIDに対応する脈拍数及び最大脈拍数に応じて色分けしたアイコンを表示する(ステップS9)。
【0052】
情報出力部23は、具体的には、運動情報測定装置10−1〜10−5のIDに対応する脈拍数を、そのIDに対応する最大脈拍数で割って得た値(以下、運動負荷率という)の大きさに応じて色分けしたアイコンを表示部6に表示させる。本実施形態では、運動負荷率が小さいほど、色の薄いアイコンが表示されるようにする。
【0053】
また、運動情報測定装置10−1の情報出力部23は、運動情報測定装置10−1〜10−5の各々のIDに対応する脈拍数に基づいて、運動情報測定装置10−1〜10−5からなるグループに属する全てのグループメンバーの行動を管理するための管理情報を生成し、生成した管理情報を表示部6に出力する(ステップS10)。ステップS10の後は、ステップS2aに処理が戻る。
【0054】
管理情報の生成方法としては、例えば以下の3つがある。
【0055】
(管理情報の第一の生成方法)
情報出力部23は、運動情報測定装置10−1〜10−5の各々のIDに対して算出される運動負荷率(計5つの運動負荷率)の平均値を算出し、算出した平均値の大きさにしたがって、グループ全体の運動負荷を示す情報を管理情報として生成する。
【0056】
例えば、情報出力部23は、5つの運動負荷率の平均値が閾値TH1(閾値TH1は1未満の値)以上であれば、ユーザA〜Eで構成されるグループ全体の運動負荷が高いと判定して、グループ全体で運動負荷が高いことを示す情報を第一の管理情報として生成する。
【0057】
情報出力部23は、この平均値が閾値TH1未満であれば、グループ全体で運動負荷が適正であることを示す情報を第二の管理情報として生成する。ここでは、この平均値を閾値TH1としか比較していないが、閾値を複数設けて、平均値の大きさに応じて内容の異なる管理情報を生成してもよい。また、閾値TH1は、グループ行動の目的に応じて任意に設定できるようにしてもよい。
【0058】
(管理情報の第二の生成方法)
情報出力部23は、運動情報測定装置10−1〜10−5の各々のIDに対して算出される運動負荷率(計5つの運動負荷率)のうち、値の大きい上位複数(グループを構成する装置の総数よりも少ない数)を選択し、選択した複数の運動負荷率の平均値を算出する。そして、算出した平均値の大きさにしたがって、グループ全体の運動負荷を示す情報を管理情報として生成する。グループ全体の運動負荷を示す情報の具体例は、管理情報の第一の生成方法で説明したものと同じである。
【0059】
(管理情報の第三の生成方法)
情報出力部23は、運動情報測定装置10−1〜10−5の各々のIDに対して算出される運動負荷率のうち、閾値TH2(閾値TH2は1未満の値、例えば0.8)を超える運動負荷率となったIDの数が所定値(例えば、グループを構成するメンバー数の7割)を超える場合に、グループ全体の運動負荷が高いことを示す情報を第一の管理情報として生成する。
【0060】
また、情報出力部23は、運動情報測定装置10−1〜10−5の各々のIDに対して算出される運動負荷率のうち、閾値TH2を超える運動負荷率となったIDの数が上記所定値以下の場合に、グループ全体の運動負荷が適正であることを示す情報を第二の管理情報として生成する。このように、情報出力部23は、運動負荷率が閾値TH2を超えるユーザの数にしたがって、グループ全体の運動負荷を示す情報を管理情報として生成する。
【0061】
図5は、
図4のステップS9とステップS10の結果、マスター機として設定された運動情報測定装置10−1の表示部6に表示される画面の一例を示す図である。
【0062】
図5に示すように、表示部6に表示される画面には、メンバー状態表示領域61と管理情報表示領域62が含まれる。
【0063】
メンバー状態表示領域61は、運動情報測定装置10−1〜10−5の各々のIDに対応するアイコン51〜55が表示される領域である。ID:01が記されたアイコン51が運動情報測定装置10−1に対応するアイコンである。ID:02が記されたアイコン52が運動情報測定装置10−2に対応するアイコンである。ID:03が記されたアイコン53が運動情報測定装置10−3に対応するアイコンである。ID:04が記されたアイコン54が運動情報測定装置10−4に対応するアイコンである。ID:05が記されたアイコン55が運動情報測定装置10−5に対応するアイコンである。
【0064】
本実施形態では、運動負荷率が0.5未満となるアイコンは正常レベルを示す白抜きの○印で示される。運動負荷率が0.5以上0.9未満となるアイコンは注意レベルを示す低密度のドット柄の○印で示される。運動負荷率が0.9以上となるアイコンは危険レベルを示す高密度のドット柄の○印で示される。
【0065】
図5の例では、運動情報測定装置10−1の装着者の運動負荷率のみが注意レベルとなっており、他の運動情報測定装置10−2〜10−5の装着者の運動負荷率は正常レベルとなっていることが分かる。
【0066】
管理情報表示領域62は、情報出力部23によって出力された管理情報に基づくアイコン56が表示される領域である。
【0067】
本実施形態では、第一の管理情報に基づくアイコンは、運動負荷が大きいことを示す斜線間隔の狭い斜めハッチングが付された○印で示される。また、第二の管理情報に基づくアイコンは、運動負荷が適正であること示す斜線間隔の広い斜めハッチングが付された○印で示される。
【0068】
図5の例では、管理情報表示領域62に、グループ全体としての運動負荷は適正であることを示すアイコン56が表示されている。
【0069】
ユーザAは、
図5に示す画面を見ることで、グループに属するメンバーの個々の運動負荷状況を瞬時に把握することができるとともに、アイコン56によって、グループ全体の運動負荷が適正か否かを瞬時に把握することができる。
【0070】
例えば、
図5に示す画面が表示部6に表示されている場合には、グループにとって運動負荷が適正であるため、リーダーは特に何もする必要はない。一方、
図6に示す画面が表示部6に表示されている場合、ユーザAは、グループにとって運動負荷が高くなっていると判断し、グループメンバーに対して、休憩をとるよう口頭で指示したり、移動ペースを下げるよう口頭で指示したりする。このように、
図6に示す画面によって、グループ全体での運動負荷を適切に管理することができる。
【0071】
ここではグループで登山を行う場合を例にしたが、登山に限らず、例えばグループでウォーキングを行う場合、グループでランニングを行う場合、グループで自転車によるツーリングを行う場合等、様々なシーンで運動情報測定装置10を利用したグループ行動の管理が可能である。
【0072】
運動情報測定装置10によれば、
図6に示すアイコン56は、ユーザA〜Eの各々の運動負荷率が危険レベルに達していなくても表示される可能性がある。このため、グループメンバーの誰かの身体が危険な状態になる前の段階でのケアが可能となり、グループ行動時における事故を未然に防ぐことが可能となる。
【0073】
運動情報測定装置10によれば、通信部3を介して生体情報のやり取りを行い、グループメンバーの生体情報に基づいて管理情報が生成されて出力される。このため、インターネット等のネットワークに接続できるようなインフラの整っていない場所においてもグループ行動の管理が可能となり、利便性を高めることができる。また、近距離無線通信は低消費電力で実施することができるため、運動情報測定装置10のバッテリの持ちもよくすることができる。
【0074】
図4の動作例では、運動情報測定装置10−1の情報出力部23が、アイコン51〜55を表示部6に表示させているが、表示部6には、アイコン56だけを表示させる構成としてもよい。
【0075】
例えば、小学校の遠足で小学生全員に運動情報測定装置10を装着させて移動することを考える。このような場合、先生が生徒一人一人の脈拍数管理を行うのは現実的ではない。表示部6にアイコン56が表示されていれば、少なくとも、グループとして運動負荷が適正か否かの判断はでき、グループ行動の大まかな管理が可能となる。このため、メンバー状態表示領域61を表示させることは必須ではない。
【0076】
運動情報測定装置10では、表示部6に表示されるアイコンを操作部4によって選択可能にしておいてもよい。そして、操作部4の操作によって任意のアイコンが選択された場合に、制御部2が、選択されたアイコンに対応する運動情報測定装置10に指示情報を送信する構成としてもよい。
【0077】
例えば、
図6に示す画面において、ユーザAによってアイコン56が選択されると、運動情報測定装置10−1の制御部2は、グループに属する全ての運動情報測定装置10に対し、運動負荷を下げるよう指示するための指示情報を、通信部3を介して送信する。
【0078】
指示情報を受信した運動情報測定装置10では、制御部2が、この指示情報に対応するメッセージデータを記憶部5から読み出し、読みだしたメッセージデータを表示部6に表示させる。これにより、例えば、“休憩をとりましょう”や“ペースを落としてください”といったメッセージが表示部6に表示される。
【0079】
この構成により、ユーザAと他のユーザB〜Eが離れていた場合でも、ユーザAから他のユーザB〜Eに対して適切な指示を遠隔操作で行うことが可能となる。
【0080】
また、例えば、メンバー状態表示領域61に表示されるアイコンとして危険レベルを示すものがあった場合、ユーザAによってこのアイコンが選択されると、運動情報測定装置10−1の制御部2は、選択されたアイコンに対応する運動情報測定装置10に対し、運動負荷を下げるよう指示するための指示情報を送信する。
【0081】
この指示情報を受信した運動情報測定装置10では、制御部2が、この指示情報に対応するメッセージデータ(休憩をとるよう指示するメッセージ、ペースを落とすよう指示するメッセージ等のデータ)を記憶部5から読み出し、読みだしたメッセージデータを表示部6に表示させる。このような構成により、グループのメンバーの行動を個別に管理することも可能となる。
【0082】
以上の説明では、マスター機として設定された運動情報測定装置10−1においてのみ、
図5や
図6に示す画面が表示されるものとした。この変形例として、グループを構成する各運動情報測定装置10において、
図5や
図6に示す画面を表示させてもよい。
【0083】
例えば、運動情報測定装置10−1の情報出力部23は、
図5や
図6に示す画面を表示するための表示用データを生成した後、この表示用データを、通信部3を介して、グループに属する各運動情報測定装置10に送信する。表示用データを受信した運動情報測定装置10では、制御部2がこの表示用データを表示部6に出力する。そして、スレーブ機の表示部6にも
図5や
図6に示した画面が表示される。
【0084】
このようにすることで、グループメンバー全員で、各メンバーの身体の状態とグループ全体の運動負荷を把握することができる。この結果、各メンバーがグループ全体を意識した行動をとれるようになり、グループ行動の質を高めることができる。
【0085】
ここまでは、マスター機として設定された運動情報測定装置10−1の情報出力部23は、グループメンバー全員の行動を管理するための管理情報を出力するものとした。この変形例として、情報出力部23は、グループ内の特定のメンバーの行動を管理するための管理情報を出力する構成としてもよい。
【0086】
図7は、情報出力部23が生成した管理情報に基づく画面の表示例を示す図である。
図7の例では、
図5で説明したメンバー状態表示領域61のみが表示部6に表示されている。そして、アイコン53だけが、太い黒線によって囲まれることでハイライト表示されている。
【0087】
情報出力部23は、このハイライト表示するための情報を管理情報として生成し、表示部6に出力する。
【0088】
例えば、情報出力部23は、運動情報測定装置10−1〜10−5のIDの中から、対応する運動負荷率が最大となっているIDを特定し、特定したIDで示される運動情報測定装置10の装着者を報知するための情報を管理情報として生成する。
【0089】
図7の例では、情報出力部23は、運動負荷率が最大となっているID:03で示される運動情報測定装置10−3の装着者の行動に注意すべきことを示すために、ID:03に対応するアイコン53をハイライトするための情報を管理情報として表示部6に出力する。これにより、表示部6に表示されるアイコン53がハイライトされる。
【0090】
ユーザAは、
図7に示す画面を見ることで、運動情報測定装置10−3のユーザCが、他のユーザと比べて運動負荷が高くなっていることに気づくことができる。このため、ユーザCに対し、休憩をとったり、ペースを落としたりするよう指示を出すことができる。
【0091】
このように、グループに属する各ユーザの脈拍数に基づいて、運動負荷(運動負荷率)が最大となっているユーザを特定し、そのユーザに対応するアイコンをハイライト表示することで、グループ内のメンバーを基準とした運動負荷の状況を知らせることができる。
【0092】
個人の運動負荷が危険レベルにある場合に報知を行うのではなく、グループ内のメンバーの運動負荷と比較して運動負荷が高くなっているメンバーについて報知し注意を促す。このようにすることで、グループ行動中において危険レベルには達していないものの注意が必要なメンバーを把握することが可能となり、グループ行動の適切な管理が可能となる。
【0093】
なお、情報出力部23は、運動情報測定装置10−1〜10−5の各々のIDに対応する運動負荷率の平均値を算出し、各装置の運動負荷率からこの平均値を減算した値が閾値を超えるIDを特定し、特定したIDで示される運動情報測定装置10の装着者を報知するための情報を管理情報として生成し、出力してもよい。この構成でも、管理情報に基づくハイライト表示によって、グループ内で他のユーザと比べて運動負荷が高くなっていて注意が必要なユーザを把握することが可能である。
【0094】
また、情報出力部23は、運動情報測定装置10−1〜10−5の各々のIDに対応する運動負荷率の単位時間あたりの変化率を算出し、この変化率と、各装置について算出した変化率の平均値との差が閾値を超えるIDを特定し、特定したIDで示される運動情報測定装置10の装着者を報知するための情報を管理情報として生成し、出力してもよい。
【0095】
例えば、5分間の脈拍数の変化率が、運動情報測定装置10−1,10−2,10−4,10−5の装着者については10%、運動情報測定装置10−3の装着者については40%であったとする。閾値を10%とすると、グループの全てのユーザの運動負荷率の変化率の平均値(=16%)と変化率との差が10%を超える装着者は、運動情報測定装置10−3のユーザCとなる。したがって、
図7に示すように、ユーザCの装着する運動情報測定装置10−3に対応するアイコン53がハイライト表示される。
【0096】
グループ行動をしている場合は、グループ内のメンバーが同じ行動をとるため、運動負荷率の変化率は似た傾向を示すはずである。したがって、運動負荷率の変化率と全メンバーの変化率の平均値との差が閾値を超えるメンバーがいた場合、このメンバーにとっては、運動負荷が高すぎる状況であると判断できる。そこで、このメンバーに対応するアイコンをハイライト表示させることで、このメンバーのケアが必要だということをリーダーに報知することができ、グループ行動の適切な管理が可能となる。
【0097】
図7に示したハイライト表示は、ユーザCの運動負荷率が危険レベルに達していなくても行われる可能性がある。このため、ユーザCの身体が危険な状態になる前の段階でのケアが可能となり、グループ行動時における事故を未然に防ぐことが可能となる。
【0098】
なお、
図2の脈拍センサ7は、装置の装着者の運動負荷を示す生体情報を測定する生体情報測定部として機能するものであればよく、脈拍センサに限定されない。例えば心拍センサや酸素飽和度を測定するセンサを用いてもよい。
【0099】
コンピュータに、
図4に示したフローチャートの各ステップを実行させるためのプログラム、又は、コンピュータを
図2の各機能ブロックとして機能させるためのプログラムは、当該プログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non−transitory)記録媒体に記録されて提供可能である。
【0100】
このような「コンピュータ読取可能な記録媒体」は、たとえば、CD−ROM(Compact Disc−ROM)等の光学媒体や、メモリカード等の磁気記録媒体等を含む。また、このようなプログラムを、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0101】
以上の説明では、マスター機とスレーブ機の設定を各運動情報測定装置10で行うようにしたが、グループ作成の方法はこれに限らず、周知の方法を採用できる。例えば、マスター機として設定した運動情報測定装置10の通信可能範囲にある他装置10の一覧を、マスター機の表示部6に表示させ、マスター機の装着者が、表示された他装置10の中からメンバーにしたい装置を選択することで、選択された他装置10がスレーブ機と設定されるようにしてもよい。
【0102】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0103】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0104】
開示された行動管理装置は、生体情報を測定する生体情報測定部と、生体情報を測定する機能を有する他装置と近距離無線通信を行うための通信部と、自装置と共にグループを構成する他装置で測定された生体情報を、前記通信部を介して取得する生体情報取得部と、前記生体情報測定部で測定された第一の生体情報と、前記生体情報取得部で取得された第二の生体情報とに基づいて、前記グループに属する装置の装着者の行動を管理するための管理情報を出力する情報出力部と、を備えるものである。
【0105】
開示された行動管理装置は、前記情報出力部は、前記管理情報として、前記グループに属する全ての装置の装着者の行動を管理するための情報を出力するものである。
【0106】
開示された行動管理装置は、前記情報出力部は、前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報に基づく前記全ての装置の装着者の運動負荷について一部又は全部の平均値を算出し、前記平均値の大きさにしたがって、前記全ての装置の装着者から構成されるグループ全体の運動負荷を示す情報を生成し、当該情報を前記管理情報として出力するものである。
【0107】
開示された行動管理装置は、前記情報出力部は、前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報に基づく運動負荷のうち閾値を超える運動負荷の数を判定し、前記数にしたがって、前記全ての装置の装着者から構成されるグループ全体の運動負荷を示す情報を生成し、当該情報を前記管理情報として出力するものである。
【0108】
開示された行動管理装置は、前記情報出力部は、前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報に基づいて、前記グループを構成する全ての装置のうち装着者の運動負荷が最大となっている装置を特定し、特定した装置の装着者を報知するための情報を前記管理情報として出力するものである。
【0109】
開示された行動管理装置は、前記情報出力部は、前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報に基づいて、前記グループを構成する全ての装置の装着者の運動負荷の平均値を算出し、各装着者の運動負荷から前記平均値を減算した値が閾値を超える装着者を特定し、前記特定した装着者を報知するための情報を前記管理情報として出力するものである。
【0110】
開示された行動管理装置は、前記情報出力部は、前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報に基づいて、前記グループを構成する全ての装置の装着者の運動負荷の変化率を算出し、前記変化率と、前記全ての装置について算出された変化率の平均値との差が閾値を超える装着者を特定し、前記特定した装着者を報知するための情報を前記管理情報として出力するものである。
【0111】
開示された行動管理方法は、生体情報を測定する生体情報測定部と、生体情報を測定する機能を有する他装置と近距離無線通信を行うための通信部と、を有する行動管理装置による行動管理方法であって、前記行動管理装置と共にグループを構成する他装置で測定された生体情報を、前記通信部を介して取得する生体情報取得ステップと、前記生体情報測定部で測定された第一の生体情報と、前記生体情報取得ステップで取得した第二の生体情報とに基づいて、前記グループに属する装置の装着者の行動を管理するための管理情報を出力する情報出力ステップと、を備えるものである。
【0112】
開示された行動管理プログラムは、コンピュータに、前記行動管理方法の各ステップを実行させるためのプログラムである。