特許第6398679号(P6398679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398679
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/374 20110101AFI20180920BHJP
   H04N 5/378 20110101ALI20180920BHJP
   H04N 5/235 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   H04N5/374
   H04N5/378
   H04N5/235 700
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-251418(P2014-251418)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-116006(P2016-116006A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095636
【弁理士】
【氏名又は名称】早崎 修
(72)【発明者】
【氏名】本橋 一孝
【審査官】 松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−130771(JP,A)
【文献】 特開2011−234318(JP,A)
【文献】 特開2009−017293(JP,A)
【文献】 特開2011−139432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225−5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上で直交する複数の行選択線と複数の列選択線の各交差位置に行列状に配列された複数の光電変換素子と、
基板上の一方の開始行選択線から他方の終了行選択線まで順次各行選択線を選択し、選択した行選択線に配列される全ての光電変換素子をライン露光し、各光電変換素子に光電変換した画素信号を生成させる水平走査回路と、
水平走査回路がいずれかの行選択線を選択している間に、前記複数の列選択線から順次各列選択線を選択し、選択した列選択線と行選択線の交差位置に配列される光電変換素子の画素信号を読み出す垂直走査回路と、
動画像の出力周期に同期するフレーム周期毎に、プログレッシブ方式で水平走査回路と垂直走査回路が全ての行選択線と列選択線を選択し、選択した全ての行選択線と列選択線の交差位置に配列される各光電変換素子から読み出した画素信号を合成してフレーム画像とする撮像素子と、
連続して合成されるフレーム画像をもとに動画像を生成する動画生成手段と、動画像を所定の出力周期で出力する動画出力手段とを備えた撮像装置であって、
水平走査回路は、前記出力周期より長い交換周期で、フレーム周期に同期する開始時t0に交互に、第1開始行選択線と、第1開始行選択線と終了行選択線の間の第2開始行選択線のいずれかを開始行選択線として選択し、
動画生成手段は、開始行選択線を第1開始行選択線として1フレーム周期に撮像素子が合成した第1フレーム画像から、第2開始行選択線から終了行選択線の各行選択線に配列された光電変換素子が光電変換した画素信号から合成される第1共通フレーム画像を抽出し、第1共通フレーム画像と、開始行選択線を第2開始行選択線として1フレーム周期に撮像素子が合成した第2フレーム画像が連続する動画像を生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子は、商用交流電源周波数に同期して点滅する発光体を撮像し、
前記動画像出力手段は、発光体の点滅周期の整数倍に近似する出力周期で動画像を出力することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
第1共通フレーム画像と第2フレーム画像間の位相が、前記発光体の点滅周期の約1/2であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記発光体は、120Hzの周波数で点滅する信号機の発光ダイオードであることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子で撮像したフレーム画像をもとに生成した動画像を所定の出力周期で出力する撮像装置に関し、更に詳しくは、フレーム画像の撮像周期を動画像の出力周期より長い交換周期で異ならせる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像素子が撮像した画像を連続して記録する記憶装置を備えたドライブレコーダを自動車へ設置し、自動車の周辺の映像情報をドライブレコーダで記録しておき、後に記憶装置に記憶された映像情報を再生して交通事故などの原因分析に役立てている。一般に、ドライブレコーダに記録した動画像は、NTSC規格に準拠した29.97Hzの出力周波数で動画像をモニターなどで再生する為、撮像素子で1フレーム画像を撮像するフレーム周波数を動画像の出力周波数に同期させている。
【0003】
一方、省エネルギーや視認性向上などの観点から、交通信号機の点灯には、LED(Light Emitting Diode)が普及している。交通信号機に用いられるLEDは、その設置地域の商用交流電源を電源として、商用交流電源周波数の2倍の周波数で点滅している。例えば、西日本の商用交流電源周波数は60Hzであるので、西日本に設置された交通信号機のLEDは、120Hzの周期で点滅を繰り返している。
【0004】
ここで、撮像装置の1フレーム画像の出力周波数29.97Hzに同期させて29.97Hzのフレーム周波数で1フレーム画像を撮像したとすると、図4に示すように撮像周期がLEDの点滅周期の約4倍となって、LEDの消灯タイミングに一定期間合致することがあり、交通信号機が何色で点灯しているかを一定期間記録できない状態となる。
【0005】
そこで、特許文献1に係る撮像装置では、1フィールド毎に、第1のフィールド画像を撮像すると共に、この撮像時点から商用交流電源周波数の1/4周期分の時間経過後に第2のフィールド画像を撮像し、これら撮像された第1及び第2のフィールド画像を加算した1つのフレーム画像を連続して生成し、NTSC方式にして動画像を出力している。
【0006】
また、特許文献2に係る撮像装置は、商用交流電源の周波数より十分に短い、すなわちLEDの点滅周期の消灯時間よりも長いシャッター時間で、撮像素子を露光させて1フレーム画像を撮影している。この従来の撮像装置によれば、撮像終期内に必ずLEDが点灯する点灯時間が含まれるので、交通信号の点灯状態を確実に録画できる。
【0007】
更に、特許文献3に係る撮像装置は、撮像素子が撮像する撮像周期を、交通信号機のLEDの点滅周期と非同期となる周期として、一定時間内で確実に点灯したLEDの信号機を撮像するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−278496号公報
【特許文献2】特開2007−161189号公報
【特許文献3】特開2005−301518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の従来の撮像装置によれば、第1のフィールド画像の撮像時点から商用交流電源周波数の1/4周期分の時間経過後に第2のフィールド画像を撮像するが、商用交流電源周波数は、東日本と西日本で異なるので、撮像装置で撮像する場所によって第2のフィールド画像を撮像するタイミングを調整しなければならず、自動車に搭載するドライブレコーダには用いることはできない。
【0010】
また、第1のフィールド画像に対して撮像時の位相を異ならせた第2のフィールド画像は、結局、NTSC方式の出力タイミングに同期させる必要があるので遅延回路を設けて通過させる必要があり、そのタイミング制御が困難で余分な回路が必要となる。
【0011】
特許文献2に記載の従来の撮像装置によれば、撮像素子の露光時間が長いので、動画像を再生した際のちらつきが目立ち、撮像周期をLEDの消灯周期よりも長く、動画像の出力周期より短くするための露光のタイミング制御が複雑になる。
【0012】
更に、撮像素子の露光時間がLEDの消灯時間より長いので、高速に動画を撮影できず、自動車など高速で移動する被写体の移動状況を記録できない。例えば、120Hzで点滅するLEDの消灯時間は約4.17msecであるので、撮像素子の露光時間は少なくとも4.17msec以上となり、自動車などの被写体が100km/hで移動しているとすると、1フレーム画像の露光時間中に被写体は約27.8m移動し、このような撮像装置を用いたドライブレコーダーでは、交通事故などの事故検証を行うことができない。
【0013】
特許文献3に記載の従来の撮像装置によれば、撮像周期がNTSC規格に準拠した動画像の出力周期とも同期しないので、動画像の再生時に違和感を覚えたり、特別な表示装置や変換装置が必要となる。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、既存の撮像素子や回路素子を用いて、動画像の出力周期に近似する周期で点灯する被写体を一定時間内に確実に撮像する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の撮像装置は、基板上で直交する複数の行選択線と複数の列選択線の各交差位置に行列状に配列された複数の光電変換素子と、基板上の一方の開始行選択線から他方の終了行選択線まで順次各行選択線を選択し、選択した行選択線に配列される全ての光電変換素子をライン露光し、各光電変換素子に光電変換した画素信号を生成させる水平走査回路と、水平走査回路がいずれかの行選択線を選択している間に、前記複数の列選択線から順次各列選択線を選択し、選択した列選択線と行選択線の交差位置に配列される光電変換素子の画素信号を読み出す垂直走査回路と、動画像の出力周期に同期するフレーム周期毎に、プログレッシブ方式で水平走査回路と垂直走査回路が全ての行選択線と列選択線を選択し、選択した全ての行選択線と列選択線の交差位置に配列される各光電変換素子から読み出した画素信号を合成してフレーム画像とする撮像素子と、1フレーム周期毎に連続して合成されるフレーム画像をもとに動画像を生成する動画生成手段と、動画像を所定の出力周期で出力する動画出力手段とを備えた撮像装置であって、
水平走査回路は、前記出力周期より長い交換周期で、フレーム周期に同期する開始時t0に交互に、第1開始行選択線と、第1開始行選択線と終了行選択線の間の第2開始行選択線のいずれかを前記開始行選択線として選択し、
動画生成手段は、開始行選択線を第1開始行選択線として1フレーム周期に撮像素子が合成した第1フレーム画像から、第2開始行選択線から終了行選択線の各行選択線に配列された光電変換素子が光電変換した画素信号から合成される第1共通フレーム画像を抽出し、第1共通フレーム画像と、開始行選択線を第2開始行選択線として1フレーム周期に撮像素子が合成した第2フレーム画像が連続する動画像を生成することを特徴とする。
【0016】
第1フレーム画像から抽出される第1共通フレーム画像と第2フレーム画像は、第2開始行選択線から終了行選択線まで配列される共通の光電変換素子が光電変換した画素信号からそれぞれ合成され、第1共通フレーム画像は、プログレッシブ方式で第1開始行選択線から第2開始行選択線が選択されるまでの経過時間だけ第2フレーム画像から1フレーム周期内の位相が遅れるので、同一の撮像領域を位相が異なる撮像周期で撮像した第1共通フレーム画像と第2フレーム画像とが、動画像の出力周期より長い交換周期で交互に連続する動画像が動画出力手段から出力される。
【0017】
請求項2に記載の撮像装置は、撮像素子が、商用交流電源周波数に同期して点滅する発光体を撮像し、動画像出力手段は、発光体の点滅周期の整数倍に近似する出力周期で動画像を出力することを特徴とする。
【0018】
第1共通フレーム画像と第2フレーム画像とは、撮像タイミングの位相が異なるので、第1共通フレーム画像と第2フレーム画像のいずれかは、商用交流電源周波数に同期して点滅する発光体を点灯周期若しくは消灯周期から外れやすい。
【0019】
請求項3に記載の撮像装置は、第1共通フレーム画像と第2フレーム画像間の位相が、前記発光体の点滅周期の約1/2であることを特徴とする。
【0020】
第1共通フレーム画像と第2フレーム画像間の位相が発光体の点滅周期の約1/2である場合には、いずれも発光体の消滅期間内となることがない。
【0021】
請求項4に記載の撮像装置は、発光体は、120Hzの周波数で点滅する信号機の発光ダイオードであることを特徴とする。
【0022】
フレーム周期をNTSC規格に準拠する動画の出力周期に同期させ、120Hzの周波数で点滅する発光ダイオードの点滅周期の整数倍に近似しても、第1共通フレーム画像と第2フレーム画像のいずれかは、発光ダイオードの点灯期間に信号機を撮像する。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、既存の撮像素子や回路素子を変更することなく、水平走査回路により最初に選択する開始行選択線を交換周期毎に変更するだけで、異なる撮像タイミングで被写体を撮像する撮像装置が得られる。従って、タイミング制御回路による簡単なタイミング制御で、被写体が一定周期で点滅していても、点灯状態と消灯状態のいずれも撮像した動画像を生成できる。
【0024】
請求項2の発明によれば、動画像の出力周期に同期するフレーム周期が、商用交流電源周波数に同期して点滅する発光体の点滅周期の整数倍に近似しても、第1共通フレーム画像と第2フレーム画像の撮像タイミングの位相が異なるので、いずれかのフレーム画像は発光体の点灯状態若しくは消灯状態を撮像する。両者の位相は、第2開始行選択線となる行選択線を変更することにより容易に調整できる。
【0025】
請求項3の発明によれば、第1フレーム画像と第2フレーム画像のいずれもが発光体の消滅期間内となることがないので、点灯状態を確実に撮像できる。
【0026】
請求項4の発明によれば、西日本の商用交流電源で駆動する信号機の発光ダイオードの点灯状態を、NTSC規格に準拠した動画像を出力するドライブレコーダの撮像装置で確実に撮像できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本願発明の一実施の形態に係る撮像装置1のブロック図である。
図2】撮像素子2の概略構成を示す説明図である。
図3】1フレーム画像の画像信号を構成する多数の画素信号を読み出す際の各行選択線RLと各列選択線CLを選択するタイミングを示すタイミングチャートである。
図4】LEDの点滅周期と、第1フレーム画像FOAと第2フレーム画像Fの撮像期間を比較して示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施の形態に係る撮像装置1は、自動車のドライブレコーダに搭載されたもので、1フレーム周期毎に運転席の前方を撮像したフレーム画像を連続させて動画像とし、生成した動画像をNTSC(National Television System Committee)規格に準拠した29.97Hzの出力周波数でモニターや録画記録装置へ出力し、事故原因等の究明に利用するものである。
【0029】
図1は、この撮像装置1の構成を示し、車の運転席前方の景色を撮像し、後述するフレーム周期毎にフレーム画像を出力する撮像素子2と、撮像素子2が実装された回路基板10上に、車の運転席前方の景色を結像するレンズ3と、撮像素子2での撮像タイミングと切替回路7の切替タイミングを制御するタイミング制御回路4と、画像処理回路5と、動画生成回路6と、動画生成回路6で生成した動画像を29.97Hzの出力周波数で出力する出力部8を備えている。
【0030】
撮像素子2は、図2に示すように、XYアレドス型のCMOS(Comlementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子であり、回路基板10上の受光面にマトリックス状に配列され、それぞれレンズ3を通過した光等の光を光電変換する多数の光電変換素子PDと、水平方向に沿って配列された光電変換素子PD間をそれぞれ接続する多数の行選択線RLと、垂直方向に沿って配列された光電変換素子PD間をそれぞれ接続する多数の列選択線CLと、タイミング制御回路4から出力される選択制御信号により選択動作を行う垂直走査選択回路11及び水平走査選択回路12とを備えている。ここでは、水平方向に1024個(n=1024)、鉛直方向に740個(m=740)の1024x740個のフォトダイオードからなる光電変換素子PDが、回路基板11上に配線される740本の行選択線RLと1024本の列選択線CLの各交差位置に配列されている。
【0031】
レンズ3は、運転席前方の被写体像を、後述するTBモードで開始行選択線とする行選択線RLkから終了行選択線RLmが配線された領域へ結像するもので、図2に示すように、本実施の形態では、この領域に配列された光電変換素子PDの画像信号を合成した第1共通フレーム画像Fと第2フレーム画像Fとから被写体像を撮像した動画像を生成する。一般にCMOS撮像素子2には、実際にフレーム画像を生成する領域の周囲に予備の光電変換素子PDが配列されているので、本実施の形態では、後述するように、最上方の行選択線RL1から行選択線RLk−1までの領域に予備に配列された光電変換素子PDを利用して第1共通フレーム画像Fと第2フレーム画像Fの撮像時間の位相を形成する。
【0032】
CMOS撮像素子2は、動画像の出力周波数29.97Hzに同期する1フレーム周期に、プログレッシブ方式で行選択線RLと列選択線CLの交差位置に配置された光電変換素子PDを順に露光し、光電変換したその光電変換素子PDから読み出す画素信号を合成して1フレーム画像を生成する。
【0033】
以下、この1フレーム画像を生成する動作を更に詳しく説明すると、図3に示すように、垂直走査選択回路11は、多数の行選択線RLから任意に設定可能な上方に配線された行選択線RL(図3のTAモードでは、行選択線RL1)を開始行選択線として、1フレーム周期に同期するt0に開始行選択線を選択し、以下、その下方の行選択線RLを順に選択し、そのフレーム周期が終了するまでに任意に設定する終了行選択線(図3のTAモードでは、行選択線RLm)までの全ての行選択線RLを順に選択する。図3に示すように、垂直走査選択回路11によりいずれかの行選択線RLが選択されている間、その選択された行選択線RLに沿って配列された全ての光電変換素子PDを、図3図4において、長方形内に対角線を加えた記号で示す露光時間、ライン露光する。
【0034】
各光電変換素子PDには、それぞれ光電変換素子PDが光電変換した信号電荷を蓄積する図示しないキャパシタが備えられ、垂直走査選択回路11から行選択線RLに出力されるリセット信号によりキャパシタに蓄積された信号電荷が放出され、行転送信号により光電変換素子PDが光電変換した信号電荷がキャパシタに転送される。つまり、選択された行選択線RLに沿って配列された全ての光電変換素子PDの露光時間は、その行選択線RLにリセット信号が出力されてから行転送信号が出力されるまでの時間であり、露光時間に光電変換素子PDが受光した光量に応じた信号電荷がその光電変換素子PDのキャパシタに蓄積されるので、キャパシタの両端の信号電位が受光量を表す画素信号となる。
【0035】
垂直走査選択回路11からいずれかの選択された行選択線RLに行転送信号が出力されると、図3に示すように、水平走査選択回路12は、図中最も左側に配線された列選択線CL1から最も右側に配線された列選択線CLnまでの全ての列選択線CLについて、左方から右方に向かって順に列選択線CLを選択して列選択信号を出力する。水平走査選択回路12と各列選択線CLの間には、図2に示すように、列選択トランジスタ13が接続され、水平走査選択回路12から列選択信号が出力されると、その選択した列選択線CLに接続する光電変換素子PDのキャパシタと出力線14間が接続される。これにより、行転送信号が出力された行選択線RLと水平走査選択回路12から列選択信号が出力された列選択線CLとの交差位置に配列される光電変換素子PDの画素信号が、水平走査選択回路12から列選択信号が出力されるタイミングで出力線14に出力される。
【0036】
同様にして、プログレッシブ方式で行選択線RLと列選択線CLの交差位置に配列される全ての光電変換素子PDの画素信号が出力線14に出力され、CMOS撮像素子2は、1フレーム周期毎に全ての光電変換素子PDの画素信号を合成し、選択した行選択線RLと列選択線CL1の配線位置に結像される被写体画像を表すフレーム画像を生成する。
【0037】
CMOS撮像素子2で生成される1フレーム画像は、フレーム画像が連続する動画像を出力部8から出力する29.97Hzの出力周波数に同期して生成されるように、フレーム信号周波数を29.97Hzとし、1フレーム画像を生成する1フレーム周期を約33.37msecとしている。タイミング制御回路4は、図4に示すように、この約33.37msecの1フレーム周期より短い30.85msecの間に最上方の行選択線RL1から最下方の終了行選択線RLmまでの全ての行選択線RLを選択し、各行選択線RLに配列された全ての光電変換素子PDの画素信号からフレーム画像を合成するように、垂直走査選択回路11と水平走査選択回路12へタイミング制御信号を出力し、これらの選択回路11、12から出力されるリセット信号、行転送信号、列選択信号等の出力タイミングを制御している。
【0038】
本実施の形態では、1フレーム周期の開始時を始めに開始行選択線を選択するt0とし、動画像の出力周期(1/29.97Hzの約33.37msec)より十分に長い例えば約500.5msecの交換周期で、図3に示すように、開始行選択線を最上方の行選択線RL1とするTAモードと、開始行選択線を行選択線RL1より下方に配線される行選択線RLk(ここでは最上方から下方に100本目に配線される行選択線RL100)とするTBモードのいずれかの動作モードで交互に動作するようになっている。
【0039】
すなわち、TAモードでは、図4に示すように、1フレーム周期の開始時t0に行選択線RL1を選択し、同一のフレーム周期内に行選択線RL1から終了行選択線の行選択線RLmまで順次選択し、回路基板10上の行選択線RL1から行選択線RLmが配線された領域に結像される被写体画像を撮像した第1フレーム画像FOAがCMOS撮像素子2で生成される。同様にして第1フレーム画像FOAが15回連続して生成されると、約500.4msecの交換周期で動作モードはTAモードからTBモードに移行する。
【0040】
TBモードでは、図4に示すように、1フレーム周期の開始時t0に行選択線RLk(本実施の形態ではk=100)を選択し、同一のフレーム周期内に行選択線RLkから終了行選択線の行選択線RLmまで順次選択し、回路基板10上の行選択線RLkから行選択線RLmが配線された領域に結像される被写体画像を撮像した第2フレーム画像FがCMOS撮像素子2で生成される。同様にして第2フレーム画像Fが15回連続して生成されると、約500.5msecの交換周期で再び動作モードはTBモードからTAモードに移行し、以後これを繰り返す。
【0041】
CMOS撮像素子2の出力に接続された切替回路7には、このようにして交換周期毎に第1フレーム画像FOAと第2フレーム画像FOBが交互に入力される。タイミング制御回路4は、交換周期に同期して垂直走査選択回路11の動作モードをTAモードとTBモードの間で切り替えるモード切替信号を垂直走査選択回路11へ出力するとともに、そのモード切替信号を切替回路7へも出力するので、切替回路7は、モード切替信号を用いてCMOS撮像素子2から入力されるフレーム画像が第1フレーム画像FOAである場合には画像処理回路5へ、第2フレーム画像Fである場合には、画像生成回路6へ切替出力する。
【0042】
画像処理回路5は、行選択線RL1から行選択線RLkの1本上方の行選択線RLk−1までに配列された光電変換素子PDから出力された画素信号を第1フレーム画像FOAから除いて、行選択線RLkから行選択線RLmまでの各行選択線RLに配列された光電変換素子PDの画素信号から合成した第1共通フレーム画像Fとし、画像生成回路6へ出力する。
【0043】
画像生成回路6には、CMOS撮像素子2がTAモードで動作する間、画像処理回路5から第1共通フレーム画像Fが入力され、TBモードで動作する間、CMOS撮像素子2から直接第2フレーム画像FOBが入力されるが、第1共通フレーム画像Fと第2フレーム画像Fとは、回路基板10上の行選択線RLkから行選択線RLmが配線された同一領域に結像される被写体画像を撮像した画像信号であるので、交換周期で両者を連続させて動画像としても、動画像上での被写体の位置が変化せず、違和感なく動画像をみることができる。
【0044】
ここで、TAモードでは、1フレーム周期内の約30.85msecに最上方の行選択線RL1から順に最下方の終了行選択線RLmまで選択して走査するので、最上方の行選択線RL1から下方の行選択線RLkが選択される時間は、図4に示すように、td時間遅れる。例えば、本実施の形態のTAモードでは、約30.85msecの行選択線RL1から終了行選択線の行選択線RLmまでの740本の行選択線RLを選択して走査するので、最上方の行選択線RL1を選択する開始時t0から100本下方の行選択線RLk(k=100)が選択されるまでの時間tdは、約4.17msecとなる。つまり、フレーム信号にそれぞれ同期する第1共通フレーム画像Fの撮像周期は、第2フレーム画像Fの撮像周期に対して、約4.17msec遅れる。
【0045】
一方、西日本の60Hzの商用交流電源で動作する信号機のLEDは、図4に示すように、120Hzの周期で点滅し、約4.17msecの点灯時間と約4.17msecの消灯時間を繰り返している。本実施の形態では、TAモードで、開始行選択線RL1からTBモードでの開始行選択線となる行選択線RLkまでの走査時間が、このLEDの点滅周期の約1/2となるようにTBモードでの開始行選択線RLkを選択しているので、第1共通フレーム画像Fの撮像周期と第2フレーム画像FOBの撮像周期の位相は信号機のLEDの点滅周期のほぼ1/2となり、第1共通フレーム画像Fと第2フレーム画像Fのいずれかに点灯状態のLEDが撮像される。
【0046】
画像生成回路6は、フレーム周波数に同期して約500.5msecの交換周期で交互に、画像処理回路5から連続して入力される第1共通フレーム画像Fと、CMOS撮像素子2から入力される第2フレーム画像とを連続させて動画像とし、出力部8へ出力する。
出力部8に入力される動画像のフレーム周波数は、NTSC規格に準拠した29.97Hzの出力周波数と同一であるので、出力部8は、画像生成回路6から出力される動画像をNTSC規格に準拠した録画装置や再生装置へ周波数を変えることなく出力できる。ここで、動画像を構成する第1共通フレーム画像Fと第2フレーム画像Fのいずれかには、点灯状態のLEDが撮像されているので、少なくとも約500.5msecの交換周期以上の動画再生期間内には必ず点灯状態の交通信号のLEDが撮像され、確実に交通事故などの事故検証を行うことができる。
【0047】
上述の実施の形態では、TAモードとTBモードのいずれのモードでも、終了行選択線を同一の行選択線RLmとしているが、画像処理回路5で一部の画像信号を取り除き、第1共通フレーム画像Fと第2フレーム画像Fとを同一撮像領域に配列された光電変換素子PDの画素信号から合成するものとすることができれば、必ずしも終了行選択線を一致させる必要はない。
【0048】
また、第1共通フレーム画像Fの撮像周期と第2フレーム画像FOBの撮像周期の位相が信号機のLEDの点滅周期の約1/2となるように、TBモードでの開始行選択線となる行選択線RLkを決定しているが、垂直走査選択回路11での行選択線RLの走査速度を調整したりやTBモードでの開始行選択線を選択することにより、所望の撮像周期の位相が得られる。
【0049】
更に上述の実施の形態では、1フレーム画像を生成するフレーム周波数を動画像を出力する出力周波数に一致させているが、本発明は、フレーム周波数と出力周波数が非同期の撮像装置についても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、一定周期で点滅する発光体を撮像する撮像装置に適している。
【符号の説明】
【0051】
1 撮像装置
2 撮像素子
8 出力部(動画出力手段)
10 回路基板(基板)
11 垂直走査選択回路
12 水平走査選択回路
OA 第1フレーム画像
第1共通フレーム画像
第2フレーム画像
PD 光電変換素子(光電変換素子)
RL 行選択線
CL 列選択線
図1
図2
図3
図4