(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398690
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】電子メールと連携する通信装置
(51)【国際特許分類】
H04M 1/00 20060101AFI20180920BHJP
【FI】
H04M1/00 R
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-256530(P2014-256530)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2016-119515(P2016-119515A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(72)【発明者】
【氏名】廣田 誠
(72)【発明者】
【氏名】青柳 博久
【審査官】
白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−247206(JP,A)
【文献】
特開2013−197901(JP,A)
【文献】
特開2014−107633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F13/00
H04L12/00−12/26
12/50−12/955
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04Q3/58−3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メール送信機能と電話発着信機能を備える通信装置であって、
電子メールを送信する際に、操作者が送信する電子メールに対して返信の要求有無を指示する、返信要求指示手段と、
電子メールの送信先メールアドレスに対応付けて連絡先電話番号を記憶する連絡先電話番号記憶手段と、
電子メールを送信した際に前記返信要求指示手段により返信要求の指示を受信した場合に、前記送信した電子メールの送信先メールアドレスに対応付けられた連絡先電話番号へ所定のタイミングで電話発信を実行する予定に係る電話発信予定情報を記憶する電話発信予定記憶手段と、
前記連絡先電話番号記憶手段に記憶された連絡先電話番号に対応する相手通信装置の使用状態または前記相手通信装置を使用する者の状態に係る相手プレゼンス情報を取得する相手プレゼンス情報取得手段と、を有し、
前記返信要求指示手段が返信要求指示を受け取った場合のみ、前記電話発信予定記憶手段に電話発信予定情報を記憶し、前記電話発信予定記憶手段に記憶されている電話発信予定情報のいずれかに係る電話発信を実行すべきタイミングが到来した場合に、当該電話発信を実行する、または自通信装置が備える表示部に当該電話発信を実行すべきタイミングが到来した旨の情報を表示して操作者の電話発信に係る操作を受け付けることで当該電話発信を実行し、前記実行した電話発信に対応する電話発信予定情報を前記電話発信予定記憶手段から削除し、
前記電話発信を実行すべきタイミングより前に前記連絡先電話番号に対して電話発信し通話が為された場合または前記連絡先電話番号からの電話着信が到来し通話が為された場合に、当該電話発信予定情報を前記電話発信予定記憶手段から削除し、前記相手プレゼンス情報取得手段が取得した相手プレゼンス情報が予め定められた相手プレゼンス情報に変化したタイミングも前記電話発信を実行すべきタイミングとすることを特徴とする電子メールと連携する通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
自通信装置の使用状態または自通信装置を使用する者の状態に係るプレゼンス情報を取得するプレゼンス情報取得手段を更に有し、
前記電話発信予定記憶手段に記憶されている電話発信予定情報のいずれかに係る電話発信を実行すべきタイミングは、当該電子メールを送信してから予め定められた時間が経過したタイミング、または前記プレゼンス情報取得手段が取得したプレゼンス情報が予め定められたプレゼンス情報に変化したタイミングであることを特徴とする電子メールと連携する通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メール機能と電話機能を備える通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子メールの送信先に、電子メールを送信した旨を連絡するため、電子メール送信後の所定時間経過で、該電子メールを送信した相手先に対応する連絡先電話番号に電話発信する技術、また、前記所定時間が経過する前に、該電子メールの送信先と同じメールアドレスからメールを受信した場合に前記電話発信を中止する技術が知られていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、返信を必要としない電子メールの送信であって、電話発信して相手の電子メール受信を確認する必要のない場合でも電話発信がなされてしまう不都合があった。また、電子メール受信でのみ電話発信を中止する動作であったため、電子メール送信後に電子メールに関する電話発着信(通話)を行った場合でも、予約された電話発信が実行されてしまう不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−271406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、返信を要求する電子メールを送信時のみ電話発信予約を行うことにあり、また、電子メール送信後に電子メール送信先への電話発信を予約した状態において、電子メールの送信先から電話がかかってきて通話が為された場合にも、予約された電話発信を中止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、
電子メール送信機能と電話発着信機能を備える通信装置であって、電子メールを送信する際に、操作者が送信する電子メールに対して返信の要求有無を指示する、返信要求指示手段と、電子メールの送信先メールアドレスに対応付けて連絡先電話番号を記憶する連絡先電話番号記憶手段と、電子メールを送信した際に前記返信要求指示手段により返信要求の指示を受信した場合に、前記送信した電子メールの送信先メールアドレスに対応付けられた連絡先電話番号へ所定のタイミングで電話発信を実行する予定に係る電話発信予定情報を記憶する電話発信予定記憶手段と、前記連絡先電話番号記憶手段に記憶された連絡先電話番号に対応する相手通信装置の使用状態または前記相手通信装置を使用する者の状態に係る相手プレゼンス情報を取得する相手プレゼンス情報取得手段と、を有し、前記返信要求指示手段が返信要求指示を受け取った場合のみ、前記電話発信予定記憶手段に電話発信予定情報を記憶し、前記電話発信予定記憶手段に記憶されている電話発信予定情報のいずれかに係る電話発信を実行すべきタイミングが到来した場合に、当該電話発信を実行する、または自通信装置が備える表示部に当該電話発信を実行すべきタイミングが到来した旨の情報を表示して操作者の電話発信に係る操作を受け付けることで当該電話発信を実行し、前記実行した電話発信に対応する電話発信予定情報を前記電話発信予定記憶手段から削除し、前記電話発信を実行すべきタイミングより前に前記連絡先電話番号に対して電話発信し通話が為された場合または前記連絡先電話番号からの電話着信が到来し通話が為された場合に、当該電話発信予定情報を前記電話発信予定記憶手段から削除し、前記相手プレゼンス情報取得手段が取得した相手プレゼンス情報が予め定められた相手プレゼンス情報に変化したタイミングも前記電話発信を実行すべきタイミングとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作者が電子メールを送信する際に、返信要求指示手段によって返信の要求を求める電子メールのみ電話発信を予約することが可能となる。また、到来した電話着信の発信元電話番号が電話発信予定記憶手段に記憶されている電話発信予定情報のいずれかに対応する連絡先電話番号と一致したならば、当該電話発信予定情報を電話発信予定記憶手段から削除することにより、メール送信先から電話がかかってきて通話(会話)が為された場合にも電話発信を中止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る通信装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
図1は、本発明による電子メールと連携する通信装置のブロック図である。
【0010】
本発明による電子メールと連携する通信装置1は、通信網2を介して相手通信装置3と接続されている。
【0011】
相手通信装置3は、電子メールの送受信を行うメール端末31と電話発着信を行う電話機32とで構成される。なお、相手通信装置3は本発明によるものではなく、また特定の1の装置を指すものでもない。
【0012】
本発明による電子メールと連携する通信装置1は、送話器101と、受話器102と、通話制御部103と、回線インタフェース部104と、表示器105と、操作部106と、主制御部107と、発信予約管理部108と、電子メール受信部109と、データ通信インタフェース部110と、電子メール送信部111と、連絡先記憶部112から構成される。
【0013】
通話制御部103は回線インタフェース部104に接続され、送話器101と受話器102に対して通話音声を入出力する。
【0014】
回線インタフェース部104は、通信網2を介して相手通信装置3と接続する。
【0015】
表示器105は、前記発信予約管理部108によって電話発信を実行すべきタイミングが到来した旨の情報を表示する。
【0016】
操作部106は、着信応答や通話の切断、電子メールの送信や本発明による電話発信を指示する。
【0017】
主制御部107は、各機能部を制御する。
【0018】
発信予約管理部108は、連絡先電話番号と電話発信予定情報を対応付けて記憶し、本発明による電話発信の予約/実行を管理する。また、主制御部107より、自装置のプレゼンス情報を取得、並びに、図示しないがデータ通信インタフェース部110と通信網2を介し、相手通信装置3より相手通信装置3のプレゼンス情報を取得し、自装置のプレゼンス情報と相手通信装置3のプレゼンス情報が予め定められたプレゼンス情報に変化したタイミング(例えば在席時等の発着信が受けられる状況)で本発明による電話発信を実行する。
【0019】
電子メール受信部109は、主制御部107に接続されデータ通信インタフェース部110を介して電子メールを受信する。
【0020】
データ通信インタフェース部110は、通信網2を介して相手通信装置3と接続する。
【0021】
電子メール送信部111は、主制御部107に接続されデータ通信インタフェース部110を介して電子メールを送信する。また、電子メールを送信する際に返信要求の有無を受け取る。ここで、返信要求とは、例えば連絡が欲しいという旨の文章を電子メール本文から取得しても良いし、特定の記号、キーワード、フラグ等の電子メールに付与される返信を要求する旨の目印となるものを指す。
【0022】
連絡先記憶部112は、相手通信装置3の連絡先電話番号と電子メールアドレスとを対応付けて記憶する。
【0023】
図2は、本発明による通信装置の制御部の動作フローチャートである。
【0024】
本発明による電子メールと連携する通信装置1の動作フローチャートは電源を投入して開始する。まず、待機状態において、電子メール送信部111により電子メールの送信を完了すると(S1001,Y)、操作者が電子メールを送信する際に、返信を要求する操作を行っていた場合(S1002,Y)、電話発信予約部108は連絡先記憶部112より、送信した電子メールの宛先に対応する連絡先電話番号を抽出して電話発信を予約し(S1003)、待機状態に戻る。なお、返信を要求していない場合(S1002,N)は、何もしないで待機状態に戻る。
【0025】
また、電子メールの送信が行われない場合(S1001,N)は、電話発着信により通信装置1が通話中である場合、または電子メールを受信した場合に(S1004,Y)、発信予約管理部108は通話制御部103から発着信に係る電話番号または受信した電子メールに対応する相手電話番号を読み出し(S1005)、発信予約中の相手に該当する場合(S1006,Y)、電話発信予約した該相手に対する電話発信予約を取り消し、相手不応答時のリトライ発信回数を数えるための発信繰り返しカウンタを初期化(S1007)する。
【0026】
なお、発信予約中の相手に該当しない場合(S1006,N)には、電話発信予約の取り消し、並びに発信繰り返しカウンタの初期化を行わずに待機状態に戻る。
【0027】
また、電子メールを受信しなく、通話中でもない場合は(S1004,N)、発信予約管理部108が記憶している電話発信予約が為されてから所定の時間が経過した場合(S1008,Y)、または所定の時間が経過していない場合でも(S1008,N)、通信装置1または相手装置のプレゼンス情報を取得し(S1009)、プレゼンス情報が所定の状態(例えば在席時等の発着信が受けられる状況)に変化した場合(S1010,Y)、表示器105に対して到来した発信予約に関する情報を表示する(S1011)。
【0028】
なお、本実施例における発信予約に関する情報は、例えば発信先電話番号と関連付けて登録されている発信先名称、発信予約に係る送信済み電子メールの件名や電子メール本文から構成される。
【0029】
次に、所定時間内に操作部106からの電話発信操作があったならば(S1012,Y)、通話制御部103に指示して到来した発信予約を実行し、該発信予約に係る電子メールアドレスに対応付けられた連絡先電話番号へ発信する(S1013)。所定時間内に相手先が応答したならば(S1014,Y)、通話処理を実行し(S1015)、発信予約管理部108に指示して対応する電話発信の予約を解除し、発信繰り返しカウンタを初期化し(S1016)、待機状態に戻る。
【0030】
また、所定時間内に操作部106からの電話発信指示を検知しなかった場合(S1012,N)、連絡先電話番号への電話発信を実行せずに、発信繰り返しカウンタを更新する(S1018)。
【0031】
次に、発信予約を実行した後(S1013)、相手先が応答する前に所定の時間が経過したならば(S1014,N)、通話制御部103に指示して電話発信を中止し(S1017)、電話発信のリトライ回数を数えるための発信繰り返しカウンタをカウントアップする(S1018)。
【0032】
次に、発信繰り返しカウンタ値が所定の値未満であれば(S1019,Y)、次回の電話発信を予約し(S1020)、待機状態に戻る。
【0033】
また、発信繰り返しカウンタ値が所定の値未満でなければ(S1019,N)、発信予約管理部108に指示して対応する電話発信の予約を解除し、発信繰り返しカウンタを初期化し(S1016)、待機状態に戻る。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本実施例では、連絡先記憶部112によって、送信した電子メールアドレスと連絡先電話番号との対応関係を記憶しているが、電子メール受信部109または電子メール送信部111において、送受信される電子メール情報から、特定コードで識別される電子メールの宛先(メールアドレス)や連絡先電話番号を抽出して利用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 電子メールと連携する通信装置
101 送話器
102 受話器
103 通話制御部
104 回線インタフェース部
105 表示器
106 操作部
107 主制御部
108 発信予約管理部
109 電子メール受信部
110 データ通信インタフェース部
111 電子メール送信部
112 連絡先記憶部
2 通信網
3 相手通信装置
31 メール端末
32 電話機