(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、感圧スイッチとクッションパッドとの間のクリアランスを一定にするためには、その熱膨張及び収縮によるものを含め、クッションパッドの寸法誤差及び組付誤差を厳密に管理することが要求される。そして、これにより生ずる作業工程の煩雑化が製造コストの上昇を招く一因となる可能性があることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、容易に高精度の着座検知を行うことのできる着座検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する着座検知装置は、クッションパッドの下方に配置されるセンサホルダと、前記センサホルダに保持された感圧スイッチと、前記センサホルダに弾性支持されることにより前記クッションパッドを介して伝達されるシート荷重に基づき前記感圧スイッチを押圧する押圧子と、を備え
、前記センサホルダは、可撓性を有した前記押圧子の支持部を備え、前記支持部は、基端側が前記センサホルダに支持された状態で前記押圧子を支持する片持ち梁部である。
【0007】
上記構成によれば、上方に位置するクッションパッドの形状や寸法に依らず、乗員着座相当のシート荷重に基づいて、精度よく、その感圧スイッチを作動させることができる。例えば、従来技術に見られるようなクッションパッドの裏面加工が不要となる。また、その熱膨張及び収縮によるものを含めたクッションパッドの寸法誤差及び組付誤差の影響が小さくなる。そして、これにより、クッションパッドの製造及び組付管理を容易化することができる。その結果、容易に高精度の着座検知を行うことができる。
【0008】
また、より確実に感圧スイッチを押圧することが可能になることで、従来技術に見られるような感圧スイッチを構成するスイッチ部の受け材(下敷き)となる弾性体を省くことができる。そして、これにより、その受け材を設けることによる弊害、即ち寸法誤差(熱膨張及び収縮によるもの含む)及び組付誤差の影響を排除することができる。その結果、より容易に、高精度の着座検知を行うことができる。
【0009】
また、前記センサホルダは、可撓性を有した前記押圧子の支持部を備え
る構成によれば、簡素な構成にて、所定の初期隙間(クリアランス)で安定的に押圧子を支持することができる。また、その支持部について、荷重入力に応じた撓み量の割合(弾性変形率)を適切に設定することにより、乗員着座相当のシート荷重に基づいて、精度よく、その感圧スイッチを作動させることができる。そして、これにより、容易に高精度の着座検知を行うことができる。
【0010】
また、前記支持部は、基端側が前記センサホルダに支持された状態で前記押圧子を支持する片持ち梁部であ
る構成によれば、簡素な構成にて、可撓性を有した支持部を構成することができる。
【0013】
上記課題を解決する着座検知装置は、前記
片持ち梁部は、前記センサホルダとは別体に形成されるとともに、前記センサホルダには、前記
片持ち梁部が嵌合される嵌合部が設けられることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、センサホルダに対して感圧スイッチを組み付けた後、センサホルダに押圧子の
片持ち梁部を組み付けることで、その組付作業の容易化及び効率化を図ることができる。また、センサホルダ側に
片持ち梁部の嵌合部を設けることで、その
片持ち梁部を容易に組み付けることができる。更に、その
片持ち梁部自体が可撓性を有して押圧体を弾性支持する構成においては、容易に押圧子の弾性支持力を変更することができる。そして、これにより、様々なシートに適用可能な高い汎用性を確保することができる。
【0015】
上記課題を解決する着座検知装置は、前記感圧スイッチは、メンブレンスイッチであることが好ましい。
上記構成によれば、軽量化及び組付作業の容易化を図ることができる。また、感圧スイッチの配置自由度が向上する。そして、これにより、サイズの小型化を図ることができる。
【0016】
上記課題を解決する着座検知装置は、前記押圧子は、前記感圧スイッチ側に凸となる湾曲した押圧面を有することが好ましい。
上記構成によれば、接触面積を小さく抑えて集中的に感圧スイッチを押圧することができる。その結果、より確実に感圧スイッチを作動させることができる。特に、そのスイッチ部が薄膜状(薄板状)の感圧スイッチにおいて、より顕著な効果を得ることができる。また、感圧スイッチ側の接触面(被押圧面)を傷付け難いという利点がある。そして、これより、高い信頼性を確保することができる。
【0017】
上記課題を解決する着座検知装置は、前記感圧スイッチに近接する方向における前記押圧子の相対移動量を制限する移動制限機構を備えることが好ましい。
上記構成によれば、感圧スイッチに対して過大な押圧力が印加されないようにすることができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、容易に高精度の着座検知を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、車両用のシートに設けられた着座検知装置に関する第1の実施形態を図面に従って説明する。
【0021】
図1に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、このシートクッション2の後端部に対して傾動自在に設けられたシートバック3と、を備えている。本実施形態では、車両の床部4には、車両前後方向に延びる左右一対のロアレール5が設けられている。また、これら各ロアレール5には、それぞれ、その延伸方向に沿って当該ロアレール5上を相対移動可能なアッパレール6が装着されている。そして、本実施形態のシート1は、これらの各ロアレール5及びアッパレール6が形成するシートスライド装置10の上方に支持されている。
【0022】
また、本実施形態のシート1において、シートクッション2には、感圧式の着座センサ11が設けられている。具体的には、
図2に示すように、本実施形態のシートクッション2は、クッションスプリング12の上方にクッションパッド13を支持する構成になっている。また、着座センサ11は、このクッションスプリング12に固定されることにより、クッションパッド13の下方に配置されている。更に、この着座センサ11の出力信号は、ECU15に入力されるようになっている(
図1参照)。そして、本実施形態では、これにより、そのシート1に対する乗員の着座を検知することが可能な着座検知装置20が構成されている。
【0023】
尚、本実施形態のクッションパッド13は、例えば、発泡ウレタン等、スポンジ素材を用いて形成されている。また、クッションスプリング12には、連続してS字状に折り曲げられた所謂「Sバネ」が用いられている。更に、本実施形態では、シート1における荷重伝播状態の評価・解析に基づいて、その着座センサ11の搭載位置が最適化されている。そして、本実施形態の着座検知装置20は、これにより、この一つの着座センサ11によって、適切な乗員検知が可能となっている。
【0024】
(着座センサ)
次に、本実施形態における着座センサ11の構成について説明する。
図3〜
図6に示すように、本実施形態の着座センサ11は、クッションスプリング12に固定されるセンサホルダ21と、このセンサホルダ21に保持された感圧スイッチ30と、を備えている。
【0025】
本実施形態のセンサホルダ21は、矩形略平板状に形成された保持ベース31と、この保持ベース31の両側端部に立設された互いに対向する一対の側壁部32(32a,32b)と、を備えている。また、これらの側壁部32のうち、
図4中、左側に位置する第1側壁部32aの先端部分には、クッションスプリング12に対する嵌合部33が形成されている。そして、
図4中、右側に位置する第2側壁部32bの先端部分には、クッションスプリング12に対する掛止部34が形成されている。
【0026】
本実施形態のセンサホルダ21は、樹脂を用いて形成されている。また、このセンサホルダ21において、嵌合部33は、第1側壁部32aの基端側(
図4中、下側)に開口する断面略U字状の外形を有して当該第1側壁部32aの側方(
図4中、左側)に設けられている。更に、掛止部34は、第2側壁部32bの先端から当該第2側壁部32bの側方、第1側壁部32aの反対側(
図4中、右側)に向かって延設されるとともに、その先端部分が第2側壁部32bの基端側(
図4中、下側)に折り返されたフック状の外形を有している。そして、本実施形態のセンサホルダ21は、上記のようなクッションスプリング12の連続S字形状(コ字形状)を利用して、その上方側から掛止部34を掛止し及び嵌合部33を嵌合することにより、樹脂弾性を利用した所謂スナップフィットによって、クッションスプリング12に対して固定される構成になっている(
図2参照)。
【0027】
また、本実施形態の感圧スイッチ30には、
図7に示すような膜状の接点スイッチ構造を有したメンブレンスイッチ40が用いられている。即ち、メンブレンスイッチ40は、スペーサ41となる絶縁物を介して二枚の接点シート42a,42bを積層し(貼り合わせ)、これらの各接点シート42a,42bに設けられた接点43a,43bを対向配置させることにより形成される。尚、各接点シート42a,42bは、例えば、導電インクを用いて樹脂フィルムに回路パターンを印刷することにより形成される。そして、メンブレンスイッチ40は、これらの接点シート42a,42bが弾性変形し、その対向する接点43a,43bが接触することにより「オン」状態となるように構成されている。
【0028】
詳述すると、
図3〜
図6に示すように、本実施形態のメンブレンスイッチ40は、その一端側に上記接点43a,43bを内蔵するスイッチ部45を有した長尺略帯状の外形を有している。尚、本実施形態のメンブレンスイッチ40は、そのスイッチ部45が略円板状に形成されている。そして、このメンブレンスイッチ40の他端側は、センサコネクタ46に接続されている。
【0029】
本実施形態のメンブレンスイッチ40は、そのスイッチ部45がセンサホルダ21の保持ベース31に貼り付けられた状態で、当該センサホルダ21に保持されている。具体的には、本実施形態のセンサホルダ21は、上記両側壁部32が立設された保持ベース31の上面31a側に、そのメンブレンスイッチ40のスイッチ部45が貼り付けられる構成になっている。尚、本実施形態では、保持ベース31の上面31aには、そのスイッチ部45の円板形状に対応する円弧状の壁構造を有した位置決め部47が形成されている。更に、センサホルダ21は、その保持ベース31の下面31b側から、
図6中、下側に向かって延びる支柱部48を備えている。そして、本実施形態のメンブレンスイッチ40は、そのスイッチ部45とは反対側の端部に接続されたセンサコネクタ46が、この支柱部48に係合することにより、略弓形に折り曲げられた状態でセンサホルダ21に保持されるようになっている。
【0030】
即ち、本実施形態の着座センサ11は、スイッチ部45の直下にセンサコネクタ46を配置することによって、そのサイズの小型化が図られている。また、センサコネクタ46は、その接続端部(
図6中、右側の端部)が斜め下方を向いた状態でセンサホルダ21の支柱部48に係止されている。そして、本実施形態では、これにより、その湾曲保持されたメンブレンスイッチ40の負荷が小さく抑えられている。
【0031】
また、本実施形態のセンサホルダ21は、基端側がセンサホルダ21の第1側壁部32aに支持された状態で保持ベース31の上面31aに対向配置された長尺略平板状の片持ち梁部51を備えている。そして、この片持ち梁部51には、その対向する保持ベース31に貼り付けられたメンブレンスイッチ40のスイッチ部45側に凸となる突起状の押圧子53が設けられている。
【0032】
具体的には、
図8(a)(b)に示すように、本実施形態の押圧子53は、略半球状に形成されることにより湾曲した押圧面53sを有している。また、本実施形態の片持ち梁部51は、上方に位置するクッションパッド13に押し下げられることにより、その先端側が下方に撓むような可撓性を有している。つまり、この片持ち梁部51は、クッションパッド13を介して伝達されるシート荷重に基づいて、その支持する押圧子53が保持ベース31に貼り付けられたメンブレンスイッチ40のスイッチ部45に対して近接する方向に弾性変形するように構成されている。そして、本実施形態の着座センサ11は、これにより、その押圧子53がメンブレンスイッチ40のスイッチ部45を押圧することによって、シート1に対する乗員の着座を検知することが可能となっている。
【0033】
さらに詳述すると、
図4に示すように、本実施形態の着座センサ11において、メンブレンスイッチ40のスイッチ部45と片持ち梁部51に支持された押圧子53との間には、所定の初期隙間(クリアランス)D1が設定されている。このため、
図8(a)に示すように、シート1上に荷物を載置した場合のシート荷重に対応する撓み量δ1では、その片持ち梁部51に支持された押圧子53が、メンブレンスイッチ40のスイッチ部45に到達しない。そして、本実施形態の着座センサ11は、
図8(b)に示すように、シート1上に乗員が着座した場合のシート荷重に相当する撓み量δ2が発生した場合において、その片持ち梁部51に支持された押圧子53が、メンブレンスイッチ40のスイッチ部45を押圧するように構成されている。
【0034】
また、本実施形態の着座センサ11において、片持ち梁部51の先端には、押圧子53と同じく保持ベース31側(
図8中、下側)に突出するストッパ部56が形成されている。そして、本実施形態の着座センサ11は、このストッパ部56が保持ベース31の上面31aに当接することにより、その片持ち梁部51の撓み量、即ちメンブレンスイッチ40のスイッチ部45に近接する方向における押圧子53の相対移動量が制限される構成になっている。
【0035】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)着座検知装置20を構成する着座センサ11は、クッションパッド13の下方に配置されるセンサホルダ21と、このセンサホルダ21に保持された感圧スイッチ30と、を備える。また、着座センサ11は、センサホルダ21に弾性支持された押圧子53を備える。そして、着座センサ11は、上方に位置するクッションパッド13を介して伝達されるシート荷重に基づいて、その押圧子53が感圧スイッチ30を押圧するように構成される。
【0036】
上記構成によれば、上方に位置するクッションパッド13の形状や寸法に依らず、乗員着座相当のシート荷重に基づいて、精度よく、その感圧スイッチ30をオン作動させることができる。例えば、従来技術に見られるようなクッションパッド13の裏面加工(例えば、溝部の形成)が不要となる。また、その熱膨張及び収縮によるものを含めたクッションパッド13の寸法誤差及び組付誤差の影響が小さくなる。そして、これにより、クッションパッド13の製造及び組付管理を容易化することができる。その結果、容易に高精度の着座検知を行うことができる。
【0037】
また、より確実に感圧スイッチ30を押圧することが可能になることで、従来技術に見られるようなスイッチ部45の受け材(下敷き)となる弾性体を省くことができる。そして、これにより、その受け材を設けることによる弊害、即ち寸法誤差(熱膨張及び収縮によるもの含む)及び組付誤差の影響を排除することができる。その結果、より高精度の着座検知を行うことができる。
【0038】
(2)センサホルダ21は、基端側がセンサホルダ21の第1側壁部32aに支持された状態で保持ベース31の上面31aに対向配置された片持ち梁部51を備える。また、この片持ち梁部51は、クッションパッド13に押し下げられることにより先端側が下方に撓むような可撓性を有する。そして、押圧子53は、この片持ち梁部51に支持される。
【0039】
上記構成によれば、簡素な構成にて、所定のクリアランスで安定的に押圧子53を支持することができる。また、その支持部を構成する片持ち梁部51について、荷重入力に応じた撓み量の割合(弾性変形率)を適切に設定することにより、乗員着座相当のシート荷重に基づいて、精度よく、その感圧スイッチ30をオン作動させることができる。そして、これにより、容易に高精度の着座検知を行うことができる。
【0040】
(3)感圧スイッチ30には、メンブレンスイッチ40が用いられる。これにより、軽量化及び組付作業の容易化を図ることができる。また、感圧スイッチ30の配置自由度が向上する。そして、これにより、サイズの小型化を図ることができる。
【0041】
(4)押圧子53は、略半球状に形成されることにより感圧スイッチ30側に凸となる湾曲した押圧面53sを有する。これにより、接触面積を小さく抑えて集中的に感圧スイッチ30を押圧することができる(一点押圧)。その結果、より確実に感圧スイッチ30をオン作動させることができる。特に、メンブレンスイッチ40のようなスイッチ部45が薄膜状(薄板状)の感圧スイッチ30において、より顕著な効果を得ることができる。また、感圧スイッチ30側の接触面(被押圧面)を傷付け難いという利点がある。そして、これより、高い信頼性を確保することができる。
【0042】
(5)片持ち梁部51の先端には、移動制限機構としてのストッパ部56が形成される。そして、このストッパ部56がセンサホルダ21(保持ベース31の上面31a)に当接することにより、感圧スイッチ30に近接する方向における押圧子53の相対移動量が制限される。
【0043】
上記構成によれば、感圧スイッチ30に対して過大な押圧力が印加されないようにすることができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。
[第2の実施形態]
以下、着座検知装置に関する第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
【0044】
図9〜
図11に示すように、本実施形態の着座センサ11Bは、上記第1の実施形態との比較において、その押圧子53B及び支持部の構成が相違する。
詳述すると、本実施形態の着座センサ11Bにおいて、センサホルダ21Bは、その両側壁部32B間に掛け渡される態様で設けられた支持部61を備えている。具体的には、この支持部61は、メンブレンスイッチ40のスイッチ部45が貼り付けられたセンサホルダ21Bの保持ベース31に対向する略平板状の外形を有している。また、上記第1の実施形態における片持ち梁部51とは異なり、この支持部61は可撓性を有していない。更に、この支持部61には、当該支持部61を板厚方向に貫通、即ちセンサホルダ21Bがクッションパッド13の下方に配置された状態(
図2参照)において、その支持部61を上下方向に貫通する挿通孔62が形成されている。そして、本実施形態の着座センサ11Bは、この挿通孔62に軸部63aが挿通されることにより上下動可能な状態でセンサホルダ21Bに支持された負荷圧子63を備えている。
【0045】
本実施形態では、この負荷圧子63の一端側(
図10中、上端側)には、上方に位置するクッションパッド13の押圧力を受ける略円板状の受圧部63bが設けられている。また、この負荷圧子63の他端側(
図10中、下端側)には、センサホルダ21Bの保持ベース31に貼り付けられたメンブレンスイッチ40のスイッチ部45に対向する押圧部63cが設けられている。そして、本実施形態の着座センサ11Bは、この負荷圧子63の受圧部63bとセンサホルダ21Bの支持部61との間に介在された付勢部材としての圧縮コイルバネ65を備えている。
【0046】
即ち、本実施形態の着座センサ11Bにおいて、負荷圧子63は、この圧縮コイルバネ65の弾性力に基づいて、その下方に位置するメンブレンスイッチ40のスイッチ部45から離間する方向に付勢されている。尚、本実施形態の圧縮コイルバネ65は、負荷圧子63の軸部63aに嵌挿された状態で、その互いに対向する当該負荷圧子63の受圧部63bとセンサホルダ21Bの支持部61との間に介在されている。そして、本実施形態の着座センサ11Bは、これにより、その感圧スイッチ30を構成するメンブレンスイッチ40(のスイッチ部45)の上方に弾性支持された負荷圧子63が、押圧子53Bとして機能する構成になっている。
【0047】
さらに詳述すると、
図10に示すように、本実施形態の着座センサ11Bにおいて、メンブレンスイッチ40のスイッチ部45と負荷圧子63の押圧部63cとの間には、所定の初期隙間(クリアランス)D2が設定されている。そして、
図12に示すように、圧縮コイルバネ65の弾性支持力(バネ定数)は、乗員着座相当のシート荷重がクッションパッド13を介して負荷圧子63の受圧部63bに印加された場合において、その負荷圧子63の押圧部63cがメンブレンスイッチ40のスイッチ部45を押圧するように設定されている。
【0048】
即ち、押圧子53Bを構成する負荷圧子63は、その上方に位置するクッションパッド13に押し下げられることにより、圧縮コイルバネ65を押し縮めつつ、下方側に移動する。つまり、その押圧部63cがメンブレンスイッチ40のスイッチ部45に対して近接する方向に相対移動する。しかしながら、
図13に示すように、シート1上に荷物を載置した程度のシート荷重では、その押圧部63cがメンブレンスイッチ40のスイッチ部45に到達しない。そして、本実施形態の着座センサ11Bは、これにより、容易に高精度の着座検知を行うことが可能な構成になっている。
【0049】
また、本実施形態の着座センサ11Bにおいて、負荷圧子63の受圧部63bには、その下方側に向かって延びる複数のストッパ部66が設けられている。即ち、本実施形態では、これらのストッパ部66が下方に位置するセンサホルダ21Bの支持部61に当接することにより、その負荷圧子63の下方移動量、即ち負荷圧子63の押圧部63cがメンブレンスイッチ40のスイッチ部45に近接する方向の相対移動量が制限される構成になっている。そして、本実施形態の着座センサ11Bは、これにより、そのメンブレンスイッチ40のスイッチ部45に対して過大な押圧力が印加されないように構成されている。
【0050】
更に、本実施形態の着座センサ11Bにおいてもまた、負荷圧子63の押圧部63cは、その対向するメンブレンスイッチ40のスイッチ部45側に凸となる湾曲した押圧面63sを有している。具体的には、その押圧面63sは、負荷圧子63の押圧部63cがメンブレンスイッチ40のスイッチ部45に対して線状接触するような湾曲面となっている。そして、本実施形態の着座センサ11Bは、これにより、その接触面積を小さく抑えて集中的にメンブレンスイッチ40のスイッチ部45を押圧することが可能な構成となっている。
【0051】
以上、本実施形態の着座センサ11Bにおいてもまた、上記第1の実施形態における着座センサ11と同様の効果を得ることができる。また、その圧縮コイルバネ65を交換するだけで、容易に負荷圧子63の弾性支持力を変更することができる。そして、これにより、様々なシートに適用可能な高い汎用性を確保することができる。
【0052】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、クッションパッド13の下方に設けられたクッションスプリング12に対して着座センサ11(11B)を固定する。そして、この一つの着座センサ11を用いてシート1に着座した乗員の検知を行うこととした。
【0053】
しかし、これに限らず、着座センサ11の数、配置及び固定部位等については、任意に変更してもよい。例えば、複数の着座センサ11により着座検知を行う構成であってもよい。そして、着座センサ11の固定部位については、必ずしもクッションスプリング12に限らず、例えば、シートパン等、その他、クッションパッド13の支持部材を固定部位とする構成であってもよい。
【0054】
・更に、クッションスプリング12に対するセンサホルダ21(21B)の固定構造についてもまた、任意に変更してもよい。即ち、上記各実施形態では、クッションスプリング12に対してセンサホルダ21の掛止部34を掛止し及び嵌合部33を嵌合する。そして、その樹脂弾性を利用した所謂スナップフィットによりセンサホルダ21をクッションスプリング12に固定することとした。
【0055】
しかし、これに限らず、締結等、その他の固定方法を用いてもよい。また、その固定点の数については任意に変更してもよい。尚、この場合、上記各実施形態における嵌合部33のような強い固定構造(連結構造)を有する固定点は、少なくとも一つあればよい。そして、その他については、クッションスプリング12の円滑な弾性変形を阻害しないように、上記掛止部34のような弱い固定構造にするとよい。更に、上記各実施形態のようにクッションスプリング12の連続S字形状を利用する等、略平行に延びる2つの部位にセンサホルダ21(の嵌合33及び掛止部34)を固定する場合(
図2参照)には、当該センサホルダ21の平行移動を抑制する係合部等、何らかの位置ずれ防止構造を設けるとよい。そして、クッションスプリング12の連続S字形状におけるL字部分に対して、そのセンサホルダ21を固定する構成であってもよい。
【0056】
・また、センサホルダ21(21B)に保持された感圧スイッチ30と、センサホルダ21に弾性支持されることによりクッションパッド13を介して伝達されるシート荷重に基づき感圧スイッチ30を押圧する押圧子53(53B)と、を備える構成であれば、その着座センサ11の構成を変更してもよい。
【0057】
具体的には、上記各実施形態では、感圧スイッチ30にメンブレンスイッチ40を用いることとしたが、例えば、そのスイッチ部からハーネスが延びるもの等、その他の感圧スイッチ30を用いる構成であってもよい。更に、メンブレンスイッチ40を用いる場合も含め、そのスイッチ部を構成する接点の数は任意に設定してもよい。そして、メンブレンスイッチ40を用いる場合には、例えば抵抗体インクを用いる等により、断線検知機能を付加してもよい。
【0058】
・更に、上記各実施形態では、メンブレンスイッチ40の他端に接続されるセンサコネクタ46は、センサホルダ21の支柱部48に係合することにより、当該センサホルダ21の下方に保持されることとした。しかし、これに限らず、センサホルダ21とセンサコネクタ46とが一体に形成される構成であってもよい。そして、センサコネクタ46は、その信号出力を無線通信により行うものであってもよい。
【0059】
・また、上記第1の実施形態では、基端側が第1側壁部32aに支持された可撓性を有する片持ち梁部51を、そのセンサホルダ21における押圧子53の支持部とした。しかし、これに限らず、押圧子53を弾性支持するとともにクッションパッド13に押圧されて弾性変形することにより押圧子53が感圧スイッチ30を押圧する状態となるものであれば、必ずしも片持ち梁構造に限らず、例えば、所謂両持ち構造を有するもの等、その支持部の構成については、任意に変更してもよい。
【0060】
・更に、押圧子(53,53B)の支持部(51,61)がセンサホルダ21とは別体に形成される構成であってもよい。例えば、
図14(a)(b)に示すように、押圧子53の支持部を構成する片持ち梁部51Cが、センサホルダ21Cとは別体に形成される。また、センサホルダ21Cにおける一方の側壁部32C(32a)には、嵌合部(嵌合凹部)70が形成される。そして、片持ち梁部51Cは、この嵌合部70に基端部51aが嵌合することにより、そのセンサホルダ21Cに対して一体に固定される構成としてもよい。
【0061】
即ち、センサホルダ21Cに対してメンブレンスイッチ40を組み付けた後、センサホルダ21Cに片持ち梁部51Cを組み付けることで、その組付作業の容易化及び効率化を図ることができる。また、センサホルダ21C側に片持ち梁部51Cの嵌合部70を設けることで、その片持ち梁部51Cを容易に組み付けることができる。更に、この片持ち梁部51Cのように、その支持部が可撓性を有するものの場合、当該支持部を交換するだけで、容易に押圧子53の弾性支持力を変更することができる。そして、これにより、様々なシートに適用可能な高い汎用性を確保することができる。尚、このような支持部別体構造は、第2の実施形態における押圧子53Bの支持部61のように、それ自体が可撓性を有しないものに適用してもよい。
【0062】
・上記第1の実施形態では、押圧子53は、感圧スイッチ30側に凸となる略半球状に形成され、第2の実施形態では、軸部63aの両側に受圧部63b及び押圧部63cを形成してなる負荷圧子63が押圧子53Bを構成することとした。しかし、これ限らず、押圧子(53,53B)の形状は、任意に変更してもよい。そして、その押圧子(53,53B)が感圧スイッチ側に凸となる湾曲した押圧面(53s,63s)を有しない構成についてもまた、これを排除しない。
【0063】
・上記第1の実施形態では、支持部となる片持ち梁部51の先端に押圧子53と同じく保持ベース31側に突出するストッパ部56が形成され、第2の実施形態では、負荷圧子63の受圧部63bに、そのセンサホルダ21Bの支持部61側に向かって延びる複数のストッパ部66が設けられることとした。しかし、これに限らず、感圧スイッチ30に近接する方向における押圧子53(53B)の相対移動量を制限する移動制限機構の構成については、任意に変更してもよい。
【0064】
・上記第2の実施形態では、その付勢部材に圧縮コイルバネ65を用いることとしたが、例えば、引張コイルバネや板バネ等、その他のバネ部材を用いてもよい。そして、バネ部材以外の弾性部材を付勢部材に用いる構成であってもよい。
【0065】
・更に、上記各実施形態では、矩形略平板状に形成された保持ベース31の上面31aに、メンブレンスイッチ40のスイッチ部45が貼り付けられることとした。しかし、これに限らず、例えば、略L字状の折曲形状を有した支持部の先端に支持された押圧子53が、側方に位置する感圧スイッチ30を押圧する等、その感圧スイッチ30の保持面は、必ずしも上方に面していなくともよい。