特許第6398743号(P6398743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6398743運動情報測定装置、運動情報測定装置の制御方法、運動情報測定装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398743
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】運動情報測定装置、運動情報測定装置の制御方法、運動情報測定装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20180920BHJP
   A61B 5/22 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   A61B5/11 200
   A61B5/22 100
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-10343(P2015-10343)
(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-131828(P2016-131828A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】北村 優美
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−8821(JP,A)
【文献】 特開2014−117551(JP,A)
【文献】 特開2005−304942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の動きに応じた情報を検出する検出部と、
前記検出部により検出される情報に基づいて利用者の運動情報を測定する運動情報測定部と、
利用者の運動情報を測定する機能を有する他装置と近距離無線通信を行うための通信部と、
音を検出する音検出部と、
前記音検出部により検出された音に基づいて人の存在を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部の動作状態を制御する通信動作状態制御部と、を備える運動情報測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の運動情報測定装置であって、
前記判定部は、前記音検出部により検出された音の大きさが閾値を超える場合と、又は、当該音の周波数が特定周波数域に入る場合に、人が存在すると判定する運動情報測定装置。
【請求項3】
請求項1記載の運動情報測定装置であって、
前記判定部は、前記音検出部により検出された音の大きさが閾値を超え、かつ、当該音の周波数が特定周波数域に入る場合に、人が存在すると判定する運動情報測定装置。
【請求項4】
請求項1記載の運動情報測定装置であって、
利用者の行動を識別する行動識別部を更に備え、
前記判定部は、前記音検出部により検出された音と、前記行動識別部による行動識別結果とに基づいて、人の存在を判定する運動情報測定装置。
【請求項5】
請求項4記載の運動情報測定装置であって、
前記判定部は、前記行動識別結果が外出中であることを示すものであり、かつ、前記音検出部により検出された音の大きさが閾値を超える場合又は当該音の周波数が特定周波数域に入る場合に、人が存在すると判定する運動情報測定装置。
【請求項6】
請求項4記載の運動情報測定装置であって、
前記判定部は、前記行動識別結果が外出中であることを示すものであり、かつ、前記音検出部により検出された音の大きさが閾値を超え、かつ、当該音の周波数が特定周波数域に入る場合に、人が存在すると判定する運動情報測定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の運動情報測定装置であって、
前記通信動作状態制御部は、前記判定部により人が存在すると判定された場合に、前記通信部の消費電力が第一の値となる動作状態から、前記通信部の消費電力が前記第一の値よりも大きい第二の値となる動作状態へと前記通信部の動作状態を移行させる運動情報測定装置。
【請求項8】
利用者の動きに応じた情報を検出する検出部と、前記検出部により検出される情報に基づいて利用者の運動情報を測定する運動情報測定部と、利用者の運動情報を測定する機能を有する他装置と近距離無線通信を行うための通信部と、音を検出する音検出部と、を有する運動情報測定装置の制御方法であって、
前記音検出部により検出された音に基づいて人の存在を判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記通信部の動作状態を制御するステップと、を備える運動情報測定装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8記載の運動情報測定装置の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動情報測定装置、運動情報測定装置の制御方法、及び運動情報測定装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加速度センサ及び角速度センサ等の体の動きを検出する動き検出センサを用いることにより、活動量(歩数、歩行距離、消費カロリー等)及び移動速度(歩行速度、走行速度等)等の運動情報を測定することのできる運動情報測定装置の開発が盛んである。こういった運動情報測定装置には、近距離無線通信機能を有するものが知られており、この機能を利用することで、様々なサービスが提供可能である。
【0003】
例えば、特許文献1には、歩行のピッチに依存する情報である活動強度を歩数計同士で直接交換して、活動強度の比較により、歩行相性を判定する歩数計が開示されている。
【0004】
運動情報の交換を行うものではないが、特許文献2には、利用者の生体情報を測定する生体センサと、利用者の周囲の音声を収集するマイクロフォンと、近距離無線通信部を備える携帯端末が記載されている。この携帯端末は、音声等によって利用者の状況を判断し、利用者の状況が変化したと判断した場合に、その場の画像や音声を記録する。そして、至近距離内にある他の携帯端末との間で、記録した画像や音声を交換可能となっている。
【0005】
音声を利用する装置として、特許文献3には、マイクロフォンによって収集された音声情報からいびき音等の解析を行って睡眠状態を判別し、睡眠異常と判別した場合に、ネットワークを介して通報する睡眠状態検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−090426号公報
【特許文献2】特開2005−110869号公報
【特許文献3】特開2005−304942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によれば、複数利用者の運動情報を利用することで、これまでにないサービスを利用者に提供することが可能である。運動情報の交換に限らず、近距離無線通信機能を利用して複数の運動情報測定装置が近くにあることを検知し、この複数の運動情報測定装置の各々の利用者に付加価値を与えるようなサービスを提供することも考えられる。こういったサービスを提供することで、運動情報測定装置の利用を促進して、利用者の健康増進を図ることが可能になる。
【0008】
このように、近距離無線通信機能を利用して、複数の装置間で情報の送受信を行ったり、複数の装置が近くにあることを検知したりするためには、近距離無線通信機能を常にオンにしておく必要があり、装置の消費電力が大きくなる。また、情報交換等を行いたいときだけ近距離無線通信機能を手動操作でオンにすることも考えられるが、これでは利用者の手間が増えてしまう。
【0009】
特許文献1,2に記載の装置は、近距離無線通信機能は常にオンになっているため、消費電力を削減することができない。
【0010】
特許文献3に記載の装置は、近距離無線通信機能を有していないため、近距離無線通信機能を利用する装置における消費電力削減の課題については考慮されていない。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、消費電力を抑制しながら、近距離無線通信機能を利用した付加価値を利用者に提供することのできる運動情報測定装置、その制御方法、及びその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の運動情報測定装置は、利用者の動きに応じた情報を検出する検出部と、前記検出部により検出される情報に基づいて利用者の運動情報を測定する運動情報測定部と、利用者の運動情報を測定する機能を有する他装置と近距離無線通信を行うための通信部と、音を検出する音検出部と、前記音検出部により検出された音に基づいて人の存在を判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部の動作状態を制御する通信動作状態制御部と、を備えるものである。
【0013】
本発明の運動情報測定装置の制御方法は、利用者の動きに応じた情報を検出する検出部と、前記検出部により検出される情報に基づいて利用者の運動情報を測定する運動情報測定部と、利用者の運動情報を測定する機能を有する他装置と近距離無線通信を行うための通信部と、音を検出する音検出部と、を有する運動情報測定装置の制御方法であって、前記音検出部により検出された音に基づいて人の存在を判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記通信部の動作状態を制御するステップと、を備えるものである。
【0014】
本発明の運動情報測定装置の制御プログラムは、前記運動情報測定装置の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、消費電力を抑制しながら、近距離無線通信機能を利用した付加価値を利用者に提供することのできる運動情報測定装置、その制御方法、及びその制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を説明するための運動情報測定装置10の概略構成を示すブロック図である。
図2図1に示す運動情報測定装置10の制御部2によって実現される機能ブロックを示す図である。
図3図1に示す運動情報測定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
図4図1に示す運動情報測定装置10の制御部2の機能ブロックの変形例を示す図である。
図5図4に示す制御部2を含む運動情報測定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態を説明するための運動情報測定装置10の概略構成を示すブロック図である。運動情報測定装置10は、利用者の体に装着(衣服のポケットに入れた状態も含む)されて使用されるものであり、具体例としては歩数計や活動量計やスポーツウォッチ等である。また、運動情報測定装置10は、運動情報を測定するための専用の機器に限らず、スマートフォン等の別の機能を主とする電子機器であってもよい。
【0018】
運動情報測定装置10は、体動検出部1と、全体を統括制御する制御部2と、通信部3と、操作部4と、フラッシュメモリやROM(Read Only Memory)等の記憶媒体を含む記憶部5と、音検出部6と、を備える。
【0019】
体動検出部1は、運動情報測定装置10が装着された利用者の体の部位の動きに応じた情報(加速度、角速度等)を検出する。体動検出部1は、加速度センサ及び角速度センサ等の各種モーションセンサと、各種モーションセンサから出力された信号を処理する信号処理部とを含む。体動検出部1は、少なくとも1つのモーションセンサとこのモーションセンサからの信号を処理する信号処理部を含んでいればよい。体動検出部1は、利用者の動きに応じた情報を検出する検出部として機能する。
【0020】
制御部2は、記憶部5のROMに記憶されたプログラムを実行するプロセッサを主体に構成される。
【0021】
通信部3は、他の運動情報測定装置10を含む電子機器と近距離無線通信を行うためのインターフェースである。近距離無線通信とは、インターネット等のネットワークを介さずに装置間で直接通信を行える通信規格に準拠した通信のことを言う。このインターフェースとしては、ANT(PAN(Personal Area Network)向けの規格)に準拠した通信インターフェース、ブルートゥース(登録商標)に準拠した通信インターフェース等が用いられる。
【0022】
操作部4は、制御部2に各種指示を入力するためのデバイスであり、ボタンやタッチパネル等により構成される。
【0023】
記憶部5は、体動検出部1によって検出された検出情報を記憶したり、通信部3を介して受信した情報を記憶したり、運動情報測定装置10の動作に必要な情報を記憶したりする。
【0024】
音検出部6は、運動情報測定装置10の周囲の音を検出するものであり、例えばマイクロフォンによって構成されている。
【0025】
図2は、図1に示す運動情報測定装置10の制御部2によって実現される機能ブロックを示す図である。この機能ブロックは、記憶部5に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより形成される。
【0026】
図2に示すように、制御部2は、運動情報測定部20と、判定部21と、通信動作状態制御部22と、を備える。
【0027】
運動情報測定部20は、体動検出部1により検出される検出情報に基づいて利用者の運動情報を測定する。この運動情報には、利用者の活動量(歩数、歩行距離、消費カロリー等)及び移動速度等が含まれる。移動速度は、例えば、歩行速度、走行速度等の移動の速さを示す情報である。運動情報としては少なくとも歩数を含む活動量が含まれていればよい。
【0028】
判定部21は、音検出部6により検出された音に基づいて、運動情報測定装置10の周囲における人(利用者以外の人)の存在を判定する。具体的には、判定部21は、音検出部6により検出された音の大きさ(デシベル値)が予め定めた閾値を超え、かつ、当該音の周波数が予め定めた特定周波数域に入る場合に、運動情報測定装置10の周囲に人が存在すると判定する。特定周波数域は、人の声として知られている周波数域が設定される。
【0029】
通信動作状態制御部22は、判定部21による判定結果に基づいて通信部3の動作状態を制御する。具体的には、通信動作状態制御部22は、判定部21により人が存在すると判定された場合に、通信部3の消費電力が第一の値となる動作状態から、通信部3の消費電力が第一の値よりも大きい第二の値となる動作状態へと通信部3の動作状態を移行させる。また、通信動作状態制御部22は、判定部21により人が存在しないと判定された場合に、通信部3の消費電力が第二の値となる動作状態から、通信部3の消費電力が第一の値となる動作状態へと通信部3の動作状態を移行させる。
【0030】
例えば、通信部3の消費電力が第一の値となる動作状態とは、通信部3が停止(電源オフ)した状態であり、通信部3の消費電力が第二の値となる動作状態とは、通信部3が動作(電源オン)している状態である。
【0031】
または、通信部3の消費電力が第一の値となる動作状態は、通信部3が電源オンしているものの、例えば他装置との通信確立に必要な通信処理の実施間隔を長くして消費電力を低くした状態であり、通信部3の消費電力が第二の値となる動作状態とは、この通信処理の実施間隔を短くした状態である。
【0032】
以上のように構成された運動情報測定装置10の動作を説明する。
【0033】
図3は、図1に示す運動情報測定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0034】
運動情報測定装置10の電源がオンになると、音検出部6により周囲の音の検出が行われる(ステップS1)。音の検出が行われると、制御部2は、検出された音の大きさが閾値を超えているか否かを判定する(ステップS2)。
【0035】
検出された音の大きさが閾値を超えていない場合(ステップS2:NO)、制御部2は、運動情報測定装置10の周囲に利用者以外の人が存在しないと判定し(ステップS6)、通信部3の電源をオフにして(ステップS7)、消費電力を低減させる。
【0036】
検出された音の大きさが閾値を超えていた場合(ステップS2:YES)、制御部2は、検出された音の周波数が特定周波数域に入るか否かを判定する(ステップS3)。
【0037】
検出された音の周波数が特定周波数域外である場合(ステップS3:NO)、制御部2は、運動情報測定装置10の周囲に利用者以外の人が存在しないと判定し(ステップS6)、通信部3の電源をオフにして(ステップS7)、消費電力を低減させる。
【0038】
検出された音の周波数が特定周波数域に入っている場合(ステップS3:YES)、制御部2は、運動情報測定装置10の周囲に利用者以外の人が存在すると判定し(ステップS4)、通信部3の電源をオンにして(ステップS5)、他の運動情報測定装置10と通信可能な状態に移行させる。
【0039】
以上のような処理が、運動情報測定装置10の動作中は継続して行われる。運動情報測定装置10の周囲に利用者以外の人の存在がないと判定される状況は、運動情報測定装置10と通信可能な他の運動情報測定装置10が近くに存在していない状況と言える。このため、このような状況のときには通信部3の電源をオフ(消費電力が第一の値の状態)にすることで、運動情報測定装置10の低消費電力化が可能となる。また、運動情報測定装置10の利用者が特別な操作を行わずとも、通信部3の電源オンオフが自動的に行われるため、利用者に負担をかけることなく、低消費電力化を実現することができる。
【0040】
判定部21は、音検出部6で検出された音の周波数に関わらずに、その音の大きさが閾値を超えている場合に、運動情報測定装置10の周囲に人が存在すると判定してもよい。つまり、図3のフローチャートにおいて、ステップS3の処理を省略し、ステップS2の判定がYESのときにステップS4の処理が行われるようにしてもよい。
【0041】
検出された音の大きさが閾値を超える場合は、運動情報測定装置10を装着する利用者が繁華街や移動中の電車内等の人がたくさん存在する場所にいる状況である可能性が高い。このため、このような状況のときにのみステップS4,S5の処理を行うことで、消費電力を削減することができる。
【0042】
また、判定部21は、音検出部6で検出された音の大きさに関わらず、その音の周波数が特定周波数域に入っている場合に、運動情報測定装置10の周囲に人が存在すると判定してもよい。つまり、図3のフローチャートにおいて、ステップS2の処理を省略し、ステップS1の処理の後にステップS3の処理が行われるようにしてもよい。
【0043】
利用者が1人で喋ることは稀であるため、検出された音の周波数が特定周波数域に入っている場合は、運動情報測定装置10の周囲に利用者以外の人が存在する可能性が高い。このため、このような状況と判断されたときにのみステップS4,ステップS5の処理を行うことで、消費電力を削減することができる。
【0044】
なお、図3に示したように、ステップS2の判定がYESでかつステップS3の判定がYESのときに、利用者以外の人が存在すると判定することで、利用者以外の人の存在の判定を高精度に行うことができ、ステップS2とステップS3のいずれかのみを行う動作と比較して、消費電力をより効果的に削減することができる。
【0045】
図4は、図2に示す制御部2の機能ブロックの変形例を示す図である。図4に示す制御部2は、行動識別部23を追加した点を除いては図2に示したものと同じ構成である。
【0046】
行動識別部23は、体動検出部1によって検出される利用者の動きに応じた情報に基づいて、歩く、走る、立つ、座る、寝る、電車やバス等の移動体に乗る、自宅にいる、及び外出中である等の予め定めた行動種別を識別する処理を行う。行動識別部23は、体動検出部1の他に、運動情報測定装置10に設けたGPS(Global Positioning System)受信機等のセンサの情報を利用して行動識別を行うこともできる。
【0047】
例えば、運動情報測定装置10にGPS受信機が搭載されていれば、予め登録した利用者の自宅の位置情報と、GPS受信機で取得した位置情報との一致度を見ることで、利用者が外出中であるか否かの識別を行うことができる。または、行動識別部23は、体動検出部1からの情報に基づき、利用者が継続的な歩行や走行を行っていると判断した場合に、利用者が外出中であることを識別してもよい。
【0048】
図4に示す制御部2の判定部21は、音検出部6により検出された音と、行動識別部23による行動識別結果とに基づいて、運動情報測定装置10の周囲における人の存在を判定する。例えば、判定部21は、行動識別部23による行動識別結果が“外出中”であり、かつ、音検出部6により検出された音の大きさが閾値を超え、かつ、この音の周波数が特定周波数域に入る場合に、運動情報測定装置10の周囲に人が存在すると判定する。
【0049】
図5は、図4に示す制御部2を含む運動情報測定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。図5において図3と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
ステップS3の判定がYESのとき、制御部2は、行動識別処理を行い、利用者の現在の行動を識別する。そして、利用者の行動が外出中でない、つまり利用者が自宅にいる場合(ステップS11:NO)には、制御部2はステップS6以降の処理を行う。ステップS2及びステップS3の判定がYESであっても、ステップS11の判定がNOである場合は、利用者が自宅でテレビ鑑賞等を行っている状況と想定される。このため、通信が必要な相手が周囲にいない状況と判断できる。したがって、このような場合には、通信部3の電源をオフにすることで、消費電力の無駄を省くことができる。
【0051】
ステップS11の判定がYESのとき、制御部2は、ステップS4以降の処理を行う。ステップS2及びステップS3の判定がYESであり、かつ、ステップS11の判定がYESである場合には、利用者の周囲には高い確率で人が存在すると判断できる。このため、このような場合にのみ通信部3の電源をオンにすることで、消費電力の無駄を省くことができる。
【0052】
以上のように、音検出部6により検出される音だけでなく、行動識別結果も加味して、運動情報測定装置10の周囲における利用者以外の人の存在を判定することで、より正確な判定を行うことができ、消費電力をより効果的に削減することができる。外出中は、様々な人とすれ違う可能性が高いため、外出中と判断される場合にのみ通信部3の電源をオンにすることで、在宅中における消費電力の無駄を省くことができる。
【0053】
図5に示すフローチャートにおいても図3のフローチャートと同様に、ステップS2又はステップS3を省略してもよい。
【0054】
図5の動作例では、ステップS11の判定において行動識別結果が外出中のときにステップS4以降の処理を行うものとした。この変形例として、行動識別結果が、例えば歩行、走行、又は移動体に乗車中のいずれかである場合にステップS4以降の処理を行う構成としてもよい。利用者が移動している場合では利用者が多くの人とすれ違う可能性が高い。このため、このような場合にのみステップS4以降の処理を行うことが有効となる。
【0055】
以上の説明では、音検出部6が常時動作するものとした。しかし、制御部2が行動識別処理を行い、行動識別処理の結果が外出中、歩行中、走行中、移動体乗車中等の周囲に人が存在する可能性が高いと想定されるものであった場合にのみ、音検出部6を動作させるようにしてもよい。この場合は、音検出部6が動作した後に、図3のステップS1以降の処理が行われる。この構成により、音検出部6を常時動作させずにすむため、更なる消費電力の削減が可能になる。
【0056】
図2,4に示した各機能ブロックによる処理をコンピュータに実行させるためのプログラムは、このプログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non−transitory)記録媒体に記録されて提供可能である。
【0057】
このような「コンピュータ読取可能な記録媒体」は、たとえば、CD−ROM(Compact Disc−ROM)等の光学媒体や、メモリカード等の磁気記録媒体等を含む。また、このようなプログラムを、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0058】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0059】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0060】
開示された運動情報測定装置は、利用者の動きに応じた情報を検出する検出部と、前記検出部により検出される情報に基づいて利用者の運動情報を測定する運動情報測定部と、利用者の運動情報を測定する機能を有する他装置と近距離無線通信を行うための通信部と、音を検出する音検出部と、前記音検出部により検出された音に基づいて人の存在を判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部の動作状態を制御する通信動作状態制御部と、を備えるものである。
【0061】
開示された運動情報測定装置は、前記判定部は、前記音検出部により検出された音の大きさが閾値を超える場合と、又は、当該音の周波数が特定周波数域に入る場合に、人が存在すると判定するものである。
【0062】
開示された運動情報測定装置は、前記判定部は、前記音検出部により検出された音の大きさが閾値を超え、かつ、当該音の周波数が特定周波数域に入る場合に、人が存在すると判定するものである。
【0063】
開示された運動情報測定装置は、利用者の行動を識別する行動識別部を更に備え、前記判定部は、前記音検出部により検出された音と、前記行動識別部による行動識別結果とに基づいて、人の存在を判定するものである。
【0064】
開示された運動情報測定装置は、前記判定部は、前記行動識別結果が外出中であることを示すものであり、かつ、前記音検出部により検出された音の大きさが閾値を超える場合又は当該音の周波数が特定周波数域に入る場合に、人が存在すると判定するものである。
【0065】
開示された運動情報測定装置は、前記判定部は、前記行動識別結果が外出中であることを示すものであり、かつ、前記音検出部により検出された音の大きさが閾値を超え、かつ、当該音の周波数が特定周波数域に入る場合に、人が存在すると判定するものである。
【0066】
開示された運動情報測定装置は、前記通信動作状態制御部は、前記判定部により人が存在すると判定された場合に、前記通信部の消費電力が第一の値となる動作状態から、前記通信部の消費電力が前記第一の値よりも大きい第二の値となる動作状態へと前記通信部の動作状態を移行させるものである。
【0067】
開示された運動情報測定装置の制御方法は、利用者の動きに応じた情報を検出する検出部と、前記検出部により検出される情報に基づいて利用者の運動情報を測定する運動情報測定部と、利用者の運動情報を測定する機能を有する他装置と近距離無線通信を行うための通信部と、音を検出する音検出部と、を有する運動情報測定装置の制御方法であって、前記音検出部により検出された音に基づいて人の存在を判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記通信部の動作状態を制御するステップと、を備えるものである。
【0068】
開示された運動情報測定装置の制御プログラムは、前記運動情報測定装置の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0069】
10 運動情報測定装置
1 体動検出部
2 制御部
3 通信部
6 音検出部
20 運動情報測定部
21 判定部
22 通信動作状態制御部
23 行動識別部
図1
図2
図3
図4
図5