特許第6398766号(P6398766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398766
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】光配向用偏光光照射装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20180920BHJP
【FI】
   G02F1/1337
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-22688(P2015-22688)
(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公開番号】特開2016-145911(P2016-145911A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2017年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 祥平
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴章
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−174352(JP,A)
【文献】 特許第5648733(JP,B2)
【文献】 特開平05−241118(JP,A)
【文献】 特開2007−102116(JP,A)
【文献】 特開昭62−137827(JP,A)
【文献】 特開2009−283980(JP,A)
【文献】 特開2001−168167(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0353520(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337,1/13,1/137−1/141
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339−1/1341,1/1347
G03F 7/20−7/24,9/00−9/02
H01L 21/30,21/46
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に偏光光を照射する照射領域を有する照射ユニットと;
前記対象物が搭載される第1のステージ及び第2のステージと;
前記第1のステージに前記対象物を搭載する第1の搭載位置から、前記照射領域に隣接する照射開始位置まで前記第1のステージを搬送する第1の搬送路と、前記第2のステージに前記対象物を搭載する第2の搭載位置から前記照射開始位置まで前記第2のステージを搬送する第2の搬送路と、前記照射開始位置に一端が連結されると共に、前記照射領域を通過して前記照射領域に隣接する通過位置まで他端が延び、前記第1のステージ及び前記第2のステージを搬送する第3の搬送路と、を有し、前記第1の搭載位置と前記通過位置との間で、前記第1のステージを前記第1の搬送路及び前記第3の搬送路に沿って往復させると共に、前記第2の搭載位置と前記通過位置との間で、前記第2のステージを前記第2の搬送路及び前記第3の搬送路に沿って往復させる搬送機構と;
を具備
前記第1の搬送路及び前記第2の搬送路の少なくとも一方の搬送路の搬送方向は、前記第3の搬送路の搬送方向と同一平面上で交差する、光配向用偏光光照射装置。
【請求項2】
対象物に偏光光を照射する照射領域を有する照射ユニットと;
前記対象物が搭載される第1のステージ及び第2のステージと;
前記第1のステージに前記対象物を搭載する第1の搭載位置から、前記照射領域に隣接する照射開始位置まで前記第1のステージを搬送する第1の搬送路と、前記第2のステージに前記対象物を搭載する第2の搭載位置から前記照射開始位置まで前記第2のステージを搬送する第2の搬送路と、前記照射開始位置に一端が連結されると共に、前記照射領域を通過して前記照射領域に隣接する通過位置まで他端が延び、前記第1のステージ及び前記第2のステージを搬送する第3の搬送路と、を有し、前記第1の搭載位置と前記通過位置との間で、前記第1のステージを前記第1の搬送路及び前記第3の搬送路に沿って往復させると共に、前記第2の搭載位置と前記通過位置との間で、前記第2のステージを前記第2の搬送路及び前記第3の搬送路に沿って往復させる搬送機構と;
を具備し、
前記第1の搬送路と前記第2の搬送路は、上下方向に並んで配置される、光配向用偏光光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光配向用偏光光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等の製造工程では、液晶パネルの配向膜や視野角補償フィルムの配向層等の対象物の配向処理が行われている。配向処理では、配向膜に所定の波長の偏光光を照射することによって配向を行う、いわゆる光配向を行うために用いる光配向用偏光光照射装置が知られている。
【0003】
この種の光配向用偏光光照射装置としては、例えば、偏光光を照射する照射ユニットと、配向膜が形成された基板が搭載されるステージと、ステージが照射ユニットの照射領域を通過するようにステージを搬送する搬送機構と、を備える構成がある。
【0004】
また、上述した光配向用偏光光照射装置に類似する装置としては、基板が搭載された第1及び第2のステージが、基板に対して露光する露光部を通過するように、第1及び第2のステージを搬送する露光装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−191302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、液晶パネル等の対象物が大型化する傾向にあり、それに伴って、光配向用偏光光照射装置での対象物に対する照射時間が増える。このため、1つの対象物あたりの処理時間(以下、タクトタイムと称する。)が長くなり、生産性の低下を招く問題がある。また、対象物の大型化に伴って、光配向用偏光光照射装置が大型化する問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、タクトタイムの長大化を抑制すると共に、装置全体の設置スペースの増大を抑制することができる光配向用偏光光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る光配向用偏光光照射装置は、対象物に偏光光を照射する照射領域を有する照射ユニットと、前記対象物が搭載される第1のステージ及び第2のステージと、前記第1のステージに前記対象物を搭載する第1の搭載位置から、前記照射領域に隣接する照射開始位置まで前記第1のステージを搬送する第1の搬送路と、前記第2のステージに前記対象物を搭載する第2の搭載位置から前記照射開始位置まで前記第2のステージを搬送する第2の搬送路と、前記照射開始位置に一端が連結されると共に、前記照射領域を通過して前記照射領域に隣接する通過位置まで他端が延び、前記第1のステージ及び前記第2のステージを搬送する第3の搬送路と、を有し、前記第1の搭載位置と前記通過位置との間で、前記第1のステージを前記第1の搬送路及び前記第3の搬送路に沿って往復させると共に、前記第2の搭載位置と前記通過位置との間で、前記第2のステージを前記第2の搬送路及び前記第3の搬送路に沿って往復させる搬送機構と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タクトタイムの長大化を抑制すると共に、装置全体の設置スペースの増大を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置を模式的に示す側面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置を模式的に示す平面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置における第1及び第2のステージの動作を説明するための模式的な平面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置における第1及び第2のステージの動作を説明するための模式的な平面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置における第1及び第2のステージの動作を説明するための模式的な平面図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置における第1及び第2のステージの動作を説明するための模式的な平面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置における第1及び第2のステージの動作を説明するための模式的な平面図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置を模式的に示す平面図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置の変形例を模式的に示す平面図である。
図10図10は、第3の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置を模式的に示す側面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明する実施形態に係る光配向用偏光光照射装置(以下、偏光光照射装置と称する。)1は、照射ユニット10と、第1のステージ11及び第2のステージ12と、搬送機構15とを具備する。照射ユニット10は、対象物に偏光光を照射する照射領域Aを有する。第1のステージ11及び第2のステージ12には、対象物が搭載される。搬送機構15は、第1のステージ11に対象物を搭載する第1の搭載位置P1から、照射領域Aに隣接する照射開始位置P3まで第1のステージ11を搬送する第1の搬送路16を有する。また、搬送機構15は、第2のステージ12に対象物を搭載する第2の搭載位置P2から照射開始位置P3まで第2のステージ12を搬送する第2の搬送路17を有する。また、搬送機構15は、照射開始位置P3に一端が連結されると共に、照射領域Aを通過して照射領域Aに隣接する通過位置P4まで他端が延び、第1のステージ11及び第2のステージ12を搬送する第3の搬送路18を有する。搬送機構15は、第1の搭載位置P1と通過位置P4との間で、第1のステージ11を第1の搬送路16及び第3の搬送路18に沿って往復させると共に、第2の搭載位置P2と通過位置P4との間で、第2のステージ12を第2の搬送路17及び第3の搬送路18に沿って往復させる。
【0012】
また、以下で説明する実施形態に係る第1の搬送路16及び第2の搬送路17の少なくとも一方の搬送路の搬送方向は、第3の搬送路18の搬送方向と同一平面上で交差する。
また、以下で説明する実施形態に係る第1の搬送路と第2の搬送路は、上下方向に並んで配置される。
【0013】
以下、実施形態に係る偏光光照射装置について、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1(a)は、第1の実施形態に係る偏光光照射装置を模式的に示す側面図である。図1(b)は、第1の実施形態に係る偏光光照射装置を模式的に示す側面図である。図2は、第1の実施形態に係る偏光光照射装置を模式的に示す平面図である。本実施形態に係る偏光光照射装置は、例えば、対象物である配向膜に直線偏光光等の偏光光を照射することで、光配向するために用いられる。本実施形態に係る偏光光照射装置は、例えば液晶パネルの配向膜や、視野角補償フィルムの配向膜等の製造に用いられる。
【0015】
(偏光光照射装置の構成)
図1(a)及び(b)に示すように、第1の実施形態の偏光光照射装置1は、照射ユニット10と、第1のステージ11及び第2のステージ12と、搬送機構15と、を備える。
【0016】
照射ユニット10は、対象物としての配向膜が形成された基板9(以下、単に基板9と称する。)に偏光光を照射する照射領域Aを有する。また、照射ユニット10は、紫外線を含む光を発する管状の光源10aと、光源10aが発した光の配向を制御する反射板10bと、を有する。また、照射ユニット10は、光源10aが発した光と、反射板10bで配向が制御された光とが入射して偏光光を出射する偏光素子(不図示)を有する。
【0017】
なお、ここでいう「照射領域A」とは、照射ユニット10の最下面の開口、すなわち、照射ユニット10において、最も対象物に近い位置にある開口を指す。例えば、照射ユニット10の最下面が偏光素子であれば、偏光素子の開口が照射領域Aに該当し、偏光素子よりも対象物側に遮光板(不図示)があれば遮光板の開口が照射領域Aに該当する。更に、遮光板に保護ガラス(不図示)があれば、保護ガラスの開口が照射領域Aに該当する。
【0018】
光源10aは、例えば、紫外線透過性のガラス管内に、水銀、アルゴン、キセノンなどの希ガスが封入された高圧水銀ランプや、高圧水銀ランプに鉄やヨウ素等のメタルハライドが更に封入されたメタルハライドランプ等の管型ランプが用いられており、直線状の発光部を有する。光源10aは、発光部の長手方向が、照射ユニット10に対する各ステージ11,12の搬送方向と直交しており、発光部の長さが、基板9の一辺の長さよりも長くされている。光源10aは、直線状の発光部から、例えば波長が200nmから400nmまでの紫外線を含む光を発することが可能とされている。光源10aが発する光は、さまざまな偏光軸成分を有する、いわゆる非偏光の光である。
【0019】
反射板10bは、光源10aに対向する面に、光源10aが発した光を反射する反射面を有しており、反射面が楕円の一部をなす形状に形成されている。これにより、反射板10bは、光源10aが発した光を集光する、いわゆる集光型の反射板として構成されている。偏光素子は、光源10aが発し、一様にあらゆる方向に振動したさまざまな偏光軸成分を含む光から基準方向のみに振動した偏光軸の光を取り出すことが可能とされている。なお、基準方向のみに振動した偏光軸の光を、一般に直線偏光という。また、偏光軸とは、光の電場及び磁場の振動方向である。
【0020】
第1及び第2のステージ11,12は、矩形状の板状に形成されており、配向膜が形成された基板9が搭載される。図2(a)に示すように、一組の第1及び第2のステージ11,12は、搬送機構15によって移動可能に支持されている。
【0021】
搬送機構15は、図2(a)に示すように、第1のステージ11を搬送する第1の搬送路16と、第2のステージ12を搬送する第2の搬送路17と、第1及び第2のステージ11,12を搬送する第3の搬送路18と、を有する。
【0022】
搬送機構15は、図2(b)に示すように、互いに平行に配置された一組の第1のガイド軸15aと、一組の第1のガイド軸15aに直交すると共に互いに平行に配置された一組の第2のガイド軸15bと、を有する。また、図示しないが、搬送機構15は、第1及び第2のステージ11,12を第1及び第2のガイド軸15a,15bに沿って搬送する駆動機構を有する。第1及び第2の搬送路16,17は、第1のガイド軸15aによって、図1B及び図2AにおけるX軸方向に沿って連続する直線状に構成されている。第3の搬送路18は、第2のガイド軸15bによって、図1A及び図2AにおけるY軸方向に沿って直線状に構成されており、第1及び第2の搬送路16,17の搬送方向に対して直交している。したがって、第1ないし第3の搬送路16,17,18は、同一平面上で全体T字状をなして連結されている。
【0023】
第1の搬送路16は、図1(b)及び図2(b)に示すように、第1のステージ11に基板9を搭載する第1の搭載位置P1から、照射領域Aに隣接する照射開始位置P3まで第1のステージ11を搬送する。第2の搬送路17は、第2のステージ12に基板9を搭載する第2の搭載位置P2から、照射開始位置P3まで第2のステージ12を搬送する。第3の搬送路18は、図1(a)及び図2(b)に示すように、第1の搬送路16及び第2の搬送路17の各端部に一端が連結されることで、照射開始位置P3に一端が連結されている。また、第3の搬送路18は、照射領域Aを通過して照射領域Aに隣接する通過位置P4まで他端が延びている。これにより、第3の搬送路18は、第1のステージ11及び第2のステージ12を搬送する。
【0024】
搬送機構15は、第1の搭載位置P1と通過位置P4との間で、第1のステージ11を第1の搬送路16及び第3の搬送路18に沿って往復させると共に、第2の搭載位置P2と通過位置P4との間で、第2のステージ12を第2の搬送路17及び第3の搬送路18に沿って往復させる。
【0025】
(偏光光の照射時の各ステージの動作)
以上のように構成された偏光光照射装置1について、照射ユニット10に対して第1及び第2のステージ11,12を搬送し、基板9に偏光光を照射する動作について図面を参照して説明する。図3から図7は、第1の実施形態に係る偏光光照射装置における第1及び第2のステージの動作を説明するための模式的な平面図である。
【0026】
まず、図2(a)及び図2(b)に示すように、第1の搭載位置P1に位置する第1のステージ11上に基板9が搭載される。続いて、図3に示すように、第1のステージ11は、搬送機構15によって、第1の搭載位置P1から照射開始位置P3まで第1の搬送路16に沿って搬送される。続いて、第1のステージ11は、搬送機構15によって、照射開始位置P3から、照射ユニット10の照射領域Aを通り、通過位置P4まで第3の搬送路18に沿って搬送される。このとき、第1のステージ11は、照射領域Aを通過することで、基板9の配向膜に所定量の偏光光が照射される。
【0027】
引き続き、図3に示すように、第1のステージ11は、搬送機構15によって、通過位置P4から、照射領域Aを通り、照射開始位置P3まで第3の搬送路18に沿って搬送される。このとき、第1のステージ11は、照射領域Aを再度通過することで、基板9の配向膜に所定量の偏光光が照射されて、偏光光の照射が終了する。したがって、照射開始位置P3は、照射終了位置にも相当している。以下、説明の便宜上、照射開始位置P3を照射終了位置P3とも称する。
【0028】
そして、図4に示すように、第1のステージ11は、照射終了位置P3から第1の搭載位置P1まで第1の搬送路16に沿って搬送される。このとき、第1のステージ11が照射終了位置P3(照射開始位置P3)から第1の搭載位置P1に向かう移動に連動して、第2のステージ12が第2の搭載位置P2から照射開始位置P3に向かって、第2の搬送路17に沿って搬送される。
【0029】
第2のステージ12の搬送を開始するタイミングに関しては、第1のステージ11が照射終了位置P3から第1の搭載位置P1に向かって移動を開始する動作と連動して、第2のステージ12が第2の搭載位置P2から照射開始位置P3に向かって移動を開始する動作が、タクトタイムを短縮する観点で好ましい。なお、必要に応じて、第1のステージ11が照射終了位置P3から第1の搭載位置P1まで戻された後に、第2のステージ12が第2の搭載位置P2から照射開始位置P3に向かって移動を開始してもよい。
【0030】
したがって、第1のステージ11が、照射領域Aを通って第1の搭載位置P1と照射終了位置P3との間を往復する動作中に、第2の搭載位置P2に位置する第2のステージ12上には、基板9が搭載される。
【0031】
続いて、図5に示すように、第2のステージ12は、搬送機構15によって、第2の搭載位置P2から照射開始位置P3まで第2の搬送路17に沿って搬送された後、照射開始位置P3から照射領域Aを通り、通過位置P4まで第3の搬送路18に沿って搬送される。また、第2のステージ12は、搬送機構15によって、通過位置P4から照射領域Aを通り、照射開始位置P3(照射終了位置P3)まで第3の搬送路18に沿って搬送される。このとき、第2のステージ12は、照射領域Aを往復することで、基板9の配向膜に所定量の偏光光が照射される。
【0032】
また、図5に示すように、第2のステージ12が、照射領域Aを通って第2の搭載位置P2と照射終了位置P3との間を往復する動作中に、第1の搭載位置P1に戻された第1のステージ11から、照射が終了した基板9が回収されると共に、第1のステージ11上に、次の基板9が搭載される。
【0033】
引き続き、図6に示すように、第2のステージ12が照射終了位置P3から第2の搭載位置P2まで搬送される動作に連動し、次の基板9が搭載された第1のステージ11は、第1の搭載位置P1から照射開始位置P3に向かって搬送される。
【0034】
上述と同様に、図7に示すように、第1のステージ11は、第1の搭載位置P1から照射開始位置P3まで第1の搬送路16に沿って搬送された後、照射開始位置P3から照射領域Aを通り、通過位置P4まで第3の搬送路18に沿って搬送される。第1のステージ11は、搬送機構15によって、通過位置P4から照射領域Aを通り、照射開始位置P3(照射終了位置P3)まで第3の搬送路18に沿って搬送される。また、上述と同様に、第1のステージ11が、照射領域Aを通って第1の搭載位置P1と照射終了位置P3との間を往復する動作中に、第2の搭載位置P2に戻された第2のステージ12から、照射が終了した基板9が回収されると共に、第2のステージ12上に、次の基板9が搭載される。
【0035】
以降、第1のステージ11上の基板9の配向膜に対する偏光光の照射と、第2のステージ12上の基板9の配向膜に対する偏光光の照射とが、交互に繰り返して行われる。
【0036】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態における搬送機構15は、第1の搭載位置P1から照射開始位置P3まで第1のステージ11を搬送する第1の搬送路16と、第2の搭載位置P2から照射開始位置P3まで第2のステージ12を搬送する第2の搬送路17と、を有する。また、搬送機構15は、照射開始位置P3に一端が連結されると共に、通過位置P4まで他端が延び、第1及び第2のステージ11,12を搬送する第3の搬送路18を有する。そして、搬送機構15は、第1の搭載位置P1と通過位置P4との間で、第1のステージ11を第1及び第3の搬送路16,18に沿って往復させると共に、第2の搭載位置P2と通過位置P4との間で、第2のステージ12を第2及び第3の搬送路17,18に沿って往復させる。
【0037】
これにより、一方のステージ11(12)が、照射終了位置P3から搭載位置P1(P2)まで戻される動作と連動して、他方のステージ12(11)を、搭載位置P2(P1)から照射開始位置P3まで搬送することが可能になる。このため、第1のステージ11の搬送動作の一部と、第2のステージ12の搬送動作の一部とが同時に行われるので、タクトタイムを短縮することができる。換言すれば、第1のステージ11の照射開始位置P3(照射終了位置P3)が、第2のステージ12の照射開始位置P3(照射終了位置P3)と同一の位置になっているので、タクトタイムの長大化を抑制することが可能になる。
【0038】
また、照射ユニットの照射領域の両側に、第1の搭載位置と第2の搭載位置を配置した場合には、第1及び第2のステージを搬送する搬送路が直線状に延びた長尺状になる。しかし、第1の実施形態によれば、照射領域Aの一端側に、第1の搭載位置P1及び第2の搭載位置P2が配置されたことで、長尺状の設置スペース(細長い設置スペース)が必要になることを避けることが可能になる。このため、設置スペースの増大を抑制することが可能になる。
【0039】
したがって、第1の実施形態によれば、タクトタイムの長大化を抑制すると共に、装置全体の設置スペースの増大を抑制ことができる。
【0040】
また、第1の実施形態では、第1及び第2の搬送路16,17の搬送方向が、第3の搬送路18の搬送方向と同一平面上で交差することで、第1及び第2のステージ11,12を上下方向に搬送する機構が不要なので、搬送機構15の複雑化を抑制することが可能になる。
【0041】
以下、他の実施形態の偏光光照射装置について図面を参照して説明する。なお、他の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部材には、第1の実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る偏光光照射装置を模式的に示す平面図である。第2の実施形態は、第1のステージ11を搬送する第1の搬送路の配置、及び第2のステージ12を搬送する第2の搬送路の配置が、第1の実施形態と異なる。
【0043】
図8に示すように、第2の実施形態の偏光光照射装置2は、第1のステージ11を搬送する第1の搬送路26と、第2のステージ12を搬送する第2の搬送路27と、第1及び第2のステージ11,12を搬送する第3の搬送路28と、を有する。第1、第2及び第3の搬送路26,27,28は、直線状に構成されている。
【0044】
第3の搬送路28は、第1の搬送路26及び第2の搬送路27に一端が連結されると共に、通過位置P4まで他端が延びている。第2の搬送路27と第3の搬送路28は、直線状に連続するように連結されている。第1の搬送路26は、同一平面上において、第2及び第3の搬送路27,28の搬送方向に直交するように、第3の搬送路28に連結されている。
【0045】
(第2の実施形態の効果)
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、タクトタイムの長大化を抑制すると共に、装置全体の設置スペースの増大を抑制することができる。
【0046】
また、第2の実施形態においても、第1及び第2の搬送路26,27の搬送方向が、第3の搬送路28の搬送方向と同一平面上で交差することで、第1及び第2のステージ11,12を上下方向に搬送する機構が不要なので、搬送機構15を簡素に構成することが可能になる。
【0047】
第2の実施形態では、第1の搭載位置P1と、第2の搭載位置P2とが近接して配置される。このような構成を採ることで、第1の搭載位置P1で第1のステージ11に対象物を搭載する対象物搭載機機構(不図示)と、第2の搭載位置P2で第2のステージ12に対象物を搭載する対象物搭載機構(不図示)とを共通化することができるので、対象物搭載機構の増大を抑制することができる。
【0048】
なお、第2の実施形態では、2つの第1及び第2のステージ11,12を搬送するように構成されたが、必要に応じて、3つ以上のステージを搬送するように構成されてもよい。この場合、例えば、第2の実施形態において、第1のステージ11における第1の搭載位置P1に対向する位置に、第3のステージにおける第3の搭載位置や、第3のステージを搬送する搬送路が配置されてもよい。
【0049】
(第2の実施形態の変形例)
図9は、第2の実施形態の変形例に係る偏光光照射装置を模式的に示す平面図である。第2の実施形態の変形例は、第2のステージ12を搬送する第2の搬送路の配置が、第2の実施形態と異なる。
【0050】
図9に示すように、第2の実施形態の変形例の偏光光照射装置3は、第1のステージ11を搬送する第1の搬送路36と、第2のステージ12を搬送する第2の搬送路37と、第1及び第2のステージ11,12を搬送する第3の搬送路38と、を有する。第1、第2及び第3の搬送路36,37,38は、直線状に構成されている。
【0051】
第3の搬送路38は、第1の搬送路36及び第2の搬送路37に一端が連結されると共に、通過位置P4まで他端が延びている。また、第1、第2及び第3の搬送路36,37,38は、照射開始位置P3(照射終了位置P3)を中心として、互いに交差する方向に放射状に延ばされて、一端が互いに連結されている。したがって、第1、第2及び第3の搬送路36,37,38は、同一平面上で全体Y字状をなして連結されている。
【0052】
(第2の実施形態の変形例の効果)
第2の実施形態の変形例においても、第2の実施形態と同様に、タクトタイムの長大化を抑制することができる。
【0053】
また、第2の実施形態の変形例においても、第1及び第2の搬送路36,37の搬送方向が、第3の搬送路38の搬送方向と同一平面上で交差することで、第1及び第2のステージ11,12を上下方向に搬送する機構が不要なので、搬送機構15の複雑化を抑制することが可能になる。
【0054】
第2の実施形態の変形例においても、第1の搭載位置P1と、第2の搭載位置P2とが近接して配置される。このような構成を採ることで、第1の搭載位置P1で第1のステージ11に対象物を搭載する対象物搭載機機構(不図示)と、第2の搭載位置P2で第2のステージ12に対象物を搭載する対象物搭載機構(不図示)とを共通化することができるので、対象物搭載機構の増大を抑制することができる。
【0055】
(第3の実施形態)
図10(a)は、第3の実施形態に係る偏光光照射装置を模式的に示す側面図である。図10(b)は、第3の実施形態に係る偏光光照射装置を模式的に示す平面図である。第3の実施形態は、第1のステージ11を搬送する第1の搬送路の配置、及び第2のステージ12を搬送する第2の搬送路の配置が、第1及び第2の実施形態と異なる。
【0056】
図10(a)及び図10(b)に示すように、第3の実施形態の偏光光照射装置4は、第1のステージ11を搬送する第1の搬送路46と、第2のステージ12を搬送する第2の搬送路47と、第1及び第2のステージ11,12を搬送する第3の搬送路48と、を有する。第1、第2及び第3の搬送路46,47,48は、直線状に構成されている。
【0057】
第3の搬送路48は、第1の搬送路46及び第2の搬送路47に一端が連結されると共に、通過位置P4まで他端が延びている。図10(a)に示すように、第1の搬送路46と第2の搬送路47とが、上下方向に並んで配置されている。言い換えれば、第1の搭載位置P1に位置する第1のステージ11と、第2の搭載位置P2に位置する第2のステージ12は、上下方向において並んで配置されている。また、第1及び第2の搬送路46,47は、図10(b)に示すように、第3の搬送路48に、直線状に連続するように連結されている。
【0058】
また、第1の搬送路46と第2の搬送路47は、第1及び第2のステージ11,12の搭載面に対向する方向から見たときに重なるように配置されており、装置全体の設置スペースが削減されている。なお、第1の搬送路46と第2の搬送路47は、配置の制約や搬送機構の簡素化等の必要に応じて、第1及び第2のステージ11,12の搭載面に対向する方向から見たときに重ならない位置に配置されてもよい。
【0059】
(第3の実施形態の効果)
第3の実施形態は、第1の搬送路46と第2の搬送路47とが、上下方向に並んで配置されているので、第1及び第2の実施形態と比べて、装置全体の設置スペースを更に小さくし、設置スペースの増大を更に抑制ことができる。すなわち、第3の実施形態は、水平方向に対する設置スペースを確保することが難しい場合に好ましく、水平方向である設置面内方向に対して設置スペースの増大を更に抑制することが可能になる。
【0060】
また、第3の実施形態においても、第1または第2の実施形態と同様に、タクトタイムの増大を抑制することができる。
【0061】
なお、上述した各実施形態では、直線状に構成された第1ないし第3の搬送路が連結されて構成されたが、この構成に限定するものではない。例えば、第1の搬送路及び第2の搬送路の少なくとも一方と、第3の搬送路の一端とが、弧状に曲げられて連結されてもよい。第1の搬送路と第3の搬送路、第2の搬送路と第3の搬送路とを滑らかに連結することで、搬送動作の円滑性が高められてもよい。
【0062】
また、第1のステージ及び第2のステージは、第1の搭載位置P1及び第2の搭載位置P2で対象物を搭載後、位置出しを行う、いわゆるアライメント機構を有していてもよい。
【0063】
第1のステージ及び第2のステージは、複数のピンや可動部が設けられており、複数のピンや可動部が昇降することによって、対象物を第1のステージ及び第2のステージに搭載する搭載機構を有していてもよい。
【0064】
上述した各実施形態では、1つの照射ユニット10のみを有して構成されたが、この構成に限定するものではない。例えば、複数の照射ユニット10が、第3の搬送路の搬送方向に沿って所定の間隔を開けて複数設けられてもよい。この場合、照射領域Aは、複数の照射ユニット10の直下のみならず、一端側に配置された照射ユニット10の最下面の開口の一端から、他端側に配置された照射ユニット10の最下面の開口の他端までの間の領域としてよい。
【0065】
本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、本発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 偏光光照射装置
9 基板
10 照射ユニット
10a 光源
11 第1のステージ
12 第2のステージ
15 搬送機構
15a 第1のガイド軸
15b 第2のガイド軸
16 第1の搬送路
17 第2の搬送路
18 第3の搬送路
A 照射領域
P1 第1の搭載位置
P2 第2の搭載位置
P3 照射開始位置(照射終了位置)
P4 通過位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10