特許第6398791号(P6398791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398791
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】蛍光光源装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20180920BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20180920BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20180920BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20180920BHJP
   H01S 5/02 20060101ALI20180920BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20180920BHJP
   G02B 5/10 20060101ALI20180920BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180920BHJP
【FI】
   F21S2/00 340
   F21V9/08 100
   F21V9/32
   F21V7/28 240
   H01S5/02
   G02B5/02 C
   G02B5/10
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-39935(P2015-39935)
(22)【出願日】2015年3月2日
(65)【公開番号】特開2016-162579(P2016-162579A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100078754
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】蕪木 清幸
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−150041(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/020728(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/196015(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 7/28
F21V 9/08
F21V 9/32
G02B 5/02
G02B 5/10
H01S 5/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を励起光として放射する励起光源と、当該励起光源からのレーザ光を受けてレーザ光入射側に蛍光を発する蛍光体と、当該蛍光体から放射された蛍光を反射する凹面反射鏡と、当該凹面反射鏡で反射された光を透過する窓部材とを具備した蛍光光源装置において、
前記レーザ光に青色光を混合する青色混合機構を備えており、前記凹面反射鏡および前記窓部材の少なくとも一方が前記レーザ光の波長領域の光を遮断する光遮断特性を有し、前記蛍光体の励起光入射面が、前記レーザ光に混合される青色光を反射すると共に拡散する特性を有することを特徴とする蛍光光源装置。
【請求項2】
前記蛍光体の励起光入射側に、前記レーザ光に混合される青色光を反射するレーザ光透過性フィルタが設けられ、且つ、当該レーザ光透過性フィルタと前記凹面反射鏡との間に前記レーザ光に混合される青色光を拡散する青色光拡散部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光光源装置。
【請求項3】
前記窓部材は、前記レーザ光の波長領域の光を遮断する光遮断特性を有する光学膜を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蛍光光源装置。
【請求項4】
前記凹面反射鏡は、前記レーザ光の波長領域の光を遮断する光遮断特性を有する光学膜を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の蛍光光源装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蛍光光源装置を備えてなることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光で蛍光体を励起させて蛍光を取り出す蛍光光源装置および当該蛍光光源装置を備えてなる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば照明用の光源として蛍光光源装置を利用する技術が知られている。蛍光光源装置は、例えば半導体レーザなどの固体光源の光によって蛍光体を励起させて当該蛍光体から発せられる光を出射するものである。
【0003】
このような蛍光光源装置としては、例えば、励起光としてのレーザ光を、反射鏡の頂部側から入射させて励起光入射面と蛍光放射面を同一にした蛍光板に照射して蛍光体を励起させ、これにより蛍光体から発せられる蛍光を反射鏡によって反射して出射する構成のものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
また、青領域の波長範囲の光と蛍光とを混色させて擬似白色光を得る技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−150041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上記の蛍光光源装置においては、青領域の波長範囲の光である励起光としてのレーザ光と、蛍光体からの蛍光とが混色されて白色光が出射される。しかしながら、このような蛍光光源装置を例えば一般照明などの照明用の光源として用いる場合には、レーザ光が外部に放射されるため危険であり、安全上の問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、必要な安全性を確保しつつ、白色光を照射することのできる蛍光光源装置および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蛍光光源装置は、レーザ光を励起光として放射する励起光源と、当該励起光源からのレーザ光を受けてレーザ光入射側に蛍光を発する蛍光体と、当該蛍光体から放射された蛍光を反射する凹面反射鏡と、当該凹面反射鏡で反射された光を透過する窓部材とを具備した蛍光光源装置において、
前記レーザ光に青色光を混合する青色混合機構を備えており、前記凹面反射鏡および前記窓部材の少なくとも一方が前記レーザ光の波長領域の光を遮断する光遮断特性を有し、前記蛍光体の励起光入射面が、前記レーザ光に混合される青色光を反射すると共に拡散する特性を有することを特徴とする。
【0009】
さらにまた、本発明の蛍光光源装置においては、前記蛍光体の励起光入射側に、前記レーザ光に混合される青色光を反射するレーザ光透過性フィルタが設けられ、且つ、当該レーザ光透過性フィルタと前記凹面反射鏡との間に前記レーザ光に混合される青色光を拡散する青色光拡散部材が設けられた構成とされていることが好ましい。
【0010】
さらにまた、本発明の蛍光光源装置においては、前記窓部材は、前記レーザ光の波長領域の光を遮断する光遮断特性を有する光学膜を有するものであることが好ましい。
【0011】
さらにまた、本発明の蛍光光源装置においては、前記凹面反射鏡は、前記レーザ光の波長領域の光を遮断する光遮断特性を有する光学膜を有する構成とされていることが好ましい。
【0012】
本発明の照明装置は、上記の蛍光光源装置を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の蛍光光源装置によれば、蛍光体を励起するレーザ光を外部に放射させることなく、青色混合機構による青色光と蛍光体からの蛍光とを混合させることにより白色光を得ることができる。
また、レーザ光が外部に放射されないので、一般照明等にも利用可能な安全性の高い蛍光光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の蛍光光源装置の一例における構成を概略的に示す正面図である。
図2図1におけるA−A線断面図である。
図3図1に示す蛍光光源装置の一部を示す拡大断面図である。
図4】本発明の蛍光光源装置の他の例における光学系の構成を概略的に示す説明図である。
図5】本発明の蛍光光源装置を用いた照明装置の一例における光学系の構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す正面図である。図2は、図1におけるA−A線断面図である。図3は、図1に示す蛍光光源装置の一部を示す拡大断面図である。
この蛍光光源装置は、励起光源10からの励起光としてのレーザ光を受けてレーザ光入射側に蛍光を発する蛍光体15を備えている。蛍光体15は、例えばセリウム付活のYAG蛍光体(ピークの発光波長:550nm付近)よりなる蛍光板により構成されており、筒状の蛍光体保持部材20によって保持されている。蛍光体15の保持構造については後述する。
【0016】
蛍光体保持部材20は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの熱伝導性材料よりなり、円筒状の基体部分(リム)21と、この基体部分21の内周面から蛍光体保持部材20の中心軸Cに向かって延びる、蛍光体15の排熱用伝熱路を構成する複数の導熱部分(スポーク)22とを有する。
各々の導熱部分22は、例えば、蛍光体保持部材20の中心軸(基体部分11の中心軸)Cに沿って延びる平板状の導熱板23により構成されている。この例においては、2枚の導熱板23が蛍光体保持部材20の中心軸Cを対称軸とする軸対称位置に配置されている。各導熱板23は、径方向における内端部が互いに接合されており、蛍光体保持部材20の中心軸C上において例えば柱状の蛍光体保持部23aを構成している。また、各導熱板23の径方向における外端部は、基体部分21の内周面に一体に接合されて熱的に接続されている。なお、蛍光体保持部材20は、基体部分21を形成する材料と、導熱部分22を形成する各導熱板23を接合して一体化されたものとされているが、例えば鋳造等により一体成型したものであってもよい。
【0017】
導熱板23の厚みおよび軸方向の長さ寸法は、導熱板23それ自体による光損失の程度を小さく抑制しながら、一定以上の排熱量(伝熱量)が得られるよう設定することができる。例えば、導熱板23の厚みは、2mm以上5mm以下の大きさとされていることが好ましく、また、導熱板23の軸方向の長さ寸法は、7〜20mmの範囲内の大きさとされていることが好ましい。これにより、蛍光体15の温度上昇に伴う温度消光によって蛍光体15から発せられる蛍光の光量が低下することを回避することができる。
【0018】
蛍光体保持部23aの一側面には、例えば銅(Cu)とモリブデン(Mo)との焼結体により構成された蛍光体支持基板17が設けられ、この蛍光体支持基板17の一面上に蛍光体15が設けられている。蛍光体保持部材20の一側面と蛍光体支持基板17の他面、並びに、一面が励起光入射面(蛍光放射面)16とされた蛍光体15の他面と蛍光体支持基板17の一面は、例えばSn−Ag−Cu合金などのハンダ(不図示)によって互いに接合されて熱的に接続されている。
【0019】
蛍光体保持部材20の一端には、蛍光体15から放射された蛍光を反射する凹面反射鏡30を保持する反射鏡保持部材40が設けられている。反射鏡保持部材40は、蛍光体保持部材20の中心軸Cに沿って延びる円筒状部41と、この円筒状部41の他端に形成された内方フランジ部42とを有する。反射鏡保持部材40は、内方フランジ部42の外面が蛍光体保持部材20の一端面に対接された状態で、蛍光体保持部材20と一体に設けられている。
【0020】
凹面反射鏡30は、その反射面31が蛍光体15の励起光入射面16と対向した状態で、開口端面が内方フランジ部42の平坦な内面に対接されて、配置されている。凹面反射鏡30としては、例えば楕円面鏡あるいは放物面鏡を用いることができる。凹面反射鏡30の光軸OM は、蛍光体保持部材20の中心軸C上に位置されており、凹面反射鏡30の焦点(楕円面鏡である場合は、第一焦点)は、蛍光体15の励起光入射面16上に位置されている。ここに、内方フランジ部42の内面は、反射鏡位置規定面NS として設定されている。蛍光体15の励起光入射面16と、反射鏡位置規定面NS との軸方向の離間距離は、例えば20〜75mmの範囲内の大きさとされている。
凹面反射鏡30の中央部には、光導入用開口部32が形成されており、この光導入用開口部32には、集光レンズ35が設けられている。集光レンズ35は、光軸が蛍光体保持部材20の中心軸Cに一致し、焦点が蛍光体15の励起光入射面16上に位置された状態で配置されている。
【0021】
凹面反射鏡30は、励起光源10からのレーザ光の波長領域の光を遮断する光遮断特性を有する光学膜を基材の内面、または、外面に有するものであることが好ましい。
凹面反射鏡30は、例えば、レーザ光の波長領域の光を吸収する膜が、基材の反射面31に形成されている。さらに、レーザ光の波長領域の光を透過し、蛍光を反射するように設計された光学膜としての多層膜を基材の表面に蒸着したものにより構成されている。基材としては、例えば、AlやNiなどの金属、硝子、プラスチックなどを例示することができる。
尚、上記例では、凹面反射鏡30の内面にレーザ光の波長領域の光を遮断するまたは吸収する膜を形成する構成のものを示したが、レーザ光の波長領域の光を反射しない硝子やプラスチックの基材の場合には、基材裏面にレーザ光の波長領域の光を吸収する吸収層を設けることもできる。
【0022】
凹面反射鏡30の背面側には、放熱部材45が設けられている。放熱部材45は、蛍光体保持部材20の中心軸Cに沿って延びる筒状部46と、この筒状部46の外周面に放射状に設けられた複数の板状の放熱フィン47とを有する。各放熱フィン47の内側面は、蛍光体保持部材20の中心軸Cを中心とする円柱状空間の外周縁に沿って配置されている。放熱部材45は、各放熱フィン47の先端面は凹面反射鏡30の背面に当接した状態で、先端部が反射鏡保持部材40によって保持固定されている。
放熱部材45における筒状部46の他端側開口部には、コリメータレンズ12がその光軸が蛍光体保持部材20の中心軸Cに一致する状態で設けられている。
【0023】
また、放熱部材45における筒状部46の一端側開口部には、レーザ光を励起光として放射する励起光源10が設けられている。励起光源10は、例えば発振波長が440〜455nmのレーザ光を放射する半導体レーザ素子(LD素子)11を備えたレーザ光源により構成されている。半導体レーザ素子11は、光軸が蛍光体保持部材20の中心軸Cに一致する状態で、放熱部材45の筒状部46に保持固定されている。
【0024】
蛍光体保持部材20における他端側開口端面には、円板状の窓部材28が収容されて配置される凹所よりなる窓部材保持部24が形成されている。窓部材28は、その外周面と窓部材保持部24の内周面との間に形成された間隙に注入された接着剤(図示せず)によって、外周面が全周にわたって蛍光体保持部材20に対して接合されている。接着剤としては、例えば耐熱性を有するセラミック接着剤を用いることができる。更に、接着剤が硬化されてなる接着剤層の表面が例えばシリコーン樹脂でシーリングされた構成とされていてもよい。
【0025】
窓部材28は、励起光源からのレーザ光の波長領域の光を遮断する光遮断特性を有する光学膜を有するものであることが好ましい。
窓部材28は、例えば、レーザ光の波長領域の光を反射するように設計された光学膜としての多層膜を基材の表面に蒸着したものにより構成されている。基材としては、例えば、蛍光領域の透過率の高い白板硝子や耐光処理を施したプラスチックなどを例示することができる。
【0026】
而して、上記の蛍光光源装置においては、励起光源10からのレーザ光(以下、「LD光」ともいう。)に、白色光を形成するための青色光を混合する青色混合機構50を備えている。
青色混合機構50は、青色LED光源51と、青色LED光源51からの光を、励起光源からのLD光に合成するためのダイクロイックミラー55とを備えている。
【0027】
青色LED光源51は、LED基板52と、このLED基板52の一面に設けられた、ピーク波長が460〜485nmの波長範囲内にある光(以下、「LED光」ともいう。)を放射するLED発光素子53と、LED基板52の他面に設けられた放熱基板54と、LED発光素子53から放射されたLED光を平行光化するコリメータレンズ58とを備えている。
青色LED光源51は、放熱部材45を構成する一部の放熱フィン47に形成された光源保持部(図示せず)において、LED発光素子53の光軸が励起光源10の光軸に対してほぼ直交して延びる姿勢で、放熱基板54が放熱フィン47に熱的に接続されて配置されている。
【0028】
ダイクロイックミラー55は、例えば460〜495nmの波長範囲の光を反射し、その他の波長範囲の光を透過する波長選択特性、すなわち励起光源からのLD光を透過し、青色LED光源51からのLED光を反射する波長選択特性を有する。
このダイクロイックミラー55は、放熱部材45を構成する各放熱フィン47の内側面によって形成された円柱状空間部において、LD光入射面およびLD光出射面(LED光入射面)が励起光源10の光軸に対して傾斜した状態で配置されている。
【0029】
また、蛍光体15の励起光入射側には、励起光源10からのLD光に混合される青色光(LED光)を反射するレーザ光透過性フィルタ60が設けられ、且つ、レーザ光透過性フィルタ60と凹面反射鏡30との間に、青色光(LED光)を拡散反射する青色光拡散部材65が配置されている。
具体的には、蛍光体15の励起光入射面16側に、LD光、LED光および蛍光体から発せられる蛍光について光透過性を有する板状の基材68が、スペーサ部材69を介して蛍光体15の励起光入射面16と平行に延びるよう配置されており、この基材68の一面に青色光拡散部材65が設けられていると共に基材68の他面にレーザ光透過性フィルタ60が設けられている。レーザ光透過性フィルタ60および青色光拡散部材65は、蛍光体15と励起光源10との間の光路上に位置されている。
【0030】
基材68を構成する材料としては、例えば、石英硝子やホウケイ酸硝子、または、アルミナ等の透光性のセラミックスなどを用いることができる。
スペーサ部材69を構成する材料としては、例えば厚み50μmのステンレス鋼などの金属材料を用いることができる。
【0031】
レーザ光透過性フィルタ60は、例えば455〜500nmの波長範囲の光を反射し、他の波長範囲の光を透過する、すなわち青色LED光源51からのLED光を反射し、励起光源10からのLD光を透過する波長選択特性を有するものである。レーザ光透過性フィルタ60は、例えばZrO2 +SiO2 、または、Ta2 5 +SiO2 等の誘電体多層膜により構成されている。
【0032】
青色光拡散部材65は、励起光源10からのLD光については透過性を有するものであって、例えば、部材表面にμmレベルの微細な凹凸面を形成したものや曲面により構成されている。
【0033】
上記構成の蛍光光源装置においては、励起光源10からのLD光BLD は、コリメータレンズ12によって平行化されてダイクロイックミラー55に入射される。なお、図2においては、LD光BLD の光線追跡線を実線で示している。
ダイクロイックミラー55は、上述したように、レーザ光について透過する波長選択特性を有することから、励起光源10からのLD光BLD はダイクロイックミラー55を透過して集光レンズ35に入射される。集光レンズ35に入射されたLD光BLD は当該集光レンズ35によって集光されて蛍光体15の励起光入射面16に照射される。このとき、図3に示すように、LD光(実線で示す光線追跡線)BLD は、青色光拡散部材65、基材68およびレーザ光透過性フィルタ60を透過する。
励起光としてのLD光BLD が蛍光体15に照射されることにより蛍光体15における蛍光物質が励起されて励起光入射面16から蛍光(二点鎖線で示す光線追跡線)YF が発せられる。蛍光体15からの蛍光YF は、凹面反射鏡30によって反射される。
【0034】
一方、青色LED光源51からのLED光(青色光)BLED は、コリメータレンズ58によって平行化されてダイクロイックミラー55に入射される。なお、図2においては、LED光(青色光)BLED の光線追跡線を破線で示している。
ダイクロイックミラー55は、上述したように、LED光(青色光)BLED について反射する波長選択特性を有することから、青色LED光源51からのLED光BLED はダイクロイックミラー55によって蛍光体保持部材20の中心軸Cに沿った方向に反射されて集光レンズ35に入射される。集光レンズ35に入射されたLED光BLED は、当該集光レンズ35によって集光されて、図3に示すように、青色光拡散部材65によって拡散反射される。また、青色光拡散部材65に入射されたLED光BLED の一部は、青色光拡散部材65および基材68を透過するが、当該透過LED光TBLED は、レーザ光透過性フィルタ60によって反射される。
【0035】
そして、青色光拡散部材65によって拡散反射されたLED光BLED およびレーザ光透過性フィルタ60によって反射されたLED光BLED は、凹面反射鏡30によって反射されて蛍光体15からの蛍光YF と混合されて白色光として窓部材28を介して照射される。また、励起光源10からのLD光BLD は、蛍光体15の励起に寄与しなかった一部が蛍光体15によって反射されることになる。然るに、凹面反射鏡30および窓部材28の一方または両方がLD光BLD を遮断する光遮断特性を有するものであることから、LD光BLD は、凹面反射鏡30によって吸収され、もしくは、凹面反射鏡30によって反射されたLD光BLD が窓部材28によって反射されるので、蛍光体15で反射されたLD光BLD が直接的に外部に放射されることが回避される。
【0036】
一方、励起光としてのLD光BLD が照射されることにより蛍光体15に生じた熱は、蛍光体保持部材20における各々の導熱板23を介して基体部分21に伝熱され、蛍光体保持部材20の外周面が放熱面として機能して放熱されると共に放熱部材45によって外部に放熱される。
【0037】
而して、上記の蛍光光源装置によれば、蛍光体15を励起するレーザ光を外部に放射させることなく、青色LED光源51による青色光であるLED光BLED と蛍光体15からの蛍光YF とを混合させることにより白色光を得ることができるので、蛍光光源装置は、必要な安全性が確保されながら、白色光を照射することのできるものとなる。従って、例えば、一般照明用の照明装置の光源として利用可能な安全性の高い蛍光光源装置を提供することができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
図4は、本発明の蛍光光源装置の他の例における光学系の構成を概略的に示す説明図である。
この蛍光光源装置においては、青色混色機構50を構成する青色LED光源51がその光軸が蛍光体保持部材20の中心軸Cと一致する状態で配置され、励起光源10がその光軸が蛍光体保持部材20の中心軸Cに対して直交して延びる姿勢で、配置された構成とされている。
ダイクロイックミラー55としては、例えば460〜490nmの波長範囲の光を透過し、その他の波長範囲の光を反射する波長選択特性、すなわち青色LED光源51からのLED光BLED を透過し、励起光源10からのLD光BLD を反射する波長選択特性を有するものが用いられている。
【0039】
また、本発明の蛍光光源装置を構成する青色混色機構は、複数個の青色LED光源を備えた構成とされていてもよい。
【0040】
本発明の蛍光光源装置は、上述したように、一般照明用の照明装置、例えばスポット光を照射するライトアップ用の照明装置などの光源として使用することができる。図5は、本発明の蛍光光源装置を用いた照明装置の一例における光学系の構成を概略的に示す説明図である。
この照明装置においては、上記の蛍光光源装置から照射される白色光(青色光と蛍光とによる擬似白色光)が光ファイバ70に入射され、例えば光ファイバ70から出射されるスポット光を照射する構成とされている。
【0041】
この蛍光光源装置における励起光源10は、互いに同一の発振波長のレーザ光を出射する複数のレーザ光源10aと、各々のレーザ光源10aに対応する複数の反射ミラー13とにより構成されている。各々のレーザ光源10aは、例えば発振波長が440〜455nmのレーザ光(LD光BLD )を放射する半導体レーザ素子(LD素子)11と、コリメータレンズ12とを備えている。各々の反射ミラー13は、各々のレーザ光源10aからのLD光BLD をレーザ光源10aの光軸に直交する方向に照射幅を狭めて反射するものであって、LD光入射面がレーザ光源10aの光軸に対して傾斜した状態で、レーザ光源10aの光軸方向に互いに変位した位置に(階段状に)配置されている。
また、励起光源10からのLD光BLD を蛍光体保持部材20の中心軸Cに沿った方向に反射する第二の反射ミラー14が配置されている。
【0042】
この蛍光光源装置における凹面反射鏡30は、例えば楕円面鏡により構成されており、この楕円面鏡の第一焦点に蛍光体15の励起光入射面16が配置されていると共に第二焦点に光ファイバ70の入射端面71が配置されている。
【0043】
このような照明装置によれば、蛍光光源装置から照射される白色光は、青色LED光源51によるLED光BLED と蛍光体15から発せられる蛍光YF とが混合されて得られるものであるので、高い安全性が得られ、例えば一般照明用の照明装置として利用することができるようになる。
【符号の説明】
【0044】
10 励起光源
10a レーザ光源
11 半導体レーザ素子
12 コリメータレンズ
13 反射ミラー
14 第二の反射ミラー
15 蛍光体
16 励起光入射面(蛍光放射面)
17 蛍光体支持基板
20 蛍光体保持部材
21 基体部分(リム)
22 導熱部分(スポーク)
23 導熱板
23a 蛍光体保持部
24 窓部材保持部
28 窓部材
30 凹面反射鏡
31 反射面
32 光導入用開口部
35 集光レンズ
40 反射鏡保持部材
41 円筒状部
42 内方フランジ部
45 放熱部材
46 筒状部
47 放熱フィン
50 青色混合機構
51 青色LED光源
52 LED基板
53 LED発光素子
54 放熱基板
55 ダイクロイックミラー
58 コリメータレンズ
60 レーザ光透過性フィルタ
65 青色光拡散部材
68 基材
69 スペーサ部材
70 光ファイバ
71 入射端面
C 蛍光体保持部材の中心軸
S 反射鏡位置規定面
M 凹面反射鏡の光軸
図1
図2
図3
図4
図5