【実施例】
【0111】
以下、本発明をより具体的にかつ明確に説明するために、本発明を実施例及び比較例の対照において説明し、本発明の構成要件の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。
なお、以下の諸例において、錯体合成工程、触媒合成工程及び重合工程は、全て精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は、脱水した後に精製窒素でバブリングして脱気して使用した。
また、実施例における物性測定、分析等は、前述した方法と下記の方法に従ったものである。
【0112】
(1)MFRの測定:
ポリマー6gに熱安定剤(BHT)のアセトン溶液(0.6重量%)6gを添加した。
次いで、上記のポリマーを乾燥した後、メルトインデクサー(230℃)に充填し、2.16Kg荷重の条件下に5分間放置した。その後、ポリマーの押し出し量を測定し、10分間当たりの量に換算し、MFRの値とした(単位はdg/min)。
【0113】
(2)融点(Tm)の測定:
DSC(デュポン社製のTA2000型、又はセイコー・インスツルメンツ社製のDSC6200型)を使用し、10℃/分で20〜200℃までの昇降温を1回行った後、10℃/分で2回目の昇温時の測定値により求めた。
【0114】
(3)CFCの測定:
上記明細書中に、詳述した方法による。
【0115】
[実施例1]
メタロセン錯体A:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]ジルコニウムの合成
(1−1)4−ブロモ−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンの合成
4−ブロモ−3,5,6,7−テトラヒドロ−2H−s−インダセン−1−オン(45g)を塩化アルミニウム(81g)とクロロホルム(300mL)の懸濁溶液に加えた。室温で1時間攪拌後、氷浴冷却下で臭素(13mL)のクロロホルム溶液(40mL)を滴下し、室温で昼夜反応させた。反応終了後、1N塩酸−氷水に流し込み攪拌した。有機層を分液し、1N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、ジエチルエーテルで抽出して黄色固体(26g)を得た。続いて、得られた固体をエタノールに溶解させ、氷浴冷却下水素化ホウ素ナトリウム(4g)を加えて室温で昼夜攪拌した。反応後、減圧下溶媒を約半分留去し、1N塩酸を加えてクエンチ後エーテル抽出した。有機層を水、飽和食塩水と続けて洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下溶媒を留去した。さらに得られた黄色固体(27g)とp−トルエンスルホン酸(0.5g)のトルエン(150mL)の懸濁液を加熱還流した。1時間後、水を加えて有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を留去して、4−ブロモ−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンの粗生成物24.3gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ2.0−2.2(m,2H),2.9−3.1(m,4H),3.33(s,2H),6.52(d,1H),6.85(d,1H),7.51(s,1H).
【0116】
(1−2)4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンの合成
500mL三口フラスコに4−ブロモ−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5.0g,21mmol)、フェニルボロン酸(3.1g,25mmol)、りん酸カリウム・n水和物(10.6g,43mmol)、酢酸パラジウム(0.16g,0.70mmol)、ジシクロヘキシルビフェニリルホスフィン(0.46g,1.3mmol)およびトルエン(400mL)を加え、1時間加熱還流した。
得られた溶液を分液・溶媒留去すると、4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5.0g,22mmol)の黄褐色油状物を定量的に得た。
【0117】
(1−3)6−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンの合成
300mLナスフラスコに4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5.0g,22mmol)、ジメチルスルホキシド(50mL)および水(1.5mL)を入れ、氷冷しながらN−ブロモスクシンイミド(6.3g,35mmol)を徐々に加え、室温で3時間攪拌した。室温でトルエン(200mL)および水(100mL)を加え、トルエン抽出を行い、有機層を希塩酸、水および飽和食塩水で洗浄した後、一晩静置した。有機層にp−トルエンスルホン酸一水和物(0.56g,2.9mmol)を加え、30分間加熱還流した。
得られた溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、分液・溶媒留去した後、ヘキサン洗浄を行うことで、6−ブロモ−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5.8g,19mmol)を黄土色固体として、収率85%で得た。
一方、300mL三口フラスコに2−メチルフラン(2.3g,28mmol)およびジメトキシエタン(25mL)を入れ、氷冷しながらn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(19mL,31mmol,1.62M)を滴下した。2.5時間攪拌した後、ジメトキシエタン(25mL)を加え、氷冷しながらトリメチルボレート(3.4mL,31mmol)を滴下し、室温で一晩静置した。この溶液を氷冷し、炭酸ナトリウム(3.9g,37mmol)および水(30mL)を加え、室温で1時間攪拌した。減圧下で溶媒を半量まで濃縮し、別途合成した6−ブロモ−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5.8g,19mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(0.14g,0.19mmol)、ジメトキシエタン(45mL)および水(6mL)を加え、1.5時間加熱還流した。
得られた溶液を分液・溶媒留去した後、ゲル濾過を行うことで、6−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5.0g,16mmol)の黄褐色油状物を収率86%で得た。
【0118】
(1−4)1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]シラシクロブタンの合成
4−フェニル−6−(5−メチル−2−フリル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5.0g,16.0mmol)をテトラヒドロフラン(80mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.65M,11mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.03mL)、1,1−ジクロロシラシクロブタン(0.97mL,8.2mmol)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲル濾過を実施することで、1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]シラシクロブタン(4.9g)を得た。
【0119】
(1−5)ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]ジルコニウム(メタロセン錯体A)の合成
1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]シラシクロブタン(4.9g)をジエチルエーテル(63mL)とトルエン(16mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.65M,9.4mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した後、トルエン(233mL)を加え、−78℃で四塩化ジルコニウム(1.6g)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら15時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、n−へキサン、n−へキサン−ジクロロメタンで抽出した。続けて、n−へキサン−トルエン再結晶を繰り返し、ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]ジルコニウムのラセミ体0.5gを得た。
1H−NMR(400MHz,C
6D
6)δ1.64−1.82(m,4H),1.90(s,6H),2.26−2.44(m,4H),2.60−2.86(m,10H),5.45(d,J=3.1Hz,2H),6.24(d,J=3.1Hz,2H),6.90−7.28(m,6H),7.51(s,2H),7.60−7.90(br,2H).
【0120】
(1−6)スメクタイト族イオン交換性層状珪酸塩の酸処理および塩処理
酸処理
ゼパラブルフラスコに蒸留水(1130g)と96%硫酸(750g)を加え、内温を90℃に保ち、そこに造粒モンモリロナイトである水澤化学工業(株)製ベンクレイSL(平均粒径19μm、300g)を添加し2時間反応させた。懸濁液を1時間で室温まで冷却し、蒸留水でpH=4となるまで洗浄した。このときの洗浄倍率は1/10000以下であった。
【0121】
塩処理
ゼパラブルフラスコで硫酸リチウム1水和物(210g)を蒸留水(520g)に溶かし、そこに、濾過した酸処理粘土を加え室温で120分撹拌した。このスラリーを濾過し、得られた固体に蒸留水(3000mL)を加え5分間室温で撹拌した。このスラリーを濾過した。得られた固体に蒸留水(2500mL)を加え5分撹拌後再び濾過した。この操作をさらに4回繰り返し、得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、さらに200℃で2時間減圧乾燥することにより、化学処理モンモリロナイトを得た。
【0122】
(1−7)メタロセン錯体Aを用いた触媒調製(触媒A)
内容積1Lのフラスコに、上記で得た化学処理モンモリロナイト(10g)を秤量し、ヘプタン65ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(35mL,25.3mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mLに調製した。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(3.3mL)を加えて10分間、室温で撹拌した。さらに、メタロセン錯体A(257mg,300μmol)のトルエン(60mL)溶液を加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記ヘプタンスラリーにヘプタン(340mL)を加え、内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを10g/時の一定速度で120分間供給した。
プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2.5時間そのまま維持した。その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(8.5mL,6.1mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒(触媒A)を29.9g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.91であった。
【0123】
(1−8)触媒Aによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
第一工程
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンガスで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(2.76mL,2.02mmol)を加え、水素(300mL)、続いて液体プロピレン(750g)を導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。触媒Aをn−ヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)30mgを圧入し、重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンガスにて槽内を置換した。撹拌を停止させ、アルゴンガスをフローさせながら、管を槽内に差し込み、プロピレン重合体成分(PP)を少量抜き出した。
【0124】
第二工程
その後、内温を60℃でプロピレンガスとエチレンガスを、ガスmol組成で、プロピレン/エチレン=60/40となるように1.8MPaまで導入し、内温を80℃に昇温した。その後、予め調製しておいたプロピレンとエチレンの混合ガスを導入しながら、内圧を2.0MPaとなるように調整しながら、30分間重合反応を制御した。
その結果、粒子性状の良い277gのプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合体が得られた。プロピレンとエチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成は、プロピレン/エチレン=57/43であった。
上記で得られた2段重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は42wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は38mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は168,000であった。ゴム重合活性(CP活性)は10,100(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは162℃、MFRは0.8(dg/min)であり、PP重合活性(第一工程活性)は、5,800(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0125】
[実施例2]
メタロセン錯体B:ジクロロシラシクロペンチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]ジルコニウム(メタロセン錯体B)の合成
(2−1)1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]シラシクロペンタンの合成
4−フェニル−6−(5−メチル−2−フリル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5.0g,16.0mmol)をテトラヒドロフラン(75mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,11mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.06mL)、1,1−ジクロロシラシクロペンタン(1.1mL,8.4mmol)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら2.5時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施することで、1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]シラシクロペンタン(3.0g)を得た。
【0126】
(2−2)ジクロロシラシクロペンチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]ジルコニウム(メタロセン錯体B)の合成
1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]シラシクロペンタン(3.0g)をジエチルエーテル(38mL)とトルエン(9.5mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,6.0mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、トルエン(141mL)を加え、−78℃で四塩化ジルコニウム(1.1g)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら16時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、n−へキサン、トルエンでの抽出を繰り返し、ジクロロシラシクロペンチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]ジルコニウムのラセミ体0.4gを得た。
1H−NMR(400MHz,C
6D
6)δ1.66−1.84(m,6H),1.96−2.20(m,4H),2.16(s,6H),2.36−2.46(m,2H),2.50−2.70(m,4H),2.74−2.92(m,4H),5.72(d,J=3.1Hz,2H),6.30(d,J=3.1Hz,2H),6.89(s,2H),7.00−7.28(m,10H),7.60−7.90(br,2H).
【0127】
(2−3)メタロセン錯体Bを用いた触媒調製(触媒B)
内容積1Lのフラスコに、上記で得た化学処理モンモリロナイト(10g)を秤量し、ヘプタン65mL、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(35mL,25.3mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mLに調製した。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(3.3mL)を加えて10分間、室温で撹拌した。さらに、メタロセン錯体B(260mg,300μmol)のトルエン(60mL)溶液を加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記ヘプタンスラリーにヘプタン(340mL)を加え、内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを10g/時の一定速度で120分間供給した。
プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2.5時間そのまま維持した。その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(8.5mL,6.1mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒(触媒B)を28.4g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.76であった。
【0128】
(2−4)触媒Bによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
第一工程
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンガスで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(2.76mL,2.02mmol)を加え、水素(300mL)、続いて液体プロピレン(750g)を導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。触媒Bをn−ヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)30mgを圧入し、重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンガスにて槽内を置換した。撹拌を停止させ、アルゴンガスをフローさせながら、管を槽内に差し込み、プロピレン重合体成分(PP)を少量抜き出した。
【0129】
第二工程
その後、内温を60℃でプロピレンガスとエチレンガスを、ガスmol組成で、プロピレン/エチレン=60/40となるように1.8MPaまで導入し、内温を80℃に昇温した。その後、予め調製しておいたプロピレンとエチレンの混合ガスを導入しながら、内圧を2.0MPaとなるように調整しながら、30分間重合反応を制御した。
その結果、粒子性状の良い194gのプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合体が得られた。プロピレンとエチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成は、プロピレン/エチレン=44/56であった。
上記で得られた2段重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は28wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は56mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は192,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は11,100(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは161℃、MFRは7.7(dg/min)であり、PP重合活性(第一工程活性)は、4,300(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0130】
[実施例3]
メタロセン錯体C:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムの合成
(3−1)5,6−ジメチル−インダノンの合成
塩化アルミニウム116g(0.87mol)とニトロメタン200mLの懸濁溶液にo−キシレン48mL(0.4mol)と3−クロロプロピオニルクロライド50gの混合液を氷浴上で滴下した。室温に昇温し5時間攪拌した後、反応溶液を1N塩酸−氷水に流し込み攪拌した。有機層を分取し、1N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去し、途中得られた固体を分取した。硫酸300mLに得られた固体を少量ずつ加えて、オイルバス100℃で4時間加熱攪拌した。環状異性体が約40%副生した。反応終了後、反応溶液を氷水に流し込み、ジエチルエーテル抽出して、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。減圧下溶媒を留去して、得られた固体を熱へキサンで再結晶を行い、環状異性体を除いた。5,6−ジメチル−インダノン25.5gを得た。(収率40%)
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ2.26(s,3H,tol−Me),2.35(s,3H,tol−Me),2.66(d,J=4Hz,2H,CH
2),3.05(d,J=4Hz,2H,CH
2),7.25(s,1H,arm),7.53(s,1H,arm).
【0131】
(3−2)4−ブロモ−5,6−ジメチル−インデンの合成
得られた5,6−ジメチル−インダノン25.5gを塩化アルミニウム49gとクロロホルム250mLの懸濁溶液に加えた。室温で3時間攪拌後、氷浴冷却下で臭素8.2mLのクロロホルム溶液10mLを滴下し、室温で昼夜反応させた。反応終了後、1N塩酸−氷水に流し込み攪拌した。有機層を分液し、1N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた固体をヘキサン洗浄した。得られた4−ブロモ−5,6−ジメチルインダノンの粗生成物33gをエタノールに懸濁させ、氷浴冷却下、水素化ホウ素ナトリウム5.2gを加えて室温で昼夜攪拌した。反応後、減圧下溶媒を約半分留去し、1N塩酸を加えてクエンチ後ジエチルエーテル抽出した。
有機層を水、飽和食塩水と続けて洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥させた。減圧下溶媒を留去して得られた黄色固体にp−トルエンスルホン酸0.5gとトルエン250mLを加えて加熱還流した。0.5時間後、水を加えて有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を留去して、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、目的の4−ブロモ−5,6−ジメチル−インデン13g(収率37%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ2.37(s,3H,tol−Me),2.41(s,3H,tol−Me),3.37(s,2H,CH
2),6.51(d,1H,CH),6.82(d,1H,CH),7.14(s,1H,arm).
【0132】
(3−3)4−フェニル−5,6−ジメチルインデンの合成
フェニルボロン酸(5.7g,46.7mmol)、リン酸三カリウム・n水和物(15.2g)、4−ブロモ−5、6−ジメチルインデン(8g,36mmol)、酢酸パラジウム(0.24g,1.1mmol%)、ビフェニルジシクロヘキシルフォスフィン(0.75g)を無水トルエン200mLに溶解させ、加熱還流下で0.5時間反応させた。反応溶液を1N塩酸−氷水に流し込み攪拌後、有機層を分取した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去しさらにシリカゲル濾過を行い、4−フェニル−5,6−ジメチルインデンの粗生成物(7.7g)を得た。
【0133】
(3−4)2−ブロモ−4−フェニル−5,6−ジメチルインデンの合成
4−フェニル−5、6−ジメチルインデンの粗生成物(10.6g,48mmol)をジメチルスルホキシド(120mL)に溶解させ、水(4mL)を加えた。0℃でN−ブロモスクシンイミド(11.1g,62mmol)を添加し、室温で4時間攪拌した。氷浴上で水を加えてクエンチし、トルエンを加えて有機層を抽出した。有機層にp−トルエンスルホン酸・一水和物(0.2g)を加え、加熱還流下で2時間反応させた後、反応溶液に水を加えて有機層を分取した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、さらにシリカゲル濾過を行い、粗生成物(12.5g)を得た。
【0134】
(3−5)2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデンの合成
2−メチルフラン(5.9mL,65.8mmol)をジメトキシエタン(100mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.62M,40.4mL)を氷浴冷却下滴下し2時間攪拌した後、氷浴冷却したままトリメチルボレート(8.5mL,75mmol)を滴下し室温で16時間攪拌した。水(5mL)を加え1時間攪拌し、減圧下溶媒を留去した。そこに、炭酸ナトリウム(8.8g)の水溶液(80mL)、上記合成した2−ブロモ−4−フェニル−5,6−ジメチルインデンの粗生成物(12.5g)のジメトキシエタン(60mL)溶液、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.2g)を順に加え、加熱還流下で2時間反応させた。反応溶液を1N塩酸−氷水に流し込み、有機層を分取し、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。再結晶を行い、目的の2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデン(7.3g)を得た。
【0135】
(3−6)1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタンの合成
2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデン(5.0g,16.7mmol)をテトラヒドロフラン(78mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,12mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.03mL)、1,1−ジクロロシラシクロブタン(1.0mL,8.4mmol)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施することで、1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(5.7g)を得た。
【0136】
(3−7)ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム(メタロセン錯体C)の合成
1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(6.6g)をジエチルエーテル(120mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,14mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、得られた反応溶液を一度濃縮し、ジクロロメタン(237mL)を加え、−78℃で四塩化ジルコニウム(2.3g)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、n−へキサン、n−へキサン−ジクロロメタンで抽出した。続けて、トルエン抽出を繰り返し、ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムのラセミ体1.7gを得た。
1H−NMR(400MHz,C
6D
6)δ1.92(s,6H),2.10(s,6H),2.13(s,6H),2.18−2.30(m,2H),2.58−2.80(m,4H),5.69(d,J=3.2Hz,2H),6.16(d,J=3.2Hz,2H),6.78(s,2H),6.83(s,2H),7.06−7.22(m,6H),7.28(t,J=7.8Hz,2H),8.23(d,J=7.8Hz,2H).
【0137】
(3−8)メタロセン錯体Cを用いた触媒調製(触媒C)
内容積1Lのフラスコに、上記で得た化学処理モンモリロナイト(10g)を秤量し、ヘプタン65mL、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(35mL,25.3mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mLに調製した。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(3.3mL)を加えて10分間、室温で撹拌した。さらに、メタロセン錯体C(249mg,300μmol)のトルエン(60mL)溶液を加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記ヘプタンスラリーにヘプタン(340mL)を加え、内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを10g/時の一定速度で120分間供給した。
プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持した。その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(8.5mL,6.1mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒(触媒C)を31.1g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.02であった。
【0138】
(3−9)触媒Cによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
第一工程
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンガスで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(2.76mL,2.02mmol)を加え、水素(300mL)、続いて液体プロピレン(750g)を導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。触媒Cをn−ヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)20mgを圧入し、重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンガスにて槽内を置換した。撹拌を停止させ、アルゴンガスをフローさせながら、管を槽内に差し込み、プロピレン重合体成分(PP)を少量抜き出した。
【0139】
第二工程
その後、内温を60℃でプロピレンガスとエチレンガスを、ガスmol組成で、プロピレン/エチレン=60/40となるように1.8MPaまで導入し、内温を80℃に昇温した。その後、予め調製しておいたプロピレンとエチレンの混合ガスを導入しながら、内圧を2.0MPaとなるように調整しながら、30分間重合反応を制御した。
その結果、粒子性状の良い228gのプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合体が得られた。プロピレンとエチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成は、プロピレン/エチレン=54/46であった。
上記で得られた2段重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は52wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は41mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は351,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は7,400(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは160℃、MFRは3.4(dg/min)であり、PP重合活性(第一工程活性)は、6,100(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0140】
[実施例4]
メタロセン錯体D:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムの合成
(4−1)2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデンの合成
2,3−ジメチルフラン(4.8mL,50.2mmol)をジメトキシエタン(46mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,35.2mL)を−40℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、トリメチルボレート(6.2mL,56mmol)を滴下し、室温まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した後、室温で16時間攪拌した。炭酸ナトリウム(7.2g)の水溶液(46mL)を加え1時間攪拌し、減圧下溶媒を留去した。そこに、2−ブロモ−4−フェニル−5,6−ジメチルインデン(10.0g)のジメトキシエタン(80mL)溶液、水(10mL)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド(0.25g)を順に加え、加熱還流下で3時間反応させた。反応溶液に1N塩酸を加えた後、有機層を分取し、炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施することで、目的の2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデン(6.6g)を得た。
【0141】
(4−2)1,1−ビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタンの合成
2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデン(6.6g,21.0mmol)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,13mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.04mL)、1,1−ジクロロシラシクロブタン(1.3mL,10.5mmol)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、ヘキサンによる抽出を実施することで1,1−ビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(4.9g)を得た。
【0142】
(4−3)ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム(メタロセン錯体D)の合成
1,1−ビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(4.9g)をジエチルエーテル(84mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,9.7mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、得られた反応溶液を一度濃縮し、ジクロロメタン(167mL)を加え、−78℃で四塩化ジルコニウム(1.7g)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、ジクロロメタン、n−へキサンで抽出した。続けて、トルエン抽出を繰り返し、ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムのラセミ体2.0gを得た。
1H−NMR(400MHz,C
6D
6)δ1.65(s,6H),1.90(s,6H),2.09(s,6H),2.11(s,6H),2.20−2.34(m,2H),2.64−2.82(m,4H),5.97(s,2H),6.79(s,4H),6.98−7.24(m,6H),7.30(t,J=7.6Hz,2H),8.23(d,J=7.6Hz,2H).
【0143】
(4−4)メタロセン錯体Dを用いた触媒調製(触媒D)
内容積1Lのフラスコに、上記で得た化学処理モンモリロナイト(10g)を秤量し、ヘプタン65mL、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(35mL,25.3mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mLに調製した。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(3.3mL)を加えて10分間、室温で撹拌した。さらに、メタロセン錯体D(257mg,300μmol)のトルエン(60mL)溶液を加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記ヘプタンスラリーにヘプタン(340mL)を加え、内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを10g/時の一定速度で120分間供給した。
プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持した。その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(8.5mL,6.1mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒(触媒D)を32.2g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.11であった。
【0144】
(4−5)触媒Dによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
第一工程
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンガスで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(2.76mL,2.02mmol)を加え、水素(300mL)、続いて液体プロピレン(750g)を導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。触媒Dをn−ヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)20mgを圧入し、重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンガスにて槽内を置換した。撹拌を停止させ、アルゴンガスをフローさせながら、管を槽内に差し込み、プロピレン重合体成分(PP)を少量抜き出した。
【0145】
第二工程
その後、内温を60℃でプロピレンガスとエチレンガスを、ガスmol組成で、プロピレン/エチレン=60/40となるように1.8MPaまで導入し、内温を80℃に昇温した。その後、予め調製しておいたプロピレンとエチレンの混合ガスを導入しながら、内圧を2.0MPaとなるように調整しながら、30分間重合反応を制御した。
その結果、粒子性状の良い177gのプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合体が得られた。プロピレンとエチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成は、プロピレン/エチレン=45/55であった。
上記で得られた2段重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は36wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は51mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は521,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は9,400(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは161℃、MFRは1.6(dg/min)であり、PP重合活性(第一工程活性)は、7,000(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0146】
[実施例5]
メタロセン錯体E:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムの合成
(5−1)2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデンの合成
2−t−ブチルフラン(6.2mL,50.3mmol)をジメトキシエタン(46mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,35.2mL)を−40℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、トリメチルボレート(6.2mL,56mmol)を滴下し、室温まで徐々に昇温しながら4時間攪拌した後、室温で16時間攪拌した。炭酸ナトリウム(7.2g)の水溶液(46mL)を加え1時間攪拌し、減圧下溶媒を留去した。そこに、2−ブロモ−4−フェニル−5,6−ジメチルインデン(10.0g)のジメトキシエタン(80mL)溶液、水(10mL)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド(0.25g)を順に加え、加熱還流下で2時間反応させた。反応溶液に1N塩酸を加えた後、有機層を分取し、炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施することで、目的の2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデン(7.4g)を得た。
【0147】
(5−2)1,1−ビス[2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタンの合成
2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデン(7.4g,21.6mmol)をテトラヒドロフラン(101mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,14mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.04mL)、1,1−ジクロロシラシクロブタン(1.3mL,10.8mmol)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、ヘキサンによる抽出を実施することで1,1−ビス[2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(4.0g)を得た。
【0148】
(5−3)ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム(メタロセン錯体E)の合成
1,1−ビス[2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(4.0g)をジエチルエーテル(64mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,7.4mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、得られた反応溶液を一度濃縮し、ジクロロメタン(128mL)を加え、−78℃で四塩化ジルコニウム(1.3g)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、n−へキサン、n−へキサン−ジクロロメタンで抽出した。続けて、トルエン再結晶を繰り返し、ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムのラセミ体1.1gを得た。
1H−NMR(400MHz,C
6D
6)δ1.31(s,18H),1.95(s,6H),2.10(s,6H),2.10−2.22(m,2H),2.50−2.64(m,2H),2.68−2.82(m,2H),5.82(d,J=3.2Hz,2H),6.40(d,J=3.2Hz,2H),6.80(s,2H),6.84(s,2H),7.04−7.22(m,6H),7.26(t,J=7.6Hz,2H),8.20(d,J=7.6Hz,2H).
【0149】
(5−4)メタロセン錯体Eを用いた触媒調製(触媒E)
内容積1Lのフラスコに、上記で得た化学処理モンモリロナイト(10g)を秤量し、ヘプタン65mL、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(35mL,25.3mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mLに調製した。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(3.3mL)を加えて10分間、室温で撹拌した。さらに、メタロセン錯体E(274mg,300μmol)のトルエン(60mL)溶液を加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記ヘプタンスラリーにヘプタン(340mL)を加え、内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを10g/時の一定速度で120分間供給した。
プロピレン供給終了後、50℃に昇温して3時間そのまま維持した。その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(8.5mL,6.1mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒(触媒E)を29.0g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.78であった。
【0150】
(5−5)触媒Eによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
第一工程
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンガスで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(2.76mL,2.02mmol)を加え、水素(300mL)、続いて液体プロピレン(750g)を導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。触媒Eをn−ヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)30mgを圧入し、重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンガスにて槽内を置換した。撹拌を停止させ、アルゴンガスをフローさせながら、管を槽内に差し込み、プロピレン重合体成分(PP)を少量抜き出した。
【0151】
第二工程
その後、内温を60℃でプロピレンガスとエチレンガスを、ガスmol組成で、プロピレン/エチレン=60/40となるように1.8MPaまで導入し、内温を80℃に昇温した。その後、予め調製しておいたプロピレンとエチレンの混合ガスを導入しながら、内圧を2.0MPaとなるように調整しながら、30分間重合反応を制御した。
その結果、粒子性状の良い103gのプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合体が得られた。プロピレンとエチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成は、プロピレン/エチレン=49/51であった。
上記で得られた2段重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は20wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は46mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は305,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は880(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは161℃、MFRは4.2(dg/min)であり、PP重合活性(第一工程活性)は、4,300(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0152】
[実施例6]
メタロセン錯体F:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムの合成
(6−1)4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデンの合成
3,5−ジメチルフェニルボロン酸(18.6g,124mmol)、リン酸三カリウム・n水和物(53.2g)、4−ブロモ−5、6−ジメチルインデン(23.2g,104mmol)、酢酸パラジウム(0.79g,3.5mmol%)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(2.6g)を無水トルエン(438mL)に溶解させ、加熱還流下で3時間反応させた。反応溶液に1N塩酸を加えた後、有機層を分取した。得られた有機層を炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去しさらにシリカゲル濾過を行い、4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデンの粗生成物(24.5g)を得た。
【0153】
(6−2)2−ブロモ−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデンの合成
4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(24.5g)をジメチルスルホキシド(250mL)に溶解させ、水(9mL)を加えた。0℃でN−ブロモスクシンイミド(28.7g,161mmol)を添加し、室温で3.5時間攪拌した。氷浴上で水を加えてクエンチし、トルエンを加えて有機層を抽出した。有機層にp−トルエンスルホン酸・一水和物(2.5g)を加え、加熱還流下で1時間反応させた後、反応溶液に水を加えて有機層を分取した。有機層を炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、粗生成物(33.9g)を得た。
【0154】
(6−3)2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデンの合成
2−メチルフラン(3.8mL,46.0mmol)をジメトキシエタン(42mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,32.0mL)を−40℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、トリイソプロピルボレート(11.6mL,50.6mmol)を滴下し、室温まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した後、室温で16時間攪拌した。炭酸ナトリウム(6.5g)の水溶液(75mL)を加え1時間攪拌した。2−ブロモ−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデンの粗成生物(10.1g)のジメトキシエタン(25mL)溶液、トリフェニルホスフィン(0.18g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド(0.24g)を順に加え、加熱還流下で3.5時間反応させた。反応溶液に1N塩酸を加えた後、有機層を分取し、炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施することで、目的の2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(6.4g)を得た。
【0155】
(6−4)1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタンの合成
2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(6.4g,19.4mmol)をテトラヒドロフラン(91mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.60M,12mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.04mL)、1,1−ジクロロシラシクロブタン(1.2mL,9.7mmol)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施することで、1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(7.1g)を得た。
【0156】
(6−5)ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム(メタロセン錯体F)の合成
1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(7.1g)をジエチルエーテル(118mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.60M,14mL)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した後、得られた反応溶液を一度濃縮し、ジクロロメタン(235mL)を加え、−78℃で四塩化ジルコニウム(2.4g)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、n−へキサン、n−へキサン−ジクロロメタンで抽出した。続けて、トルエン抽出を繰り返し、ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム(メタロセン錯体F)のラセミ体1.4gを得た。
1H−NMR(400MHz,C
6D
6)δ1.96(s,6H),2.13(s,6H),2.14(s,6H),2.16(s,6H),2.21(s,6H),2.08−2.30(m,2H),2.58−2.82(m,4H),5.69(d,J=3.4Hz,2H),6.19(d,J=3.4Hz,2H),6.79(s,2H),6.81(s,2H),6.84(s,2H),6.91(s,2H),7.89(s,2H).
【0157】
(6−6)メタロセン錯体Fを用いた触媒調製(触媒F)
内容積1Lのフラスコに、上記で得た化学処理モンモリロナイト(10g)を秤量し、ヘプタン65mL、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(35mL,25.3mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mLに調製した。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(3.3mL)を加えて10分間、室温で撹拌した。さらに、メタロセン錯体F(266mg,300μmol)のトルエン(60mL)溶液を加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記ヘプタンスラリーにヘプタン(340mL)を加え、内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを10g/時の一定速度で120分間供給した。
プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持した。その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(8.5mL,6.1mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒(触媒F)を31.5g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.01であった。
【0158】
(6−7)触媒Fによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
第一工程
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンガスで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(2.76mL,2.02mmol)を加え、水素(300mL)、続いて液体プロピレン(750g)を導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。触媒Fをn−ヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)20mgを圧入し、重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンガスにて槽内を置換した。撹拌を停止させ、アルゴンガスをフローさせながら、管を槽内に差し込み、プロピレン重合体成分(PP)を少量抜き出した。
【0159】
第二工程
その後、内温を60℃でプロピレンガスとエチレンガスを、ガスmol組成で、プロピレン/エチレン=60/40となるように1.8MPaまで導入し、内温を80℃に昇温した。その後、予め調製しておいたプロピレンとエチレンの混合ガスを導入しながら、内圧を2.0MPaとなるように調整しながら、30分間重合反応を制御した。
その結果、粒子性状の良い205gのプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合体が得られた。プロピレンとエチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成は、プロピレン/エチレン=43/57であった。
上記で得られた2段重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は30wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は52mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は544,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は7,600(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは161℃、MFRは4.0(dg/min)であり、PP重合活性(第一工程活性)は、8,500(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0160】
[実施例7]
メタロセン錯体G:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムの合成
(7−1)4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデンの合成
500mL三口フラスコに4−ブロモ−5,6−ジメチルインデン(3.4g,15mmol)、4−t−ブチルフェニルボロン酸(3.25g,18.2mmol)、リン酸三カリウム・n水和物(7.7g,31mmol)、酢酸パラジウム(0.11g,0.5mmol)、ビフェニルジシクロヘキシルフホスフィン(0.33g,0.94mmol)、トルエン(287mL)を加え、オイルバスで2時間加熱還流した。得られた溶液を分液・溶媒留去し、4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデンの粗精製物(4.6g)を得た。
【0161】
(7−2)2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデンの合成
500mLナスフラスコに未精製の4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(4.6g,17mmol)、ジメチルスルホキシド(41mL)および水(1.5mL)を入れ、氷冷しながらN−ブロモスクシンイミド(5.0g,28mmol)を徐々に加え、室温で3.5時間攪拌した。室温でトルエン(100mL)および水(100mL)を加え、トルエン抽出を行い、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を500mL三口フラスコに移し、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.50g,2.6mmol)を加え、オイルバスで1.5時間加熱還流した。得られた溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、分液・溶媒留去することで、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデンの粗精製物(5.4g,15mmol)を黄褐色油状物として得た。
【0162】
(7−3)2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデンの合成
200mLシュレンク管に2−メチルフラン(1.9g,23mmol)およびジメトキシエタン(21mL)を入れ、−20℃に冷却して、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(16mL,25mmol,1.63M)を滴下した。1時間攪拌した後、ジメトキシエタン(21mL)を加え、氷冷しながらトリメチルボレート(2.9mL,26mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。この溶液を氷冷し、炭酸ナトリウム(3.3g,31mmol)および水(21mL)を加え、室温で1時間攪拌した。減圧下で溶媒を半量まで濃縮し、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(5.4g,15mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.44g,0.38mmol)、ジメトキシエタン(37mL)および水(4.8mL)を加え、オイルバスで2時間加熱還流した。得られた溶液を分液・溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行うことで、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(2.7g,7.5mmol)を薄橙色固体として、収率49%で得た。
【0163】
(7−4)1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタンの合成
500mLナスフラスコに2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(12.7g,35.6mmol)およびテトラヒドロフラン(120mL)を入れ、−78℃に冷却してn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(22mL,36mmol,1.60M)を滴下した。−78〜0℃で2時間攪拌した。その後、N−メチルイミダゾール(0.15g,1.8mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を加え、−50℃に冷却して1,1−ジクロロシラシクロブタン(2.5g,18mmol)を滴下し、−50〜0℃で3時間攪拌した。得られた溶液を分液・溶媒留去し、シリカゲル精製を行うことで1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(12.8g,16mmol)を黄色固体として収率92%で得た。
【0164】
(7−5)ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム(メタロセン錯体G)の合成
1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(9.4g,12mmol)、ジエチルエーテル(200mL)を入れ、−78℃に冷却してn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(15mL,24mmol,1.60M)を滴下した。徐々に−76〜0℃で3時間撹拌した後、溶液を濃縮し、トルエン(300mL)を加え、−78℃に冷却して四塩化ジルコニウム(2.8g,12mmol)を加え、徐々に室温まで昇温しながら終夜攪拌した。その後、減圧下で溶媒留去した。この混合物をヘキサン洗浄、ジクロロメタン/ヘキサン抽出を実施し、ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムのラセミ体(1.4g,1.5mmol)を橙色結晶として、収率11%で得た。
1H−NMR(400MHz,C
6D
6)δ1.18(s,18H),1.92(s,6H),2.12(s,6H),2.16(s,6H),2.21〜2.28(m,2H),2.64〜2.75(m,4H),5.66(dd,2H),6.06(d,2H),6.79(s,2H),6.95(s,2H),7.22(dd,2H),7.37(dd,2H),7.44(dd,2H),8.28(dd,2H).
【0165】
(7−6)メタロセン錯体Gを用いた触媒調製(触媒G)
メタロセン錯体Aの代わりにメタロセン錯体Gを290mg(310μmol)用いた他は、実施例1(1−7)と同様の操作により固体触媒(触媒G)33.5gを得た。
そのときの予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.23であった。
【0166】
(7−7)触媒Gによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
使用した触媒を16mgとし、第一工程で水素300mLを用い、第二工程でプロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=48/52となるように調整し、第二工程の重合時間を25分間とした以外は、実施例1(1−8)と同様に操作した。その結果、240gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は26wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は42mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は622,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は12,700(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で67g採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは160℃であり、MFRは3.9(dg/min)、PP重合活性は15,400(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0167】
[実施例8]
メタロセン錯体H:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−5,5,7,7−テトラメチル−s−インダセン−1−イル]ジルコニウムの合成
(8−1)5,5,7,7−テトラメチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−2H−s−インダセン−1−オンの合成
塩化アルミニウム(32g)のニトロメタン(150mL)の溶液に1,1,3,3−テトラメチルインダン(34.3g)と3−クロロプロピオニルクロライド(25g)の混合液を氷浴上で滴下した。室温に昇温し5時間攪拌した後、反応溶液を1N塩酸−氷水に流し込み攪拌した。有機層を分取し、1N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下溶媒を留去した。そこに硫酸(150mL)を加えて、80℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、反応溶液を氷水に流し込み、ジエチルエーテル抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。減圧下溶媒を留去して、5,5,7,7−テトラメチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−2H−s−インダセン−1−オンの粗生成物27.5gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ1.33(s,6H),1.35(s,6H),1.97(s,2H),2.69(t,2H),3.10(t,2H),7.19(s,1H),7.53(s,1H).
【0168】
(8−2)1,1,3,3−テトラメチル−4−ブロモ−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンの合成
5,5,7,7−テトラメチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−2H−s−インダセン−1−オンの粗生成物(27.5g)を塩化アルミニウム(37g)とクロロホルム(150mL)の懸濁溶液に加え0.5時間攪拌後、氷浴冷却下で臭素(6.2mL)のクロロホルム溶液(20mL)を滴下し、室温で4時間反応させた。反応終了後、1N塩酸−氷水に流し込み攪拌した。有機層を分液し、1N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去し、ジエチルエーテルとヘキサンにより再結晶化精製を行い、黄色固体(18g)を得た。続いて、得られた固体をメタノール(120mL)に懸濁させ、氷浴冷却下水素化ホウ素ナトリウム(2.2g)を加えて室温で2時間攪拌した。反応後、減圧下溶媒を約半分留去し、1N塩酸を加えてクエンチ後ジエチルエーテル抽出した。有機層を1N塩酸、水、飽和食塩水と続けて洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下溶媒を留去した。さらに得られた黄色固体(18g)とp−トルエンスルホン酸(0.1g)のトルエン(150mL)溶液を加熱還流した。1時間後、水を加えて有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、1,1,3,3−テトラメチル−4−ブロモ−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(15g)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ1.31(s,6H),1.52(s,6H),1.99(s,2H),3.36(s,2H),6.54(d,1H),6.86(d,1H),7.10(s,1H).
【0169】
(8−3)1,1,3,3−テトラメチル−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンの合成
フェニルボロン酸(3.2g,26mmol)をジメトキシエタン(80mL)に溶解させ、炭酸セシウム(11.3g)の水溶液(30mL)、1,1,3,3−テトラメチル−4−ブロモ−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5.06g,17.4mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.8g)を順に加えた。加熱還流下で13時間反応させた後、反応溶液を1N塩酸−氷水に流し込み、攪拌後ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、減圧下溶媒を留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、目的の1,1,3,3−テトラメチル−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(3.8g,収率77%)を得た。
【0170】
(8−4)1,1,3,3−テトラメチル−4−フェニル−6−(5−メチル−2−フリル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンの合成
得られた1,1,3,3−テトラメチル−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(3.8g,13.2mmol)をジメチルスルホキシド(100mL)に溶解させ、水(4mL)を加えた。0℃でN−ブロモスクシンイミド(3g)を添加し、室温で昼夜攪拌した。氷浴上で水を加えてクエンチし、トルエンを加えて有機層を抽出した。有機層にp−トルエンスルホン酸・一水和物(0.1g)を加え、加熱還流下で1時間反応させた後、反応溶液に水を加えて有機層を分取した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、減圧下溶媒を留去して粗生成物を得た。
【0171】
一方、2−メチルフラン(1.8mL,19.8mmol)をジメトキシエタン(50mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.64M,12.1mL)を氷浴下滴下し1時間攪拌した後、氷浴冷却したままトリメチルボレート(2.5mL,22mmol)を滴下し室温で16時間攪拌した。水(10mL)を加え、1時間攪拌した後減圧下溶媒を留去した。そこに、炭酸ナトリウム(2.8g,26.4mmol)の水溶液(30mL)、上記合成した粗生成物のジメトキシエタン(25mL)溶液、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.38g)を順に加え、加熱還流下で3時間反応させた。反応溶液に水を加えて有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄して硫酸マグネシウム上で乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、目的の1,1,3,3−テトラメチル−4−フェニル−6−(5−メチル−2−フリル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(2.25g)を得た。
【0172】
(8−5)1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,5,7,7−テトラメチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセニル]シラシクロブタンの合成
1,1,3,3−テトラメチル−4−フェニル−6−(5−メチル−2−フリル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(3.7g,10mmol)をテトラヒドロフラン(60mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.65M,6.1mL)を−70℃で滴下した。ゆっくり昇温しながら3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.02mL)、1,1−ジクロロシラシクロブタン(0.59mL,5.0mmol)を−70℃で滴下した。室温まで昇温し1.5時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,5,7,7−テトラメチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセニル]シラシクロブタンの粗生成物(4.3g)を得た。
【0173】
(8−6)ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−5,5,7,7−テトラメチル−s−インダセン−1−イル]ジルコニウム(メタロセン錯体H)の合成
合成した1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,5,7,7−テトラメチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセニル]シラシクロブタン粗生成物(4.3g)をジエチルエーテル(50mL)とトルエン(10mL)に懸濁させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.65M,6.1mL)を氷浴上で滴下した。室温で2時間攪拌した後、減圧下溶媒を留去した。塩化メチレン(50mL)を加えて溶解させ、−72℃で四塩化ジルコニウム(1.16g)を添加し室温で2時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、トルエン洗浄した後、塩化メチレンで抽出した。さらにトルエンとn−ヘキサンで洗浄しジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−5,5,7,7−テトラメチル−s−インダセン−1−イル]ジルコニウムのラセミ体1.3gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ0.84(s,6H,Me
4),0.93(s,6H,Me
4),1.16(s,6H,Me
4),1.19(s,6H,Me
4),1.71(q,4H,−CH
2−),2.2−2.8(m,6H,Si(CH
2)
3),2.43(s,6H,Furyl−CH
3),5.95(dd,J=1.0Hz,3.2Hz,2H,Furyl−H),6.25(d,J=3.3Hz,2H,Furyl−H),6.24(s,2H,Cp),6.73(s,2H,arm.),7.1−7.2(m,2H,arm.),7.2−7.3(m,4H,arm.),7.3−7.5(m,2H,arm.),7.6−7.8(m,2H,arm.).
【0174】
(8−7)メタロセン錯体Hを用いた触媒調製(触媒H)
メタロセン錯体Aの代わりにメタロセン錯体Hを300mg(310μmol)用いた他は、実施例1(1−7)と同様の操作により固体触媒(触媒H)32.5gを得た。
そのときの予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.14であった。
【0175】
(8−8)触媒Hによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
使用した触媒を30mgとし、第一工程で水素540mLを用い、第二工程でプロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=56/44となるように調整し、第二工程の重合時間を15分間とした以外は、実施例1(1−8)と同様に操作した。その結果、99.6gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は61wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は35mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は447,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は10,000(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは158℃であり、MFRは7.0(dg/min)、PP重合活性は1,600(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0176】
[実施例9]
メタロセン錯体I:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムの合成
(9−1)4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデンの合成
2,6−ジメチル−4−ブロモビフェニル(11g)をジエチルエーテルに溶解させ−78℃に冷却してt−ブチルリチウムのn−ペンタン溶液(1.65M,51mL)を滴下し2時間撹拌後、トリイソプロピルボレート(11mL)を滴下し室温で16時間攪拌した。水(10mL)を加え1時間攪拌し、減圧下溶媒を留去した。そこに、4−ブロモ−5,6−ジメチルインデン(8.5g,38mmol)、炭酸セシウム(25g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.88g)、ジメトキシエタン(90mL)、水(30mL)を順に加え、加熱還流下で2時間反応させた。反応溶液を1N塩酸でクエンチ後、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去しさらにシリカゲル濾過を行い、4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデンの粗生成物(11.8g)を得た。
【0177】
(9−2)2−ブロモ−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデンの合成
4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデンの粗生成物(11.8g,36mmol)をジメチルスルホキシド(150mL)に溶解させ、水(4mL)を加えた。氷浴上でN−ブロモスクシンイミド(8.6g,48mmol)を添加し、室温で4時間攪拌した。氷浴上で水を加えてクエンチし、トルエンを加えて有機層を抽出した。有機層にp−トルエンスルホン酸・一水和物(0.25g)を加え、加熱還流下で2時間反応させた後、反応溶液に水を加えて有機層を分取した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、さらにシリカゲル濾過を行い、粗生成物(11g)を得た。
【0178】
(9−3)2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデンの合成
2−メチルフラン(3.7mL,41mmol)をジメトキシエタン(130mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.6M,25.6mL)を氷浴冷却下滴下し2時間攪拌した後、氷浴冷却したままトリメチルボレート(5.1mL,45mmol)を滴下し室温で16時間攪拌した。水(5mL)を加え1時間攪拌した後、減圧下溶媒を留去した。そこに、炭酸ナトリウム(5.8g)、上記合成した2−ブロモ−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデンの粗生成物(11g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.8g)、DME(100mL)、水(40mL)を順に加え、加熱還流下で2時間反応させた。反応溶液を1N塩酸でクエンチ後、有機層を分取し、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製を行い、目的の2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデン(5g)を得た。
【0179】
(9−4)1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデン]シラシクロブタンの合成
2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデン(3.0g,7.4mmol)をテトラヒドロフラン(60mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.55M,4.8mL)を−78℃で滴下し3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.03mL)、1,1−ジクロロシラシクロブタン(0.44mL,3.7mmol)を滴下した。室温まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し得られた固体をヘキサン洗浄し、1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(2.5g)を得た。
【0180】
(9−5)ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム(メタロセン錯体I)の合成
1,1−ビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタン(2.5g)をジエチルエーテル(40mL)に懸濁させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.55M,3.7mL)を氷浴上で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら3時間攪拌した後、得られた反応溶液を一度濃縮し、ジクロロメタン(40mL)を加え、−50℃で四塩化ジルコニウム(0.7g)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら2.5時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、n−へキサン、ジエチルエーテル、トルエンで洗浄しジクロロメタンで抽出した。続けて、トルエン再結晶を行い、ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムのラセミ体0.5gを得た。
1H−NMR(400MHz,C
6D
6)δ1.97(s,6H),2.01(s,6H),2.05(s,6H),2.23(s,6H),2.52(s,6H),2.2−2.3(m,2H),2.55−2.65(m,2H),2.79−2.85(m,2H),6.01(d,J=2,3Hz,2H),6.29(d,J=3.3Hz,2H),6.56(s,2H),6.61(s,2H),6.89(s,2H),7.1−7.2(m,2H),7.3−7.5(m,10H).
【0181】
(9−6)メタロセン錯体Iを用いた触媒調製(触媒I)
メタロセン錯体Aの代わりにメタロセン錯体Iを290mg(279μmol)用いた他は、実施例1(1−7)と同様の操作により固体触媒(触媒I)31.9gを得た。
そのときの予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.09であった。
【0182】
(9−7)触媒Iによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
使用した触媒を15mgとし、第一工程で水素297mLを用い、第二工程でプロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=47/53となるように調整し、第二工程の重合時間を60分間とした以外は、実施例1(1−8)と同様に操作した。その結果、137.0gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は43wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は41mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は765,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は5,600(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは162℃であり、MFRは0.9(dg/min)、PP重合活性は7,300(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0183】
[実施例10]
メタロセン錯体J:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムの合成
(10−1)2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−5,6−ジメチルインデンの合成
2,3−ジメチルフラン(1.0g,10mmol)をジメトキシエタン(20mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.65M,6.3mL)を氷浴冷却下滴下し2時間攪拌した後、続けてトリメチルボレート(1.5mL,13mmol)を滴下室温まで昇温し16時間攪拌した。水(5mL)を加え1時間攪拌後、減圧下溶媒を留去した。そこに、炭酸ナトリウム(1.5g)の水溶液(15mL)、2−ブロモ−4−(4−t−ブチル−フェニル)−5,6−ジメチルインデンの粗生成物(2.5g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.2g)、DME(30mL)を順に加え、加熱還流下で1時間反応させた。反応溶液に1N塩酸を加え、有機層を分取し、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。シリカゲルクロマトグラフィー精製を行い、目的の2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−5,6−ジメチルインデン(1.9g)を得た。
【0184】
(10−2)ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(4,5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム(メタロセン錯体J)の合成
2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−5,6−ジメチルインデン(1.9g,5.1mmol)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.63M,3.1mL)を−78℃で滴下し3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.03mL)、1,1−ジクロロシラシクロブタン(0.3mL,2.5mmol)を−78℃で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた1,1−ビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−5,6−ジメチルインデニル]シラシクロブタンの粗生成物(1.9g)をジエチルエーテル(35mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.63M,3.1mL)を氷浴上で滴下した。室温まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した後、得られた反応溶液を一度濃縮し、ジクロロメタン(35mL)を加え、−40℃で四塩化ジルコニウム(0.6g)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、トルエン抽出しヘキサン洗浄後、トルエン−ヘキサン混合溶液で抽出した。続けて、ジエチルエーテル洗浄を行い、ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムのラセミ体0.3gを得た。
1H−NMR(400MHz,C
6D
6)δ1.35(s,18H),1.88(s,6H),1.90(s,6H),2.13(s,6H),2.41(s,6H),2.1−2.3(m,2H),2.5−2.8(m,4H),6.13(s,2H),6.42(s,2H),6.52(s,2H),7.0−7.1(m,2H),7.3−7.7(m,6H).
【0185】
(10−3)メタロセン錯体Jを用いた触媒調製(触媒J)
メタロセン錯体Aの代わりにメタロセン錯体Jを293mg(302μmol)用いた他は、実施例1(1−7)と同様の操作により固体触媒(触媒J)30.7gを得た。
そのときの予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.92であった。
【0186】
(10−4)触媒Jによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
使用した触媒を15mgとし、第一工程で水素297mLを用い、第二工程でプロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=49/51となるように調整し、第二工程の重合時間を60分間とした以外は、実施例1(1−8)と同様に操作した。その結果、179.9gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は38wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は46mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は777,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は5,800(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは161℃であり、MFRは60(dg/min)、PP重合活性は9,300(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0187】
[実施例11]
(11−1)メチルアルミノキサン担持シリカの調製
窒素雰囲気下、1L三口フラスコに400℃で5時間焼成した担持触媒用シリカ(粒径45μm)を30g入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。室温で脱水トルエン200mLとアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液83mLを加え40℃で1時間撹拌した。そして、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで、メチルアルミノキサン担持シリカを46.7g得た。
【0188】
(11−2)メタロセン錯体Gを用いた触媒調製(触媒K)
窒素雰囲気下、1L三口フラスコにメチルアルミノキサン担持シリカを15.5g入れ、ヘプタン50mL、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(3.3mL)を加えて10分間、室温で撹拌した。さらに、メタロセン錯体G(283mg,300μmol)のトルエン(30mL)溶液を加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記ヘプタンスラリーにヘプタン(217mL)を加え、内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを10g/時の一定速度で120分間供給した。
プロピレン供給終了後、30分間そのまま維持した。その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(8.5mL,6.1mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、40℃で減圧乾燥して固体触媒(触媒K)を28.9g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.83であった。
【0189】
(11−3)触媒Kによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
使用した触媒を10mgとし、第一工程で水素を800mL使用し、プロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=50/50となるように調整した以外は、実施例1(1−8)と同様に操作した。その結果、328gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は21wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は39mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は602,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は14,500(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは159℃であり、MFRは120(dg/min)、PP重合活性は28,100(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0190】
[実施例12]
(12−1)触媒Aによるプロピレン重合
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンガスで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(2.76mL,2.02mmol)を加え、水素(310mL)、続いて液体プロピレン(750g)を導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。触媒Aをn−ヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)34mgを圧入し、重合を開始した。そのまま、槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、エタノールを圧入し、残モノマーのパージを行い、PPを回収した。その結果、292gのプロピレン重合体を得た。
得られたPPは、活性は8,600(g−PP/g−Cat/hr)、MFRは7.3(dg/min)、重量平均分子量(Mw)は250,000、Tmは161℃であった。
結果を表2にまとめる。
【0191】
[実施例13〜22]
触媒B〜Kによるプロピレン重合
触媒をそれぞれ触媒B〜Kに変え、実施例12(12−1)と同様に操作した。
結果を表2にまとめる。
【0192】
[比較例1]
(比較1−1)メタロセン錯体W:ジクロロジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]ジルコニウムの合成
メタロセン錯体Wの合成は、特開2012−121882号公報、実施例1に記載の方法を参考に合成しラセミ体を得た。
【0193】
(比較1−2)メタロセン錯体Wを用いた触媒調製(触媒W)
メタロセン錯体Aの代わりに、メタロセン錯体Wを63mg(75μmol)用いた他は、実施例1(1−7)と同様の操作により固体触媒(触媒W)7.3gを得た。
そのときの予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.44であった。
【0194】
(比較1−3)触媒Wによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
触媒量を50mgとし、プロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=41/59となるように調整した以外は、実施例1(1−8)と同様に操作した。その結果、105gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は17wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は52mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は513,000であった。また、また、ゴム重合活性(CP活性)は730(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは160℃であり、MFRは16(g/10min)、PP重合活性は2,200(g−PP/g−Cat/hr)あった。
結果を表1にまとめる。
【0195】
[比較例2]
メタロセン錯体X:ジクロロジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムの合成
(比較2−1)ジメチルビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]シランの合成
2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5、6−ジメチルインデン(2.4g,8.0mmol)をジエチルエーテル(30mL)とトルエン(40mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.59M,5.0mL)を−40℃で滴下した。室温まで昇温し3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.02mL)、ジクロロジメチルシラン(0.49mL,4.0mmol)を−30℃で滴下した。室温まで昇温し1.5時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、ジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル}シランの粗生成物(2.6g)を得た。
【0196】
(比較2−2)ジクロロジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム(メタロセン錯体X)の合成
合成したジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル}シランの粗生成物(2.6g)をジエチルエーテル(30mL)とトルエン(50mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.59M,5.0mL)を氷浴上で滴下した。室温で3時間攪拌した後、減圧下溶媒を留去した。ヘキサン(40mL)で3回洗浄し減圧下溶媒を留去して得られた固体を、−72℃で四塩化ジルコニウム(0.9g)の塩化メチレン(40mL)懸濁溶液に添加し2時間攪拌後、室温で4時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、トルエン抽出、n−へキサンを抽出した。続けて、n−へキサン、ジイソプロピルエーテル、トルエンと順に洗浄した。
さらに塩化メチレン−へキサン再結晶を繰り返し、ジクロロジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウムのラセミ体0.3gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ1.09(s,6H,Si(CH
3)
2),2.05(s,6H,tol−CH
3),2.14(s,6H,tol−CH
3),2.41(s,6H,Furyl−CH
3),6.02(dd,J=1.0Hz,3.3Hz,2H,Furyl−H),6.16(d,J=3.3Hz,2H,Furyl−H),6.44(s,2H,Cp),6.67(s,2H,arm.),7.09−7.12(m,2H,arm.),7.28−7.37(m,2H,arm.),7.43−7.50(m,2H,arm.),7.67−7.72(m,2H,arm.).
【0197】
(比較2−3)メタロセン錯体Xを用いた触媒調製(触媒X)
化学処理モンモリロナイト(5.0g)と、メタロセン錯体Aの代わりに、メタロセン錯体Xを122mg(150μmol)用いた他は、実施例1(1−7)と同様の操作により固体触媒(触媒X)13.4gを得た。
そのときの予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.64であった。
【0198】
(比較2−4)触媒Xによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
使用した触媒を50mgとし、第一工程で水素200mLを用い、第二工程でプロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=59/41となるように調整し、第二工程の重合時間を30分間とした以外は、実施例1(1−8)と同様に操作した。その結果、99.8gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は14wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は32mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は730,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は570(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは159℃であり、MFRは16(dg/min)、PP重合活性は2,100(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0199】
[比較例3]
メタロセン錯体Yの合成:ジクロロジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−5,5,7,7−テトラメチル−s−インダセン−1−イル]ジルコニウムの合成
(比較3−1)ジクロロジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−5,5,7,7−テトラメチル−s−インダセニル]ジルコニウムの合成
1,1,3,3−テトラメチル−4−フェニル−6−(5−メチル−2−フリル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(2.25g,6.1mmol)をジエチルエーテル(40mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.64M,3.7mL)を−20℃で滴下した。室温で2時間攪拌した後N−メチルイミダゾール(0.02mL)、ジクロロジメチルシラン(0.37mL,3.1mmol)を−20℃で滴下し、室温で1.5時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、減圧下溶媒を留去し、ジメチルビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,5,7,7−テトラメチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセニル]シランの粗生成物を得た(2.6g)。それをジエチルエーテル(40mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.64M,3.7mL)を氷浴上で滴下した。室温で2時間攪拌した後、減圧下溶媒を留去した。
【0200】
ジエチルエーテル(4mL)、トルエン(80mL)を加え、−72℃に冷却し、四塩化ジルコニウム(0.76g,3.3mmol)を添加し室温で2時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、n−へキサンで抽出して再び濃縮乾固した。n−ヘキサンで洗浄、ジエチルエーテル洗浄を繰り返したのち、トルエン抽出を行い溶解性の低い不純物を除いた。それにより、目的のジクロロジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−5,5,7,7−テトラメチル−s−インダセン−1−イル]ジルコニウムのラセミ体0.2g得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ0.98(s,6H),1.09(s,12H),1.16(s,6H),1.20(s,6H),1.76(s,4H),2.36(s,6H),5.94(s,2H),6.16(s,2H),6.26(s,2H),6.7−7.7(12H).
【0201】
(比較3−2)メタロセン錯体Yを用いた触媒調製(触媒Y)
メタロセン錯体Aの代わりに、メタロセン錯体Yを63mg(75μmol)用いた他は、実施例1(1−7)と同様の操作により固体触媒(触媒Y)7.3gを得た。
そのときの予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.44であった。
【0202】
(比較3−3)触媒Yによるプロピレン−プロピレン・エチレン2段重合
使用した触媒を70mgとし、プロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=42/58となるように調整し、第二工程の重合時間を25分間とした以外は、実施例1(1−8)と同様に操作した。その結果、174gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は51wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は55mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は656,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は4,000(g−CP/g−Cat/hr)であった。
別途第一工程で採取したプロピレン重合体成分(PP)のTmは157℃であり、MFRは14(dg/min)、PP重合活性は1,600(g−PP/g−Cat/hr)であった。
結果を表1にまとめる。
【0203】
[比較例4〜6]
触媒W〜Yによるプロピレン重合
触媒をそれぞれ触媒W〜Yに変えた以外は、実施例12(12−1)と同様に操作しプロピレン重合体を得た。
結果を表2にまとめる。
【0204】
上記のメタロセン錯体A,B,C,D,E,F,G,H,I及びJを用いた実施例1〜11と、メタロセン錯体W,X及びYを用いた比較例1〜3の重合結果を表1に示す。
【0205】
【表1】
【0206】
上記のメタロセン錯体A,B,C,D,E,F,G,H,I及びJを用いた実施例12〜22と、メタロセン錯体W,X及びYを用いた比較例4〜6の重合結果を表2に示す。
【0207】
【表2】
【0208】
錯体
メタロセン錯体A:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]ジルコニウム
メタロセン錯体B:ジクロロシラシクロペンチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]ジルコニウム
メタロセン錯体C:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム
メタロセン錯体D:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム
【0209】
メタロセン錯体E:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム
メタロセン錯体F:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム
メタロセン錯体G:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム
メタロセン錯体H:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−5,5,7,7−テトラメチル−s−インダセン−1−イル]ジルコニウム
メタロセン錯体I:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニリル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム
メタロセン錯体J:ジクロロシラシクロブチレンビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム
【0210】
メタロセン錯体W:ジクロロジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル]ジルコニウム
メタロセン錯体X:ジクロロジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−1−インデニル]ジルコニウム
メタロセン錯体Y:ジクロロジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−5,5,7,7−テトラメチル−s−インダセン−1−イル]ジルコニウム
【0211】
表1の重合結果から、本発明のメタロセン錯体とそれを含む触媒は、従来のメタロセン触媒と比較して、高いエチレン取り込み効率を維持したまま、高活性でPP重合体成分、およびCP成分を重合することができ、さらに、表2よりプロピレンの単独重合において、高い融点を有するホモポリプロピレンを高活性で製造できることが明らかである。