特許第6398825号(P6398825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000002
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000003
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000004
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000005
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000006
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000007
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000008
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000009
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000010
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000011
  • 特許6398825-ロープ溝測定装置及び測定方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398825
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】ロープ溝測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20180920BHJP
   B66B 11/08 20060101ALI20180920BHJP
   G01B 5/02 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   B66B5/00 D
   B66B11/08 M
   G01B5/02
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-60265(P2015-60265)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-179874(P2016-179874A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金子 岩男
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−018386(JP,A)
【文献】 実開昭49−148958(JP,U)
【文献】 特開2006−053079(JP,A)
【文献】 特開2005−345309(JP,A)
【文献】 特開昭52−105854(JP,A)
【文献】 実開昭63−090103(JP,U)
【文献】 特開平09−096501(JP,A)
【文献】 特開2006−047058(JP,A)
【文献】 実開昭55−137302(JP,U)
【文献】 特開平10−038527(JP,A)
【文献】 特開平1−235801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 − 5/28
B66B 11/00 − 11/08
G01B 5/00 − 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
綱車のロープ溝の残存量を測定するロープ溝測定装置において、
ロープ径と略同一の径を有する球状部材と、
前記球状部材の中心を貫通する棒状部材と、
前記球状部の前記棒状部材側先端を前記棒状部材の長手方向と直交する方向にカットされた平面と、
前記棒状部材の移動に連動してその移動量を測定する測定器具と、
前記測定器具に対して前記棒状部材の移動方向に沿った任意の位置で前記球状部材を保持する保持部材と、
を備えたことを特徴とするロープ溝測定装置。
【請求項2】
前記測定器具はダイヤル型のゲージであり、前記棒状部材は前記ダイヤル型のゲージに設けられた測定ピン及び計測ピンであること
を特徴とする請求項1に記載のロープ溝測定装置。
【請求項3】
前記保持部材は、前記ダイヤル型のゲージに対して前記計測ピンの移動方向に沿った任意の位置で前記球状部材を保持する構成であり、更に前記保持部材の位置を保持するロック部材を備えていること
を特徴とする請求項2に記載のロープ溝測定装置。
【請求項4】
前記測定器具にはその内部を前記棒状部材が貫通する中空のボルトが固定されており、前記保持部材は前記ボルトに螺合するナット形状であり、前記球状部材は前記保持部材に固定されていること
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のロープ溝測定装置。
【請求項5】
ロープ径と略同一の径を有する球状部材と、
前記球状部材の中心を貫通する棒状部材と、
前記球状部の前記棒状部材側先端を前記棒状部材の長手方向と直交する方向にカットされた平面と、
前記棒状部材の移動に連動してその移動量を測定する測定器具と、
前記測定器具に対して前記棒状部材の移動方向に沿った任意の位置で前記球状部材を保持する保持部材とを備えたロープ溝測定装置を用いたロープ溝の測定方法において、
前記測定器具が基準位置を示すように前記棒状部材の位置を調整し、前記調整した棒状部材の先端に前記球状部材の先端にある前記平面を一致させることによって、前記ロープ溝測定装置の調整を行うこと
を特徴とするロープ溝測定方法。
【請求項6】
ロープ径と略同一の径を有する球状部材と、
前記球状部材の中心を貫通する棒状部材と、
前記球状部の前記棒状部材側先端を前記棒状部材の長手方向と直交する方向にカットされた平面と、
前記棒状部材の移動に連動してその移動量を測定する測定器具と、
前記測定器具に対して前記棒状部材の移動方向に沿った任意の位置で前記球状部材を保持する保持部材とを備えたロープ溝測定装置を用いたロープ溝の測定方法において、
前記測定器具が基準位置を示すように前記棒状部材の位置を調整し、前記調整した棒状部材の先端に前記球状部材の先端にある前記平面を一致させることによって、前記ロープ溝測定装置の調整を行い、
前記球状部材が球状であった場合の前記球状部材の先端と前記平面との距離の差分をあらかじめ前記測定器具の指針をマイナス方向にずらして調整しておき、
前記球状部材をロープ溝に押し当て、前記棒状部材を前記ロープ溝の底面に当たるまで押し込み、そのときの前記測定装置の測定値を読み取ることにより、
ロープの下面からロープ溝の底面までの距離を測定すること
を特徴とするロープ溝測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ等のロープの駆動に用いる綱車のロープ溝の残存量を測定する装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にエレベータは、綱車のロープ溝にロープを巻き掛け、このロープの一側にかご、他側にカウンターウェイトを吊り、前記綱車を駆動装置で回転駆動することによりかごを昇降するように構成されている。そして、綱車からロープへの駆動力の伝達は、綱車のロープ溝とロープへの楔作用による摩擦力によって行われている。従って、ロープの駆動を繰り返すとロープ溝は徐々に摩耗し、このロープ溝の摩耗が一定量進むと摩擦力が減少して、ロープ溝とロープとの間にスリップが発生し、ロープに所要の駆動力が伝達されなくなる。
そのため、定期的にロープ溝の摩耗量やロープ溝の残存量を測定する必要がある。しかもその測定結果は、綱車の交換時期の判断材料になるため、容易かつ正確に測定のできる装置や方法が必要とされている。
【0003】
これを図により説明する。図7は、ロープ溝部分の断面図であり、1はロープ、2は綱車3に形成されたロープ溝であり、丸溝2aとその下端部に形成したアンダーカット2bからなっている。4はロープ溝2の底面、dはロープ1の下端と底面4との距離であるロープ溝の残存量であり、この距離dが0になると摩擦力が減少して、ロープ溝2とロープ1との間にスリップが発生しやすくなる。そのため、この距離dを定期的に測定し、綱車3の交換時期を判断している。
また、丸溝2aの代わりにV溝にアンダーカットを形成したり、単にV溝にする場合もあるが、距離dを測定する必要があるのは前記と同じである。
【0004】
このロープ溝測定装置及び方法として、ロープ径と略同一の径を有する球状部材と、この球状部材の中央を貫通してスライド可能に構成された棒状部材を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
この装置について、図により説明する。
【0005】
図8はロープ溝測定装置10の全体構成を示す図であり、11は測定対象となるロープの公称径と略同一径の球状部材で、木やプラスチック,ガラスなど容易に変形しない材質からなっている。12は球状部材11の中心を貫通してスライド自在な棒状部材であり、この例では細長い釘を使用している。12aは釘12の頭部であり、球状部材11が釘12から抜け落ちるのを防止する役割を果たしている。13は球状部材11を任意の位置で保持し、その位置から容易にずれないようにするための保持部材であり、例えば内径が釘2の外径より僅かに小さいゴム管などからなっている。
【0006】
14は波板を固定するための傘釘に付属している樹脂製の傘ワッシャーで、側定時に球状部材11と保持部材13を所定位置にずらすときに操作を容易にするため(特に保持部材13が小さい場合など)のものである。15は釘12の先端部を覆うように取り付けられた取っ手で、ドライバーの柄のように操作を容易にするためのものであり、材質や大きさは手に馴染みやすいように適宜選択される。
【0007】
図9図11は、図8のロープ溝測定装置10を用いてロープ溝の測定を行う手順を説明する図である。
まず、図9に示すように、傘ワッシャー14を指でずらすことにより、同時に保持部材13と球状部材11とを釘12の頭部12a側の先端までずらし、その状態で、頭部12aを綱車3の中心方向に向けて、球状部材11を測定対象のロープ溝2に押し当てる。尚当然のことであるが、ロープ溝2のうちロープ1が掛っていない箇所に球状部材11を押し当てる。
【0008】
次に、図10に示すように、釘12の頭部12aがロープ溝2の底面4に達するまで取っ手15を(即ち、釘12を)綱車3の中心方向に押し込む。
そして釘12の頭部12aがロープ溝2の底面4に達すると、このロープ溝測定装置10をロープ溝2から取り外し、図11に示すように、釘12の頭部12aが上になるようにする。このとき保持部材13は図10における球状部材11の位置をそのまま保持することになる。そして球状部材11から突出している釘12の寸法dを直尺16で測定すると、その測定値が図10に示した球状部材11の下端(即ちロープ1の下端)からロープ溝2の底面4までの距離dに相当することになる。
【0009】
このように、前記従来のロープ溝測定装置は、小型軽量の装置で、簡単な操作によってロープ溝の残存量の測定が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−18386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記従来の技術は、ロープ溝測定装置10で球状部材11の下端からロープ溝2の底面4までの距離dを測定した後、球状部材11から突出している釘12の寸法dを直尺16で測定するため、作業に時間がかかるという問題がある。
本発明は、上記の課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、綱車のロープ溝の残存量を測定するロープ溝測定装置において、ロープ径と略同一の径を有する球状部材と、前記球状部材の中心を貫通する棒状部材と、前記球状部の前記棒状部材側先端を前記棒状部材の長手方向と直交する方向にカットされた平面と、前記棒状部材の移動に連動してその移動量を測定する測定器具と、前記測定器具に対して前記棒状部材の移動方向に沿った任意の位置で前記球状部材を保持する保持部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
また本発明は、前記測定器具はダイヤル型のゲージであり、前記棒状部材は前記ダイヤル型のゲージに設けられた測定ピン及び計測ピンであることを特徴とするものである。
【0014】
更に本発明は、前記保持部材は、前記ダイヤル型のゲージに対して前記計測ピンの移動方向に沿った任意の位置で前記球状部材を保持する構成であり、更に前記保持部材の位置を保持するロック部材を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
更にまた本発明は、前記測定器具にはその内部を前記棒状部材が貫通する中空のボルトが固定されており、前記保持部材は前記ボルトに螺合するナット形状であり、前記球状部材は前記保持部材に固定されていることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明は、ロープ径と略同一の径を有する球状部材と、前記球状部材の中心を貫通する棒状部材と、前記球状部の前記棒状部材側先端を前記棒状部材の長手方向と直交する方向にカットされた平面と、前記棒状部材の移動に連動してその移動量を測定する測定器具と、前記測定器具に対して前記棒状部材の移動方向に沿った任意の位置で前記球状部材を保持する保持部材とを備えたロープ溝測定装置を用いたロープ溝の測定方法において、前記測定器具が基準位置を示すように前記棒状部材の位置を調整し、前記調整した棒状部材の先端に前記球状部材の先端にある前記平面を一致させることによって、前記ロープ溝測定装置の調整を行うことを特徴とするものである。
【0017】
更に本発明は、ロープ径と略同一の径を有する球状部材と、前記球状部材の中心を貫通する棒状部材と、前記球状部の前記棒状部材側先端を前記棒状部材の長手方向と直交する方向にカットされた平面と、前記棒状部材の移動に連動してその移動量を測定する測定器具と、前記測定器具に対して前記棒状部材の移動方向に沿った任意の位置で前記球状部材を保持する保持部材とを備えたロープ溝測定装置を用いたロープ溝の測定方法において、 前記測定器具が基準位置を示すように前記棒状部材の位置を調整し、前記調整した棒状部材の先端に前記球状部材の先端にある前記平面を一致させることによって、前記ロープ溝測定装置の調整を行い、前記球状部材が球状であった場合の前記球状部材の先端と前記平面との距離の差分をあらかじめ前記測定器具の指針をマイナス方向にずらして調整しておき、前記球状部材をロープ溝に押し当て、前記棒状部材を前記ロープ溝の底面に当たるまで押し込み、そのときの前記測定装置の測定値を読み取ることにより、ロープの下面からロープ溝の底面までの距離を測定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来よりもロープ溝測定に要する作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態によるロープ溝測定装置の全体構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態によるロープ溝測定装置の一部を分解した説明図である。
図3】本発明の実施の形態によるロープ溝測定装置のゲージの説明図である。
図4】本発明の実施の形態によるロープ溝測定装置を用いてロープ溝の測定を行う手順を説明する図である。
図5】本発明の実施の形態によるロープ溝測定装置を用いてロープ溝の測定を行う手順を説明する図である。
図6図4の球状部材及びロープ溝周辺の詳細図である。
図7】ロープ溝部分の断面図である。
図8】従来のロープ溝測定装置の全体構成を示す図である
図9図8のロープ溝測定装置を用いてロープ溝の測定を行う手順を説明する図である。
図10図8のロープ溝測定装置を用いてロープ溝の測定を行う手順を説明する図である。
図11図8のロープ溝測定装置を用いてロープ溝の測定を行う手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を図により説明する。図1はロープ溝測定装置の全体構成を示す図であり、図8に相当する図、図2は本実施の形態のロープ溝測定装置の一部を分解した説明図、図3は本実施の形態のロープ溝測定装置のゲージの説明図である。
【0021】
図において、20はダイヤル型のゲージであり、タイヤの溝の測定用などで一般に市販されているものである(例えば、大橋産業の「No.1225 ダイヤル型 タイヤ溝ゲージ」)。
【0022】
使い方は、図3に示すように、ゲージ20の下面21をタイヤ30のトレッド面31に当て、測定ピン22をタイヤ溝32の底面33に当たるまで下方に押し込むと、指針23が示している目盛がタイヤ溝32の残存量になる。この指針23は、タイヤ30からゲージ20を外してもそのままの位置を保持するので、測定現場が暗くて指針23の目盛が見にくい場合等には、明るい場所で見直すこともできる。そして測定が終了すると指針23が0を指すように測定ピン22を戻す。
【0023】
本実施の形態のロープ溝測定装置は、前記のゲージ20を応用し、綱車のロープ溝測定用として好適な装置にしたものである。
図1図2において、41は測定ピン22の下端に固定された計測ピン、42はゲージ20の下面21に固定されたナット、43はナット42に固定されたボルト、44はボルト43に固定されたストッパであり、後述のロックナットなどの移動量を制限するものである。また、ナット42〜ストッパ44には計測ピン41が貫通する穴(図示省略)が空けられている。
【0024】
50はロックナットであり、図1に示すようにボルト43に螺合される。51はボルト43に螺合するナット形状の保持部材であり、その先端には球状部材52が固定されている。この球状部材52には中央に計測ピン41が貫通可能な貫通穴が空けられている。
このロープ溝測定装置40は、図1に示すように、ロックナット50及び保持部材51をボルト43に螺合し、球状部材52は計測ピン41が貫通した状態に保持される。
【0025】
次に本実施の形態の動作について説明する。
まず測定前に、計測ピン41の下端が球状部材52の下端と一致したときに、指針23が0を示すように、指針23を調整しておく。
この調整は、まず指針23が0を示すように測定ピン22及び測定ピン22に固定された計測ピン41を調整する。次にボルト43に対して保持部材51を回動して球状部材52を上下動し、計測ピン41の下端と球状部材52の下端を一致させる。そして、ボルト43に対してロックナット50を回動して、ロックナット50を保持部材51に接触させて保持部材51が動かないようにする。
【0026】
これにより、計測ピン41の下端と球状部材52の下端が一致しているときは、指針23が0を指すことになり、指針23の調整が終了する。通常はこの状態で保管しておく。
【0027】
次に指針23が調整されたロープ溝測定装置40を用いたロープ溝の測定方法について説明する。
まず、図4に示すように、測定対象のロープ溝2のうちロープ1が掛っていない箇所において、綱車3の中心方向に向けて、球状部材52をロープ溝2に押し当てる。
【0028】
次に、図5に示すように、計測ピン41がロープ溝2の底面4に当たるまで測定ピン22を押し込む。そしてそのときの指針23の指す目盛を読み取る。この目盛の値がロープ溝2の残存量dになる。
尚、既に説明したように、指針23は、ロープ溝2からロープ溝測定装置40を外してもそのままの位置を保持するので、測定現場が暗くて指針23の目盛が見にくい場合等には、明るい場所で見直すこともできる。そして測定が終了すると指針23が0を指すように測定ピン22及び計測ピン41を戻す。
【0029】
このように、本実施の形態によれば、従来のように直尺を使ってピンの突出量を測定する必要がないので、短時間で測定作業を行える。
【0030】
次に本実施の形態について、更に精密に測定する方法について図により説明する。図6図4の球状部材52及びロープ溝2周辺の詳細図である。
本実施の形態では、指針23の調整時に、計測ピン41の下端と球状部材52の下端を一致させやすくするために、球状部材52の下端が平面cになるようにその一部をカットしてある。
【0031】
本来のロープ溝2の残存量は、ロープ1からロープ溝2の底部4までの距離dである。このとき球状部材52はロープ1と同径になっているので、本来のロープ溝2の残存量は、図6の距離dになる。しかしながら、球状部材52の下端部をカットしてあるため、ロープ溝測定装置40で測定すると、球状部材52の下端平面cとロープ溝2の底面4との距離d1を測定することになり、その差eだけ長い値として測定することになる。この差eは0.2mm程度であるが、測定により正確さを求めるのであれば、指針23の調整時に、この差e分だけ、指針23をマイナス方向にずらして調整しておけばよい。
【0032】
前記の実施の形態では、ロックナット50の移動量を制限するためにストッパ44を設けているが、ストッパ44は省略しても実用上問題はない。
また、球状部材は測定対象のロープが代わる毎にロープの径に合った球状部材に交換してもよいが、その場合球状部材の交換毎に指針の調整が必要になる。そこで、測定対象となるロープ径の種類は限られているため、各種のロープについてロープ径に合わせた径の球状部材を備えたロープ溝測定装置を用意しておけば、各ロープ溝測定装置の指針の調整を一度行っておけば、その後の指針の調整が不要になる。
【0033】
更に、前記の実施の形態においては、丸溝アンダーカットのロープ溝の測定について説明したが、V溝アンダーカットや単にV溝のように、通常の使用時において、ロープとロープ溝の底面に所定の距離を有し、この距離を測定する必要がある場合には、本発明を実施することができる。
【0034】
以上のように、各実施の形態は、従来に比べ短時間でロープ溝の測定を行うことができる。
【符号の説明】
【0035】
1 ロープ
2 ロープ溝
3 綱車
4 底面
20 ゲージ(測定器具)
22 測定ピン
23 指針
40 ロープ溝測定装置
41 計測ピン(棒状部材)
42 ナット
43 ボルト
44 ストッパ
50 ロックナット
51 保持部材
52 球状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11