(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エッチング工程における前記通気孔の内部を通過する前記エッチング液の流速は、9ml/min未満とする請求項1に記載のプラズマ処理装置用電極板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電極板への通気孔の加工は、一般的にドリル等を利用した機械加工により行われる。このため、機械加工により残留する加工ダメージ部(マイクロクラック)を除去するために、加工後の電極板にエッチング処理が施される。エッチング処理においては、電極板を一枚ずつエッチング液に浸漬させて、電極板の表面を溶かすことにより加工ダメージ部を除去する。ところが、電極板をエッチング液へ浸漬させた際に、通気孔内部へのエッチング液の浸入が不十分であると、加工ダメージ部分を完全に除去しきれないことがある。この場合には、電極板の使用時においてエッチングガスにさらされることにより、加工ダメージ部が崩れて被処理基板上に落下し、パーティクルを発生させる要因となる。
【0006】
一方、パーティクルの発生を防止するために、エッチング処理工程におけるエッチング液への浸漬時間を長くすることが考えられるが、複数の通気孔毎にエッチング液の入り込み具合が異なることで、エッチングによる各通気孔内部の除去量に差が生じて、エッチング処理後の通気孔の開口径にばらつきが生じるおそれがある。この場合には、複数設けられた各通気孔を介して流通するエッチングガスの供給量にばらつきが生じ、被処理基板へのプラズマ処理を面内均一に施すことが難しくなる。さらに、エッチング処理は、通気孔形成時の加工ダメージ部の除去を目的とするが、電極板をエッチング液に浸漬させて行う方法では、エッチング液の使用量が多くなることも懸念されている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、パーティクルの発生を防止でき、被処理基板に面内均一なプラズマ処理を行うことができるプラズマ処理装置用電極板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプラズマ処理装置用電極板の製造方法は、電極板となる素板の表裏面を被覆するマスキングを施すマスキング工程と、前記素板を前記マスキングごとドリル加工によって該素板の厚さ方向に貫通する通気孔を複数形成して孔空き素板を形成する通気孔加工工程と、該通気孔加工工程後に前記孔空き素板にエッチング処理を施すエッチング工程とを有し、前記エッチング工程は、前記孔空き素板の一方の表面に開口端部を密接させた状態に箱体を固定し、該箱体と前記孔空き素板とで囲まれた空間部にエッチング液を加圧状態で供給することにより、前記エッチング液を前記通気孔を通じて前記一方の表面から他方の表面に流出させて行い、その際の各通気孔の内部を通過する前記エッチング液の流速を3ml/min以上に設定する。
【0009】
電極板となる孔空き素板には、1mm程度の細孔で形成された通気孔が複数設けられるため、孔空き素板をエッチング液に浸漬させただけでは、通気孔の内部にエッチング液を確実に浸入させることが難しい。この点、本発明においては、孔空き素板の通気孔に対してエッチング液を加圧状態で供給しながら、通気孔からエッチング液を流出させることにより、3ml/min以上の流速で通気孔内部にエッチング液を通過させてエッチング処理を行う。これにより、エッチング液を各通気孔内部に確実に浸入させるとともに、各通気孔の内部に連続的に新鮮なエッチング液を接触させて通過させることができ、複数の通気孔に均一にエッチング処理を行うことが可能となる。この際、孔空き素板の表裏面は、マスキングにより被覆されているので、各通気孔内部のみにエッチング処理を行うことができる。したがって、各通気孔の開口径のばらつきを小さくすることができるとともに、通気孔内部の加工ダメージ部を確実に除去することができる。また、本発明においては、孔空き素板の表裏面をマスキングにより被覆して、通気孔内部のみをエッチング処理の対象としているので、エッチング液の使用量を少なくすることができる。
そして、このように通気孔内部の加工ダメージ部が除去され、各通気孔の開口径が均一に設けられた電極板においては、加工ダメージ部に起因するパーティクルの発生を防止でき、エッチングガスを均一に供給することができる。したがって、被処理基板に面内均一なプラズマ処理を行うことができ、被処理基板の微細加工が可能となる。
【0010】
本発明のプラズマ処理装置用電極板の製造方法において、前記エッチング工程における前記通気孔の内部を通過する前記エッチング液の流速は、9ml/min未満とするとよい。
【0011】
エッチング液の流速を、9ml/min未満として、比較的緩やかな速度でエッチング液を通過させることで、通気孔内部において径方向に均一なエッチング処理を施すことができる。したがって、通気孔を電極板の表裏面に直交した直進孔に形成することができ、より確実にパーティクルの発生を防止することができるとともに、エッチングガスを均一に供給することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数設けられる通気孔の内部の加工ダメージ部を除去するとともに、各通気孔の開口径を均一に設けることができ、電極板使用時におけるパーティクルの発生を防止でき、被処理基板に面内均一なプラズマ処理を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置用電極板の製造方法の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のプラズマ処理装置用電極板の製造方法を工程順に示したフローチャートである。また、
図2は、
図1に示すプラズマ処理装置用電極板の製造方法の各工程を説明するプラズマ処理装置用電極板3(以下、電極板と称す。)となる素板31又は孔空き素板32の要部断面図である。
まず、本実施形態で製造される電極板3が用いられるプラズマ処理装置として、プラズマエッチング装置について説明する。プラズマエッチング装置100は、
図5に示すように、真空チャンバー2内の上側に電極板(上側電極)3が設けられるとともに、下側に上下動可能な架台(下側電極)4が電極板3と相互間隔をおいて平行に設けられる。この場合、上側の電極板3は絶縁体5により真空チャンバー2の壁に対して絶縁状態に支持されているとともに、架台4の上に、静電チャック6と、その周りを囲むシリコン製の支持リング7とが設けられており、静電チャック6上に支持リング7により周縁部を支持した状態でウエハ(被処理基板)8が載置されるようになっている。また、真空チャンバー2の上側には、エッチングガス供給管21が設けられ、このエッチングガス供給管21から送られてきたエッチングガスは、拡散部材9を経由した後、電極板3に設けられた通気孔33を通してウエハ8に向かって流され、真空チャンバー2の側部の排出口22から外部に排出される構成とされる。一方、電極板3と架台4との間には、高周波電源10により高周波電圧が印加されるようになっている。
【0015】
また、電極板3の背面には、熱伝導性に優れるアルミニウム等からなる冷却板11が固定されている。この冷却板11にも、電極板3の通気孔33に連通するように、通気孔33と同じピッチで貫通孔12が形成されている。そして、電極板3は、背面が冷却板11に接触した状態でねじ止め等によってプラズマエッチング装置100内に固定される。
【0016】
本実施形態の電極板3は、単結晶シリコン、柱状晶シリコン、又は多結晶シリコンにより、例えば厚さ5〜12mm程度、直径300〜400mm程度の円板に形成され、この電極板3には、数mm〜10mmピッチで数百〜3000個程度の通気孔33が縦横に整列した状態(マトリクス状)で厚さ方向に平行に貫通するように形成されている。
各通気孔33は、ドリル加工の後にエッチング処理を施すことにより形成され、例えば厚さ12mmとされる電極板3に対して開口径(穴径)が0.5mmで形成される。また、各通気孔33は、ウエハ8との対向面の開口径の標準偏差(分散の平方根)が0.003以下に形成されている。
【0017】
このように構成される電極板3は、
図1のフローチャート及び
図2の各工程図に示すように、電極板3となる素板31の表裏面30a,30bを被覆するマスキング35を施すマスキング工程(S1)と、素板31をマスキング35ごとドリル加工によってその素板31の厚さ方向に貫通する通気孔33Pを複数形成して孔空き素板32を形成する通気孔加工工程(S2)と、通気孔加工工程(S2)後に孔空き素板32にエッチング処理を施すエッチング工程(S3)と、エッチング処理工程(S3)後にマスキング35を剥がした状態で孔空き素板32の表裏面30a,30bを研磨するポリッシング工程(S4)と、ポリッシング工程(S4)後に孔空き素板32を洗浄する洗浄工程とを経て製造される。
【0018】
上記の電極板の製造方法の各工程を詳述すると、まず、図示は省略するが、単結晶シリコン、多結晶シリコン、又は一方向凝固組織を有する柱状晶シリコンからなるインゴットを、ダイヤモンドバンドソー等で略円板状に薄く切断することにより形成した素板31を用意する。
次に、マスキング工程(S1)において、
図2(a)に示すように、素板31の表裏面30a,30bをマスキング35により被覆する。具体的には、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等を材料としたマスキングテープをゴム系、シリコーン系又はアクリル系の接着剤を使用して素板31の表裏面30a,30bにそれぞれ接着することにより、素板31の表裏面30a,30bを被覆する。
【0019】
そして、通気孔加工工程(S2)において、素板3の一方の表面(表面30a又は30b)側から、厚さ方向に平行にドリルを下降させることにより、例えば開口径0.55mmとする通気孔33Pを1つずつ加工し、
図2(b)に示すように、複数の通気孔33Pを形成して孔空き素板32を形成する。
【0020】
次いで、エッチング工程(S3)において、
図2(c)に示すように、孔空き素板32の一方の表面(ここでは、裏面30b)に、エッチング液Fを加圧状態で供給しながら、各通気孔33P内部にエッチング液Fを通過させることにより、通気孔33P内部にエッチング処理を施す。具体的には、エッチング工程(S3)は、例えば
図3及び
図4に示すエッチング処理装置200を用いて行われ、このエッチング工程(S3)により、機械加工に伴う加工ダメージ部(通気孔33Pの内面に多数発生するいわゆるマイクロクラック)が除去される。なお、孔空き素板32の表裏面30a,30bは、マスキング35により被覆されているので、各通気孔33P内部のみにエッチング処理を行うことができる。エッチング処理装置200の詳細構造と、エッチング処理装置200を用いたエッチング工程(S3)の詳細については、後述する。
【0021】
そして、ポリッシング工程(S4)において、
図2(d)に示すように、マスキング35を剥がした状態で、孔空き素板32の表裏面30a,30bを研磨して平滑化する。
最後に、洗浄工程(S5)において、孔空き素板32を洗浄して電極板3に仕上げる。孔空き素板32の洗浄は、具体的には、ポリッシング工程(S4)後の孔空き素板32を純水等の洗浄液に一定時間浸漬するとともに、洗浄液中で孔空き素板32を揺動させる等して行う。
【0022】
次に、エッチング工程(S3)に用いるエッチング処理装置200について、説明する。
エッチング処理装置200は、孔空き素板32の厚さ方向に貫通して形成された複数の通気孔33Pに、エッチング液Fを通過させることによりエッチング処理を施す装置である。このエッチング処理装置200は、
図3及び
図4に示すように、孔空き素板32の周縁部34(詳細には、マスキング35の周縁部)が密接させられる開口端部を有する箱体210を、その箱体210と孔空き素板32(マスキング35)とで囲まれた空間部210aに所望の圧力でエッチング液Fを供給する流体供給装置204を備える。
【0023】
また、箱体210は、有底円筒状の胴体部201と、円形の開口部202aが形成された天板202とを有し、天板202には、開口部202aに円環状のパッキン206が取り付けられ、パッキン206の外側にクランプ207が固定されている。なお、クランプ207は、操作レバーとクランプ片とをトグルリンクにより接続した構成であり、
図4の実線で示すクランプ位置と鎖線で示す開放位置との間で操作される。
そして、孔空き素板32は、周縁部34(マスキング35の周縁部)がパッキン206に当接するように載置されて、クランプ207によりパッキン206に向けて押圧される。これにより、孔空き素板32は、通気孔33Pが閉鎖されない状態で箱体210に固定され、孔空き素板32の一方の表面30b(詳細にはマスキング35の表面)により空間部210aの一面を形成する。
【0024】
流体供給装置204は、配管208を介して箱体210の側面に接続される圧送装置(図示略)を備え、エッチング液Fを空間部210aに供給する。エッチング液Fが供給される空間部210aの内圧は、配管208に備えられた圧力ゲージ209により確認される。
【0025】
以上のように構成されたエッチング処理装置200を用いたエッチング工程(S3)においては、まず、
図3及び
図4に示すように、マスキング35が被覆されたままの孔空き素板32の周縁部34をパッキン206に当接させて、開口部202aを塞ぐように載置する。そして、この状態の孔空き素板32をクランプ207により固定することで、孔空き素板32を箱体210に装着する。
次に、液体供給装置204からエッチング液Fを空間部210aに供給する。このとき、空間部210aの内圧を予め確認しておき、圧力ゲージ209により空間部210aの内圧が適切な大きさとなるようにエッチング液Fの供給を調整する。これにより、空間部210aに供給されたエッチング液Fは、開口部202aに装着された孔空き素板32の各通気孔33Pを通じて孔空き素板32の裏面30bから表面30aに流出し、空間部210aの内圧に応じた流速で通気孔33Pの内部をエッチング液Fが通過する。
【0026】
この際、各通気孔33Pの内部を流れるエッチング液Fの流速は、3ml/min以上9ml/min未満に設定することが好ましい。エッチング液Fの流速を、3ml/min以上9ml/min未満として、比較的緩やかな速度で通気孔33P内部にエッチング液Fを通過させることで、通気孔33Pの内部において径方向に均一なエッチングを施すことができる。
【0027】
なお、孔空き素板32の全ての通気孔33Pに対して一度にエッチング処理を行うのではなく、孔空き素板32の一部の通気孔33Pをエッチング処理の対象とし、一部の通気孔33Pに対してエッチング処理を行うこととしてもよい。具体的には、本実施形態のエッチング処理装置200のように、孔空き素板32の周縁部34を箱体210の開口端部に密接させて密閉する構成とするのではなく、孔空き素板32を部分的に密閉するような箱体を用いることにより、一部の通気孔33Pに対してエッチング処理を行うことができる。この場合、エッチング処理の対象とされる通気孔33Pのエッチング処理を完了したら、対象となる通気孔33Pを変更して、順次新たな対象の各通気孔33Pのエッチング処理を行うことにより、全ての通気孔33Pのエッチング処理を行うことができる。
【0028】
このように、本実施形態の電極板の製造方法においては、孔空き素板32の通気孔33Pに対してエッチング液Fを加圧状態で供給しながら、通気孔33Pからエッチング液Fを流出させることにより、3ml/min以上の流速で通気孔33Pの内部にエッチング液Fを通過させてエッチング処理を行う。これにより、エッチング液Fを各通気孔33P内部に確実に浸入させるとともに、各通気孔33Pの内部に連続的に新鮮なエッチング液Fを接触させて通過させることができ、複数の通気孔33Pに均一にエッチング処理を行うことが可能となる。この際、孔空き素板32の表裏面30a,30bは、マスキング35により被覆されているので、各通気孔33P内部のみにエッチング処理を行うことができる。したがって、エッチング工程(S3)後において、各通気孔33の開口径のばらつきを小さくすることができるとともに、通気孔33内部の加工ダメージ部を確実に除去することができる。また、本実施形態では、孔空き素板32(素板31)の表裏面30a,30bをマスキング35により被覆して、通気孔33P内部のみをエッチング処理の対象としているので、エッチング液Fの使用量を少なくすることができる。
【0029】
そして、このように通気孔33内部の加工ダメージ部が除去され、各通気孔33の開口径が均一に設けられた電極板3においては、加工ダメージ部に起因するパーティクルの発生を防止でき、エッチングガスを均一に供給することができる。したがって、被処理基板に面内均一なプラズマ処理を行うことができ、被処理基板の微細加工が可能となる。
【0030】
さらに、本実施形態のように、エッチング処理工程(S3)において、エッチング液Fを通気孔33P内部に通過させる際の流速を、9ml/min未満の比較的緩やかな速度に設定することで、通気孔33P内部において径方向に均一なエッチング処理を施すことができる。したがって、通気孔33を電極板3の表裏面3a,3bに直交した直進孔に形成することができ、より確実にパーティクルの発生を防止することができるとともに、エッチングガスを均一に供給することができる。
【実施例】
【0031】
次に、本発明の効果を確認するために、エッチング工程において各通気孔の内部を流れるエッチング液の流速を異なる設定として、複数の電極板を作製し、各電極板の通気孔の開口径のばらつきと、通気孔内面の表面粗さ(算術平均粗さRa)を評価した。また、作製した各電極板を用いて、ウエハ(被処理基板)のエッチングを行い、ウエハ上に発生したパーティクルの個数を計測した。
【0032】
電極板は、外径390mm(12インチ)、厚さ12mmの単結晶シリコンの円板を用いて作製し、その単結晶シリコンの円板(素板)にマスキングテープ(ポリエステル製)をシリコーン系の接着剤により接着した後、ダイヤモンドドリルによって、直径0.55mmの通気孔を1000個形成した。そして、ドリル加工後にエッチング工程を行い、所定のポリッシング工程、洗浄工程を経て、表1に示す試料1〜12の各電極板を作製した。
【0033】
なお、表1に示す試料1の電極板は従来例であり、素板にマスキングを施すことなくドリル加工を行い、ふっ硝酸の溶液に1分浸漬させることによりエッチング処理を施したものである。そのため、試料1については、「1孔に入る流速」の欄は「―」で表記した。また、その他の試料2〜11の電極板については、
図3及び
図4に示すエッチング処理装置200を用いてエッチング処理を施し、試料毎に1ml/minずつ流速を変化させて行った。なお、「1孔に入る流速」は、一定時間、電極板に流したエッチング液を採取して流れたエッチング液の液量を測定し、その液量を流した時間と電極板の孔数で除することにより算出した。エッチング液には、ふっ酸(10%)、硝酸(40%)、酢酸(20%)及び水(30%)の混合液を用いた。また、エッチング処理時間は1分とした。
【0034】
そして、このようにして作製した各電極板について、各通気孔の開口径を計測し、電極板毎に通気孔の開口径のばらつきを評価した。なお、表1の「PV値」は、最大値と最小値との差分である。また、通気孔内部(内面)の表面粗さ(算術平均粗さRa)を評価した。
また、各電極板を、
図5に示すプラズマエッチング装置100に取り付けるとともに、予めCVD法によりSiO
2層を形成したウエハを対向して取り付け、以下の条件でエッチング実験を実施し、100時間処理後にウエハ上に発生した0.2μm以上の大きさ(粒径)のパーティクルの個数を計測した。
【0035】
(エッチング条件)
ウエハサイズ:φ300mm
チャンバー内圧力:26.7Pa(200mTorr)
エッチングガス組成:90sccmCHF
3+4sccmO
2+150sccmHe
高周波電力:2kW
周波数:20kHz なお、sccmとは、standard cc/minの略であり、1atm(大気圧1013Pa)で、0℃あるいは25℃などの一定温度で規格化された1分間あたりの流量(cc)をいう。
【0036】
各電極板の通気孔の開口径のばらつき、及びその内部の表面粗さ(算術平均粗さRa)と、発生したパーティクルの数の評価結果を、表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1からわかるように、通気孔内部を通過するエッチング液の流速を3ml/min以上に設定することにより、通気孔内部の表面粗さRaを小さくして、すなわち加工ダメージ部を除去するとともに、通気孔の開口径のばらつきを小さくすることができた。また、このように通気孔内部の表面粗さRaが小さく、開口径のばらつきが小さい試料3〜12の電極板においては、パーティクル数を大幅に低減させることができた。ところで、エッチング液の流速を9ml/min以上に設定した場合には、通気孔の開口部(電極板の表裏面に開口するエッジ部)の形状が、電極板の表裏面に直交した直進孔に形成できずに、円錐状に形成された。このことから、エッチング液を通気孔内部に通過させる際の流速を、3ml/min以上9ml/min未満の比較的緩やかな速度に設定することで、通気孔33Pにおいて径方向に均一なエッチング処理を施すことが可能であることが確認できた。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。