特許第6398840号(P6398840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6398840検出信号変換回路、モータロック検出回路、画像形成装置及び検出信号変換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398840
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】検出信号変換回路、モータロック検出回路、画像形成装置及び検出信号変換方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/16 20160101AFI20180920BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20180920BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20180920BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   H02P6/16
   G03G21/00 502
   B41J29/00 U
   B41J29/38 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-72497(P2015-72497)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-192869(P2016-192869A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2017年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115831
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】菊田 智之
【審査官】 樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−016245(JP,A)
【文献】 特開2008−245379(JP,A)
【文献】 特開2003−299385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/16
B41J 29/00
B41J 29/38
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転速度に応じた周波数を有する信号を二値化した二値化信号を変換する検出信号変換回路であって、
直流成分を取り除き交流成分だけを通過させるための第1のコンデンサを有し、前記二値化信号のエッジを検出したときエッジ検出信号を生成するエッジ検出回路と、
前記エッジ検出信号を変換して、前記モータの回転状態を表す一定値の第1信号と、前記モータのロック状態を表す一定値の第2信号とのいずれかを生成する信号変換回路と、
を備え、
前記信号変換回路は、
前記第1のコンデンサから前記エッジ検出信号をベース端子で入力するNPNトランジスタと、
前記NPNトランジスタのオン状態でベース端子が接地されてオン状態となるPNPトランジスタと、
前記PNPトランジスタのコレクタに接続され、前記エッジ検出信号の変換に起因する一時的な電圧変化をカットする遅延機能を有するボルテージディテクタと、
前記ボルテージディテクタに並列に接続されている第2のコンデンサと、
を有し、
前記信号変換回路は、前記NPNトランジスタと前記PNPトランジスタと前記第2のコンデンサとを使用して前記第1信号の出力を所定時間継続させるゼロ次ホールドを行うことによって前記第1信号と前記第2信号とを生成し、
前記ボルテージディテクタは、前記第2信号を生成するための閾値未満となっても一定時間は前記第1信号を継続して出力し、前記第1信号を生成するための閾値を超えると直ちに前記第1信号を出力させる検出信号変換回路。
【請求項2】
請求項1に記載の検出信号変換回路であって、
前記ボルテージディテクタは、遅延外付けコンデンサ接続端子CDを有し、
前記検出信号変換回路は、さらに、前記遅延外付けコンデンサ接続端子CDに一方の端子が接続され、他方の端子が接地されている外付けコンデンサを備えている検出信号変換回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検出信号変換回路であって、
前記モータは、ロータと、前記ロータを回転させる複数相の駆動コイルとを有し、前記複数相の駆動コイルの逆起電力に応じて前記ロータの位置を検出し、前記検出結果に応じて前記駆動コイルの各相の通電が切り替えられるセンサレスモータであり、
前記二値化信号は、前記逆起電力に応じて生成される検出信号変換回路。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出信号変換回路と、
光源を有する画像読取部と、
ヒータを有する定着部を有する画像形成部と、
前記画像読取部及び前記画像形成部の制御を実行する制御部と、
を備え、
前記モータは、前記光源と前記ヒータを冷却するためのモータを含み、
前記制御部は、さらに、所定のタイミングでポーリングすることによって前記第1信号を使用して前記モータのロック状態を検知し、前記ロック状態の検知に応じて前記光源と前記定着部とへの電力供給を停止する画像形成装置。
【請求項5】
モータの回転速度に応じた周波数を有する信号を二値化した二値化信号を変換する検出信号変換方法であって、
直流成分を取り除き交流成分だけを通過させるための第1のコンデンサを用い、前記二値化信号のエッジを検出したときエッジ検出信号を生成するエッジ検出工程と、
前記エッジ検出信号を変換して、前記モータの回転状態を表す一定値の第1信号と、前記モータのロック状態を表す一定値の第2信号とのいずれかを生成する信号変換工程と、
を備え、
前記信号変換工程は、
前記第1のコンデンサから前記エッジ検出信号をベース端子で入力するNPNトランジスタと、
前記NPNトランジスタのオン状態でベース端子が接地されてオン状態となるPNPトランジスタと、
前記PNPトランジスタのコレクタに接続され、前記エッジ検出信号の変換に起因する一時的な電圧変化をカットする遅延機能を有するボルテージディテクタと、
前記ボルテージディテクタに並列に接続されている第2のコンデンサと、
を用い、前記第1信号の出力を所定時間継続させるゼロ次ホールドを行うことによって前記第1信号と前記第2信号とを生成する工程を含み、
前記検出信号変換方法は、前記ボルテージディテクタを用い、前記第2信号を生成するための閾値未満となっても一定時間は前記第1信号を継続して出力し、前記第1信号を生成するための閾値を超えると直ちに前記第1信号を出力させる工程を備える検出信号変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動が異常により回転停止(ロック)したことを検出するためのロック検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な画像形成装置(たとえばプリンター、多機能プリンター、又は複合機(Multifunction Peripheral)は、定着部のヒータやスキャナ光源その他の発熱部を有する。このため、画像形成装置は、その内部を冷却するためのモータによって駆動される冷却ファンを有している。モータは、一般的にモータロック検出回路によって回転状態が常時監視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、モータロック検出回路は、画像処理とは無関係の冷却用のファンモータの回転状態を監視することを目的とする故に、画像形成装置の処理性能との相互作用については十分に検討されてはいなかった。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、画像形成装置の性能との相互作用を考慮して性能を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検出信号変換回路は、モータの回転速度に応じた周波数を有する信号を二値化した二値化信号を変換する。本検出信号変換回路は、前記二値化信号のエッジを検出したときエッジ検出信号を生成するエッジ検出回路と、前記エッジ検出信号を変換して、前記モータの回転状態を表す一定値の第1信号と、前記モータのロック状態を表す一定値の第2信号とのいずれかを生成する信号変換回路とを備える。
【0007】
上記の検出信号変換回路において、前記モータは、ロータと、前記ロータを回転させる複数相の駆動コイルとを有し、前記複数相の駆動コイルの逆起電力に応じて前記ロータの位置を検出し、前記検出結果に応じて前記駆動コイルの各相の通電が切り替えられるセンサレスモータであり、前記二値化信号は、前記逆起電力に応じて生成されるようにしてもよい。
【0008】
上記の検出信号変換回路において、前記信号変換回路は、前記エッジ検出信号の変換に起因する一時的な電圧変化をカットする遅延機能を有し、前記遅延機能は、前記第2信号を生成するための閾値未満となっても一定時間は前記第1信号の継続して出力し、前記第1信号を生成するための閾値を超えると直ちに前記第1信号を出力させる機能であるようにしてもよい。
【0009】
本発明のモータロック検出回路は、モータのロック状態を検出する。本モータロック検出回路は、上記いずれかに記載の検出信号変換回路と、前記モータの回転速度に応じた周波数を有する信号を二値化した二値化信号を生成する二値化回路と、を備える。
【0010】
本発明の画像形成装置は、上記に記載のモータロック検出回路を有する。
【0011】
本発明の検出信号変換方法は、モータの回転速度に応じた周波数を有する信号を二値化した二値化信号を変換する。本検出信号変換方法は、前記二値化信号のエッジを検出したときエッジ検出信号を生成するエッジ検出工程と、前記エッジ検出信号を変換して、前記モータの回転状態を表す一定値の第1信号と、前記モータのロック状態を表す一定値の第2信号とのいずれかを生成する信号変換工程とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の検出信号変換装置や検出信号変換方法によれば、ソフトウェアの処理負担を軽減してシステム全体の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示すブロックダイアグラム。
図2】一実施形態に係る検出信号変換回路が受信する監視信号を示すタイムチャート。
図3】一実施形態に係る検出信号変換回路の構成を示す回路図。
図4】一実施形態に係る検出信号変換回路の内部信号を示すタイムチャート。
図5】一実施形態に係る検出信号変換回路の出力信号を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロックダイアグラムである。画像形成装置1は、制御部10と、画像読取部20と、定着部30と、記憶部40と、冷却ファン50と、ファンモータ60と、モータロック検出回路100とを備えている。画像読取部20は、発熱する光源ユニット(図示せず)を有している。定着部30は、発熱するヒータ(図示せず)を有している。冷却ファン50は、光源ユニットやヒータの熱で画像形成装置1の内部が過熱しないように冷却する。ファンモータ60は、単にモータとも呼ばれる。
【0016】
制御部10は、RAMやROM等の主記憶手段、及びMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備えている。また、制御部10は、各種I/O、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、バス、その他バードウェア等のインターフェイスに関連するコントローラ機能を備え、画像形成装置1全体を制御する。
【0017】
記憶部40は、非一時的な記録媒体であるハードディスクドライブやフラッシュメモリー等からなる記憶装置で、制御部10が実行する処理の制御プログラムやデータを記憶する。
【0018】
ファンモータ60は、冷却ファン50を駆動するセンサレスDCモータである。ファンモータ60は、複数相(U相、V相、W相の3相)の駆動コイルLu、Lv、Lwを有している。駆動コイルLu、Lv、Lwは、中性点comにスター結線され且つ電気角120度の位相差を有してステータ(図示せず)に巻回されている。
【0019】
ファンモータ60は、以下のように作動する。3相の駆動コイルLu、Lv、Lwは、図示しない駆動回路のスイッチング操作によって各相の通電が切り替えられる。スイッチング操作は、検出されたロータ(図示せず)の位置(ロータの位置の検出結果)に応じて行われる。ロータの位置は、センサを使用することなく、駆動コイルLuに発生する逆起電力がゼロクロスするポイントを基準として検出(推定)する。逆起電力は、中性点comの電位を基準とする。駆動コイルLuに発生する逆起電力は、ロータの特定の位相角における回転によって正負の符号が変化するからである。
【0020】
モータロック検出回路100は、モータ監視回路110と、検出信号変換回路120とを有している。モータ監視回路110は、コンパレータ111と、切替スイッチ112とを有している。コンパレータ111の−端子には、中性点comが電気的に接続されている。コンパレータ111の+端子には、切替スイッチ112を介して駆動コイルLu、Lv、Lwのいずれかに接続される。以下の説明では、コンパレータ111の+端子には、駆動コイルLuが接続されていると仮定する。コンパレータ111は、二値化回路とも呼ばれる。
【0021】
図2は、一実施形態に係る検出信号変換回路が受信する監視信号Smを示すタイムチャートである。縦軸は電位を示し、横軸は時間を示している。監視信号Smは、コンパレータ111の出力信号である。時刻t1では、監視信号Smは、低電位VLから高電位VHに上昇している。この電位上昇は、コンパレータ111の+端子に接続されている駆動コイルLuの誘導起電力の符号が負から正に変化したことを示している。すなわち、モータ監視回路110側の駆動コイルLuの電位は、中性点comの電位よりも高くなったことになる。このように、監視信号Smは、ファンモータ60の回転速度に応じた周波数を有する信号を二値化した二値化信号である。
【0022】
一方、時刻t2では、モータ監視回路110側の駆動コイルLuの電位は、中性点comの電位よりも低くなったことになる。このような誘導起電力の変化は、ロータの回転を意味している。このように、監視信号Smは、二値化信号としてロータの回転を示している。
【0023】
図3は、一実施形態に係る検出信号変換回路120の構成を示す回路図である。検出信号変換回路120は、監視信号Smを変換して、ロータの回転状態を高電位VHで示し、ロータのロック状態を低電位VLで示すロック検出信号SL(後述)に変換する。検出信号変換回路120は、2個のコンデンサC1,C2と、NPNトランジスタTR1と、PNPトランジスタTR2と、各種抵抗と、ボルテージディテクタ121とを備えている。
【0024】
ボルテージディテクタ121は、本実施形態では、一例としてセイコーインスツル株式会社製のS−809xxCシリーズを採用している。ボルテージディテクタ121は、電圧入力端子VDDと、電圧検出出力端子OUTと、接地端子VSSと、遅延外付けコンデンサ接続端子CDとを備えている。電圧入力端子VDDは、電圧を検出するための端子である。遅延外付けコンデンサ接続端子CDについては後述する。
【0025】
図4は、一実施形態に係る検出信号変換回路120の内部信号を示すタイムチャートである。本タイムチャートは、監視信号Smがエッジ信号Seとゼロ次ホールド信号Szとに順に変換されていく様子を示している(図3参照)。縦軸は電位示し、横軸は時間を示している。監視信号Smは、図2に示される信号と同一である。なお、ゼロ次ホールド信号Szの電位は、タイムチャートを見やすくするために、高電位VHと低電位VLとから少しずらした電位として示してある。
【0026】
コンデンサC1は、監視信号Smから直流成分を取り除き交流成分だけを通過させてエッジ信号Seを生成する。エッジ信号Seは、立ち上がりエッジErと立ち下がりエッジEfとを含んでいる。エッジ信号Seは、NPNトランジスタTR1のベース端子に入力される。コンデンサC1は、エッジ検出回路とも呼ばれる。エッジ信号Seは、エッジ検出信号とも呼ばれる。
【0027】
時刻t2では、立ち上がりエッジErに応じてNPNトランジスタTR1がオンされる。これにより、PNPトランジスタTR2のベース端子が、オン状態のNPNトランジスタTR1を介して接地されることになる。PNPトランジスタTR2のベース端子が接地されると、PNPトランジスタTR2は、オン状態となって電位VCCがボルテージディテクタ121の電圧入力端子VDDに接続される。この状態では、PNPトランジスタTR2によってゼロ次ホールドされ、ゼロ次ホールド信号Szが所定時間継続することになる。
【0028】
時刻t3では、NPNトランジスタTR1のベース端子に立ち上がりエッジErが入力される。しかしながら、既にオン状態なので、ゼロ次ホールド信号Szは、高電位VH状態で変化しない。時刻t3では、次に立ち下がりエッジEfが入力される。しかしながら、高電位VH側なのでゼロ次ホールド信号Szは、高電位VH状態で変化しない。
【0029】
時刻t4では、低電位VL側で立ち下がりエッジEfがNPNトランジスタTR1のベース端子に入力される。これにより、NPNトランジスタTR1とPNPトランジスタTR2は、いずれもオフ状態となる。この結果、ゼロ次ホールド信号Szは、低電位VL状態となる。しかしながら、低電位VL状態となった直後に、立ち上がりエッジErがNPNトランジスタTR1に入力され、NPNトランジスタTR1とPNPトランジスタTR2は、いずれもオン状態となる。この結果、ゼロ次ホールド信号Szは、高電位VH状態となる。
【0030】
ゼロ次ホールド信号Szは、ボルテージディテクタ121の電圧入力端子VDDに入力される。ボルテージディテクタ121は、時刻t2及び時刻t4でのゼロ次ホールド信号Szの一時的な低下をカットして、制御部10に安定的なロック検出信号SLを出力する。ゼロ次ホールド信号Szの一時的な低下は、ボルテージディテクタ121の遅延機能によってカットされる。遅延機能は、遅延外付けコンデンサ接続端子CDに接続されているコンデンサC2によって実現される。
【0031】
遅延機能は、ゼロ次ホールド信号Szが一時的に低電位VL側に変化させるための閾値(解除電圧とも呼ばれる。)未満となっても、コンデンサC2の容量に応じた一定時間だけゼロ次ホールド信号Sz状態を維持する一方、ゼロ次ホールド信号Szが高電位VH側に変化させるための閾値(検出電圧とも呼ばれる。)を超えると直ちに高電位VH側に変化させる機能である。これにより、監視信号Smからエッジ信号Seへの変換に起因するゼロ次ホールド信号Szの一時的な低下(電圧変化)は、ノイズとしてカットされることになる。遅延機能の遅延時間は、遅延外付けコンデンサ接続端子CDに接続されているコンデンサC2の容量の設定によって調整可能である。
【0032】
図5は、一実施形態に係る検出信号変換回路120の出力信号を示すタイムチャートである。検出信号変換回路120は、ボルテージディテクタ121の電圧検出出力端子OUTからロック検出信号SLを出力する。ロック検出信号SLは、ファンモータ60が回転している場合には高電位VHを出力し、ファンモータ60がロックしている場合には低電位VLを出力する。NPNトランジスタTR1と、PNPトランジスタTR2と、各種抵抗と、ボルテージディテクタ121とで構成される回路は、信号変換回路とも呼ばれる。
【0033】
このように、検出信号変換回路120は、ファンモータ60の回転状態を表すパルス状の二値化信号である監視信号Smを変換して、一定値(高電位VHあるいは低電位VL)の信号であるロック検出信号SLに変換する。ロック検出信号SLは、制御部10に入力される(図1及び図3参照)。制御部10は、ロック検出信号SLが低電位VLである場合には、ファンモータ60がロックしていると判断し、画像読取部20の光源や定着部30のヒータへの電力供給を停止して画像形成装置1の過熱を防止する。高電位VHのロック検出信号SLは、第1信号とも呼ばれる。低電位VLのロック検出信号SLは、第2信号とも呼ばれる。
【0034】
このような制御部10の処理は、一般的には、監視信号Smが変換されることなく制御部に入力され、パルス状の二値化信号のままで処理される。具体的には、たとえば高電位VHとなる毎に割り込み処理でフラグを立てる方法や、二値化信号の周期よりも短い周期で高電位VHと低電位VLの変化を検出することによって行われる。監視信号Smは、周期的に変化する信号だからである。
【0035】
本願発明者は、このようなソフトウェア処理がCPUの負担となって、画像処理等の処理を低下させる要因となっていることを新たに見いだした。本願発明者は、この新たな知見に基づいて簡易な電子回路を追加するだけで、制御部の処理性能を全体として向上させる方法を見いだしたのである。本実施形態によれば、制御部10は、ソフトウェア処理の都合のよいタイミングでポーリングすれば、一定値のロック検出信号SLに基づいてファンモータ60の回転状態を確認することができるからである。
【0036】
このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、モータロックの検出回路に信号を変換する簡易な回路を追加するだけで、画像形成装置1の全体の性能を向上させることができる。
【0037】
本発明は、上記各実施形態だけでなく、以下のような変形例でも実施することができる。
【0038】
変形例1:本発明は、センサレスモータに適用されているが、たとえばセンサでロータの位置を検出する方式のモータにも適用することができる。ただし、センサレスモータへの適用は、センサレスモータのロータ位置検出のための誘導起電力を利用できるので、本発明の適用においてハードウェア構成を簡素化することができる。
【0039】
変形例2:本発明は、モータロック検出回路を有しないモータに適用されているが、たとえば回転状態をモータの回転速度に応じた周波数を有する信号を二値化した二値化信号で表すモータロック検出回路を有するモータに適用してもよい。
【0040】
さらに、本発明は、モータロック検出回路と組合せ可能な検出信号変換回路として適用してもよい。特に、サーバ用として普及している5V系のモータについては、モータの回転速度に応じた周波数を有する信号を二値化した二値化信号で表すモータロック検出回路が広く普及している。よって、本発明は、このような適用対象において、ソフトウェア処理の負担の軽減が望まれる構成で顕著な効果を奏することができる。
【0041】
変形例3:本発明は、画像形成装置に適用されているが、たとえばモータを使用する他の電子機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置
10 制御部
20 画像読取部
30 定着部
40 記憶部
50 冷却ファン
60 ファンモータ
100 モータロック検出回路
110 モータ監視回路
111 コンパレータ
112 切替スイッチ
120 検出信号変換回路
121 ボルテージディテクタ

図1
図2
図3
図4
図5