(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シーラント層(A)、中間層(B)及び基材層(C)の少なくとも3層を有する積層体からなる包装用フィルムであって、シーラント層(A)及び中間層(B)が、それぞれ下記の要件を満たす樹脂組成物からなり、押出ラミネーション法または共押出ラミネーション法により積層されることを特徴とする包装用フィルム。
シーラント層(A):下記の要件[1]〜[3]を同時に満たすエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含む。
[1]190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が1〜30g/10分の範囲である。
[2]密度が0.900〜0.930g/cm3の範囲である。
[3]オルトジクロロベンゼンによる温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、下記(i)〜(iii)を満たす。
(i)65℃以下と65℃超にそれぞれピークを少なくとも1つ有する。
(ii)溶出温度が65℃以下の溶出物(S1)の割合が20〜50重量%である。
(iii)溶出温度が65℃超の溶出物(S2)の割合が50〜80重量%である。
中間層(B):下記の要件[4]〜[6]を同時に満たすエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含む。
[4]190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が1〜30g/10分の範囲である。
[5]密度が0.910〜0.940g/cm3の範囲である。
[6]オルトジクロロベンゼンによる温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、下記(i)〜(iii)を満たす。
(i)85℃以下と85℃超にそれぞれピークを少なくとも1つ有する。
(ii)溶出温度が85℃以下の溶出物(M1)の割合が55〜90重量%である。
(iii)溶出温度が85℃超の溶出物(M2)の割合が10〜45重量%である。
シーラント層(A)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体および高圧法低密度ポリエチレンを配合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の包装用フィルム。
中間層(B)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体および高圧法低密度ポリエチレンを配合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の包装用フィルム。
シーラント層(A)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体70〜95重量%および高圧法低密度ポリエチレン5〜30重量%を配合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装用フィルム。
中間層(B)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体70〜95重量%および高圧法低密度ポリエチレン5〜30重量%を配合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含むことを特徴とする請求項1、2、4のいずれか一項に記載の包装用フィルム。
シーラント層(A)及び/又は中間層(B)に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体を少なくとも一つ含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の包装用フィルム。
シーラント層(A)に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の密度より、中間層(B)に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の密度の方が高いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の包装用フィルム。
【背景技術】
【0002】
従来、液体及び粘体、並びに不溶物質として繊維、粉体等の固形状のものを含んだ液体、粘体等の包装には、基材上に必要に応じて種々の層を積層させて得られる積層フィルムが使用されている。このような積層フィルムには、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、紙、アルミニウム箔等からなる表面基材層上に、シーラント層を設け、このシーラント層のヒートシール性を利用する包装用フィルムが知られている。
【0003】
シーラント層に使用される樹脂として、例えば、特許文献1〜3には、特定の物性を有するエチレンとエチレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体(以下、「エチレン・α−オレフィン共重合体」ともいう)および高圧法低密度ポリエチレン(以下、「HPLD」ともいう)のブレンド組成物が提案されている。特許文献1には、上記エチレン・α−オレフィン共重合体として、具体的には、Mg−Ti触媒で製造されたエチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体が示されているが、このブレンド組成物を用いた包装用フィルムは、横シール部の発泡開始温度が低いという欠点がある。
【0004】
また、特許文献2には、上記エチレン・α−オレフィン共重合体として、特定の温度上昇溶離分別(以下、「TREF」ともいう)特性を示すメタロセン触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(エチレン・1−ヘキセン共重合体など)が開示されているが、このブレンド組成物を用いた包装用フィルムは、内容物の充填時にシール部に該内容物が夾雑物としてシールされるため、ヒートシーラー部から受ける圧力と温度によって、シール部分で基材と中間層の剥離に基づく樹脂溜り(シーラント層および中間層部分がコブ状に盛り上った状態)生成によるシール不良が発生するという問題がある。一方、ヒートシーラーの圧力と温度を下げると、シーラント層の低温ヒートシール性およびホットタック性不足によるシール不良が発生し、シール強度の低下、耐圧強度の低下、異物介在による液漏れ等が発生し易く、その結果充填速度を速くすることができないという問題がある。
【0005】
また、特許文献3には、上記エチレン・α−オレフィン共重合体として、メタロセン触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体など)が開示されているが、上記特許文献2の場合と同様に、このブレンド組成物を用いた包装用フィルムは、低温ヒートシール性およびホットタック性不足によるシール不良が発生しやすい欠点がある。
【0006】
一方、例えば、特許文献4では、基材層に内層・中間層・外層からなる特定の3層構造フィルムを共押出した貼合用共押出多層フィルムが提案されている。しかしこの積層フィルムは、液体充填機で充填できないという問題がある。
【0007】
また、特許文献5では、基材層に、線状低密度ポリエチレンとHPLDのブレンド組成物からなる特定物性の中間層を設け、その外側に通常のシーラント層を設けた3層構造フィルムが提案されている。しかし、この積層フィルムは製袋品で高い破袋強度を有する利点を持つが、液体充填包装機での充填適性に劣るといった問題がある。
【0008】
また、特許文献6には、特定の熱的物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂または樹脂組成物を中間層及びシーラント層とし、かつ厚みを特定した3層構造の包装用積層体が提案されている。しかし、この積層体は、シーラント層として、該エチレン・α−オレフィン共重合体共重合体にHPLDを配合してよい旨が記載されているが、具体的な事例は示されておらず、幅広いシール温度での高速液体充填適性は得られないといった問題がある。
【0009】
また、特許文献7及び8には、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)からなるシーラント層と該シーラント層に比べて高密度のL−LDPEからなる中間層と二軸延伸フィルムからなるベースフィルム層との押出し三層構造を有する包装用フィルムが提案されている。
【0010】
さらに、特許文献9には、基材フィルムと、支持層と、シーラント層とを順に積層する積層体であって、支持層が、チーグラーナッタ系触媒またはメタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなり、シーラント層が特定の2種以上の樹脂をブレンドする組成物から構成される積層体が提案されている。
【0011】
しかし、自動充填装置を用いてフィルムを製造する際、種々の内容物、基材の違いなどに対応させるために、充填装置の設定条件を調整する必要があるところ、上記特許文献1〜9に開示されるような従来のフィルムでは、個々の包材での許容範囲が十分でなく、毎回、充填条件を探索する必要がある等の煩雑さが生じるという問題があり、さらなる充填適性の改良が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らが検討したところ、特許文献2、3に開示される包装用フィルムのヒートシール性が不良である原因としては、シーラント層を構成するブレンド組成物に配合されるエチレン・α−オレフィン共重合体として、線状低密度ポリエチレンを1種類のみ使用されており、溶媒に対する溶解特性の異なる成分の分布が狭いことが考えられた。また、特許文献4に開示される積層体が液体充填包装機での充填適性または幅広いシール温度での高速液体充填適性に劣る原因としては、内層(シーラント層)に用いられるチーグラー系触媒を用いて製造された線状低密度ポリエチレン中に高結晶性成分が相当量存在していることが考えられた。また、特許文献5〜9の実施例に示される積層体では、積層体を構成する中間層及び/又はシーラント層にポリエチレン樹脂を1種類のみ使用しており、該ポリエチレン樹脂は、溶媒に対する溶解特性の異なる成分の分布が狭いことが考えられた。
【0014】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、シーラント層、中間層及び基材層の少なくとも3層を有する積層体からなる包装フィルムであって、ヒートシール性、耐熱性及び生産性に優れ、低温から高温まで幅広い温度範囲で高速充填かつ高温充填が可能な包装用フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、シーラント層及び中間層が、特定の組成及び物性を有するポリエチレン樹脂組成物を含む樹脂組成物からなり、これらの層を押出ラミネート加工等により積層した包装用フィルムである場合、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
シーラント層(A)、中間層(B)及び基材層(C)の少なくとも3層を有する積層体からなる包装用フィルムであって、シーラント層(A)及び中間層(B)が、それぞれ下記の要件を満たす樹脂組成物からなり、押出ラミネーション法または共押出ラミネーション法により積層される包装用フィルム。
シーラント層(A):下記の要件[1]〜[3]を同時に満たすエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含む。
[1]190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が1〜30g/10分の範囲である。
[2]密度が0.900〜0.930g/cm
3の範囲である。
[3]オルトジクロロベンゼンによる温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、下記(i)〜(iii)を満たす。
(i)65℃以下と65℃超にそれぞれピークを少なくとも1つ有する。
(ii)溶出温度が65℃以下の溶出物(S1)の割合が20〜50重量%である。
(iii)溶出温度が65℃超の溶出物(S2)の割合が50〜80重量%である。
中間層(B):下記の要件[4]〜[6]を同時に満たすエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含む。
[4]190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が1〜30g/10分の範囲である。
[5]密度が0.910〜0.940g/cm
3の範囲である。
[6]オルトジクロロベンゼンによる温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、下記(i)〜(iii)を満たす。
(i)85℃以下と85℃超にそれぞれピークを少なくとも1つ有する。
(ii)溶出温度が85℃以下の溶出物(M1)の割合が55〜90重量%である。
(iii)溶出温度が85℃超の溶出物(M2)の割合が10〜45重量%である。
【0017】
また、上記包装用フィルムは、シーラント層(A)及び中間層(B)が、それぞれ下記の要件をさらに満たすことが好ましい。
シーラント層(A):下記の要件[1]’〜[3]’を同時に満たすエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含む。
[1]’190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が3〜10g/10分の範囲である。
[2]’密度が0.905〜0.920g/cm
3の範囲である。
[3]’オルトジクロロベンゼンによる温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、下記(ii)〜(iii)を満たす。
(ii)溶出温度が65℃以下の溶出物(S1)の割合が25〜45重量%である。
(iii)溶出温度が65℃超の溶出物(S2)の割合が55〜75重量%である。
中間層(B):下記の要件[4]’〜[6]’を同時に満たすエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含む。
[4]’190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が3〜10g/10分の範囲である。
[5]’密度が0.915〜0.930g/cm
3の範囲である。
[6]’オルトジクロロベンゼンによる温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、下記(ii)〜(iii)を満たす。
(ii)溶出温度が85℃以下の溶出物(M1)の割合が60〜90重量%である。
(iii)溶出温度が85℃超の溶出物(M2)の割合が10〜40重量%である。
【0018】
また、上記包装用フィルムは、シーラント層(A)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体および高圧法低密度ポリエチレンを配合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含むことが好ましい。
【0019】
また、上記包装用フィルムは、中間層(B)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体および高圧法低密度ポリエチレンを配合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含むことが好ましい。
【0020】
また、上記包装用フィルムは、シーラント層(A)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体70〜95重量%および高圧法低密度ポリエチレン5〜30重量%を配合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含むことが望ましい。
【0021】
また、上記包装用フィルムは、中間層(B)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体70〜95重量%および高圧法低密度ポリエチレン5〜30重量%を配合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含むことが望ましい。
【0022】
また、上記包装用フィルムは、シーラント層(A)及び/又は中間層(B)に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物が、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体を少なくとも一つ含有することが望ましい。
【0023】
また、上記包装用フィルムは、シーラント層(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の密度より、中間層(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の密度の方が高いことが好ましい。
【0024】
また、上記包装用フィルムは、液体を含む内容物を包装するためのフィルムであることが好ましい。
【0025】
また、上記包装用フィルムは、ホットパック用途のフィルムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の包装用フィルムは、低温から高温まで幅広い温度範囲で高速充填が可能であり、また、高温充填が可能である。また、本発明の包装用フィルムは、シーラント層、中間層及び基材層の少なくとも3層を有する積層体からなり、押出ラミネーション法または共押出ラミネーション法により製造でき、生産性、ヒートシール性に優れる。したがって、この包装用フィルムを用いた包装材料は、シール強度、耐圧強度及び高温充填性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本実施形態の包装用フィルムは、シーラント層(A)、中間層(B)及び基材層(C)の少なくとも3層を有する積層体からなり、シーラント層(A)及び中間層(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物を含む。
【0029】
1.エチレン・α−オレフィン共重合体
シーラント層(A)及び中間層(B)に含有されるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、主要成分として、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数4〜8のα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等が挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体としては、具体例には、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
【0030】
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは1種類でもよく、2種類以上を用いていてもよい。例えば、ターポリマーのようにα−オレフィンを2種類以上用いた多元系共重合体を用いることができる。具体例としては、エチレン・プロピレン・1−ブテン3元共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン3元共重合体等が挙げられる。
【0031】
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分とするものが好ましく、例えば、エチレン含有量が50〜99重量%、より好ましくは60〜97重量%、さらに好ましくは70〜95重量%の範囲から選択される。また、α−オレフィン含有量は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%の範囲から選択される。
【0032】
なお、エチレン含有量は、
13C−NMRスペクトル分析により測定される値であり、オルトジクロロベンゼンに溶解した試料(濃度:300mg/2mL)の、ヘキサメチルジシロキサンを標準物質として、温度120℃、周波数100MHz、スペクトル幅20000Hz、パルス繰り返し時間10秒、フリップ角40度の条件で測定される。
【0033】
上記エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法としては、後述する特性の物性を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体組成物が得られれば、特に限定されず、チーグラー触媒、メタロセン触媒などの公知の触媒を用いて製造することができる。中でも、メタロセン触媒を用いることにより所望の物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を容易に製造することができる。
【0034】
メタロセン触媒とは、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(以下、「メタロセン化合物」ともいう)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、任意成分として(iii)有機アルミニウム化合物と、からなる触媒であり、公知のメタロセン触媒を適宜選択して用いることができる。以下、上記(i)〜(iii)の各成分について説明する。
【0035】
(i)メタロセン化合物
メタロセン化合物は、特に限定されず公知のものを用いることができ、例えば、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭59−23011号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号公報等、EP公開420,436、米国特許5,055,438、国際公開WO91/04257、国際公開WO92/07123等に開示されるメタロセン化合物を用いることができる。
【0036】
具体的には、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物の混合物を使用することもできる。
【0037】
メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、SiO
2、Al
2O
3、MgO、ZrO
2、TiO
2、B
2O
3、CaO、ZnO、BaO、ThO
2等またはこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
(ii)助触媒
助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。
【0039】
(iii)有機アルミニウム化合物
有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
【0040】
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm
2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。
【0041】
エチレン・α−オレフィン共重合体は、市販されているものの中から適宜選択することもできる。市販品としては、デュポンダウ社製「アフィニティー」、日本ポリエチレン社製「カーネル」「ハーモレックス」等が挙げられる。
【0042】
エチレン・α−オレフィン共重合体は、1種又は2種以上混合して使用することができる。例えば、密度又はMFRを異にする2種以上のエチレン・α−オレフィン共重合体を併用することにより、ポリエチレン樹脂組成物の物性を所望の範囲に制御することができる。メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体は結晶性分布が狭いため、種々のエチレン・α−オレフィン共重合体をブレンドすることにより、後述するTREF物性を容易に所望の範囲に制御することができる。
【0043】
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体は、チタン、ハロゲンを含むいわゆるチーグラー触媒を用いて製造することもできる。物性の異なるエチレン・α−オレフィン共重合体を併用する場合、その方法は、共重合体同士をブレンドしてもよく、多段重合してもよい。また、メタロセン触媒とチーグラー触媒を混合使用することもできる。
【0044】
2.高圧法低密度ポリエチレン
シーラント層(A)及び中間層(B)に含有されるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、それぞれエチレン・α−オレフィン共重合体以外に高圧法低密度ポリエチレン(HPLD)を含むことができる。HPLDは、高圧ラジカル重合法により得ることができ、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンとも呼称される。HPLDは溶融弾性が高く、特に押出ラミネート加工時のネックインの改良に多く用いられる。HPLDの物性としては特に規定されないが、MFRが好ましくは0.2〜80g/10分であり、より好ましくは0.5〜50g/10分である。また、密度が好ましくは0.900〜0.935g/cm
3であり、より好ましくは特に0.910〜0.930g/cm
3である。
【0045】
3.エチレン・α−オレフィン共重合体組成物
(1)メルトフローレート(MFR)
シーラント層(A)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が1〜30g/10分、好ましくは3〜10g/10分である。MFRが上記範囲より低いと樹脂を溶融押出する際の押出負荷が高くなり、また成形時フィルム表面の肌荒れが発生するので好ましくない。MFRが上記範囲を超えるとヒートシール時のホットタック性が低下したり、包装材料とした際の強度が下がったりするので好ましくない。なお、MFRは、JIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定される値である。
【0046】
中間層(B)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が1〜30g/10分、好ましくは3〜10g/10分である。MFRが上記範囲より低いと樹脂を溶融押出する際の押出負荷が高くなり、また成形時フィルム表面の肌荒れが発生するので好ましくない。MFRが上記範囲を超えるとヒートシール時のホットタック性が低下したり、包装材料とした際の強度が下がったりするので好ましくない。なお、MFRは、JIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定される値である。
【0047】
(2)密度
シーラント層(A)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、密度が0.900〜0.930g/cm
3であり、好ましくは0.905〜0.920g/cm
3である。密度が上記範囲より高いと低温ヒートシール性に劣る。密度が上記範囲より低いと高温でシールした際に発泡しやすいので好ましくない。なお、密度は、JIS−K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定される値である。
【0048】
中間層(B)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、密度が0.910〜0.940g/cm
3であり、好ましくは0.915〜0.930g/cm
3である。密度が上記範囲より高いと低温ヒートシール性に劣る。密度が上記範囲より低いと高温でシールした際に発泡しやすいので好ましくない。なお、密度は、JIS−K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定される値である。また、上記範囲内の密度において、シーラント層(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の密度より、中間層(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の密度の方が高いと、ヒートシール性及び耐熱性のバランスにより優れる。
【0049】
シーラント層(A)および中間層(B)に含有されるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、それぞれ、エチレン・α−オレフィン共重合体とHPLDを配合してなることが好ましく、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物全体100重量%に対して、上記エチレン・α−オレフィン共重合体70〜95重量%およびHPLD5〜30重量%を配合してなることがより好ましい。また、シーラント層(A)および中間層(B)に含有されるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体を少なくとも1種類含有することが好ましい。
【0050】
(3)温度上昇溶離分別(TREF)
シーラント層(A)及び中間層(B)に含有されるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、特定の結晶性分布を有し、以下の各要件を満たす。
【0051】
シーラント層(A)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、オルトジクロロベンゼンを溶媒とするTREFによって得られる溶出曲線において、(i)65℃以下と65℃超に少なくとも1つのピークを有し、(ii)溶出温度が65℃以下の溶出物(S1)の割合が20〜50重量%であり、かつ、(iii)溶出温度が65℃超の溶出物(S2)の割合が50〜80重量%である。
【0052】
溶出温度が65℃以下の溶出物(S1)は、低い結晶領域の成分であり、溶出温度が65℃以上の溶出物(S2)は、S1に比べて相対的に結晶性が高い成分となる。シーラント層を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の溶出曲線が上記条件を満たすことにより、低温シール性と耐熱性とのバランスに優れたフィルムを得ることができる。
【0053】
シーラント層(A)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の溶出曲線は、65℃以下に少なくとも1つのピークを有する。また、65℃以下のピークのうち最大ピークが存在する位置の温度の下限は、例えば、30℃以上であり、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上である。また、上記範囲に存在するピークの数としては、1つでもよく、2つ以上でもよい。
【0054】
また、該溶出曲線は、65℃超に少なくとも1つのピークを有する。65℃超のピークのうち最大ピークが存在する位置の温度の上限は、例えば、100℃以下であり、好ましくは85℃以下、より好ましくは80℃以下である。また、上記範囲に存在するピークの数としては、1つでもよく、2つ以上でもよい。
【0055】
溶出温度が65℃以下の溶出物(S1)の割合は、シーラント層(A)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物全体100重量%に対して、20〜50重量%、好ましくは25〜45重量%である。S1の含有量が上記範囲であることにより、低温シール性に優れる。また、S1の割合が上記範囲より多いとべたつきが生じたり、滑り性が悪化したり、また高温シール領域での結晶化が遅く、発泡が生じ易い。一方、S1の割合が上記範囲より少ないと低温でのシール性が劣る。
【0056】
溶出温度が65℃以上の溶出物(S2)の割合は、シーラント層(A)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物全体100重量%に対して、50〜80重量%、好ましくは55〜80重量%、より好ましくは55〜75重量%である。S2の割合が上記範囲であることにより、耐熱性、押出ラミネート加工性に優れる。また、ヒートシール時の結晶化速度が速くなり、その結果、シール外観に優れる。また、S2の割合が上記範囲より多いと低温シール性が悪化する。また、S2の割合が上記範囲より少ないとシール後退が生じたり、高温で発泡が生じたりし、得られる包装製品の外観が損なわれる。
【0057】
中間層(B)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、オルトジクロロベンゼンを溶媒とするTREFによって得られる溶出曲線において、(i)85℃以下と85℃超に少なくとも1つのピークを有し、(ii)溶出温度が85℃以下の溶出物(M1)の割合が55〜90重量%であり、かつ、(iii)溶出温度が85℃超の溶出物(M2)の割合が10〜45重量%である。
【0058】
溶出温度が85℃以下の溶出物(M1)は、S1、S2に比べて更に結晶性の高い成分を含み、溶出温度が85℃超の溶出物(M2)はM1に比べて更に結晶性の高い成分である。中間層(B)を構成するポリエチレン樹脂組成物は、溶出曲線が上記条件を満たすことにより、低温シール性と耐熱性のバランスに優れたフィルムを得ることができる。
【0059】
中間層(B)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の溶出曲線は、85℃以下に少なくとも1つのピークを有する。85℃以下のピークのうち最大ピークが存在する位置の温度の下限は、例えば、40℃以上であり、好ましくは50℃以上、より好ましくは65℃超である。また、上記範囲に存在するピークの数としては、1つでもよく、2つ以上でもよい。
【0060】
また、該溶出曲線は、85℃超に少なくとも1つのピークを有する。85℃超のピークのうち最大ピークが存在する位置の温度の上限は、例えば、110℃以下であり、好ましくは100℃以下である。また、上記範囲に存在するピークの数としては、1つでもよく、2つ以上でもよい。
【0061】
中間層(B)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物において、溶出温度が85℃以下の溶出物(M1)の割合は、中間層(B)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物全体100重量%に対して、55〜90重量%、好ましくは60〜90重量%、より好ましくは60〜85重量%である。M1が上記範囲であることにより、低温シール性、押出ラミネート加工性に優れる。また、ヒートシール時の結晶化速度が遅くなり、流動性が向上するため、中間層が押しつぶされやすくなり、低温シール性が向上する。一方、M1の割合が上記範囲より少ないと低温シール性が劣る。
【0062】
中間層(B)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物において、溶出温度が85℃超の溶出物(M2)の割合は、中間層(B)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物全体100重量%に対して、10〜45重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜40重量%である。M2の割合が上記範囲であることにより、耐熱性に優れる。また、ヒートシール時の結晶化速度が速くなり、その結果シール外観に優れる。また、M2の割合が上記範囲より大きいと低温シール性が悪化する。また、M2の割合が上記範囲より小さいとシール後退が生じたり、高温で発泡が生じたりし、得られる包装製品の外観が損なわれる。
【0063】
(TREFの測定方法)
以下に、TREF測定の具体的な方法について説明する。カラム温度の降下速度は、試料に含まれる結晶性成分の各温度における結晶化に必要な速度に、また、カラム温度の上昇速度は、各温度における溶出成分の溶解が完了し得る速度に調整する必要があり、このようなカラム温度の冷却速度及び昇温速度は、予備実験をして決定する。測定条件は次の通りである。
装置:ダイヤインスツルメンツ社製CFC−T102L
GPCカラム:昭和電工社製AD−806MS(3本を直列に接続)
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
サンプル濃度:3mg/mL
注入量:0.4mL
結晶化速度:1℃/分
溶媒流速:1mL/分
溶出温度 0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140の各温度(℃)
【0064】
(TREFのデータ解析)
TREF測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムは、装置付属のデータ処理プログラムにより処理され、総和が100%となるように規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)が求められる。さらに、溶出温度に対する積分溶出曲線が計算される。この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が求められる。なお、本明細書においてピークとは、微分溶出曲線における凸型の変曲点をいい、明確な凸を示すピークだけでなく、いわゆるショルダーを示すものも含む。
【0065】
図1及び2は、後述する実施例及び比較例で得られたエチレン・α−オレフィン共重合体組成物のTREF測定による微分溶出曲線を示す。
図1はシーラント層の微分溶出曲線を示し、65℃以下のピークとして、50℃〜60℃の間にピークを1つ有し、65℃超のピークとして、70℃〜80℃の間にピークを1つ有する。また、
図2は中間層の微分溶出曲線を示し、例えば、
図2(B)では、85℃以下のピークとして、60℃〜70℃の間に最大ピークを1つと70℃〜80℃の間に小さなピークを1つ有し、85℃超のピークとして、90〜100℃の間にピークを1つ有する。
【0066】
シーラント層(A)及び中間層(B)において、TREFによる溶出曲線が上記条件を満たすように調整する方法としては、特に限定されず、種々の方法を用いることができる。例えば、TREFのデータはおおむね加成性が成り立つため、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物を2種類以上のエチレン・α−オレフィン共重合体やHPLDの混合により製造する場合は、個々の共重合体やHPLDのTREFデータに基づいて所望のTREFパターンとなる混合比を予測したうえで、混合成分の割合を微増減させることにより、TREF特性を制御することができる。また、メタロセン系触媒を用いて製造したエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより、結晶性分布が狭くなり、シャープなピークを有するポリエチレン樹脂組成物を得ることができる。
【0067】
なお、上記エチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、結晶造核剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、スリップ剤、過酸化物、有機又は無機充填剤、蛍光増白剤、顔料等を含むことができる。また、上記ポリエチレン樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、エチレン・α−オレフィン共重合体及び高圧法低密度ポリエチレン以外の樹脂成分を少量含むことができる。
【0068】
4.包装用フィルム
本実施形態の包装用フィルムは、シーラント層(A)、中間層(B)及び基材層(C)の少なくとも3層をこの順に有する積層体からなり、シーラント層(A)及び中間層(B)が、押出ラミネート法または共押出ラミネート法により、基材層(C)上に積層される。
【0069】
基材層(C)としては、紙、アルミニウム箔、セロファン、織布、不織布、高分子重合体などのフィルムが挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1等のオレフィン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のビニル共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン7、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート等のフィルムを挙げることができる。基材層(C)として用いるフィルムは、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。また、該フィルムは、基材の種類によっては延伸加工を行ったものでもよい。延伸加工を行ったフィルムとしては、例えば、一軸、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエチエンテレフタレートフィルム、延伸ポリスチレンフィルムなどが挙げられる。さらに、上記フィルム上にポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールなどをコーティングしたものや、アルミ、アルミナやシリカ、又はアルミナ及びシリカの混合物を蒸着したものを基材層C)として用いてもよい。液体や粘体を含む内容物の包装用フィルムの場合、基材層(C)は、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、又はそれら基材上にシリカやアルミナを蒸着したものを用いることができる。
【0070】
通常、積層体を製造する方法としては、例えば、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出法、サンドイッチラミネート法、共押出法等が挙げられる。例えば、ドライラミネーション等に使用する包装用フィルムは、カレンダー法、空冷インフレーション法、水冷インフレーション法、Tダイ成形法など任意の方法が挙げられる。また、押出法の場合は、押出ラミネート法、ドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、共押出ラミネート法(接着層を設けない共押出、接着層を設ける共押出、接着樹脂を配合する共押出等を含む)等の方法がある。
【0071】
本実施形態の包装用フィルムにおいて、基材層(C)の少なくとも一方の面に、シーラント層(A)及び中間層(B)を積層する際、押出ラミネート法または共押出ラミネート法が好適に用いられる。これらの方法を用いることにより、フィルムの生産性に優れる。例えば、液体、粘体などを含む内容物の包装材料を作る方法としては、生産性と品質の観点から、タンデム押出ラミネート法が好適に用いられる。タンデム押出ラミネート法は、2種類の樹脂層を逐次積層する方法であり、例えば、押出ラミネート法にて基材層(C)上に1層目として中間層(B)を積層し、さらに2層目としてシーラント層(A)を積層する方法である。
【0072】
包装用フィルムを構成する積層体は、積層体全体の厚み、各層の厚みや各層の厚み比については特に制限はなく、内容物や用途等に応じて適宜選択することができる。積層体全体の厚みは、例えば、40〜120μm、基材層の厚みは10〜40μm、シーラント層の厚みは10〜40μm程度である。中間層を設ける場合は、該中間層の厚みは20〜40μm程度とすることができる。また、積層の際は、基材表面の接着性をよくするために、予め基材層上にコロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理等の表面処理を行うことができる。さらに、接着性増強等のために、予め基材上にアンカーコート剤を塗布してから積層することができる。アンカーコート剤としては、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系等のものが挙げられる。
【0073】
本実施形態の包装用フィルムは、種々の包装材、例えば食品包装材、医療用包装材、エンジンオイルなどの工業材料包装材等として用いることができる。中でも、液体、繊維、粉体等の固形状の不溶物を含む液体、粘体等の流体を内容物として収容するための包装材として好適に用いられる。また、耐熱性に優れるため、内容物温度が少なくとも95℃以下での高速充填が可能であり、液体を含む内容物を高温(例えば、90℃以上)で充填するホットパック用の包装材として好適に用いられる。
【実施例】
【0074】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において使用した測定方法、評価方法及び樹脂材料は、以下の通りである。
【0075】
[測定方法]
(1)MFR:JIS K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して行った。
(2)密度:JIS K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して行った。
【0076】
[フィルムの評価方法]
(1)液体の充填
粘性体自動充填包装機(三光機械社製、FR−3)を用いて、次の条件で液体を充填した。
[充填条件]
シール温度:(縦)185℃、(横)110℃〜180℃
包装形態:三方シール
袋寸法:幅100mm×縦150mmピッチ
充填物:水95℃(ホットパック充填)
充填量:約40g
充填速度:25m/分
【0077】
(2)ホットパック充填評価
上記の条件で横シール温度を変更して充填を行い、下記の方法にて評価した。
[耐圧条件]
耐圧試験機(小松製作所社製)にて100kgで1分間荷重をかけ、破袋、又はシール後退、水漏れの有無を評価した。
[評価基準]
横シール外観が良好であり、耐圧評価で破袋や水漏れがなく、発泡が見られない場合を○、耐圧評価で破袋や後退、水漏れがある場合を△、横シール部に発泡が確認できた場合を×と評価した。
【0078】
(3)ボイル評価
評価用フィルムのシーラント面を合わせ、クリップで挟み、95℃で1分、ボイルし、フィルムの融着の有無を目視にて観察した。フィルムの融着が確認されなかった場合を○、フィルムの融着が確認された場合を×として、融着の有無を評価した。
【0079】
(4)ポリ溜りの発生の評価
高温(95℃)にて充填した評価用フィルムのヒートシール部のポリ溜りの発生の有無を目視にて観察した。ヒートシール部にポリ溜りが観察されなかった場合を○、ポリ溜りが観察された場合を×として評価した。
【0080】
(5)腰感
包装フィルムの腰感をループステフネステスタ(東洋精機社製)で評価し、2g以上の腰感である場合を○、2g以下の腰感である場合を×として評価した。
[評価条件]
試験寸法:MD、TD方向、幅25mm、長さ120mm
力測定範囲:20g(表示19.99g)
圧縮速度:3.5mm/min
1試料につき縦方向、横方向、各5回ループステフネス強度を測定した。
【0081】
[使用樹脂]
P1:エチレン・1−ヘキセン共重合体(メタロセン触媒を用いて製造した線状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、MFR2g/10分、密度0.898g/cm
3)
P2:エチレン・1−ヘキセン共重合体(mLLD、MFR10g/10分、密度0.900g/cm
3)
P3:エチレン・1−ヘキセン共重合体(mLLD、MFR4g/10分、密度0.918g/cm
3)
P4:エチレン・1−ヘキセン共重合体(mLLD、MFR9g/10分、密度0.918g/cm3)
P5:エチレン・1−ヘキセン共重合体(mLLD、MFR4g/10分、密度0.918g/cm
3)
P6:エチレン・1−ヘキセン共重合体(mLLD、MFR8g/10分、密度0.919g/cm
3)
P7:エチレン・1−ヘキセン共重合体(Cr触媒を用いて製造された直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、MFR2g/10分、密度0.935g/cm
3)
P8:エチレン・1−プロペン共重合体(Zn触媒を用いて製造された高密度ポリエチレン(HDPE)、MFR7g/10分、密度0.962g/cm
3)
P9:高圧法低密度ポリエチレン(HPLD)(MFR4g/10分、密度0.918g/cm
3)
【0082】
【表1】
【0083】
[実施例1]
[シーラント層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP1:38重量%およびP4:40重量%、高圧法低密度ポリエチレンとしてP9:22重量%を用いた。上記樹脂100重量部と脂肪族アミド系スリップ剤0.06重量部をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(A1)を得た。
図1(A1)に示されるように、TREF曲線は、P1に基づく約57℃のピークと、P4、P9に基づく約74℃のピークが観察された。
[中間層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP5:65重量%およびP6:15重量%、高圧法低密度ポリエチレンとしてP9:20重量%を用いた。上記樹脂をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(B1)を得た。
図2(B1)に示されるように、TREF曲線は、P5、P6、P9に基づく約73℃のピークと、P5、P6に基づく約88℃のピークが観察された。
[評価用フィルムの作製]
押出ラミネート装置を用い、幅500mm、厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製ハーデンフィルムN1102)を基材層として、その上に、イソシアネート系アンカーコート剤(日本曹達製チタボンドT120溶液)をボウズロールにて塗工しながら、またラミネート部にてオゾン吹きつけを行いながら、中間層材料のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を引き取り速度100m/分、被覆厚み25μmで溶融押出しラミネート加工を行い、中間層を積層した。押出ラミネート装置は、口径90mmφの押出機に装着したTダイスから押し出される樹脂の温度が300℃になるように設定し、冷却ロール表面温度25℃、ダイス幅560mm、ダイリップ開度0.7mmで引き取り加工速度が100m/分の場合に被覆厚みが25μmになるように押出量を調整した。
さらにこの中間層の上に、同じ押出ラミネート装置を用い、シーラント層材料のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を押出樹脂温度290℃、引き取り速度100m/分、被覆厚み25μmで溶融押出しラミネート加工を行い、シーラント層を積層した。
加工後の積層フィルムを40℃のオーブン内にて48時間のエージングを行った後、幅150mmにスリットすることで評価用の包装用フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0084】
[実施例2]
下記の方法により得られたシーラント層材料及び中間層材料のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物(A2)、(B2)を用いた以外は、実施例1と同様に、評価用フィルムを作製した。フィルムの評価結果を表2に示す。
[シーラント層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP2:38重量%およびP3:40重量%、高圧法低密度ポリエチレンとしてP9:22重量%を用いた。上記樹脂100重量部と脂肪族アミド系スリップ剤0.06重量部をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(A2)を得た。
図1(A2)に示されるように、TREF曲線はP2に基づく約55℃のピークと、P3、P9に基づく約76℃のピークが観察された。
[中間層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP6:50重量%およびP7:30重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、P9:20重量%を用いた。上記樹脂をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(B2)を得た。
図2(B2)に示されるように、TREF曲線はP6に基づく約67℃のピークと、P9に基づく約76℃のピークと、P6、P7に基づく約94℃のピークが観察された。
【0085】
[実施例3]
下記の方法により得られたシーラント層材料及び中間層材料のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物(A2)、(B3)を用いた以外は、実施例1と同様に、評価用フィルムを作製した。フィルムの評価結果を表2に示す。
[シーラント層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP2:38重量%、P3:40重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、P9:22重量%を用いた。上記樹脂100重量部と脂肪族アミド系スリップ剤0.06重量部をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物を得た。
図1(A2)に示されるように、TREF曲線はP2に基づく約55℃のピークと、P3、P9に基づく約76℃のピークが観察された。
[中間層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP5:55重量%、高密度ポリエチレンとしてP8:25重量%、高圧法低密度ポリエチレンとしてP9:20重量%を用いた。上記樹脂をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(B3)を得た。
図2(B3)に示されるように、TREF曲線はP5に基づく約66℃のピークと、P9に基づく約77℃のピークと、P5に基づく約90℃のピークと、P8に基づく約96℃のピークが観察された。
【0086】
[比較例1]
下記の方法により得られたシーラント層材料及び中間層材料のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物(A2)、(B4)を用いた以外は、実施例1と同様に、評価用フィルムを作製した。フィルムの評価結果を表2に示す。
[シーラント層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP2:38重量%、P3:40量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、P9:22重量%を用いた。上記樹脂100重量部と脂肪族アミド系スリップ剤0.06重量部をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(A2)を得た。
図1(A2)に示されるように、TREF曲線はP2に基づく約55℃のピークと、P3、P9に基づく約76℃のピークが観察された。
[中間層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP3:80重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、P9:20重量%を用いた。上記樹脂をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(B4)を得た。
図2(B4)に示されるように、TREF曲線は、P3、P9に基づく約77℃のピークが観察された。
【0087】
[比較例2]
下記の方法により得られたシーラント層材料及び中間層材料のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物(A3)、(B4)を用いた以外は、実施例1と同様に、評価用フィルムを作製した。フィルムの評価結果を表2に示す。
[シーラント層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP1:53重量%、P4:25量%、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)として、P9:22重量%を用いた。上記樹脂100重量部と脂肪族アミド系スリップ剤0.06重量部をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(A3)を得た。
図1(A3)に示されるように、TREF曲線は、P1に基づく約57℃のピークと、P4、P9に基づく約73℃のピークが観察された。
[中間層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP3:80重量%、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)として、P9:20重量%を用いた。上記樹脂をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(B4)を得た。
図2(B4)に示されるように、TREF曲線は、P3、P9に基づく約77℃のピークが観察された。
【0088】
[比較例3]
下記の方法により得られたシーラント層材料及び中間層材料のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物(A3)、(B2)を用いた以外は、実施例1と同様に、評価用フィルムを作製した。フィルムの評価結果を表2に示す。
[シーラント層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP1:53重量%、P4:25量%、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)として、P9:22重量%を用いた。上記樹脂100重量部と脂肪族アミド系スリップ剤0.06重量部をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(A3)を得た。
図1(A3)に示されるように、TREF曲線は、P1に基づく約57℃のピークと、P4、P9に基づく約73℃のピークが観察された。
[中間層]
エチレン・α−オレフィン共重合体としてP6:50重量%およびP7:30重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、P9:20重量%を用いた。上記樹脂をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物(B2)を得た。
図2(B2)に示されるように、TREF曲線はP6に基づく約67℃のピークと、P9に基づく約76℃のピークと、P6、P7に基づく約94℃のピークが観察された。
【0089】
【表2】
【0090】
[評価結果]
実施例1〜3のフィルムは、充填適性、ホットパック充填時の耐熱性や外観が良好であり、低温から高温まで幅広い範囲で高速液体充填が可能であった。中でも、実施例2のフィルムは、実施例1と比較して、中間層の溶融温度分布が広いため、ホットパック充填で幅広い充填温度が得られた。また、実施例3のフィルムは、中間層に高融点成分の割合が多いHDPEを含み、実施例1と比較して腰感に優れる。
一方、比較例1は、中間層の溶融温度分布が狭いため、実施例と比較して、ホットパック充填適性などに劣る。また、比較例2は、シーラント層の溶融温度分布において、溶出温度が65℃以下の溶出物(S1)の割合が、65℃超の溶出物(S2)の割合よりも多く、中間層の溶融温度分布が狭いため、実施例と比較して、常温充填適性及びホットパック充填適性などに劣る。また、比較例3は、シーラント層の溶融温度分布において、溶出温度が65℃以下の溶出物(S1)の割合が、65℃超の溶出物(S2)の割合よりも多く、中間層の溶融温度分布が広いため、ホットパック充填で幅広い充填温度が得られたが、シーラントでの融着が確認され、耐熱性に劣る。