(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記同時動作の状態から前記フォークの下降動作が終了して前記油圧作動機器の単独動作の状態に切り替った場合、前記指示部材の操作が終了するまで、前記指示部材の操作に基づく指示速度で前記油圧作動機器を動作させるのに必要な前記油圧ポンプの必要回転数が上限回転数以下のときには前記必要回転数で前記油圧ポンプを動作させるように前記電動機の指令回転数を制御し、前記必要回転数が前記上限回転数を越えるときには前記上限回転数で前記油圧ポンプを動作させるように前記電動機の指令回転数を制御する請求項1に記載のフォークリフトの油圧制御装置。
前記制御部は、前記昇降指示部材の操作に基づく指示速度の上昇によって当該指示速度で前記フォークを下降動作させるのに必要な前記油圧ポンプの必要回転数が前記同時動作の開始時に設定した前記上限回転数よりも高い回転数となった場合、前記上限回転数を前記高い回転数に変更する請求項1又は請求項2に記載のフォークリフトの油圧制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、フォークリフトの油圧制御装置を具体化した第1の実施形態を
図1〜
図4にしたがって説明する。
【0017】
図1に示すように、フォークリフト11の車体フレーム12にはその前部にマスト13が設けられている。マスト13は車体フレーム12に対して傾動可能に支持された左右一対のマストとしてのアウタマスト13aと、その内側に昇降可能に装備されたインナマスト13bとからなる。両アウタマスト13aの後側には、油圧機構としてリフトシリンダ14がアウタマスト13aと平行に固定されるとともに、リフトシリンダ14のピストンロッド14aの先端がインナマスト13bの上部に連結されている。
【0018】
インナマスト13bの内側にはリフトブラケット15がインナマスト13bに沿って昇降可能に装備され、リフトブラケット15にはフォーク16が取着されている。インナマスト13bの上部にはチェーンホイール17が支承され、チェーンホイール17には、第1端部がリフトシリンダ14の上部に、第2端部がリフトブラケット15にそれぞれ連結されたチェーン18が掛装されている。そして、リフトシリンダ14の伸縮によりチェーン18を介してフォーク16がリフトブラケット15とともに昇降動作を行う。この実施形態においてリフトシリンダ14は、フォーク16を昇降動作させるリフト用油圧シリンダとして機能する。
【0019】
車体フレーム12の左右両側には、油圧機構としてティルトシリンダ19の基端が回動可能に支持されるとともに、ティルトシリンダ19のピストンロッド19aの先端がアウタマスト13aの上下方向ほぼ中央部に回動可能に連結されている。そして、ティルトシリンダ19の伸縮によりマスト13が傾動動作を行う。具体的に言えば、マスト13は、予め定めた最後傾位置から最前傾位置の間で傾動動作を行う。
図1に示すマスト13の位置を垂直位置とした場合、運転室20に接近する方向に傾動する動作が後傾動作となり、運転室20から離間する方向に傾動する動作が前傾動作となる。本実施形態のフォークリフト11の構成では、ティルトシリンダ19が伸びる方向に動作した時にマスト13が前傾動作を行う一方で、ティルトシリンダ19が縮む方向に動作した時にマスト13が後傾動作を行う。この実施形態においてティルトシリンダ19は、フォーク16とは別の油圧作動機器であるマスト13を傾動動作させる油圧シリンダとして機能する。
【0020】
運転室20の前部にはステアリング21、リフト用の操作レバー22及びティルト用の操作レバー23がそれぞれ設けられている。
図1においては操作レバー22,23が重なった状態で示されている。リフト用の操作レバー22の操作によりリフトシリンダ14が伸縮されるとともにフォーク16が昇降動作を行う。この実施形態においてリフト用の操作レバー22は、フォーク16の昇降動作を指示する昇降指示部材として機能する。また、ティルト用の操作レバー23の操作によりティルトシリンダ19が伸縮動作を行い、マスト13が傾動する。この実施形態においてティルト用の操作レバー23は、マスト13の傾動動作を指示する指示部材として機能する。この指示部材は、フォーク16の動作とは異なる他動作を指示する他動作指示部材である。
【0021】
また、フォークリフト11は、油圧式のアタッチメントを有する場合、そのアタッチメントを動作させる油圧機構が装備される。油圧機構としては、例えば、油圧シリンダである。アタッチメントには、例えばフォーク16を左右動作、傾動動作又は回転動作させるアタッチメントがある。そして、運転室20には、アタッチメントの動作を指示するアタッチメント用の操作レバーが装備されている。この実施形態においてアタッチメント用の油圧シリンダは、フォーク16とは別の油圧作動機器であるアタッチメントを動作させる油圧シリンダとして機能する。また、この実施形態においてアタッチメント用の操作レバーは、アタッチメントの動作を指示する指示部材として機能する。この指示部材は、フォーク16の動作とは異なる他動作を指示する他動作指示部材である。
【0022】
次に、
図3にしたがって本実施形態の油圧制御装置を説明する。
この実施形態の油圧制御装置は、リフトシリンダ14、ティルトシリンダ19及びアタッチメント用の油圧シリンダ25の動作を制御する。油圧制御装置は、単一の油圧式のポンプと該ポンプに連結され、ポンプを動作させる単一のモータにより、各油圧シリンダを動作させる油圧回路を構成している。
【0023】
リフトシリンダ14のボトム室14bに接続される配管K1は、油圧ポンプ及び油圧モータとして機能する油圧ポンプモータ30に接続されている。油圧ポンプモータ30には、電動機及び発電機として機能するモータ(回転電機)31が接続されている。本実施形態においてモータ31は、油圧ポンプモータ30を油圧ポンプとして作動させる場合に電動機となり、油圧ポンプモータ30を油圧モータとして作動させる場合に発電機となる。本実施形態の油圧ポンプモータ30は、一方向に回転可能な構成とされている。
【0024】
リフトシリンダ14と油圧ポンプモータ30の間には、リフト下降用比例弁32が配設されている。この実施形態のリフト下降用比例弁32は、電磁式の比例弁である。リフト下降用比例弁32は、下降動作の際にボトム室14bから排出される作動油を油圧ポンプモータ30へ流通させる開状態としてその開度を任意に変更可能な第1位置32aと、作動油の流通を許容しない閉状態としての第2位置32bを取り得る。本実施形態においてリフト下降用比例弁32は、第1位置32aの時、リフトシリンダ14のボトム室14bから油圧ポンプモータ30へ向けての作動油の流出を許容する一方で、第2位置32bの時、ボトム室14bから油圧ポンプモータ30へ向けての作動油の流出を遮断する下降用制御弁を構成する。そして、下降用制御弁であるリフト下降用比例弁32は、リフトシリンダ14と油圧ポンプモータ30の吸い込み部である吸入口30aとを接続する第1流路を構成する配管K1上に配設されている。また、油圧ポンプモータ30の吸入口30aには、チェック弁33を介して作動油を貯留する油タンク34が接続されている。チェック弁33は、油タンク34側から油圧ポンプモータ30側への作動油の流通を許容する一方で、その逆方向には作動油を流通させないように配設されている。
【0025】
また、リフト下降用比例弁32における作動油の流出側には、配管K1におけるリフト下降用比例弁32と油圧ポンプモータ30との間の分岐点から分岐し、油タンク34に接続されるドレイン流路(バイパス流路)としての配管K2が接続されている。配管K2には、配管K2を流れる作動油の流量を制御する流量制御弁35が配設されている。本実施形態において流量制御弁35は、リフト下降用比例弁32と、流量制御弁35における作動油の流出側に接続される配管K2の間に配設されている。流量制御弁35は、開状態としての第1位置35aと、閉状態としての第2位置35bと、開状態としてその開度を調整可能な第3位置35cと、を取り得る。本実施形態の流量制御弁35は、リフトシリンダ14とリフト下降用比例弁32の間の圧力P1と、リフト下降用比例弁32と油圧ポンプモータ30の間の圧力P2との圧力差に応じて、第1位置35a、第2位置35b、及び第3位置35cの何れかの位置を取り得るように作動する。
【0026】
流量制御弁35は、リフト下降用比例弁32が第2位置32bとされて下降動作を行っていない場合、圧力P1と圧力P2の圧力差(P1>P2)によって閉弁状態(第2位置35b)とされる。リフト下降用比例弁32が開弁状態(第1位置32a)とされて作動油が流通し始めると、圧力P1と圧力P2の圧力差が小さくなるように推移することによって開弁状態(第3位置35c又は第1位置35a)となる。このとき、流量制御弁35は、圧力P1と圧力P2の圧力差が大きくなるほど開度を閉じるように作動するとともに、前記圧力差が小さくなるほど開度を開くように作動する。また、作動油は、配管K1を通じて油圧ポンプモータ30側へ流通するとともに(
図1に示す流量Q1)、流量制御弁35の弁開度に応じた流量の作動油は配管K2を通じて油タンク34側(ドレイン側)に流通する(
図1に示す流量Q2)。その後、油圧ポンプモータ30の回転上昇に伴って圧力P1と圧力P2の圧力差が大きくなるように推移すると、再び閉弁状態となる。このとき、作動油は、配管K1を通じて油圧ポンプモータ30側のみに流通する(
図1に示す流量Q1)。つまり、流量制御弁35が第2位置35bの場合、リフトシリンダ14のボトム室14bから排出された作動油は、リフト下降用比例弁32を介して油圧ポンプモータ30の吸入口30aへ流通する。この場合は、リフト下降用比例弁32を流通した作動油の全てが
図3に示す流量Q1となって油圧ポンプモータ30の吸入口30aへ流通する。一方、流量制御弁35が第1位置35a及び第3位置35cの場合、リフトシリンダ14のボトム室14bから排出された作動油は、リフト下降用比例弁32を介して油圧ポンプモータ30の吸入口30aと油タンク34と、に流通する。この場合は、リフト下降用比例弁32を流通した作動油のうち、
図3に示す流量Q1分が油圧ポンプモータ30の吸入口30aへ流通する一方で、
図3に示す流量Q2分が油タンク34へ流通する。流量制御弁35は、圧力差に応じて所望の開度を取り得るように予め調整されている。
【0027】
油圧ポンプモータ30の吐出口30b側の配管K1には、リフト上昇用比例弁37と、チェック弁38と、が接続されている。リフト上昇用比例弁37は、油圧ポンプモータ30から吐出される作動油をボトム室14bへ流通させる開状態としてその開度を任意に変更可能な第1位置37aと、前記作動油を配管K3に接続されるティルト用比例弁39へ流通させる閉状態としての第2位置37bを取り得る。チェック弁38は、リフト上昇用比例弁37を通過した作動油をリフトシリンダ14のボトム室14b側へ流通させる一方で、その逆方向であるリフトシリンダ14のボトム室14bからリフト上昇用比例弁37側へは作動油を流通させないように接続されている。
【0028】
油圧ポンプモータ30の吐出口30b側の配管K1には、油タンク34にフィルタ40を介して接続される配管K4と、ティルト用比例弁39に接続される配管K5とが、分岐接続されている。配管K4には、油圧上昇を防止するリリーフ弁41が接続されている。また、配管K4には、ティルト用比例弁39を通過した作動油を油タンク34に流通させる配管K6が接続されている。配管K5には、チェック弁42が設けられている。チェック弁42は、油圧ポンプモータ30からの作動油をティルト用比例弁39側へ流通させる一方で、その逆方向であるティルト用比例弁39側から油圧ポンプモータ30側へは作動油を流通させないように接続されている。
【0029】
ティルト用比例弁39は、閉状態としての第1位置39aと、開状態としてその開度を調整可能な第2位置39bと、開状態としてその開度を調整可能な第3位置39cと、を取り得る。第1位置39aは、配管K3を通じてリフト上昇用比例弁37を通過した作動油を油タンク34に流通させる。本実施形態のティルト用比例弁39は、第1位置39aを中立位置とし、制御部Sの制御によって第2位置39b又は第3位置39cの何れかの方向に動く。第2位置39bは、チェック弁42を通過した作動油を、ティルトシリンダ19のロッド室19rに接続される配管K7に流通させる。また、第2位置39bは、ティルトシリンダ19のボトム室19bから排出されて配管K8を流れる作動油を、配管K6に流通させる。第3位置39cは、チェック弁42を通過した作動油を配管K8に流通させるとともに、ティルトシリンダ19のロッド室19rから排出されて配管K7を流れる作動油を配管K6に流通させる。
【0030】
また、配管K3には、ティルト用比例弁39と油タンク34との間に、アタッチメント用比例弁43が接続されている。また、配管K4には、アタッチメント用比例弁43からの作動油を油タンク34に流通させる配管K9が接続されている。また、配管K5は、アタッチメント用比例弁43にも接続されている。配管K5にはチェック弁44が設けられている。チェック弁44は、油圧ポンプモータ30からの作動油をアタッチメント用比例弁43側へ流通させる一方で、アタッチメント用比例弁43側から油圧ポンプモータ30側へは作動油を流通させないように接続されている。
【0031】
アタッチメント用比例弁43は、閉状態としての第1位置43aと、開状態としてその開度を調整可能な第2位置43bと、開状態としてその開度を調整可能な第3位置43cと、を取り得る。第1位置43aは、配管K3を通じてティルト用比例弁39を通過した作動油を油タンク34に流通させる。本実施形態のアタッチメント用比例弁43は、第1位置43aを中立位置とし、制御部Sの制御によって第2位置43b又は第3位置43cの何れかの方向に動く。第2位置43bは、チェック弁44を通過した作動油を、アタッチメント用の油圧シリンダ25のロッド室25rに接続される配管K10に流通させる。また、第2位置43bは、アタッチメント用の油圧シリンダ25のボトム室25bから排出されて配管K11を流れる作動油を、配管K9に流通させる。第3位置43cは、チェック弁44を通過した作動油を配管K11に流通させるとともに、油圧シリンダ25のロッド室25rから排出されて配管K10を流れる作動油を配管K9に流通させる。
【0032】
次に、油圧制御装置の制御部Sの構成を説明する。
制御部Sには、リフト用の操作レバー22の操作量を検出するポテンショメータ22aと、ティルト用の操作レバー23の操作量を検出するポテンショメータ23aと、アタッチメント用の操作レバー45の操作量を検出するポテンショメータ45aと、が電気的に接続されている。制御部Sは、リフト用の操作レバー22の操作量に基づくポテンショメータ22aからの検出信号をもとに、モータ31の回転を制御するとともに、リフト下降用比例弁32、並びにリフト上昇用比例弁37の切換えを制御する。制御部Sは、ティルト用の操作レバー23の操作量に基づくポテンショメータ23aからの検出信号をもとに、モータ31の回転を制御するとともに、ティルト用比例弁39の切換えを制御する。制御部Sは、アタッチメント用の操作レバー45の操作量に基づくポテンショメータ45aからの検出信号をもとに、モータ31の回転を制御するとともに、アタッチメント用比例弁43の切換えを制御する。
【0033】
制御部Sには、インバータS1が電気的に接続されている。モータ31には、バッテリBTの電力がインバータS1を介して供給される。モータ31で生じた電力は、インバータS1を介してバッテリBTに蓄電される。
【0034】
以下、本実施形態の油圧制御装置の作用を説明する。
図2は、この実施形態の油圧制御装置における、リフト下降用比例弁32の開度と、油圧ポンプモータ30の回転数と、リフトシリンダ14から排出される作動油の流量との関係を示す。
図2において、ドットを付した領域は油圧ポンプモータ30へ流通する流量Q1を示し、ドットを付していない領域は流量制御弁35へ流通する流量Q2を示す。
【0035】
図2に示すように、油圧制御装置では、リフト下降用比例弁32の開度が大きくなるほど、リフトシリンダ14から排出される流量は多くなる。そして、リフトシリンダ14から排出される作動油は、油圧ポンプモータ30の回転数に応じて、油圧ポンプモータ30の吸入口30aへ流通する流量Q1と、流量制御弁35へ流通する流量Q2と、に分配される。具体的に言えば、
図2に示すように、リフトシリンダ14から排出される作動油は、油圧ポンプモータ30の回転数が低いほど流量制御弁35へ流通する。
【0036】
油圧ポンプモータ30は、その回転数が低い場合、リフトシリンダ14から排出される作動油を吸い込み難い。これにより、リフト下降用比例弁32の前後の圧力P1,P2の圧力差は小さくなり、流量制御弁35の開度が大きくなる。その結果、リフトシリンダ14から排出される作動油は、
図2に示すように、油圧ポンプモータ30の回転数が低いほど流量制御弁35へ流通し易くなる。一方、油圧ポンプモータ30は、その回転数が高い場合、リフトシリンダ14から排出される作動油を吸い込み易い。これにより、リフト下降用比例弁32の前後の圧力P1,P2の圧力差は大きくなり、流量制御弁35の開度が小さくなる。その結果、リフトシリンダ14から流出する作動油は、
図2に示すように、油圧ポンプモータ30の回転数が高いほど油圧ポンプモータ30へ流通し易くなる。
【0037】
以上のように流量Q1,Q2が調整される、この実施形態の油圧制御装置では、フォーク16の下降動作と1つの他動作とを同時に行う場合、以下の制御を行う。なお、この実施形態のフォークリフト11における他動作は、マスト13の傾動動作、あるいはアタッチメントの動作である。そして、1つの他動作は、フォーク16の下降動作と同時に行う他動作がマスト13の傾動動作であれば、前傾動作又は後傾動作のいずれかの動作を示す。また、1つの他動作は、フォーク16の下降動作と同時に行う他動作がアタッチメントの動作であれば、当該動作の種類が1種類であればその動作を示し、当該動作の種類が複数種類であれば何れかの動作を示す。
【0038】
以下、油圧制御装置の制御内容を
図4にしたがって説明するが、その制御内容はフォーク16の下降動作と同時に行われる他動作の種類に関係なく適用可能である。このため、以下の説明は、説明の便宜上、フォーク16の下降動作と同時に行う他動作の種類を特定せずに行う。
【0039】
図4(a)は、リフト用の操作レバー22の操作量(以下、「リフト操作量」と示す)と、他動作を指示する操作レバーの操作量(以下、「他動作操作量」と示す)の変遷を例示している。図中の実線L1はリフト操作量を示し、実線L2は他動作操作量を示す。この例示では、時点t0〜時点t2までをフォーク16の下降動作が行われる時間とし、時点t1〜時点t3までを他動作が行われる時間としている。
図4(a)の例示では、時点t1〜時点t2までの時間に下降動作と他動作とが同時に行われている。
【0040】
図4(b)は、
図4(a)のように操作レバーが操作された場合の油圧ポンプモータ30の回転数を例示している。図中の回転数R1は、リフト操作量に応じた指示速度で動作を行わせるために必要な油圧ポンプモータ30の必要回転数(以下、「リフト必要回転数」と示す)である。また、図中の回転数R2は、他動作操作量に応じた指示速度で動作を行わせるために必要な油圧ポンプモータ30の必要回転数(以下、「他動作必要回転数」と示す)である。また、図中に実線で示す回転数Rxは、この実施形態の油圧制御装置による制御を行ったときの油圧ポンプモータ30の実際の回転数を示す。なお、
図4(b)に示すようにこの例示では、他動作必要回転数に相当する回転数R2の方が、リフト必要回転数に相当する回転数R1よりも高い。
【0041】
上記前提のもとで、制御部Sは、時点t0〜時点t1においてフォーク16の下降動作のみが単独で行われることから、リフト操作量をもとにリフト必要回転数を算出するとともに、リフト下降用比例弁32の弁開度を算出する。そして、制御部Sは、リフト必要回転数で油圧ポンプモータ30を動作させるようにモータ31の指令回転数を制御する。また、制御部Sは、リフト下降用比例弁32を算出した弁開度の第1位置32aで開く。また、制御部Sは、単独動作による下降動作時、リフト上昇用比例弁37を第2位置37bとするとともに、ティルト用比例弁39を第1位置39aとし、さらにアタッチメント用比例弁43を第1位置43aとする。
【0042】
リフト下降用比例弁32が開弁すると、リフトシリンダ14のボトム室14bから排出される作動油は、リフト下降用比例弁32を介して油圧ポンプモータ30へ流通する。このとき、モータ31は、油圧ポンプモータ30がボトム室14bから排出された作動油を駆動力として指示速度を充足し得るように動作する場合、出力トルクがマイナス側の値となり、回生動作を行う。つまり、モータ31は、油圧ポンプモータ30が油圧モータとして機能することで発電機として機能する。このため、発電機として動作するモータ31で生じた電力は、インバータS1を介してバッテリBTに蓄電されることになる。
【0043】
そして、制御部Sは、時点t1で他動作を指示する操作レバーの操作を検知し、フォーク16の下降動作と他動作との同時動作が行われると、他動作操作量をもとに他動作必要回転数を算出する。これにより、制御部Sは、算出した他動作必要回転数で油圧ポンプモータ30を動作させるようにモータ31の指令回転数を制御する。つまり、制御部Sは、下降動作と他動作とが同時に行われることにより、他動作必要回転数に相当する回転数R2で油圧ポンプモータ30を動作させる。
【0044】
ここで、先に記載した前提(
図4(b)参照)のように、他動作必要回転数の方が、リフト必要回転数よりも高い状態を考える。
この実施形態の油圧制御装置は、
図1に示すように、単一の油圧ポンプモータ30を備えている。また、
図2に示すように、リフトシリンダ14から排出される作動油の流量は、リフト下降用比例弁32の開度を一定とした場合、油圧ポンプモータ30の回転数が上昇することによって増加する。このため、
図4(c)に示すように時点t0〜時点t1においてリフト必要回転数相当で油圧ポンプモータ30を動作させるように制御しているときの下降動作の動作速度を速度V1とすると、その動作速度は油圧ポンプモータ30の回転数が他動作必要回転数相当に上昇することによって図中の二点鎖線W1のように上昇する。つまり、フォーク16は、リフトシリンダ14から排出される作動油の流量の増加に伴う動作速度の上昇により、指示速度(速度V1)以上の動作速度で下降動作を行うことになる。
【0045】
そこで、この実施形態の油圧制御装置では、上記のような前提で下降動作と他動作とが同時に行われる場合、下降動作の動作速度の増加を抑制し得るように油圧ポンプモータ30の回転数に上限回転数を設定している。
【0046】
この実施形態において制御部Sは、
図4(b)に示すように、上限回転数をリフト必要回転数相当の回転数R1とする。この回転数R1は、同時動作の開始時におけるリフト操作量に基づく指示速度でフォーク16を下降動作させるのに必要なリフト必要回転数である。そして、制御部Sは、油圧ポンプモータ30の回転数が上限回転数(回転数R1)を越えるときにはモータ31の指令回転数を制御し、油圧ポンプモータ30の動作を制限する。このときのモータ31の指令回転数は、油圧ポンプモータ30を上限回転数(リフト必要回転数相当の回転数R1)で動作させるための回転数である。これにより、油圧ポンプモータ30の回転数は、
図4(b)に示すように、他動作必要回転数に相当する回転数R2まで上昇することなく、リフト必要回転数に相当する回転数R1に制限される。その結果、下降動作の動作速度は、
図4(c)に示すように、下降動作と他動作が同時に行われる時点t1〜時点t2の間で速度V1に制御される。一方、他動作の動作速度は、油圧ポンプモータ30の回転数が上限回転数(回転数R1)に制限されることにより、
図4(c)の太破線で示すように、指示速度(図中の速度V2)よりも遅い動作速度に制限される。つまり、他動作の動作速度は、上限回転数に応じた動作速度(速度V1)となり得る。
【0047】
ところで、時点t2でフォーク16の下降動作が終了、すなわちリフト用の操作レバー22が中立に戻ると、他動作が単独で行われる状態になる。この状態で制御部Sが、上限回転数による制限を行わず、他動作の指示速度を充足させるための他動作必要回転数で制御を行う場合を考える。この場合は、
図4(b)に二点鎖線Yで示すように時点t2の経過後に油圧ポンプモータ30の回転数が上昇することに伴い、他動作の動作速度は
図4(c)に二点鎖線W2で示すように増加することになる。
【0048】
そこで、この実施形態の油圧制御装置では、下降動作と他動作との同時動作の状態から他動作の単独動作の状態に切り替った場合でも、同時動作の時に用いた上限回転数で油圧ポンプモータ30の回転数を制限する制御を継続させる。このとき、制御部Sは、油圧ポンプモータ30の回転数の制限を、時点t2〜時点t3の間、すなわち他動作が終了するまでの間、継続させる。これにより、時点t2以降も油圧ポンプモータ30の回転数は、
図4(b)に示すように上限回転数(回転数R1)で維持され、その結果、他動作の動作速度も上限回転数に応じた速度V1となり得る。
【0049】
なお、この実施形態の上限回転数は、リフト必要回転数である。このため、上限回転数は、例えば、
図4(a)に示すようにリフト操作量が操作量Laのように増加すれば、上限回転数もそれに追従して、例えば
図4(b)に示すように回転数Raに上昇する。つまり、
図4(a)の例示に比較してリフト操作量が増加すれば、下降動作と他動作とが同時に行われる場合における他動作の動作速度は、速度V2に近くなる。
【0050】
このように、この実施形態の上限回転数は、リフト操作量に応じた下降動作の指示速度に応じて変動する。そして、上限回転数の変動は、下降動作と他動作とが同時に行われている場合において、リフト操作量が増加して下降動作の指示速度が上昇したときも有効とされる。このため、同時に動作が行われている場合にリフト操作量が増加したときには、下降動作の動作速度も上昇し、さらに上限回転数の増加に伴って他動作の動作速度も上昇する。つまり、上限回転数は、同時動作が行われている場合にリフト操作量が増加することによってリフト必要回転数が同時動作の開始時に設定した上限回転数よりも高い回転数になると、それに追従して高い回転数に変更される。
【0051】
因みに、この実施形態の油圧制御装置は、リフト必要回転数の方が他動作必要回転数よりも高い場合であっても、流量制御弁35の機能によってフォーク16の下降動作の動作速度を充足することができる。前述したようにこの実施形態の油圧制御装置は、油圧ポンプモータ30の回転数を他動作必要回転数としている。このため、他動作必要回転数が低い回転数であると、リフトシリンダ14から排出された作動油は油圧ポンプモータ30へ吸い込まれ難い。しかしながら、この場合は、リフト下降用比例弁32の前後の圧力P1,P2の圧力差が小さくなって流量制御弁35の開度が大きくなる。その結果、リフトシリンダ14から排出された作動油は、
図2に示すようにドレイン流路(配管K2)へ流れるようになり、下降動作の動作速度が充足されるようになる。
【0052】
なお、この実施形態において制御部Sは、上限回転数となり得るリフト必要回転数の方が他動作必要回転数よりも高い場合、換言すれば他動作必要回転数がリフト必要回転数以下の場合、上限回転数による油圧ポンプモータ30の回転数の制限を行わない。つまり、制御部Sは、上記の場合、他動作必要回転数で油圧ポンプモータ30を動作させるように油圧ポンプモータ30の指令回転数を制御する。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)フォーク16の下降動作と他動作とが同時に行われる場合において油圧ポンプモータ30の回転数を上限回転数で制限することにより、下降動作の動作速度が急激に変化することを抑制し得る。その一方で、他動作の動作速度は指示速度に比して低くなるが、その動作速度の変化を小さなものとすることができる。したがって、複数の動作対象を良好に動作させることができる。
【0054】
(2)また、この実施形態では、上限回転数をリフト必要回転数相当の回転数に設定することで、単独動作から同時動作に代わっても動作速度を変動させることなく下降動作を行わせることができる。
【0055】
(3)そして、同時動作から他動作の単独動作に代わった場合でも、油圧ポンプモータ30の回転数を上限回転数で制限することから、他動作の動作速度が急激に変化することを抑制できる。
【0056】
(4)上限回転数をリフト必要回転数相当の回転数に設定することで、リフト操作量の変化に追従させて上限回転数を変更させることができる。つまり、上限回転数を変更することで、下降動作の動作速度を指示速度の上昇に追従させることができる。それに合わせて他動作の動作速度も上昇させることができる。したがって、複数の動作対象を良好に動作させることができる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、フォークリフトの油圧制御装置を具体化した第2の実施形態を
図5にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成及び同一制御内容についてはその重複する説明を省略又は簡略する。
【0058】
この実施形態は、油圧ポンプモータ30の回転数を制限する上限回転数として設定される回転数が第1の実施形態と相違している。その他の制御内容などについては第1の実施形態と同じである。
【0059】
図5(a)は、
図4(a)と同様に、リフト操作量と他動作操作量の変遷を例示している。
図5(b)は、
図4(b)と同様に、操作レバーが操作された場合の油圧ポンプモータ30の回転数を例示している。図中の回転数R1はリフト必要回転数を示すとともに、図中の回転数R2は他動作必要回転数を示す。また、図中の回転数Rxは、この実施形態の油圧制御装置において同時動作が行われる場合の油圧ポンプモータ30の実際の回転数を示す。
【0060】
この実施形態の上限回転数は、他動作の動作を指示する操作レバーの操作に基づく最大指示速度で油圧作動機器(マスト13やアタッチメント)を動作させるのに必要な必要回転数よりも低い回転数Rxに定めている。また、この実施形態の上限回転数は、固定値である。
【0061】
制御部Sは、時点t1でフォーク16の下降動作と他動作との同時動作が行われると、他動作操作量をもとに他動作必要回転数を算出する。これにより、制御部Sは、算出した他動作必要回転数で油圧ポンプモータ30を動作させるようにモータ31の指令回転数を制御する。つまり、制御部Sは、下降動作と他動作とが同時に行われることにより、他動作必要回転数に相当する回転数R2で油圧ポンプモータ30を動作させる。
【0062】
次に、制御部Sは、他動作必要回転数の方がリフト必要回転数よりも高い状態において、リフト必要回転数が上限回転数に相当する回転数Rxよりも高いかを判定する。そして、制御部Sは、リフト必要回転数が回転数Rxよりも低い場合、油圧ポンプモータ30の動作を制限する。また、制御部Sは、油圧ポンプモータ30の必要回転数である他動作必要回転数が上限回転数(回転数Rx)を越えるときには油圧ポンプモータ30の回転数を上限回転数に制限する。これにより、油圧ポンプモータ30の回転数は、
図5(b)に示すように、他動作必要回転数に相当する回転数R2まで上昇することなく、上限回転数に相当する回転数Rxに制限される。その結果、下降動作の動作速度は、
図5(c)に示すように、下降動作と他動作との同時動作が行われる時点t1〜時点t2の間で速度Vxに制御される。この速度Vxは、リフト必要回転数に応じた速度V1よりも速いが、他動作必要回転数に応じた速度V2よりも遅い。一方、他動作の動作速度は、油圧ポンプモータ30の回転数が上限回転数(回転数Rx)に制限されることにより、
図5(c)の太破線で示すように、指示速度(図中の速度V2)よりも遅い動作速度に制限される。しかし、他動作の動作速度は、下降動作の指示速度である速度V1よりも速く、他動作の指示速度である速度V2に近い。
【0063】
また、制御部Sは、第1の実施形態と同様に、下降動作と他動作との同時動作の状態から他動作の単独動作の状態に切り替った場合でも、同時動作の時に用いた上限回転数で油圧ポンプモータ30の回転数を制限する制御を継続させる。つまり、制御部Sは、油圧ポンプモータ30の回転数の制限を、時点t2〜時点t3の間、すなわち他動作が終了するまでの間、継続させる。これにより、時点t2以降も油圧ポンプモータ30の回転数は、
図5(b)に示すように上限回転数(回転数Rx)で維持され、その結果、他動作の動作速度も上限回転数に応じた速度Vxとなり得る。
【0064】
なお、この実施形態の上限回転数は、固定値である。このため、制御部Sは、リフト必要回転数が上限回転数である回転数Rxよりも高い場合、上限回転数による指令回転数の制限を行わない。これは、リフト必要回転数が上限回転数よりも高い場合に制限を行うと、下降動作の動作速度まで低下してしまうからである。したがって、制御部Sは、リフト必要回転数が上限回転数よりも高い場合、油圧ポンプモータ30の回転数が他動作必要回転数(
図5(b)の回転数R2)となるようにモータ31の指令回転数を制御する。また、この実施形態において制御部Sは、上限回転数の方が他動作必要回転数よりも高い場合、換言すれば他動作必要回転数が上限回転数以下の場合、上限回転数による油圧ポンプモータ30の回転数の制限を行わない。つまり、制御部Sは、上記の場合、他動作必要回転数で油圧ポンプモータ30を動作させるように油圧ポンプモータ30の指令回転数を制御する。
【0065】
なお、この実施形態の上限回転数は、他動作のうち特定の他動作を基準に定めても良い。例えば、特定の他動作を、マスト13の傾動動作としても良い。あるいは、この実施形態の上限回転数は、他動作の種類毎に定めても良い。この場合、制御部Sは、下降動作と同時に行われる他動作の種類によって上限回転数を設定する。なお、下降動作と複数の他動作が同時に行われる場合、制御部Sは、複数の他動作のうち何れかの他動作の種類に応じて上限回転数を設定すれば良い。何れかの他動作は、例えば、必要回転数が最大の他動作としても良い。
【0066】
そして、この実施形態では、前述したように油圧ポンプモータ30の回転数を上限回転数に制限することで、下降動作の動作速度が指示速度よりも上昇することになる。このため、上限回転数は、動作速度に急激な変化を生じさせない程度で設定されていることが好ましく、シミュレーションなどによって調整しながら設定すると良い。
【0067】
したがって、この実施形態では、第1の実施形態の効果(1)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(5)同時動作から他動作の単独動作に代わった場合でも、油圧ポンプモータ30の回転数を上限回転数で制限することから、他動作の動作速度が急激に変化することを抑制できる。
【0068】
(6)リフト必要回転数が上限回転数よりも高い場合に制限を行わないので、各動作対象の動作速度に制限を加えず、良好に動作させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0069】
○ 各実施形態において、リフト操作量が小さい場合は、上限回転数による油圧ポンプモータ30の回転数の制限を行わないようにしても良い。この場合、制御部Sは、油圧ポンプモータ30を他動作必要回転数で動作させるようにモータ31の指令回転数を制御し、他動作操作量で要求される指示速度で他動作を動作させる。リフト操作量が小さい場合は、リフト必要回転数も小さく、リフト下降用比例弁32の開度も小さくなる。
図2に示すように、リフト下降用比例弁32の開度が小さい場合は、油圧ポンプモータ30の回転数の高低に影響されることなく、他動作に必要な作動油は油圧ポンプモータ30によって油タンク34から吸い込まれる。つまり、リフトシリンダ14から排出される作動油は、油圧ポンプモータ30へ吸い込まれにくい。このため、リフト下降用比例弁32の開度が小さい場合は、他動作必要回転数で油圧ポンプモータ30を駆動させても下降動作の動作速度への影響が小さく、下降動作の動作速度に急激な変化は生じない。なお、リフト下降用比例弁32の開度が小さいとは、油圧ポンプモータ30によってリフトシリンダ14側の作動油を吸い込めない程度の開度であり、例えば全開に対して30%程度の開度である。なお、上限回転数による制限を行うか否かの判断基準となり得るリフト下降用比例弁32の開度は、油圧ポンプモータ30の能力やリフト下降用比例弁32の構造(全開時の径)などによって変動することも考えられるので、これらを考慮しつつ、シミュレーションなどによって調整しながら設定すると良い。この構成によれば、動作対象の動作速度に制限を加えることなく、良好に動作させることができる。
【0070】
○ 各実施形態の油圧制御装置は、フォーク16の昇降動作とマスト13の傾動動作を制御する装置に具体化しても良い。このような油圧制御装置では、フォーク16の下降動作と、マスト13の前傾動作及び後傾動作のうち少なくとも何れか一方の動作とが同時に行われる場合に、油圧ポンプモータ30の回転数を上限回転数で制限する。
【0071】
○ 各実施形態の油圧制御装置は、複数のアタッチメントを装備するとともに複数のアタッチメントを動作させる油圧機構(油圧シリンダ)を装備するフォークリフトの油圧制御装置に具体化しても良い。
【0072】
○ 各実施形態の油圧制御装置は、油圧機構として油圧パワーステアリング機構を備えたフォークリフトの油圧制御装置に具体化しても良い。油圧パワーステアリング機構は、フォーク16とは別の油圧作動機器であるステアリングを動作させる油圧シリンダを有する。
【0073】
○ 各実施形態において、下降動作と複数の他動作との同時動作を行わせる場合、油圧ポンプモータ30の必要回転数を、次のように算出すると良い。制御部Sは、下降動作と同時に動作を行う複数の他動作について、各他動作の他動作必要回転数を算出する。そして、制御部Sは、算出した複数の他動作必要回転数のうち、最大必要回転数で油圧ポンプモータ30を動作させるようにモータ31の指令回転数を制御する。また、制御部Sは、第1の実施形態並びに第2の実施形態と同様に、油圧ポンプモータ30の回転数を上限回転数で制限する。この構成によれば、複数の他動作と同時に動作が行われる場合でも、下降動作の動作速度の変化が小さく、また他動作の動作速度の変化も小さいシステムを提供することができる。この別例において、複数の他動作を、マスト13の動作とアタッチメントの動作とした場合、マスト13を動作させるティルトシリンダ19とアタッチメントを動作させるアタッチメント用の油圧シリンダ25とが、油圧作動機器を動作させる複数の油圧シリンダに相当する。また、マスト13とアタッチメントとが、複数の油圧作動機器に相当する。また、マスト13の動作とアタッチメントの動作とを指示する指示部材が、複数の指示部材に相当する。また、他動作は、上記例示した2つの動作に限らず、他の動作でも良い。例えば、上記別例の油圧パワーステアリング機構のステアリングの動作を他動作としても良い。また、アタッチメントが複数の動作を行い、各動作を別々の油圧シリンダで制御する場合、それぞれの動作を他動作としても良い。
【0074】
○ 各実施形態において、フォーク16の昇降動作、マスト13の傾動動作、あるいはアタッチメントの動作を指示する指示部材は、レバー式に限らず、他の構造でも良い。例えば、ボタン式でも良い。
【0075】
○ 各実施形態の油圧制御装置において、ティルト用比例弁39やアタッチメント用比例弁43などの所謂、コントロール弁は、電磁式に限らず、機械式や油圧式の弁を採用しても良い。
【0076】
○ また、同様に各実施形態の油圧制御装置において、リフト下降用比例弁32やリフト上昇用比例弁37などの所謂、コントロール弁は、電磁式に限らず、機械式や油圧式の弁を採用しても良い。
【0077】
○ また、各実施形態の油圧制御装置において、フォーク16を下降動作させる場合にはリフトシリンダ14から油圧ポンプモータ30への作動油の流出を許容し、フォーク16を停止させている場合又は上昇動作させる場合にはリフトシリンダ14から油圧ポンプモータ30への作動油の流出を遮断する機構を変更してもよい。例えば、
図6のような機構でも良い。
図6の機構は、リフト下降用比例弁32に加えて、ポペット弁51と電磁弁52とを備える。下降動作時には、ポペット弁51と電磁弁52が開弁するとともに、リフト下降用比例弁32の開度によって油圧ポンプモータ30側へ流出する作動油の流量が制御される。また、流量制御弁35は、リフトシリンダ14とリフト下降用比例弁32との間の圧力と、リフト下降用比例弁32と油圧ポンプモータ30との間の圧力との圧力差によって開弁する。
【0078】
○ 各実施形態の油圧制御装置において、流量制御弁35は、電磁式の弁を採用しても良い。
○ 各実施形態の油圧制御装置は、バッテリ式のフォークリフトに搭載される油圧制御装置として具体化することができる。その他、エンジン式やハイブリッド式のフォークリフトに搭載される油圧制御装置として具体化しても良い。