特許第6398873号(P6398873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398873
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】動特性試験装置及び動特性試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20180920BHJP
   G01R 31/26 20140101ALI20180920BHJP
【FI】
   G01R31/28 H
   G01R31/26 A
【請求項の数】8
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-108362(P2015-108362)
(22)【出願日】2015年5月28日
(65)【公開番号】特開2016-223832(P2016-223832A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】坂本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 伸幸
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−160573(JP,A)
【文献】 特開2012−229971(JP,A)
【文献】 特開平11−304873(JP,A)
【文献】 特開2007−33042(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0306551(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に直列に接続された第1半導体及び第2半導体を含む被試験デバイスの動特性試験を行う動特性試験装置であって、
前記動特性試験のための電流を供給する電源と、
前記第1半導体及び前記第2半導体の負荷となるリアクトルと、
電気的に直列に接続された第1スイッチ部及び第2スイッチ部を有し、前記第1半導体及び前記第2半導体のうちのいずれかをスイッチング測定の対象として選択するための選択回路と、
前記リアクトルに電気的に並列に接続され、前記リアクトルに蓄積されたエネルギーを消費するための過電流防止回路と、
を備え、
前記第1半導体及び前記第2半導体を電気的に接続する第1接続部と前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部を電気的に接続する第2接続部とは、前記リアクトルを介して電気的に接続され、
前記電源の正極端子は前記第1スイッチ部及び前記第1半導体に電気的に接続され、
前記電源の負極端子は前記第2スイッチ部及び前記第2半導体に電気的に接続され、
前記過電流防止回路は、電気的に直列に接続された第3スイッチ部及び第1ダイオードと、電気的に直列に接続された第4スイッチ部及び第2ダイオードと、を備え、
前記第1ダイオードは、前記第1ダイオードの順方向が前記第1接続部から前記第2接続部に向かう方向となるように配置され、
前記第2ダイオードは、前記第2ダイオードの順方向が前記第2接続部から前記第1接続部に向かう方向となるように配置される、動特性試験装置。
【請求項2】
前記過電流防止回路は、前記第3スイッチ部に電気的に並列に接続された第3ダイオードと、前記第4スイッチ部に電気的に並列に接続された第4ダイオードと、を備え、
前記第3ダイオードは、前記第3ダイオードの順方向が前記第1ダイオードの順方向と反対となるように配置され、
前記第4ダイオードは、前記第4ダイオードの順方向が前記第2ダイオードの順方向と反対となるように配置される、請求項1に記載の動特性試験装置。
【請求項3】
前記第1ダイオードと前記第4ダイオードとは同一のダイオードであり、
前記第2ダイオードと前記第3ダイオードとは同一のダイオードである、請求項2に記載の動特性試験装置。
【請求項4】
前記過電流防止回路は、第5ダイオード及び第6ダイオードをさらに備え、
前記第3スイッチ部と前記第4スイッチ部とは同一のスイッチ部であり、
前記第2ダイオードのアノード及び前記第1ダイオードのカソードは、前記リアクトルの一端に電気的に接続され、
前記第5ダイオードのアノード及び前記第6ダイオードのカソードは、前記リアクトルの他端に電気的に接続され、
前記第2ダイオードのカソード及び前記第5ダイオードのカソードは、前記第3スイッチ部を介して前記第1ダイオードのアノード及び前記第6ダイオードのアノードに電気的に接続される、請求項1に記載の動特性試験装置。
【請求項5】
前記リアクトルに蓄積されたエネルギーを前記過電流防止回路によって消費させるための高速遮断回路をさらに備え、
前記高速遮断回路は前記リアクトルに電気的に直列に接続された第5スイッチ部を備える、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の動特性試験装置。
【請求項6】
前記第1スイッチ部、前記第2スイッチ部、前記第3スイッチ部及び前記第4スイッチ部のオン状態及びオフ状態を切替制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第2スイッチ部をオン状態とすることによって前記第1半導体をスイッチング測定の対象とし、前記第1スイッチ部をオン状態とすることによって前記第2半導体をスイッチング測定の対象とし、
前記制御装置は、前記第1半導体のスイッチング測定を行っている際に、所定の閾値を超える電流量の電流が検出されたことに応じて、前記第2スイッチ部をオフ状態とするとともに、前記第4スイッチ部をオン状態とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の動特性試験装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第2半導体のスイッチング測定を行っている際に、所定の閾値を超える電流量の電流が検出されたことに応じて、前記第1スイッチ部をオフ状態とするとともに、前記第3スイッチ部をオン状態とする、請求項6に記載の動特性試験装置。
【請求項8】
電気的に直列に接続された第1半導体及び第2半導体を含む被試験デバイスの動特性試験を行う動特性試験方法であって、
スイッチング測定の対象として前記第1半導体を選択し、前記第1半導体及び前記第2半導体の負荷であるリアクトルに一方向に電流を流すことによって、前記第1半導体のスイッチング測定を行うステップと、
前記第1半導体のスイッチング測定を行うステップにおいて、所定の閾値を超える電流量の電流が検出されたことに応じて、前記リアクトルに蓄積されているエネルギーを消費させるように、過電流防止回路を動作させるステップと、
スイッチング測定の対象として前記第2半導体を選択し、前記リアクトルに他方向に電流を流すことによって、前記第2半導体のスイッチング測定を行うステップと、
前記第2半導体のスイッチング測定を行うステップにおいて、所定の閾値を超える電流量の電流が検出されたことに応じて、前記リアクトルに蓄積されているエネルギーを消費させるように、前記過電流防止回路を動作させるステップと、
を含む、動特性試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動特性試験装置及び動特性試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体モジュールの検査として、動特性(AC:Alternating Current)試験が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
動特性試験では、被試験デバイス(DUT:Device Under Test)が破損した場合等に、DUTに電流が流れ続け、過電流が生じることがある。このような過電流を防止するために、特許文献2に記載の試験装置は、コイル(リアクトル)に蓄積されたエネルギーを放電させるディスチャージ回路を備えている。この試験装置では、過電流が検出された場合にリアクトルに蓄積されたエネルギーをディスチャージ回路によって強制的に放電させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−160572号公報
【特許文献2】特開2007−33042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の試験装置を用いて、例えば2つの半導体を含むいわゆる2in1(「2パック」等ともいう。)タイプのパワー半導体モジュールの動特性試験を行った場合、リアクトルには双方向の電流が流れる。この試験装置に、特許文献2に記載のディスチャージ回路を適用したとしても、リアクトルに流れる一方向の過電流を防止できるものの、他方向の過電流を防止することができない。
【0006】
2つの半導体を含む被試験デバイスの動特性試験においては、リアクトルに双方向に電流が流れ得る場合に、過電流が被試験デバイスに流れることを抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る動特性試験装置は、電気的に直列に接続された第1半導体及び第2半導体を含む被試験デバイスの動特性試験を行う動特性試験装置である。この動特性試験装置は、動特性試験のための電流を供給する電源と、第1半導体及び第2半導体の負荷となるリアクトルと、電気的に直列に接続された第1スイッチ部及び第2スイッチ部を有し、第1半導体及び第2半導体のうちのいずれかをスイッチング測定の対象として選択するための選択回路と、リアクトルに電気的に並列に接続され、リアクトルに蓄積されたエネルギーを消費するための過電流防止回路と、を備える。第1半導体及び第2半導体を電気的に接続する第1接続部と第1スイッチ部及び第2スイッチ部を電気的に接続する第2接続部とは、リアクトルを介して電気的に接続される。電源の正極端子は第1スイッチ部及び第1半導体に電気的に接続され、電源の負極端子は第2スイッチ部及び第2半導体に電気的に接続される。過電流防止回路は、電気的に直列に接続された第3スイッチ部及び第1ダイオードと、電気的に直列に接続された第4スイッチ部及び第2ダイオードと、を備える。第1ダイオードは、第1ダイオードの順方向が第1接続部から第2接続部に向かう方向となるように配置され、第2ダイオードは、第2ダイオードの順方向が第2接続部から第1接続部に向かう方向となるように配置される。
【0008】
この動特性試験装置によれば、第2スイッチ部をオン状態とすることによって、第1半導体がスイッチング測定の対象として選択され、第1半導体のスイッチング測定では、リアクトルには第1接続部から第2接続部に向かう電流が流れる。また、第1スイッチ部をオン状態とすることによって、第2半導体がスイッチング測定の対象として選択され、第2半導体のスイッチング測定では、リアクトルには第2接続部から第1接続部に向かう電流が流れる。つまり、リアクトルには双方向の電流が流れ得る。そして、第1半導体のスイッチング測定において、動特性試験装置に過電流が検出された場合に、第4スイッチ部をオン状態とすることによって、例えばリアクトル、第4スイッチ部及び第2ダイオードを巡回する電流経路が形成され、リアクトルに蓄積されているエネルギーが電流としてこの電流経路を流れることによって消費される。一方、第2半導体のスイッチング測定において、動特性試験装置に過電流が検出された場合に、第3スイッチ部をオン状態とすることによって、例えばリアクトル、第3スイッチ部及び第1ダイオードを巡回する電流経路が形成され、リアクトルに蓄積されているエネルギーが電流としてこの電流経路を流れることによって消費される。このように、電気的に直列に接続された第1半導体及び第2半導体を含む被試験デバイスの動特性試験装置では、リアクトルに双方向の電流が流れるが、いずれの方向においてもさらなる過電流が被試験デバイスに流れることを防止することが可能となる。なお、本明細書において、「電気的に接続される」とは、接続対象の2つの要素が直接接続される場合だけでなく、接続対象の2つの要素間に電気的に導通可能な他の要素が接続されている場合も含む。他の要素としては、リレー及びトランジスタ等のスイッチ部等が含まれ得る。
【0009】
過電流防止回路は、第3スイッチ部に電気的に並列に接続された第3ダイオードと、第4スイッチ部に電気的に並列に接続された第4ダイオードと、を備えてもよい。第3ダイオードは、第3ダイオードの順方向が第1ダイオードの順方向と反対となるように配置されてもよく、第4ダイオードは、第4ダイオードの順方向が第2ダイオードの順方向と反対となるように配置されてもよい。この場合、第3スイッチ部及び第4スイッチ部のいずれかがオン状態とされることによって、過電流防止回路に片方向の電流だけが流れる。このため、第1半導体のスイッチング測定において動特性試験装置に過電流が検出された場合に、第2スイッチ部をオフ状態にする前に第4スイッチ部をオン状態としても、第1半導体に短絡電流が流れることはなく、第2半導体のスイッチング測定において動特性試験装置に過電流が検出された場合に、第1スイッチ部をオフ状態にする前に第3スイッチ部をオン状態としても、第2半導体に短絡電流が流れることはない。したがって、過電流防止回路を動作させるタイミングの制約を低減することができ、制御の簡易化が可能となる。
【0010】
第1ダイオードと第4ダイオードとは同一のダイオードであってもよく、第2ダイオードと第3ダイオードとは同一のダイオードであってもよい。この場合、第3スイッチ部と第4スイッチ部とが互いに異なるスイッチ部であり、電気的に直列に接続される。また、第1ダイオードは第4スイッチ部に電気的に並列に接続されており、第2ダイオードは第3スイッチ部に電気的に並列に接続されており、第1ダイオードの順方向と第2ダイオードの順方向は互いに反対である。このため、第3スイッチ部及び第4スイッチ部のいずれかがオン状態とされることによって、過電流防止回路に片方向の電流だけが流れる。このため、第1半導体のスイッチング測定において動特性試験装置に過電流が検出された場合に、第2スイッチ部をオフ状態にする前に第4スイッチ部をオン状態としても、第1半導体に短絡電流が流れることはなく、第2半導体のスイッチング測定において動特性試験装置に過電流が検出された場合に、第1スイッチ部をオフ状態にする前に第3スイッチ部をオン状態としても、第2半導体に短絡電流が流れることはない。したがって、過電流防止回路を動作させるタイミングの制約を低減することができ、制御の簡易化が可能となる。
【0011】
過電流防止回路は、第5ダイオード及び第6ダイオードをさらに備えてもよい。第3スイッチ部と第4スイッチ部とは同一のスイッチ部であってもよい。第2ダイオードのアノード及び第1ダイオードのカソードは、リアクトルの一端に電気的に接続されてもよく、第5ダイオードのアノード及び第6ダイオードのカソードは、リアクトルの他端に電気的に接続されてもよい。第2ダイオードのカソード及び第5ダイオードのカソードは、第3スイッチ部を介して第1ダイオードのアノード及び第6ダイオードのアノードに電気的に接続されてもよい。この場合、第1半導体のスイッチング測定において、動特性試験装置に過電流が検出された場合に、第3スイッチ部(第4スイッチ部)をオン状態とすることによって、リアクトル、第2ダイオード、第3スイッチ部(第4スイッチ部)及び第6ダイオードを巡回する電流経路が形成され、リアクトルに蓄積されているエネルギーが電流としてこの電流経路を流れることによって消費される。一方、第2半導体のスイッチング測定において、動特性試験装置に過電流が検出された場合に、第3スイッチ部(第4スイッチ部)をオン状態とすることによって、リアクトル、第5ダイオード、第3スイッチ部(第4スイッチ部)及び第1ダイオードを巡回する電流経路が形成され、リアクトルに蓄積されているエネルギーが電流としてこの電流経路を流れることによって消費される。このように、双方向のさらなる過電流が被試験デバイスに流れることを防止することが可能となる。
【0012】
本発明の別の側面に係る動特性試験装置は、リアクトルに蓄積されたエネルギーを前記過電流防止回路によって消費させるための高速遮断回路をさらに備えてもよい。高速遮断回路はリアクトルに電気的に直列に接続された第5スイッチ部を備えてもよい。この構成によれば、過電流が検出された場合に、第5スイッチ部がオフ状態とされることによって、過電流防止回路とは異なる電流経路を遮断することができる。このため、リアクトルに蓄積されているエネルギーを電流として過電流防止回路に流すことができ、リアクトルに蓄積されているエネルギーを高速に消費することが可能となる。
【0013】
本発明のさらに別の側面に係る動特性試験装置は、第1スイッチ部、第2スイッチ部、第3スイッチ部及び第4スイッチ部のオン状態及びオフ状態を切替制御する制御装置をさらに備えてもよい。制御装置は、第2スイッチ部をオン状態とすることによって第1半導体をスイッチング測定の対象とし、第1スイッチ部をオン状態とすることによって第2半導体をスイッチング測定の対象としてもよい。制御装置は、第1半導体のスイッチング測定を行っている際に、所定の閾値を超える電流量の電流が検出されたことに応じて、第2スイッチ部をオフ状態とするとともに、第4スイッチ部をオン状態としてもよい。この場合、第1半導体のスイッチング測定において、過電流が検出されたことに応じて、リアクトルに蓄積されているエネルギーを、例えばリアクトル、第4スイッチ部及び第2ダイオードを巡回する電流経路に電流として流すことによって消費することが可能となる。
【0014】
制御装置は、第2半導体のスイッチング測定を行っている際に、所定の閾値を超える電流量の電流が検出されたことに応じて、第1スイッチ部をオフ状態とするとともに、第3スイッチ部をオン状態としてもよい。この場合、第2半導体のスイッチング測定において、過電流が検出されたことに応じて、リアクトルに蓄積されているエネルギーを、例えばリアクトル、第3スイッチ部及び第1ダイオードを巡回する電流経路に電流として流すことによって消費することが可能となる。
【0015】
本発明のさらに別の側面に係る動特性試験方法は、電気的に直列に接続された第1半導体及び第2半導体を含む被試験デバイスの動特性試験を行う動特性試験方法である。この動特性試験方法は、スイッチング測定の対象として第1半導体を選択し、第1半導体及び第2半導体の負荷であるリアクトルに一方向に電流を流すことによって、第1半導体のスイッチング測定を行うステップと、第1半導体のスイッチング測定を行うステップにおいて、所定の閾値を超える電流量の電流が検出されたことに応じて、リアクトルに蓄積されているエネルギーを消費させるように、過電流防止回路を動作させるステップと、スイッチング測定の対象として第2半導体を選択し、リアクトルに他方向に電流を流すことによって、第2半導体のスイッチング測定を行うステップと、第2半導体のスイッチング測定を行うステップにおいて、所定の閾値を超える電流量の電流が検出されたことに応じて、リアクトルに蓄積されているエネルギーを消費させるように、過電流防止回路を動作させるステップと、を含む。
【0016】
この動特性試験方法によれば、第1半導体のスイッチング測定と第2半導体のスイッチング測定とでは、リアクトルには互いに反対方向の電流が流れる。つまり、リアクトルには双方向の電流が流れ得る。そして、第1半導体のスイッチング測定において、動特性試験装置に所定の閾値を超える電流量の過電流が検出された場合に、リアクトルに蓄積されているエネルギーが過電流防止回路によって消費され、第2半導体のスイッチング測定において、動特性試験装置に所定の閾値を超える過電流が検出された場合に、過電流防止回路によって、リアクトルに蓄積されているエネルギーが消費される。このように、電気的に直列に接続された第1半導体及び第2半導体を含む被試験デバイスの動特性試験装置では、リアクトルに双方向の電流が流れるが、いずれの方向においてもさらなる過電流が被試験デバイスに流れることを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リアクトルに双方向に電流が流れ得る場合に、過電流が被試験デバイスに流れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る動特性試験装置を概略的に示す回路図である。
図2図1の動特性試験装置におけるN側スイッチング測定のタイミングチャートである。
図3図2のN側スイッチング測定におけるスイッチオン時の電流経路を示す図である。
図4図2のN側スイッチング測定におけるスイッチオフ時の電流経路を示す図である。
図5図2のN側スイッチング測定におけるエネルギー回収時の電流経路を示す図である。
図6図1の動特性試験装置におけるP側スイッチング測定のタイミングチャートである。
図7図6のP側スイッチング測定におけるスイッチオン時の電流経路を示す図である。
図8図6のP側スイッチング測定におけるスイッチオフ時の電流経路を示す図である。
図9図6のP側スイッチング測定におけるエネルギー回収時の電流経路を示す図である。
図10】比較例のN側スイッチング測定のタイミングチャートである。
図11】比較例のP側スイッチング測定のタイミングチャートである。
図12図1の動特性試験装置における過電流防止処理を含むN側スイッチング測定のタイミングチャートである。
図13図12のN側スイッチング測定における過電流防止処理時の電流経路を示す図である。
図14図1の動特性試験装置における過電流防止処理を含むP側スイッチング測定のタイミングチャートである。
図15図14のP側スイッチング測定における過電流防止処理時の電流経路を示す図である。
図16図1の動特性試験装置における高速遮断回路を用いた過電流防止処理を含むN側スイッチング測定のタイミングチャートである。
図17図16のN側スイッチング測定における高速遮断回路を用いた過電流防止処理時の電流経路を示す図である。
図18図1の動特性試験装置における高速遮断回路を用いた過電流防止処理を含むP側スイッチング測定のタイミングチャートである。
図19図18のP側スイッチング測定における高速遮断回路を用いた過電流防止処理時の電流経路を示す図である。
図20図1の動特性試験装置におけるN側短絡耐量測定のタイミングチャートである。
図21図1の動特性試験装置におけるP側短絡耐量測定のタイミングチャートである。
図22図1の動特性試験装置の変形例を示す回路図である。
図23図22の動特性試験装置におけるN側スイッチング測定の過電流防止処理時の電流経路を示す図である。
図24図22の動特性試験装置におけるP側スイッチング測定の過電流防止処理時の電流経路を示す図である。
図25図1の動特性試験装置における過電流防止処理と図22の動特性試験装置における過電流防止処理とを比較するための図である。
図26図1の動特性試験装置の別の変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る動特性試験装置を概略的に示す回路図である。図1に示されるように、動特性試験装置1は、DUT50の動特性試験を実施する装置であって、試験回路10と、過電流検出回路20と、制御装置30と、を備えている。動特性試験装置1は、動特性試験として、スイッチング測定及び短絡耐量測定(SC測定)等を行う。スイッチング測定では、IGBT特性及びダイオード特性が測定され得る。IGBT特性としては、上昇時間、下降時間、オン遅れ時間、オフ遅れ時間、オフサージ電圧、ゲート電荷、オン損失、及びオフ損失等がある。ダイオード特性としては、逆回復時間、逆回復電流、及び逆回復エネルギー等がある。
【0021】
DUT50は、動特性試験装置1の被試験デバイスであり、電気的に直列に接続された2つの半導体素子を含む2in1タイプのパワー半導体モジュールである。具体的には、DUT50は、トランジスタQdp,Qdn(第1半導体、第2半導体)と、ダイオードDdp,Ddnと、を含む。トランジスタQdp,QdnはIGBTである。トランジスタQdpのエミッタとトランジスタQdnのコレクタとは互いに電気的に接続されている。トランジスタQdp,QdnのコレクタにそれぞれダイオードDdp,Ddnのカソードが電気的に接続され、トランジスタQdp,QdnのエミッタにそれぞれダイオードDdp,Ddnのアノードが電気的に接続されている。つまり、トランジスタQdp,Qdnは同じ向きで電気的に直列に接続されており、ダイオードDdpはトランジスタQdpに電気的に並列に接続された還流ダイオードであり、ダイオードDdnはトランジスタQdnに電気的に並列に接続された還流ダイオードである。DUT50は、P端子、O端子、及びN端子を有している。P端子はトランジスタQdpのコレクタ及びダイオードDdpのカソードに電気的に接続され、N端子はトランジスタQdnのエミッタ及びダイオードDdnのアノードに電気的に接続され、O端子はトランジスタQdpのエミッタ、トランジスタQdnのコレクタ、ダイオードDdpのアノード及びダイオードDdnのカソードに電気的に接続されている。つまり、O端子は、トランジスタQdp,Qdnを電気的に接続する接続部Cd(第1接続部)に電気的に接続されている。例えば、DUT50は1相のインバータ回路に用いられ、トランジスタQdpは上アームに用いられ、トランジスタQdnは下アームに用いられ得る。
【0022】
試験回路10は、DUT50の動特性試験を実施するための回路である。試験回路10は、電源コンデンサ11と、メインスイッチ部12と、選択回路13と、過電流防止回路14と、高速遮断回路15と、選択回路16と、リアクトルLと、を備えている。電源コンデンサ11は、動特性試験のための電流を試験回路10に供給する電源である。電源コンデンサ11としては、例えば、周波数特性の優れたフィルムコンデンサが用いられる。電源コンデンサ11は、蓄積されているエネルギー(電荷)が減少すると、不図示の高圧電源に接続され、高圧電源によって充電される。
【0023】
メインスイッチ部12は、電源コンデンサ11からDUT50(トランジスタQdpまたはトランジスタQdn)への電流の供給及び遮断を切り替える回路である。メインスイッチ部12は、トランジスタQpと、ダイオードDpと、を含む。トランジスタQpはIGBTである。トランジスタQpのコレクタにダイオードDpのカソードが電気的に接続され、トランジスタQpのエミッタにダイオードDpのアノードが電気的に接続されている。つまり、ダイオードDpはトランジスタQpに電気的に並列に接続された還流ダイオードである。トランジスタQpのコレクタは電源コンデンサ11の+端子(正極端子)に電気的に接続され、トランジスタQpのエミッタは後述のトランジスタQhpのコレクタ、ダイオードDhpのカソード、スイッチSWpの一端、及びDUT50のP端子に電気的に接続されている。
【0024】
選択回路13は、DUT50に含まれるトランジスタQdp,Qdnのうちいずれかをスイッチング測定の対象として選択するための回路である。選択回路13は、トランジスタQhp,Qhn(第1スイッチ部、第2スイッチ部)と、ダイオードDhp,Dhnと、を含む。トランジスタQhp,QhnはIGBTである。トランジスタQhp,QhnのコレクタにそれぞれダイオードDhp,Dhnのカソードが電気的に接続され、トランジスタQhp,QhnのエミッタにそれぞれダイオードDhp,Dhnのアノードが電気的に接続されている。つまり、ダイオードDhpはトランジスタQhpに電気的に並列に接続された還流ダイオードであり、ダイオードDhnはトランジスタQhnに電気的に並列に接続された還流ダイオードである。トランジスタQhpのエミッタとトランジスタQhnのコレクタとは互いに電気的に接続されており、後述のトランジスタQcfのコレクタ及びダイオードDcfのカソードに電気的に接続されている。つまり、トランジスタQhp,Qhnは同じ向きで電気的に直列に接続されており、トランジスタQhp,Qhnを電気的に接続する接続部Cs(第2接続部)は高速遮断回路15及びリアクトルLを介してDUT50のO端子に電気的に接続されている。トランジスタQhpのコレクタは、トランジスタQpのエミッタ、ダイオードDpのアノード、スイッチSWpの一端、及びDUT50のP端子に電気的に接続されている。トランジスタQhnのエミッタは、電源コンデンサ11の−端子(負極端子)、スイッチSWnの他端、及びDUT50のN端子に電気的に接続されている。
【0025】
過電流防止回路14は、リアクトルLに蓄積されたエネルギーを消費するための回路である。過電流防止回路14は、リアクトルLに電気的に並列に設けられる。過電流防止回路14は、トランジスタQif,Qir(第4スイッチ部、第3スイッチ部)と、ダイオードDif,Dirと、を含む。トランジスタQif,QirはIGBTである。トランジスタQif,QirのコレクタにそれぞれダイオードDif,Dirのカソードが電気的に接続され、トランジスタQif,QirのエミッタにそれぞれダイオードDif,Dirのアノードが電気的に接続されている。つまり、ダイオードDif(第1ダイオード、第4ダイオード)はトランジスタQifに電気的に並列に接続された還流ダイオードであり、ダイオードDir(第2ダイオード、第3ダイオード)はトランジスタQirに電気的に並列に接続された還流ダイオードである。トランジスタQifのエミッタとトランジスタQirのエミッタとは互いに電気的に接続されている。つまり、トランジスタQif,Qirは互いに逆向きで電気的に直列に接続されている。トランジスタQifのコレクタは、後述のトランジスタQcrのコレクタ、ダイオードDcrのカソード及びリアクトルLの一端に電気的に接続されている。トランジスタQirのコレクタは、リアクトルLの他端、スイッチSWpの他端、スイッチSWnの一端、及びDUT50のO端子に電気的に接続されている。
【0026】
高速遮断回路15は、リアクトルLに蓄積されたエネルギーを過電流防止回路14によって高速に消費させるための回路である。高速遮断回路15は、リアクトルLに電気的に直列に設けられる。高速遮断回路15は、トランジスタQcf,Qcr(第5スイッチ部)と、ダイオードDcf,Dcrと、を含む。トランジスタQcf,QcrはIGBTである。トランジスタQcf,QcrのコレクタにそれぞれダイオードDcf,Dcrのカソードが電気的に接続され、トランジスタQcf,QcrのエミッタにそれぞれダイオードDcf,Dcrのアノードが電気的に接続されている。つまり、ダイオードDcfはトランジスタQcfに電気的に並列に接続された還流ダイオードであり、ダイオードDcrはトランジスタQcrに電気的に並列に接続された還流ダイオードである。トランジスタQcfのエミッタとトランジスタQcrのエミッタとは互いに電気的に接続されている。つまり、トランジスタQcf,Qcrは互いに逆向きで電気的に直列に接続されている。トランジスタQcfのコレクタは、トランジスタQhpのエミッタ、トランジスタQhnのコレクタ、ダイオードDhpのアノード及びダイオードDhnのカソードに電気的に接続されている。トランジスタQcrのコレクタは、トランジスタQifのコレクタ、ダイオードDifのカソード及びリアクトルLの一端に電気的に接続されている。
【0027】
選択回路16は、DUT50に含まれるトランジスタQdp,Qdnのいずれかを短絡耐量測定の対象として選択するための回路である。選択回路16は、スイッチSWp,SWnを含む。スイッチSWp,SWnはリレーである。スイッチSWpの一端は、トランジスタQpのエミッタ、ダイオードDpのアノード、トランジスタQhpのコレクタ、ダイオードDhpのカソード及びDUT50のP端子に電気的に接続されている。スイッチSWpの他端とスイッチSWnの一端とは互いに電気的に接続されており、リアクトルLの他端、トランジスタQirのコレクタ、ダイオードDirのカソード、及びDUT50のO端子に電気的に接続されている。スイッチSWnの他端は、電源コンデンサ11の−端子、トランジスタQhnのエミッタ、ダイオードDhnのアノード、及びDUT50のN端子に電気的に接続されている。
【0028】
リアクトルLは、動特性試験の負荷である。つまり、リアクトルLは、トランジスタQdp,Qdnの負荷となる。リアクトルLの一端はトランジスタQcrのコレクタ及びダイオードDcrのカソードに電気的に接続され、リアクトルLの他端はDUT50のO端子に電気的に接続されている。
【0029】
過電流検出回路20は、試験回路10及びDUT50に流れる過電流を検出する回路である。過電流検出回路20は、電流センサ21と、電流センサ22と、コンパレータ23と、コンパレータ24と、を含む。
【0030】
電流センサ21は、N側スイッチング測定時に試験回路10及びDUT50に流れる電流の電流値を検出するセンサである。電流センサ21は、DUT50のN端子と電源コンデンサ11の−端子とを接続する配線のN端子近傍に設けられる。電流センサ21は、検出した電流値をコンパレータ23に出力する。電流センサ22は、P側スイッチング測定時に試験回路10及びDUT50に流れる電流の電流値を検出するセンサである。電流センサ22は、DUT50のP端子とトランジスタQpのエミッタとを接続する配線のP端子近傍に設けられる。電流センサ22は、検出した電流値をコンパレータ24に出力する。
【0031】
コンパレータ23は、電流センサ21によって検出された電流値とN側の過電流閾値Ref_Nとを比較し、比較結果を制御装置30に出力する。過電流閾値Ref_Nは、過電流を検出するために予め定められた値である。コンパレータ23では、+端子にN側の過電流閾値Ref_Nが入力され、−端子に電流センサ21によって検出された電流値が入力される。この場合、コンパレータ23は、電流センサ21によって検出された電流値が過電流閾値Ref_N以下である場合、ハイレベルの出力信号を制御装置30に出力し、電流センサ21によって検出された電流値が過電流閾値Ref_Nよりも大きい場合、ローレベルの出力信号を制御装置30に出力する。
【0032】
コンパレータ24は、電流センサ22によって検出された電流値とP側の過電流閾値Ref_Pとを比較し、比較結果を制御装置30に出力する。過電流閾値Ref_Pは、過電流を検出するために予め定められた値である。コンパレータ24では、+端子にP側の過電流閾値Ref_Pが入力され、−端子に電流センサ22によって検出された電流値が入力される。この場合、コンパレータ24は、電流センサ22によって検出された電流値が過電流閾値Ref_P以下である場合、ハイレベルの出力信号を制御装置30に出力し、電流センサ22によって検出された電流値が過電流閾値Ref_Pよりも大きい場合、ローレベルの出力信号を制御装置30に出力する。
【0033】
制御装置30は、トランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcr,Qdp,Qdn及びスイッチSWp,SWnのオン状態(導通状態)とオフ状態(遮断状態)とを切り替えるための切替制御を行うコントローラである。制御装置30は、トランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcr,Qdp,Qdnにそれぞれゲート信号Sqp,Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdp,Sqdnを出力することによって、各トランジスタのオン状態とオフ状態とを切り替える。制御装置30は、スイッチSWp,SWnにそれぞれリレー信号Sswp,Sswnを出力することによって、各スイッチのオン状態とオフ状態とを切り替える。制御装置30による切替制御は、以下の各測定において詳細に説明する。なお、トランジスタのオン状態とは、コレクタ−エミッタ間が電気的に導通状態であることを意味し、トランジスタのオフ状態とは、コレクタ−エミッタ間が電気的に遮断状態であることを意味する。また、トランジスタがIGBTである場合、ゲート−エミッタ間電圧によってオン状態とオフ状態とが切り替えられる。以下の説明では、便宜上、トランジスタにハイレベルのゲート信号が供給された場合に、トランジスタはオン状態とされ、トランジスタにローレベルのゲート信号が供給された場合に、トランジスタはオフ状態とされることとしている。
【0034】
(スイッチング測定)
次に、動特性試験装置1を用いたスイッチング測定について説明する。まず、トランジスタQdnのスイッチング測定(「N側スイッチング測定」と称することがある。)について説明する。図2は、動特性試験装置1におけるN側スイッチング測定のタイミングチャートである。図3は、N側スイッチング測定におけるスイッチオン時の電流経路を示す図である。図4は、N側スイッチング測定におけるスイッチオフ時の電流経路を示す図である。図5は、N側スイッチング測定におけるエネルギー回収時の電流経路を示す図である。
【0035】
なお、スイッチング測定では、リレー信号Sswp,Sswnは常にローレベルに設定されており、スイッチSWp,SWnは常にオフ状態であるので、各ステップにおいてリレー信号及びスイッチの説明を省略する。また、以下の説明において、電源コンデンサ11から供給される電流をIcとし、トランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcr,Qdp,Qdnを流れる電流を、それぞれ電流Iqp,Iqhp,Iqhn,Iqif,Iqir,Iqcf,Iqcr,Iqdp,Iqdnとし、リアクトルLを流れる電流を電流ILとして説明する。また、各トランジスタに流れる電流は、コレクタからエミッタに流れる場合に正の値とし、エミッタからコレクタに流れる場合または還流ダイオードのアノードからカソード(順方向)に流れる場合に負の値とする。リアクトルLに流れる電流は、DUT50のO端子に向かって流れる場合に正の値とし、その反対方向に流れる場合に負の値とする。また、各ステップは同じ長さで図示されているが、各ステップの時間は同じである必要はなく、必要に応じて適宜調整され得る。各ステップにおいて、各トランジスタの切替制御のタイミングは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
図2に示されるように、ステップST11では、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdp,Sqdnをいずれもローレベルに設定して出力する。このため、トランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcr,Qdp,Qdnはいずれもオフ状態であり、各トランジスタには、電流は流れていない。また、電源コンデンサ11のエネルギーEc(電荷)は、例えば満充電状態にされている。
【0037】
続いて、ステップST12では、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhp,Sqcf,Sqcr,Sqdnをハイレベルに設定し、それ以外のゲート信号をローレベルに設定して出力する。これにより、トランジスタQp,Qhp,Qcf,Qcr,Qdnがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図3に示されるように、電源コンデンサ11の+端子からトランジスタQp、トランジスタQhp、トランジスタQcf、トランジスタQcr、リアクトルL、及びトランジスタQdnを順に通って電源コンデンサ11の−端子に戻る電流経路Pn1が形成され、電流経路Pn1に電源コンデンサ11から供給される電流が流れる。この状態で、電流Ic,Iqp,Iqhp,Iqcf,−Iqcr,IL,Iqdnの電流量は時間の経過とともに増加する一方で、電源コンデンサ11のエネルギーEcは時間の経過とともに減少する。また、トランジスタQhn,Qif,Qir,Qdpには、電流Iqhn,Iqif,Iqir,Iqdpは流れない。つまり、ステップST12では、制御装置30は、トランジスタQhpをオン状態とすることによって、トランジスタQdnをスイッチング測定の対象とし、トランジスタQp,Qcf,Qcrをオン状態とすることによって、電源コンデンサ11からトランジスタQdnに電流を供給している。
【0038】
続いて、ステップST13では、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhp,Sqcf,Sqcrをハイレベルに設定し、それ以外のゲート信号をローレベルに設定して出力する。つまり、ステップST12からゲート信号Sqdnだけがハイレベルからローレベルに変更され、それ以外のゲート信号は変更されない。これにより、トランジスタQp,Qhp,Qcf,Qcrがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図4に示されるように、トランジスタQhp、トランジスタQcf、トランジスタQcr、リアクトルL、及びダイオードDdpを順に巡回する電流経路Pn2が形成され、ステップST13の直前に電流経路Pn1に流れていた電流が電流経路Pn2に流れる。このため、電流Ic,Iqp,Iqdnの電流量は0になり、電源コンデンサ11から電流が供給されないので、エネルギーEcは変化しない。このとき、トランジスタQhp、トランジスタQcf、トランジスタQcr、リアクトルL、及びダイオードDdpの抵抗成分等によってエネルギーが消費されるので、電流Iqhp,Iqcf,−Iqcr,IL,ダイオードDdpを流れる電流−Iqdpの電流量は、ステップST13の直前に電流経路Pn1に流れていた電流の電流量から、時間の経過とともに徐々に減少する。また、電流Iqhn,Iqif,Iqirの電流量は0のままである。
【0039】
続いて、ステップST14では、ステップST12と同様に、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhp,Sqcf,Sqcr,Sqdnをハイレベルに設定し、それ以外のゲート信号をローレベルに設定して出力する。つまり、ステップST13からゲート信号Sqdnだけがローレベルからハイレベルに変更され、それ以外のゲート信号は変更されない。これにより、電流経路Pn1が形成され、ステップST14の直前に電流経路Pn2に流れていた電流及び電源コンデンサ11から供給される電流が電流経路Pn1に流れる。このとき、電流Ic,Iqp,Iqhp,Iqcf,−Iqcr,IL,Iqdnの電流量は、ステップST14の直前に電流経路Pn2に流れていた電流の電流量からさらに時間の経過とともに増加する一方で、電源コンデンサ11のエネルギーEcは時間の経過とともにさらに減少する。また、トランジスタQhn,Qif,Qir,Qdpには、電流Iqhn,Iqif,Iqir,Iqdpは流れない。
【0040】
続いて、ステップST15では、ステップST13と同様に、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhp,Sqcf,Sqcrをハイレベルに設定し、それ以外のゲート信号をローレベルに設定して出力する。つまり、ステップST14からゲート信号Sqdnだけがハイレベルからローレベルに変更され、それ以外のゲート信号は変更されない。これにより、電流経路Pn2が形成され、ステップST15の直前に電流経路Pn1に流れていた電流が電流経路Pn2に流れる。このとき、ステップST13と同様に、電流Ic,Iqp,Iqdnの電流量は0になり、電流Iqhp,Iqcf,−Iqcr,IL,−Iqdpの電流量は時間の経過とともに徐々に減少する。また、電流Iqhn,Iqif,Iqirの電流量は0のままである。また、電源コンデンサ11から電流が供給されないので、エネルギーEcは変化しない。この時点で、N側スイッチング測定に必要な波形が得られる。つまり、ステップST12〜ステップST15のトランジスタQdnをオフ状態にすることまでで、トランジスタQdnのスイッチング測定に必要な波形が得られる。この意味で、ステップST12〜ステップST15のトランジスタQdnをオフ状態にすることは、狭義のトランジスタQdnのスイッチング測定といえる。
【0041】
その後、制御装置30は、ゲート信号Sqhpをハイレベルからローレベルに変更する。これにより、トランジスタQp,Qcf,Qcrがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図5に示されるように、電源コンデンサ11の−端子から、ダイオードDhn、トランジスタQcf、トランジスタQcr、リアクトルL、ダイオードDdp、及びトランジスタQpを順に通って電源コンデンサ11の+端子に戻る電流経路Pn3が形成され、ゲート信号Sqhpをローレベルに切り替える直前に電流経路Pn2に流れていた電流が電流経路Pn3に流れる。このため、電流Iqhpの電流量は0になる。そして、電流経路Pn3は、電源コンデンサ11の−端子から+端子に向かうので、電源コンデンサ11が充電され、エネルギーEcは時間の経過とともに増加する一方で、電流−Iqhn(ダイオードDhnを流れる電流),Iqcf,−Iqcr,IL,−Iqdp,−Iqp,−Ic(電源コンデンサ11の−端子から+端子に流れる電流)の電流量は時間の経過とともに減少する。また、電流Iqdn,Iqif,Iqirの電流量は0のままである。
【0042】
続いて、ステップST16では、ステップST15と同じ状態が継続され、電流経路Pn3を流れている電流の電流量が0になり、電源コンデンサ11のエネルギーEcはほぼ満充電状態まで回復する。
【0043】
続いて、ステップST17では、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdp,Sqdnをいずれもローレベルに設定して出力する。このため、トランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcr,Qdp,Qdnはいずれもオフ状態となり、各トランジスタには、電流は流れない。このようにして、N側スイッチング測定が終了する。なお、電流経路Pn3を流れている電流の電流量が所定の閾値以下になったことを不図示の検出回路等によって検出し、検出回路からの出力信号によって制御装置30は電流経路Pn3を流れている電流の電流量がほぼ0になったこと(エネルギー回収処理の終了)を検出してもよい。所定の閾値は、例えば、0または0よりもわずかに大きい値に設定される。そして、制御装置30はエネルギー回収処理の終了を検出したことに応じて、ステップST17の処理を行ってもよい。
【0044】
以上のように、制御装置30は、N側スイッチング測定を開始する際に、トランジスタQp,Qhp,Qcf,Qcrをオン状態とし、N側スイッチング測定における波形の取り込みの終了に応じて、トランジスタQhpをオフ状態とすることにより、N側スイッチング測定で用いられたエネルギーを回収している。そして、制御装置30は、N側スイッチング測定で用いられたエネルギーを回収した後に、トランジスタQp,Qcf,Qcrをオフ状態としている。したがって、N側スイッチング測定終了時にエネルギーEcはほぼ満充電状態になっているので、次の測定のために高圧電源により電源コンデンサ11の充電を行う必要がない。
【0045】
次に、トランジスタQdpのスイッチング測定(「P側スイッチング測定」と称することがある。)について説明する。図6は、動特性試験装置1におけるP側スイッチング測定のタイミングチャートである。図7は、P側スイッチング測定におけるスイッチオン時の電流経路を示す図である。図8は、P側スイッチング測定におけるスイッチオフ時の電流経路を示す図である。図9は、P側スイッチング測定におけるエネルギー回収時の電流経路を示す図である。
【0046】
図6に示されるように、ステップST21は、図2のステップST11と同一であるので説明を省略する。続いて、ステップST22では、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhn,Sqcf,Sqcr,Sqdpをハイレベルに設定し、それ以外のゲート信号をローレベルに設定して出力する。これにより、トランジスタQp,Qhn,Qcf,Qcr,Qdpがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図7に示されるように、電源コンデンサ11の+端子からトランジスタQp、トランジスタQdp、リアクトルL、トランジスタQcr、トランジスタQcf、及びトランジスタQhnを順に通って電源コンデンサ11の−端子に戻る電流経路Pp1が形成され、電流経路Pp1に電源コンデンサ11から供給される電流が流れる。この状態で、電流Ic,Iqp,Iqdp,−IL,Iqcr,−Iqcf,Iqhnの電流量は時間の経過とともに増加する一方で、電源コンデンサ11のエネルギーEcは時間の経過とともに減少する。また、トランジスタQhp,Qif,Qir,Qdnには、電流Iqhp,Iqif,Iqir,Iqdnは流れない。つまり、ステップST22では、制御装置30は、トランジスタQhnをオン状態とすることによって、トランジスタQdpをスイッチング測定の対象とし、トランジスタQp,Qcf,Qcrをオン状態とすることによって、電源コンデンサ11からトランジスタQdpに電流を供給している。
【0047】
続いて、ステップST23では、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhn,Sqcf,Sqcrをハイレベルに設定し、それ以外のゲート信号をローレベルに設定して出力する。つまり、ステップST22からゲート信号Sqdpだけがハイレベルからローレベルに変更され、それ以外のゲート信号は変更されない。これにより、トランジスタQp,Qhn,Qcf,Qcrがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図8に示されるように、トランジスタQhn、ダイオードDdn、リアクトルL、トランジスタQcr、及びトランジスタQcfを順に巡回する電流経路Pp2が形成され、ステップST23の直前に電流経路Pp1に流れていた電流が電流経路Pp2に流れる。このため、電流Ic,Iqp,Iqdpの電流量は0になり、電源コンデンサ11から電流が供給されないので、エネルギーEcは変化しない。このとき、トランジスタQhn、ダイオードDdn、リアクトルL、トランジスタQcr、及びトランジスタQcfの抵抗成分等によってエネルギーが消費されるので、電流Iqhn,−Iqdn(ダイオードDdnを流れる電流),−IL,Iqcr,−Iqcfの電流量は、ステップST23の直前に電流経路Pp1に流れていた電流の電流量から、時間の経過とともに徐々に減少する。また、電流Iqhp,Iqif,Iqirの電流量は0のままである。
【0048】
続いて、ステップST24では、ステップST22と同様に、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhn,Sqcf,Sqcr,Sqdpをハイレベルに設定し、それ以外のゲート信号をローレベルに設定して出力する。つまり、ステップST23からゲート信号Sqdpだけがローレベルからハイレベルに変更され、それ以外のゲート信号は変更されない。これにより、電流経路Pp1が形成され、ステップST24の直前に電流経路Pp2に流れていた電流及び電源コンデンサ11から供給される電流が電流経路Pp1に流れる。このとき、電流Ic,Iqp,Iqdp,−IL,Iqcr,−Iqcf,Iqhnの電流量は、ステップST24の直前に電流経路Pp2に流れていた電流の電流量からさらに時間の経過とともに増加する一方で、電源コンデンサ11のエネルギーEcは時間の経過とともにさらに減少する。また、トランジスタQhp,Qif,Qir,Qdnには、電流Iqhp,Iqif,Iqir,Iqdnは流れない。
【0049】
続いて、ステップST25では、ステップST23と同様に、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhn,Sqcf,Sqcrをハイレベルに設定し、それ以外のゲート信号をローレベルに設定して出力する。つまり、ステップST24からゲート信号Sqdpだけがハイレベルからローレベルに変更され、それ以外のゲート信号は変更されない。これにより、電流経路Pp2が形成され、ステップST25の直前に電流経路Pp1に流れていた電流が電流経路Pp2に流れる。このとき、ステップST23と同様に、電流Ic,Iqp,Iqdpの電流量は0になり、電流Iqhn,−Iqdn,−IL,Iqcr,−Iqcfの電流量は時間の経過とともに徐々に減少する。また、電流Iqhp,Iqif,Iqirの電流量は0のままである。また、電源コンデンサ11から電流が供給されないので、エネルギーEcは変化しない。この時点で、P側スイッチング測定に必要な波形が得られる。つまり、ステップST22〜ステップST25のトランジスタQdpをオフ状態にすることまでで、トランジスタQdpのスイッチング測定に必要な波形が得られる。この意味で、ステップST22〜ステップST25のトランジスタQdpをオフ状態にすることは、狭義のトランジスタQdpのスイッチング測定といえる。
【0050】
その後、制御装置30は、ゲート信号Sqhnをハイレベルからローレベルに変更する。これにより、トランジスタQp,Qcf,Qcrがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図9に示されるように、電源コンデンサ11の−端子から、ダイオードDdn、リアクトルL、トランジスタQcr、トランジスタQcf、ダイオードDhp、及びトランジスタQpを順に通って電源コンデンサ11の+端子に戻る電流経路Pp3が形成され、ゲート信号Sqhnをローレベルに切り替える直前に電流経路Pp2に流れていた電流が電流経路Pp3に流れる。このため、電流Iqhnの電流量は0になる。そして、電流経路Pp3は、電源コンデンサ11の−端子から+端子に向かうので、電源コンデンサ11が充電され、エネルギーEcは時間の経過とともに増加する一方で、電流−Iqdn,−IL,Iqcr,−Iqcf,−Iqhp(ダイオードDhpを流れる電流),−Iqp,−Icの電流量は時間の経過とともに減少する。また、電流Iqdp,Iqif,Iqirの電流量は0のままである。
【0051】
続いて、ステップST26では、ステップST25と同じ状態が継続され、電流経路Pp3を流れている電流の電流量が0になり、電源コンデンサ11のエネルギーEcはほぼ満充電状態まで回復する。
【0052】
続いて、ステップST27では、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdp,Sqdnをいずれもローレベルに設定して出力する。このため、トランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcr,Qdp,Qdnはいずれもオフ状態となり、各トランジスタには、電流は流れない。このようにして、P側スイッチング測定が終了する。なお、電流経路Pp3を流れている電流の電流量が所定の閾値以下になったことを不図示の検出回路等によって検出し、検出回路からの出力信号によって制御装置30は電流経路Pp3を流れている電流の電流量がほぼ0になったこと(エネルギー回収処理の終了)を検出してもよい。所定の閾値は、例えば、0または0よりもわずかに大きい値に設定される。そして、制御装置30はエネルギー回収処理の終了を検出したことに応じて、ステップST27の処理を行ってもよい。
【0053】
以上のように、制御装置30は、P側スイッチング測定を開始する際に、トランジスタQp,Qhn,Qcf,Qcrをオン状態とし、P側スイッチング測定における波形の取り込みの終了に応じて、トランジスタQhnをオフ状態とすることにより、P側スイッチング測定で用いられたエネルギーを回収している。そして、制御装置30は、P側スイッチング測定で用いられたエネルギーを回収した後に、トランジスタQp,Qcf,Qcrをオフ状態としている。したがって、P側スイッチング測定終了時にエネルギーEcはほぼ満充電状態になっているので、次の測定のために高圧電源により電源コンデンサ11の充電を行う必要がない。
【0054】
次に、動特性試験装置1を用いたスイッチング測定の比較例について説明する。図10は、比較例のN側スイッチング測定のタイミングチャートである。図11は、比較例のP側スイッチング測定のタイミングチャートである。図10に示されるように、比較例のN側スイッチング測定は、図2のN側スイッチング測定と比較して、ゲート信号Sqhpをハイレベルからローレベルに切り替えるタイミングにおいて相違する。具体的には、比較例のN側スイッチング測定では、ステップST115及びステップST116において、制御装置30は、ゲート信号Sqhpをハイレベルのまま維持している。このため、電流経路Pn2に流れる電流(電流Iqhp,Iqcf,−Iqcr,IL,−Iqdp)の電流量は時間の経過とともに徐々に減少し、やがて0になるが、電源コンデンサ11は充電されない。したがって、次の測定を行う前に、電源コンデンサ11は高圧電源によって充電される必要がある。
【0055】
同様に、図11に示されるように、比較例のP側スイッチング測定は、図6のP側スイッチング測定と比較して、ゲート信号Sqhnをハイレベルからローレベルに切り替えるタイミングにおいて相違する。具体的には、比較例のP側スイッチング測定では、ステップST125及びステップST126において、制御装置30は、ゲート信号Sqhnをハイレベルのまま維持している。このため、電流経路Pp2に流れる電流(電流Iqhn,−Iqdn,−IL,Iqcr,−Iqcf)の電流量が時間の経過とともに徐々に減少し、やがて0になるが、電源コンデンサ11は充電されない。したがって、次の測定を行う前に、電源コンデンサ11は高圧電源によって充電される必要がある。
【0056】
次に、動特性試験装置1の過電流防止について説明する。まず、N側スイッチング測定における過電流防止について説明する。図12は、動特性試験装置1における過電流防止処理を含むN側スイッチング測定のタイミングチャートである。図13は、N側スイッチング測定における過電流防止処理時の電流経路を示す図である。
【0057】
図12に示されるように、ステップST31〜ステップST33のゲート信号は、図2のステップST11〜ステップST13と同一であるので説明を省略する。この例では、ステップST33において、DUT50が不良であるためにトランジスタQdnがオフ状態とならない場合を想定している。この場合、ステップST32以降、電流経路Pn1に電流(電流Ic,Iqp,Iqhp,Iqcf,−Iqcr,IL,Iqdn)が流れ続け、時間の経過とともにその電流量が増加し続ける。
【0058】
そして、ステップST34において、電流経路Pn1を流れる電流の電流量がN側の過電流閾値Ref_Nよりも大きくなり、コンパレータ23はローレベルの出力信号を制御装置30に出力する。そして、制御装置30は、コンパレータ23からローレベルの出力信号を受信したことに応じて、過電流を検出し、ゲート信号Sqp,Sqhpをハイレベルからローレベルに変更し、ゲート信号Sqirをローレベルからハイレベルに変更する。これにより、トランジスタQcf,Qcr,Qir,Qdnがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図13に示されるように、トランジスタQcf、トランジスタQcr、リアクトルL、トランジスタQdn、及びダイオードDhnを順に巡回する電流経路Pn41が形成されるとともに、リアクトルL、トランジスタQir、及びダイオードDifを順に巡回する電流経路Pn42が形成される。そして、電流経路Pn1に流れていた過電流が電流経路Pn41及び電流経路Pn42に分かれて流れる。これにより、過電流が試験回路10及びDUT50に流れ続けることが防止される。
【0059】
続いて、ステップST35では、ステップST15と同様に、制御装置30は、ステップST34のゲート信号の状態からゲート信号Sqdnだけをハイレベルからローレベルに変更し、それ以外のゲート信号を変更しない。しかし、DUT50が不良であるためにトランジスタQdnがオフ状態とならず、各トランジスタはステップST34と同じ状態を維持している。そして、電流経路Pn41を流れる電流が電流経路Pn41を巡回することによって、トランジスタQcf、トランジスタQcr、リアクトルL、トランジスタQdn、及びダイオードDhnの抵抗成分等によってエネルギーが消費されるので、その電流量は時間の経過とともに減少していく。同様に、電流経路Pn42を流れる電流が電流経路Pn42を巡回することによって、リアクトルL、トランジスタQir、及びダイオードDifの抵抗成分等によってエネルギーが消費されるので、その電流量は時間の経過とともに減少していく。
【0060】
続いて、ステップST36では、ステップST35のゲート信号の状態が継続され、電流経路Pn41及び電流経路Pn42を流れている電流の電流量がさらに減少して0になる。
【0061】
続いて、ステップST37では、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdp,Sqdnをいずれもローレベルに設定して出力する。このため、トランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcr,Qdp,Qdnはいずれもオフ状態となり、各トランジスタには、電流は流れない。なお、電流経路Pn41及び電流経路Pn42を流れている電流の電流量が所定の閾値以下になったことを不図示の検出回路等によって検出し、検出回路からの出力信号によって制御装置30は電流経路Pn41及び電流経路Pn42を流れている電流の電流量がほぼ0になったこと(エネルギー消費処理の終了)を検出してもよい。所定の閾値は、例えば、0または0よりもわずかに大きい値に設定される。そして、制御装置30はエネルギー消費処理の終了を検出したことに応じて、ステップST37の処理を行ってもよい。
【0062】
以上のように、制御装置30は、N側スイッチング測定において過電流を検出したことに応じて、トランジスタQp,Qhpをオフ状態とするとともに、トランジスタQirをオン状態とすることによって、過電流防止回路14を動作させる。これにより、過電流が生じたときにリアクトルLに蓄積されているエネルギーは、過電流防止回路14によって消費され、N側スイッチング測定において、DUT50にさらなる過電流が流れることが防止される。
【0063】
次に、P側スイッチング測定における過電流防止について説明する。図14は、動特性試験装置1における過電流防止処理を含むP側スイッチング測定のタイミングチャートである。図15は、P側スイッチング測定における過電流防止処理時の電流経路を示す図である。
【0064】
図14に示されるように、ステップST41〜ステップST43のゲート信号は、図6のステップST21〜ステップST23と同一であるので説明を省略する。この例では、ステップST43において、DUT50が不良であるためにトランジスタQdpがオフ状態とならない場合を想定している。この場合、ステップST42以降、電流経路Pp1に電流(電流Ic,Iqp,Iqdp,−IL,Iqcr,−Iqcf,Iqhn)が流れ続け、時間の経過とともにその電流量が増加し続ける。
【0065】
そして、ステップST44において、電流経路Pp1を流れる電流の電流量がP側の過電流閾値Ref_Pよりも大きくなり、コンパレータ24はローレベルの出力信号を制御装置30に出力する。そして、制御装置30は、コンパレータ24からローレベルの出力信号を受信したことに応じて、過電流を検出し、ゲート信号Sqp,Sqhnをハイレベルからローレベルに変更し、ゲート信号Sqifをローレベルからハイレベルに変更する。これにより、トランジスタQcf,Qcr,Qif,Qdpがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図15に示されるように、リアクトルL、トランジスタQcr、トランジスタQcf、ダイオードDhp、及びトランジスタQdpを順に巡回する電流経路Pp41が形成されるとともに、リアクトルL、トランジスタQif、及びダイオードDirを順に巡回する電流経路Pp42が形成される。そして、電流経路Pp1に流れていた過電流が電流経路Pp41及び電流経路Pp42に分かれて流れる。これにより、過電流が試験回路10及びDUT50に流れ続けることが防止される。
【0066】
続いて、ステップST45では、ステップST25と同様に、制御装置30は、ステップST44のゲート信号の状態からゲート信号Sqdpだけをハイレベルからローレベルに変更し、それ以外のゲート信号を変更しない。しかし、DUT50が不良であるためにトランジスタQdpがオフ状態とならず、各トランジスタはステップST44と同じ状態を維持している。そして、電流経路Pp41を流れる電流が電流経路Pp41を巡回することによって、リアクトルL、トランジスタQcr、トランジスタQcf、ダイオードDhp、及びトランジスタQdpの抵抗成分等によってエネルギーが消費されるので、その電流量は時間の経過とともに減少していく。同様に、電流経路Pp42を流れる電流が電流経路Pp42を巡回することによって、リアクトルL、トランジスタQif、及びダイオードDirの抵抗成分等によってエネルギーが消費されるので、その電流量は時間の経過とともに減少していく。
【0067】
続いて、ステップST46では、ステップST45のゲート信号の状態が継続され、電流経路Pp41及び電流経路Pp42を流れている電流の電流量がさらに減少して0になる。
【0068】
続いて、ステップST47では、制御装置30は、ゲート信号Sqp,Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdp,Sqdnをいずれもローレベルに設定して出力する。このため、トランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcr,Qdp,Qdnはいずれもオフ状態となり、各トランジスタには、電流は流れない。なお、電流経路Pp41及び電流経路Pp42を流れている電流の電流量が所定の閾値以下になったことを不図示の検出回路等によって検出し、検出回路からの出力信号によって制御装置30は電流経路Pp41及び電流経路Pp42を流れている電流の電流量がほぼ0になったこと(エネルギー消費処理の終了)を検出してもよい。所定の閾値は、例えば、0または0よりもわずかに大きい値に設定される。そして、制御装置30はエネルギー消費処理の終了を検出したことに応じて、ステップST47の処理を行ってもよい。
【0069】
以上のように、制御装置30は、P側スイッチング測定において過電流を検出したことに応じて、トランジスタQp,Qhnをオフ状態とするとともに、トランジスタQifをオン状態とすることによって、過電流防止回路14を動作させる。これにより、過電流が生じたときにリアクトルLに蓄積されているエネルギーは、過電流防止回路14によって消費され、P側スイッチング測定において、DUT50にさらなる過電流が流れることが防止される。
【0070】
さらに、高速遮断回路15を用いた過電流防止について説明する。まず、高速遮断回路15を用いたN側スイッチング測定における過電流防止について説明する。図16は、動特性試験装置1における高速遮断回路を用いた過電流防止処理を含むN側スイッチング測定のタイミングチャートである。図17は、N側スイッチング測定における高速遮断回路を用いた過電流防止処理時の電流経路を示す図である。
【0071】
図16に示されるゲート信号のタイミングチャートは、図12に示されるゲート信号のタイミングチャートと比較して、ステップST54において、制御装置30が過電流を検出したことに応じて、さらにゲート信号Sqcf,Sqcrをハイレベルからローレベルに変更する点で相違する。このため、過電流が検出されると、トランジスタQir,Qdnがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図17に示されるように、電流経路Pn41は形成されず、電流経路Pn42のみが形成されるので、電流経路Pn1に流れていた過電流は電流経路Pn42に流れる。そして、電流経路Pn42を流れる電流は、電流経路Pn42を巡回することによってエネルギーを消費するので、その電流量は時間の経過とともに減少していく。
【0072】
以上のように、制御装置30は、N側スイッチング測定において過電流を検出したことに応じて、トランジスタQp,Qhpをオフ状態とするとともに、トランジスタQirをオン状態とすることによって、過電流防止回路14を動作させ、さらにトランジスタQcf,Qcrをオフ状態とすることによって、高速遮断回路15を動作させる。これにより、過電流が生じたときにリアクトルLに蓄積されているエネルギーは、電流として過電流防止回路14に流れて、過電流防止回路14によって消費される。高速遮断回路15を動作させない場合には、電流経路Pn1に流れていた過電流は電流経路Pn41及び電流経路Pn42に分かれて流れる。このとき、過電流の消費に寄与する抵抗値は、電流経路Pn41の抵抗成分の抵抗値と電流経路Pn42の抵抗成分の抵抗値との合成抵抗値となり、電流経路Pn42の抵抗成分の抵抗値よりも小さくなる。このため、高速遮断回路15を動作させない場合と比較して、高速遮断回路15を動作させた場合には、過電流の消費に寄与する抵抗値が大きくなるので、リアクトルLに蓄積されているエネルギーが短時間で消費され、N側スイッチング測定において、DUT50にさらなる過電流が流れることがさらに確実に防止される。
【0073】
次に、高速遮断回路15を用いたP側スイッチング測定における過電流防止について説明する。図18は、動特性試験装置1における高速遮断回路を用いた過電流防止処理を含むP側スイッチング測定のタイミングチャートである。図19は、P側スイッチング測定における高速遮断回路を用いた過電流防止処理時の電流経路を示す図である。
【0074】
図18に示されるゲート信号のタイミングチャートは、図14に示されるゲート信号のタイミングチャートと比較して、ステップST64において、制御装置30が過電流を検出したことに応じて、さらにゲート信号Sqcf,Sqcrをハイレベルからローレベルに変更する点で相違する。このため、過電流が検出されると、トランジスタQif,Qdnがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図19に示されるように、電流経路Pp41は形成されず、電流経路Pp42のみが形成されるので、電流経路Pp1に流れていた過電流は電流経路Pp42に流れる。そして、電流経路Pp42を流れる電流は、電流経路Pp42を巡回することによってエネルギーを消費するので、その電流量は時間の経過とともに減少していく。
【0075】
以上のように、制御装置30は、P側スイッチング測定において過電流を検出したことに応じて、トランジスタQp,Qhnをオフ状態とするとともに、トランジスタQifをオン状態とすることによって、過電流防止回路14を動作させ、さらにトランジスタQcf,Qcrをオフ状態とすることによって、高速遮断回路15を動作させる。これにより、過電流が生じたときにリアクトルLに蓄積されているエネルギーは、電流として過電流防止回路14に流れて、過電流防止回路14によって消費される。高速遮断回路15を動作させない場合には、電流経路Pp1に流れていた過電流は電流経路Pp41及び電流経路Pp42に分かれて流れる流れる。このとき、過電流の消費に寄与する抵抗値は、電流経路Pp41の抵抗成分の抵抗値と電流経路Pp42の抵抗成分の抵抗値との合成抵抗値となり、電流経路Pp42の抵抗成分の抵抗値よりも小さくなる。このため、高速遮断回路15を動作させない場合と比較して、高速遮断回路15を動作させた場合には、過電流の消費に寄与する抵抗値が大きくなるので、リアクトルLに蓄積されているエネルギーが短時間で消費され、P側スイッチング測定において、DUT50にさらなる過電流が流れることがさらに確実に防止される。
【0076】
(短絡耐量測定)
次に、動特性試験装置1を用いた短絡耐量測定について説明する。まず、トランジスタQdnの短絡耐量測定(「N側短絡耐量測定」と称することがある。)について説明する。図20は、動特性試験装置1におけるN側短絡耐量測定のタイミングチャートである。図20に示されるように、ステップST71では、制御装置30は、リレー信号Sswp,Sswn及びゲート信号Sqp,Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdp,Sqdnをいずれもローレベルに設定して出力する。このため、スイッチSWp,SWn及びトランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcr,Qdp,Qdnはいずれもオフ状態であり、各トランジスタ及びスイッチには、電流は流れていない。
【0077】
続いて、ステップST72では、制御装置30は、リレー信号Sswp及びゲート信号Sqp,Sqdnをハイレベルに設定し、リレー信号Sswn及びゲート信号Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdpをローレベルに設定して出力する。これにより、スイッチSWp及びトランジスタQp,Qdnがオン状態となり、それ以外のスイッチ及びトランジスタはオフ状態となる。このとき、電源コンデンサ11の+端子からトランジスタQp、スイッチSWp及びトランジスタQdnを順に通って電源コンデンサ11の−端子に戻る電流経路が形成され、その電流経路に電流が流れる。このように、リアクトルLを介することなく、トランジスタQdnに短絡電流が流れる。
【0078】
続いて、ステップST73では、制御装置30は、ステップST71と同様に、リレー信号Sswp,Sswn及びゲート信号Sqp,Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdp,Sqdnをいずれもローレベルに設定して出力する。これにより、全てのスイッチ及びトランジスタはいずれもオフ状態となり、各トランジスタ及びスイッチには電流が流れない。以上の一連の処理によって、N側短絡耐量測定が行われる。
【0079】
次に、トランジスタQdpの短絡耐量測定(「P側短絡耐量測定」と称することがある。)について説明する。図21は、動特性試験装置1におけるP側短絡耐量測定のタイミングチャートである。図21に示されるように、ステップST81では、制御装置30は、リレー信号Sswp,Sswn及びゲート信号Sqp,Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdp,Sqdnをいずれもローレベルに設定して出力する。このため、スイッチSWp,SWn及びトランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcr,Qdp,Qdnはいずれもオフ状態であり、各トランジスタ及びスイッチには、電流は流れていない。
【0080】
続いて、ステップST82では、制御装置30は、リレー信号Sswn及びゲート信号Sqp,Sqdpをハイレベルに設定し、リレー信号Sswp及びゲート信号Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdnをローレベルに設定して出力する。これにより、スイッチSWn及びトランジスタQp,Qdpがオン状態となり、それ以外のスイッチ及びトランジスタはオフ状態となる。このとき、電源コンデンサ11の+端子からトランジスタQp、トランジスタQdp及びスイッチSWnを順に通って電源コンデンサ11の−端子に戻る電流経路が形成され、その電流経路に電流が流れる。このように、リアクトルLを介することなく、トランジスタQdpに短絡電流が流れる。
【0081】
続いて、ステップST83では、制御装置30は、ステップST81と同様に、リレー信号Sswp,Sswn及びゲート信号Sqp,Sqhp,Sqhn,Sqif,Sqir,Sqcf,Sqcr,Sqdp,Sqdnをいずれもローレベルに設定して出力する。これにより、全てのスイッチ及びトランジスタはいずれもオフ状態となり、各トランジスタ及びスイッチには電流が流れない。以上の一連の処理によって、P側短絡耐量測定が行われる。
【0082】
以上説明した動特性試験装置1では、トランジスタQdnのスイッチング測定を開始する際にトランジスタQp,Qhp,Qcf,Qcrがオン状態とされ、トランジスタQdnのスイッチング測定(スイッチング測定のための波形の取り込み)が終了したことに応じてトランジスタQhpがオフ状態とされた後に、トランジスタQp,Qcf,Qcrがオフ状態とされる。トランジスタQdnのスイッチング測定時には、電源コンデンサ11からトランジスタQdnに供給された電流は、接続部Csから接続部Cdに向かってリアクトルLに流れ、トランジスタQdnのスイッチング測定(スイッチング測定のための波形の取り込み)が終了した時点では、リアクトルLにエネルギーが蓄積されている。このため、トランジスタQdnのスイッチング測定(スイッチング測定のための波形の取り込み)が終了したことに応じてトランジスタQhpがオフ状態とされることによって、電源コンデンサ11の−端子から、ダイオードDhn、トランジスタQcf、トランジスタQcr、リアクトルL、ダイオードDdp、及びトランジスタQpを順に通って電源コンデンサ11の+端子に戻る電流経路Pn3が形成され、リアクトルLに蓄積されているエネルギーが電流として電源コンデンサ11の+端子に流れる。これにより、トランジスタQdnのスイッチング測定に用いられた電源コンデンサ11のエネルギー(電力)の一部を回収することができる。その結果、動特性試験における電力使用量の削減が可能となる。また、次の測定のために、電源コンデンサ11を充電する時間を短縮することができ、マシンサイクルの短縮(向上)が可能となる。
【0083】
また、動特性試験装置1では、トランジスタQdpのスイッチング測定を開始する際にトランジスタQp,Qhn,Qcf,Qcrがオン状態とされ、トランジスタQdpのスイッチング測定(スイッチング測定のための波形の取り込み)が終了したことに応じてトランジスタQhnがオフ状態とされた後に、トランジスタQp,Qcf,Qcrがオフ状態とされる。トランジスタQdpのスイッチング測定時には、電源コンデンサ11からトランジスタQdpに供給された電流は、接続部Cdから接続部Csに向かってリアクトルLに流れ、トランジスタQdpのスイッチング測定(スイッチング測定のための波形の取り込み)が終了した時点では、リアクトルLにエネルギーが蓄積されている。このため、トランジスタQdpのスイッチング測定(スイッチング測定のための波形の取り込み)が終了したことに応じてトランジスタQhnがオフ状態とされることによって、電源コンデンサ11の−端子から、ダイオードDdn、リアクトルL、トランジスタQcr、トランジスタQcf、ダイオードDhp、及びトランジスタQpを順に通って電源コンデンサ11の+端子に戻る電流経路Pp3が形成され、リアクトルLに蓄積されているエネルギーが電流として電源コンデンサ11の+端子に流れる。これにより、トランジスタQdpのスイッチング測定に用いられた電源コンデンサ11のエネルギー(電力)の一部を回収することができる。その結果、動特性試験における電力使用量のさらなる削減が可能となる。また、次の測定のために、電源コンデンサ11を充電する時間を短縮することができ、マシンサイクルのさらなる短縮(向上)が可能となる。
【0084】
また、動特性試験装置1では、トランジスタQhpをオン状態とすることによって、トランジスタQdnがスイッチング測定の対象として選択され、トランジスタQdnのスイッチング測定では、リアクトルLには接続部Csから接続部Cdに向かう電流が流れる。また、トランジスタQhnをオン状態とすることによって、トランジスタQdpがスイッチング測定の対象として選択され、トランジスタQdpのスイッチング測定では、リアクトルLには接続部Cdから接続部Csに向かう電流が流れる。つまり、リアクトルLには双方向の電流が流れ得る。そして、トランジスタQdnのスイッチング測定において、動特性試験装置1に過電流閾値Ref_Nを超える電流量の過電流が検出された場合に、トランジスタQirをオン状態とすることによって、リアクトルL、トランジスタQir及びダイオードDifを巡回する電流経路Pn42が形成され、リアクトルLに蓄積されているエネルギーが電流としてこの電流経路Pn42を流れることによって消費される。一方、トランジスタQdpのスイッチング測定において、動特性試験装置1に過電流閾値Ref_Pを超える電流量の過電流が検出された場合に、トランジスタQifをオン状態とすることによって、リアクトルL、トランジスタQif及びダイオードDirを巡回する電流経路Pp42が形成され、リアクトルLに蓄積されているエネルギーが電流としてこの電流経路Pp42を流れることによって消費される。このように、電気的に直列に接続されたトランジスタQdp及びトランジスタQdnを含むDUT50の動特性試験装置1では、リアクトルLに双方向の電流が流れるが、いずれの方向においてもさらなる過電流がDUT50に流れることを防止することが可能となる。これにより、動特性試験装置1の故障等を回避することができる、その結果、部品交換等のメンテナンスの頻度を低下させることが可能となり、コストの低減にも寄与する。
【0085】
ダイオードDifは、トランジスタQifの還流ダイオードであり、ダイオードDirは、トランジスタQirの還流ダイオードである。ダイオードDifは、その順方向が接続部Cdから接続部Csに向かう方向となるように配置され、ダイオードDirは、その順方向が接続部Csから接続部Cdに向かう方向となるように配置されている。このように、トランジスタQif,Qirを保護するための還流ダイオードを用いて、上述の電流経路Pn42,Pp42が形成されるので、部品の増加を抑えながら、双方向のさらなる過電流がDUT50に流れることを防止することが可能となる。
【0086】
また、トランジスタQdnのスイッチング測定において、過電流が検出された場合に、さらにトランジスタQcf,Qcrがオフ状態とされることによって、電流経路Pn42とは異なる電流経路Pn41を遮断することができる。このため、リアクトルLに蓄積されているエネルギーを電流として過電流防止回路14(電流経路Pn42)に流すことができ、リアクトルLに蓄積されているエネルギーを高速に消費することが可能となる。同様に、トランジスタQdpのスイッチング測定において、過電流が検出された場合に、さらにトランジスタQcf,Qcrがオフ状態とされることによって、電流経路Pp42とは異なる電流経路Pp41を遮断することができる。このため、リアクトルLに蓄積されているエネルギーを電流として過電流防止回路14(電流経路Pp42)に流すことができ、リアクトルLに蓄積されているエネルギーを高速に消費することが可能となる。
【0087】
なお、本発明に係る動特性試験装置及び動特性試験方法は上記実施形態に限定されない。例えば、トランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,QcrはIGBTに限られず、オン状態とオフ状態とを切り替えることが可能なスイッチ部であればよい。例えば、トランジスタQp,Qhp,Qhn,Qif,Qir,Qcf,Qcrとして、FET(Field Effect Transistor)、及びバイポーラトランジスタ等の他のトランジスタ、並びに、高速動作可能なリレー等が用いられ得る。トランジスタが用いられることによって、オン状態とオフ状態とを高速に切り替えることができ、スイッチング測定を含む動特性試験の精度を向上することが可能となる。
【0088】
また、電源コンデンサ11に代えて、他の充電可能な電源が用いられてもよい。また、スイッチング測定におけるエネルギー回収を行うことを目的としない場合には、充電可能でない電源が用いられてもよく、メインスイッチ部12は設けられなくてもよい。この場合、電源コンデンサ11の+端子は、トランジスタQhpのコレクタ、ダイオードDhpのカソード、スイッチSWpの一端、トランジスタQdpのコレクタ、及びダイオードDdpのカソードに電気的に接続され、電源コンデンサ11の−端子は、トランジスタQhnのエミッタ、ダイオードDhnのアノード、スイッチSWnの他端、トランジスタQdnのエミッタ、及びダイオードDdnのアノードに電気的に接続される。
【0089】
また、スイッチング測定におけるエネルギー回収を行うことを目的とする場合には、過電流防止回路14及び高速遮断回路15は設けられなくてもよい。この場合、トランジスタQhpのエミッタ及びトランジスタQhnのコレクタとリアクトルLの一端とが電気的に接続される。
【0090】
高速遮断回路15は、N側スイッチング測定における過電流を高速に遮断する場合には、少なくともトランジスタQcfをオフ状態とすればよく、P側スイッチング測定における過電流を高速に遮断する場合には、少なくともトランジスタQcrをオフ状態とすればよい。また、高速遮断回路15は、N側スイッチング測定における過電流を高速に遮断する場合には、電流経路Pn41のうち、電流経路Pn42とは重複しない部分に、リアクトルLと直列に設けられていればよい。また、高速遮断回路15は、P側スイッチング測定における過電流を高速に遮断する場合には、電流経路Pp41のうち、電流経路Pp42とは重複しない部分に、リアクトルLと直列に設けられていればよい。高速遮断回路15は、例えばDUT50とリアクトルLとの間に設けられてもよい。また、高速遮断回路15は、導通状態と遮断状態とを切り替え可能なスイッチ部を備えていればよく、例えば1つのリレー等であってもよい。
【0091】
また、過電流防止回路14は、双方向の過電流を防止可能な構成であればよい。過電流防止回路14は、例えば、逆阻止IGBTであってもよい。より具体的には、過電流防止回路14は、接続部Cdから接続部Csに向かう一方向において、電気的に直列に接続されたスイッチ部及びダイオードを備え、接続部Csから接続部Cdに向かう他方向において、電気的に直列に接続されたスイッチ部及びダイオードを備えていればよい。一方向のダイオードは、その順方向が一方向となるように配置されており、他方向のダイオードは、その順方向が他方向となるように配置されていればよい。
【0092】
図22に示されるように、過電流防止回路14は、例えば、ダイオードブリッジとして構成されてもよい。具体的に説明すると、変形例の過電流防止回路14は、トランジスタQi(第3スイッチ部、第4スイッチ部)と、ダイオードDiと、ダイオードD1〜D4(第2ダイオード、第1ダイオード、第5ダイオード、第6ダイオード)と、を含む。トランジスタQiはIGBTである。トランジスタQiのコレクタにダイオードDiのカソードが電気的に接続され、トランジスタQiのエミッタにダイオードDiのアノードが電気的に接続されている。つまり、ダイオードDiはトランジスタQiに電気的に並列に接続された還流ダイオードである。トランジスタQiのコレクタはダイオードD1のカソード及びダイオードD3のカソードに電気的に接続されており、トランジスタQiのエミッタはダイオードD2のアノード及びダイオードD4のアノードに電気的に接続されている。ダイオードD1のアノード及びダイオードD2のカソードは互いに電気的に接続されており、トランジスタQcrのコレクタ、ダイオードDcrのカソード及びリアクトルLの一端に電気的に接続されている。ダイオードD3のアノード及びダイオードD4のカソードは互いに電気的に接続されており、リアクトルLの他端、スイッチSWpの他端、スイッチSWnの一端、及びDUT50のO端子に電気的に接続されている。
【0093】
例えば、図12のステップST34において、電流経路Pn1を流れる電流(電流Ic,Iqp,Iqhp,Iqcf,−Iqcr,IL,Iqdn)の電流量が増加してN側の過電流閾値Ref_Nよりも大きくなり、コンパレータ23がローレベルの出力信号を制御装置30に出力した場合、制御装置30は、コンパレータ23からローレベルの出力信号を受信したことに応じて、過電流を検出し、ゲート信号Sqp,Sqhpをハイレベルからローレベルに変更する。これにより、トランジスタQcf,Qcr,Qdnがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図23に示されるように、電流経路Pn41が形成され、電流経路Pn1に流れていた過電流が電流経路Pn41に流れる。
【0094】
続いて、制御装置30は、ゲート信号Sqiをローレベルからハイレベルに変更する。これにより、さらにトランジスタQiがオン状態となり、図23に示されるように、リアクトルL、ダイオードD3、トランジスタQi、及びダイオードD2を順に巡回する電流経路Pn43が形成され、電流経路Pn41に流れている電流の一部が電流経路Pn43に流れる。そして、電流経路Pn41を流れる電流が電流経路Pn41を巡回することによって、トランジスタQcf、トランジスタQcr、リアクトルL、トランジスタQdn、及びダイオードDhnの抵抗成分等によってエネルギーが消費されるので、その電流量は時間の経過とともに減少していく。同様に、電流経路Pn43を流れる電流が電流経路Pn43を巡回することによって、リアクトルL、ダイオードD3、トランジスタQi、及びダイオードD2の抵抗成分等によってエネルギーが消費されるので、その電流量は時間の経過とともに減少していく。
【0095】
また、図14のステップST44において、電流経路Pp1を流れる電流(電流Ic,Iqp,Iqdp,−IL,Iqcr,−Iqcf,Iqhn)の電流量が増加してP側の過電流閾値Ref_Pよりも大きくなり、コンパレータ24がローレベルの出力信号を制御装置30に出力した場合、制御装置30は、コンパレータ24からローレベルの出力信号を受信したことに応じて、過電流を検出し、ゲート信号Sqp,Sqhnをハイレベルからローレベルに変更する。これにより、トランジスタQcf,Qcr,Qdpがオン状態となり、それ以外のトランジスタはオフ状態となる。このとき、図24に示されるように、電流経路Pp41が形成され、電流経路Pp1に流れていた過電流が電流経路Pp41に流れる。
【0096】
続いて、制御装置30は、ゲート信号Sqiをローレベルからハイレベルに変更する。これにより、さらにトランジスタQiがオン状態となり、図24に示されるように、リアクトルL、ダイオードD1、トランジスタQi、及びダイオードD4を順に巡回する電流経路Pp43が形成され、電流経路Pp41に流れている電流の一部が電流経路Pp43に流れる。そして、電流経路Pp41を流れる電流が電流経路Pp41を巡回することによって、リアクトルL、トランジスタQcr、トランジスタQcf、ダイオードDhp、及びトランジスタQdpの抵抗成分等によってエネルギーが消費されるので、その電流量は時間の経過とともに減少していく。同様に、電流経路Pp43を流れる電流が電流経路Pp43を巡回することによって、リアクトルL、ダイオードD1、トランジスタQi、及びダイオードD4の抵抗成分等によってエネルギーが消費されるので、その電流量は時間の経過とともに減少していく。このように構成された過電流防止回路14においても、動特性試験装置1の双方向の過電流防止が可能となる。
【0097】
なお、図25の(a)に示されるように、過電流防止回路14が、トランジスタQif,Qir及びダイオードDif,Dirで構成されている場合、N側スイッチング測定において、トランジスタQp,Qhpをオフ状態にする前に、トランジスタQirをオン状態としても、リアクトルLを介さない短絡電流が流れることはない。このように、過電流防止回路14が、トランジスタQif,Qir及びダイオードDif,Dirで構成されている場合には、トランジスタQp,Qhpをオフ状態にするタイミングと、トランジスタQirをオン状態にするタイミングとの順番は任意である。P側スイッチング測定においても同様である。
【0098】
一方、図25の(b)に示されるように、過電流防止回路14がダイオードブリッジで構成される場合には、N側スイッチング測定において、トランジスタQp,Qhpをオフ状態にする前に、トランジスタQiをオン状態とすると、電源コンデンサ11の+端子からトランジスタQp、トランジスタQhp、トランジスタQcf、トランジスタQcr、ダイオードD1、トランジスタQi、ダイオードD4、及びトランジスタQdnを通って電源コンデンサ11の−端子に戻る電流経路Pn5が形成される。電流経路Pn5は、リアクトルLを介さない電流経路であるので、動特性試験装置1に短絡電流が流れる。このため、過電流防止回路14がダイオードブリッジで構成される場合には、過電流防止回路14を動作させる際に、トランジスタQp,Qhpをオフ状態にした後に、トランジスタQiをオン状態とする必要がある。P側スイッチング測定においても同様である。
【0099】
このように、過電流防止回路14が、トランジスタQif,Qir及びダイオードDif,Dirで構成されている場合、トランジスタQif,Qirが電気的に直列に接続されているので、トランジスタQif,Qirのいずれかがオン状態とされることによって、過電流防止回路14に一方向の電流だけが流れる。このため、N側スイッチング測定において、トランジスタQp,Qhpをオフ状態にする前にトランジスタQirをオン状態としても、トランジスタQdnに短絡電流が流れることはなく、P側スイッチング測定において、トランジスタQp,Qhnをオフ状態にする前にトランジスタQifをオン状態としても、トランジスタQdpに短絡電流が流れることはない。したがって、過電流防止回路14を動作させるタイミングの制約を低減することができ、制御の簡易化が可能となる。
【0100】
また、DUT50は、2in1タイプのパワー半導体モジュールに限られず、トランジスタQdp及びトランジスタQdnを含むデバイスであればよい。例えば、DUT50は、4in1タイプ、6in1タイプ、及び8in1タイプ等のパワー半導体モジュールであってもよい。
【0101】
図26は、動特性試験装置の別の変形例を示す回路図である。図26に示される動特性試験装置1Aは、DUTとして6in1タイプのパワー半導体モジュールが用いられる場合の動特性試験装置である。動特性試験装置1Aは、動特性試験装置1と比較して、DUT50に代えてDUT50Aを被試験デバイスとする点、及び試験回路10に代えて試験回路10Aを備える点において相違する。試験回路10Aは、試験回路10と比較して、選択回路17をさらに備える点において相違する。なお、図26では、過電流検出回路20の図示を省略している。
【0102】
DUT50Aは、6つのトランジスタを含む6in1タイプのパワー半導体モジュールである。具体的には、DUT50Aは、DUT50のトランジスタQdp,Qdn及びダイオードDdp,Ddnの組を並列に3相(U,V,W相)分有している。つまり、DUT50Aは、U相用としてトランジスタQdpu,Qdnu及びダイオードDdpu,Ddnuを有し、V相用としてトランジスタQdpv,Qdnv及びダイオードDdpv,Ddnvを有し、W相用としてトランジスタQdpw,Qdnw及びダイオードDdpw,Ddnwを有している。DUT50Aは、P端子、U端子、V端子、W端子、及びN端子を有している。P端子はトランジスタQdpu,Qdpv,Qdpwのコレクタに電気的に接続され、N端子はトランジスタQdnu,Qdnv,Qdnwのエミッタに電気的に接続されている。U端子はトランジスタQdpuのエミッタ及びトランジスタQdnuのコレクタに電気的に接続され、V端子はトランジスタQdpvのエミッタ及びトランジスタQdnvのコレクタに電気的に接続され、W端子はトランジスタQdpwのエミッタ及びトランジスタQdnwのコレクタに電気的に接続されている。例えば、DUT50Aは3相のインバータ回路に用いられ、トランジスタQdpuはU相の上アーム、トランジスタQdnuはU相の下アーム、トランジスタQdpvはV相の上アーム、トランジスタQdnvはV相の下アーム、トランジスタQdpwはW相の上アーム、トランジスタQdnwはW相の下アームに用いられ得る。
【0103】
選択回路17は、DUT50Aに含まれる3相(U,V,W相)のトランジスタQdp,Qdnのうちスイッチング測定を行う相のトランジスタQdp,Qdnを選択するための回路である。選択回路17は、スイッチSWu,SWv,SWwと、を含む。スイッチSWu,SWv,SWwはリレーである。スイッチSWu,SWv,SWwの一端は互いに電気的に接続されており、リアクトルLの他端、トランジスタQirのコレクタ、ダイオードDirのカソード、スイッチSWpの他端、及びスイッチSWnの一端に電気的に接続されている。スイッチSWu,SWv,SWwの他端は、それぞれDUT50AのU,V,W端子に電気的に接続されている。
【0104】
このように構成された動特性試験装置1Aでは、制御装置30は、さらに、トランジスタQdpu,Qdnu,Qdpv,Qdnv,Qdpw,Qdnwにそれぞれゲート信号Sqdpu,Sqdnu,Sqdpv,Sqdnv,Sqdpw,Sqdnwを出力することによって、各トランジスタのオン状態とオフ状態とを切り替える。また、制御装置30は、スイッチSWu,SWv,SWwにそれぞれリレー信号Sswu,Sswv,Sswwを出力することによって、各スイッチのオン状態とオフ状態とを切り替える。DUTが他のタイプのパワー半導体モジュールである場合も、動特性試験装置1Aと同様に構成され得る。
【符号の説明】
【0105】
1,1A…動特性試験装置、11…電源コンデンサ(電源)、13…選択回路、14…過電流防止回路、15…高速遮断回路、30…制御装置、50,50A…DUT(被試験デバイス)、Cd…接続部(第1接続部)、Cs…接続部(第2接続部)、D1…ダイオード(第2ダイオード)、D2…ダイオード(第1ダイオード)、D3…ダイオード(第5ダイオード)、D4…ダイオード(第6ダイオード)、Dif…ダイオード(第1ダイオード、第4ダイオード)、Dir…ダイオード(第2ダイオード、第3ダイオード)、L…リアクトル、Qdn,Qdnu,Qdnv,Qdnw…トランジスタ(第2半導体)、Qdp,Qdpu,Qdpv,Qdpw…トランジスタ(第1半導体)、Qcf…トランジスタ(第5スイッチ部)、Qcr…トランジスタ(第5スイッチ部)、Qhn…トランジスタ(第2スイッチ部)、Qhp…トランジスタ(第1スイッチ部)、Qi…トランジスタ(第3スイッチ部、第4スイッチ部)、Qif…トランジスタ(第4スイッチ部)、Qir…トランジスタ(第3スイッチ部)。
図1
図2
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