(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0020】
<第1の実施の形態>
<音楽再生装置>
(全体構成)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る音楽再生装置の全体構成について説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態に係る音楽再生装置10の全体構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態に係る音楽再生装置10は、車両の外部環境に応じた音楽を生成して再生する音楽再生装置である。
図1に示すように、音楽再生装置10は、速度センサ18、環境検出センサ20
1、対象検出センサ20
2、音楽情報生成部30、及び音楽出力部60を備えている。速度センサ18、環境検出センサ20
1、及び対象検出センサ20
2の各々は、音楽情報生成部30に電気的に接続されており、音楽情報生成部30に出力信号を出力する。また、音楽情報生成部30は、音楽出力部60に電気的に接続されており、音楽出力部60に音楽情報を出力する。
【0022】
速度センサ18は、車両の速度に応じた信号を出力するセンサである。
【0023】
環境検出センサ20
1は、車両の外部環境の状況に応じた信号を出力するセンサである。これに対して、対象検出センサ20
2は、車両の外部環境に対象(対向車両、人物、建物など障害物)が存在することを表す信号を出力するセンサであり、外部環境に対象が存在する場合にだけ信号が取得される。音楽情報生成部30は、速度センサ18の出力信号、環境検出センサ20
1の出力信号、対象検出センサ20
2の出力信号に基づいて音楽情報を生成して、音楽出力部60に出力する。音楽出力部60は、入力された音楽情報に基づいて音楽を演奏する。なお、音楽情報生成部30の詳細な構成については後述する。
【0024】
音楽には、メロディ(旋律)、ハーモニー(和声)、リズム(律動)の三要素がある。また、音には、高さ(周波数)、大きさ(音圧レベル)、音色(周波数成分)の三要素がある。本実施の形態における「曲」とは、音楽の三要素のうち、「音」の高さが時間と共に変化するメロディと、「音」の時間的な長さが一定の規律で変化するリズムとを、少なくとも含むものである。
【0025】
なお、
図1に示す例では、1個の環境検出センサ20
1と1個の対象検出センサ20
2とを備える例について説明したが、それぞれのセンサの個数は1個ずつに限定されるものではない。複数の環境検出センサを備えていてもよく。複数の対象検出センサを備えていてもよい。なお、環境検出センサ20
1と対象検出センサ20
2とを区別する必要が無い場合は、センサ20と総称する。
【0026】
(センサ)
次に、センサの概略構成について説明する
【0027】
図2はセンサの構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、センサ20は、検出部22、A/D変換部24、処理部26、及び送信部28を備えている。A/D変換部24、処理部26、及び送信部28は、検出部22側から記載した順序で電気的に接続されている。環境検出センサ20
1の検出部22は、前方を撮像した前方画像を表す画像信号等のアナログ信号をA/D変換部24に出力する。対象検出センサ20
2の検出部22は、電磁波等の特定の物理量を検出し、検出した物理量に応じたアナログ信号をA/D変換部24に出力する。
【0028】
A/D変換部24は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、処理部26に出力する。処理部26は、入力されたデジタル信号に対して増幅処理やフィルタリング処理等を行い、波形整形されたデジタル信号を送信部28に出力する。送信部28は、入力されたデジタル信号を、音楽情報生成部30に送信する。即ち、波形整形されたデジタル信号を、センサ20の出力信号として、音楽情報生成部30に出力する。
【0029】
(音楽出力部)
次に、音楽出力部の構成について説明する。
【0030】
図3は音楽出力部の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、音楽出力部60は、D/A変換部62、増幅部64、及びスピーカ66を備えている。D/A変換部62、増幅部64、及びスピーカ66は、音楽情報の入力側から記載した順序で電気的に接続されている。
【0031】
音楽情報生成部30は、生成した音楽を表す音楽情報を、デジタル信号として音楽出力部60に出力する。入力されたデジタル信号は、D/A変換部62によりアナログ信号に変換され、増幅部64により増幅されて、スピーカ66に出力される。スピーカ66は、入力されたアナログ信号を応じて音を発生させる。これにより、音楽出力部60では、入力された音楽情報に基づいて、車両の外部環境に応じた音楽が演奏される。
【0032】
(音楽情報生成部)
次に、音楽情報生成部について説明する。
【0033】
図4は音楽情報生成部のハードウエア構成の一例を示す図である。
図4に示すように、音楽情報生成部30は、各種制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。即ち、音楽情報生成部30は、CPU30A、ROM30B、RAM30C、不揮発性メモリ30D、及び入出力インターフェース(I/O)30Eを備えている。CPU30A、ROM30B、RAM30C、不揮発性メモリ30D、及びI/O30Eの各々は、バス30Fを介して接続されている。
【0034】
本実施の形態では、ROM30Bには、後述する「違和感発生処理」、「音楽生成処理」を実行するための制御プログラムが記憶されている。また、「MIDI信号変換用のソフトウエア」や、「MIDI信号から音楽情報を生成するソフトウエア」も、ROM30Bに記憶されている。これらのMIDI用ソフトウエアとして、汎用のソフトウエアを用いてもよい。CPU30Aは、ROM30Bに記憶されたプログラムを読み出し、RAM30Cをワークエリアとして使用してプログラムを実行する。なお、ここでは、ソフトウエアはプログラムと同義である。
【0035】
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)とは、音楽情報をデジタル信号で通信するための国際規格である。MIDI信号とは、MIDI規格の情報であり、標準的なMIDIファイル形式(SMF:Standard MIDI File Format)の情報である。「MIDI信号変換用のソフトウエア」では、音の基本振動数を「ノートナンバー」、音圧レベルを「ベロシティレベル」、音色を「楽器名を表すナンバー」、時間変化を「ノートオン/ノートオフ」を表すデータに各々変換している。
【0036】
また、「MIDI信号から音楽情報を生成するソフトウエア」では、MIDI信号のノートナンバーに音源を割り当てると共に、音源に付随する表現に関する各種パラメータを設定、変更する。例えば、環境検出センサである画像センサからの出力信号から得られたMIDI信号について、ノートナンバー0〜87をピアノの88鍵盤の音階に割り当ててもよい。また、波形データのある範囲を繰り返し再生するループ、音源の時間変化を示すエンベロープ、各音源の音量変化の設定、音の鮮明度の変化をカットオフ周波数の設定により行うフィルタの設定、音像定位、音の強弱を表すベロシティ、及び同時に発音させる音源の選択等、各種のパラメータを設定、変更してもよい。
【0037】
音楽情報生成部30には、I/O30Eを介して、上記の速度センサ18、センサ20や音楽出力部60に加えて、搭乗者等の操作を受け付ける操作部32、搭乗者に各種情報を表示する表示部34、及び通信回線を介して外部装置と通信を行うためのインターフェースである通信部36の各部が接続されている。音楽情報生成部30は、センサ20から出力信号を受け取り、音楽出力部60に音楽情報を出力する。また、CPU30Aは、音楽出力部60、操作部32、表示部34、及び通信部36の各部を制御する。なお、情報の授受は通信部36を介して行うこともできる。
【0038】
なお、音楽情報生成部30には、各種ドライブが接続されていてもよい。各種ドライブは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な可搬性の記録媒体からデータを読み込んだり、記録媒体に対してデータを書き込んだりする装置である。各種ドライブを備える場合には、可搬性の記録媒体に制御プログラムを記録しておいて、これを対応するドライブで読み込んで実行してもよい。
【0039】
次に、音楽情報生成部30を機能面から説明する。
【0040】
図5は音楽情報生成部30の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、音楽情報生成部30は、メモリ40、危険判定部42、信号処理部44、音楽情報生成部46、音楽情報合成部48、及び曲調変更判定部50を備えている。なお、信号処理部44が、変更手段の一例である。
【0041】
速度センサ18及びセンサ20からはデジタルの出力信号が出力されている。音楽情報生成部30は、予め定めた周波数(例えば、30Hz〜60Hz)でサンプリングを行い、速度センサ18及びセンサ20からの出力信号を取得する。メモリ40は、サンプリングした出力信号を一時的に保持する。デジタルの出力信号は、速度センサ18及びセンサ20の出力電圧を時間ごとにデジタル値で表したものである。以下、センサ20出力信号の表す値を「センサ20の出力値」という。出力信号の表す値(センサの出力値)は、サンプリング時間内での平均値、最大値等の代表値とすることができる。
【0042】
また、メモリ40は、速度センサ18からの出力信号を、危険判定部42に出力し、環境検出センサ20
1からの出力信号と対象検出センサ20
2からの出力信号の各々を、信号処理部44及び曲調変更判定部50の各部に出力する。メモリ40は、速度センサ18及びセンサ20からの出力信号を、取得した順序で各部に出力する。
【0043】
危険判定部42は、速度センサ18の出力値が、予め定めた閾値以上か否かを判定することにより、運転の危険性を判定し、判定結果を信号処理部44に通知する。閾値としては、例えば、法定スピードより20km/時だけ速い速度を用いる。信号処理部44は、速度センサ18の出力値が閾値以上という結果を受け取ると、違和感のある音を生成し、違和感のある音をMIDI信号に変換する。また、信号処理部44は、センサ20からの出力信号をMIDI信号に変換する。そして、信号処理部44は、得られたMIDI信号を、音楽情報生成部46に出力する。音楽情報生成部46は、MIDI信号を受け取ると、MIDI信号から音楽情報を生成する。
【0044】
ここで、信号処理部44は、環境検出センサ20
1からの出力信号、及び対象検出センサ20
2からの出力信号の各々から、MIDI信号を各々生成し、音楽情報生成部46は、各MIDI信号から音楽情報を各々生成する。
【0045】
音楽情報生成部46は、音楽情報の各々を、音楽情報合成部48に出力する。音楽情報合成部48は、音楽情報の各々を合成し、車両の外部環境に応じた音楽を表す音楽情報を生成する。そして、音楽情報合成部48は、得られた音楽情報を音楽出力部60に出力する。
【0046】
曲調変更判定部50は、センサ20の出力値から、曲調変更条件を充足しているか否かを判定し、判定結果を信号処理部44に通知する。なお、曲調変更条件、判定手法については後述する。
【0047】
信号処理部44は、曲調変更条件を充足しているという結果を受け取ると、センサ20からの出力信号から、曲調を変化させるようにMIDI信号を生成する。
【0048】
例えば、曲調には、マイナー調、メジャー調、クラシック風、ボサノバ風、日本風、琉球風、アラビック風等がある。曲調の変化とは、楽器(音色)の割り当て、スケール(音の高さの間隔)、コード進行(2音以上の音の重なり)、リズム等の構成要素を変更することである。MIDI信号においてこれらの構成要素を変更することで曲調が変化する。
【0049】
本実施の形態では、曲調変更条件として、カメラ画像から得られる明るさが変化することを用いる。例えば、カメラ画像から得られる明るさが減少したり、増加したりすると、曲調を変化させる。これにより、外部環境の変化が表現される。
【0050】
本実施の形態では、環境検出センサの出力信号に基づいて曲を表す音楽情報を生成し、対象検出センサの出力信号に基づいて楽器音を表す音楽情報を生成し、曲を表す音楽情報と楽器音を表す音楽情報とを合成して、車両の外部環境に応じた音楽を表す音楽情報を生成する。これにより、対象(対向車両、人物、建物など障害物)の出現等のイベント発生時に、特定の楽器音を発生させて、搭乗者にイベントの発生を認識させる。
【0051】
環境検出センサ20
1としては、カメラ等の画像センサ、光センサ、放射温度計等の温度センサ、GPSを含むカーナビゲーション・システム等の位置センサなどがある。対象検出センサ20
2としては、レーダ等の電磁波センサ、ドップラー効果を検出するドップラーセンサ、加速度センサ等がある。例えば、MIDI信号変換時に、曲を表す音楽情報を生成するために、画像センサにはハープ、光センサには尺八、温度センサにはピアノなどの楽器音源を割り当ててもよい。また、楽器音を表す音楽情報を生成するために、電磁波センサにはトライアングル、ドップラーセンサにはティンパニーなどの楽器音源を割り当ててもよい。
【0052】
(違和感を与える音の生成)
次に、違和感を与える音を生成する原理について説明する。
【0053】
図6に示すように、センサデータを音に反映させる場合、センサ信号をMIDIのトーンナンバー(ピアノの鍵盤に相当する)に当てはめる。複数の楽器の音を鳴らす場合は、メトロノームに相当するリズムでもって、各楽器を鳴らすタイミングを合わす。一般的には、各楽器は整数分の1や倍数の間隔で演奏すると聞き易い。車が後方から接近し危険性があると判定した場合、特定の楽器に対応している、メトロノームを、通常人では行えないように早くすると、その楽器は音と音が離散的でなく、連続的に変化するように聞こえる。このような音は、通常聞いていないので、違和感を感じる。演奏する大半の楽器をこのようにすると、音楽にならないので、複数の楽器の内の1つか2つに施す。
【0054】
図7は、違和感の内、不快感を表す機能を入れた場合の信号処理部44と、危険判定部42と、曲調変更判定部50との実施例である。
【0055】
図7では、対象検出センサ20
2としての10.5GHzのドップラーセンサから出力信号と、環境検出センサ20
1としてのカメラからの画像データとを、それぞれMIDI信号に変換する例を示している。
【0056】
曲調変更判定部50は、カメラからの画像データにおいてRGBの量それぞれ検出し、それを各センサ20に対する曲調を変える信号に割り当てている。具体的には、曲調変更判定部50は、RGBの量から計算される明るさに対して、閾値を設定し、マッピングにより、明るさが閾値以上であると判定すると、判定結果を信号処理部44へ出力して、信号処理部44が、リズムを変える。また、曲調変更判定部50は、RGBの量から計算される明るさを信号処理部44へ出力して、信号処理部44が、ベロシティ(音の強さ)を変化させる。このように、カメラからの画像データの明るさに応じて、曲調が変化する。
【0057】
また、危険判定部42は、速度センサ18から得られる速度情報に対して、例えば、80km/h、100km/hで閾値を設定し、速度が80km/h以上になると、運転の危険性があると判定し、違和感発生信号を信号処理部44へ出力して、信号処理部44が、10.5GHzのドップラーセンサのセンサ信号をMIDI信号に変換する際に、Cメジャースケールからペンタトニックスケールに切り替える。
【0058】
例えば、全ての楽器の各々の曲を、Cメジャースケール(ドレミファソラシドのピアノの白鍵だけでひく)だけで自動作曲している状態から、少なくとも1つの楽器の曲をペンタトニックスケール(ピアノの黒鍵だけでひく)に切り替えることにより、違和感を与えることができる。なお、ペンタトニックスケールではなく、ドレミソラ(ヨナ抜き5音階)に切り替えるようにしてもよい。また、長音階(ド、ミ♭、ミ、ファ、ソ、ラ)や短音階(ド、ミ♭、ファ、ソ、ラ)の組み合わせで自動作曲していた状態から、少なくとも一つの楽器の曲をペンタトニックスケールへ切り替えるようにしてもよい。
また、メロディを作る全ての楽器を、Cメジャースケールで鳴らしていて、そのうちの1つ以上の楽器について、Cメジャースケールのトーンナンバーに、127以下の整数の一つを加算又は減算して音を鳴らすトーンナンバーとすることにより、スケールを切り換えるようにしてもよい。例えば、1〜10ぐらいの整数を、加算又は減算すればよく、具体的には、トーンナンバーに2を加えるか、又は2を引くようにすればよい。このように一部のスケールを平行移動させることにより、スケールを切り替えるようにしてもよい。
【0059】
また、速度が100km/h以上になると、更に運転の危険性がある判定し、違和感発生信号を信号処理部44へ出力して、信号処理部44は、10.5GHzのドップラーセンサのセンサ信号をMIDI信号に変換する際に、+2度の和音を加える。例えば、ドを鳴らすとき、同時にレをならす。これにより、極めて聞き苦しい音楽が生成される。
【0060】
なお、+9度の和音を加えるようにしてもよい。例えば、ドを鳴らすとき、ドを鳴らす時、同時に一オクターブ高いレを鳴らすようにしてもよい。
【0061】
このように、本実施の形態では、曲調変更判定部50により、曲調変化を行うことを指示するための判定結果を出力し、危険判定部42により、違和感を出すことを指示するための違和感発生信号を出力する。信号処理部44は、曲調変化を行うことを指示するための判定結果や違和感発生信号を受けて、各センサ20の出力信号からMIDI信号に変換する際に、判定結果や違和感発生信号に応じた変化を加えてMIDI信号を生成する。
【0062】
<違和感発生処理>
次に、音楽情報生成部30のCPU30Aにより実行される「違和感発生処理」について説明する。「違和感発生処理」は、操作部32を介して搭乗者からの開始指示があると開始され、繰り返し実行される。
図8は「違和感発生処理」の手順の一例を示すフローチャートである。
【0063】
まず、ステップ100で、速度センサ18からの出力信号を取得(サンプリング)する。そして、ステップ102で、取得した出力信号が表す速度情報が、閾値以上であるか否かを判定する。速度情報が、閾値以上である場合には、ステップ104において、違和感発生信号を出力して、違和感発生処理を終了する。一方、速度情報が閾値未満である場合には、違和感発生信号を出力せずに、違和感発生処理を終了する。
【0064】
<音楽生成処理>
次に、音楽情報生成部30のCPU30Aにより実行される「音楽生成処理」について説明する。「音楽生成処理」は、操作部32を介して搭乗者からの開始指示があると開始される。
図9は「音楽生成処理」の手順の一例を示すフローチャートである。
【0065】
まず、ステップ110で、センサ20からの出力信号を取得(サンプリング)したか否かを判定する。出力信号を取得した場合は、ステップ112に進み、出力信号を取得していない場合は、ステップ110に戻り判定を繰り返す。次に、ステップ112で、取得した信号が、カメラ画像の信号か否かを判定する。
【0066】
カメラ画像の信号である場合は、ステップ114に進む。カメラ画像の信号でない場合は、ステップ118に進む。
【0067】
ステップ114では、カメラ画像のRGBの量から、明るさを計算する。次のステップ116では、計算された明るさが閾値以上であるか否かを判定し、判定結果に応じて曲調を変化させる信号を出力する。
【0068】
ステップ118では、得られた信号の種類に応じた信号処理を行う。具体的には、サンプリングした出力信号の種類に応じて、MIDI信号に変換する。また、上記ステップ116で曲調を変化させる信号が出力された場合には、MIDI信号に変換する際に、曲調を変化させるようにMIDI信号を生成する。また、上述した違和感発生処理で、違和感発生信号が出力された場合には、違和感を与えるようにMIDI信号を生成する。
【0069】
次に、ステップ122で、上記ステップ118で得られた、信号の種類に応じたMIDI信号から音楽情報を生成する。
【0070】
次に、ステップ124で、信号の種類に応じた音楽情報を合成して、車両の外部環境に応じた音楽を表す音楽情報を生成し、音楽出力部60に出力する。次に、ステップ126で、搭乗者からの停止指示があったか否かを判定する。停止指示があればルーチンを終了し、停止指示が無ければステップ110に戻って、ステップ110からステップ126までの手順を繰り返す。
【0071】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る音楽再生装置によれば、センサ信号に基づいて音楽情報を生成する際に、運転の危険性があると判定されると、生成する音楽における音のスケール、又は音楽において鳴らす和音を変更して、違和感や不快感を与えることにより、エンタテイメント性と安全性の両立を図ることができる。
【0072】
また、クルマが走行することで周囲環境情報が変化する。この環境情報をセンサで検出し、それを基に自動作曲する際に、音楽を楽しむというエンタテイメント性と安全性とを両立させる。曲調を変えることでエンタテイメント性を実現し、安全性には、エンタテイメント性と関係しない音をあてはめて実現する。
【0073】
また、運転の危険性がある場合に、違和感のある音を発生させて、ドライバに違和感を感じさせ、運転の危険性がなくなると、違和感のある音の発生をやめて、安全な運転状態であることを知らせることができる。
【0074】
<第2の実施の形態>
<音楽再生装置>
次に、第2の実施の形態に係る音楽再生装置について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
第2の実施の形態では、地図データから、音楽情報を生成している点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0076】
第2の実施の形態では、自動運転に利用する高度化された地図情報(ダイナミックマップ)から、車両の外部環境の情報を取得して、車両の外部環境に応じた音楽情報を生成する。
【0077】
図10は、第2の実施の形態に係る音楽再生装置210の全体構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態に係る音楽再生装置210は、速度センサ18、環境検出センサ20
1、対象検出センサ20
2、GPSセンサ220、地図情報取得部222、地図データベース224、音楽情報生成部30、及び音楽出力部60を備えている。速度センサ18、環境検出センサ20
1、対象検出センサ20
2、GPSセンサ220、及び地図データベース224の各々は、音楽情報生成部30に電気的に接続されている。
【0078】
GPSセンサ220は、GPS衛星から受信した信号に基づいて、車両の位置を計測する。
【0079】
地図データベース224は、自動運転に利用する高度化された地図情報を生成するための静的な道路地図情報を記憶している。
【0080】
地図情報取得部222は、GPSセンサ220によって計測された車両の位置に基づいて、当該位置の道路地図情報を地図データベース224から取得する。また、地図情報取得部222は、環境検出センサ20
1及び対象検出センサ20
2からの出力信号に基づいて、動的な情報(車両や歩行者などの移動物体、信号現示、道路工事などの情報)を取得する。
【0081】
地図情報取得部222は、地図データベース224から取得した地図情報と、動的な情報とを統合して、自動運転に利用する高度化された地図情報(ダイナミックマップ)を生成する。
【0082】
地図情報取得部222は、生成した地図情報(ダイナミックマップ)から動画データを生成し、動画データに基づいて、RGB出力やエッジの検出結果などの各種外部環境情報を求めて、音楽情報生成部30へ出力する。
【0083】
地図情報取得部222は、随時、上記のように高度化された地図情報(ダイナミックマップ)の生成、及び各種外部環境情報の取得を行い、求めた各種外部環境情報を、音楽情報生成部30へ出力する。
【0084】
音楽情報生成部30の危険判定部42は、上記第1の実施の形態と同様に、速度センサ18の出力値が、予め定めた閾値以上か否かを判定し、違和感発生信号を信号処理部44に出力する。信号処理部44は、違和感発生信号を受け取ると、違和感のある音を生成するように、地図情報取得部222からの各種外部環境情報をMIDI信号に変換する。そして、信号処理部44は、各種外部環境情報に応じて得られたMIDI信号を、音楽情報生成部46に出力する。音楽情報生成部46は、MIDI信号を受け取ると、MIDI信号から音楽情報を生成する。
【0085】
ここで、信号処理部44は、地図情報取得部222からの各種外部環境情報から、MIDI信号を生成し、音楽情報生成部46は、各種外部環境情報に応じて生成されたMIDI信号から、音楽情報を各々生成する。
【0086】
<違和感発生処理>
「違和感発生処理」は、操作部32を介して搭乗者からの開始指示があると開始され、上記第1の実施の形態と同様に、上記
図8に示す違和感発生処理が、繰り返し実行される。
【0087】
<地図情報取得処理>
「地図情報取得処理」は、操作部32を介して搭乗者からの開始指示があると開始され、上述したように、高度化された地図情報(ダイナミックマップ)の生成、及び各種外部環境情報の取得が、繰り返し行われる。
【0088】
<音楽生成処理>
次に、音楽情報生成部30のCPU30Aにより実行される「音楽生成処理」について説明する。「音楽生成処理」は、操作部32を介して搭乗者からの開始指示があると開始される。
図11は「音楽生成処理」の手順の一例を示すフローチャートである。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して説明を省略する。
【0089】
まず、ステップ252で、地図情報取得部222によって求められた各種外部環境情報を取得する。
【0090】
ステップ114では、上記ステップ252で取得した外部環境情報に含まれるRGBの量から、明るさを計算する。次のステップ116では、計算された明るさが閾値以上であるか否かを判定し、明るさが閾値以上である場合に、曲調を変化させる信号を出力する。
【0091】
ステップ254では、得られた外部環境情報の種類に応じた信号処理を行う。具体的には、取得した外部環境情報の種類に応じて、MIDI信号に各々変換する。また、上記ステップ116で曲調を変化させる信号が出力された場合には、MIDI信号に変換する際に、曲調を変化させるようにMIDI信号を生成する。また、上述した違和感発生処理で、違和感発生信号が出力された場合には、違和感を与える音のMIDI信号を生成する。
【0092】
次に、ステップ122で、上記ステップ254で得られたMIDI信号の各々から音楽情報を生成する。
【0093】
次に、ステップ124で、各音楽情報を合成して、車両の外部環境に応じた音楽を表す音楽情報を生成し、音楽出力部60に出力する。次に、ステップ126で、搭乗者からの停止指示があったか否かを判定する。停止指示があればルーチンを終了し、停止指示が無ければステップ252に戻って、ステップ252からステップ126までの手順を繰り返す。
【0094】
なお、第2の実施の形態に係る音楽再生装置の他の構成及び作用については第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る音楽再生装置によれば、自動運転に利用する高度化された地図情報に基づいて音楽情報を生成する際に、運転の危険性があると判定されると、生成する音楽における音のスケール、又は音楽において鳴らす和音を変更して、違和感や不快感を与えることにより、エンタテイメント性と安全性の両立を図ることができる。
【0096】
なお、上記の実施の形態では、高度化された地図情報から動画データを作成して、外部環境情報を取得する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、静的な道路地図情報と動的情報から、外部環境情報を取得するようにしてもよい。
【0097】
<第3の実施の形態>
<音楽再生装置>
【0098】
次に、第3の実施の形態に係る音楽再生装置について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0099】
第3の実施の形態では、予め用意されている音楽情報を再生する際に、違和感のある音を発生される点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0100】
図12は、第3の実施の形態に係る音楽再生装置310の全体構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態に係る音楽再生装置310は、速度センサ18、音楽情報入力部320、音楽情報処理部330、及び音楽出力部60を備えている。速度センサ18、音楽情報入力部320の各々は、音楽情報処理部330に電気的に接続されている。
【0101】
音楽情報入力部320は、予め用意された音楽情報(例えば、CDなどから得られる音楽情報や、電子的な音楽情報)を取得して、音楽情報処理部330へ出力する。
【0102】
図13に示すように、音楽情報処理部330は、メモリ40、危険判定部42、信号処理部344、音楽情報生成部346、及び音楽情報合成部348を備えている。なお、信号処理部344が、変更手段の一例である。
【0103】
危険判定部42は、上記第1の実施の形態と同様に、速度センサ18の出力値が、予め定めた閾値以上か否かを判定し、違和感発生信号を出力する。
【0104】
信号処理部344は、危険判定部42から違和感発生信号が出力されると、音楽情報入力部320により入力された音楽情報における音に応じて、違和感のある音のMIDI信号を生成する。
【0105】
例えば、入力された音楽情報において鳴らす和音を追加することにより、違和感のある音を生成する。
【0106】
音楽情報生成部346は、信号処理部344によって生成されたMIDI信号から、音楽情報を生成する。
【0107】
音楽情報合成部348は、音楽情報入力部320により入力された音楽情報と、音楽情報生成部346によって生成された音楽情報とを合成し、音楽出力部60に出力する。
【0108】
<違和感発生処理>
次に、音楽情報処理部330により実行される「違和感発生処理」について説明する。「違和感発生処理」は、操作部32を介して搭乗者からの開始指示があると開始され、上記第1の実施の形態と同様に、上記
図8に示す違和感発生処理が、繰り返し実行される。
【0109】
<音楽生成処理>
次に、音楽情報処理部330により実行される「音楽生成処理」について説明する。「音楽生成処理」は、操作部32を介して搭乗者からの開始指示があると開始される。
図14は「音楽生成処理」の手順の一例を示すフローチャートである。
【0110】
まず、ステップ350で、違和感発生信号が出力されているか否かを判定する。違和感発生信号が出力されていない場合には、ステップ360へ移行し、音楽情報入力部320により入力された音楽情報を、音楽出力部60に出力する。一方、違和感発生信号が出力されている場合には、ステップ352へ移行する。
【0111】
ステップ352では、音楽情報入力部320により入力された音楽情報における音に応じて、違和感のある音のMIDI信号を生成する。そして、ステップ356では、上記ステップ352で得られたMIDI信号から音楽情報を生成する。
【0112】
次に、ステップ358で、音楽情報入力部320により入力された音楽情報と、上記ステップ356で生成された音楽情報とを合成して、音楽出力部60に出力する。次に、ステップ362で、搭乗者からの停止指示があったか否かを判定する。停止指示があればルーチンを終了し、停止指示が無ければステップ352に戻って、ステップ350からステップ362までの手順を繰り返す。
【0113】
なお、第3の実施の形態に係る音楽再生装置の他の構成及び作用については第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0114】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る音楽再生装置によれば、予め用意された音楽情報を再生する際に、運転の危険性があると判定されると、再生する音楽における音のスケール、又は音楽において鳴らす和音を変更して、違和感や不快感を与えることにより、エンタテイメント性と安全性の両立を図ることができる。
【0115】
<変形例>
なお、上記各実施の形態で説明した音楽生成装置の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。
【0116】
例えば、上記の実施の形態では、車両の速度が閾値以上であるか否かを判定することにより、運転の危険性を判定して、違和感発生信号を出力する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カメラ画像に基づいて、白線から逸脱したか否かを判定し、白線から逸脱した場合に、違和感発生信号を出力するようにしてもよい。このとき、白線から大きく逸脱すればするほど、違和感が増すようにしてもよい。また、白線からの逸脱が修正されると、違和感発生信号の出力をやめるようにすればよい。
【0117】
また、高速道路での自動運転モードである場合に、一般道での従来の運転にもどるときの半自動運転の状態に遷移するか否かを判定し、半自動運転の状態に遷移すると判定したときに、違和感発生信号を出力し、自動運転から手動運転に切り替わることを違和感によって知らせるようにしてもよい。このように、手をステアリングから離した状態から、手動運転が必要な状態に遷移するときに、違和感を与え、手動運転に切り替わる地点になるにつれて、違和感を増すようにする。そして、ドライバがステアリングをにぎると、違和感発生信号の出力をやめるようにすればよい。
また、運転の危険性ではなく、衝突又は接近の危険性を判定し、衝突又は接近の危険性があると判定された場合に、違和感発生信号を出力してもよい。例えば、他車両の接近や、ガードレール等路側物の接近などを判定するようにしてもよい。
【0118】
また、居眠り検出を行い、居眠りが検出されたか否かを判定し、居眠りが検出された場合に、違和感発生信号を出力してもよい。
【0119】
また、違和感のない音楽の運転が、上手い運転であるとして、ドライバに点数として知らせるようにしてもよい。例えば、エコ運転の評価を行い、評価が悪い場合に、違和感発生信号を出力するようにしてもよい。
【0120】
また、危険性が高くなるほど、音楽から感じる違和感が段階的に高まるようにし、それでも危険性がなくならない場合、ドライバが異常であると判断し、クルマを減速停止させるようにしてもよい。
【0121】
また、上記の実施の形態では、違和感発生信号が出力された場合、和音の追加、又はスケールの変更により、違和感を与える音楽を生成する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、違和感発生信号が出力された場合、特定の楽器の音を鳴らすタイミングを変更するようにしてもよい。例えば、メロディをかなでる楽器を楽器Aとすると、楽器Aはs ms毎に音を出すとする。他の楽器は、これと同じあるいは、これの分数、あるいは倍数で音を作る。このような状態の中で、メロディをかなでる楽器Aにおいて、少なくとも一つの音を、上記のタイミングに関係ない状態で鳴らすようにすればよい。
【0122】
また、違和感発生信号が出力された場合に、楽器のタイミングをずらすようにしてもよい。各楽器の音を鳴らす場合に、ディレイを入れて、同時に鳴らないようにしてもよい。
【0123】
また、違和感発生信号が出力された場合に、センサ信号に対応してメロディをかなでる楽器の少なくとも一つの音をランダムに変えるようにしてもよい。これにより、曲にならない音楽が生成される。
【0124】
また、上記の違和感を与える音楽を生成する方法を、重ねて行うようにしてもよい。
【0125】
また、上記の実施の形態では、環境検出センサであるカメラの画像のRGBの量に基づいて曲調を変化させるか否かを判定しているが、これに限定されるものではない。他の環境検出センサの出力信号に基づいて曲調を変化させるか否かを判定するようにしてもよい。また、対象検出センサの出力信号に基づいて曲調を変化させるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、対象検出センサの反応の増加に応じて曲調を変化させるようにしてもよい。