(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造における配線パターンおよび電極パターンの形成には、スクリーン印刷が利用されることが多い。
【0003】
スクリーン印刷は、所定の開口パターンを有するように製版された紗と呼ばれる網目の布が枠体に張られてなるスクリーン印刷版を通して、印刷対象物にインクを印刷する技術である。
【0004】
スクリーン印刷版の製版は、紗に感光性樹脂を塗布し、マスク(原版)を介して紫外線などを照射して露光した後、不要な部分を洗浄除去(現像)して、所定の開口パターンを得ることにより行なわれている。
【0005】
ところで、近年、紫外線領域の波長を有する露光光線を、マスクを介さず感光性樹脂に直接照射して、所定のパターンを描画することにより、感光性樹脂をパターン露光する直描型露光装置が普及し始めている。
【0006】
そのような直描型露光装置の一例として、例えば特開平11−320968号公報(特許文献1)では、デジタル・マイクロミラー・デバイス(以下、DMDと呼称)を用いてパターン露光を行なう直描型露光装置が提案されている。
【0007】
図9は、上記公報に記載されている直描型露光装置200の説明図である。
図9(A)は、直描型露光装置200の概略構成図である。
図9(B)は、直描型露光装置200に用いられているDMD205のミラー構成を示す模式図である。
図9(C)は、
図9(B)の部分拡大図である。
【0008】
図9(B)に示すように、DMD205は、正方形の微小ミラーMが横方向(
図9(B)の左右方向であって、微小ミラーMが列をなす方向)にm個、縦方向(
図9(B)の上下方向であって、微小ミラーMの列が並ぶ方向)に6列配置されてなる。横方向において、互いに隣接する微小ミラーMの間には、隙間gが設けられている。各列(M11〜M16)の微小ミラーMは、隣接する上下の列における微小ミラーMとそれぞれ所定の距離だけずらせて配置されている。
【0009】
図9(A)に示すように、露光対象物である感光性樹脂PPは、膜状であって、例えば樹脂単体のドライフィルムの状態で、または液状の樹脂を不図示の基材上に塗布後、乾燥させた状態で、テーブル203に載置される。テーブル203は、ベース202上をY方向に移動自在である。
【0010】
そして、
図9(C)に示すように、各微小ミラーMは、一対の端部Maを結ぶ対角線を回転軸として、端部Mbが回転可能となるように構成されている。DMD制御装置206は、DMD205の各微小ミラーMの回転を個別に制御する。
【0011】
光源201から出力された紫外線領域の波長を有する光は、コリメーターレンズ204により平行光201aに変換されてDMD205に入射する。そして、平行光201aは、入射した各微小ミラーMがどのように回転されているかにより、各ミラーMによる反射光の方向が決められる。
【0012】
幾つかの微小ミラーMによる反射光は、マイクロレンズ207により集光されることにより、露光光線201bとなって感光性樹脂PPの露光面に照射され、露光に寄与する。一方、別の微小ミラーMによる反射光は、感光性樹脂PPから離れた位置に照射され、露光に寄与しない。
【0013】
すなわち、直描型露光装置200では、DMD205の微小ミラーMの個別の回転角を制御することにより、感光性樹脂PPをパターン露光することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここで、
図10(A)に示すように、液状の感光性樹脂PPを枠体Fに張られた紗S上に塗布後、乾燥させたスクリーン印刷版を、直描型露光装置200によりパターン露光することを考える。
【0016】
上記のスクリーン印刷版において、液状の感光性樹脂PPの紗S上への塗布は、均一な膜厚で、図上での上面PPuと下面PPlとが平行となるように行なわれているが、枠体Fの厚みが均一ではなかったとする。
【0017】
このようなスクリーン印刷版を、上面PPuを露光面としてテーブル203に載置すると、枠体Fに張られた紗Sは、テーブル203の上面に対してわずかに傾斜する。その傾斜角をθとすると、露光光線201bの光軸201cと上面PPuとは直交せず、露光光線201bの光軸201cに対して、上面PPuの法線方向PPnが角度θだけ傾くことになる。
【0018】
その状態で露光した後、現像すると、
図10(B)に示すように、上面PPuの法線方向PPnに対して角度θだけ傾き、上面PPu側の開口位置Auと下面PPl側の開口位置Alとがずれた開口パターンが形成されてしまう。
【0019】
スクリーン印刷は、
図10(A)における感光性樹脂の上面PPuが印刷対象物に接するようにして行なわれる。一方、印刷対象物との位置合わせは下面PPl側から行なう。上面PPu側と下面PPl側とで開口位置がずれていると、下面PPl側の開口位置で位置合わせを行なっても、実際に印刷対象物にインクが印刷されるのは上面PPu側の開口位置となり、印刷ずれが生じることになる。
【0020】
また、露光光線201bの光軸201cと上面PPuとが直交していない場合、露光光線201bの上面PPu上における投影像は、直交からのずれに応じて歪むことになる。例えば、露光光線201bの光軸201cに直交する断面が円形であったとすると、上面PPu上では、楕円形に歪んでしまう。露光光線201bの上面PPu上における投影像が歪みを有すると、開口パターンとしても歪みが生じることになる。
【0021】
そこで、この発明の目的は、感光性樹脂を支持する基材の厚みが不均一であったとしても、露光光線の光軸が感光性樹脂の露光面に対して常に直交する状態でパターン露光ができる直描型露光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この発明では、露光光線の光軸が感光性樹脂の露光面に対して直交する状態でパターン露光を行なうことができるようにするため、露光時における感光性樹脂を支持する基材の高さ位置を決める機構についての改良が図られる。
【0023】
この発明に係る直描型露光装置は、下記の構成により、板状の基材に保持された膜状の感光性樹脂に、露光光線を所定のパターンで直接照射することによりパターン露光を行なう。
【0024】
この発明に係る直描型露光装置は、露光光線を出力する光源と、基台と、駆動部および駆動軸を含む複数の変位機構と、基材の下面中央領域を支持可能な支持部材と、を備える。
【0025】
複数の変位機構は、基材の下面周縁領域を支持可能であり、かつ露光光線の光軸方向において基材を変位させるように
それぞれが独立して動作する。支持部材は、
基台の上方に配設されている。複数の変位機構
は、支持部材の上面と基材の下面中央領域とを当接させた状態におい
て露光光線の光軸と
基材の上面とが直交するように、
基材を変位させる。
この発明に係る直描型露光装置においては、露光光線の光軸と基材の上面とが直交した状態において、駆動部が停止するとともに、基材の下面周縁領域が複数の変位機構によって支持されたホールド状態が維持される。
【0026】
上記の直描型露光装置では、複数の変位機構が基材を変位させ、支持部材の上面と基材の下面中央領域とを当接させた状態において、露光光線の光軸と基材の上面とが直交している。
【0027】
そのため、露光光線の光軸が、基材の上面に設けられている感光性樹脂の上面(露光面)に対して、許容できる誤差範囲内において常に直交する状態で、パターン露光を行なうことができる。
【0028】
すなわち、感光性樹脂の上面側と下面(位置合わせ面)側とで、開口パターンの開口位置がずれることがない。また、開口パターンの歪みも生じることがない。
【0029】
したがって、感光性樹脂をスクリーン印刷版などの印刷版に用いた場合、高精度の開口パターンを得ることができるため、位置合わせを行なった所望の箇所に、高精度でインクを印刷することができる。
【0030】
この発明に係る直描型露光装置における第1の好ましい実施形態は、駆動軸が軸方向の応力に対して弾性変形する弾性変形部を有する。
【0031】
基材は初期位置においてその重量により弾性変形部を変形させた状態で、変位機構の駆動軸により支持されている。
【0032】
上記の直描型露光装置では、支持部材の上面と基材の下面中央領域とが当接することにより、基材の重量の少なくとも一部を支持部材が受けるようになる。その結果、駆動軸の弾性変形部は、軸方向にかかる荷重が低減する分、元の形状に戻るように逆変形する。
【0033】
そのため、支持部材の上面と基材の下面中央領域とが当接した後に、変位機構がさらに少し基材を変位させたとしても、弾性変形部が少し逆変形するだけで、変位機構は基材を支持し続ける。すなわち、基材が急に支持部材のみによって支持されるようになることが避けられる。
【0034】
例えば、基材として、前述のように紗と呼ばれる網目の布が枠体に張られてなるものが用いられ、枠体が駆動軸によって支持されておらず、紗の下面中央領域が支持部材によって支持されている状態を考える。この状態では、紗は枠体の重量によって引っ張られ、弾性変形する可能性がある。
【0035】
紗の弾性変形が無視できない場合、弾性変形した状態で露光したとすると、弾性変形が解除されることにより露光パターンは変形し、所望の開口パターンとは異なるものとなってしまう。
【0036】
一方、上記のように弾性変形部が元の形状に戻るまで、枠体が引き続き駆動軸によって支持されている状態を考える。この状態では、紗にはごくわずかしか枠体の重量がかからないため、紗はほとんど引っ張られない。すなわち、紗に無視できない弾性変形が発生することがない。その結果、露光パターンと現像後の開口パターンとを、高精度で一致させることができる。
【0037】
したがって、その状態で感光性樹脂を露光することにより、さらに高精度な開口パターンを得ることができる。
【0038】
この発明に係る直描型露光装置における第2の好ましい実施形態は、駆動軸に接続され、駆動軸の軸方向にかかる荷重を検知する荷重検知部と、制御装置とをさらに備える。
【0039】
制御装置は、荷重検知部が検知する荷重が、所定の値まで減少したことを伝える情報に基づいて、駆動部に動作を停止する動作指令を与えるように制御する。
【0040】
上記の直描型露光装置では、基材が支持部材に当接することにより、基材の重量の少なくとも一部を支持部材が受けるようになった結果、駆動軸にかかる荷重が、所定の値まで減少したことを荷重検知部で検知する。その情報は制御装置に送信され、制御装置はその情報に基づいて、駆動部に動作を停止する動作指令を与える。
【0041】
言い換えると、変位機構は、駆動軸にかかる荷重が所定の値まで減少したことを荷重検知部が検知するまで、基材を確実に変位させる。したがって、支持部材の上面と基材の下面中央領域とを確実に当接させ、露光光線の光軸と支持部材の上面とを確実に直交させることができる。
【0042】
なお、基材が支持部材に当接すると、当接箇所の近傍にある荷重検知部が検知する荷重は急激に減少する。そして、基材が当接箇所の近くにある駆動軸から離れると、その駆動軸にかかる荷重は検知されなくなる。したがって、上記の所定の値は、基材が支持部材に当接する前に荷重検知部が検知していた荷重値の80〜99%程度の荷重値であることが好ましい。
【0043】
また、上記の直描型露光装置では、駆動軸にかかる荷重の減少が始まったことを荷重検知部が検知した時点で、制御装置が駆動部に動作を停止する動作指令を与えるように制御することにより、駆動部が駆動軸を変位させ過ぎずに済む。すなわち、第1の好ましい実施形態と同様に、基材が支持部材のみによって支持されることを避けることができる。
【0044】
例えば、基材として、前述のように紗が枠体に張られてなるものが用いられ、初期位置では枠体が変位機構の駆動軸によって支持されている状態を考える。そして、駆動軸にかかる荷重の減少開始を荷重検知部が検知した時点で、制御装置が駆動部に動作を停止させ、枠体が引き続き駆動軸によって支持されるようにする。この状態では、第1の好ましい実施形態のように紗はほとんど引っ張られない。すなわち、紗に無視できない弾性変形が発生することがない。
【0045】
また、全ての荷重検知部において荷重の減少を検知し、全ての駆動部が動作を停止した状態では、支持部材の上面と紗の下面中央領域とが当接し、露光光線の光軸と紗の上面とは直交している。この状態では、紗の上面に塗布されている感光性樹脂の露光面は、露光光線の光軸に対して傾いていない。その結果、露光パターンと現像後の開口パターンとを、高精度で一致させることができる。
【0046】
したがって、第1の好ましい実施形態と同様に、さらに高精度な開口パターンを得ることができる。
【0047】
この発明に係る直描型露光装置における第3の好ましい実施形態は、基材の下面周縁領域の駆動軸により支持されている箇所に対応する、基材の上面までの距離を検出する距離検知部と、制御装置とをさらに備える。
【0048】
制御装置は、距離検知部からの、距離検知部と基材の上面との間の距離が所定の値まで増加したことを伝える情報に基づいて、駆動部に動作を停止する動作指令を与えるように制御する。
【0049】
上記の直描型露光装置では、複数の変位機構が基材を変位させた結果、距離検知部と基材の上面との間の距離が所定の値まで増加したことを距離検出部で検知する。その情報は制御装置に送信され、制御装置はその情報に基づいて、駆動部に動作を停止する動作指令を与える。
【0050】
言い換えると、変位機構は、距離検知部と基材の上面との間の距離が所定の値まで増加したことを距離検知部が検知するまで、基材を確実に変位させる。したがって、支持部材の上面と基材の下面中央領域との当接、および基材の下面周縁領域と駆動軸との当接を両立させ、露光光線の光軸と支持部材の上面とを確実に直交させることができる。
【0051】
また、上記の所定の値は、支持部材の上面と基材の下面中央領域とが当接した時点での、距離検知部と基材の上面との間の距離であることが好ましい。上記の直描型露光装置では、距離検知部が検知する距離がその値となった時点で、制御装置が駆動部に動作を停止する動作指令を与えるように制御することにより、駆動部が駆動軸を変位させ過ぎずに済む。すなわち、第1および第2の好ましい実施形態と同様に、基材が支持部材のみによって支持されることを避けることができる。
【0052】
例えば、前述したように、基材として、紗が枠体に張られてなるものが用いられ、初期位置では枠体が変位機構の駆動軸によって支持されている状態を考える。そして、駆動軸を駆動部により変位させ、距離検知部が検知する距離が上記の所定の値となった時点で制御装置が駆動部に動作を停止させ、枠体が引き続き駆動軸によって支持されるようにする。この状態では、第1の好ましい実施形態のように紗はほとんど引っ張られない。すなわち、紗に無視できない弾性変形が発生することがない。
【0053】
また、全ての距離検知部の検知する距離が所定の距離となり、全ての駆動部が動作を停止した状態では、支持部材の上面と紗の下面中央領域とが当接し、露光光線の光軸と紗の上面とは直交している。この状態では、紗の上面に塗布されている感光性樹脂の露光面は、露光光線の光軸に対して傾いていない。その結果、露光パターンと現像後の開口パターンとを、高精度で一致させることができる。
【0054】
したがって、第1および第2の好ましい実施形態と同様に、さらに高精度な開口パターンを得ることができる。
【0055】
この発明に係る直描型露光装置における第4の好ましい実施形態では、傾斜検知機構と、傾斜調整機構とをさらに備える。制御装置は、傾斜検知機構による情報に基づいて、基台の傾斜角を調整する動作指令を、傾斜調整機構に与えるように制御する。
【0056】
上記の直描型露光装置では、制御装置は、傾斜検知機構による情報に基づいて傾斜調整機構を動作させることにより、基台の傾斜角を調整している。
【0057】
支持部材は基台上に設置されているので、その傾斜角は、基台の傾斜角を調整することで調整することができる。
【0058】
したがって、基台の傾斜角を調整することにより、支持部材の上面と基材の下面中央領域とを当接させた状態において、露光光線の光軸と基材の上面との角度が直交となるように調整することができる。すなわち、その状態で露光することにより、さらに高精度な開口パターンを得ることができる。
【発明の効果】
【0059】
この発明に係る直描型露光装置では、支持部材の上面と基材の下面中央領域とを当接させた状態において、露光光線の光軸と基材の上面とが直交している。
【0060】
そのため、露光光線の光軸が、基材の上面に設けられている感光性樹脂の上面(露光面)に対して、許容できる誤差範囲内において常に直交する状態で、パターン露光を行なうことができる。
【0061】
すなわち、感光性樹脂の上面側と下面(位置合わせ面)側とで、開口パターンの開口位置がずれることがない。また、開口パターンの歪みも生じることがない。
【0062】
したがって、感光性樹脂をスクリーン印刷版などの印刷版に用いた場合、高精度の開口パターンを得ることができるため、位置合わせを行なった所望の箇所に、高精度でインクを印刷することができる。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下にこの発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0065】
<この発明に係る直描型露光装置の実施形態>
この発明に係る直描型露光装置の実施形態について、
図1および
図2を用いて説明する。
【0066】
図1は、この実施形態に係る直描型露光装置100の断面図である。
図2は、この実施形態に係る直描型露光装置100の要部の上面図である。
図1は、
図2のY1−Y1線を含む面の矢視断面図となっている。
【0067】
図1および
図2を参照して、この実施形態に係る直描型露光装置100は、下記の構成により、板状の基材Bの上面に保持された膜状の感光性樹脂PPに、露光光線1bを所定のパターンで直接照射することによりパターン露光を行なう。
【0068】
図1では、基材Bとして、前述のように紗Sと呼ばれる網目の布が枠体Fに張られてなるものが用いられている。基材Bには、任意の材質の板状部材など、所望のものを用いることができる。感光性樹脂PPも、前述のように、膜状であって、例えば樹脂単体のドライフィルムの状態のものや、液状の樹脂を紗S上に塗布後、乾燥させた状態のものなど、所望のものを用いることができる。
【0069】
なお、感光性樹脂PPの厚みの不均一は無視できるものとし、上面PPu(露光面)は、基材B(紗S)の上面と実質的に平行となっているとする。
【0070】
直描型露光装置100は、光源1と、基台2と、変位機構4a〜4dと、支持部材7とを含む。
【0071】
光源1は、露光光線1bを出力する。露光光線1bは、感光性樹脂PPに化学変化を生じさせる波長を有する光線である。そのための光源1の発光体としては、例えば紫外線レーザー、超高圧水銀ランプ、またはLEDなど、紫外線領域の波長を有する光を発するものを用いることができる。光源1は、コリメーターレンズや集光レンズなどのレンズ系をさらに含んでもよい。
【0072】
図1では、光源1は、水平移動機構1hと上下移動機構1vにより、水平方向および上下方向に移動可能となっている。すなわち、
図1では、基台2を動かさず、水平移動機構1hにより光源1を水平移動させてパターン露光を行なう。また、上下移動機構1vにより光源1を上下移動させて焦点位置の調節を行なう。
【0073】
なお、パターン露光を行なうためには、光源1を移動させずに、上記特開平11−320968号公報に記載のDMDや、ガルバノミラーなどの反射鏡を用いることにより、露光光線の照射位置を変えるようにしてもよい。また、別途設けた水平移動機構および上下移動機構の少なくとも一方により、基台2を水平方向および垂直方向の少なくとも一方に移動させてパターン露光を行なうようにしてもよい。
【0074】
基台2は、特に形状の限定はなく、平板状のものであっても、底部と側壁とにより形成される凹部を備えるものであってもよい。この実施形態に係る直描型露光装置100では、後述の変位機構4a〜4dをそれぞれ駆動させる駆動部5a〜5dは、基台2の上面に設けられた凹部3a〜3d内にそれぞれ設置される。例えば、駆動部5aは凹部3a内に設置される。駆動部5b〜5dも、駆動部5aと同様に、それぞれ対応する凹部3b〜3d内に設置される。なお、駆動部5a〜5dは、凹部3a〜3dの設けられていない平板状の基台2の上面に設置されるようにしてもよい。
【0075】
変位機構4a〜4dは、駆動部と、駆動部により変位する駆動軸とを備える。例えば、変位機構4aは、駆動部5aと、駆動部5aにより変位する駆動軸6aとを備える。変位機構4b〜4dも、変位機構4aと同様の構成であり、それぞれ駆動部5bおよび駆動軸6b、駆動部5cおよび駆動軸6c、駆動軸5dおよび駆動軸6dを備える。駆動部5a〜5dは、前述のように、基台2の上面に設けられた、対応する凹部3a〜3d内にそれぞれ設置されている。
【0076】
駆動部5a〜5dとしては、例えば空圧または油圧によるシリンダーストローク調整機構、サーボモータに接続されたボールねじによる直動機構、およびリードスクリュー付きのステッピングモータなどを好ましく用いることができる。また、駆動部と駆動軸との位置関係は、
図1に示したものに限らず、例えば駆動軸が基台2の上面に設置され、その駆動軸上を駆動部が移動するリニアモータのようなものでもよい。
【0077】
変位機構4a〜4dは、それぞれが備える駆動軸により、基材Bの下面周縁領域を支持することができる。さらに、変位機構4a〜4dは、駆動軸を、それぞれが接続される駆動部により駆動させることにより、基材Bを露光光線1bの光軸方向において変位させる。
【0078】
すなわち、変位機構4a〜4dを動作させて基材Bを変位させることにより、後述の支持部材7の上面と基材Bの下面中央領域とを当接させた状態とすることができる。
【0079】
この実施形態に係る直描型露光装置100においては、変位機構4a〜4dは、それぞれが独立して動作することができるように構成されている。なお、駆動部5a〜5dは、所定の位置で、接続されている駆動軸の駆動を停止し、その状態を維持できるように(ホールド状態となるように)設定されている。
【0080】
支持部材7は、支持部材7の上面と基材Bの下面中央領域とを当接させた状態において、露光光線1bの光軸と支持部材7の上面とが、許容できる誤差範囲内において直交するように、ステム8により基台2の上方の所定の高さに配設されている。また、ステム8の内部には、空気通路8Aが設けられている。
【0081】
また、支持部材7は、その上面に開口する空気通路7Aをその内部に有している。この空気通路7Aは、ステム8の鍔部8Gと支持部材7の下面に設けられた凹部とにより形成される空気室7Rおよび空気通路8Aを通じて不図示の減圧機構に連通している。このような構成により、支持部材7の上面は、基材Bの下面中央領域を減圧吸着可能となっている。
【0082】
この実施形態に係る直描型露光装置100では、上記の構成を有するため、支持部材7の上面と基材Bの下面中央領域とが密着した状態で、基材Bの下面中央領域が、支持部材7により吸着固定される。
【0083】
したがって、この状態では、支持部材7の上面と基材Bの上面に保持された感光性樹脂PPの上面PPu(露光面)とが平行となっている。
【0084】
次に、変位機構4a〜4dおよび支持部材7による、露光時における基材Bの高さ位置の位置決めについて、
図3を用いて説明する。
【0085】
具体例として、基材Bが枠体Fとそれに張られた紗Sを含むスクリーン印刷版であって、枠体Fの厚みが不均一な場合を考える。説明を簡略化するため、変位機構4aおよび4bにより、基材Bを露光光線1bの光軸方向において変位させるものとする。実際には、変位機構4cおよび4dも含めて、基材Bを露光光線1bの光軸方向において変位させ、露光時における基材Bの高さ位置の位置決めを行なう。
【0086】
ここで、枠体Fの、変位機構4aで変位させられる箇所の厚み(Fa)が、変位機構4bで変位させられる箇所の厚み(Fb)より厚いとする(
図9(A)も参照)。
【0087】
また、支持部材7は、前述のように、支持部材7の上面と基材Bの下面中央領域とを当接させた状態において、露光光線1bの光軸と支持部材7の上面とが、許容できる誤差範囲内において直交するように、ステム8により基台2の上方の所定の高さに配設されている。
【0088】
図3(A)は、そのような基材Bの下面周縁領域を支持している変位機構の4aおよび4bのそれぞれの駆動軸6aおよび6bが、初期位置(変位機構4aおよび4bが動作する前の位置)にある状態を表わす断面図である。なお、初期位置において、駆動軸6aおよび6bの枠体Fに当接している端部の、基台2の上面からの高さ位置Hは同一である。
【0089】
したがって、枠体Fに張られた紗Sの、駆動軸6bに近い部分Sbの高さ位置は、駆動軸6aに近い部分Saの高さ位置より低くなっている。すなわち、紗Sの駆動軸6bに近い部分Sbは、駆動軸6aに近い部分Saより、支持部材7に近くなっている。したがって、露光光線1bの光軸1cに対して、感光性樹脂PPの上面PPuの法線方向PPnは角度θだけ傾いている。
【0090】
図3(B)は、変位機構4aおよび4bが動作して、枠体Fが変位することにより、紗Sの駆動軸6bに近い部分Sbが、支持部材7の上面に当接した状態を表わす断面図である。
【0091】
図3(A)の状態から駆動軸6aおよび6bが変位すると、紗Sの駆動軸6bに近い部分Sbが、支持部材7の上面に、FaとFbとの厚みの差の分だけ先に当接する。この時点で変位機構4bの駆動部5bの動作を停止させ、変位機構4bをホールド状態とする。したがって、枠体Fは、引き続き駆動軸6bによっても支持されている。
【0092】
一方、この時点では、紗Sの駆動軸6aに近い部分Saは、支持部材7の上面にまだ当接していない。変位機構4aおよび4bは独立して動作することができるように構成されているため、変位機構4bがホールド状態になっても、変位機構4aは枠体Fを変位させる動作を続けている。
【0093】
図3(C)は、変位機構4aが引き続き動作し、駆動軸6aがさらに変位することにより、紗Sの駆動軸6aに近い部分Saも支持部材7の上面に当接した状態を表わす断面図である。その結果、支持部材7の上面と紗Sの下面中央領域とが密着して当接する。
【0094】
図3(B)の状態から枠体Fの駆動軸6aによって支持されている箇所が変位すると、紗Sの駆動軸6aに近い部分Saも、支持部材7の上面にやがて当接する。この時点で変位機構4aの駆動部5aの動作を停止させ、変位機構4aをホールド状態とする。したがって、枠体Fは、引き続き駆動軸6aによっても支持されている。
【0095】
以上の段階を経ることにより、この実施形態に係る直描型露光装置100では、支持部材7の上面と紗Sの下面中央領域とが密着して当接するように、基材Bの高さ位置が位置決めされる。この状態では、支持部材7の上面と紗Sの上面に保持された感光性樹脂PPの上面PPu(露光面)とが平行となっている。したがって、上記の状態では、感光性樹脂PPの上面PPu(露光面)は、露光光線1bの光軸と、許容できる誤差範囲内において直交する高さ位置となっている。
【0096】
さらに、基材Bの高さ位置が位置決めされた後も、枠体Fは駆動軸6aおよび6bによって引き続き支持されている。この状態では、紗にはごくわずかしか枠体の重量がかからないため、紗はほとんど引っ張られない。
【0097】
なお、上記の説明では、紗Sの弾性変形を考慮して、変位機構4aおよび4bは独立して動作し、基材Bの高さ位置が位置決めされた後も、枠体Fは駆動軸6aおよび6bによって支持され続けるとした。一方、例えば枠体Fの重量が軽く、枠体Fの重量による紗Sの弾性変形が無視できるような場合は、駆動軸6aおよび6bが枠体Fの下面から離れるまで変位し、基材Bが支持部材7のみによって支持されるようにしてもよい。この場合、変位機構4aおよび4bは、それぞれが連動して動作することができるように構成することができる。
【0098】
なお、このことは、基材Bが例えば剛性の高い板状部材などからなり、仮に枠体Fの重量がかかっても、本質的に弾性変形し難いものである場合についても同様である。
【0099】
上記の具体例から分かるように、この実施形態に係る直描型露光装置100では、基材Bの厚みが不均一であっても、上記の基材Bの下面中央領域と支持部材7の上面とを当接させた状態において、露光光線1bの光軸と基材Bの上面とは、確実に直交することになる。そのため、露光光線1bの光軸が感光性樹脂PPの上面PPu(露光面)に対して直交する状態で、パターン露光を行なうことができる。
【0100】
また、基材Bの重量を駆動軸6a〜6dが十分支えることにより、紗Sに無視できない弾性変形が発生することがないため、その上面に保持されている感光性樹脂PPも、弾性変形のない状態となる。その結果、露光パターンと現像後の開口パターンとを、高精度で一致させることができる。
【0101】
したがって、この実施形態に係る直描型露光装置100では、感光性樹脂PPの上面PPu側と下面PPl側とで、開口パターンの開口位置がずれることがない。また、開口パターンの歪みも生じることがないため、高精度な開口パターンを得ることができる。すなわち、感光性樹脂PPをスクリーン印刷版などの印刷版に用いた場合、位置合わせを行なった所望の箇所に、高精度でインクを印刷することができる。また、印刷パターンの寸法ばらつきを小さくすることができる。
【0102】
<この発明に係る直描型露光装置の実施形態の第1の変形例>
上記の実施形態の第1の変形例に係る直描型露光装置100Aについて、
図4を用いて説明する。
【0103】
図4は、第1の変形例に係る直描型露光装置100Aの断面図である。第1の変形例は、支持部材7上面と基材Bの下面中央領域とが当接した後に、基材Bが急に支持部材7のみによって支持されることを防止する構成を、駆動軸6a〜6dに付加したものである。したがって、その他の部分については、前述のこの発明に係る直描型露光装置100と同様であるため、説明を省略する。
【0104】
第1の変形例に係る直描型露光装置100Aは、駆動軸6a〜6d(駆動軸6cおよび6dは不図示)がそれぞれ剛体部と弾性変形部とを備える。例えば、変位機構6aは、剛体部6asと、剛体部6asの端部に接続された弾性変形部6aeとを備える。駆動軸6b〜6dも、駆動軸6aと同様の構成であり、それぞれ剛体部6bsおよび弾性変形部6be、剛体部6csおよび弾性変形部6ce、剛体部6dsおよび弾性変形部6deを備える。
【0105】
弾性変形部6ae〜6deとしては、例えばゴムおよびばねなどを好ましく用いることができる。また、駆動軸6a〜6dにおける剛体部と弾性変形部との位置関係は、
図4に示したものに限らず、例えば駆動軸が2本の剛体部を弾性変形部で接続したようなものでもよい。
【0106】
前述のように、支持部材7の上面と基材Bの下面中央領域とが当接することにより、基材Bの重量の少なくとも一部を支持部材7が受けるようになる。
【0107】
その結果、第1の変形例では、支持部材7の上面と基材Bの下面中央領域とが当接し、駆動軸6a〜6dの軸方向にかかる荷重が低減する分、弾性変形部6ae〜6deが元の形状に戻るように逆変形する。
【0108】
そのため、支持部材7の上面と基材Bの下面中央領域とが当接した後に、変位機構4a〜4dがさらに少し基材Bを変位させたとしても、弾性変形部6ae〜6deが少し逆変形するだけで、変位機構4a〜4dは基材Bを支持し続ける。すなわち、基材Bが急に支持部材7のみによって支持されるようになることが避けられる。
【0109】
上記の構成においては、基材Bの高さ位置が位置決めされた後も、枠体Fは駆動軸6a〜6dによって確実に支持され続ける。前述のように、紗Sが枠体Fの重量によって引っ張られると弾性変形する可能性がある場合であっても、上記の構成では、紗Sにはごくわずかしか枠体Fの重量がかからないため、紗Sはほとんど引っ張られない。
【0110】
すなわち、紗Sに無視できない弾性変形が発生することがない。その結果、露光パターンと現像後の開口パターンとを、高精度で一致させることができる。
【0111】
したがって、その状態で感光性樹脂PPを露光することにより、さらに高精度な開口パターンを得ることができる。
【0112】
<この発明に係る直描型露光装置の実施形態の第2の変形例>
上記の実施形態の第2の変形例に係る直描型露光装置100Bについて、
図5を用いて説明する。
【0113】
図5は、第2の変形例に係る直描型露光装置100Bの断面図である。第2の変形例は、前述のこの発明に係る直描型露光装置100の実施形態で説明した、支持部材7の上面と紗Sの下面中央領域とが密着して当接している状態を、確実に検知するための構成を付加したものである。したがって、その他の部分については、前述のこの発明に係る直描型露光装置100と同様であるため、説明を省略する。
【0114】
第2の変形例に係る直描型露光装置100Bは、駆動軸6a〜6d(駆動軸6cおよび6dは不図示)のそれぞれに接続され、駆動軸6a〜6dのそれぞれにおける軸方向にかかる荷重を検知する荷重検知部と、荷重検知部および駆動部が接続される制御装置11とをさらに備える。
【0115】
例えば、荷重検知部9aは、駆動軸6aの枠体Fに当接する端部に取り付けられており、かつ制御装置11と接続されている。
図5では、その接続状態を点線で表わしている。また、制御装置11は、荷重検知部9aからの情報に基づいて、駆動部5aに動作指令を与えることができるように、駆動部5aと接続されている。
【0116】
荷重検知部9b〜9d(荷重検知部9cおよび9dは不図示)も、荷重検知部9aと同様に、それぞれ対応する駆動軸の端部に取り付けられており、かつそれぞれ制御装置11と接続されている。また、制御装置11は、上記と同様に、駆動部5b〜5dのそれぞれと接続されている。
【0117】
制御装置11は、荷重検知部9a〜9dが検知する荷重が、所定の値まで減少したことを伝える情報に基づいて、それぞれの荷重検知部と対応する駆動部に、動作を停止する動作指令を与えるように制御する。
【0118】
荷重検知部9a〜9dとしては、例えば圧力センサおよびロードセルなどを好ましく用いることができる。また、駆動軸6a〜6dにおける荷重検知部の取り付け位置は、
図5に示したものに限らず、例えば2本の剛体部を荷重検知部で接続したようなものでもよい。
【0119】
第2の変形例に係る直描型露光装置100Bでは、基材Bが支持部材7に当接することにより、基材Bの重量の少なくとも一部を支持部材7が受けるようになった結果、駆動軸6a〜6dのそれぞれにかかる荷重が、所定の値まで減少したことを、駆動軸6a〜6dにそれぞれ取り付けられている荷重検知部で検知する。
【0120】
その情報は制御装置11に送信され、制御装置11は、情報を送信した荷重検知部に対応する駆動部に、動作を停止する動作指令を与える。この場合、変位機構4a〜4dは、それぞれが独立して動作することができるように構成されているようにすることが好ましい。
【0121】
なお、上記の所定の値は、基材が支持部材に当接する前に荷重検知部が検知していた荷重値の80〜99%程度の荷重値であることが好ましい。
【0122】
上記の構成では、駆動軸6a〜6dにかかる荷重の減少が始まったことを、駆動軸6a〜6dにそれぞれ取り付けられている荷重検知部が検知した時点で、制御装置12が、対応する駆動部に動作を停止する動作指令を与えるように制御する。
【0123】
言い換えると、上記の構成により、前述の基材Bの高さ位置の位置決めの説明(
図3参照)における、紗Sと支持部材7との当接の確認と、それに基づく変位機構4a〜4dのそれぞれの駆動部の動作停止とが、自動的に行なわれる。
【0124】
それにより、駆動部5a〜5dが、それぞれに接続されている駆動軸を変位させ過ぎずに済む。すなわち、基材Bが支持部材7のみによって支持されることを避けることができる。
【0125】
上記の構成においては、基材Bの高さ位置が位置決めされた後も、枠体Fは駆動軸6a〜6dによって確実に支持され続ける。前述のように、紗Sが枠体Fの重量によって引っ張られると弾性変形する可能性がある場合であっても、上記の構成では、紗Sにはごくわずかしか枠体Fの重量がかからないため、紗Sはほとんど引っ張られない。
【0126】
すなわち、紗Sに無視できない弾性変形が発生することがない。その結果、露光パターンと現像後の開口パターンとを、高精度で一致させることができる。
【0127】
したがって、その状態で感光性樹脂PPを露光することにより、さらに高精度な開口パターンを得ることができる。
【0128】
なお、この発明に係る直描型露光装置の実施形態の第2の変形例100Bは、駆動軸6a〜6dがそれぞれ剛体部と弾性変形部とを備えるようにしてもよい(前述の第1の変形例に係る直描型露光装置100A参照)。
【0129】
この場合、駆動軸6a〜6dの変位により、基材Bが急に支持部材7のみによって支持されるようになることが避けられる。その結果、露光パターンと現像後の開口パターンとを、高精度で一致させることができる。
【0130】
<この発明に係る直描型露光装置の実施形態の第3の変形例>
上記の実施形態の第3の変形例に係る直描型露光装置100Cについて、
図6を用いて説明する。
【0131】
図6は、第3の変形例に係る直描型露光装置100Cの断面図である。第3の変形例も、第2の変形例と同様に、前述のこの発明に係る直描型露光装置100の実施形態で説明した、支持部材7の上面と紗Sの下面中央領域とが密着して当接している状態を、確実に検知するための構成を付加したものである。したがって、その他の部分については、前述のこの発明に係る直描型露光装置100と同様であるため、説明を省略する。
【0132】
第3の変形例に係る直描型露光装置100Cは、基材Bの下面の駆動軸6a〜6d(駆動軸6cおよび6dは不図示)によりそれぞれ支持されている箇所に対応する、基材Bの上面までの距離をそれぞれ検出する距離検知部と、制御装置11とをさらに備える。
【0133】
例えば、距離検知部10aは、基材Bの下面の駆動軸6aにより支持されている箇所に対応する、基材Bの上面までの距離を検知することができるような位置に設けられており、かつ制御装置11と接続されている。
図6では、その接続状態を点線で表わしている。なお、
図6では、距離検知部10aは、その検知軸(一点鎖線)と、駆動軸6aの中心軸とが同一となるように設けられている。また、制御装置11は、距離検知部10aからの情報に基づいて、駆動部5aに動作指令を与えることができるように、駆動部5aと接続されている。
【0134】
距離検知部10b〜10d(距離検知部10cおよび10dは不図示)も、距離検知部10aと同様に、それぞれ駆動軸6b〜6dに対応する位置に設けられており、かつそれぞれ制御装置11と接続されている。また、距離検知部10b〜10dは、その検知軸(一点鎖線)と、それぞれ対応する駆動軸6b〜6dの中心軸とが同一となるように設けられている。さらに、制御装置11は、上記と同様に、駆動部5b〜5dのそれぞれと接続されている。
【0135】
制御装置11は、距離検知部10a〜10dからの、それぞれの距離検知部と基材Bの上面との間の距離が所定の値まで増加したことを伝える情報に基づいて、それぞれの距離検知部と対応する駆動部に、動作を停止する動作指令を与えるように制御する。
【0136】
距離検知部10a〜10dとしては、例えばレーザー変位計などを好ましく用いることができる。
【0137】
第3の変形例に係る直描型露光装置100Cでは、変位機構4a〜4dが基材Bを変位させた結果、距離検知部10a〜10dと基材Bの上面との間の距離が所定の値まで増加したことを、距離検知部10a〜10dで検知する。
【0138】
その情報は制御装置11に送信され、制御装置11は、情報を送信した距離検知部に対応する駆動部に動作を停止する動作指令を与える。この場合、変位機構4a〜4dは、それぞれが独立して動作することができるように構成されているようにすることが好ましい。
【0139】
また、上記の所定の値は、支持部材7の上面と基材Bの下面中央領域とが当接した時点での、距離検知部10a〜10dのそれぞれと基材Bの上面との間の距離であることが好ましい。
【0140】
上記の構成においては、距離検知部10a〜10dが検知する距離がその値となった時点で、制御装置11が、対応する駆動部に動作を停止する動作指令を与えるように制御する。
【0141】
言い換えると、上記の構成により、前述の第2の変形例に係る直描型露光装置100Bと同様に、紗Sと支持部材7との当接の確認と、それに基づく変位機構4a〜4dのそれぞれの駆動部の動作停止とが、自動的に行なわれる。
【0142】
したがって、第2の変形例に係る直描型露光装置100Bと同様の効果が得られ、基材Bが引き続き駆動軸6a〜6dによって支持されるようにした状態で露光することにより、さらに高精度な開口パターンを得ることができる。
【0143】
なお、この発明に係る直描型露光装置の実施形態の第3の変形例100Cは、駆動軸6a〜6dがそれぞれ剛体部と弾性変形部とを備えるようにしてもよい(前述の第1の変形例に係る直描型露光装置100A参照)。
【0144】
この場合、駆動軸6a〜6dの変位により、基材Bが急に支持部材7のみによって支持されるようになることが避けられる。その結果、露光パターンと現像後の開口パターンとを、高精度で一致させることができる。
【0145】
<この発明に係る直描型露光装置の実施形態の第4の変形例>
上記の実施形態の第4の変形例に係る直描型露光装置100Dについて、
図7および
図8を用いて説明する。
【0146】
図7は、第4の変形例に係る直描型露光装置100Dにおいて、図示を簡略化した基台2を透視した透視斜視図である。
図8は、第3変形例に係る直描型露光装置100Dにおける要部の上面図である。第4の変形例は、基台2について、何らかの理由で発生した傾斜を調整する機構を追加したものである。したがって、その他の部分については、前述のこの発明に係る直描型露光装置100と同様であるため、説明を省略する。例えば、
図7では、
図1で図示した凹部3a〜3d、対応する凹部内に設置された駆動部5a〜5d、およびステム8などの図示も省略している。
【0147】
第4の変形例では、直描型露光装置100Dは、傾斜調整機構14a〜14cと、傾斜検知機構17a〜17cと、制御装置11とをさらに備える。
【0148】
傾斜調整機構14a〜14cは、台座13の上面に設置されており、駆動部と、駆動部により変位する駆動軸とを備える。例えば、傾斜調整機構14aは、駆動部15aと、駆動部15aにより変位する駆動軸16aとを備える。傾斜調整機構14bおよび14cも、傾斜調整機構14aと同様の構成であり、それぞれ駆動部15bおよび駆動軸16b、駆動部15cおよび駆動軸16cを備える。
【0149】
なお、傾斜調整機構14a〜14cとしては、上記の機構に限らず、任意の角度に傾斜を調整できるものであればよい。例えば、2軸傾斜ステージや傾斜ユニットを用いることができる。
【0150】
駆動軸16a〜16cは、それぞれ基台2の下面に設けられた凹部12a〜12cに挿入され、凹部12a〜12c内の天面に当接することにより、基台2を支持している。なお、
図8においては、駆動部15a〜15cの図示を省略している。駆動部15a〜15cとしては、例えば空圧または油圧によるシリンダーストローク調整機構、サーボモータに接続されたボールねじによる直動機構、およびリードスクリュー付きのステッピングモータなどを好ましく用いることができる。
【0151】
傾斜検知機構17a〜17cとしては、例えばレーザー変位計などを好ましく用いることができる。傾斜検知機構17a〜17cのそれぞれは、基材2上の所定の検知スポット18a〜18cにレーザー光を照射して、基台2と傾斜検知機構17a〜17cとの間の距離を測定する。
【0152】
制御装置11は、傾斜検知機構17a〜17cにより得られた3点の距離を相互に比較することによって基台2の傾きを検知する。そして、基台2の傾斜角を調整する動作指令を、傾斜調整機構14a〜14cに与えるように制御する。
【0153】
図7では、基台2を透視して傾斜調整機構14a〜14cを示し、傾斜調整機構14a〜14cと傾斜検知機構17a〜17cとの位置関係を示している。例えば、傾斜検知機構17aと検知スポット18aと傾斜調整機構14aとは、同一の軸線上にあるように構成されている。
【0154】
その他の位置における傾斜検知機構と検知スポットと傾斜調整機構の配置関係も同様である。すなわち、傾斜検知機構17bと検知スポット18bと傾斜調整機構14bとが同一軸線上にあり、傾斜検知機構17cと検知スポット18cと傾斜調整機構14cとが同一軸線上にある。なお、傾斜検知機構および検知スポットと、対応する傾斜調整機構とは、同一軸線上に存在していなくてもよい。
【0155】
また、
図7および
図8では、傾斜検知機構を3箇所に配置して基台2の傾きを検知し、対応する3つの傾斜調整機構により、基台2の傾斜角を調整しているが、傾斜検知機構および傾斜調整機構は、それぞれ3つ以上であればよい。さらに、傾斜検知機構および傾斜調整機構の数が異なっていてもよい。
【0156】
制御装置11は、傾斜検知機構17a〜17cによる情報に基づいて、傾斜調整機構14a〜14cを動作させることにより、基台2の傾斜角を調整している。
【0157】
支持部材7は、変位機構4a〜4dにより基台2の上方に支持されているので、その傾斜角は、基台2の傾斜角を調整することで調整することができる。
【0158】
したがって、第4の変形例では、基台2の傾斜角を調整することにより、支持部材7の上面と基材Bの下面中央領域とを当接させた状態において、露光光線1bの光軸と基材Bの上面との角度が直交となるように調整することができる。すなわち、その状態で露光することにより、さらに高精度な開口パターンを得ることができる。
【0159】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。本発明の技術的範囲は請求の範囲によって画定され、また請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。