特許第6399112号(P6399112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6399112
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】高周波スイッチモジュール
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/525 20150101AFI20180920BHJP
   H04B 1/405 20150101ALI20180920BHJP
   H04B 1/00 20060101ALI20180920BHJP
   H03H 7/01 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   H04B1/525
   H04B1/405
   H04B1/00 260
   H04B1/00 264
   H03H7/01 A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-573340(P2016-573340)
(86)(22)【出願日】2016年2月1日
(86)【国際出願番号】JP2016052866
(87)【国際公開番号】WO2016125722
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2017年6月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-20844(P2015-20844)
(32)【優先日】2015年2月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上嶋 孝紀
【審査官】 原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−260806(JP,A)
【文献】 特開2004−328136(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/119046(WO,A1)
【文献】 特開2014−36409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38
H04B 1/00
H03H 7/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信信号、第2通信信号、および、第3通信信号は、異なる周波数を利用する通信信号であり、
前記第1通信信号を伝送する第1被選択端子、前記第2通信信号を伝送する第2被選択端子、および、前記第3通信信号を伝送する第3被選択端子を備えたスイッチ素子と、
前記第1被選択端子と前記第2被選択端子との間に接続された第1フィルタ回路と
前記第2被選択端子と前記第3被選択端子との間に接続された第2フィルタ回路と、
を備え
前記第1被選択端子と前記第2被選択端子とは、前記スイッチ素子によって同時に選択され、
前記第2被選択端子と前記第3被選択端子は、前記スイッチ素子によって同時に選択され、
前記第1フィルタ回路は、前記第2通信信号の高調波を減衰し、
前記第2フィルタ回路は、前記第2通信信号の基本周波数を減衰する、

周波スイッチモジュール。
【請求項2】
前記第2通信信号の高調波は、前記第1通信信号の周波数の近傍に位置するか、又は、前記第1通信信号の周波数と重なっており、
前記第2通信信号の基本周波数は、前記第3通信信号の基本周波数の近傍に位置するか、又は、前記第3通信信号の周波数と重なっている、
請求項1に記載の高周波スイッチモジュール。
【請求項3】
前記スイッチ素子は、第1共通端子、第2共通端子、前記第1共通端子に切り替えて接続される複数の被選択端子、および、前記第2共通端子に切り替えて接続される複数の被選択端子を備え、
前記第1被選択端子は、前記第1共通端子に接続される複数の被選択端子のうちの1つの被選択端子であり、
前記第2被選択端子は、前記第2共通端子に接続される複数の被選択端子のうちの1つの被選択端子である、
請求項1または請求項2に記載の高周波スイッチモジュール。
【請求項4】
前記第1共通端子、第2共通端子、前記第1共通端子に接続される複数の被選択端子、および、前記第2共通端子に接続される複数の被選択端子は、1つのパッケージに形成されている、
請求項3に記載の高周波スイッチモジュール。
【請求項5】
前記第1フィルタ回路は、第1インダクタと第1キャパシタを並列接続した第1並列共振回路であり
前記第2フィルタ回路は、第2インダクタと第2キャパシタを並列接続した第2並列共振回路であり、
記第1並列共振回路の共振周波数と前記第2並列共振回路の共振周波数は異なっている、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の高周波スイッチモジュール。
【請求項6】
前記第1被選択端子を伝送する第1通信信号は、第1通信バンドの周波数信号であり、
前記第2被選択端子を伝送する第2通信信号は、前記第1通信バンドと異なる第2通信バンドの周波数信号であり、
前記第3被選択端子を伝送する第3通信信号は、前記第2通信バンドの周波数信号である、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の高周波スイッチモジュール。
【請求項7】
前記第2通信信号は、送信信号であり、
前記第3通信信号は、受信信号である、
請求項6に記載の高周波スイッチモジュール。
【請求項8】
前記第1通信バンドは、バンド17であり、
前記第2通信バンドは、バンド4である、
請求項7に記載の高周波スイッチモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置のフロントエンド部等に利用される高周波スイッチモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、通信バンドの多様化に伴って、携帯電話器等の無線通信装置では、多くの通信バンドを通信可能なフロントエンド回路を備えている。このようなフロントエンド回路では、複数の通信バンドの送信信号および受信信号を、これらの通信バンドに共通のアンテナを用いて送受信することで、小型化を実現している。そして、複数の通信バンドでアンテナを共用するため、特許文献1に示すように、スイッチモジュールが多く採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のスイッチモジュールは、複数の通信バンドの送受信回路、およびSPnT(nは2以上の整数)のスイッチ素子を備える。スイッチ素子の共通端子はアンテナに接続され、複数の被選択端子は各通信バンドの送受信回路に接続される。この構成によって、複数の通信バンドの送受信回路のいずれかを、アンテナに切り替えて接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−109084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなスイッチ素子を用いた高周波スイッチモジュールでは、ある被選択端子に入力される高周波信号が他の被選択端子およびこれに接続する信号経路に漏洩することがある。このような漏洩が生じると、漏洩した側の被選択端子を伝送する通信バンドに対する伝送特性が劣化してしまう。
【0006】
この発明の目的は、スイッチ素子を介して伝送する複数の通信バンドに対する伝送特性の劣化を抑制可能な高周波スイッチモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の高周波スイッチモジュールは、スイッチ素子およびフィルタ回路を備える。スイッチ素子は、異なる周波数を利用する通信信号をそれぞれに伝送する第1被選択端子と第2被選択端子を備える。フィルタ回路は、第1被選択端子と第2被選択端子との間に接続されており、複数の減衰極を有する。
【0008】
この構成では、第2被選択端子を伝送する通信信号の基本周波数とその高調波成分の周波数をフィルタ回路の減衰極の周波数にすることによって、第1被選択端子と第2被選択端子との間で、第2被選択端子を伝送する通信信号の基本周波数とその高調波成分の周波数に対するアイソレーションを高く確保することができる。
【0009】
また、この発明の高周波スイッチモジュールでは、次の構成であることが好ましい。スイッチ素子は、第1共通端子、第2共通端子、第1共通端子に切り替えて接続される第1共通端子用の被選択端子、および、第2共通端子に切り替えて接続される第2共通端子用の被選択端子を備える。第1被選択端子は、第1共通端子用の被選択端子の1つである。第2被選択端子は、第2共通端子用の被選択端子の1つである。
【0010】
この構成では、異なるアンテナで送受信する通信信号の伝送経路間でのアイソレーションを高く確保することができる。
【0011】
また、この発明の高周波スイッチモジュールでは、次の構成であってもよい。第1共通端子、第2共通端子、第1共通端子用の被選択端子、および、第2共通端子用の被選択端子は、1つのパッケージに形成されている。
【0012】
この構成では、スイッチ素子を小型にすることができ、高周波スイッチモジュールを小型にすることができる。そして、このようにスイッチ素子を小型化しても、複数の通信信号の伝送経路間のアイソレーションを高く確保することができる。
【0013】
また、この発明の高周波スイッチモジュールでは、第1被選択端子と第2被選択端子は、スイッチ素子によって同時に選択されていてもよい。
【0014】
この構成では、高周波スイッチモジュールを用いてキャリアアグリゲーションを実行する態様を実現している。このようなキャリアアグリゲーションを行う場合に、上述の構成がより有効に作用する。
【0015】
また、この発明の高周波スイッチモジュールでは、次の構成であってもよい。フィルタ回路は、第1インダクタと第1キャパシタを並列接続した第1並列共振回路と、第2インダクタと第2キャパシタを並列接続した第2並列共振回路と、を備える。第1並列共振回路と第2並列共振回路は、第1被選択端子と第2被選択端子との間に直列接続されている。第1並列共振回路の共振周波数と第2並列共振回路の共振周波数は異なっている。
【0016】
この構成では、フィルタ回路の具体的な構成例を示しており、このようなLC並列共振回路を2つ直接接続することによって、簡素な構成でアイソレーションを高く確保することができる。
【0017】
また、この発明の高周波スイッチモジュールは、次の構成であってもよい。高周波スイッチモジュールは、スイッチ素子、第1、第2フィルタ回路を備える。スイッチ素子は、第1共通端子、第2共通端子、第1共通端子に切り替えて接続される第1共通端子用の被選択端子、および、第2共通端子に切り替えて接続される第2共通端子用の被選択端子を備える。第1フィルタ回路は、第1共通端子用の被選択端子の内の第1被選択端子と、第2共通端子用の被選択端子の内の第2被選択端子との間に接続されている。第2フィルタ回路は、第1共通端子用の被選択端子の内の第3被選択端子と、第2共通端子用の被選択端子の内の第2被選択端子との間に接続されている。第1フィルタ回路の減衰極の周波数と第2フィルタ回路の減衰極の周波数は異なる。
【0018】
この構成では、第1被選択端子と第2被選択端子との間のアイソレーションと、第3被選択端子と第2被選択端子との間のアイソレーションを高く確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、スイッチ素子を介して伝送する複数の通信バンドを伝送する伝送経路間のアイソレーションを高く確保することができる。これにより、各通信バンドに対する伝送特性の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュールの回路図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュールのフィルタ回路の減衰特性を示すグラフである。
図3】本発明の第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュールにおける第1RF端子と第2RF端子との間の伝送特性を示すグラフである。
図4】本発明の第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュールにおける第1RF端子を用いる伝送経路の挿入損失の周波数特性を示すグラフである。
図5】本発明の第2の実施形態に係る高周波スイッチモジュールの回路図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る高周波スイッチモジュールの回路図である。
図7】本発明の第4の実施形態に係る高周波スイッチモジュールの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュールについて、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュールの回路図である。
【0022】
本実施形態に係る高周波スイッチモジュール10は、スイッチ素子20、および、LC並列共振回路31,32を備える。LC並列共振回路31は、インダクタ311とキャパシタ312を並列接続した回路である。LC並列共振回路32は、インダクタ321とキャパシタ322を並列接続した回路である。
【0023】
高周波スイッチモジュール10は、第1アンテナ接続端子Pant1、第2アンテナ接続端子Pant2、および複数のRF端子を備える。複数のRF端子は、第1RF端子Pfe1、および第2RF端子Pfe2を備える。第1RF端子Pfe1が本発明の第1被選択端子に相当する。第2RF端子Pfe2が本発明の第2被選択端子に相当する。
【0024】
スイッチ素子20は、第1共通端子P10、第2共通端子P20、被選択端子P11,P12,P13,P14,P21,P22,P23,P24を備える。スイッチ素子20は、半導体スイッチからなるDPnTスイッチである。nは4以上の整数であればよい。第1共通端子P10は、被選択端子P11,P12,P13,P14のいずれかに選択的に接続される。第2共通端子P20は、被選択端子P21,P22,P23,P24のいずれかに選択的に接続される。
【0025】
第1共通端子P10は、第1アンテナ接続端子Pant1に接続されている。第1アンテナ接続端子Pant1は、アンテナANT1に接続されている。第2共通端子P20は、第2アンテナ接続端子Pant2に接続されている。第2アンテナ接続端子Pant2は、アンテナANT2に接続されている。
【0026】
被選択端子P14は、接続導体901を介して、第1RF端子Pfe1に接続されている。第1RF端子Pfe1は、各種の回路素子、例えば、SAWフィルタ等の弾性波フィルタやLCフィルタに接続されている。
【0027】
被選択端子P21は、接続導体902を介して、第2RF端子Pfe2に接続されている。第2RF端子Pfe2は、各種の回路素子、例えば、SAWフィルタ等の弾性波フィルタやLCフィルタ、PA等に接続されている。
【0028】
第1RF端子Pfe1と第2RF端子Pfe2は、異なる通信バンドの通信信号を伝送する端子である。
【0029】
LC並列共振回路31とLC並列共振回路32は、接続導体901と接続導体902との間に直列接続されている。このLC並列共振回路31とLC並列共振回路32との直列回路が本発明のフィルタ回路の一つに相当する。
【0030】
LC並列共振回路31の共振周波数とLC並列共振回路32の共振周波数は、異なる。すなわち、LC並列共振回路31の減衰極の周波数とLC並列共振回路32の減衰極の周波数は異なる。
【0031】
例えば、第2RF端子Pfe2がBAND17の通信信号の入出力端子であり、第1RF端子Pfe1がBAND4の受信信号の出力端子である場合、LC並列共振回路31の共振周波数は、BAND17の送信信号の3倍高調波成分の周波数またはこの周波数付近に設定されている。また、LC並列共振回路32の共振周波数は、BAND17の送信信号の基本波周波数またはこの周波数付近に設定されている。
【0032】
このような構成とすることによって、フィルタ回路は、図2に示すような減衰特性を有する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュールのフィルタ回路の減衰特性を示すグラフである。図2において、実線は本願の構成の特性を示す。破線は、接続導体901,902間になにも接続しない場合を示す。一点鎖線は、接続導体901,902間に1つのLC並列共振回路を接続した場合の特性を示す。
【0033】
図2に示すように、本実施形態の構成を用いることによって、第1RF端子Pfe1と第2RF端子Pfe2との間では、BAND17の送信信号の基本波周波数の付近と、BAND17の送信信号の3倍高調波成分の周波数の付近で大きな減衰量を得ることができる。
【0034】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュールにおける第1RF端子と第2RF端子との間の伝送特性を示すグラフである。図3の縦軸は減衰量を示す。図3において、実線は本願の構成の特性を示す。破線は、接続導体901,902間になにも接続しない場合を示す。一点鎖線は、接続導体901,902間に1つのLC並列共振回路を接続した場合の特性を示す。
【0035】
図3に示すように、本実施形態の構成を用いることによって、第1RF端子Pfe1と第2RF端子Pfe2との間では、BAND17の送信信号の基本波周波数の付近と、BAND17の送信信号の3倍高調波成分の周波数の付近に対するアイソレーションを高く確保することができる。
【0036】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュールにおける第1RF端子を用いる伝送経路の挿入損失の周波数特性を示すグラフである。図4において、実線は本願の構成の特性を示す。破線は、接続導体901,902間になにも接続しない場合を示す。一点鎖線は、接続導体901,902間に1つのLC並列共振回路を接続した場合の特性を示す。
【0037】
に示すように、本実施形態の構成を用いることによって、第2RF端子Pfe2を用いて伝送すべきBAND17の送信信号の周波数帯域での挿入損失を、比較構成と比較して、小さくすることができる。これにより、BAND17の送信信号を低損失に伝送することができる。
【0038】
以上のように、本実施形態の構成を用いることによって、高調波成分の周波数が近接または重なっている他の伝送経路への高調波成分の漏洩を抑制し、且つ、自経路で伝送すべき基本波の伝送損失を抑制することができる。これにより、各通信バンドの通信信号の伝送特性の劣化を抑制し、各通信バンドの通信信号を低損失で伝送することができる。
【0039】
特に、キャリアアグリゲーションで、BAND17の送信信号の送信と、BAND4の受信信号の受信を同時に行う場合、本実施形態の構成はより有効に作用する。具体的には、この構成を用いることによって、BAND17の送信信号の伝送経路とBAND4の受信信号の伝送経路間でのアイソレーションを確保でき、BNAD4の受信感度の劣化を抑制できる。同時に、BAND17の送信信号の伝送損失を低減することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、BNAD17の送信とBNAD4の受信を行う場合を示したが、一方の通信信号の高調波成分が他方の通信信号の基本波周波数に近接または重なる場合であれば、本実施形態の構成を適用することができる。この際、LC並列共振回路31,32の共振周波数を、伝送する通信バンドに応じて適宜設定すればよい。
【0041】
また、本実施形態の高周波スイッチモジュール10では、2つのアンテナで送受信する伝送経路が1つのスイッチによって切り替えられるので、スイッチの機能を実現する部分を小さくでき、高周波スイッチモジュール10を、後述の第2の実施形態に係る高周波スイッチモジュール10Aよりも小型化することができる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態に係る高周波スイッチモジュールについて、図を参照して説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る高周波スイッチモジュールの回路図である。
【0043】
本実施形態に係る高周波スイッチモジュール10Aは、スイッチ素子20に替えてスイッチ素子21,22を備えた点で、第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュール10と異なる。
【0044】
スイッチ素子21は、半導体スイッチからなるSPnTスイッチである。nは4以上の整数であればよい。スイッチ素子21は、第1共通端子P10、および、被選択端子P11,P12,P13,P14を備える。第1共通端子P10は、被選択端子P11,P12,P13,P14のいずれかに選択的に接続される。
【0045】
スイッチ素子22は、半導体スイッチからなるSPnTスイッチである。nは4以上の整数であればよい。スイッチ素子22は、第2共通端子P20、および、被選択端子P21,P22,P23,P24を備える。第2共通端子P20は、被選択端子P21,P22,P23,P24のいずれかに選択的に接続される。
【0046】
このような構成であっても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成では、アンテナANT1で送受信する伝送経路と、アンテナANT2で送受信する伝送経路が、スイッチ素子21,22で物理的に分離している。したがって、被選択端子P14と被選択端子P21との間の電磁界結合を低減できる。これにより、アイソレーションを高く保つべき伝送経路間のアイソレーションをさらに高く保つことができる。
【0047】
次に、本発明の第3の実施形態に係る高周波スイッチモジュールについて、図を参照して説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係る高周波スイッチモジュールの回路図である。
【0048】
本実施形態に係る高周波スイッチモジュール10Bは、スイッチ素子21,22、および、LC並列共振回路31,32を備える。LC並列共振回路31は、インダクタ311とキャパシタ312を並列接続した回路である。LC並列共振回路32は、インダクタ321とキャパシタ322を並列接続した回路である。
【0049】
高周波スイッチモジュール10Bは、第1アンテナ接続端子Pant1、第2アンテナ接続端子Pant2、および複数のRF端子を備える。複数のRF端子は、第1RF端子Pfe1、第2RF端子Pfe2、および第3RF端子Pfe3を備える。第1RF端子Pfe1が本発明の第1被選択端子に相当する。第2RF端子Pfe2が本発明の第2被選択端子に相当する。第3RF端子Pfe3が本発明の第3被選択端子に相当する。
【0050】
スイッチ素子21は、半導体スイッチからなるSPnTスイッチである。nは4以上の整数であればよい。スイッチ素子21は、第1共通端子P10、および、被選択端子P11,P12,P13,P14を備える。第1共通端子P10は、被選択端子P11,P12,P13,P14のいずれかに選択的に接続される。
【0051】
スイッチ素子22は、半導体スイッチからなるSPnTスイッチである。nは4以上の整数であればよい。スイッチ素子22は、第2共通端子P20、および、被選択端子P21,P22,P23,P24を備える。第2共通端子P20は、被選択端子P21,P22,P23,P24のいずれかに選択的に接続される。
【0052】
第1共通端子P10は、第1アンテナ接続端子Pant1に接続されている。第1アンテナ接続端子Pant1は、アンテナANT1に接続されている。第2共通端子P20は、第2アンテナ接続端子Pant2に接続されている。第2アンテナ接続端子Pant2は、アンテナANT2に接続されている。
【0053】
被選択端子P14は、接続導体901を介して、第1RF端子Pfe1に接続されている。第1RF端子Pfe1は、各種の回路素子、例えば、SAWフィルタ等の弾性波フィルタやLCフィルタに接続されている。
【0054】
被選択端子P21は、接続導体902を介して、第2RF端子Pfe2に接続されている。第2RF端子Pfe2は、各種の回路素子、例えば、SAWフィルタ等の弾性波フィルタやLCフィルタ、PA等にに接続されている。
【0055】
被選択端子P13は、接続導体903を介して、第3RF端子Pfe3に接続されている。第3RF端子Pfe3は、各種の回路素子、例えば、SAWフィルタ等の弾性波フィルタやLCフィルタに接続されている。
【0056】
第1RF端子Pfe1と第2RF端子Pfe2は、異なる通信バンドの通信信号を伝送する端子である。第2RF端子Pfe2と第3RF端子Pfe3は、同じ通信バンドの送信信号と受信信号をそれぞれに伝送する端子である。具体的には、第2RF端子Pfe2が送信信号を伝送する端子であり、第3RF端子Pfe3が受信信号を伝送する端子である。
【0057】
LC並列共振回路31は、接続導体901と接続導体902との間に接続されている。LC並列共振回路31が本発明の第1フィルタ回路に相当する。
【0058】
LC並列共振回路32は、接続導体902と接続導体903との間に接続されている。LC並列共振回路32が本発明の第2フィルタ回路に相当する。
【0059】
LC並列共振回路31の共振周波数とLC並列共振回路32の共振周波数は、異なる。すなわち、LC並列共振回路31の減衰極の周波数とLC並列共振回路32の減衰極の周波数は異なる。
【0060】
例えば、第2RF端子Pfe2がBAND17の送信信号の入力端子であり、第1RF端子Pfe1がBAND4の受信信号の出力端子である場合、LC並列共振回路31の共振周波数は、BAND17の送信信号の3倍高調波成分の周波数またはこの周波数付近に設定されている。
【0061】
また、第2RF端子Pfe2がBAND17の送信信号の入力端子であり、第3RF端子Pfe3がBAND17の受信信号の出力端子である場合、LC並列共振回路32の共振周波数は、BAND17の送信信号の基本波周波数の近傍で受信信号の基本波周波数が減衰域に入るように設定されている。
【0062】
このような構成とすることによって、第2RF端子Pfe2から第1RF端子Pfe1へのBAND17の送信信号の高調波成分の漏洩を抑制できる。また、第2RF端子Pfe2から第3RF端子Pfe3へのBAND17の送信信号の基本波成分の漏洩を抑制できる。これにより、第2RF端子Pfe2と第1RF端子Pfe1との間のBAND4の受信信号の基本周波数の近傍でのアイソレーションを高く確保できる。また、第2RF端子Pfe2と第3RF端子Pfe3との間のBAND4の受信信号の基本周波数の近傍でのアイソレーションを高く確保できる。
【0063】
特に、BAND17の送信信号とBAND4の受信信号を同時に伝送するキャリアアグリゲーションと、BAND17の送信信号とBAN17の受信信号を同時に伝送するキャリアアグリゲーションとを実行する場合に、各通信信号の伝送経路に対するアイソレーションを高く確保することができる。
【0064】
次に、本発明の第4の実施形態に係る高周波スイッチモジュールについて、図を参照して説明する。図7は、本発明の第4の実施形態に係る高周波スイッチモジュールの回路図である。
【0065】
本実施形態に係る高周波スイッチモジュール10Cは、スイッチ素子20がスイッチ素子20Cに置き換わり、第2アンテナ接続端子Pant2が省略された点で、第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュール10と異なる。また、フィルタ回路31Dの構成も、第1の実施形態に係る高周波スイッチモジュール10と異なる。
【0066】
スイッチ素子20Cは、半導体スイッチからなるSPnTスイッチである。nは4以上の整数であればよい。スイッチ素子20Cは、第1共通端子P10、および、被選択端子P11,P12,P13,P14,P15,P16,P17,P18を備える。第1共通端子P10は、被選択端子P11,P12,P13,P14,P15,P16,P17,P18のいずれかに選択的に接続される。
【0067】
被選択端子P14は、接続導体901を介して第1RF端子Pfe1に接続されている。被選択端子P15は、接続導体902を介して第2RF端子Pfe2に接続されている。
【0068】
フィルタ回路31Dは、接続導体901と接続導体902との間に接続されている。フィルタ回路31Dは、インダクタ311D,321D、およびキャパシタ322Dを備える。インダクタ321Dとキャパシタ322Dは、並列接続されている。インダクタ311Dは、インダクタ321Dとキャパシタ322Dの並列回路に直列接続されている。インダクタ321Dは接続導体901に接続されている。インダクタ311Dとキャパシタ322Dの並列回路は接続導体902に接続されている。
【0069】
フィルタ回路31Dは、第2RF端子Pfe2を利用する通信バンドの送信信号の3倍高調波成分の周波数またはこの周波数付近と基本波周波数またはこの周波数付近に減衰極を有するように設定されている。
【0070】
このような構成とすることによって、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
10,10A,10B,10C:高周波スイッチモジュール
20,20C,21,22:スイッチ素子
31,32:LC並列共振回路
31D:フィルタ回路
311,321,311D,321D,:インダクタ
312,322,322D:キャパシタ
901,902,903:接続導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7