特許第6399566号(P6399566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6399566
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】トロカール支持体
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20180920BHJP
【FI】
   A61B17/34
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-37761(P2017-37761)
(22)【出願日】2017年2月28日
(62)【分割の表示】特願2014-525269(P2014-525269)の分割
【原出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2017-136382(P2017-136382A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2017年3月30日
(31)【優先権主張番号】61/524,470
(32)【優先日】2011年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515351910
【氏名又は名称】サージカル スタビライゼイション テクノロジーズ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】パカック,ジョン スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ダイアモンド,ヘザー ドーン
(72)【発明者】
【氏名】コーベット,キャロライン アリソン
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−524491(JP,A)
【文献】 特表2011−514202(JP,A)
【文献】 米国特許第5002557(US,A)
【文献】 米国特許第5957888(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0111061(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0225650(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0239108(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0081990(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0196205(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロカールスリーブが患者の体壁を通って伸長する間に、該トロカールスリーブを有するトロカールを支持するためのトロカール支持装置であって、
トロカールへの取り付けのために配された、トロカールとは別の要素であり、
トロカールスリーブの外面で受けられるように形作られた当接部材であって、選択された位置に位置するように、トロカールスリーブの長手方向に調整可能なように配される当接部材と、
流体源によってあらかじめ決められた大きさまで膨張することができる、トロカールスリーブのまわりで伸長する少なくとも1つの膨張部材とを備え、
前記少なくとも1つの膨張部材は、当接部材から一定間隔を置いた位置でトロカールスリーブ上に取り付けられるように配され、収縮した前記少なくとも1つの膨張部材は、トロカールスリーブ上、体壁の切開部位を通って体壁内に挿入可能であり、および、体壁の内面と係合するように挿入されるときに膨張可能であり、当接部材は、当接部材と前記少なくとも1つの膨張部材との間で体壁を維持するために適所に移動することができ、
流体源は、一定の体積を提供し、一定の大きさのみまでの膨張を可能にする、および一定の体積を伝達するための手動によって操作可能なポンプ機構であり、および
一定の体積およびポンプ機構を含む流体源は、トロカール支持装置の当接部材上にある、
ことを特徴とするトロカール支持装置。
【請求項2】
チューブは、トロカール支持装置上の流体源を前記少なくとも1つの膨張部材に接続する、ことを特徴とする請求項1に記載のトロカール支持装置。
【請求項3】
チューブはトロカールのスリーブの周りに螺旋状に巻き付けられる、ことを特徴とする請求項2に記載のトロカール支持装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの膨張部材は、トロカールスリーブ上へ広げることができるスリーブ部分を含む、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトロカール支持装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの膨張部材と当接部材は、トロカールスリーブに係合し、および、それに沿って軸方向に移動することができる、共通する環部分を形成する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトロカール支持装置。
【請求項6】
前記共通する環部分は、展開時に、別々の膨張部材と当接部材とに分離する、ことを特徴とする請求項5に記載のトロカール支持装置。
【請求項7】
ポンプは、ラッチが開放されるまで、取り除くことが必要になるまで膨張を維持するために圧縮状態で保たれるラッチを含み、ラッチが開放された際に、ポンプを収納し、膨張部材から流体の一定の体積を抽出するためのばねを備えている、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のトロカール支持装置。
【請求項8】
トロカールスリーブが患者の体壁を通って伸長する間に、トロカールスリーブを有するトロカールを支持するためのトロカール支持装置であって、
前記トロカール支持装置は、トロカールへの取り付けのために配された別の要素であり、
前記トロカール支持装置は、トロカールスリーブの外面で受けられるように形作られた当接部材を備え、
当接部材は、選択された位置に位置するように、トロカールスリーブの長手方向に調整可能なように配され、
流体源によってあらかじめ決められた大きさまで膨張することができる、トロカールスリーブのまわりで伸長する少なくとも1つの膨張部材を備え、
少なくとも1つの膨張部材は、当接部材から一定間隔を置いた位置でトロカールスリーブ上に取り付けられるように配され、その結果、収縮した前記少なくとも1つの膨張部材は、トロカールスリーブ上、体壁の切開部位を通って体壁内に挿入可能であり、および、体壁の内面と係合するように挿入されるときに膨張可能であり、その結果、当接部材は、当接部材と前記少なくとも1つの膨張部材との間で体壁を維持するために適所に移動することができ、
流体源は、一定の体積を提供し、一定の大きさのみまでの膨張を可能にし、
流体源は、トロカール支持装置に位置付けられ、手動で圧縮可能なポンプを備え、
ポンプは、ラッチが開放されるまで、取り除くことが必要になるまで膨張を維持するために圧縮状態で保たれるラッチを含み、ラッチが開放された際に、ポンプを収納し、膨張部材から流体の一定の体積を抽出するためのばねを備えている、
ことを特徴とするトロカール支持装置。
【請求項9】
チューブは、トロカール支持装置上の流体源を前記少なくとも1つの膨張部材に接続する、ことを特徴とする請求項8に記載のトロカール支持装置。
【請求項10】
チューブはトロカールのスリーブの周りに螺旋状に巻き付けられる、ことを特徴とする請求項9に記載のトロカール支持装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの膨張部材と当接部材は、トロカールスリーブに係合し、および、それに沿って軸方向に移動することができる、共通する環部分を形成する、ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のトロカール支持装置。
【請求項12】
当接部材は、トロカールスリーブに係合するために手動で操作可能なクランプを含む環を備える、ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載のトロカール支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の体壁を通った位置にトロカールを位置付けてそこで保持するように配された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの先行技術文献は、トロカール(または他の壁貫通デバイス)が外部の当接部と内部の膨張したバルーンによって適所で保持される配置を提供している。
【0003】
Matthewsに1966年に発行された特許文献1は、ねじによって適所で保持される当接部を形成する外部の平座金と、内部の膨張式のバルーンを備えた、この種の洗練されていない配置(腹腔カニューレと呼ばれる(peritoneal cannula))を示している。バルーンは、断面図が環状であることもないこともある簡素な管である管腔を通って外部の供給源からの食塩水の供給によって膨張する。
【0004】
Nawazに1989年に発行された特許文献2は、ねじによって適所で保持された外部のドーム型座金と内部の膨張式のバルーンとを備えた、胃瘻チューブと呼ばれるこの種のより効率的に設計されたものを示している。バルーンは、外部の供給源からの空気の供給によって外部ポートを通るチューブの内部の経路を通って膨張する。
【0005】
その後の多くの特許は、Nawazの配置を改善したものとして引用されている。
【0006】
多くの公表された出願において、Applied Medical Resources(Albrechtら)は、トロカールに膨張式の環を付けることは既知であることを開示している。
【0007】
例えば、特許文献3と特許文献4は、バルーンを備えたカニューレとしてスリーブを主張しているが、吸入口からバルーンまでの流体連通を供給するために、環状の溝と長手方向の経路の使用に限定されている。
【0008】
特許文献5は、第1と第2の膨張式の部分またはバルーンと、吸入ポートを主張している。この文献は、既存のトロカールへの取り付けのための別の装置として、保持デバイスを形成することができると述べている。これは新しい観念ではない。
【0009】
Zisowの特許文献6は、トロカールからの取り外しに耐えるように回転するトロカールスリーブのヒンジで留められた端部を供給する。
【0010】
Telflex MedicalとApplied Medical Resourcesは両社とも、関連商品と膨大な数の以前の特許を有しているように思われるが、この問題に対する追加の特許または関連する出願は1つもない。
【0011】
本明細書で述べられる出版物、特許、および、特許出願はすべて、出版物、特許、または、特許出願それぞれが、参照することにより具体的にかつ個別に組み込まれるよう示されるのと同じ程度まで、参照することにより本明細書に組み込まれ、あるいは、そのようなデバイスのさらなる詳細について参照されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3,253,594号
【特許文献2】米国特許第4,861,334号
【特許文献3】米国2007/0239108号
【特許文献4】米国2007/0213675号
【特許文献5】米国2009/0221960号
【特許文献6】米国2010/0081994号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、医療処置の間にトロカールを適所で保持するのを助けるために、既存のトロカールと共に使用することができるトロカール支持体を提供することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの態様によれば、トロカールが患者の体壁を通って伸長する間に、トロカールを支持するためのトロカール支持装置が提供され、
該支持装置は、
流体源によってあらかじめ決められた大きさまで膨張することができる、トロカールのまわりで伸長する少なくとも1つの膨張部材を備え、
流体源はトロカール支持装置にあることで、トロカール支持装置によって支えらていれる。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、トロカールが患者の体壁を通って伸長する間に、トロカールを支持するためのトロカール支持装置が提供され、
該支持装置は、
流体源によってあらかじめ決められた大きさまで膨張することができる、トロカールのまわりで伸長する少なくとも1つの膨張部材を備え、
流体源は、トロカール支持装置の一部を形成するポンプ機構であり、手動によって操作可能である。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、トロカールが患者の体壁を通って伸長する間に、トロカールを支持するためのトロカール支持装置が提供され、
該支持装置は、
流体源によってあらかじめ決められた大きさまで膨張することができる、トロカールのまわりで伸長する少なくとも1つの膨張部材を備え、
流体源は、一定の体積を提供し、一定の大きさのみまでの膨張を可能にする。
【0017】
好ましくは、膨張式の部材は、トロカールを囲む環を備える。
【0018】
1つの配置では、トロカール支持装置は、トロカールそれ自体と一体構造を形成し、その結果、それらは共通の要素として供給および使用される。しかしながら、トロカールが後半に利用可能で種類が異なるため、スリーブの一般的な形態の別の要素としてトロカール支持装置を提供することが往々にして適切であるその結果、トロカールは、患者の切開部位へ挿入するために、スリーブに取り付けられたもの挿入することができる。
【0019】
したがって、好ましくは、トロカール支持装置は、トロカールへの取り付けのために配された別の要素であり、トロカール支持装置は、トロカールスリーブの外面で受けられるように形作られた当接部材を含み、当接部材は、選択された位置に位置するように、トロカールスリーブの長手方向に調整可能なように配され、前記少なくとも1つの膨張部材は、当接部材から一定間隔を置いた位置でトロカールスリーブ上に取り付けられるように配され、その結果、収縮した前記少なくとも1つの膨張部材は、トロカールスリーブ上、体壁の切開部位を通って体壁内に挿入可能であり、体壁の内面と係合するように挿入されたときに膨張可能であり、その結果、当接部材は、当接部材と前記少なくとも1つの膨張式の部材との間で体壁を維持するために適所に移動することができる。
【0020】
しかしながら、トロカール支持装置は、トロカール自体の一体部分を形成し、複合構造として供給されてもよい。
【0021】
1つの配置では、流体源は当接部材上で支えられる。しかしながら、流体源は、トロカール支持装置の別の部品上で、それと一体化したアイテムとして支えられ、その結果、トロカール支持装置全体が必要な膨張デバイスを含んでいる。これにより、必要とされる量の膨張流体を提供するために、膨張デバイスが適切かつ容易に制御可能となる。
【0022】
したがって、好ましくは、流体源は手動で操作可能なポンプである。しかしながら、他の1回分の量の流体がデバイスの一部として提供可能である。
【0023】
好ましくは、チューブは、トロカール支持装置上の流体源を膨張式の環に接続する。チューブはトロカールのスリーブの周りに螺旋形に巻き付けることができ、その結果、トロカールに沿ったその軸長さは、延びることなく、または、その動作に影響を与えることなく、調節することができる。
【0024】
好ましくは、チューブは円形断面であるが、しかしながら、場合によっては、チューブは、トロカールのスリーブに対して平らになるように平らな断面を有し得るため、トロカールスリーブをチューブからの干渉なく切開部位を通って挿入することが可能となる。
【0025】
好ましくは、膨張式の環は、挿入の間にトロカールに沿って長手方向にスリップしないようにするために、トロカールの長さに沿ってトロカールスリーブの周囲に係合するようにトロカールスリーブ上へ広げることができるスリーブ部分を含んでいる。
【0026】
好ましくは、膨張式の環と当接部材は、トロカールスリーブに係合してそれに沿って軸方向に移動可能な共通する環部分を形成する。したがって、それらは、トロカールスリーブの外部上に適用され、その後の展開時に分離する、共通のアイテムとして始まる。
【0027】
好ましくは、柔軟な膨張式の環を支持するプラスチック性の堅い支持環が設けられる。支持環は当接部材に取り付けられ、当接部材とともにトロカールスリーブ上を移動する。膨張式の環が所定のその軸位置に到達すると、支持環は当接部材と膨張式の環から取り外し可能である。
【0028】
好ましくは、支持環は、膨張式の環から支持環を解除するために手動で操作可能な解除部材を含んでいる。
【0029】
好ましくは、支持環は、早すぎる膨張を防ぐために、流体源の手動で操作可能な要素に係合する剛性の保護カバーを含んでいる。
【0030】
好ましくは、トロカールスリーブ上の所定の位置での軸方向移動に対して膨張式の環を保持するために、所定の軸の位置で膨張式の環で動作する手動で操作可能なデバイスが、支持環上に設けられる。
【0031】
好ましくは、膨張式の環が所定の位置に到達すると、当接部材は、膨張式の環からトロカールスリーブに沿って軸方向に移動することができ、チューブは、当接部材が膨張式の環から離れると、トロカールスリーブに沿って伸張する。
【0032】
好ましくは、当接部材は、トロカールスリーブに係合するために手動で操作可能なクランプを含む環を備えている。
【0033】
好ましくは、流体源は、手動で操作可能な部材を含んでおり、該部材を押すことで、膨張式の環に流体を送り込むことができる。
【0034】
好ましくは、トロカールスリーブ上の所定の位置での軸方向移動に対して膨張式の環を保持するために、所定の軸の位置で膨張式の環上で動作する手動で操作可能なデバイスが設けられる。
【0035】
配置は、デバイス自体に流体源またはポンプを設けるという上記の概念から構成することができ、その結果、供給源は一定の量を提供して、一定の大きさのみまでの膨張を可能にする。
【0036】
好ましい設計は、上部の当接部材に手動で作動するポンプ機構を組み込む。しかしながら、代替案として、手動で作動するポンプは、上部の当接部材から分離可能であるが、低膨張式の環に依然として永久的に接続され、一定の量の流体を送達する。そして、別の代替案として、手動で作動するポンプは、当接部材に取り付けることができ、必ずしも統合されるわけではない。
【0037】
手動で作動するポンプがシステムの一部であるが、当接部材と一体になっていない配置も提供可能である。重要な点は、安全性、利便性、および正確さのため、その配置は、バルーンを完全に膨張させるのに必要とされる最適な量の流体を常に提供すること、そして、常に完全にバルーンの空気を抜くということである。過剰な膨張は、バルーンが患者の体内に挿入されている間に、および、トロカールを抽出する間に、バルーンを破裂させかねず、その一方で、バルーンが知らないうちに一部だけが空気が抜けていた場合、それは患者に深刻な損傷を結果として与えることもある。加えて、膨張が不十分な場合、処置の間にトロカールが適切に支持されないこともある。さらに、自給式な流体供給を有していることで、既存のトロカール外部ポートと混同しかねない外部の流体供給ポートが必要でなくなる。医療スタッフは、偶発的に誤ったポートへと接続してしまい、デバイスと処置を危険にさらすことがあるかもしれない。同様に、自給式の流体源を備えることで、外部の流体源を選択して、外部の供給源に接続するという追加の工程を除外する。最後に、外部の流体源が必要な場合、誤った外部の供給源(量または流体のいずれか)を選択してしまう危険性があり、過剰な膨張、不十分な膨張、または、不完全なガス放出によって、デバイスまたは処置を危険にさらすこともある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面とともにこれから記載される。
図1】本発明にかかるトロカール支持体の第1の実施形態の側方正面図であり、一部が断面図になっている。
図2図1の実施形態の平面図である。
図3図1の実施形態の底面図である。
図4図1の実施形態の側面図であり、トロカール上に設置されて動作中の状態を示している。
図5】トロカール上への設置の工程を示す、図1の実施形態の側面図である。
図6】トロカール上への設置の工程を示す、図1の実施形態の側面図である。
図7】トロカール上への設置の工程を示す、図1の実施形態の側面図である。
図8】トロカール上への設置の工程を示す、図1の実施形態の側面図である。
図9】トロカール上への設置の工程を示す、図1の実施形態の側面図である。
図10】本発明にかかるトロカール支持体の第2の実施形態の側面図であり、一部が断面図になっている。
図11】本発明にかかるトロカール支持体の第3の実施形態の側面図である。
図12】本発明にかかるトロカール支持体の第3の実施形態の側面図である。
【0039】
図において、参照の類似する特徴は異なる図の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1〜9では、トロカール(12)のスリーブ(11)を支持するためにトロカール(12)に取り付けるトロカール支持体(10)が設けられており、スリーブ(11)は患者の体壁(13)を貫通する。
【0041】
支持体(10)は、トロカールスリーブの外面で受けられるように形作られた当接部材(14)を含む。当接部材は、図4に示されるような選択された位置(11A)に位置付けられるようにトロカールスリーブ(11)の長手方向に調整可能であるためにスリーブ(11)に解放可能に接続するための手動で操作可能なオーバーセンタークランプ(14B)を備えたスリーブを囲む環(14A)を形成する。
【0042】
支持体(10)は、位置(11A)の当接部材(14)から一定間隔を置いた所要の位置(15B)でトロカールスリーブ(11)に取り付けるための膨張式の環(15)を含んでいる。膨張式の環は、ポンプ(17)からの流体、例えば、一般に空気または他の気体の供給源によって、供給管(16)を通るあらかじめ決められた大きさまで膨張することができる。
【0043】
図9に示されるように、空気を抜いた膨張式の環は、体壁の切開を介してトロカールスリーブに差し込むことができ、体壁(13)の内面と係合するように位置(15B)で図4に示される膨張した状態に挿入されるとき、管(16)を通ってポンプ(17)から膨張することができる。当接部材は、当接部材(14)と膨張式の環(15)の間に体壁(13)を保持するために、位置(11A)に移動することができる。
【0044】
ポンプ(17)によって提供される流体の供給源は、トロカール支持体、とりわけ当接部材(14)に位置付けられ、それによって運ばれる。ポンプ(17)は、測定された体積の流体を膨張式の環に送るために、シリンダー(17B)まで及ぶ手動で圧縮可能なボタン(17A)を含んでいる。ボタン(17A)は、取り除くことが必要になるまで膨張を維持するために圧縮状態で保たれるラッチ(図示せず)を有しており、その結果として、ラッチはボタン(17A)をさらに押すことで解放され、それによって、ばね(17C)がボタンを押しやり、環(15)から流体を抽出することが可能になる。
【0045】
したがって、流体の供給源は、トロカール支持体の一部を形成するポンプ機構であり、手動で操作可能である。流体(17)の供給源は、一定の大きさのみまでの環(15)の膨張を可能にする、一定の量を与える。
【0046】
管(16)は、円形の断面をしており、あるいは、場合によっては、トロカールのスリーブに対して水平になるように平らな断面をしており、トロカールのスリーブの周りで螺旋形に巻かれている。したがって、管(16)は、図1の当初の位置で示されるように順番に並んで圧縮可能であり、図9に示されるように軸方向に回転することができる。
【0047】
膨張式の環(15)は、図4に示されるようにトロカールスリーブ上に広げることができる、環の底縁から下方に伸びるスリーブ部分(15A)を含んでいる。図1に示される当初の位置では、環とスリーブは丸められて後の展開のための構造になっている。
【0048】
図1で示されるように、膨張式の環(15)と当接部材(14)は共通の環部分(10)を形成し、環部分(10)は、トロカールスリーブ(11)に係合し、それに沿って軸方向に、下方の挿入端部からトロカールスリーブの長さに沿った所要位置へと移動することができる。トロカールへの挿入のためにアセンブリを固定して傷つけずに保持するために、当接部材(14)に取り付けられ、それとともにトロカールスリーブ上を移動する、膨張式の環(15)を囲む支持環(19)が設けられる。支持スリーブは、環(15)を支える棚(19C)を形成する中空内部(19B)を備えた環(19A)を含んでいる。支持スリーブは、環を適所に保持し、環を保護し、デバイスが適所に移動している間に膨張式の環に触れる必要をなくすことで環の無菌状態を維持するのに役立つ。膨張式の環(15)が図8に示されるような必要とされる軸位置に到達すると、支持環(19)は、トロカール(11)の端部方向へ当接部材および膨張式の環から軸方向に取り外し可能である。支持環(19)は、膨張式の環(15)から支持環(10)を外すために、手動で操作可能な解除部材(19C、19D)を含んでいる。支持環(19)は、解除が必要となるまで環(15)を適所に保持するレバー(19D)によって作動し、その結果、手動で操作可能な部材(19C)は、レバーを解除し、環(15)を広げ、その後、環(15)から軸方向に離れるように環(19)を動かすように作動する。図3に示されるように、部材(19C)は、ローブ(19)を備えたカムを形成することができ、ローブ(19)は、長手軸(19F)のまわりを回転して、レバーを解除して環(15)を展開させるまで、レバー(19D)を適所に保持する。レバー(19D)にはばねを載せることができ、ばねは、レバーが解除されるとき、レバーが膨張式の環から離れて確実に回転するようにする。上記のカム配置の代わりとして、部材(19C)が手動で操作可能な押しボタンであってもよく、一度押すとこれはレバー(19D)を適所に保持し、再度押すとレバーを解除する。ボタンを押すとき、ボタンは、ボタンを押したまま保つラッチを有している。ラッチは、ボタンをさらに押して解除されることで、ボタンがばねによって押し出される。
【0049】
支持環(19)は、膨張式の環を保護するために堅くなるようにプラスチック材料から成型され、片側の面に保護カバー(19G)を含んでおり、ポンプ(17)の手動で操作可能なボタン(17A)に係合するカップを形成している。
【0050】
膨張式の環(15)が所望の軸の位置(15B)に到達すると、当接部材(14)は膨張式の環(15)からトロカールスリーブに沿って軸方向に移動することができ、管(16)は、当接部材が膨張式の環から離れると、トロカールスリーブに沿って伸張する。
【0051】
図10に示されるように、トロカールスリーブ上の所望の位置(15B)での軸方向移動に対して膨張式の環(15)を保持するために、トロカール上の所定の軸の位置(15B)で膨張式の環(15)上で動作するための、ボタン(19R)によって操作可能な、支持環(19)上の手動で操作可能なデバイス(19S)が設けられる。このデバイス(19S)が以下に記載されるような様々な技術を駆使して作動することで、環(15)は膨張によって有効に固定されるまで、所定の位置に確実に留まることができる。
【0052】
トロカールへのデバイスの適用後、および、トロカールが患者の体壁の切開部位に挿入される間、低膨張式の環が適所に確実に留まるようにするために、複数の構造についてさらなる注意を払う必要があることもある。したがって、例えば、以下の追加の構造物は、手動で操作可能なデバイス(19S)として使用することができる:
【0053】
コイル状の金属ばね材料の一部は、膨張式の当接部材の低膨張式の環の内部にまたは環に埋め込むことができる。トロカールが挿入されると、ばねは拡大するよう強いられ、膨張式の当接部材にトロカールのシースの壁を締めさせる。
【0054】
環状のフェルール、コイル、または分割リングは、デバイスの支持環に組み込まれたスエージ工具を使用して、適所にスエージ加工されることができる。カム系は金属元素に力を加えるために使用され、その力は環状のフェルール、コイル、または分割リングの外径に伝えられ、その結果、それは塑性的に変形して膨張式の当接部材を適所で固定する。あるいは、図10で示されたものに類似する、支持環に組み込まれたねじ山が刻設された圧縮継手システムは、フェルール、コイル、または分割リングを適所にスエージ加工するために使用することができる。支持環のねじ山が刻設された下部部分は、支持環のねじ山が刻設された上方部分に対して回転させることにより手動で操作可能であり、それにより両者を近づけて、環状のフェルール、コイル、または分割リングの外径へと力を伝達させ、その結果、それを塑性的に変形させて膨張式の当接部材を適所で固定する。
【0055】
デバイスの支持環は、トロカールが適所に挿入されるまで、ばねのコイル/分割リングを開いたまま保持するための配置を有し得る。その後、ばねのコイル/分割リングが解除され、膨張式の当接部材の低膨張式の環にばねの力が加えられ、それはトロカールスリーブ上の位置へ固定される。
【0056】
膨張式の当接部材の弾性の環の内径は接着性の表面を有しており、これは使える準備が整うまで覆われている。取り外し可能なデバイスの支持環は、膨張式の環を伸ばして開いたまま保持するための配置を有している。ひとたび接着剤が露わになると、トロカールは、膨張式の環が解除される位置に挿入される。
【0057】
デバイスの支持環は、膨張式の当接部材により低膨張式の環に取り付けられた埋め込み式の細いワイヤーまたはバンドを締めあげる配置を有し得る。
【0058】
加えて、本明細書に記載の配置は、以下のように使用することができる多くの代替的な配置や選択肢で修正することができる。
【0059】
流体供給シリンダは、手動で操作可能な要素によって圧縮される流体袋(fluid bladder)と取り替えることができる。
【0060】
バルーンの膨張により、議論されたようなトロカールスリーブにさらに膨張可能なものを固定しやすくする。
【0061】
トロカールスリーブを囲む螺旋状の流体導管は、流体の流速の増加を可能にする楕円形または帯として形成可能であり、トロカールの周りで巻かれている間は全体の外径を小さくすることが可能となる。
【0062】
上部と下部の当接部材を接続する流体導管は、トロカールの軸に沿って垂直に配することができ、上部の当接部材が下部の当接部材の方に移動している際、余分な流体導管は固定しなくてもよい。
【0063】
別の選択肢は、上部の当接部材が、下部の当接部材の方へ移動すると余分な流体導管を自動で格納する機構を有することである。
【0064】
大型のトロカールは大型の膨張式の部分を必要とし、したがって、膨張を達成させるためにより多くの流体を必要とする。これを収容するために、必要に応じて、既存の流体供給の反対側の場所に流体供給シリンダまたは袋をさらに設けてもよい。
【0065】
別の手法は、(上部の当接部材内の)トロカールの一部のまわりに巻かれ、完全に圧縮したときに下部部分を完全に膨張させる十分な体積を有している、自己拡張式供給袋を利用することである。これは、袋、流体導管、および低膨張式の部分を含む、閉じた系である。
【0066】
別の選択肢は、過剰な膨張を防ぐためのブリード弁と、下部部分がいつ完全に膨張し完全に空気が抜けるか示すインジケータとを備えた、手動のマルチストロークポンプを使用することである。ポンプはその後膨張のために逆さまにする。
【0067】
流体送達システムを依然として利用するが、上部の当接部材の中に流体導管格納システムを有していない別の選択肢を提供することもできる。この場合、上部の流体供給は、トロカールスリーブの近位端の固定された位置にあるが、トロカールスリーブの軸に沿って移動する別の環は、上部の当接部材になる。流体導管は常に完全に伸張し、シースによってトロカールスリーブの外側に沿って適所で保持される。
【0068】
上部の当接部材の頂部に示されたレバー機構は、トロカールのまわりで締まる環によってトロカール上の位置の上部当接部材を固定するために使用される。代替案は、一段と使いやすくするために、これを押しボタンにすることである。ボタンは、膨張ポンプが示されているのと同じ方法で、上部の当接部材の周辺に置かれる。ボタンを押すことでトロカールスリーブの壁に圧力が加えられ、それを適所で保持する。
【0069】
デバイスは、支持環を使用することなく手動でトロカールスリーブ上に手動で設置することもできる。トロカールがデバイスに挿入され、膨張式の環はトロカールスリーブの軸に沿って引かれ、所望の位置で手動でトロカールスリーブ上に広げられる。
【0070】
形態で著しく異なるものの、依然として一定の量の流体を送達するシステムを利用している、別のトロカールの概念が提供されてもよい。流体送達システムは、トロカールスリーブの近位端の適所に固定され、ひとたび所望の位置に達するとトロカールスリーブの長さに沿ってリブまたはリングを膨張させる。リングは頑丈な構成要素から構成可能であり、該要素は、トロカールスリーブの壁から突出するように空気圧で作動し、トロカールスリーブが引き抜かれるときに引っ込められる。別の配置では、どの環が膨張または作動するか制御することができる。上部当接部材または下部当接部材は存在しない。
【0071】
回転することを必要とせずに、トロカール上に膨張式の当接部材を上げることが可能である。その場合、含めるべき3つの設計上の選択肢は以下の通りである。
【0072】
a)デバイスの支持環は、トロカールが適所に挿入されるまで、広げた膨張式の当接部材の前縁を開いたまま保持するための配置を有し得る。トロカールはその後、開口部に押し込まれ、所望の位置になるまで押し出される。ひとたび適所にくると、開口部は解除される。
b)デバイスの支持環は、トロカールが適所に挿入されるまで、広げられた膨張式の当接部材全体を開いたまま保持する手段を有している。その後、膨張式の当接部材が解除され、トロカールスリーブ上の適所にそれを固定する。
c)使い捨てのチューブ状のフレームは、トロカールが適所にあるまで、膨張式の当接部材を開いたまま保持するために使用される。ひとたび所望の位置につくと、使い捨てのフレームは取り除かれ、トロカールスリーブの外径に膨張式の当接部材が残される。これは、デバイスの支持環の助けを借りて、または借りることなく達成される。支持環が用いられる場合、フレームは支持環と係合する。支持環が用いられない場合、フレームは、上部の当接部材の土台で、または、上部の当接部材の内径内に収まる経路を通って、デバイス自体と係合する。
【0073】
図11および12は、本発明にかかるトロカール支持体の第3の実施形態の側面図であり、トロカール支持体がトロカール自体の一体部分である。
【0074】
同様に、この場合、個別の膨張式の環はないが、その代わりに、トロカール自体が一連の膨張式の環を有している。
【0075】
したがって、図11および12は、患者の体壁(106)中の切開部位を通して挿入する先端(105)を有するトロカールシャフト(102)を備えた、トロカール(100)をそれぞれ示している。トロカールシャフトは、外壁に一連の環(101)を形成しており、環(101)は、シャフトの周りで環状であってもよく、シャフトに沿って螺旋形であってもよく、切開部位にトロカールシャフトを位置付けるように作用することができる。以前に記載されたように、体壁(106)の外部に係合するためにシャフトの端部に当接部材(103)が設けられ、当接部材は環(101)を膨張させるハンドポンプ(104)を支えている。したがって、先に記載されたように、流体源は、トロカール支持装置に位置することで該装置により支えられ、トロカール支持体の一部を形成するポンプ機構を提供し、手動で操作可能であり、流体源は一定の量を提供し、一定の大きさのみまでの膨張を可能にする。
【0076】
この配置の方が、突出部が実際には並目ねじであり、トロカールスリーブを切開部位と筋膜に出し入れしなければならないこのタイプの従来の配置よりも、執刀医が患者に挿入して取り除くのに都合がよい。従来のねじ山が刻設されたトロカールを挿入するまたは取り除く間のねじり作用は、筋膜に損傷を与えかねない。記載された配置は、トロカールを挿入後、筋膜自体の内部に係合することを意図しており、したがって、ねじれ作用による起こり得る筋膜の損傷を回避する。
【0077】
本発明の配置では、膨張は、トロカール自体の環部分で支えられる上記のタイプの膨張式の手動ポンプによって達成される。これにより、加えられる流体の量を制御し、別の流体源を必要としなくなる。
図1
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図10
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図12