(54)【発明の名称】複合材料半製品及びそれから製造された成形品並びに、放射線により熱硬化性に架橋する、ヒドロキシ官能化された(メタ)アクリラートとウレトジオンとを基礎とする直接製造された成形品
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光開始剤は、ヒドロキシケトン及び/又はビスアシルホスフィンであり、前記光開始剤は前記組成物中に0.2〜8.0質量%の濃度で含まれていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
前記イソシアナート成分は、40℃以下で固体の形で存在し、かつ125℃以上で液体の形で存在し、5質量%未満の遊離NCO含有率及び3〜25質量%のウレトジオン含有率を有し、かつ前記イソシアナート成分は、更に、対イオンとしてハロゲン、ヒドロキシド、アルコラート又は有機若しくは無機の酸アニオンを有する第4級アンモニウム塩及び/又は第4級ホスホニウム塩から選択される少なくとも1種の触媒0.01〜5質量%を含有することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
前記イソシアナート成分は、更に、少なくとも1種のエポキシド及び/又は少なくとも1種の金属アセチルアセトナート及び/又は第4級アンモニウムアセチルアセトナート及び/又は第4級ホスホニウムアセチルアセトナートから選択される少なくとも1種の助触媒0.1〜5質量%及び場合によりポリウレタン化学から公知の助剤及び添加剤を含有することを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵安定性のポリウレタンプレプレグの製造方法及びこのプレプレグから製造された成形品(複合材料部材)に関する。このプレプレグ又は部材の製造のために、例えば、(メタ)アクリラートモノマー、(メタ)アクリラートポリマー、ヒドロキシ官能化された(メタ)アクリラートモノマー及び/又はヒドロキシ官能化された(メタ)アクリラートポリマーをウレトジオン材料と混合する。場合により、更に光開始剤を添加してもよい。この混合物又は溶液を、公知の方法により繊維材料、例えば炭素繊維、ガラス繊維又はポリマー繊維に施し、放射線を用いて又はプラズマの適用により重合させる。
例えば、室温で又は80℃まででの重合により、熱可塑性プラスチック又は熱可塑性プレプレグが生じ、これを後からさらに変形することができる。ヒドロキシ官能化された(メタ)アクリラート成分は、引き続き既に系中に存在するウレトジオンと高められた温度で架橋させることができる。こうして、形状安定性の熱硬化性樹脂又は架橋した複合材料部材を製造することができる。
【0002】
プレプレグの形の繊維強化された材料は、代替のウェットレイアップ技術と比較してその快適な取扱性のため及び加工の際に高められた効率のために既に多くの工業的用途において使用されている。
【0003】
このような系の工業的な使用者は、室温の場合でも短いサイクル時間及び高い貯蔵安定性の他に、更に、個々のプレプレグ層を自動切断及びレイアップする際に切断工具を頻繁に接着性のマトリックス材料で汚すことなくプレプレグを切断できることを求めている。
【0004】
多様な付形方法、例えば反応トランスファー成型(RTM)法は、型内への強化繊維の導入、型の閉鎖、型内への架橋性樹脂調製物の導入及び引き続き、一般に熱の供給による樹脂の架橋を内容とする。
【0005】
このようなプロセスの制限の一つは、型内へ強化繊維を挿入することが困難な点である。この織物又は繊維配列物の個別の層を切断して、多様な型の形状に合わせなければならない。これは、特に成形品が発泡コア又は他のコアを有する場合に、時間がかかり並びに煩雑になりえる。簡単に取り扱えかつ再成形が可能である変形可能な繊維強化材が、ここでは望ましい。
【0006】
先行技術
ポリエステル、ビニルエステル及びエポキシ系の他に、架橋性マトリックス系の範囲内に一連の特別な樹脂が存在する。これにはポリウレタン樹脂も分類され、このポリウレタン樹脂はその靭性、損傷許容性及び強度のために、特に引き抜き成形法による複合異形剤の製造のために使用される。欠点としては、頻繁に、使用されるイソシアナートの毒性が挙げられる。しかしながら、エポキシ系及びそこで使用される硬化剤成分の毒性も危険であると見なされる。これは、特に公知の過敏症及びアレルギーについて当てはまる。
【0007】
エポキシ系を基礎とするプレプレグ及びこのプレプレグから製造された複合材料は、例えばWO 98/50211、EP 309 221、EP 297 674、WO 89/04335及びUS 4,377,657に記載されている。WO 2006/043019には、エポキシ樹脂−ポリウレタン粉末を基礎とするプレプレグの製造方法が記載されている。更に、マトリックスとして粉末状の熱可塑性樹脂を基礎とするプレプレグが公知である。
【0008】
WO 99/64216は、プレプレグ及び複合材料並びにその製造方法を記載していて、この場合、個々の繊維の被覆が可能なほど小さいポリマー粒子を有するエマルションを使用している。この粒子のポリマーは、少なくとも5000センチポアズの粘度を有し、かつ熱可塑性プラスチック又は架橋性ポリウレタンポリマーである。
【0009】
EP 0590702は、プレプレグの製造のための粉末含浸を記載していて、この場合、粉末は、熱可塑性プラスチック及び反応性モノマー又はプレポリマーからなる混合物からなる。WO 2005/091715は、同様にプレプレグの製造のために熱可塑性樹脂の使用を記載している。
【0010】
2成分ポリウレタン(2K−PUR)を基礎とするマトリックスを有するプレプレグも同様に公知である。2K−PURのカテゴリーは、主に典型的な反応性ポリウレタン樹脂系を有する。原則として、2つの別々の成分からなる系である。この一方の成分の基準となる構成要素は、常にポリイソシアナート、例えばポリマーのメチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)であり、第2の成分の場合にポリオール又は新たな開発の場合にはアミノ−ポリオール混合物又はアミン−ポリオール混合物である。両方の部分は、加工の直前に初めて相互に混合される。その後に、重付加によるポリウレタン又はポリ尿素からなる網状構造の形成下で化学的硬化が行われる。2成分系は、両方の構成要素の混合後に、限られた架橋時間(可使時間、ポットライフ)を有する、というのもこの使用される反応は次第に粘度上昇を引き起こし、最終的にこの系のゲル化を引き起こすためである。この場合に、多くの影響要素が、その加工性の有効時間を決定している:反応体の反応性、接触反応、濃度、溶解度、水分含有率、NCO/OH比率及び周囲温度が最も重要である[これについて:Lackharze, Stoye/Freitag, Hauser-Verlag 1996、第210/212頁参照]。この種の2−K−PUR系を基礎とするプレプレグの欠点は、プレプレグを複合材料に加工するために短い時間が提供されるだけであるという点にある。従って、この種のプレプレグは、数時間にわたって、ましてや数日にわたって貯蔵安定性ではない。
【0011】
多様な結合剤ベースは度外視して、湿分により硬化する塗料は、この組成物においても、その特性においても、十分に類似する2K系に相当する。これは原則として、同じ溶剤、顔料、充填剤及び助剤が使用される。2Kとは異なり、この系は、適用の前に安定性の理由から湿分は許容されない。
【0012】
DE 102009001793.3及びDE 102009001806.9では、主に、A)少なくとも1種の繊維状の支持体及びB)マトリックス材料としての少なくとも1種の反応性の粉末状のポリウレタン組成物から構成された、貯蔵安定性のプレプレグの製造方法が記載されている。この系は、この場合、補助結合剤としてポリ(メタ)アクリラート又はポリオール成分を有していてもよい。DE 102010029355.5では、このような組成物を、繊維材料中への直接溶融含浸法により導入している。DE 102010030234.1では、溶剤を用いて前処理している。これらの系の欠点は、高い溶融粘度及びその都度除去しなければならない溶剤の使用であり、更に毒性の観点ではそれ自体が欠点となり得る。
【0013】
課題
先行技術を背景として、本発明の課題は、問題なく取り扱うことができるプレプレグ系を製造するための簡単な方法を可能にする新規プレプレグ技術を提供することである。
【0014】
特に、本発明の課題は、先行技術と比べて明らかに延長された貯蔵安定性及び/又は加工時間(可使時間、ポットライフ)を可能にするプレプレグを製造するための促進された方法を提供することである。更に、マトリックスを基準とする重量損失、特に反応希釈剤の蒸発の形での重量損失は20%未満に保持すべきである。
【0015】
解決手段
上記課題は、複合材料半製品を製造するための及びそれを更に成形品に加工する新規方法によって解決される。この種の方法は、次の方法工程を有する:
I. 少なくともA)(メタ)アクリラートを基礎とする反応性樹脂成分(この樹脂成分の少なくとも1つの構成要素は、ヒドロキシ基、アミノ基及び/又はチオール基を有する)、B)イソシアナート成分として、少なくとも1種の内部ブロックされた及び/又はブロック剤でブロックされたジイソシアナート又はポリイソシアナート、及びC)場合により少なくとも1種の光開始剤を含有する組成物を含有する反応性組成物を製造する工程。方法工程Iは、例えばこの3つの成分を単に一緒に撹拌することにより行うことができる。
II. I.の組成物を繊維状の支持体に直接含浸させる工程、
III. 電磁波、電子線又はプラズマを用いて組成物中の樹脂成分を硬化させる工程、
IV. 後の成形品に付形する工程及び
V. 組成物中のイソシアナート成分を硬化させる工程。
【0016】
この場合、好ましくは樹脂成分対イソシアナート成分の量比は、90:10〜50:50である。樹脂成分とイソシアナート成分はそれぞれ、樹脂成分1の全てのヒドロキシル基を基準として、ウレトジオン基0.3〜1.0、好ましくは0.4〜0.9、特に好ましくは0.45〜0.55の比率で存在することが特に全く好ましく、これは、イソシアナート成分の外部ブロックされたイソシアナート基0.6〜2.0、好ましくは0.8〜1.8、特に好ましくは0.9〜1.1に相当する。
【0017】
この樹脂成分は、特に、少なくとも架橋剤0〜30質量%、好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%、モノマー30〜100質量%、好ましくは40〜80質量%、特に好ましくは40〜60質量%、1種以上のプレポリマー0〜40質量%、好ましくは5〜30質量%及び光開始剤0〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、特に好ましくは3〜6質量%から構成される。光開始剤は、好ましくはヒドロキシケトン及び/又はビスアシルホスフィンである。
【0018】
この本発明による系の利点は、変形可能な熱可塑性半製品/プレプレグの製造にあり、これは後続する段階の複合材料部材の製造の際に熱硬化性に架橋する。この出発調製物は液状であり、従って、溶剤を添加せずに繊維材料の含浸のために適している。この半製品は室温で貯蔵安定性である。生じる成形品は、他のポリウレタン系と比較して高められた熱安定性を提供する。通常のエポキシ系と比較して、この成形品は高められた柔軟性を特徴とする。更に、この種のマトリックスは光安定性に設計することができ、ひいては更なる塗装なしで炭素繊維模様の部材(Sichtcarbonteilen)の製造のために使用することができる。
【0019】
意外にも、(メタ)アクリラート反応性樹脂とイソシアナート成分との上述の組み合わせによって製造することにより、十分に含浸された、反応性でかつ貯蔵安定性の複合材料半製品を製造できることが見出された。
よって、先行技術と比べて少なくとも同じか更には改善された加工特性を有する複合材料半製品が得られ、この複合材料半製品は、建築工業、自動車製造工業、航空機及び宇宙船工業、エネルギー技術(風力発電設備)及びボート及び船舶製造の分野での多様な用途にとって性能のよい複合材料を製造するために使用することができる。本発明により使用可能な反応性組成物は、環境に優しく、低コストであり、良好な機械特性を有し、簡単に加工でき、かつ硬化後に良好な耐候性により並びに硬さと柔軟性との間のバランスの取れた比率により優れている。
【0020】
複合材料半製品の概念は、本発明の範囲内で、プレプレグ及びオルガノボード(Organoblech)の概念と同じ意味で使用される。プレプレグは、一般に熱硬化性複合材料部材のための前段階である。オルガノボードは、通常では、熱可塑性複合材料部材のための相応する前段階である。
【0021】
特別な実施態様の場合に、樹脂成分は更にウレタン(メタ)アクリラートを含有する。このような実施態様の場合に、樹脂成分は、架橋剤0〜30質量%、好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%、モノマー30〜99質量%、好ましくは40〜80質量%、特に好ましくは40〜60質量%、1種以上のプレポリマー0〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、ウレタン(メタ)アクリラート1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%、特に好ましくは4〜8質量%及び光開始剤0〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、特に好ましくは3〜6質量%から構成される。
【0022】
好ましく使用される光開始剤は、特にヒドロキシケトン及び/又はビスアシルホスフィン、並びにこれらの混合物であることができる。光開始剤は、これが添加される場合には、組成物中に、0.2〜10.0質量%、好ましくは0.5〜3質量%、特に好ましくは3〜6質量%の濃度で含まれる。
【0023】
支持体
この複合材料半製品において本発明による方法で好ましく使用された支持体材料は、この繊維状の支持体の大部分が、ガラス、炭素、プラスチック、例えばポリアミド(アラミド)又はポリエステル、天然繊維又は鉱物繊維材料、例えばバサルト繊維又はセラミック繊維からなることを特徴とする。この繊維状の支持体は、不織布、編物、経編物又は緯編物、編んでいない結束物、例えば織物、繊維配列物又は組み物からなる繊維布(textile Flaechengebilde)として、長繊維材料又は短繊維材料として存在する。
【0024】
詳細には次の態様が存在する:本発明の場合の繊維状の支持体は繊維状材料(しばしば強化繊維とも言われる)からなる。一般に、繊維を形成する材料が適していて、好ましくは、ガラス、炭素、プラスチック、例えばポリアミド(アラミド)又はポリエステル、天然繊維又は鉱物繊維、例えばバサルト繊維又はセラミック繊維(酸化アルミニウム及び/又は酸化ケイ素を基礎とする酸化物繊維)からなる繊維状の材料が使用される。繊維タイプの混合物、例えばアラミド繊維とガラス繊維、又は炭素繊維とガラス繊維との繊維組合物も使用できる。同様に、ハイブリッド複合材料部材を、多様な繊維状の支持体のプレプレグを用いて製造することができる。ガラス繊維は、主に、比較的低価格のために最も頻繁に使用される繊維タイプである。原則として、ここでは全ての種類のガラスを基礎とする強化繊維が適している(Eガラス繊維、Sガラス繊維、Rガラス繊維、Mガラス繊維、Cガラス繊維、ECRガラス繊維、Dガラス繊維、ARガラス繊維、又は中空ガラス繊維)。炭素繊維は、一般に、ガラス繊維との関連で低い密度で同時に高い強度が重要な要素であるような高性能複合材料中に使用される。炭素繊維は(カーボン繊維も)炭素含有出発材料から工業的に製造される繊維であり、この出発材料は熱分解により黒鉛状に配置された炭素に変換される。等方性型と、異方性型も区別される:等方性繊維は、低い強度を有し、工業的に重要性が低いが、異方性繊維は、低い破断点伸びと同時に、高い強度及び高い剛性を示す。天然繊維として、ここでは、植物材料及び動物材料から得られる全ての織物繊維及び繊維材料が挙げられる(例えば、木材繊維、セルロース繊維、綿繊維、麻繊維、ジュート繊維、リンネル繊維、サイザル繊維、竹繊維)。アラミド繊維は、炭素繊維と同様に、負の熱膨張係数を有し、加熱の際に短くなる。この特有の強度及び弾性率は、炭素繊維よりも明らかに低い。マトリックス樹脂の正の熱膨張係数との関連で、寸法精度が高い部材を製造できる。炭素繊維強化されたプラスチックと比べて、アラミド繊維複合材料の圧縮強度は明らかに低い。アラミド繊維の公知の商標名は、DuPont社のNomex(登録商標)及びKevlar(登録商標)、又は帝人社のTeijinconex(登録商標)、Twaron(登録商標)及びTechnora(登録商標)である。特に適していてかつ好ましいのは、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維又はセラミック繊維からなる支持体である。この繊維状材料は繊維布である。不織布、同様にいわゆる編物、例えば経編物及び緯編物、編んでいない結束物、例えば織物、繊維配列物又は組み物からなる繊維布が適している。更に、支持体として長繊維材料と短繊維材料とは区別される。同様に、本発明の場合に、ロービング及び糸も適している。挙げられた全ての材料は、本発明の範囲内で繊維状の支持体として適している。強化繊維についての概観は、「Composites Technologien」、Paolo Ermanni(Version 4)、Script zur Vorlesung ETH Zuerich、2007年8月、第7章に含まれている。
【0025】
イソシアナート成分
イソシアナート成分としては、第1の実施態様においてブロック剤によりブロックされた又は第2の実施態様において内部ブロックされたジイソシアナート又はポリイソシアナートが使用される。内部ブロックされたイソシアナートとは、いわゆるウレトジオンである。
本発明により使用されたジイソシアナート及びポリイソシアナートは、任意の芳香族、脂肪族、脂環式及び/又は(環式)脂肪族のジイソシアナート及び/又はポリイソシアナートからなることができる。可能なジイソシアナート及びポリイソシアナート並びにこの外部ブロックのための試薬の列挙は、ドイツ国特許出願(DE)第102010030234.1号に記載されている。
【0026】
本発明により使用されるポリイソシアナートは、第1の実施例の場合に外部ブロックされている。これについて、例えばドイツ国特許出願第102010030234.1号に見られるような外部ブロック剤が挙げられる。この実施態様で使用されたジイソシアナート又はポリイソシアナートは、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H
12MDI)、2−メチルペンタンジイソシアナート(MPDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)及び/又はノルボルナンジイソシアナート(NBDI)であり、この場合、イソシアヌラートも使用可能である。好ましいブロック剤は、アセト酢酸エチルエステル、ジイソプロピルアミン、メチルエチルケトキシム、マロン酸ジエチルエステル、ε−カプロラクタム、1,2,4−トリアゾール、フェノール又は置換フェノール及び/又は3,5−ジメチルピラゾールから選択される。特に好ましく使用される硬化剤成分は、イソシアヌラート原子団及びε−カプロラクタムでブロックされたイソシアナート構造を含むイソホロンジイソシアナート(IPDI)付加物である。
【0027】
更に、このイソシアナート成分は、触媒0.01〜5.0質量%を有することができる。好ましくは、触媒として金属有機化合物、例えばジブチルスズジラウラート、オクタン酸亜鉛又はネオデカン酸ビスマス、及び/又は第三級アミン、特に好ましくは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが使用される。第3級アミンは、特に0.001〜1質量%の濃度で使用される。この本発明により使用される反応性ポリウレタン組成物は、例えば通常の条件下で、例えばDBTL接触反応で、160℃より、通常では約180℃より硬化することができる。
【0028】
この第2の好ましい実施態様の場合に、内部ブロックを有するイソシアナート成分が存在する。この内部ブロックは、ウレトジオン構造を介した二量化によって行われ、この構造は高めた温度で再び当初に存在するイソシアナート構造に分解され、それにより結合剤との架橋が行われる。
【0029】
ウレトジオン基を有するポリイソシアナートは周知であり、例えば、US 4,476,054、US 4,912,210、US 4,929,724並びにEP 417 603に記載されている。イソシアナートを二量化してウレトジオンにする工業的に重要な方法に関する包括的な概観は、J. Prakt. Chem. 336 (1994) 185 - 200に提供されている。一般に、イソシアナートからウレトジオンへの反応は、可溶性の二量化触媒、例えばジアルキルアミノピリジン、トリアルキルホスフィン、亜リン酸トリアミド又はイミダゾールの存在で行う。この反応は(任意に溶剤中で、好ましくは溶剤の不在で実施される)、触媒毒の添加により、所望の転化率の達成時に停止される。過剰量のモノマーのイソシアナートは、引き続きショートパスエバポレーターにより分離される。触媒が十分に揮発性である場合には、この反応混合物をモノマー分離の過程で触媒を除去することができる。この場合に、触媒毒の添加を省くことができる。基本的に、ウレトジオン基を有するポリイソシアナートの製造のために、広範囲に多様なイソシアナートが適している。上述のジイソシアナート及びポリイソシアナートを使用することができる。
【0030】
外部ブロックされたイソシアナートの実施態様についても、ウレトジオンの実施態様についても、任意の脂肪族、脂環式及び/又は(環式)脂肪族のジイソシアナート及び/又はポリイソシアナートからなるジイソシアナート及びポリイソシアナートが好ましい。本発明の場合には、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H
12MDI)、2−メチルペンタンジイソシアナート(MPDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、ノルボルナンジイソシアナート(NBDI)が使用される。IPDI、HDI、TMDI及びH
12MDIを使用するのが特に全く好ましく、この場合にイソシアヌラートも使用可能である。
【0031】
マトリックス材料のために、IPDI及びHDIを使用するのが更に全く好ましい。このウレトジオン基を有するポリイソシアナートからウレトジオン基含有硬化剤a)にする反応は、遊離NCO基とヒドロキシル基含有モノマー又はポリマー(例えば連鎖延長剤としてポリエステル、ポリチオエーテル、ポリエーテル、ポリカプララクタム、ポリエポキシド、ポリエステルアミド、ポリウレタン又は低分子量のジアルコール、トリアルコール及び/又はテトラアルコール及び場合により連鎖停止剤としてのモノアミン及び/又はモノアルコール)との反応を内容としていて、既に頻繁に記載されている(EP 669 353、EP 669 354、DE 30 30 572、EP 639 598又はEP 803 524)。
【0032】
ウレトジオン基を有する好ましい硬化剤a)は、5質量%未満の遊離NCO含有率及び3〜25質量%、好ましくは6〜18質量%(C
2N
2O
2、分子量84として計算)のウレトジオン基の含有率を有する。ポリエステル及びモノマーのジアルコールが好ましい。ウレトジオン基の他に、硬化剤は、イソシアヌラート構造、ビウレット構造、アロファナート構造、ウレタン構造及び/又は尿素構造を有していてもよい。
【0033】
このイソシアナート成分は、好ましくは40℃以下で固体の形で、かつ125℃以上で液状の形で存在する。場合により、このイソシアナート成分は、更にポリウレタン化学から公知の助剤及び添加剤を有していてもよい。ウレトジオンを含む実施態様に関して、イソシアナート成分は、5質量%未満の遊離NCO含有率及び3〜25質量%のウレトジオン含有率を有する。
【0034】
更に、この実施態様のイソシアナート組成物は、対イオンとしてハロゲン、ヒドロキシド、アルコラート又は有機若しくは無機の酸アニオンを有する第4級アンモニウム塩、好ましくはテトラアルキルアンモニウム塩、及び/又は第4級ホスホニウム塩から選択される少なくとも1種の触媒0.01〜5質量%、好ましくは0.3〜2質量%、及び少なくとも1種のエポキシド及び/又は少なくとも1種の金属アセチルアセトナート及び/又は第4級アンモニウムアセチルアセトナート及び/又は第4級ホスホニウムアセチルアセトナートから選択される少なくとも1種の助触媒0.1〜5質量%、好ましくは0.3〜2質量%を有していてもよい。(助)触媒についての全ての量の記載は、マトリックス材料の全調製物を基準とする。
金属アセチルアセトナートの例は、単独または混合した形の、亜鉛アセチルアセトナート、リチウムアセチルアセトナート及びスズアセチルアセトナートである。亜鉛アセチルアセトナートを使用するのが好ましい。
第4級アンモニウムアセチルアセトナート又は第4級ホスホニウムアセチルアセトナートの例は、DE 102010030234.1に見られる。テトラエチルアンモニウムアセチルアセトナート及びテトラブチルアンモニウムアセチルアセトナートを使用するのが特に好ましい。もちろん、これらの触媒の混合物を使用することもできる。
【0035】
触媒の例は、DE 102010030234.1に見られる。これらの触媒は、単独でも又は混合した形でも使用することができる。テトラエチルアンモニウムベンゾアート及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを使用するのが好ましい。
【0036】
エポキシド含有の助触媒として、この場合、例えばグリシジルエーテル及びグリシジルエステル、脂肪族エポキシド、ビスフェノールAを基礎とするジグリシジルエーテル、及びグリシジルメタクリラートが挙げられる。このようなエポキシドの例は、トリグリシジルイソシアヌラート(TGIC、商品名ARALDIT 810、Huntsman)、テレフタル酸ジグリシジルエステルとトリメリト酸トリグリシジルエステルとの混合物(商品名ARALDIT PT 910及び912、Huntsman)、バーサチック酸のグリシジルエステル(商品名KARDURA E10、Shell)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート(ECC)、ビスフェノールAを基礎とするジグリシジルエーテル(商品名EPIKOTE 828、Shell)、エチルヘキシルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンタエリトリットテトラグリシジルエーテル(商品名POLYPOX R 16、UPPC AG)並びに他の遊離エポキシ基を有するポリエポキシタイプである。混合物を使用することもできる。ARALDIT PT 910及び912を使用するのが好ましい。
【0037】
使用した反応性又は高反応性イソシアナート成分及び場合により使用した触媒の組成に応じて、複合材料部材の製造の際の架橋反応の速度も、マトリックスの特性も広範囲に変えることができる。
【0038】
樹脂成分
本発明の場合に、樹脂成分としてメタクリラートを基礎とする反応性樹脂が使用される。本発明により使用される樹脂成分は、特に次の組成を有する:
− モノマー、好ましくは(メタ)アクリラート及び/又は(メタ)アクリラートと共重合可能な成分、30〜100質量%、好ましくは40〜80質量%、特に好ましくは40〜60質量%、
− 1種以上のプレポリマー0〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、
− 架橋剤、好ましくはオリゴ(メタ)アクリラート又はジ(メタ)アクリラートの群から選択される架橋剤、0〜30質量%、好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%、
− 光開始剤、好ましくはヒドロキシケトン及び/又はビスアシルホスフィン0〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、特に好ましくは3〜6質量%。
【0039】
(メタ)アクリラートの記載様式は、この場合、メタクリラートも、アクリラートも、メタクリラートとアクリラートとの混合物も含む。
【0040】
更に、他の成分も場合により含むことができる。助剤及び添加剤として、付加的に調節剤、可塑剤、安定剤及び/又は禁止剤を使用することができる。更に、着色剤、充填剤、湿潤剤、分散剤、レベリング剤、定着剤、UV安定剤、消泡剤及びレオロジー調節添加剤を添加することもできる。特に、樹脂成分は次の付加的な成分を含むことができる:
− ウレタン(メタ)アクリラート1〜20質量%。
【0041】
本発明にとって重要なのは、樹脂成分からなるモノマー及び/又はプレポリマーが、複数の官能基を有することである。このような官能基として、ヒドロキシル基、アミノ基及び/又はチオール基が適していて、これらの基は、イソシアナート成分からの遊離イソシアナート基又はウレトジオン基と付加反応して、従って付加的に架橋及び硬化する。この場合、ヒドロキシ官能性樹脂成分は例えば10〜1000、好ましくは20〜500、特に好ましくは20〜150mg KOH/グラムのOH価を有する。
特に、これらの官能基の量は、樹脂成分の全ての官能基を基準として、0.6〜2.0イソシアナート当量、又はイソシアナート成分のウレトジオン基0.3〜1.0、好ましくは0.4〜0.8及び特に好ましくは0.45〜0.55であるように選択される。これは、イソシアナート成分の外部ブロックイソシアナート基0.6〜2.0、好ましくは0.8〜1.6、特に好ましくは0.9〜1.1に相当する。
【0042】
光開始剤及びその製造は、例えば「Radiation Curing in Polymer Science & Technology, Vol II: Photoinitiating Systems」、J. P. Fouassier, J. F. Rabek著、Elsevier Applied Science, London及びNew York、1993に記載されている。これは、頻繁に、α−ヒドロキシケトン又はその誘導体又はホスフィンである。光開始剤は、存在する場合に、0.2〜10質量%の量で含まれていてもよい。光開始剤として、例えばBasf-CGI-725 (BASF)、Chivacure 300 (Chitec)、Irgacure PAG 121 (BASF)、Irgacure PAG 103 (BASF)、Chivacure 534 (Chitec)、H-Nu 470 (Spectra Group limited)、TPO (BASF)、Irgacure 651 (BASF)、Irgacure 819 (BASF)、Irgacure 500 (BASF)、Irgacure 127 (BASF)、Irgacure 184 (BASF)、Duracure 1173 (BASF)が挙げられる。
【0043】
反応性樹脂中に含まれるモノマーは、(メタ)アクリラート、例えば1〜40個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は脂環式アルコールのアルキル(メタ)アクリラート、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリラートからなる群から選択される化合物である。
【0044】
モノマー混合物の構成要素として、他の官能基を有する付加的なモノマー、例えばα,β−不飽和物カルボン酸又はジカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はイタコン酸;アクリル酸又はメタクリル酸と二価アルコールとのエステル、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリラート又はヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート;アクリルアミド又はメタクリルアミド;又はジメチルアミノエチル(メタ)アクリラートも適している。モノマー混合物の他の適した構成要素は、例えばグリシジル(メタ)アクリラート又はシリル官能性(メタ)アクリラートである。
【0045】
上述した(メタ)アクリラートの他に、モノマー混合物も、上述の(メタ)アクリラートとラジカル重合によって共重合可能な他の不飽和モノマーを有することができる。これには、更に1−アルケン又はスチレンが属する。
【0046】
本発明による反応性樹脂の任意の構成要素は架橋剤である。これは、特に多官能性メタアクリラート、例えばアリル(メタ)アクリラートである。ジ−又はトリ−(メタ)アクリラート、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート又はトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラートが特に好ましい。
【0047】
詳細には、割合及び組成に応じたモノマーの組成は、所望の技術的機能及び濡らされる支持体材料に関して合目的に選択される。
【0048】
樹脂成分は、記載されたモノマーの他に、ポリマー(本願発明の範囲内で、より良く区別するためにプレポリマーとも言われる)、好ましくはポリエステル又はポリ(メタ)アクリラートを含んでいてもよい。これらは、重合特性、機械特性、支持体材料に対する付着、加工時の粘度調節又はこの樹脂による支持体材料の濡れ性、並びに樹脂の光学特性の改善のために使用される。反応性樹脂のプレポリマー割合は、この場合、0質量%〜50質量%、好ましくは15質量%〜40質量%である。ポリエステルも、ポリ(メタ)アクリラートも、付着媒介のため又は架橋反応での共重合のために、例えば二重結合の形で付加的な官能基を有していてもよい。好ましくはこのプレポリマーは、ヒドロキシ基、アミノ基又はチオール基を有する。
【0049】
上述のポリ(メタ)アクリラートは、一般に、樹脂系においてモノマーについて既に列挙したものと同じモノマーから構成されている。これらは、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合又は沈殿重合により得られ、かつこの系に純粋な物質として添加される。
上述のポリエステルは、塊状で重縮合又は開環重合によって得られ、この用途で公知の構成要素から構成される。
【0050】
調節剤として、ラジカル重合から公知の全ての化合物を使用することができる。好ましくは、メルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタンが使用される。
【0051】
同様に、慣用のUV安定剤を使用することもできる。好ましくはUV安定剤は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チオキサントナート誘導体、ピペリジノールカルボン酸エステル誘導体又はケイ皮酸エステル誘導体の群から選択される。
安定剤又は禁止剤の群から、好ましくは、置換されたフェノール、ヒドロキノン誘導体、ホスフィン及びホスフィットが使用される。
【0052】
レオロジー調節添加剤として、好ましくはポリヒドロキシカルボン酸アミド、尿素誘導体、不飽和カルボン酸エステルの塩、酸性リン酸誘導体のアルキルアンモニウム塩、ケトキシム、p−トルエンスルホン酸のアミン塩、スルホン酸誘導体のアミン塩並びにこれらの化合物の水溶液又は有機溶液又は混合物が使用される。10〜700nm
2/gのBET表面積の、熱分解又は沈降した、場合によりシラン化されたケイ酸を基礎とするレオロジー調節添加剤が特に適していることが見出された。
【0053】
消泡剤は、好ましくは、アルコール、炭化水素、パラフィンを基礎とする鉱油、グリコール誘導体、グリコール酸エステルの誘導体、酢酸エステル及びポリシロキサンの群から選択される。
【0054】
方法工程IIIにおける硬化
UV硬化及びUVランプは、例えば「Radiation Curing in Polymer Science & Technology, Vol I: Fundamentals and Methods」、J. P. Fouassier、J. F. Rabek著、Elsevier Applied Science、London及びNew York、1993、第8章、453〜503頁に記載されている。熱放射を僅かに放射するか全く放射しないUVランプ、例えばUV−LEDランプを使用するのが好ましい。
【0055】
電子線硬化及び電子線硬化剤は、例えば「Radiation Curing in Polymer Science & Technology, Vol I: Fundamentals and Methods」、J. P. Fouassier, J. F. Rabek著、Elsevier Applied Science、London及びNew York、1993、第4章、193〜225頁及び第9章、503〜555頁に記載されている。重合開始のために電子線を使用する場合、光開始剤はもはや不要である。
【0056】
これは同様にプラズマの適用についても該当する。プラズマは、頻繁に真空中で用いられる。MMAのプラズマ重合は、例えばC. W. Paul, A. T. Bell及びD. S. Soong著、「Initiation of Methyl Methacrylate Polymerization by the Nonvolatile Products of a Methyl Methacrylate Plasma. 1. Polymerization Kinetics」(Macromolecules 1985, vol. 18, 11, 2312-2321)の論文に記載されている。ここではこのような真空プラズマが使用される。
【0057】
本発明の場合に、この方法ではラジカルソースとしていわゆる大気圧プラズマが使用される。このため、例えばPlasmatreat GmbH社又はDiener GmbH社により提供されているような、例えば市場で通常のプラズマジェット/プラズマビームを使用することができる。このプラズマは大気圧下で運転され、特に自動車工業で表面上の油脂又は他の不純物を除去するために使用される。文献に記載されたプラズマ法とは反対に、プラズマを本発明の場合に本来の反応区域(重合)の外側で発生させ、高い流動速度で処理すべき複合材料の表面に吹き付ける。この場合、一種の「プラズマ炎」が生じる。この方法の利点は、本来のプラズマ生成が支持体により影響を受けないことにあり、このことが高いプロセス信頼性を生じさせる。このプラズマジェットは、通常では空気によって運転されるため、酸素/窒素プラズマが生じる。このプラズマジェットの場合に、プラズマは放電によりノズル内部で生成される。これらの電極は電気的に分離されている。一方の電極から他方の電極へスパークが移るほど高い電圧が印加される。放電が生じる。この場合、時間単位あたりで異なる量の放電を調節することができる。この放電は、直流電圧のパルスによって行うことができる。他の方法は、放電を交流電圧により達成することができる。
【0058】
方法工程IIIにおいて放射線又はプラズマを用いて繊維上にプレプレグを製造した後に、この生成物を積層し、型内に導入することができる。その後で、最終的な架橋が熱を用いて行われる。触媒の使用及び量に応じて、この架橋は80〜220℃の間の温度で72時間〜5秒で行われ、好ましくは140〜200℃の温度で、30分〜3分の硬化時間で行われる。好ましくは、架橋の間に外部圧力がかけられる。
【0059】
本発明により使用されるポリマー組成物は、低い粘度で極めて良好なレベリングを提供し、従って良好な含浸性及び硬化された状態で傑出した耐薬品性を提供する。脂肪族架橋剤、例えばIPDI又はH
12MDIを使用する場合、及び官能化されたポリ(メタ)アクリラートの本発明による使用によって、更に良好な耐候性が達成される。
【0060】
本発明により製造された複合材料半製品は、更に室温の条件下で極めて貯蔵安定性であり、一般に数週間、それどころか数ヶ月間貯蔵安定である。従って、この半製品はいつでも更に複合材料部材に加工することができる。これは、反応性でありかつ貯蔵安定性でない先行技術による系とは本質的に異なる、それというのも、これは塗布後すぐに、例えばポリウレタンに反応し、ひいては架橋し始めるためである。
【0061】
従って、貯蔵安定性の複合材料半製品は後の時点で更に複合材料部材に加工することができる。本発明による複合材料半製品を使用することで、イソシアナート成分を含む液状の樹脂成分が支持体の繊維を極めて良好に濡らすことにより繊維状の支持体の極めて良好な含浸が行われ、この場合に、第2の架橋反応を開始させることがある、ポリマー組成物の熱負荷は、ポリマー組成物の事前の均質化によって避けられ、更に個別の粒子フラクションに粉砕及び分級するプロセス工程は省かれるため、含浸された繊維状の支持体のより高い収量を達成することができる。
【0062】
本発明により製造された複合材料半製品の他の大きな利点は、溶融含浸法の場合又は粉末状の反応性ポリウレタン組成物の焼結の場合に少なくとも短時間不可欠である高温が、本発明による方法の場合には必須ではないことにある。
【0063】
本発明による方法の特別な観点
方法工程IIの含浸は、方法工程Iで製造された調製物で、繊維、織物又は繊維配列物を含浸することによって行う。好ましくはこの含浸は室温で行う。
【0064】
方法工程IIIの、樹脂成分の硬化は、方向工程IIの直後に行う。この硬化は、電磁波、好ましくはUV線、電子線の照射によって又はプラズマフィールドの印加によって行う。この場合に、温度は、方法工程Vのために必要な硬化温度を下回ることを留意しなければならない。
【0065】
本発明により製造された複合材料半製品/プレプレグは、方法工程III又はIVの後に室温で極めて高い貯蔵安定性を示す。これは、含まれる反応性ポリウレタン樹脂組成物に応じて室温で少なくとも数日である。一般に、この複合材料半製品は40℃以下で数週間貯蔵安定性であり、室温では数年間も貯蔵安定性である。こうして製造されたプレプレグは粘着性でなく、従って極めて良好に取り扱うことができ、かつ更に加工することができる。本発明により使用される反応性又は高反応性のポリウレタン樹脂組成物は、従って、繊維状の支持体上での極めて良好な付着及び分配を示す。
【0066】
方法工程IVでは、こうして製造された複合材料半製品/プレプレグを、必要に応じて多様な形に組み合わせかつ切断することができる。特に、強化のために複数の複合材料半製品を1つの複合材料にし、最終的にマトリックス材料をマトリックスに架橋させる前に切断し、場合により縫合するか又は他の方法で固定する。
【0067】
方法工程Vにおいて、複合材料半製品を最終的に硬化させて、熱硬化性に架橋されている成形品にする。これは、官能基の熱硬化、好ましくは樹脂成分1のヒドロキシ基とイソシアナート成分との熱硬化によって行われる。本発明の範囲内で、プレプレグから複合材料部材を製造するこの過程は、硬化時間に応じて、反応性のマトリックス材料(バリエーションI)を使用する場合に、約160℃以上の温度で行い、又は相応する触媒を有する高反応性マトリックス材料(バリエーションII)を使用する場合に、80℃以上の、特に100℃以上の温度で行う。特に、この硬化は、80〜200℃の温度で、特に好ましくは120〜180℃の温度で実施される。
【0068】
方法工程Vの場合の硬化の際に、この複合材料半製品を、付加的に適切な型中で加圧下でかつ場合により真空の印加下で圧縮することができる。
【0069】
本発明により使用される反応性ポリウレタン組成物は、通常の条件下で、例えばDBTL接触反応により、160℃より、通常では約180℃より硬化する。本発明により使用される反応性ポリウレタン組成物は、極めて良好なレベリングを提供し、従って良好な含浸性及び硬化された状態で傑出した耐薬品性を提供する。脂肪族架橋剤(例えばIPDI又はH
12MDI)を使用する場合、更に良好な耐候性が達成される。
【0070】
本発明により使用される高反応性の、それにより低温で硬化するイソシアナート成分を用いると、80〜160℃の硬化温度でエネルギー及び硬化時間が節約されるだけでなく、多様な温度に敏感な支持体を使用することもできる。
【0071】
第2の実施態様のウレトジオン基含有のポリウレタン組成物は、方法工程Vにおいて80〜160℃の温度で、かつ支持体の種類に応じて硬化される。好ましくは、この硬化温度は、120〜180℃、特に好ましくは120〜150℃であり、殊に好ましくは、硬化のための温度は130〜140℃の範囲内である。本発明により使用されるポリウレタン組成物を硬化するための時間は、5〜60分の間にある。
【0072】
しかしながら、方法工程Vにおける第2の硬化の反応を促進するための特別な触媒、例えば第4級アンモニウム塩、好ましくはカルボキシラート又はヒドロキシドを、特に好ましくは、エポキシド又は金属アセチルアセトナートと組み合せて、好ましくは第4級アンモニウムハロゲン化物と組み合わせて使用することも可能である。これらの触媒系は、第2の硬化のための硬化温度を100℃まで低めるか、又は高い温度でも短い硬化時間を要することを提供できる。
【0073】
プレプレグの他の構成要素
樹脂成分、支持体材料及びイソシアナート成分の他に更に、この複合材料半製品は、他の添加剤を有していてもよい。例えば光保護剤、例えば立体障害アミン又は、例えばEP 669 353に記載されているような他の助剤を0.05〜5質量%の全体量で添加することもできる。充填剤及び顔料、例えば二酸化チタンを全組成物の30質量%までの量で添加することができる。
本発明による反応性ポリウレタン組成物の製造のために、更に、添加物、例えばレベリング剤、例えばポリシリコーン又は定着剤、例えばアクリラートを基礎とする定着剤が添加されていてもよい。
【0074】
本発明の主題は、特に、ガラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維からなる繊維状の支持体を有するプリプレグの使用でもある。本発明の主題は、特に、ボード製造及び造船における、航空機及び宇宙船工業における、自動車製造における、二輪車のため、好ましくはオートバイ及び自転車のための、自動車、建築、医学技術、スポーツ、電子産業及び電気産業又は発電設備の分野での、例えば風力発電設備の回転翼のために、複合材料を製造するための、本発明により製造されたプレプレグの使用でもある。
【0075】
本発明の主題は、少なくとも1種の繊維状の支持体と、少なくとも1種の架橋された反応性組成物とから構成された、好ましくは、マトリックスとして(メタ)アクリラート樹脂を含む、架橋されたウレトジオン基を有する反応性組成物とから構成された、本発明により製造された複合材料半製品又はプレプレグから製造された成形品又は複合材料部材でもある。
【0076】
実施例
次のガラス繊維配列物/ガラス繊維織物をこの実施例で使用した:
ガラスフィラメント織物296g/m
2 − Atlas, Finish FK 144(Interglas 92626)
ウレトジオンを有する硬化剤Hの製造:
IPDIウレトジオン(Evonik Degussa GmbH)119.1gを、メチルメタクリラート100ml中に溶かし、メチルペンタンジオール27.5g及びトリメチロールプロパン3.5gを添加した。ジブチルスズジラウラート0.01gの添加後に、撹拌しながら4時間で80℃に加熱した。その後、滴定によって遊離NCO基がもはや検出されなかった。硬化剤Hは、12.8質量%(固体を基準として)の有効NCO潜在含有率を有している。
【0077】
反応性ポリウレタン組成物
次の配合を有する反応性ポリウレタン組成物をプレプレグ及び複合材料の製造のために使用した。
【0078】
比較例1は、WO 2011/071450からの教示に対応する。
【表1】
【0079】
この表からの使用物質を、予備ミキサー中で強力に混合し、引き続き溶解させた。この混合物は、ゲル化する前に約2〜3時間は使用することができる。
このプレプレグの製造のために、ガラス繊維織物にマトリックス材料の溶液を含浸させた。このプレプレグを炉内で30分間60℃の温度で一定重量になるまで乾燥した。この繊維材料割合は、この例1の場合に47%が測定された。
この例1のプレプレグは、乾燥後にマトリックスを基準として約34%の重量損失を示した。
含浸されたガラス繊維マットを、180℃でかつ50barで1時間圧縮し(Schwabenthan社のPolystat 200 T)、この場合完全に架橋した。この硬質の、剛性の、耐薬品性でかつ耐衝撃性の複合材料部材(プレート製品)は、119℃のTgを有する。
【表2】
【0080】
この表からの使用物質を、予備ミキサー中で強力に混合し、引き続き溶解させた。この混合物は、光の遮断下で、ゲル化することなく約1〜2年間貯蔵できる。
このプレプレグの製造のために、ガラス繊維織物にマトリックス材料の溶液を含浸させた。次いで、UV−LEDランプ(水冷のヒートシンクに基づくHeraeus Noble Cure(登録商標) 波長:395±5nm、出力密度:8W/cm
2(5mmの運転距離で) 放射窓:251×35mm
2)を用いて1.5m/minで乾燥させた。この繊維材料割合は、この実施例1の場合に54%が測定された。この実施例1のプレプレグは、乾燥後にマトリックスを基準として約12%の重量損失を示した。含浸されたガラス繊維マットを、180℃でかつ50barで1時間圧縮した(Schwabenthan社のPolystat 200 T)。この硬質の、剛性の、耐薬品性でかつ耐衝撃性の複合材料部材(プレート製品)は、123℃のTgを有する。
これにより、本発明による方法によって反応性希釈剤の損失を明らかに低減できることが示された。