(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0017】
以下、実施形態の灯体点灯システム1を、図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における灯体点灯システム1を備えた自動二輪車の概略を示す上面図である。
図1に示すように、車両である自動二輪車11の車体12には、前輪12aと後輪12bが設けられている。車体12の中央部に設けられた座席13に着座した運転者は、ハンドル14を操作して自動二輪車11を走行させる。
【0018】
図2は、第1の実施形態における灯体点灯システム1の概略構成の一例を示す図である。
図1及び
図2に示すように、灯体点灯システム1は、灯体15、表示スイッチ23及び灯体制御装置30を備える。
【0019】
図1に示すように、車体12の前方および後方の右側には、灯体15としての右側のターンシグナルランプ15aが設けられる。また、車体12の前方および後方の左側には、灯体としての左側のターンシグナルランプ15bが設けられる。また、
図1に示すように、表示スイッチ23が、車体12のハンドル14の部分に自動二輪車11の外部から操作可能に配置されている。例えば、灯体15は、発光ダイオードである。
【0020】
車体12の前後に配置される2つの右側のターンシグナルランプ15aは、互いに並列に接続され、車体12の前後に配置される2つの左側のターンシグナルランプ15bは互いに並列に接続されている。
【0021】
運転者が表示スイッチ23を操作することにより、左右のターンシグナルランプ15a及びターンシグナルランプ15bのいずれか一方を点滅表示、つまりターンシグナル表示(T/S表示)させ、自動二輪車11の進行方向を他車等に知らせることができる。すなわち、表示スイッチ23は、左右のターンシグナルランプ15a及びターンシグナルランプ15bのいずれか一方を点滅表示、つまりT/S表示させるためのターンシグナルスイッチである。
【0022】
図2に示すように、例えば、表示スイッチ23は、駆動用出力端子Lに接続される共通接続点23cと、右側のターンシグナルランプ15aに接続される右側接続点23aと、左側のターンシグナルランプ15bに接続される左側接続点23bと、を備えている。運転者の操作により、表示スイッチ23を投入(操作)すると、共通接続点23cは、右側接続点23a又は左側接続点23bのいずれか一方に選択的に接続される。表示スイッチ23が投入、つまりオンされたときには、右側のターンシグナルランプ15a又は左側のターンシグナルランプ15bのいずれか一方が、駆動用出力端子Lに接続される。そして、駆動用出力端子Lに接続されたターンシグナルランプ15a又は左側のターンシグナルランプ15bは、灯体制御装置30から出力される点滅信号に基づいて、点滅する。なお、表示スイッチ23は、左右のターンシグナルランプ15a及びターンシグナルランプ15bを同時に点滅表示、つまりハザード表示させるためのハザードスイッチを備えてもよい。すなわち、運転者が表示スイッチ23を投入することにより、左右のターンシグナルランプ15a及びターンシグナルランプ15bを同時に点滅表示、つまりハザード表示させることにより、故障等により路上に非常停止することを他車等に知らせるようにしてもよい。
【0023】
図2に示すように、灯体制御装置30には、駆動用電源端子Bと駆動用出力端子Lとが設けられ、駆動用電源端子Bは車体12に搭載された電源5に接続されている。本実施形態では、運転者が、イグニッションスイッチ2を投入することにより自動二輪車11の図示しないエンジンを始動させるとともに、電源5の電圧VBを駆動用電源端子Bを介して灯体制御装置30に供給することができる。例えば、電源5はバッテリである。電源5からイグニッションスイッチ2を介して駆動用電源端子Bに供給された電圧VBは、駆動用出力端子Lから灯体15を点滅させる点滅信号として出力される。すなわち、灯体制御装置30は、表示スイッチ23がオンされたときに、ターンシグナルランプ15a及びターンシグナルランプ15bの少なくとも一方を点滅表示させるために、点滅信号を駆動用出力端子Lから出力する。
【0024】
図2に示すように、灯体制御装置30は、制御部31、出力部32、入力部33、自己保持部34及びレベル調整部40を備える。
【0025】
制御部31は、入力部33から表示スイッチ23の状態を示す状態信号が出力される。制御部31は、入力部33から表示スイッチ23の状態を示す状態信号に基づいて、表示スイッチ23がオンされた否かを判定する。この状態信号は、High−Lowの2値化された信号である。例えば、表示スイッチ23がオンされている場合には状態信号がHighの信号であり、表示スイッチ23がオフされている場合には状態信号がLowの信号である。すなわち、制御部31は、入力部33から出力される状態信号がHigh(第1の論理)の信号である場合には、表示スイッチ23がオンされていると判定する。一方、制御部31は、入力部33から出力される状態信号がLow(第2の論理)の信号である場合には、表示スイッチ23がオフされていると判定する。
【0026】
制御部31は、入力部33から表示スイッチ23の状態を示す状態信号に基づいて、表示スイッチ23がオンされたと判定した場合には、灯体15の点滅のタイミング(以下、「点滅タイミング」という。)を指示する点滅指令信号を出力部32に出力する。例えば、点滅指令信号は、High−Lowの2値化された信号である。なお、制御部31は、表示スイッチ23がオフされていると判定した場合には、Lowの信号を出力部32に出力する。すなわち、制御部31は、表示スイッチ23がオフされていると判定した場合には、点滅指令信号を出力部32に出力しない。
【0027】
出力部32は、制御部31から出力される点滅指令信号に基づいて、電圧VBから灯体15を点滅させる点滅信号を生成する。そして、出力部32は、生成した点滅信号を駆動用出力端子Lから出力する。例えば、点滅信号は、点滅指令信号が指示する点滅タイミングに応じて、High(例えば、電圧VB)とLow(例えば、0V)とを一定周期で繰り返す信号である。これにより、点滅信号は、駆動用出力端子Lに接続された表示スイッチ23を介して灯体15に供給される。これにより、灯体15は、出力部32から供給された点滅信号に基づいて一定周期で点滅する。例えば、出力部32は、灯体15を点灯させるための出力電圧に変換する電圧変換回路や灯体15を点灯させるための電流に増幅する電流増幅回路である。
【0028】
入力部33は、レベル調整部40を介して取得した駆動用出力端子Lの信号レベルに基づいて表示スイッチ23の状態を示す状態信号を出力する。すなわち、入力部33は、駆動用出力端子からの信号レベルが第1レベルである場合には表示スイッチ23の状態がオン状態であることを示す第1の論理の状態信号を出力する。一方、入力部33は、駆動用出力端子からの信号レベルが第1レベルとは異なる第2レベルである場合には表示スイッチ23の状態がオフ状態であることを示す第2の論理の状態信号を出力する。ここで、例えば、第1レベルとは、信号の電圧がほぼ0V、すなわちLowの電圧レベルに相当する。第2レベルとは、信号の電圧が電圧VBである場合である。例えば、電圧VBは、Highの電圧レベルに相当する。
【0029】
例えば、表示スイッチ23がオンである場合には、駆動用出力端子Lが第1レベルになるように設定されている。一方、表示スイッチ23がオフである場合には、駆動用出力端子Lが第2レベルになるように設定されている。したがって、表示スイッチ23がオンである場合には、第1レベルの信号がレベル調整部40を介して入力部33に入力する。一方、表示スイッチ23がオフである場合には、第2レベルの信号がレベル調整部40を介して入力部33に入力する。
【0030】
例えば、入力部33は、2つの閾値であるV
th1、V
th2(<V
th1)を設け、駆動用出力端子Lの電圧レベルがV
th1以上である場合には、表示スイッチ23のオン状態を示す状態信号を制御部31に出力する。一方、入力部33は、駆動用出力端子Lの電圧レベルがV
th2以下である場合には、表示スイッチ23のオフ状態を示す状態信号を制御部31に出力する。この場合には、V
th1は、V
th2以上であり第
2レベル以下の値である。V
th2は、第
1レベル以上でありV
th1未満の値である。すなわち、V
th1以上の信号が第
2レベルの信号となり、V
th2以下の信号が第
1レベルの信号となる。
【0031】
例えば、状態信号は、High−Lowの2値化された信号である。例えば、入力部33は、表示スイッチ23のオン状態を示す状態信号としてHighの状態信号を制御部31に出力する。一方、入力部33は、表示スイッチ23のオフ状態を示す状態信号としてLowの状態信号を制御部31に出力する。
【0032】
レベル調整部40は、駆動用出力端子Lからの信号レベルと、予め設定された閾値とを比較することで灯体15側に生じるリーク電流を検出した場合には、第2レベルの信号を入力部33に出力する。例えば、レベル調整部40は、灯体15側に生じるリーク電流を検出した場合には、駆動用出力端子Lから供給される信号の信号レベルを第2レベルに変換する。そして、レベル調整部40は、第2レベルに変換した信号を入力部33に出力する。これにより、レベル調整部40は、リーク電流により灯体15の誤点灯を抑制する。
【0033】
例えば、一般的に気象等の外的要因により灯体15側にリーク電流が流れてしまう場合がある。
図1に示すように、自動二輪車11では、表示スイッチ23がハンドル14付近に設けられているため、表示スイッチ23が雨に濡れてリーク電流が発生した場合には、このリーク電流により灯体15が誤点灯する可能性がある。例えば、灯体15側にリーク電流が流れてしまった場合には、駆動用出力端子Lの信号レベルが低下する。したがって、駆動用出力端子Lの信号レベルで表示スイッチ23のオン状態又はオフ状態を判定すると、制御部31は、リーク電流により発生した駆動用出力端子Lの信号レベルの低下によって、表示スイッチ23がオン状態に移行したと誤認してしまう。その結果、制御部31は、点滅指令信号を出力してしまい、灯体15を点灯させてしまう。したがって、例えば、レベル調整部40は、リーク電流により駆動用出力端子Lの電圧レベルが低下してしまった場合に、駆動用出力端子Lから供給される信号の信号レベルを第2レベルに変換して入力部33に出力する。例えば、レベル調整部40は、駆動用出力端子Lの電圧レベルが、閾値Vth未満である場合には第1レベルの信号を入力部33に出力する。一方、レベル調整部40は、駆動用出力端子Lの電圧レベルが、閾値Vth以上である場合には第2レベルの信号を入力部33に出力する。ここで、閾値Vthは、リーク電流により発生する駆動用出力端子Lの電圧よりも高い電圧の値である。
【0034】
自己保持部34は、出力部32と入力部33との間に設けられている。灯体15が点滅状態にある場合には、点滅指令信号の論理に基づいて状態信号の論理を保持する。上述したように、入力部33は、レベル調整部40から出力される信号の信号レベルに基づいて、表示スイッチ23の状態を示す状態信号を出力する。例えば、入力部33は、レベル調整部40から出力される信号の信号レベルがV
th2以下である場合には、表示スイッチ23のオフ状態を示す状態信号を制御部31に出力する。ただし、表示スイッチ23がオン状態において、駆動用出力端子Lの信号レベルがV
th2以下になる場合が存在する。すなわち、灯体15を点滅させる点滅信号は、High(例えば、電圧VB)とLow(例えば、0V)とを一定周期で繰り返す信号であるため、出力部32が点滅信号を駆動用出力端子Lを介して灯体15に出力し灯体15を点滅させる場合にも、駆動用出力端子Lの信号レベルがV
th2以下になる場合が存在することになる。この場合において、入力部33は、表示スイッチ23のオフ状態を示す状態信号を制御部31に出力してしまい、灯体15の点滅を停止させてしまう。すなわち、入力部33は、表示スイッチ23がオン状態であるのにもかかわらず、オフ状態であると認識してしまう可能性がある。この問題を解決するために、自己保持部34は、灯体15が点滅状態にある場合には、状態信号の論理をHighに保持する。また、自己保持部34は、表示スイッチ23がオフ状態になった場合には、状態信号の論理をHighに保持する論理保持をリセットする。
【0035】
以下、本実施形態における灯体制御装置30の回路例を説明する。
図3は、第1の実施形態における灯体制御装置30の回路例を示す図である。
【0036】
出力部32は、抵抗R3〜R6、スイッチング素子Tr1及びスイッチング素子Tr2を備える。なお、スイッチング素子Tr1,Tr2は、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)、MOS−FET(metal oxide semiconductor field-effect transistor)及びBJT(bipolar junction transistor)の何れか一つで構成されてもよい。本実施形態では、スイッチング素子Tr1がNPN型のBJTであり、Tr2がPチャネルのMOS−FETである場合について、説明する。
【0037】
抵抗R3は、スイッチング素子Tr1の入力抵抗であり、制御部31の出力端子31aとスイッチング素子Tr1のベースとの間に接続されている。抵抗R4は、スイッチング素子Tr1のベースとエミッタとの間に接続されている。これにより、制御部31の出力端子31aから抵抗R3を介してスイッチング素子TR1にHighの点滅指令信号が出力されると、スイッチング素子Tr1のコレクタとエミッタとの間がオン状態となる。一方、制御部31の出力端子31aから抵抗R3を介してスイッチング素子Tr1にLowの点滅指令信号が出力されると、スイッチング素子Tr1のコレクタとエミッタとの間がオフ状態となる。
【0038】
抵抗R5は、スイッチング素子Tr1のコレクタとスイッチング素子Tr2のゲートとの間に接続されている。抵抗R
6は、スイッチング素子Tr2のゲートとソースとの間に接続されている。そして、スイッチング素子Tr2は、ソースが駆動用電源端子Bに接続されており、ドレインがダイオードD1を介して駆動用出力端子Lに接続されている。ダイオードD1は、駆動用出力端子Lからの逆流を防ぐためのものであり、アノードがスイッチング素子Tr2のソースに接続され、カソードが駆動用出力端子Lに接続されている。これにより、スイッチング素子Tr1のコレクタとエミッタとの間がオン状態となった場合には、スイッチング素子Tr2のソースとコレクタとの間がオン状態となるため、駆動用出力端子Lに電圧VBが印加される。一方、スイッチング素子Tr1のコレクタとエミッタとの間がオフ状態となった場合には、スイッチング素子Tr2のソースとコレクタとの間がオフ状態となるため、点滅指令信号が制御部31
から出力されている場合において駆動用出力端子Lに電圧0Vが印加される。
【0039】
入力部33は、抵抗R7,R8、トランジスタTr3を備える。トランジスタTr3は、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)、MOS−FET(metal oxide semiconductor field-effect transistor)及びBJT(bipolar junction transistor)の何れか一つで構成されてもよい。本実施形態では、スイッチング素子Tr3がPNP型のBJTである場合について、説明する。
【0040】
抵抗R8は、一端がスイッチング素子Tr3のベースに接続されている。また、抵抗7は、スイッチング素子Tr3のエミッタとベースとの間に接続されている。スイッチング素子Tr3は、エミッタが電源Vccに接続され、コレクタが制御部31に接続されている。電源Vccは、制御部31が読み取り可能な電源電圧であり、制御部31がHighと認識する電圧レベルの電圧である。したがって、表示スイッチ23がオフ状態である場合には、スイッチング素子Tr3のベースがHighとなるため、スイッチング素子Tr3はオフ状態となる。したがって、制御部31の入力端子31bには、Lowの状態信号が入力する。一方、表示スイッチ23がオフ状態からオン状態に操作された場合には、スイッチング素子Tr3のベースがHighからLowになるため、スイッチング素子Tr3はオフ状態からオン状態に移行する。したがって、制御部31の入力端子31bには、Highの状態信号が入力する。
【0041】
自己保持部34は、スイッチング素子Tr1のコレクタと、抵抗R8の他端の点Aとを接続する。すなわち、自己保持部34は、スイッチング素子Tr1のコレクタの電圧レベル(論理)と、抵抗R8の他端の電圧レベル(論理)とを揃える機能を有する。換言すれば、自己保持部34は、スイッチング素子Tr1のコレクタの電圧レベル(論理)を、抵抗R8の他端の電圧レベルに反映させる機能を有する。この自己保持部34は、表示スイッチ23がオン状態であって、制御部31の出力端子31aから点滅指示信号のHighが出力されている間、スイッチング素子Tr1のコレクタの電圧レベルの論理と点Aの電圧レベルの論理とを一致させることを目的としている。
【0042】
図4は、第1の実施形態における自己保持部34について、説明する図である。
図4に示すように、表示スイッチ23がオンに操作されると、駆動用出力端子Lの電圧レベルがHighからLowに移行する。そして、点Aの電圧レベルがHighからLowに移行し、制御部31の入力端子31bにHighの状態信号が入力される。そのため、制御部31は、表示スイッチ23がオンされたと判定し、出力端子31aから点滅指令信号を出力する。この点滅指令信号がHighである場合には、スイッチング素子Tr1のコレクタの電圧レベルはLowである。したがって、Lowの点滅信号が駆動用出力端子Lから出力されるため、駆動用出力端子Lの電圧レベルはLowである。したがって、点Aの電圧レベルもLowとなり、制御部31の入力端子31bにHighの状態信号が入力される。したがって、制御部31は、表示スイッチ23がオン状態であると判定し、出力端子31aからの点滅指令信号の出力を継続する。
【0043】
一方、点滅指令信号がHighである場合には、スイッチング素子Tr1のコレクタの電圧レベルはLowである。したがって、Highの点滅信号が駆動用出力端子Lから出力されるため、駆動用出力端子Lの電圧レベルはHighである。ここで、自己保持部34がない場合には、点Aの電圧レベルもHighとなり、制御部31の入力端子31bにLowの状態信号が入力される。したがって、制御部31は、表示スイッチ23がオフ状態であると判定し、出力端子31aからの点滅指令信号の出力を停止する。すなわち、制御部31は、表示スイッチ23がオン状態にも係わらず、点滅指令信号の出力を停止し、灯体15の点滅を停止させてしまう。本実施形態では、制御部31の出力端子31aから点滅指示信号のHighが出力されている間、スイッチング素子Tr1のコレクタの電圧レベルと点Aの電圧レベルとを一致させる自己保持部34を有する。したがって、駆動用出力端子Lの電圧レベルがHighであったとしても、点Aの電圧レベルは、スイッチング素子Tr1のコレクタの電圧レベル、すなわちLowに保持される。これにより、制御部31の入力端子31bにHighの状態信号が入力される。そのため、制御部31は、点滅指令信号がHighである場合においても、表示スイッチ23がオン状態であると判定し、出力端子31aからの点滅指令信号の出力を継続することができる。
【0044】
例えば、レベル調整部40は、灯体15と並列に設けられた電源部(例えば、VB)と、該電源部に直列に設けられた抵抗部(例えば、抵抗R9)と、閾値以下の電圧降下を遮断するフィルタ部(例えば、D3)と、を備える。
具体的には、レベル調整部40は、抵抗R9及びツェナーダイオードD3を備える。
抵抗R9は、ダイオードD2のアノードと、ツェナーダイオードD3のアノードとの接続点を電圧VBにプルアップするプルアップ抵抗である。
ツェナーダイオードD3は、カソードが点Aに接続されている。
【0045】
以下に、レベル調整部40におけるリーク電流の検出方法について、説明する。
例えば、表示スイッチ23が雨に濡れた場合や表示スイッチ23の劣化等による絶縁抵抗の低下により、灯体制御装置30から灯体15にリーク電流が発生したとする。このとき、表示スイッチ23の抵抗成分を抵抗Rs、リーク電流をリーク電流Irとした場合には、駆動用出力端子Lには、Vr=Rs×Irの電圧が発生する。なお、本実施形態では、抵抗R1,R2の抵抗成分は、抵抗Rsに比べて十分に小さく、無視できるものとする。ここで、Vrは、以下の式で表される。
Vr=Rs×Ir=VB×(Rs/(R9+Rs))・・・(1)
したがって、抵抗Rsの抵抗値によって、リーク電流Irにより発生する駆動用出力端子Lの電圧Vrを調整可能となる。
【0046】
ツェナーダイオードD3は、逆方向に電圧を印加すると、ある電圧値(以下、「ツェナー電圧」という。)でツェナー降伏(なだれ降伏)が発生し、流れる電流値に拘わらず一定の電圧が得られるもので、電圧の基準として使用される。すなわち、ツェナーダイオードD3の両端の電位差がツェナー電圧を超えた場合には、ツェナー降伏する、すなわち点AがLowに移行することになる。したがって、リーク電流Irにより発生する駆動用出力端子Lの電圧Vrと、点Aの電圧との電圧差がツェナー電圧以下になるように、抵抗R9の抵抗値及びツェナー電圧を設定する。これにより、表示スイッチ23がオフの状態において、リーク電流Irにより駆動用出力端子LにVrが発生しても、点AがLowに移行することがないため、入力部33に入力する信号レベルはV
th1以上となり、灯体15の誤点灯が防止される。そして、表示スイッチ23がオンされることで、駆動用出力端子LがVrよりも十分低い電圧であるLowになった場合には、ツェナー降伏(なだれ降伏)が発生し、点AがLowに移行するため、入力部33に入力する信号レベルは、V
th2以下となる。これにより、灯体制御装置30は、表示スイッチ23がオンされたときに、確実に灯体15の点滅を行うことができる。換言すれば、レベル調整部40は、駆動用出力端子Lの電圧が予め設定された閾値Vth未満になった場合に、点Aの電圧レベルをLowに移行する機能を備える。
【0047】
上述したように、第1の実施形態における灯体制御装置30は、車両に設けられた表示スイッチの操作に伴って、前記車両に設けられる灯体の点滅を制御する灯体制御装置であって、灯体15の点滅タイミングを指示する点滅指令信号に基づいて、灯体15を点滅させる点滅信号を駆動用出力端子Lから灯体15に出力する出力部32と、駆動用出力端子Lからの信号レベルが第1レベルである場合には表示スイッチ23の状態がオン状態であることを示す第1の論理の状態信号を出力し、その信号レベルが第1レベルとは異なる第2レベルである場合には表示スイッチ23の状態がオフ状態であることを示す第2の論理の状態信号を出力する入力部33と、入力部33から出力される状態信号の論理が第1の論理である場合には、点滅指令信号を出力部32に出力する制御部31と、駆動用出力端子Lからの信号レベルと、予め設定された閾値Vthとを比較することで灯体15側に生じるリーク電流を検出した場合には、駆動用出力端子Lからの信号レベルを第2レベルに変換し、第2レベルに変換した信号を入力部33に出力するレベル調整部40と、を備える。
【0048】
これにより、表示スイッチ23がオンされたことを駆動用出力端子Lから供給される信号レベルに基づいて検出することができるため、新たな端子を増加せずに、灯体15の点滅タイミングを一定にすることができる。そのため、サイズの増大を抑制し、ターンシグナルスイッチがユーザに操作されるタイミングに係わらず、灯体の点滅タイミングが一定に制御することができる。また、レベル調整部40は、駆動用出力端子からの信号レベルと、閾値Vthとを比較することで灯体15側に生じるリーク電流を検出した場合には、第2レベルの信号を入力部33に出力する。これにより、リーク電流による灯体15の誤点灯を防止可能である。
【0049】
また、雨水等により表示スイッチ23の絶縁性が低下したことを検出する検出感度において、レベル調整部40の抵抗R9やツェナーダイオードD3のツェナー電圧を変更することで容易に調整可能である。したがって、閾値Vthを容易に調整可能であるともに、灯体15の自由度が増し、灯体15の小型化及び軽量化に寄与することができる。
【0050】
また、第1の実施形態における灯体制御装置30は、灯体15側に生じるリーク電流を検出するセンサを別途設けずに、利用者の意図しないタイミングでの灯体の点滅動作を防止することができる。
【0051】
また、第1の実施形態における灯体制御装置30は、灯体制御装置30内にリーク電流を検出するレベル調整部40を備えているため、灯体15にリーク電流を検出する機能を備える従来の場合と比較して、灯体15のサイズを小型化することが可能となる。
【0052】
また、上述したように、第1の実施形態における灯体制御装置30は、自己保持部34により、灯体15の点滅開始後の状態信号の信号レベルを保持することが可能となり、出力部32と入力部33とを一体化、すなわち、出力部32の出力と入力部33の入力とを共有化することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態における灯体点灯システム1Aの概略構成の一例を示す図である。第2の実施形態における灯体点灯システム1Aは、第1の実施形態と比較して、レベル調整部40におけるリーク電流の検出性能をより向上させた構成を有する。
【0054】
灯体点灯システム1Aは、灯体15、表示スイッチ23、灯体制御装置及びバイアス抵抗RBを備える。
以下に、第2の実施形態における灯体点灯システム1Aの回路例を説明する。
図3は、第1の実施形態における灯体点灯システム1Aの回路例を示す図である。
【0055】
第1の実施形態における灯体点灯システム1において、海水や雨水等が表示スイッチ23の内部に侵入し、比較的に絶縁抵抗の抵抗値が低くなった場合でも、灯体15を誤点灯させないようにすることが望ましい。すなわち、海水や雨水等が表示スイッチ23の内部に侵入し、比較的に絶縁抵抗の抵抗値が低くなった場合でも、表示スイッチ23の絶縁劣化によるリーク電流が発生したと認識させ、制御部31の入力端子31bにLowの状態信号が入力することが望ましい。その場合には、駆動用出力端子Lから灯体15側に向かって流れ出す電流Iinを上げることで閾値Vthを下げる。これにより、表示スイッチ23の絶縁劣化抵抗成分である抵抗Rsが低い状態のときでも、この抵抗Rsによる電圧降下が高くなり、表示スイッチ23がオフ状態のときにおいて第1レベルの信号が入力部33に入力されないようにすることが可能となる。例えば、レベル調整部40の抵抗R9の抵抗値を下げることで、閾値Vthを下げ、電流Iinを大きくすることができる。
【0056】
しかしながら、この電流Iinを大きくすると、駆動用出力端子Lから出力される点滅信号がLowの場合でも、駆動用出力端子Lから灯体15側に向かって流れ出す電流Iinによって灯体15が暗点灯する場合がある。したがって、第2の実施形態における灯体点灯システム1Aは、電流Iinによる灯体15の暗点灯を抑制するために、灯体15に対して並列に接続されたバイアス抵抗RBを備える。
以下に、第2の実施形態におけるバイアス抵抗RBについて、説明する。
【0057】
図6に示すように、駆動用出力端子Lから灯体15側に向かって電流Iinが流れ出したとする。この場合において、バイアス抵抗RBの両端の電圧降下が、灯体15の順方向電圧VFを上回るまで、灯体15に流れる電流を遮断することができる。すなわち、以下に示す式が成立している場合には、灯体15側に電流が流れることはない。
【0058】
VF>バイアス抵抗RBの抵抗値×Iin・・・(2)
【0059】
したがって、上記式(2)の関係が成立するようなバイアス抵抗RBの抵抗値を設定すれば、所望の閾値Vthを設定することができるとともに、電流Iinを大きくすることができる。したがって、電流Iinによる灯体15の暗点灯を防止しながら、レベル調整部40におけるリーク電流の精度を向上させることができる。
【0060】
上述したように、第2の実施形態における灯体点灯システム1Aは、灯体15に対して並列に接続されたバイアス抵抗を備える。したがって、灯体点灯システム1Aは、第1の実施形態と同様な効果を奏するとともに、電流Iinによる灯体15の暗点灯を防止しながら、レベル調整部40におけるリーク電流の精度を向上させることができる。
【0061】
灯体制御装置30各部は、ハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェアにより実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。
【0062】
上述した実施形態における灯体制御装置30をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0063】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。