(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る共振型電力送信装置1の構成例を示す図である。
共振型電力送信装置1は、
図1に示すように、一次電源101、インバータ回路(第1のインバータ回路)102、インバータ回路(第2のインバータ回路)103、制御部104、送信アンテナ105及び抑制アンテナ106を備えている。
【0010】
一次電源101は、電力を出力する。なお、一次電源101が出力する電力は、直流電力又は交流電力のいずれであってもよい。
【0011】
インバータ回路102は、一次電源101からの電力を高周波電力に変換して出力する。このインバータ回路102は、E級インバータ回路等の共振型スイッチング方式のインバータ回路である。
【0012】
インバータ回路103は、一次電源101からの電力を、インバータ回路102により出力される高周波電力に含まれる高調波と同一(略同一の意味を含む)周波数である高周波電力に変換して出力する。ここで、インバータ回路103は、通常、低減対象である高調波のうちの最も低い周波数と同一周波数である高周波電力を出力する。このインバータ回路103は、E級インバータ回路等の共振型スイッチング方式のインバータ回路である。
【0013】
制御部104は、インバータ回路102,103を制御する。この制御部104は、例えば
図1に示すように、電力制御部1041及び位相制御部1042を備えている。
【0014】
電力制御部1041は、インバータ回路103における出力電力の大きさを制御する。例えば、低減対象である高調波は基本波と比較して十分小さく、その電力比率は装置の構成時点で大凡決まるため、電力制御部1041は、予め、インバータ回路103における出力電力の大きさを、インバータ回路102における出力電力の1%以下に設定する。
【0015】
位相制御部1042は、インバータ回路102,103間の相対位相を制御する。具体的には、位相制御部1042は、インバータ回路102における出力電力の位相とインバータ回路103における出力電力の位相とを逆位相とする。
【0016】
送信アンテナ105は、インバータ回路102の出力端に接続された送信コイル1051を有し、当該インバータ回路102により出力される高周波電力と同一(略同一の意味を含む)周波数で共振する。なお、送信アンテナ105による電力伝送方式は特に限定されず、磁界共鳴による方式、電界共鳴による方式、電磁誘導による方式のいずれであってもよい。
【0017】
抑制アンテナ106は、インバータ回路103の出力端に接続され且つ送信コイル1051に対して外周又は内周に配置された抑制コイル1061を有し、当該インバータ回路103により出力される高周波電力と同一(略同一の意味を含む)周波数で共振する。
【0018】
次に、送信アンテナ105及び抑制アンテナ106の構成例について、
図2を参照しながら説明する。
図2に示す送信アンテナ105では、送信コイル1051に加え、当該送信コイル1051の共振条件を調整する共振キャパシタ1052,1053が設けられている。同様に、
図2に示す抑制アンテナ106では、抑制コイル1061に加え、当該抑制コイル1061の共振条件を調整する共振キャパシタ1062,1063が設けられている。また
図2では、抑制コイル1061は、送信コイル1051に対して外周に配置され、且つ、巻線方向が送信コイル1051の巻線方向と同一方向となっている。なお、送信コイル1051と抑制コイル1061との間の距離は任意に設定可能である。
【0019】
そして、
図2に示す送信アンテナ105及び抑制アンテナ106に対し、
図1に示す位相制御部1042では、インバータ回路102における出力電力の位相とインバータ回路103における出力電力の位相を逆位相としている。よって、
図2に矢印で示すように、送信コイル1051に流れる電流の方向と抑制コイル1061に流れる電流の方向は逆方向となり、送信アンテナ105から放射された高調波を、抑制アンテナ106から放射した電磁波により打ち消して低減できる。
【0020】
ここで、送信アンテナに交流電力が入力される場合において、当該交流電力が理想的な正弦波である場合には、当該交流電力に高調波は含まれない。しかしながら、実際には、交流電力には歪が生じているため、当該交流電力に高調波が含まれている。
また、例えば送信アンテナの後段に共振型電力受信装置が接続される場合、その共振型電力受信装置内にブリッジ整流回路が設けられている場合がある。このブリッジ整流回路はシリコンダイオード等の半導体材料で構成されており、半導体材料は非線形な特性を有している。このように、送信アンテナの後段に、非線形な特性を有する半導体材料から成る回路が接続される場合、送信アンテナから出力された正弦波が当該回路により矩形状の波形に変換され、高調波が生じてしまう。
そこで、実施の形態1に係る共振型電力送信装置1では、上記のようにして発生する高調波の低減を目的としている。
【0021】
例えば、共振周波数がfである送信アンテナ105のみに対し、基準周波数がfである正弦波状の電力が入力されると、
図3A、
図5Aに示すように、基準周波数fの2倍、3倍、4倍、・・・の高調波が電磁放射される。
それに対し、例えば、共振周波数が2fである抑制アンテナ106に対し、上記正弦波状の2倍波である電力を入力すると、2倍波の逆位相電磁波が放射される。その結果、
図3Bに示すように、基準周波数fの2倍、4倍、6倍、・・・の高調波が打ち消されて低減する。
【0022】
また、
図4Aに示す周期2π且つ時比率50%である理想的な矩形波をフーリエ級数展開すると、下式(1)のようになる。なお式(1)において、ωは交流電力の角周波数である。
このように、理想的な矩形波は、奇数次の高調波が足し合わされて構成されている。
更に、
図4Bに示すように矩形波の時比率を制御したり、歪ませたりすることで、偶数次の高調波を含めることや、特定の高調波を含めたり除かせたりすることもできる。
よって、抑制アンテナ106に対し上記のような矩形波を入力することでも、高調波を低減できる。
【0023】
すなわち、例えば、共振周波数がfである抑制アンテナ106に対し、基準周波数がfである矩形波の電力を入力すると、矩形波の逆位相電磁波が放射される。なお、この矩形波には、基準周波数fの3倍、5倍、7倍、・・・の高調波に加え、2倍、4倍の高調波も僅かに含まれるものとする。その結果、
図5Bに示すように、基準周波数fの3倍、5倍、7倍、・・・の高調波が打ち消されて低減し、また、2倍、4倍の高調波も僅かに低減する。
このように、低減効果のある高調波スペクトラムの特性は、抑制アンテナ106に入力される電力の周波数成分により決まる。
【0024】
なお、送信コイル1051は、いかなる巻き数であってもよいし、形状も
図2に示す円形状に限らず、四角形状又は三角形状等、任意の形状でよい。
同様に、抑制コイル1061は、いかなる巻き数であってもよいし、形状も
図2に示す円形状に限らず、四角形状又は三角形状等、任意の形状でよい。なお、
図2Aでは抑制コイル1061の巻き数を1巻きとした場合を示し、
図2Bでは抑制コイル1061の巻き数を2巻きとした場合を示している。抑制コイル1061の巻き数を増やすことで、同一の出力で打ち消せる高調波の電磁界強度を大きくすることができる。
【0025】
また、送信コイル1051は、
図2に示すショート型に限らず、
図6に示すオープン型としてもよい。また、送信コイル1051は、
図2に示すスパイラル巻きに限らず、
図6に示すヘリカル巻きとしてもよい。また、
図2に示す共振キャパシタ1052,1053は必須の構成ではなく、
図6に示すように、送信アンテナ105を送信コイル1051のみから構成してもよい。
【0026】
同様に、抑制コイル1061は、
図2及び
図6Aに示すショート型に限らず、
図6Bに示すオープン型としてもよい。また、抑制コイル1061は、
図2及び
図6Aに示すスパイラル巻きに限らず、
図6Bに示すヘリカル巻きとしてもよい。また、
図2に示す共振キャパシタ1062,1063は必須の構成ではなく、
図6に示すように、抑制アンテナ106を抑制コイル1061のみから構成してもよい。
【0027】
また
図2,6では抑制コイル1061は送信コイル1051に対して外周に配置されているが、抑制コイル1061は送信コイル1051に対して内周に配置されてもよいし、また、互いの中心軸がずれていてもよい。
【0028】
また
図1,2では、位相制御部1042によりインバータ回路102における出力電力の位相とインバータ回路103における出力電力の位相を逆位相とし、送信コイル1051と抑制コイル1061の巻線方向を同一方向とした場合を示した。しかしながら、これに限らず、
図7に示すように、送信コイル1051と抑制コイル1061の巻線方向を逆方向としてもよい。この場合には、位相制御部1042は不要となる。
【0029】
また
図1では、電力制御部1041は、インバータ回路103における出力電力の大きさを、固定値で制御することを想定している。それに対し、電力制御部1041は、上記出力電力の大きさを自動で制御してもよい。この場合、例えば
図8に示すように、共振型電力送信装置1の出力付近に、当該共振型電力送信装置1から不要放射されている電磁界の強度を検出する電磁界強度検出部107を配置する。そして、電力制御部1041は、電磁界強度検出部107による検出結果に基づき、共振型電力送信装置1から不要放射されている電磁界の強度が低減するように、上記出力電力の大きさを制御する。
【0030】
以上のように、この実施の形態1によれば、高周波電力を出力するインバータ回路102と、上記高周波電力に含まれる高調波と同一周波数である高周波電力を出力するインバータ回路103と、インバータ回路103における出力電力の大きさを制御する電力制御部1041と、インバータ回路102の出力端に接続された送信コイル1051を有し、当該インバータ回路102により出力される高周波電力と同一周波数で共振する送信アンテナ105と、インバータ回路103の出力端に接続され且つ送信コイル1051に対して外周又は内周に配置された抑制コイル1061を有し、当該インバータ回路103により出力される高周波電力と同一周波数で共振する抑制アンテナ106とを備え、送信コイル1051に流れる電流の方向と抑制コイル1061に流れる電流の方向は逆方向であるように構成したので、必要な伝送電力へは影響させずに、高調波を低減できる。
【0031】
また、共振型電力送信装置1では、従来構成と異なり、送信アンテナ105に正弦波状の電力が入力された場合であっても高調波を低減できる。
また、共振型電力送信装置1では、偶数次及び奇数次の高調波成分を選択して低減可能なため、受信側に設けられた非線形な特性を持つ回路から発生する高調波成分に応じて、低減対策を取ることができる。
また、従来の送信装置では、送信アンテナの後段に何も接続されていない場合であっても、送信装置がアクティブ状態となっている場合には高調波が放射される。一方、共振型電力送信装置1では、そのような状況であっても、高調波を低減できる。
【0032】
実施の形態2.
図9はこの発明の実施の形態2に係る共振型電力送信装置1の構成例を示す図である。この
図9に示す実施の形態2に係る共振型電力送信装置1では、
図1に示す実施の形態1に係る共振型電力送信装置1からインバータ回路103及び制御部104を取除き、抑制アンテナ106を抑制アンテナ106bに変更している。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
抑制アンテナ106bは、送信コイル1051に並列接続され且つ当該送信コイル1051に対して外周又は内周に配置された抑制コイル1061bを有し、インバータ回路102により出力された高周波電力に含まれる高調波に基づく周波数で共振する。ここで、
図10に示すように、抑制アンテナ106bでは、通常、低減対象である高調波のうちの最も低い周波数を基準の周波数fとし、共振周波数をその周波数fからずらすことで、低減対象である高調波の電磁界強度に応じて電磁界放射レベル(放射電力)を調整する。
【0034】
次に、抑制アンテナ106bの構成例について、
図11を参照しながら説明する。なお送信アンテナ105については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
図11に示す抑制アンテナ106bでは、抑制コイル1061bに加え、当該抑制コイル1061bの共振条件を調整する共振キャパシタ1062b,1063bが設けられている。また
図11では、抑制コイル1061bは、送信コイル1051に対して外周に配置されている。また、送信コイル1051の巻線方向と抑制コイル1061bの巻線方向は逆方向となっている。なお、送信コイル1051と抑制コイル1061bとの間の距離は任意に設定可能である。
【0035】
図11に示す構成により、送信コイル1051に流れる電流の方向と抑制コイル1061bに流れる電流の方向は逆方向となり、送信アンテナ105から放射された高調波を、抑制アンテナ106bから放射した電磁波により打ち消して低減できる。
【0036】
例えば、共振周波数がfである送信アンテナ105に対し、基準周波数がfである正弦波状の電力が入力されると、
図3A、
図5Aと同様に、基準周波数fの2倍、3倍、4倍、・・・の高調波が電磁放射される。
それに対し、抑制アンテナ106bの共振周波数が2fである場合、抑制アンテナ106bから2倍波の逆位相電磁波が放射される。その結果、基準周波数fの2倍、4倍、6倍、・・・の高調波が打ち消され低減する。
なお、低減効果のある高調波スペクトラムの特性は、抑制アンテナ106bの共振周波数により決まる。
【0037】
なお、抑制コイル1061bは、いかなる巻き数であってもよいし、形状も
図11に示す円形状に限らず、四角形状又は三角形状等、任意の形状でよい。また、抑制コイル1061bの巻き数を増やすことで、同一の出力で打ち消せる高調波の電磁界強度を大きくすることができる。
また、抑制コイル1061bは、
図11に示すショート型に限らず、オープン型としてもよい。また、抑制コイル1061bは、
図11に示すスパイラル巻きに限らず、ヘリカル巻きとしてもよい。また、
図11に示す共振キャパシタ1062b,1063bは必須の構成ではなく、抑制アンテナ106bを抑制コイル1061bのみから構成してもよい。
【0038】
また
図11では抑制コイル1061bは送信コイル1051に対して外周に配置されているが、抑制コイル1061bは送信コイル1051に対して内周に配置されてもよいし、また、互いの中心軸がずれていてもよい。
【0039】
また、共振キャパシタ1062b,1063bは、
図11に示す固定型に限らず、可変型としてもよい。これにより、共振型電力送信装置1の製造後に、共振周波数の微調整を行うことが可能となる。
【0040】
以上のように、この実施の形態2によれば、高周波電力を出力するインバータ回路102と、インバータ回路102の出力端に接続された送信コイル1051を有し、上記高周波電力と同一周波数で共振する送信アンテナ105と、送信コイル1051に並列接続され且つ当該送信コイル1051に対して外周又は内周に配置された抑制コイル1061bを有し、上記高周波電力に含まれる高調波に基づく周波数で共振する抑制アンテナ106bとを備え、送信コイル1051の巻線方向と抑制コイル1061bの巻線方向は逆方向であるように構成しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2に係る共振型電力送信装置1は、実施の形態1に係る共振型電力送信装置1に対し、簡易に構成可能である。また、実施の形態2に係る共振型電力送信装置1は、小電力を用いるシステムに適用する際に有効である。
【0041】
実施の形態3.
図12はこの発明の実施の形態3における送信アンテナ105及び抑制アンテナ106の構成例を示す図である。この
図12に示す実施の形態3における送信アンテナ105では、
図2に示す実施の形態1における送信コイル1051の形状を変更している。その他の構成については同様であり、その説明を省略する。
【0042】
実施の形態3における送信コイル1051は、
図12に示すように、外周の巻線方向が内周に対して逆方向となっている。なお、外周の巻数は、内周よりも少なければ何巻きでもよい。例えば、内周を10巻きとし、外周を3巻きとしてもよい。
このように、送信コイル1051の外周の巻線方向を内周に対して逆方向とすることで、送信コイル1051の外周部分によっても高調波成分を全体的に低減でき、実施の形態1に対し、高調波に対する低減効果が更に向上する。
【0043】
なお上記では、
図2に示す送信アンテナ105に対し、送信コイル1051の形状を変更した場合を示した。しかしながら、これに限らず、
図6,7,11等に示す他の送信アンテナ105に対し、送信コイル1051の形状を変更してもよい。
【0044】
実施の形態4.
図13はこの発明の実施の形態4に係る共振型電力送信装置1の構成例を示す図である。この
図13に示す実施の形態4に係る共振型電力送信装置1では、
図1に示す実施の形態1に係る共振型電力送信装置1から抑制アンテナ106を取除き、電力合成部108を追加し、送信アンテナ105の接続関係を変更している。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
電力合成部108は、インバータ回路102により出力された高周波電力とインバータ回路103により出力された高周波電力とを合成して出力する。
送信アンテナ105は、電力合成部108の出力端に接続され、インバータ回路102により出力される高周波電力の周波数と同一(略同一の意味を含む)周波数で共振する。なお、実施の形態4における送信アンテナ105は、接続関係以外は実施の形態1における送信アンテナ105と同様である。
【0046】
また
図13では、電力制御部1041は、インバータ回路103における出力電力の大きさを、固定値で制御することを想定している。それに対し、電力制御部1041は、上記出力電力の大きさを自動で制御してもよい。この場合、例えば
図14に示すように、共振型電力送信装置1の出力付近に、当該共振型電力送信装置1から不要放射されている電磁界の強度を検出する電磁界強度検出部107を配置する。そして、電力制御部1041は、電磁界強度検出部107による検出結果に基づき、共振型電力送信装置1から不要放射されている電磁界の強度が低減するように、上記出力電力の大きさを制御する。
【0047】
以上のように、この実施の形態4によれば、高周波電力を出力するインバータ回路102と、上記高周波電力に含まれる高調波と同一周波数である高周波電力を出力するインバータ回路103と、インバータ回路103における出力電力の大きさを制御する電力制御部1041と、インバータ回路102における出力電力の位相とインバータ回路103における出力電力の位相を逆位相とする位相制御部1042と、インバータ回路102により出力された高周波電力とインバータ回路103により出力された高周波電力とを合成して出力する電力合成部108と、電力合成部108の出力端に接続され、インバータ回路102により出力される高周波電力と同一周波数で共振する送信アンテナ105とを備えても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0048】
実施の形態5.
実施の形態5では、実施の形態1〜4に係る共振型電力送信装置1の適用例について示す。
図15はこの発明の実施の形態5に係る共振型電力伝送システムの構成例を示す図である。
共振型電力伝送システムは、
図15に示すように、共振型電力送信装置1、受信アンテナ2及び受信回路3を備えている。なお、受信アンテナ2及び受信回路3は、共振型電力受信装置4を構成する。なお
図15では、
図1に示す共振型電力送信装置1を用いた場合を示している。また
図15では、制御部104の内部構成の図示を省略している。また
図15では、受信回路3の後段に、受信回路3からの電力により機能する回路又は機器である負荷10が接続されている。
【0049】
共振型電力送信装置1は、高周波電力を出力する。
図15では、
図1に示す共振型電力送信装置1を用いているが、
図8,9,13,14等に示す他の共振型電力送信装置1を用いてもよい。
【0050】
受信アンテナ2は、送信アンテナ105の共振周波数と同一(略同一の意味を含む)周波数で共振することで、送信アンテナ105からの高周波電力を受信する。この受信アンテナ2により受信された高周波電力(交流電力)は、受信回路3に出力される。
【0051】
なお、送信アンテナ105と受信アンテナ2との間の電力伝送方式は特に限定されず、磁界共鳴による方式、電界共鳴による方式、又は、電磁誘導による方式のいずれであってもよい。また、送信アンテナ105と受信アンテナ2は、
図15に示すような非接触に限らない。
【0052】
受信回路3は、受信アンテナ2からの交流電力に対し、負荷10の仕様に合わせて整流、又は、整流及び電圧変換を行う。すなわち、受信回路3としては、整流回路から成る構成、又は、整流回路及び受信電源(DC/DCコンバータ、DC/ACコンバータ等)から成る構成が挙げられる。この受信回路3により得られた電力は、負荷10に出力される。
【0053】
なお上記では、共振型電力送信装置1を共振型電力伝送システムに適用した場合を示したが、これに限らず、高周波電力を用いるその他のシステムに対しても同様に共振型電力送信装置1を適用可能である。
【0054】
最後に、
図16を参照して、実施の形態1,3,4における制御部104のハードウェア構成例を説明する。なお以下では、
図1に示す実施の形態1における制御部104のハードウェア構成例について説明を行うが、他の制御部104についても同様である。
制御部104における電力制御部1041及び位相制御部1042の各機能は、処理回路51により実現される。処理回路51は、
図16Aに示すように、専用のハードウェアであっても、
図16Bに示すように、メモリ53に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)52であってもよい。
【0055】
処理回路51が専用のハードウェアである場合、処理回路51は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。電力制御部1041及び位相制御部1042の各部の機能それぞれを処理回路51で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路51で実現してもよい。
【0056】
処理回路51がCPU52の場合、電力制御部1041及び位相制御部1042の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ53に格納される。処理回路51は、メモリ53に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、制御部104は、処理回路51により実行されるときに、インバータ回路103における出力電力の大きさを制御するステップ、インバータ回路102,103間の相対位相を制御するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ53を備える。また、これらのプログラムは、電力制御部1041及び位相制御部1042の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ53とは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。
【0057】
なお、電力制御部1041及び位相制御部1042の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、電力制御部1041については専用のハードウェアとしての処理回路51でその機能を実現し、位相制御部1042については処理回路51がメモリ53に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0058】
このように、処理回路51は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0059】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。