(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6400523
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】高齢者用電動カート
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20180920BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20180920BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20180920BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20180920BHJP
B60L 15/00 20060101ALI20180920BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20180920BHJP
A61G 5/04 20130101ALI20180920BHJP
【FI】
H02J9/06 150
H02J7/00 P
H02J7/34 G
B60L11/18 C
B60L15/00 Z
B60P3/00 A
A61G5/04 710
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-84665(P2015-84665)
(22)【出願日】2015年4月17日
(65)【公開番号】特開2016-208591(P2016-208591A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】501291950
【氏名又は名称】有限会社サンビジネス
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 孝茂
【審査官】
高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−157301(JP,A)
【文献】
特開2011−205833(JP,A)
【文献】
特開2015−40011(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/073034(WO,A1)
【文献】
特開2014−217258(JP,A)
【文献】
特開2013−94026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00−11/00
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
B60P 3/00
A61G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電時に電源コードのプラグを商用電源のコンセントに接続し、コントローラの制御によって、商用電源の交流電力をAC/DC変換器で直流電力に変換させてカート搭載のバッテリーに与えて充電し、バッテリーが所定電圧に達したときにバッテリーの充電を自動停止させる一方、バッテリーの電力をカートの駆動モーターに与えて走行させるようにした高齢者用電動カートにおいて、
上記AC/DC変換器の回路を開閉するスイッチ手段と、
上記バッテリーの電力を交流電力に変換するDC/AC変換器と、
電源コードのプラグが商用電源のコンセントに接続された状態の夜間における商用電源の停電を検知して上記バッテリーの直流電力を上記DC/AC変換器で交流電力に変換させ、この交流電力を上記電源コードから商用電源系に時限電源として与えるとともに、上記スイッチ手段を制御して上記AC/DC変換器の回路を開成する時限電源コントローラと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高齢者用電動カートに関し、特に家庭等における停電時の照明などの時限電源として利用できるようにした電動カートに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載されている大容量の車載バッテリーを外部電源に利用するシステムが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
例えば、電気自動車ではAC/DC変換器を備えた専用の制御装置を家庭や充電ステーションなどに設け、制御装置から伸びる電源コードのプラグを電気自動車のコンセントに接続し、商用電源の交流電力を制御装置で直流電力に変換し、この直流電力によって車載バッテリーを充電し、充電が終了すると電源コードのプラグを電気自動車のコンセントから抜くようになっている。
【0004】
電気自動車の車載バッテリーを外部電源として利用する場合にはDC/AC変換器を搭載した制御装置を用い、制御装置から伸びる電源コードのプラグを電気自動車のコンセントに接続し、車載バッテリーの直流電力をDC/AC変換器で交流電力に変換して外部電源として利用することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3187313号公報
【特許文献2】特開2011−055589号公報
【特許文献3】特開2012−23955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1〜3記載の電源システムでは電気自動車の車載バッテリーの充電が完了すると電源コードのプラグを電気自動車のコンセントから抜くようにしているので、例えば夜間の停電時に外部電源として利用しようとすると、懐中電灯などの暗い照明下や真っ暗な状況下で電源コードのプラグを電気自動車のコンセントに接続する必要があり、非常に煩わしかった。
【0007】
ところで、高齢者用電動カートは昼間に使用して夜間に家庭の商用電源、例えば単相100Vを利用して充電することが行われている。充電は電動カートから伸びるコードのプラグを家庭のコンセントに差してカート搭載のバッテリーを充電し、バッテリーが所定の充電電圧に達すると、充電を自動的に終了させ、朝になると、ユーザーが電源コードのプラグをコンセントから抜いてカートを使用するようになっている。
【0008】
本発明はかかる高齢者用電動カートの充電方法に着目し、夜間の停電時に照明などの時限電源として自動的に利用できるようにした高齢者用電動カートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明に係る高齢者用電動カートは、充電時に電源コードのプラグを商用電源のコンセントに接続し、コントローラの制御によって、商用電源の交流電力をAC/DC変換器で直流電力に変換させてカート搭載のバッテリーに与えて充電し、バッテリーが所定電圧に達したときにバッテリーの充電を自動停止させる一方、バッテリーの電力をカートの駆動モーターに与えて走行させるようにした高齢者用電動カートにおいて、上記AC/DC変換器の回路を開閉するスイッチ手段と、上記バッテリーの電力を交流電力に変換するDC/AC変換器と、電源コードのプラグが商用電源のコンセントに接続された状態の夜間における商用電源の停電を検知して上記バッテリーの直流電力を上記DC/AC変換器で交流電力に変換させ、この交流電力を上記電源コードから商用電源系に時限電源として与えるとともに、上記スイッチ手段を制御して上記AC/DC変換器の回路を開成する時限電源コントローラと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の特徴の1つは夜間の停電を検知したときに、電動カートの車載バッテリーの直流電力を交流電力に変換し、商用電源のコンセントに接続されている電源コードのプラグから商用電源系に与えるようにした点にある。
【0011】
これにより、夜間停電時に、自動的に電力を供給することができ、夜間照明を確保でき、又夜間停電時に電気自動車の車載バッテリーを外部電源として利用する場合のような、懐中電灯などの暗い照明下や真っ暗な状況下で電源コードのプラグを電気自動車のコンセントに接続するという煩雑さがなく、実用性に優れている。
【0012】
また、高齢者用電動カートのバッテリー容量は電気自動車のバッテリーに比較して少ないので、カートのバッテリー電圧が極端に低下しないように短時間の時限電源に使用するようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る高齢者用電動カートの実施形態を示す全体斜視図である。
【
図2】上記実施形態における回路構成例を示す機能ブロック図である。
【
図3】高齢者用電動カートの回路構成の1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る高齢者用電動カートの好ましい実施形態を示す。図において、高齢者用電動カート10は車体前部にハンドル11が設けられ、車体後部に座部12が設けられ、座部11下側にバッテリー、モーター及び制御装置が内蔵され、高齢者が座部12に座って前方のハンドルを操作してカートを走行させるようになっている。また、ハンドル11の中央には電源スイッチ、速度メータ及び速度調整用摘まみ、バッテリーモニター、電源ランプ、ヘッドランプスイッチ、ホーンスイッチ、モータースイッチ等がレイアウトされている。
図3はバッテリー、モーター及び制御装置の具体的な回路構成の1例を示す。
【0015】
図2は本例の回路構成を示す。図において、20はAC/DC変換器、21はAC/DC変換器20の入力端に接続された電源コード、22は電源コード21の接地極付きの単相プラグ、23はバッテリー、24はモーター、29は電源スイッチが閉成されたときに電源コード21のプラグ22を介して商用電源を入力して交流電力を直流電力に変換してバッテリー23を充電し、バッテリー23が所定電圧に達したときにはブレーカースイッチ26を閉成させて充電を停止する一方、及びモータースイッチ25が閉成されたときにバッテリー23の電力をモーター24に与えてカートを走行させる制御回路板である。
【0016】
また、27はバッテリー23の直流電力を交流電力に変換するDC/AC変換器、28は夜間の停電を検知してAC/DC変換器20のスイッチ20Aを開成してAC/DC変換器20への電流の逆流を阻止するとともに、DC/AC変換器27によってバッテリー23の直流電力を交流電力に変換させて電源コード21を通して商用電源系に与える時限電源コントローラである。
【0017】
夜間に高齢者用電動カート10のバッテリー23を充電する場合、モータースイッチ25を開成(OFF)させ、電源コード21のプラグ22を家庭の商用電源のコンセントに接続する。
【0018】
すると、制御回路板29がブレーカースイッチ26を開成させ、商用電源の交流電力がAC/DC変換器20の入力端に印加され、AC/DC変換器20で直流電力に変換されてバッテリー23に与えられ、バッテリー23が充電される。バッテリー23が所定の電圧に達すると、制御回路板29がブレーカースイッチ26を閉成(ON)させ、これによってAC/DC変換器20の入力端への商用電源の交流電力の印加が停止され、充電動作が自動的に停止される。このとき、電源コード21のプラグ22は商用電源のコンセントに接続されたままである。
【0019】
夜間において停電が発生すると、電源コード21を流れる電流がゼロになるので、時限電源コントローラ28で商用電源の停電を検知され、AC/DC変換器20の回路に設けたスイッチ20Aを開成し、AC/DC変換器20に電流が流れるのを阻止するとともに、DC/AC変換器27でバッテリー23の直流電力が交流電力に変換され、この交流電力が短時間、例えば30分間、電源コード21を通して商用電源に向けて出力され、これによって照明灯が時限点灯されるので、夜間照明を確保することができ、必要な作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0020】
10 高齢者用電動カート
20 AC/DC変換器
21 電源コード
22 プラグ
23 バッテリー
24 モーター
25 モータースイッヂ
26 ブレーカースイッチ
27 DC/AC変換器
28 時限電源コントローラ
29 制御回路板