特許第6400532号(P6400532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6400532エピタキシャル反応炉の温度制御システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6400532
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】エピタキシャル反応炉の温度制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20180920BHJP
   G05D 23/00 20060101ALI20180920BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   H01L21/205
   G05D23/00 D
   C23C16/46
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-125770(P2015-125770)
(22)【出願日】2015年6月23日
(65)【公開番号】特開2016-12723(P2016-12723A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2018年6月25日
(31)【優先権主張番号】14/318,111
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514165336
【氏名又は名称】サンエディソン・セミコンダクター・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SunEdison Semiconductor Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ベンノ・オーシェル
(72)【発明者】
【氏名】アラシュ・アベディジャベリ
(72)【発明者】
【氏名】王 剛
(72)【発明者】
【氏名】エレン・トラック
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−096168(JP,A)
【文献】 特開2008−262492(JP,A)
【文献】 特開2004−172253(JP,A)
【文献】 特開2000−064029(JP,A)
【文献】 特開2002−043227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/46
G05D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ生産プロセスで使用されるエピタキシャル反応炉内の温度を制御するために、加熱装置の出力パワーオフセットを決定する方法であって、
該方法は、メモリと接続された計算装置によって実装されるものであり、
(a)エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの加熱装置に、基本出力パワーを表す出力パワー命令を送信することと、
(b)エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの温度がターゲット温度に到達する実際の時間を決定することと、
(c)実際の時間と基準の時間との間の差を決定することと、
(d)この差に基づいて出力パワーオフセットを決定することと、
(e)加熱装置と関連してメモリに出力パワーオフセットを保存することと
(f)決定された出力パワーオフセットが、第1ゾーンでの温度を、予め定めた基準時間の範囲内にターゲット温度に到達させるまで、ステップ(a)〜(e)を繰り返して、出力パワーオフセットを調整することとを含み、
各後続の基本出力パワーが、前回の基本出力パワー+現在の出力パワーオフセットに等しい、方法。
【請求項2】
出力パワー命令は、第1出力パワー命令であり、
前記方法は、加熱装置に、基本出力パワーと保存した出力パワーオフセットの合計を表す第2出力パワー命令を送信することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
実際の時間は、第1の実際の時間であり、
差は、第1の差であり、
前記方法は、第2出力パワー命令を送信した後、ターゲット温度に到達するために、エピタキシャル反応炉の第1ゾーン用の第2の実際の時間を決定することと、
第2の実際の時間と基準の時間との間の第2の差を決定することと、
この第2の差に基づいて出力パワーオフセットを調整することとをさらに含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
出力パワー命令は、第1出力パワー命令であり、
第1ゾーンは、エピタキシャル反応炉での複数のゾーンのうちの1つであり、
加熱装置は、エピタキシャル反応炉での複数の加熱装置のうちの第1加熱装置であり、
前記方法は、第2出力パワー命令を、第2ゾーンと関連した第2加熱装置に送信することと、
第3出力パワー命令を、第3ゾーンと関連した第3加熱装置に送信することと、
第4出力パワー命令を、第4ゾーンと関連した第4加熱装置に送信することとをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
出力パワー命令は、第1出力パワー命令であり、
第1ゾーンは、エピタキシャル反応炉での複数のゾーンのうちの1つであり、
加熱装置は、エピタキシャル反応炉での複数の加熱装置のうちの第1加熱装置であり、
前記方法は、第2出力パワー命令を、第2ゾーンと関連した第2加熱装置に送信することをさらに含み、
第2出力パワー命令は、少なくとも、第1加熱装置と関連した、基本出力パワーと出力パワーオフセットの合計の比率を表す、請求項1記載の方法。
【請求項6】
基本出力パワーは、第1基本出力パワーであり、
出力パワーオフセットは、第1出力パワーオフセットであり、
第2出力パワー命令を送信することは、第2加熱装置と関連した、第2基本出力パワーおよび第2パワーオフセットをさらに表す第2出力パワー命令を送信することを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
第1出力パワー命令を送信することは、ウエハ生産プロセスの第1段階で第1出力パワー命令を送信することをさらに含み、
第2出力パワー命令を送信することは、ウエハ生産プロセスの第2段階で第2出力パワー命令を送信することをさらに含み、
第2段階は、第1段階とは同時期ではない、請求項5記載の方法。
【請求項8】
ウエハ生産プロセスで使用されるエピタキシャル反応炉内の温度を制御するために、加熱装置の出力パワーオフセットを決定するためのシステムであって、
前記システムは、メモリと接続された計算装置を備えており、
前記計算装置は、
(a)エピタキシャル反応炉の個々の加熱ゾーンでの複数の加熱装置に、複数の加熱装置の各加熱装置に供給される個々の基本出力パワーを表す個別の出力パワー命令を送信し、
(b)エピタキシャル反応炉の個々の加熱ゾーンでの温度がターゲット温度に到達する実際の時間を決定し、
(c)実際の時間と個々の基準の時間との間の差を決定し、
(d)この差に基づいて、複数の加熱装置の各々について出力パワーオフセットを決定し、
(e)個々の加熱装置と関連してメモリに、複数の加熱装置の各々について出力パワーオフセットを保存し、
(f)決定された出力パワーオフセットが、個々の加熱ゾーンでの温度を、予め定めた基準時間の範囲内にターゲット温度に到達させるまで、ステップ(a)〜(e)を繰り返して、出力パワーオフセットを調整するように構成され
各後続の個々の基本出力パワーが、前回の個々の基本出力パワー+現在の個々の出力パワーオフセットに等しい、システム。
【請求項9】
個別の出力パワー命令は、第1出力パワー命令であり、
前記計算装置はさらに、複数の加熱装置の各々に、個別の基本出力パワーと複数の加熱装置の各々について決定した出力パワーオフセットの合計を表す第2の個別の出力パワー命令を送信するように構成される、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
実際の時間は、第1の実際の時間であり、
差は、第1の差であり、
前記計算装置はさらに、第2出力パワー命令を送信した後、ターゲット温度に到達するために、エピタキシャル反応炉の個々の加熱ゾーン用の第2の実際の時間を決定し、
第2の実際の時間と個々の基準の時間との間の第2の差を決定し、
この個々の第2の差に基づいて、複数の加熱装置の各々の出力パワーオフセットを調整するように構成される請求項9記載のシステム。
【請求項11】
個別の出力パワー命令は、第1出力パワー命令であり、
加熱装置は、エピタキシャル反応炉での複数の加熱装置のうちの第1加熱装置であり、
前記計算装置はさらに、第2の個別の出力パワー命令を、第2ゾーンと関連した複数の加熱装置のうちの第2加熱装置に送信し、
第3出力パワー命令を、第3ゾーンと関連した第3加熱装置に送信し、
第4出力パワー命令を、第4ゾーンと関連した第4加熱装置に送信するように構成される請求項8記載のシステム。
【請求項12】
出力パワー命令は、第1出力パワー命令であり、
第1ゾーンは、エピタキシャル反応炉での複数のゾーンのうちの1つであり、
加熱装置は、エピタキシャル反応炉での複数の加熱装置のうちの第1加熱装置であり、
前記計算装置はさらに、第2出力パワー命令を、第2ゾーンと関連した第2加熱装置に送信するように構成され、
第2出力パワー命令は、少なくとも、第1加熱装置と関連した、基本出力パワーと出力パワーオフセットの合計の比率を表す、請求項8記載のシステム。
【請求項13】
基本出力パワーは、第1基本出力パワーであり、
出力パワーオフセットは、第1出力パワーオフセットであり、
前記計算装置はさらに、第2出力パワー命令を送信することは、第2加熱装置と関連した、第2基本出力パワーおよび第2パワーオフセットをさらに表す第2出力パワー命令を送信することを含むように構成される請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記計算装置はさらに、
第1出力パワー命令を送信することは、ウエハ生産プロセスの第1段階で第1出力パワー命令を送信することをさらに含み、
第2出力パワー命令を送信することは、ウエハ生産プロセスの第2段階で第2出力パワー命令を送信することをさらに含み、
第2段階は、第1段階とは同時期ではないように構成される請求項12記載のシステム。
【請求項15】
コンピュータ実行可能な命令を埋め込んだコンピュータ読み取り可能なストレージ媒体であって、
メモリと通信するプロセッサを有する計算装置によって実行した場合、コンピュータ実行可能な命令により、計算装置は、
(a)エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの加熱装置に、基本出力パワーを表す出力パワー命令を送信し、
(b)エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの温度がターゲット温度に到達する実際の時間を決定し、
(c)実際の時間と基準の時間との間の差を決定し、
(d)この差に基づいて出力パワーオフセットを決定し、
(e)加熱装置と関連してメモリに出力パワーオフセットを保存し、
(f)決定された出力パワーオフセットが、第1ゾーンでの温度を、予め定めた基準時間の範囲内にターゲット温度に到達させるまで、ステップ(a)〜(e)を繰り返して、出力パワーオフセットを調整するようにし、
各後続の基本出力パワーが、前回の基本出力パワー+現在の出力パワーオフセットに等しい、コンピュータ読み取り可能なストレージ媒体。
【請求項16】
出力パワー命令は、第1出力パワー命令であり、
前記命令により、計算装置は、加熱装置に、基本出力パワーと出力パワーオフセットの合計を表す第2出力パワー命令を送信するようにした請求項15記載のコンピュータ読み取り可能なストレージ媒体。
【請求項17】
実際の時間は、第1の実際の時間であり、
差は、第1の差であり、
前記命令により、計算装置は、第2出力パワー命令を送信した後、ターゲット温度に到達するために、エピタキシャル反応炉の第1ゾーン用の第2の実際の時間を決定し、
第2の実際の時間と基準の時間との間の第2の差を決定し、
この第2の差に基づいて出力パワーオフセットを調整するようにした請求項16記載のコンピュータ読み取り可能なストレージ媒体。
【請求項18】
出力パワー命令は、第1出力パワー命令であり、
第1ゾーンは、エピタキシャル反応炉での複数のゾーンのうちの1つであり、
加熱装置は、エピタキシャル反応炉での複数の加熱装置のうちの第1加熱装置であり、
前記命令により、計算装置は、第2出力パワー命令を、第2ゾーンと関連した第2加熱装置に送信し、
第3出力パワー命令を、第3ゾーンと関連した第3加熱装置に送信し、
第4出力パワー命令を、第4ゾーンと関連した第4加熱装置に送信するようにした請求項15記載のコンピュータ読み取り可能なストレージ媒体。
【請求項19】
出力パワー命令は、第1出力パワー命令であり、
第1ゾーンは、エピタキシャル反応炉での複数のゾーンのうちの1つであり、
加熱装置は、エピタキシャル反応炉での複数の加熱装置のうちの第1加熱装置であり、
前記命令により、計算装置は、第2出力パワー命令を、第2ゾーンと関連した第2加熱装置に送信するようにし、
第2出力パワー命令は、少なくとも、第1加熱装置と関連した、基本出力パワーと出力パワーオフセットの合計の比率を表す、請求項15記載のコンピュータ読み取り可能なストレージ媒体。
【請求項20】
基本出力パワーは、第1基本出力パワーであり、
出力パワーオフセットは、第1出力パワーオフセットであり、
第2出力パワー命令を送信することは、第2加熱装置と関連した、第2基本出力パワーおよび第2パワーオフセットをさらに表す第2出力パワー命令を送信することを含むようなコンピュータ実行可能な命令をさらに含む、請求項19記載のコンピュータ読み取り可能なストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には温度制御に関し、詳細にはエピタキシャル反応炉内の温度を制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハを処理する際に用いられる少なくとも幾つかのエピタキシャル反応炉では、炉内温度が複数のPID(比例・積分・微分)コントローラによって制御され、それぞれ個別ゾーンを制御している。例えば、幾つかのシステムにおいて、エピタキシャル反応炉が、中央ゾーンと関連した第1PIDコントローラと、前方ゾーンと関連した第2PIDコントローラと、側方ゾーンと関連した第3PIDコントローラと、後方ゾーンと関連した第4PIDコントローラとを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
PIDコントローラが、安定状態の条件下で温度を制御するように構成されることを考えると、新しい温度設定ポイントへの遷移の際、制御誤差が発生することがある。特に、互いに相互作用する、例えば、1つのゾーンから由来する熱が隣りのゾーンへ伝送する、異なるゾーンを制御するマルチPID配置は、比較的高速な状態遷移を制御するのには不充分であろう。このことは、異なるゾーン間の相対バランスを遷移の始めから終わりまで正確に制御する必要がある場合、特に問題がある。例えば、エピタキシャル反応炉内で半導体ウエハを処理する際、種々のゾーンを跨ぐ温度勾配により、ウエハが、熱応力を経験したり、欠陥を発展させることがあり、ウエハを使用不能にする。
【0004】
これらの制約を考えると、新しい温度設定ポイントへの遷移を長引かせる必要があり、ウエハ内に欠陥を生じさせることなく、PIDが所望の温度設定ポイントに達成できる。従って、新しい温度設定ポイントへの遷移が、マルチPIDエピタキシャル反応炉内で、増加した速度で達成できれば、半導体ウエハの製造スループットを増加できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、ウエハ生産プロセスで使用されるエピタキシャル反応炉内の温度を制御するための方法が提供される。該方法は、メモリと接続された計算装置によって実装される。該方法は、エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの加熱装置に、基本(base)出力パワーを表す出力パワー命令を送信することを含む。該方法はさらに、エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの温度がターゲット温度に到達する実際の時間を決定すること、実際の時間と基準の時間との間の差を決定することと、この差に基づいて出力パワーオフセットを決定することと、加熱装置と関連してメモリに出力パワーオフセットを保存することとを含む。
【0006】
他の態様において、ウエハ生産プロセスで使用されるエピタキシャル反応炉内の温度を制御するためのシステムが提供される。該システムは、メモリと接続された計算装置を含む。該計算装置は、エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの加熱装置に、基本(base)出力パワーを表す出力パワー命令を送信し、エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの温度がターゲット温度に到達する実際の時間を決定し、実際の時間と基準の時間との間の差を決定し、この差に基づいて出力パワーオフセットを決定し、加熱装置と関連してメモリに出力パワーオフセットを保存するように構成される。
【0007】
他の態様において、コンピュータ実行可能な命令が埋め込まれたコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。メモリと通信するプロセッサを有する計算装置で実行した場合、コンピュータ実行可能な命令は、計算装置をして、エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの加熱装置に、基本(base)出力パワーを表す出力パワー命令を送信させる。命令はさらに、計算装置をして、エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの温度がターゲット温度に到達する実際の時間を決定させ、実際の時間と基準の時間との間の差を決定させ、この差に基づいて出力パワーオフセットを決定させ、加熱装置と関連してメモリに出力パワーオフセットを保存させる。
【0008】
上述した態様に関連して記述した特徴について種々の改良が存在する。更なる特徴を、上述した態様に組み込んでもよい。これらの改良および追加の特徴は、個別にまたは任意の組合せで存在してもよい。例えば、図示した実施形態の何れかに関連して後述する種々の特徴が、上述した態様の何れかに、単独または任意の組合せで組み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】エピタキシャル反応炉と制御サーバ計算装置との間の例示の関係のダイヤグラムである。
図2図1のエピタキシャル反応炉に含まれるコンポーネントの側面図である。
図3図1のエピタキシャル反応炉に含まれるコンポーネントの平面図である。
図4】例示の計算装置の構成を示す。
図5図1のエピタキシャル反応炉内の温度を制御するために、制御サーバ計算装置によって実装できる例示のプロセスのフローチャートである。
図6】説明したシステムおよび方法の実施形態において使用できる1つ以上の例示の計算装置のコンポーネントのダイヤグラムである。
【0010】
種々の図面での類似の参照符号は、類似の要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、エピタキシャル反応炉102と制御サーバ計算装置104との間の関係100のダイヤグラムである。制御サーバ計算装置104は、エピタキシャル反応炉102と通信可能に接続され、エピタキシャル反応炉102内の温度を制御する際に使用される命令106を送信し、データ108を受信する。詳細には、制御サーバ計算装置104は、命令106、例えば、エピタキシャル反応炉102での1つ以上の加熱装置(図3)のための出力パワー命令を送信する。エピタキシャル反応炉102は、データ108、例えば、温度測定値を制御サーバ計算装置104にフィードバックとして送信する。後述するように、エピタキシャル反応炉102への命令106の送信およびエピタキシャル反応炉からのデータ108の送信により、制御サーバ計算装置104は、エピタキシャル反応炉102内のゾーン間の熱伝達を補償する出力パワーオフセットおよび出力パワー命令を決定できる。従って、エピタキシャル反応炉のゾーンは、先行技術システムよりも迅速に、より多くの安定性で、新しい温度設定ポイントへ遷移できる。
【0012】
図2は、エピタキシャル反応炉102に含まれるコンポーネントの側面図である。エピタキシャル反応炉102内の位置決め機構202が、エピタキシャル反応炉102のチャンバ内での化学気相堆積プロセスの種々の段階でシリコンウエハ204を位置決めするように動作する。ウエハは、サセプタ201によって支持できる。サセプタ201はアーム203に搭載され、アーム203はサセプタ支持シャフト205に搭載される。サセプタ支持シャフト205は、ウエハ昇降シャフト207の孔206の内部に摺動可能に搭載される。空気圧機構(不図示)が、サセプタ支持シャフト205およびウエハ昇降シャフト207を種々の位置に昇降させるように動作可能である。空気圧機構(不図示)は、サセプタ201を回転することも可能である。剛性ピン209が、サセプタ201に摺動可能に搭載されており、サセプタ201によって上昇しない場合、ウエハ昇降シャフト207のストップ211によって支持される。剛性ピン209は、ウエハと接触した場合、ウエハを支持できる。
【0013】
交換段階の際、ブレード213が、ウエハ204をピン209の上方の位置に搬送する。続いて、ウエハ昇降シャフト207が上昇し、ピン209を上向きに並進させて、ウエハ204を支持する。ブレード213は、ピン209の1つに空間を与えるノッチ214を含み、そうでなければピン209はブレード213と衝突するであろう。いったんウエハ204がピン209によって支持されると、ブレード213はエピタキシャル反応炉102から退却する。
【0014】
次に、サセプタ支持シャフト205が上昇して、サセプタ201を上向きに移動させ、ウエハ204と接触させる。その後、ウエハ204は、サセプタ201によって支持される。サセプタ支持シャフト205は、サセプタ201およびウエハ204がリング215と同じ高さになるまで上昇し続ける。この時点で、ウエハ204およびサセプタ201は「プロセス」位置になる。プロセス位置にある場合、エピタキシャル反応炉102内にある加熱装置、例えば、加熱ランプがウエハ204を加熱しながら、サセプタ201は回転する。さらに、弁(不図示)が開閉し、正確な温度、圧力および時間で種々のガス260(図3)を放出する。例えば、ウエハ204は、シリコン酸化物層をウエハ204の表面から除去する前処理プロセスを施してもよい。
【0015】
前処理プロセスの際、エピタキシャル反応炉102は、加熱装置、例えば、加熱ランプを用いて1150〜1220℃にウエハ204を加熱する。加熱装置は、エピタキシャル反応炉102内の1つ以上のゾーンで温度を上昇するように制御される。そして、エピタキシャル反応炉102のチャンバは、Hで充填され、ウエハ204は、10〜15秒間アニールが施される。次に、エピタキシャル層がウエハ204上に堆積される。エピタキシャル反応炉102のチャンバは、キャリアガス、例えば、Hなど、およびシリコン含有ガス、例えば、SiHCLなどが大気圧で充填される。ウエハ204の表面は、このプロセスでは、少なくとも900℃の温度に維持される。予め定めた時間の後、シリコン含有ガスは、例えば、Hなどでパージされる。そして、ウエハ204は、予め定めた期間、例えば10秒間、さらに加熱される。次に、ウエハ204は、800℃に達するまで冷却される。この冷却プロセスにおいて、サセプタ201は下降し、その結果、ウエハ204はピン209だけで支持される。
【0016】
図3は、エピタキシャル反応炉102の平面図であり、図2に示していない特定のコンポーネントを含む。ウエハ204は、サセプタ201に支持される。図2に関して上述したプロセスにおいて、上述のように、ガス260がエピタキシャル反応炉102の中に入る。エピタキシャル反応炉102は、中央ゾーン218と、前方ゾーン220と、第1側方ゾーン222と、後方ゾーン224と、第2側方ゾーン226とを含む。中央ゾーン218において、エピタキシャル反応炉102は、中央加熱装置228、例えば、加熱ランプと、中央ゾーン218の温度を測定する中央熱電対230とを含む。第1PID 232が、中央加熱装置228のパワー出力と接続され、これを制御し、そして中央熱電対230から中央ゾーン218の測定温度をフィードバックループで受信する。同様に、前方ゾーン220において、エピタキシャル反応炉102は、前方加熱装置234、例えば、加熱ランプと、前方ゾーン220の温度を測定する前方熱電対236とを含む。第2PID 238が、前方加熱装置234のパワー出力と接続され、これを制御し、そして前方熱電対236から前方ゾーン220の測定温度をフィードバックループで受信する。さらに、エピタキシャル反応炉102は、第1側方ゾーン222において、第1側方加熱装置240、例えば、加熱ランプと、第1側方ゾーン222の温度を測定する第1側方熱電対242とを含む。
【0017】
第3PID 244が、第1側方加熱装置240のパワーと接続され、これを制御し、そして第1側方熱電対242から第1側方ゾーン222の測定温度をフィードバックループで受信する。さらに、エピタキシャル反応炉102は、後方ゾーン224において、後方加熱装置246、例えば、加熱ランプと、後方ゾーン224の温度を測定する後方熱電対248とを含む。第4PID 250が、後方加熱装置246のパワーと接続され、これを制御し、そして後方熱電対248から後方ゾーン224の測定温度をフィードバックループで受信する。幾つかの実装例では、エピタキシャル反応炉102は、第2側方加熱装置252と、第2側方熱電対254と、第2側方ゾーン226のための第5PID 256とを含む。他の実装例では、第5PID 256および第2側方熱電対254は存在せず、第3PID 244が、第1側方熱電対242で測定した温度に基づいて第2側方加熱装置252のパワーを制御する。幾つかの実装例では、第1PID 232、第2PID 238、第3PID 244、第4PID 250および第5PID 256のうちの1つ以上が、制御サーバ計算装置104の内部に含まれている。
【0018】
図4は、本開示の例示の実施形態に係る計算装置400の構成を示す。例えば、計算装置400は、制御サーバ計算装置104の典型例である。PID 232,238,244,250,256は、計算装置400のコンポーネントの全てまたは部分セットを含む。計算装置400は、命令を実行するためのプロセッサ405を含む。幾つかの実施形態において、実行可能な命令がメモリエリア410に保存される。プロセッサ405は、1つ以上の処理ユニット(例えば、マルチコア構成)を含んでもよい。メモリエリア410は、例えば、実行可能な命令及び/又はデータなどの情報を保存し、読み出し可能である任意のデバイスである。メモリエリア410は、1つ以上のコンピュータ読み取り可能なストレージデバイスまたは、一時的および持続的なコンピュータ読み取り可能な媒体など、他のコンピュータ読み取り可能な媒体を含んでもよい。
【0019】
少なくとも幾つかの実装例において、計算装置400はまた、ユーザ401に情報を提示するための少なくとも1つの媒体出力コンポーネント415を含む。媒体出力コンポーネント415は、ユーザ401に情報を伝達できる任意のコンポーネントである。幾つかの実施形態において、媒体出力コンポーネント415は、出力アダプタ、例えば、ビデオアダプタ及び/又はオーディオアダプタなどを含む。出力アダプタが、プロセッサ405と動作可能に接続され、そして、出力装置、例えば、ディスプレイ装置(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、陰極線管(CRT)または「電子インク」ディスプレイ)あるいはオーディオ出力装置(例えば、スピーカまたはヘッドフォン)などと動作可能に接続される。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのこうしたディスプレイ装置及び/又はオーディオ装置は、媒体出力コンポーネント415に含まれる。
【0020】
幾つかの実施形態において、計算装置400が、ユーザ401からの入力を受け取るための入力装置420を含む。入力装置420は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス(stylus)、タッチパネル(例えば、タッチパッドまたはタッチスクリーン)、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、またはオーディオ入力装置などを含んでもよい。タッチスクリーンなどの単一コンポーネントが、媒体出力コンポーネント415の出力装置および入力装置420の両方として機能してもよい。
【0021】
計算装置400はまた、遠隔の計算装置と通信可能に接続できる通信インタフェース425を含んでもよい。通信インタフェース425は、例えば、モバイルフォンネットワーク(例えば、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)、3G、4Gまたはブルートゥース)、あるいは他のモバイルデータネットワーク(例えば、ワイマックス(WIMAX: Worldwide Interoperability for Microwave Access)を用いた使用のための有線または無線のネットワークアダプタまたは無線データ受信機を含んでもよい。
【0022】
メモリエリア410に保存されるのは、例えば、媒体出力コンポーネント415を介して、ユーザ401にユーザインタフェースを提供し、必要に応じて、入力装置420からの入力を受信して処理するためのプロセッサ実行可能な命令である。メモリエリア410は、これに限定されないが、プロセッサ実行可能な命令及び/又はデータを保存し及び/又は読み出すのに適した任意のコンピュータ動作のハードウエアを含んでもよい。メモリエリア410は、ダイナミックRAM(DRAM)またはスタティックRAM(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、不揮発性RAM(NVRAM)を含んでもよい。さらに、メモリエリア410は、多重ストレージユニット、例えば、安価ディスクの冗長アレイ(RAID)構成でのハードディスクまたはソリッドステートディスクなどを含んでもよい。メモリエリア410は、ストレージエリアネットワーク(SAN)及び/又はネットワークアタッチトストレージ(NAS)システムを含んでもよい。幾つかの実施形態において、メモリエリア410は、計算装置400内に組み込まれたメモリを含む。例えば、計算装置400は、メモリ410として、1つ以上のハードディスクを含んでもよい。メモリエリア410はまた、計算装置400の外部にあって、複数の計算装置400によってアクセス可能であるメモリを含んでもよい。上記メモリタイプは、例示に過ぎず、プロセッサ実行可能な命令及び/又はデータの保存のために使用可能なメモリのタイプに関して限定するものではない。
【0023】
図5は、ウエハ生産プロセスでの使用のため、エピタキシャル反応炉、例えば、エピタキシャル反応炉102内の温度を制御するために、計算装置、例えば、制御サーバ計算装置104によって実装できる例示のプロセス500のフローチャートである。制御サーバ計算装置104は、エピタキシャル反応炉102の第1ゾーン(例えば、中央ゾーン218)での加熱装置(例えば、中央加熱装置228)に、基本(base)出力パワー(例えば、500ワット)を表す出力パワー命令106を送信する(502)。さらに、制御サーバ計算装置104は、エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの温度がターゲット温度に到達する実際の時間を決定する(504)。例えば、制御サーバ計算装置104は、周期的な間隔で、中央熱電対230から中央ゾーン218での温度をデータ108の一部として受信し、中央ゾーン218での温度がターゲット温度に到達する実際の時間を決定する。ターゲット温度は、メモリ410に、例えば、「レシピ」の一部または、プロセスの異なる段階での一連のターゲット温度として保存してもよい。
【0024】
さらに、制御サーバ計算装置104は、実際の時間と基準の時間との間の差を決定する(506)。例えば、実際の時間は、基準の時間より10秒長いことがある。基準の時間は、例えば、プロセス用のレシピの一部として、メモリ410に保存してもよい。一例として、レシピによれば、中央ゾーン218は、前回より10秒速くターゲット温度に到達すべきである。従って、実際の時間と基準の時間との間の差は10秒である。さらに、制御サーバ計算装置104は、この差に基づいて出力パワーオフセットを決定する(508)。出力パワーオフセットは、例えば、100ワットでもよい。さらに、制御サーバ計算装置104は、加熱装置(例えば、中央加熱装置228)と関連して、メモリ410に出力パワーオフセットを保存する(510)。そして、制御サーバ計算装置104は、基本出力パワー+出力パワーオフセットを表すパワー出力命令106を中央加熱装置228に送信することができ、これにより中央ゾーン218の温度をターゲット温度により速く到達させる。幾つかの実装例では、制御サーバ計算装置104は、上述したプロセスを繰り返して、中央ゾーン218が、基準の時間内、または予め定めた基準時間の範囲(例えば、1秒)内にターゲット温度に到達するまで、出力パワーオフセットを調整する。
【0025】
幾つかの実装例では、出力パワー命令は、第1出力パワー命令であり、制御サーバ計算装置104は、加熱装置(例えば、中央加熱装置228)に、基本出力パワーと出力パワーオフセットの合計を表す第2出力パワー命令106を送信する。幾つかの実装例では、実際の時間は、第1の実際の時間であり、差は、第1の差である。こうした実装例では、制御サーバ計算装置104は、第2出力パワー命令106を送信した後、ターゲット温度に到達するために、エピタキシャル反応炉102の第1ゾーン(例えば、中央ゾーン218)用の第2の実際の時間を決定する。さらに、制御サーバ計算装置104は、第2の実際の時間と基準の時間との間の第2の差を決定し、この第2の差に基づいて出力パワーオフセットを調整する。
【0026】
幾つかの実装例では、出力パワー命令106は、第1出力パワー命令であり、第1ゾーン(例えば、中央ゾーン218)は、エピタキシャル反応炉102での複数のゾーン(例えば、中央ゾーン218、前方ゾーン220、第1側方ゾーン222、後方ゾーン224および第2側方ゾーン226)のうちの1つであり、加熱装置(例えば、中央加熱装置228)は、エピタキシャル反応炉102での複数の加熱装置(例えば、中央加熱装置228、前方加熱装置234、第1側方加熱装置240、後方加熱装置246および第2側方加熱装置252)のうちの第1加熱装置である。制御サーバ計算装置104は、第2出力パワー命令106を、第2ゾーン(例えば、前方ゾーン220)と関連した第2加熱装置(例えば、前方加熱装置234)に送信し、第3出力パワー命令106を、第3ゾーン(例えば、第1側方ゾーン222)と関連した第3加熱装置(例えば、第1側方加熱装置240)に送信し、そして、第4出力パワー命令106を、第4ゾーン(例えば、後方ゾーン224)と関連した第4加熱装置(例えば、後方加熱装置246)に送信する。
【0027】
幾つかの実装例では、出力パワー命令は、第1出力パワー命令106であり、第1ゾーン(例えば、中央ゾーン218)は、エピタキシャル反応炉102での複数のゾーン(例えば、中央ゾーン218、前方ゾーン220、第1側方ゾーン222、後方ゾーン224および第2側方ゾーン226)のうちの1つであり、加熱装置(例えば、中央加熱装置228)は、エピタキシャル反応炉102での複数の加熱装置(例えば、中央加熱装置228、前方加熱装置234、第1側方加熱装置240、後方加熱装置246および第2側方加熱装置252)のうちの第1加熱装置である。制御サーバ計算装置104は、第2出力パワー命令106を、第2ゾーン(例えば、前方ゾーン220)と関連した第2加熱装置(例えば、前方加熱装置234)に送信する。第2出力パワー命令106は、少なくとも、第1加熱装置(例えば、中央加熱装置228)と関連した、基本出力パワーと出力パワーオフセットの合計の比率を表す。詳細には、中央加熱装置228のための基本出力パワーが500ワットで、中央加熱装置228のための出力パワーオフセットが100ワットで、合計600ワットである場合、第2加熱装置(例えば、前方加熱装置234)に送信される第2出力パワー命令106は、例えば、合計600ワットの比率、例えば、0.75(例えば、450ワット)に基づいてもよい。
【0028】
幾つかの実装例では、上述した実装例と同様に、基本出力パワー(例えば、500ワット)は、第1基本出力パワーであり、出力パワーオフセット(例えば、100ワット)は、第1出力パワーオフセットであり、制御サーバ計算装置104が、第2パワー命令106を第2加熱装置(例えば、前方加熱装置234)に送信する場合、第2パワー命令106はさらに、第2加熱装置(例えば、前方加熱装置234)と関連した、第2基本出力パワーおよび第2パワーオフセットを表す。例えば、制御サーバ計算装置104は、第2加熱装置(例えば、前方加熱装置234)のために、プロセス500と類似したプロセスを実施してもよく、従って、メモリ410は、第2加熱装置(例えば、前方加熱装置234)と関連した、基本パワー出力およびパワー出力オフセットを含む。さらに、第2パワー命令は、450ワット+ 第2加熱装置と関連した基本パワー出力と、第2加熱装置と関連したパワー出力オフセットとの合計である。
【0029】
幾つかの実装例では、制御サーバ計算装置104は、ウエハ生産プロセスの第1段階(例えば、立ち上げ段階)で第1パワー出力命令を送信し、そしてウエハ生産プロセスの第2段階(例えば、定常状態の段階)で第2パワー命令を送信し、あるいは逆も同様である。
【0030】
図6は、1つ以上の例示の計算装置、例えば、説明したシステムおよび方法の実施形態において使用できる制御サーバ計算装置104のコンポーネントのダイヤグラム600である。図6はさらに、メモリ410(図4)内のデータの構成を示す。
【0031】
制御サーバ計算装置104は、エピタキシャル反応炉102の第1ゾーンでの加熱装置に、基本出力パワーを表す出力パワー命令を送信するための送信コンポーネント602を含む。制御サーバ計算装置104はさらに、エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの温度がターゲット温度に到達する実際の時間を決定するための時間決定コンポーネント604を含む。さらに、制御サーバ計算装置104は、実際の時間と基準の時間との間の差を決定するための差決定コンポーネント606を含む。制御サーバ計算装置104はまた、この差に基づいて出力パワーオフセットを決定するためのオフセット決定コンポーネント608を含む。制御サーバ計算装置104はさらに、加熱装置と関連して、メモリ410に出力パワーオフセットを保存するための保存コンポーネント610を含む。
【0032】
例示の実施形態において、メモリ410内のデータが、複数のセクションに分割され、これに限定されないが、レシピセクション612、段階(phase)セクション614、ターゲット温度セクション616、基準時間セクション618、基本出力パワーセクション620、および出力パワーオフセットセクション622を含む。メモリ410内のこれらのセクションは、上述した機能およびプロセスと関連した情報を読み出し、保存するように相互接続されている。
【0033】
ここで説明したシステムおよび方法の技術的効果が、下記の少なくとも1つを含む。(a)エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの加熱装置に、基本出力パワーを表す出力パワー命令を送信すること。(b)エピタキシャル反応炉の第1ゾーンでの温度がターゲット温度に到達する実際の時間を決定すること。(c)実際の時間と基準の時間との間の差を決定すること。(d)この差に基づいて出力パワーオフセットを決定すること。(e)加熱装置と関連してメモリに出力パワーオフセットを保存すること。
【0034】
別々のPIDコントローラによって独立に制御される複数のゾーンを有するエピタキシャル反応炉での温度を制御するための既知のシステムおよび方法と比べて、説明した該システムおよび方法は、温度設定ポイント間でより迅速で安定した遷移を可能にする。従って、温度設定ポイント間の遷移を必要とするプロセスが、先行技術のシステムより迅速に実施でき、よって製造生産高が増加する。
【0035】
ここで用いた用語「プロセッサ」は、中央処理ユニット、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および他の回路、またはここで説明した機能を実行できるプロセッサを参照する。
【0036】
ここで使用したように、用語「ソフトウエア」および「ファームウエア」は、交換可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリおよび不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含み、プロセッサ405によって実行するためにメモリに保存された任意のコンピュータプログラムを含む。上記メモリタイプは、一例にすぎず、コンピュータプログラムの保存のために使用可能なメモリのタイプに関して限定していない。
【0037】
前述の明細書に基づいて理解されるように、本開示の上述した実施形態は、コンピュータソフトウエア、ファームウエア、ハードウエアまたは、これらの任意の組合せもしくは部分セットを含むコンピュータプログラミングまたはエンジリアリング手法を用いて実装できる。こうして得られた何れのコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能及び/又はコンピュータ実行可能な命令を有し、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体内に埋め込んで提供でき、本開示の説明した実施形態に従って、コンピュータプログラム製品、即ち、製造品を製作できる。これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウエア、ソフトウエアアプリケーションまたはコードとしても知られる)は、プログラマブルプロセッサ用の機械命令を含み、ハイレベル手続型言語及び/又はオブジェクト指向プログラム言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で実装できる。ここで使用したように、用語「機械読み取り可能媒体」、「コンピュータ読み取り可能媒体」、「コンピュータ読み取り可能媒体」は、機械命令を機械読み取り可能信号として受け取る機械読み取り可能媒体を含むプログラマブルプロセッサに、機械命令及び/又はデータを提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブル論理回路(PLD)を参照する。しかしながら、「機械読み取り可能媒体」、「コンピュータ読み取り可能媒体」、「コンピュータ読み取り可能媒体」は、一過性の信号を含まない(即ち、これらは「非一過性(non-transitory)」である)。用語「機械読み取り可能信号」は、プログラマブルプロセッサに、機械命令及び/又はデータを提供するために使用される任意の信号を参照する。
【0038】
この記載した説明は、例を用いて本発明を開示しており、ベストモードを含み、当業者が、本発明を実施すること、例えば、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実施することが可能である。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって定義され、当業者に想定される他の例を含むことがある。こうした他の例は、請求項の文言とは異ならない構造的要素を有する場合、あるいは請求項の文言との僅かな差を持つ等価な構造的要素を含む場合、請求項の範囲内にあることを意図している。
【0039】
本発明またはその実施形態の要素を導入する場合、冠詞("a", "an", "the", "said")は、1つ以上の要素が存在することを意味すると意図している。用語「備える(comprising)、含む(including)、有する(having)」は、包括的であって、列挙した要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味すると意図している。
【0040】
上記において、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能であるが、上記記載に含まれ、添付図面に示される全ての事項が、例示として解釈すべきであり、限定する趣旨として解釈すべきでないことを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6