特許第6400541号(P6400541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6400541-インクジェットプリンタ 図000002
  • 特許6400541-インクジェットプリンタ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6400541
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20180920BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   B41J2/175 503
   B41J2/14 611
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-171679(P2015-171679)
(22)【出願日】2015年9月1日
(65)【公開番号】特開2017-47580(P2017-47580A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年7月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 祐司
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−051055(JP,A)
【文献】 特開2009−291995(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0031603(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 − 2/215
B41J 3/407
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に移動しながらメディアに対してインクを吐出するインクジェットヘッドが配設された第1の移動手段が、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動するフラットベッド型のインクジェットプリンタにおいて、
前記メディアを載置する所定の面より下方側において、前記第2の方向に延設され、前記インクジェットヘッドにインクを供給するためのインクチューブを誘導する第1の誘導手段と、
前記第1の方向に延設され、前記第1の誘導手段から導出された前記インクチューブを前記インクジェットヘッドに誘導する第2の誘導手段と
を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
第1の方向に移動しながらメディアに対してインクを吐出するインクジェットヘッドが配設された第1の移動手段が、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動するフラットベッド型のインクジェットプリンタにおいて、
前記メディアを載置する所定の面より下方側において、前記第2の方向に延設され、前記インクジェットヘッドにインクを供給するためのインクチューブおよび前記インクジェットヘッドに電気信号を伝送する第1の配線を誘導する第1の誘導手段と、
前記第1の方向に延設され、前記第1の誘導手段から導出された前記インクチューブおよび前記配線を前記インクジェットヘッドに誘導する第2の誘導手段と
を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、さらに、
前記第1の移動手段において前記第1の方向に移動自在に配設された加工ヘッドと、
前記第1の方向に延設され、前記加工ヘッドに電気信号を伝送する第2の配線を誘導する第3の誘導手段と
を有し、
前記第1の誘導手段は、前記インクチューブおよび前記第1の配線とともに、前記第2の配線を誘導し、
前記第3の誘導手段は、前記第1の誘導手段から導出された前記第2の配線を前記加工ヘッドに誘導する
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項4】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、さらに、
前記第1の誘導手段の導出口近傍において配設され、前記第1の移動手段と同期して、同じ方向に同じ距離だけ移動する第2の移動手段と
を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、さらに詳細には、所定の方向に移動しながらインクを吐出するヘッドが配設された移動部材が、所定の方向と直交する方向に移動するフラットベッド型のインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マイクロコンピューターによって全体の動作を制御され、テーブル上に載置されたメディアに対してヘッドを同一平面内の直交する2方向に変位させるようにした、所謂、フラットベッド型のインクジェットプリンタが知られている。
【0003】
なお、本明細書において「メディア」とは、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料やアルミ、鉄、木材、布、皮革のような各種の材料が含まれるものとする。
【0004】
こうしたフラットベッド型のインクジェットプリンタにおいては、メディアに対して印刷を行うためのインクジェットヘッドに加えて、メディアをカッティングするためのカッティングヘッドを備えたものがある。
【0005】
以下、図1を参照しながら、インクジェットヘッドとカッティングヘッドとを備えたフラットベッド型のインクジェットプリンタについて説明する。
【0006】
図1(a)には、インクジェットヘッドとカッティングヘッドとを備えた従来の技術によるフラットベッド型のインクジェットプリンタの概略構成斜視説明図が示されており、また、図1(b)には、図1(a)の要部を拡大した拡大説明図が示されている。
【0007】
この図1に示すインクジェットプリンタ100は、固定系のベース部材102上に配設されたテーブル104の上面104aにメディアMが載置される。
【0008】
また、テーブル104においては、門型で立設された移動部材105がX軸方向に移動自在に配設されている。
【0009】
この移動部材105は、テーブル104のY軸方向における両端部近傍においてX軸方向に延長して配設された一対のガイドレール107上に移動自在に配設された支持部材108a、108bと、支持部材108a、108bとを連結するようにY軸方向に延長して配設されたレール106とを有している。
【0010】
このため、レール106は、支持部材108a、108bがX軸方向に移動することにより、テーブル104の上面104aの上方側をX軸方向に移動可能な構成となっている。
【0011】
そして、レール106には、Y軸方向に移動自在にインクジェットヘッド120とカッティングヘッド122とが配設されている。
【0012】
従って、インクジェットプリンタ100においては、テーブル104の上面104aに載置されたメディアMに対して、インクジェットヘッド120とカッティングヘッド122とをXY平面上の任意の位置に移動することが可能な構成となっている。
【0013】
インクジェットヘッド120には、アダプター(図示せず。)に収納されたインクカートリッジ124から、インクチューブ126を介してインクが供給されるとともに、インクジェットプリンタ100の全体の動作を制御するマイクロコンピューター(図示せず。)から、配線128を介して所定の動作に基づく電気信号が伝送される。
【0014】
また、カッティングヘッド122には、マイクロコンピューター(図示せず。)から、配線130を介して所定の動作に基づく電気信号が伝送される。
【0015】
なお、配線128、130は、例えば、フレキシブル基板やフレキシブルフラットケーブルにより形成される。
【0016】
そして、インクジェットプリンタ100では、こうしたインクチューブ126および配線128、130の取り回しを、管状のガイド132、134、136を用いて行っていた。
【0017】
即ち、インクカートリッジ124から延長したインクチューブ126およびマイクロコンピューター(図示せず。)から延長した配線128、130は、まず、支持部材108aの側面部108aa側においてX軸方向に延設されたガイド132に挿通されて支持され、支持部材108aに設けられた孔部108a−1近傍まで誘導される。
【0018】
つまり、このガイド132は、インクチューブ126および配線128、130の挿入口132aがテーブル104の上面104aの近傍に位置し、インクチューブ126および配線128、130を導出する導出口132bが上面104aよりも上方側に設けられた孔部108a−1近傍に位置するように配設されている。これにより、ガイド132は、テーブル104の右方側において、少なくともその一部分がテーブル104の上面104aよりも上方側に位置することとなる。
【0019】
そして、ガイド132は、導出口132b近傍が、孔部108a−1近傍において支持部材108aに固定されており、これにより、支持部材108aが移動することで、支持部材108aとともに折返し部分132cがX軸方向で移動する。
【0020】
なお、ガイド132は、ベース部材102から突設された板状のガイド受け(図示せず。)によって支持されている。
【0021】
そして、孔部108a−1近傍に位置する導出口12bから導出したインクチューブ126および配線128、130は、孔部108a−1に導入される。
【0022】
孔部108a−1に導入されたインクチューブ126および配線128は、Y軸方向に延設されたガイド134に挿通されて支持され、ガイド134によりインクジェットヘッド120まで誘導されてインクジェットヘッド120に接続される。
【0023】
また、孔108a−1に導入された配線130は、Y軸方向に延設されたガイド136に挿通されて支持され、ガイド136によりカッティングヘッド122まで誘導されてカッティングヘッド122に接続される。
【0024】
なお、ガイド134、136は、レール106よりベース部材102に平行して突設された板状のガイド受け140によって支持される。
【0025】
また、図1では示されていないが、ガイド134は、導出口側がインクジェットヘッド120に固定されており、これにより、ガイド134では、インクジェットヘッド120が移動することで、インクジェットヘッド120とともに折返し部分134cがY軸方向で移動する。同様に、図1では示されていないが、ガイド136は、導出口側がカッティングヘッド122に固定されており、これにより、ガイド136では、カッティングヘッド122が移動することで、カッティングヘッドとともに折返し部分136cがY軸方向で移動する。
【0026】
ところで、こうしたインクジェットプリンタ100においては、テーブル104の右方側においてテーブル104の上面104aよりも上方側にガイド132が位置しているため、作業者は、ガイド132が設けられていない側(つまり、左方側、前方側および後方側である。)からメディアMをテーブル104の上面104aに載置することとなる。
【0027】
ここで、ガイド132は、テーブル104の上面104aよりも上方側に位置する部分において、導入口132b近傍は支持部材108aによって上面104a側に露出していないが、折返し部分132c近傍は上面104a側に露出した状態となっている。
【0028】
このため、作業者は、ガイド132が設けられていない側から、ガイド132に接触しないように、メディアMをテーブル104の上面104aに載置しなければならなかった。
【0029】
しかしながら、メディアMが木材や金属などの大型の硬質の材料からなる場合には、作業者の不注意によりメディアMをガイド132に接触してしまってガイド132を破損し、その結果、インクジェットヘッド120およびカッティングヘッド122の動作に不具合が生じてしまうことが問題点として指摘されていた。
【0030】
なお、こうした問題を解決するために、例えば、ガイド132を保護するためのカバー部材138を配設する手法もあるが、この場合であっても、カバー部材138によってメディアMによるガイド132の破損の防止に一定の効果があるが、メディアMによりカバー部材138とともにガイド132を破損する場合があり、メディアMをテーブル104上に載置する際に、メディアMによるガイド132の破損を十分に防止することができるものではなかった。
【0031】
このため、メディアMをテーブル104上に載置する際に、インクチューブ126および配線128、130を誘導するガイドのメディアMによる破損を生じ難いインクジェットプリンタの提案が望まれていた。
【0032】
なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、従来の技術の有する上記したような要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メディアをテーブル上に載置する際に、インクチューブなどを誘導するガイドのメディアによる破損を生じ難いインクジェットプリンタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
上記目的を達成するために、本発明は、第1の方向に移動しながらメディアに対してインクを吐出するインクジェットヘッドが配設された第1の移動手段が、上記第1の方向と直交する第2の方向に移動するフラットベッド型のインクジェットプリンタにおいて、上記メディアを載置する所定の面より下方側において、上記第2の方向に延設され、上記インクジェットヘッドにインクを供給するためのインクチューブを誘導する第1の誘導手段と、上記第1の方向に延設され、上記第1の誘導手段から導出された上記インクチューブを上記インクジェットヘッドに誘導する第2の誘導手段とを有するようにしたものである。
【0035】
また、本発明は、第1の方向に移動しながらメディアに対してインクを吐出するインクジェットヘッドが配設された第1の移動手段が、上記第1の方向と直交する第2の方向に移動するフラットベッド型のインクジェットプリンタにおいて、上記メディアを載置する所定の面より下方側において、上記第2の方向に延設され、上記インクジェットヘッドにインクを供給するためのインクチューブおよび上記インクジェットヘッドに電気信号を伝送する第1の配線を誘導する第1の誘導手段と、上記第1の方向に延設され、上記第1の誘導手段から導出された上記インクチューブおよび上記配線を上記インクジェットヘッドに誘導する第2の誘導手段とを有するようにしたものである。
【0036】
また、本発明は、上記した発明において、さらに、上記第1の移動手段において上記第1の方向に移動自在に配設された加工ヘッドと、上記第1の方向に延設され、上記加工ヘッドに電気信号を伝送する第2の配線を誘導する第3の誘導手段とを有し、上記第1の誘導手段は、上記インクチューブおよび上記第1の配線とともに、上記第2の配線を誘導し、上記第3の誘導手段は、上記第1の誘導手段から導出された上記第2の配線を上記加工ヘッドに誘導するようにしたものである。
【0037】
また、本発明は、上記した発明において、さらに、上記第1の誘導手段の導出口近傍において配設され、上記第1の移動手段と同期して、同じ方向に同じ距離だけ移動する第2の移動手段とを有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、以上説明したように構成されているので、メディアをテーブル上に載置する際に、作業者の不注意によってインクチューブなどを誘導するガイドにメディアが接触する可能性が低減され、メディアによるガイドの破損が生じ難くなるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1(a)は、従来の技術によるインクジェットプリンタの概略構成斜視説明図であり、また、図1(b)は、図1(a)の要部を拡大した拡大説明図である。
図2図2(a)は、本発明によるインクジェットプリンタの概略構成斜視説明図であり、また、図2(b)は、図2(a)の要部を拡大した拡大説明図である。
図3図3(a)(b)は、本発明によるインクジェットプリンタの要部の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるインクジェットプリンタの実施の形態の一例を詳細に説明することとする。
【0041】
なお、以下の説明においては、図1(a)(b)を参照しながら説明した従来の技術によるインクジェットプリンタと同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な構成ならびに作用効果の説明は適宜に省略する。
【0042】
図2(a)には、本発明によるインクジェットプリンタの概略構成斜視説明図が示されており、また、図2(b)には、図2(a)の要部を拡大した拡大説明図が示されている。
【0043】
この図2(a)に示すインクジェットプリンタ10は、インクチューブ126および配線128、130が、ガイド132ではなくガイド12により誘導されるようにした点においてのみ、図1に示すインクジェットプリンタ100と異なっている。
【0044】
より詳細には、ガイド12は、ベース部材102の右側の側面部102aにおいてX軸方向に延長して配設され、例えば、可撓性を備えた略管状に形成される。
【0045】
そして、ガイド12は、インクカートリッジ124から延長したインクチューブ126およびマイクロコンピューター(図示せず。)から延長した配線128、130が、挿入口12aから挿入されて導出口12bから導出される。つまり、ガイド12は、インクチューブ126および配線128、130を、挿入口12aから導出口12bまで誘導している。
【0046】
なお、導出口12bから導出したインクチューブ126および配線128、130は、孔部108a−1に導入される。
【0047】
そして、孔部108a−1に導入されたインクチューブ126および配線128は、ガイド134により誘導されてインクジェットヘッド120に接続され、孔部108a−1に導入された配線130は、ガイド136により誘導されてカッティングヘッド122に接続される。
【0048】
また、ガイド12は、ベース部材102より突設されたガイド受け14により支持される。
【0049】
ガイド12の導出口12b近傍には移動部材16が設けられており、この移動部材16は、ベース部材102の側面部102aの上方側にX軸方向に延長されたガイドレール18に移動自在に配設されている。
【0050】
このとき、導出口12bは、その上方側に支持部材108aが位置するように配設され、好ましくは、その上方側には孔部108a−1が位置するように配設される。つまり、導出口12bは、導出口12bから導出されたインクチューブ126および配線128、130が、支持部材108aによってテーブル104の上面104a側に露出しないような位置に配設される。
【0051】
移動部材16は、マイクロコンピューター(図示せず。)の制御により、支持部材108a、108bの移動と同期して、同じ方向に同じ距離だけ移動する。
【0052】
また、ガイド12は、挿入口12aからガイド受け14上をX軸方向の前方側から後方側に向かって延長された下方部分12cと、下方部分12cから上方側に向かって前方側に折り返された折返し部分12dと、折返し部分12dから前方側に向かって延長された上方部分12eとが形成される。
【0053】
なお、下方部分12cの長さ、折返し部分12dのX軸方向における位置および上方部分12eの長さは、支持部材108a、108bの移動に伴って変化する。
【0054】
具体的には、支持部材108a、108bがX軸方向を前方側から後方側に移動すると、移動部材16を介して導出口12bがX軸方向を前方側から後方側に移動することになる。これにより、下方部分12cの長さは長くなり、上方部分12eの長さは短くなり、折返し部分12dの位置は、X軸方向に沿って後方側に移動することとなる。
【0055】
また、支持部材108a、108bがX軸方向を後方側から前方側に移動すると、移動部材16を介して導出口12bがX軸方向を後方側から前方側に移動することになる。これにより、下方部分12cの長さは短くなり、上方部分12eの長さは長くなり、折返し部分12dの位置は、X軸方向に沿って前方側に移動することとなる。
【0056】
なお、ガイド12に挿入されたインクチューブ126や配線128、130も、ガイド12内において挿入口12aから導出口12bに至るまでの間に、ガイド12とともに折返し部分で折り返すこととなる。
【0057】
なお、こうしたガイド12は従来より公知の技術を用いて構成され、具体的には、ガイド12としては、例えば、ケーブルベア(登録商標)を用いることができる。
【0058】
以上の構成において、テーブル104の上面104aにメディアMを載置する場合には、インクチューブ126および配線128、130を誘導するガイド12が、テーブル104の下方側に位置するベース部材102の側面部102aに配設されているため、テーブル104の右方側、左方側、前方側および後方側には支持部材108a、108b以外にメディアMに接触する構成がなく、インクジェットプリンタ100と比較して、作業者が注意を怠ったとしても、メディアMがガイド12に接触する可能性は極めて低くなる。
【0059】
これにより、メディアMが大型の硬質の材料よりなる場合であっても、メディアMを載置する際に、ガイド12を破損することがなくなり、その結果、ガイド12の破損やメディアMがガイド12に接触したときの衝撃などに起因するインクジェットヘッド120およびカッティングヘッド122に生じる不具合を抑制することができるようになる。
【0060】
そして、インクジェットヘッド120によるメディアMへの印刷やカッティングヘッド122によるメディアMへのカッティングを実行する場合には、支持部材108a、108bをX軸方向で移動するとともに、レール106においてインクジェットヘッド120またはカッティングヘッド122をY軸方向で移動することにより、メディアMに対して、インクジェットヘッド120またはカッティングヘッド122をXY平面上の任意の位置に移動しながら、印刷またはカッティングを行う。
【0061】
このとき、ガイド12は、支持部材108a、108bの移動に伴って、移動部材16を介して導出口12bも移動するため、誘導するインクチューブ126および配線128、130に不具合が生じるような負荷がかからない。
【0062】
以上において説明したように、本発明によるインクジェットプリンタ10は、インクチューブ126および配線128、130を誘導するガイド12を、メディアMを載置するテーブル104の下方側に配設されるベース部材102の側面部102aに設けるようにした。
【0063】
これにより、本発明によるインクジェットプリンタ10においては、テーブル104の上面104aの右方側、左方側、前方側および後方側には、支持部材108a、108b以外にメディアMに接触する構成がなくなる。
【0064】
従って、本発明によるインクジェットプリンタ10によれば、従来の技術によるインクジェットプリンタ100と比較して、作業者が注意を怠ったとしても、メディアMをガイド12に接触する可能性が極めて低くなる。
【0065】
このため、本発明によるインクジェットプリンタ10によれば、従来の技術によるインクジェットプリンタ100と比較して、メディアMを載置する際に、ガイド12を破損する可能性が低くなり、その結果、インクジェットヘッド120およびカッティングヘッド122に生じる不具合を抑制することができる。
【0066】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(4)に示すように変形するようにしてもよい。
【0067】
(1)上記した実施の形態においては、レール106にインクジェットヘッド120とともに、加工ヘッドとしてカッティングヘッド122を設けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0068】
即ち、レール106に、カッティングヘッド122を設けることなく、インクジェットヘッド120のみを設けるようにしてもよいし、レール106に、インクジェットヘッド120とともに、カッティングヘッド122に換えて、メディアMに対して打刻を行う打刻ヘッドやメディアMに対する箔押しのための熱ペンを備えた箔押しヘッドなどの各種の加工ヘッドを設けるようにしてもよい。
【0069】
また、レール106に、インクジェットヘッド120およびカッティングヘッド122とともに、打刻ヘッドあるいは箔押しヘッドなどの加工ヘッドを設けるようにしてもよい。
【0070】
(2)上記した実施の形態においては、ガイド12の導出口12bが、ベース部材102の側面部102aの上方側に移動部材16を介して移動自在に配設されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、導出口12bは、テーブル104の上面104aよりも下方側であれば、テーブル104の側面部104bや支持部材108aの側面部108aaに配設されるようにしてもよい。
【0071】
即ち、導出口12bをテーブル104の側面部104bに配設する場合には、例えば、テーブル104の側面部104bの上面104aより下方側においてX軸方向に延設されたガイドレール28に移動自在に配設された移動部材26を、導出口12b近傍に配設することとなる(図3(a)を参照する。)。
【0072】
これにより、導出口12bは、テーブル104の上面104aよりも下方側において、マイクロコンピューター(図示せず。)の制御により、移動部材26を介して、支持部材108a、108bの移動と同期して、同じ方向、同じ距離だけ移動することができる。
【0073】
また、導出口12bを支持部材108aの側面部108aaに配設する場合には、例えば、導出口12bを、テーブル104の上面104aより下方側に位置するようにして、支持部材108aの側面部108aaに固定することとなる(図3(b)を参照する。)。
【0074】
これにより、導出口12bは、テーブル104の上面104aよりも下方側において、支持部材108aを介して移動することができる。
【0075】
(3)上記した実施の形態においては、ガイド12は、インクチューブ126および配線128、130を誘導するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、ガイド12がインクチューブ126のみを誘導するようにしてもよい。
【0076】
(4)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(3)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、所定の方向に移動しながらインクを吐出するヘッドが配設された移動部材が、所定の方向と直交する方向に移動するフラットベッド型のインクジェットプリンタとして利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
10、100 インクジェットプリンタ、12、132、134、136 ガイド、14、140 ガイド受け、16、26 移動部材、18、28 ガイドレール、104 テーブル、108a、108b 支持部材、120 インクジェットヘッド、122 カッティングヘッド、126 インクチューブ、128、130 配線
図1
図2
図3