(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6400543
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】熱電発電モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 35/34 20060101AFI20180920BHJP
H01L 35/32 20060101ALI20180920BHJP
H01L 35/14 20060101ALI20180920BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
H01L35/34
H01L35/32 A
H01L35/14
H02N11/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-175124(P2015-175124)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-58734(P2016-58734A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年4月11日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0120482
(32)【優先日】2014年9月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510056353
【氏名又は名称】コリア・ユニバーシティ・リサーチ・アンド・ビジネス・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100169421
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭佑
(72)【発明者】
【氏名】キム サンシク
(72)【発明者】
【氏名】チョ キョンア
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジンヨン
【審査官】
田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−130002(JP,A)
【文献】
特開2007−042895(JP,A)
【文献】
特開2009−016442(JP,A)
【文献】
特開2014−146708(JP,A)
【文献】
特開2014−154761(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/043514(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/120298(WO,A1)
【文献】
特表2008−502151(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/151001(WO,A1)
【文献】
特開平10−215005(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/006246(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 35/34
H01L 35/14
H01L 35/32
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウェハー100上にフォトリソグラフィ処理を行って第一の電極のためのパターン200を形成する第一の電極パターン形成ステップと;
前記シリコンウェハー100上にPDMS基板層300を形成する基板形成ステップと;
前記シリコンウェハー100上に形成されたパターン200を除去してパターン200が除去された位置にビア210を形成する基板ビア形成ステップと;
前記ビア210が形成された部分にだけフォトリソグラフィ処理を行って第一の電極用導電層蒸着のためのパターン400を形成する第一の電極蒸着パターン形成ステップと;
前記パターン400上に導電層を蒸着させて第一の電極500を形成する第一の電極蒸着ステップと;
前記第一の電極500が蒸着された前記PDMS基板層300をシリコンウェハー100から分離させる基板層分離ステップと;
前記分離されたPDMS基板層300に形成された第一の電極500に第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60を転写させて前記第一の電極500に第一及び第二のナノワイヤー50、60を結線させる転写及び結線ステップと;
前記第一及び第二のナノワイヤー50、60の他側の部分にフォトリソグラフィ処理を行って第二の電極用導電層蒸着のためのパターンを形成する第二の電極蒸着パターン形成ステップと;
前記パターン上に導電層を蒸着させて第二の電極700を形成する第二の電極蒸着ステップと;
前記第一の電極500と第二の電極700との間に熱遮断保護層800を形成する保護層形成ステップと;を含んで構成されることを特徴とする熱電発電モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60は、
PDMS層1500上に紫外線によって硬化する有機物層1600を形成するステップと;
浮揚された状態のシリコンナノワイヤー1400、1401を形成したシリコンウェハー1000基板を前記PDMS層1500の上部に整列させて圧力を加えて前記PDMS層1500にコーティングされた有機物層1600の内部にナノワイヤー1400、1401を内挿させるステップと;
前記ナノワイヤー1400、1401が有機物層1600の内部に内挿されると、上部のシリコンウェハー1000を除去して有機物層1600を紫外線に露出させて有機物層1600を硬化させるステップと;
前記有機物層1600の硬化が完了した後有機物層1600を除去するステップと
により前記PDMS層1500に転写されることを特徴とする請求項1に記載の熱電発電モジュールの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の製造方法によって製造された熱電発電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電モジュールに関し、より詳細には、電気的な信号が平面上で互いに直列連結された単位体によって水平的に伝達されて、熱の移動は共通電極から第一の電極と第二の電極に垂直的に伝達される3次元的立体構造を有するハイブリッド型熱電発電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱電現象(Thermoelectric effect)とは、熱と電気の間の可逆的、直接的なエネルギー変換によって外部から印加された電流によって形成された両端の温度差を利用して冷却分野に応用するペルティエ効果(Peltier effect)と、材料の両端の温度差から発生する起電力を利用して発電分野に応用するゼーベック効果(Seebeck effect)に区分される。
【0003】
前記ペルティエ効果を応用した熱電冷却技術は、環境問題を誘発する冷媒ガスを使わない環境に優しい冷却技術であり、さらには、無振動と低騒音を有するメリットを有していて、今後高効率の熱電冷却材料の開発が成し遂げられるのであれば、冷蔵庫やエアコンなどの汎用冷却分野にまで応用の幅を拡大する可能性を有している技術である。
【0004】
また、前記ゼーベック効果を応用した熱電発電技術は、車のエンジン、産業現場での熱放出装備や該当区間に適用すると、材料の両端に発生する温度差による発電を行う技術として、すでに太陽熱発電が行われることができない遠距離宇宙探査船にこのような熱電発電システムが適用されているのが現状である。
【0005】
前記熱電発電モジュールは、p型及びn型導体、または半導体を連結して片方は高温、他側は低温熱源に設定した時に発生する熱起電力によって電流を流れるようにした回路である。
【0006】
近年、前記のような熱電発電モジュールの小型コンパクト化を達成するためにナノワイヤー(nano-wire)を利用する熱電発電モジュールが開発されている。このような技術として大韓民国特許第1249292号(2013年3月26日、以下、「特許文献1」)の熱電素子、熱電素子モジュール、及びその熱電素子の形成方法が公示されている。
【0007】
前記特許文献1は、前記素子は一つ以上の第一の障壁領域を含む第一の導電型の第一の半導体ナノワイヤー、一つ以上の第二の障壁領域を含む第二の導電型の第二の半導体ナノワイヤー、第一の半導体ナノワイヤーの一端に連結された第一の電極、第二の半導体ナノワイヤーの一端に連結された第二の電極、及び第一の半導体ナノワイヤーの他端及び第二の半導体ナノワイヤーの他端に連結された共通電極を含む構成の熱電素子モジュールの構成である。
【0008】
前記のような特許文献1の熱電素子モジュールは、第一の半導体ナノワイヤーと第二の半導体ナノワイヤーが前記第一の電極と第二の電極及び共通電極を連結するブリッジ(bridge)の役割をするが、このようなブリッジを形成する構造は、熱電素子モジュールの製造工程を複雑にするだけでなく、このような複雑な製造工程と択一的な構造の製造だけを許容する点で熱電素子モジュールの性能と設計の自由度を向上させるのに限界を示している実情である。
【0009】
また、ナノワイヤーを利用して熱電素子を製造する方法として大韓民国特許公開第10−2012−71254号(2012年7月2日、以下、「特許文献2」)の熱電素子及びその製造方法が公示されている。
【0010】
前記特許文献2は、フレキシブルベース基板上部に半導体層を蒸着してパターニングして第一のナノワイヤーパターン、前記第一のナノワイヤーパターン、高温部及び低温部を形成する構造物形成ステップ;前記第一のナノワイヤーパターン及び前記第二のナノワイヤーパターンに第一の導電型物質及び第二の導電型物質を各々イオン注入して形成するナノワイヤー形成ステップ;前記基板全面に絶縁物質を蒸着してパターニングして前記第一のナノワイヤーと前記第二のナノワイヤーの上部に絶縁層を形成する絶縁層形成ステップ;前記基板全面に金属物質を蒸着してパターニングして前記第一のナノワイヤー側絶縁層の上部に第一の金属層を形成する第一の金属層形成ステップ;及び前記基板全面に金属物質を蒸着してパターニングして前記第二のナノワイヤー側絶縁層の上部に第二の金属層を形成する第二の金属層形成ステップを含む熱電素子の製造方法の構成である。
【0011】
しかし、前記の特許文献2も第一のナノワイヤーと第二のナノワイヤーを形成するためにパターン形成、絶縁層形成及び金属層形成などの種々の工程を経なければならないので、前述した特許文献1と同様に製造工程が複雑で、熱電素子モジュールの性能増大に制約があって、択一的構造の製造方法であるため、熱電素子モジュールの設計自由度が低下する問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国特許第1249292号
【特許文献2】大韓民国特許公開第10−2012−71254号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のような従来の様々な問題点を解消するために創案された本発明は、熱電発電モジュールの電極連結ブリッジをナノワイヤーを利用して製造して、熱電発電モジュールの発電性能を向上させることができ、製造工程及び構造を単純させることで製造原価を節減できると共に、コンパクトな構造を有する熱電発電モジュールの開発を可能にして、さらには電極とナノワイヤーを利用するブリッジ構造が多様に配置されることによって設計上の自由度を増大させることができるハイブリッド型熱電発電モジュール及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記のような技術的課題を達成するための本発明は、異なる二つの熱源の間に介在して熱電発電をなす基礎構造である単位体10の集合からなる熱電発電モジュールにおいて、前記単位体10は、いずれか一つの熱源側に配置される第一の電極と、他の一つの熱源側に前記第一の電極と離隔して配置される第二の電極と、前記第一の電極と前記第二の電極を連結させて、nタイプかpタイプの半導体からなる第一のナノワイヤー50と、前記第一のナノワイヤー50を形成するタイプと異なるタイプの導体または半導体からなり、一側は前記第一の電極側に連結され、他側は前記単位体10と隣接する他の単位体の第二の電極側に連結される第二のナノワイヤー60と、を備えることを特徴とする熱電発電モジュールを提供する。
【0015】
前記熱電発電モジュールにおいて、前記第一の電極と前記第二の電極は、同じ平面上に配置され、前記第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60のうちいずれか一つは、前記第一の電極20から延びて離隔配置される同じ単位体内の第二の電極30と連結され、他の一つは隣接単位体内の第二の電極と連結され、前記単位体10のうち少なくとも一つの前記第一の電極及び第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60は「コ」の字形態形成が可能となってもよい。
【0016】
前記熱電発電モジュールにおいて、前記「コ」の字形状をなす前記第一の電極及び第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60の単位体を含む前記単位体を基板100上に直列連続配置していずれか一つの熱源を囲繞可能となってもよい
【0017】
前記熱電発電モジュールにおいて、異なる二つの熱源の間に配置される基板100を備え、前記第二の電極及び前記第一のナノワイヤーと第二のナノワイヤーは、前記基板の一面上に配置される一方、前記第一の電極は、前記基板を貫いて前記第一の電極の他面が前記基板の他面に露出されるように配置され、前記第一の電極及び前記第二の電極の間の前記基板の一面には熱遮断保護層が配置されてもよい。
【0018】
前記熱電発電モジュールにおいて、前記熱遮断保護層は、前記第一のナノワイヤー、前記第二のナノワイヤー及び前記第一の電極の他面に塗布されてもよい。
【0019】
前記熱電発電モジュールにおいて、前記熱遮断保護層は、ZrO
2、Si O
2、Al
2O
3、Ti O
2,SiCまたはZrO
2を含むセラミック系列材料及びポリマーのうち一つ以上を含んでもよい。
【0020】
前記熱電発電モジュールにおいて、前記フレキシブル基板は、PDMS(Poly dimethyl siloxane)、ポリイミド(Polyimide)、ポリカーボネート(Poly carbonate)、PMMA(Poly methyl methacrylate)、シクロオレフィンコポリマー(COC;Cyclo olefin copolymer)、パリレン(Parylene)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシラン(polysilane)、ポリシロキサン(polysiloxane)、ポリシラザン(polysilazane)、ポリカルボシラン(polycarbosilane)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリメタリルレート(polymethacrylate)、ポリメチルアクリレート(polymethylacrylate)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethylacrylate)、ポリエチルメタクリレート(polyethylmetacrylate)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルキル高分子(PFA)のうちいずれか一つで構成されるかこれらの組合せからなってもよい。
【0021】
前記熱電発電モジュールにおいて、前記第一のナノワイヤー50と前記第二のナノワイヤー60は転写方式で前記第一の電極20及び第二の電極30に連結配置されてもよい。
【0022】
前記熱電発電モジュールにおいて、前記第一のナノワイヤーまたは第二のナノワイヤーは、50nm以下の径のフォノンチョーク部を備えてもよい。
【0023】
本発明の他の一面によると、本発明は、シリコンウェハー100上にフォトリソグラフィ処理を行って第一の電極のためのパターン200を形成する第一の電極パターン形成ステップと;前記シリコンウェハー100上にPDMS基板層300を形成する基板形成ステップと;前記シリコンウェハー100上に形成されたパターン200を除去してパターン200が除去された位置にビア210を形成する基板ビア形成ステップと;前記ビア210が形成された部分にだけフォトリソグラフィ処理を行って第一の電極用導電層蒸着のためのパターン400を形成する第一の電極蒸着パターン形成ステップと;前記パターン400上に導電層を蒸着させて第一の電極500を形成する第一の電極蒸着ステップと;前記第一の電極500が蒸着された前記PDMS基板層300をシリコンウェハー100から分離させる基板層分離ステップと;前記分離されたPDMS基板層300に形成された第一の電極500に第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60を転写させて前記第一の電極500に第一及び第二のナノワイヤー50、60を結線させる転写及び結線ステップと;前記第一及び第二のナノワイヤー50、60の他側の部分にフォトリソグラフィ処理を行って第二の電極用導電層蒸着のためのパターンを形成する第二の電極蒸着パターン形成ステップと;前記パターン上に導電層を蒸着させて第二の電極700を形成する第二の電極蒸着ステップと;前記第一の電極500と第二の電極700との間に熱遮断保護層800を形成する保護層形成ステップと;を含んで構成されることを特徴とする熱電発電モジュールの製造方法を提供する。
【0024】
前記熱電発電モジュールの製造方法において、前記第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60は、
前記PDMS層1500上に紫外線によって硬化する有機物層1600を形成するステップと;浮揚された状態のシリコンナノワイヤー1400、1401を形成したシリコンウェハー1000基板を前記PDMS層1500の上部に整列させて圧力を加えてPDMS層1500にコーティングされた有機物層1600の内部にナノワイヤー1400、1401を内挿させるステップと;前記ナノワイヤー1400、1401が有機物層1600の内部に内挿されると、上部のシリコンウェハー1000を除去して有機物層1600を紫外線に露出させて有機物層1600を硬化させるステップと;前記有機物層1600の硬化が完了した後有機物層1600を除去するステップとによりPDMS層1500に転写されてもよい。
【0025】
本発明のさらに他の一面によると、本発明は前記熱電発電モジュールの製造方法のうちいずれか一つの製造方法で製造された熱電発電モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0026】
前記のような構成を有する本発明の熱電発電モジュール及びその製造方法は、転写方式でナノワイヤーを形成する構成を有するため、熱電発電モジュールの製造工程及び構造を単純化させることができる効果がある。
また、互いに反対面に向かうように配置される両電極の間にナノワイヤー素子が連結される構造であるため、連続的直列連結構造配置を介して熱電発電モジュールの発電効率を増大させて発電性能も向上させる効果がある。
また、製造工程及び構造の単純化を介して熱電発電モジュールの製造原価を節減できるだけでなく、小型コンパクトな構造として熱電発電モジュールの開発を可能にする効果がある。
また、電極とナノワイヤーを利用するブリッジ構造が様々なパターンで配置できるため、熱電発電効率を向上させるための設計上の自由度を増大させることができる効果がある非常に進歩した発明である。
また、本発明の熱電発電モジュールは、熱の流れ経路と電気的流れ経路を垂直配置される構造を介して二つの熱源の間に間隙を最小化させた場合でも大面積化を介した直列連結配置構造を可能にして熱電性能を最大化させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明の熱電発電モジュールの単位体の構成図である。
【
図1B】本発明の熱電発電モジュールの単位体を並べた状態図である。
【
図2】本発明の熱電発電モジュールの単位体が連続的に配置された状態の一例を示した図面である。
【
図3A】本発明の熱電発電モジュールの断面図である。
【
図3B】本発明の熱電発電モジュールの一実現例を図示する状態図である。
【
図3C】本発明の熱電発電モジュールの一実現例を図示する状態図である。
【
図3D】本発明の熱電発電モジュールの一実現例を図示する状態図である。
【
図4A】本発明の熱電発電モジュールの製造工程図である。
【
図4B】本発明の熱電発電モジュールの製造工程図である。
【
図4C】本発明の熱電発電モジュールの製造工程図である。
【
図4D】本発明の熱電発電モジュールの製造工程図である。
【
図4E】本発明の熱電発電モジュールの製造工程図である。
【
図4F】本発明の熱電発電モジュールの製造工程図である。
【
図4G】本発明の熱電発電モジュールの製造工程図である。
【
図4H】本発明の熱電発電モジュールの製造工程図である。
【
図4I】本発明の熱電発電モジュールの製造工程図である。
【
図4J】本発明の熱電発電モジュールの製造工程図である。
【
図5A】本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーの製造工程図である。
【
図5B】本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーの製造工程図である。
【
図5C】本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーの製造工程図である。
【
図5D】本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーの製造工程図である。
【
図5E】本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーの製造工程図である。
【
図5F】本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーの製造工程図である。
【
図6A】本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーが転写される過程を示す工程図である。
【
図6B】本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーが転写される過程を示す工程図である。
【
図6C】本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーが転写される過程を示す工程図である。
【
図6D】本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーが転写される過程を示す工程図である。
【0028】
以下、添付図面に基づいて本発明の熱電発電モジュール及びその製造方法の構成を詳細に説明する。
【0029】
但し、開示された図面は当業者に本発明の思想が充分に伝えられるようにするための例として提供される。従って、本発明は、以下提示される図面に限定されず他の態様で具体化されることもできる。
【0030】
また、本発明明細書で用いられる用語において別の定義がない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を持って、下記の説明及び添付図面で本発明の要旨を不要に濁らせる公知機能及び構成に対する詳細な説明は省略する。
【0031】
図1Aは、本発明の熱電発電モジュールの単位体の構成図である。
本発明の熱電発電モジュールは、熱電発電のための基本的な基礎構造である単位体10の集合体である。
図面を参照すると、本発明の熱電発電モジュールは、異なる温度を備えて両者間に温度差を有する異なる二つの熱源の間に介在されて、一つ以上の単位体10を備える。
【0032】
単位体10は、熱電発電をなす基礎構造であり、単位体10は、第一の電極20と第二の電極30と、第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60を含む。第一の電極20は、熱源のうちいずれか一つの熱源側に配置されて、第二の電極30は、他の一つの熱源側に第一の電極と離隔して配置される。第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60は、転写方式で連結配置されてもよい。
【0033】
本実施形態で、第一の電極20は、高温熱源側に配置されて、第二の電極30は、低温熱源側に配置されるが、これは一例であり、互いに反対になる構成を取ってもよい等種々の変形が可能である。
【0034】
第一のナノワイヤー50は、第一の電極20と第二の電極30を連結させて、nタイプかpタイプの半導体からなる。第二のナノワイヤー60は、第一のナノワイヤー50を形成するタイプと異なるタイプの導体または半導体からなり、その一側は前記第一の電極側に連結され、他側は前記単位体10と隣接する他の単位体の第二の電極側に連結される。すなわち、第一のナノワイヤー50がnタイプの場合、第二のナノワイヤー60はpタイプ、逆に第一のナノワイヤー50がpタイプの場合、第二のナノワイヤー60はnタイプの導体または半導体からなる。
【0035】
場合により、第一のナノワイヤー50及び第二のナノワイヤー60の一部、概ね中央部位にフォノンチョーク部51、61が形成されてもよい。フォノンチョーク部51、61;1402、1403は、概ね50nm以下の径、実質的な有効直径、より具体的には20nm〜50nm範囲の径の値を有するが、フォノンチョーク部を形成して電荷運搬体の移動は許容するがフォノンの移動を制限してナノワイヤーを介した熱電導性を実質的に遮断して熱電発電性能を向上させることもできる。
【0036】
前記の通り形成される本発明の熱電発電モジュールの単位体10は、第一の電極20及び第二の電極30が対向するように配置されて、第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60が第一の電極20と第二の電極30を連結して配置されるが、
図1A、
図1B 及び
図2の本実施形態で第一の電極20と第二の電極30は同一平面上に配置される。第一の電極20と第二の電極30は、互いに離隔して配置されて、第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60は、前記第一の電極20から延びて離隔配置される同じ単位体内の第二の電極30及び隣接単位体内の第二の電極と連結される。単位体10のうち少なくとも一つの第一の電極20及び第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60は、「コ」の字形態形成が可能である。即ち、単位体10は多様な配置構造が可能であるが、本発明の熱電発電モジュールの単位体10のうち少なくとも一つは、第一の電極20と第二の電極30が互いに平行となるように離隔して配置されるか、長さ方向に対して同一線状に配置される場合に互いに一部だけが重なる構造を取ることによって、第一の電極20の中心と第二の電極30の中心が互いに離隔する構造を取る。また、少なくともこのような単位体を含む複数の単位体の連続的連結配置をなすことによって、前記第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60のうちいずれか一つは、同じ単位体内の第二の電極30と連結されて、他の一つは隣接単位体内の第二の電極と連結されて、結果的に単位体内の少なくとも一つの第一の電極20及び第一のナノワイヤー50及び第二のナノ粒子フィルム60は、「コ」の字形態形成配置構造をなす。
【0037】
一方、
図1Aの本実施形態で、第一の電極20と第二の電極は同じ平面上でのみ形成される構造を取るが、後述されるように第一の電極20及び第二の電極30は、互いに平行するように離隔対向配置され、少なくとも一部が互いに同じ平面上に配置され、各々の電極が露出して熱の流出入を許容する一面は互いに反対になる面を形成する構造を取ることができる。すなわち、第一の電極20は、紙面の下方に向けて露出する構造を取り、第二の電極30は、紙面の上方に向けて露出する構造を取る。このような構造を介して、熱の流れは垂直方向の熱伝達構造をなし、電極の配置は水平面上でなすことで、熱電発電モジュールの集積化及び大面積化を可能にして熱電効率を最大化させることができる垂直、水平混合ハイブリッド構造を形成してもよい。
【0038】
一方、本発明の熱電発電モジュールは、このような「コ」の字形状をなす単位体を含む単位体を基板100上に直列連続配置していずれか一つの熱源を囲繞する構造を取ってもよい。
【0039】
図2は、本発明の熱電発電モジュールの単位体10が連続的に配置されて本発明の熱電発電モジュールを構成した一例を示した図面である。
【0040】
上述した通り、第一の電極20及び第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60によって連結されてなされた「コ」の字形状の単位体10を含む複数の単位体を直列連結して連続的な配置をなして四角形の集積構造を形成することによって熱電発電モジュールを構成する。
【0041】
そして、前記の通りに四角形の集積構造を形成した単位体10の中央にいずれか一つの熱源、すなわち高温側熱源70(heat source)が設置されて囲繞した領域の外側に高温側熱源70より低い温度の熱源が配置される構造を介して、これら二つの熱源の間に配置される前記単位体10によって熱電発電が実行される。
【0042】
前記のような本発明実施形態の熱電発電モジュールは、本発明の「コ」の字構造の単位体10を含む単位体を連続的及び効率的に配置させることによって熱電発電モジュールを小型コンパクト化させたものであり、本発明の熱電発電モジュールが設置される空間の活用性を最大化させることができる構造である。このような構造の一例としては、コンピュータなどのCPUなどの高温発熱要素の周囲を囲繞して熱電発電機能を行うことができる。場合により、例えば、CPUなどが過熱されて性能低下が懸念される場合、熱電発電モジュールに電流を印加してペルティエ効果を利用したCPU等の高温熱源要素を強制冷却させる構成を取ってもよい。
【0043】
ここで、前述したように、本実施形態では第二の電極30が、例示された一つの熱源70に向かう一面上に配置されて、第一及び第二の電極20、30が、第二の電極30が露出した面と反対面に向かうように配置される。ここでは「コ」の字構造の単位体10が熱源を周囲で囲繞する構造を例示したが、これは本発明の一例であり、本発明の熱電素子、すなわち熱電発電モジュールは、第一の電極/第二の電極が向かう一面が熱源に向けて離隔したりまたは直接接触して面接触をなす構造が形成でき、特に熱電発電モジュールが形成されるベースや基板がフレキシブルな素材からなり屈曲がある熱源の外部面も効果的に面接触をなす熱源経路と電気的流れの経路が垂直交差するハイブリッドタイプの立体的構造を形成してもよい。
【0044】
図3Aは、
図2に示された場合の拡張された例としての立体的構造の熱電発電モジュールの一例が示され、熱電発電モジュールは、ハイブリッドタイプを取って熱の流れの経路と電気的な流れの経路が垂直交差する構造を取る。より具体的には、本発明の熱電発電モジュールは、基板100をさらに備えるが、基板はフレキシブル基板で具現可能である。 前記フレキシブルベース基板は、PDMS(Poly dimethyl siloxane)、ポリイミド(Polyimide)、ポリカーボネート(Poly carbonate)、PMMA(Poly methyl methacrylate)、シクロオレフィンコポリマー(COC;Cyclo olefin copolymer)、パリレン(Parylene)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシラン(polysilane)、ポリシロキサン(polysiloxane)、ポリシラザン(polysilazane)、ポリカルボシラン(polycarbosilane)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリメタリルレート(polymethacrylate)、ポリメチルアクリレート(polymethylacrylate)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethylacrylate)、ポリエチルメタクリレート(polyethylmetacrylate)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルキル高分子(PFA)のうちいずれか一つで構成されるかこれらの組合せからなってもよい。
【0045】
第二の電極30及び第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60は、基板100の一面上に配置され、第一の電極20は、基板100を貫いて第一の電極20の他面が基板100の他面に露出するように配置される。すなわち、第一の電極20は、図面上基板100の下面が露出配置され、第二の電極30は、基板100の上面で露出するように配置される。この時、第一の電極20及び第二の電極30の間に基板100の一面には熱遮断保護層110が配置されるが、熱遮断保護層110は、第一のナノワイヤー50、第二のナノワイヤー60及び第一の電極20の他面に塗布され、熱遮断保護層110のカバレッジは、第一のナノワイヤー50、第二のナノワイヤー60及び第一の電極20まで形成され、第一のナノワイヤー50、第二のナノワイヤー60及び第一の電極20が、基板100の一面上で露出されないようにして、第二の電極30の少なくとも一部だけが基板100の一面上で露出されて基板100の一面側に配置される熱源との熱伝達をなすようにして、第一の電極20は、基板100の他面、すなわち図面の下面に配置される熱源との熱伝達をなすようにする。
【0046】
すなわち、本発明の熱電発電モジュールは、他の構成要素がフレキシブルな基板100上に実装される構造を取るが、一つ以上の単位体10が基板100上に実装され単位体10の第一の電極20及び第二の電極30が熱電素子としての第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60によって直列連結されて、第一の電極20及び第二の電極30の間に、より具体的には基板100の一面上で第一のナノワイヤー50、第二のナノワイヤー60及び第一の電極20の他面を完全に覆う熱遮断保護層110を形成する。熱遮断保護層110は、第一の電極20側が基板100の図面の下面に配置される熱源にだけ露出するようにして、基板100の上面に配置される他の熱源への露出を防止して熱電発電モジュールに断熱効果を与えて熱電性能を向上させると共に、基板100の一面上に配置される構成要素が外部からの異物流入による損傷を防止するためである。このような熱遮断及び保護的機能を行うように、本実施形態で熱遮断保護層110は、ZrO
2、SiO
2、Al
2O
3、TiO
2、SiCまたはZrO
2のようなセラミックス系材料及び断熱特性が優れたポリマー中一つ以上を含んでもよい。
【0047】
この時、前記の通りに構成される単位体10上で、基板100を中心に垂直に配置される二つの熱源、すなわち第一の電極20側に配置される高温熱源と、第二の電極30側に配置される低温熱源間との温度差によって第一の電極20及び第二の電極30との間の両端の温度差からゼーベック効果(Seebeck effect)による起電力が発生しながら単位体10で熱電発電が行われる。熱源の垂直配置で熱伝達の流れは、垂直伝達構造を取るが、起電力の電気的流れを発生させる第一のナノワイヤー50乃至第二のナノワイヤー60は、熱の流れと垂直交差する基板上と水平に配置される方向への連続的直列連結展開構造によって電気的流れは、水平配置される構造を取ることができる。
【0048】
このような本発明の熱電発電モジュールは、前記単位体10が平面上で互いに直列連結されて電気的な信号が水平的に伝達される構造であるが、上述した通り第一の電極20から第二の電極30に熱が垂直的に伝達される構造を形成することによって、電気的信号は水平方向に伝達され熱は垂直方向に伝達される3次元的な立体構造のハイブリッド(hybrid、複合)タイプの熱電発電モジュールで具現されることができる。
【0049】
また、前記の基板100を公知されたプルレクシブル(flexible)な性質を有する薄層の素材を利用すると、熱電発電モジュール自体を撓ったり曲がったりするように形成させることができるために、熱電発電モジュールを既存の乾電池のような物に適用させることもできるようになる。
【0050】
図3B、
図3C及び
図3Dには、このようなフレキシブル基板上に具現される熱電発電モジュールの一例が図示される。すなわち、ウェアラブル機器としてのスマートウォッチなどのリストバンド側に所定の電極20を配置して体から発熱される熱を高熱源として利用して自家発電機能を行うこともできる(
図3Bを参照)。また、アームバンドの内側面に所定の電極20を配置して運動する体から発生する急激な熱を高熱源として利用して熱電発電をなしてもよい。
【0051】
また、場合により、一枚のシーツタイプで形成して非常発電要素として太陽熱の高温熱源側に所定の電極を配置して、芝生などの低温熱源側に他の電極を配置させて両者間の温度差を利用した緊急発電要素として用いてもよい。このようなシーツタイプは、建物などの外壁に付着される実現例をなすこともできるなど種々な変形が可能である。
【0052】
以下、本発明の一例による熱電発電モジュールの製造過程を図面を参照して説明する。
図4には、本発明一例による熱電発電モジュールの製造工程が図示される。
【0053】
本発明の熱電発電モジュールの製造方法上の最も大きな特徴は、ナノワイヤーを基板上に転写(transfer)することで、ナノワイヤーを各電極と結線させるステップを有している点である。このような本発明の熱電発電モジュールの製造工程を図面に記載されたアルファベット順のステップ(a〜jステップ)に従って箇条式で説明すると、下記のとおりである。
【0054】
(a)ステップ:第一の電極のためのパターンを形成する第一の電極パターン形成ステップ
シリコンウェハー100上にフォトリソグラフィ(Photo Lithography)法を利用して第一の電極のための四角形のパターン200を形成する。
具体的には、前記シリコンウェハー100上に感光液を塗布して、露光装備を利用して該当パターンが入れられたマスクに光を通過させて選択的に照射させた後(露光過程)、現像液を噴射してシリコンウェハー100上に第一の電極のためのパターン200を形成する。
必要に応じて、測定装備や光学顕微鏡または目視で該当パターンが良好に形成されたかを検査する。
【0055】
(b)ステップ:シリコンウェハー上に基板層を形成する基板形成ステップ
前記の通り第一の電極20のためのパターン200が形成されると、公知の表面処理過程を介して前記シリコンウェハー100上にシロキサン重合体であるPDMS(polydimethylsiloxan、ポリジメチルシロキサン)層300を形成する。
前記PDMSは、オイル、エマルジョン、化合物、潤滑剤、樹脂、弾性体、ゴムなどを製造時表面処理に利用される多目的重合体素材である。
本実施形態で基板層はPDMSを利用したが、本発明はこれに限定されず、前記の通り様々な材料が使用されてもよい。
【0056】
(c)ステップ:パターン200を除去してビア(via)を形成する基板ビア形成ステップ
前記PDMS基板層、すなわち基板層300が形成されると、公知のリフトオフ(Lift−Off)工程を介して前記シリコンウェハー100上に形成されたパターン200を除去する。
パターン200が除去されると、除去された位置にビア(via、貫通孔)210が残った形態のPDMS基板層300が作られることになる。
【0057】
(d)ステップ:電極用導電層蒸着のためのパターンを形成する第一の電極蒸着パターン形成ステップ
前記の通りビア210が形成されたPDMS基板層300上に形成されたビア210部分にだけフォトリソグラフィ(Photo Lithography)処理を行って第一の電極用導電層蒸着のための四角形のパターン400を形成する。
ここで、図示された(d)ステップの図面は、前記PDMS基板層300に形成されたビア210の位置に後にパターン400として残ることになる感光層400上にビア410を形成させた状態を図示したものであり、以後、露光過程と現象過程を経ると、下記(e)ステップの図面に図示された通り、前記PDMS基板層300のビア210の部分にだけ電極用導電層蒸着のためのパターン400が形成されることになる。
【0058】
(e)ステップ:電極形成のためのパターン上に導電層を蒸着する第一の電極蒸着ステップ
前記の通りPDMS基板層300上にパターン400が形成されると、公知の真空熱蒸着工程(thermal evaporation process)やスパッタ工程(sputter deposition process)を介して前記パターン400上に電気伝導度が良好な導電層を蒸着させて第一の電極500を形成する。
【0059】
(f)ステップ:PDMS基板層300とシリコンウェハー100を分離させる基板層分離ステップ
前記の通り第一の電極500が蒸着されると、前記PDMS基板層300とシリコンウェハー100を分離させる。
【0060】
(g)ステップ:ナノワイヤーの転写及び結線ステップ
前述した通り、本発明の熱電発電モジュールの製造方法上の最も特徴的な工程であり、分離したPDMS基板層300のパターン400上に形成された第一の電極500に第一のナノワイヤー50と第二のナノワイヤー60を転写(transcription)させて前記第一の電極500にナノワイヤー50、60を結線させる。このステップのナノワイヤーの転写のための詳細工程は、
図5を参照して後述する。
【0061】
(h)ステップ:第二の電極のための第二の電極蒸着パターン形成ステップ
前記の通りにナノワイヤー50、60が転写されると、一側が前記第一の電極500に結線されたナノワイヤー50、60の他側の部分にフォトリソグラフィ(Photo Lithography)処理を行って第二の電極用導電層蒸着のための四角形のパターンを形成する。
ここで、図示された(h)ステップの図面は、第二の電極用導電層蒸着のためのパターンに残る感光層600上にビア610を形成させた状態を図示したものであり、以後、露光過程と現象過程を経ると、前記の感光層600上のビア610の部分にだけ第二の電極用導電層蒸着のためのパターンが形成されることになる。
【0062】
(i)ステップ:第二の電極を形成する第二の電極蒸着ステップ
前記の通り第二の電極用導電層蒸着のためのパターンが形成されると、公知の化学的気相蒸着工程(chemical vapor deposition process)を介して形成されたパターン上に電気伝導度が良好な導電層を蒸着させて第二の電極700を形成する。
【0063】
(j)ステップ:保護層の形成ステップ
前記の通り第二の電極700が形成されると、第一の電極及び第二の電極の導電層電極500と第二の電極700との間にシリコン酸化膜からなる保護層800(passivation layer)を形成する。前記の保護層800は断熱効果と共に外部からの異物流入を防止する機能をする。
【0064】
上述したステップによって製造される本発明の熱電発電モジュールは、
図4の(j)に図示された通り、PDMS層300上に第一の電極500と第二の電極700が各々形成され、前記第一の電極用導電層電極500と第二の電極700との間をナノワイヤー50、60を利用して互いに連結させた構成の熱電発電モジュールを形成することになる。
【0065】
次に、前記のような本発明の熱電発電モジュールの製造過程に利用されるナノワイヤーの製造過程を説明する。
ナノワイヤー素子の製造は、アプローチにより二つに大別することができる。極微細写真エッチング工程などを利用してシリコンなどの材料をエッチングして所望の位置にナノワイヤー素子を直接製作するトップダウン(top-down)方式と、ナノワイヤーをVLS(Vapor−Liquid Solid)成長法などを利用して合成した後、特定位置に整列してナノワイヤー素子を製作するボトムアップ(bottom-up)方式があり、本発明のナノワイヤーの製造は、前記のトップダウン方式といえる。
【0066】
図5は、本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーの製造工程図であり、図面に記載されたアルファベット順のステップ(a〜fステップ)に従って、箇条式で説明すると下記のとおりである。
【0067】
(a)ステップ:ナノワイヤーパターン形成ステップ
シリコンウェハー1000基板上にシリコンオキシド(SiO
2)層1100とシリコンニトリド(Si
3N
4)層1200を形成して、前記シリコンニトリド層1200上に前述したフォトリソグラフィ(Photo Lithography)法を利用して、ナノワイヤーの直線形状のパターン1300を形成する。
【0068】
(b)ステップ:トレンチ形成ステップ
前記の通りシリコンニトリド層1200上にナノワイヤー形状のパターン1300が形成されると、公知の反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)処理を行って、前記パターン1300の部分をエッチングさせて、後にナノワイヤー形成のためのボディー(body)の役割をするトレンチ(trench、溝)1001を形成する。
前記トレンチ1001は、シリコンウェハー1000上で垂直に突出したバー形状であり、シリコンウェハー1000上にシリコンオキシド(SiO
2)層1100とシリコンニトリド(Si
3N
4)層1200が積層された状態である。
【0069】
(c)ステップ:トレンチのエッチングステップ
前記トレンチ1001をシリコンウェハー1000の物性特性に従って、非等方性湿式エッチング(Wet-etching)法でエッチングして、三角形ラインを有する下部トライアングル部1002と逆三角形ラインを有する上部トライアングル部1003を形成する。
【0070】
(d)ステップ:トレンチの分離ステップ
前記トレンチ1001のシリコンウェハー1000を公知の酸化工程を介して部分的に酸化させながら前記下部トライアングル部1002と上部トライアングル部1003の大きさを縮小させて、前記下部トライアングル部1002と上部トライアングル部1003を互いに分離させる。未説明符号1300は、下部トライアングル部1002と上部トライアングル部1003の外壁を示す。
【0071】
(e)ステップ:イオン注入ステップ
n型またはp型のナノワイヤーを製造するために、前記の通り分離された状態の上部トライアングル部1003にフォトリソグラフィ(Photo Lithography)法とAs(ヒ素)やBF
2(フッ化ホウ素)等のイオン注入工程を介して上部トライアングル部1003の特定区間や特定位置をn型またはp型の半導体タイプと特定濃度を有するように形成する。
【0072】
この時、前記シリコンウェハー1000は、濃度によって湿式エッチングの速度が異なるので、濃度を調節するに伴ってナノワイヤーの大きさを調節する部分エッチングも可能である。このような部分エッチングを介してナノワイヤー(または、第一及び第二のナノワイヤー;
図1A、
図3A及び
図5の(f)を参照)の一部、概ね中央部位にフォノンチョーク部51、61;1402、1403を形成してもよい。フォノンチョーク部51、61;1402、1403は、概ね50nm以下の径、実質的な有効径、より具体的には20nm〜50nm範囲の径の値を有するが、電荷運搬体の場合、ナノワイヤーにおいて10nm未満の径の範囲でナノワイヤーの表面粗さによるモビリティー低下現象が発生するか、フォノンの場合、20〜50nmからナノワイヤーの表面粗さの影響を受けるようになり、ナノワイヤーの径が小さくなるほどフォノンは境界散乱(boundary scattering)によって伝播が低下する。本発明のフォノンチョーク部を備えるナノワイヤーの場合、基板、場合によりフレキシブル基板上に転写されて熱電モジュールを形成する構造を取るが、ペンディングないしトーションなどの変形などによる外部ストレスで破損される危険性を最小化させるように本発明のフォノンチョーク部は20〜50nmの範囲の値を有する。
【0073】
このようにナノワイヤーの特定の部分だけを径を50nm以下のフォノンチョーク部を形成して電荷運搬体の移動は許容するがフォノンの移動を制限して、ナノワイヤーを介した熱電導性を実質的に遮断して熱電性能を向上させてもよく、本発明の一例としてのハイブリッドタイプの熱電モジュールの実現、すなわち水平面上での電気的流れを形成して垂直面上での熱電導性の流れを形成して熱と電気の流れの垂直的交差を介した熱電気経路の分離構造を強化させて単位体の熱電効率を増大させてもよい。
【0074】
(f)ステップ:ナノワイヤー完成ステップ
前記のようなイオン注入を完了して所望のタイプのn型またはp型半導体タイプが形成されると、バッファーオキシドエッチャント(Buffer Oxide Etchant)法によって前記上部トライアングル部1003と下部トライアングル部1002及びその外壁1300に残っていたシリコンオキシド層1100を溶かして除去する。
すると、シリコンウェハー1000基板上でナノワイヤーの両端が槌形状の支持体(図示せず)で固定されて空中に浮揚された(suspended)状態のシリコンナノワイヤー1400、1401が完成されることになる。
【0075】
図6は、本発明の熱電発電モジュールのナノワイヤーが転写される過程を示す工程図であり、本発明の熱電発電モジュールの製造ステップ中前記(g)ステップのナノワイヤーの転写過程をより詳細に説明する。但し、説明の便宜のためにPDMS基板層300の図面記号を1500と記載した。
【0076】
前記
図5に示されたステップを介して形成される本発明のナノワイヤー1400、1401は、転写過程を介してPDMS層1500上に転写されて、これを図面に記載されたアルファベット順のステップ(a〜dステップ)に従って、箇条式で説明すると、下記のとおりである。
【0077】
(a)ステップ:紫外線硬化層形成ステップ
前記PDMS層1500上に紫外線によって硬化するUVコーティング層のような有機物層1600を形成する。
【0078】
(b)ステップ:ナノワイヤー内挿ステップ
空中に浮揚された状態のシリコンナノワイヤー1400、1401を形成した状態の前記シリコンウェハー1000基板を前記PDMS層1500の上部に整列させて下方に圧力を加えてPDMS層1500にコーティングされた有機物層1600の内部にナノワイヤー1400、1401が内挿されるようにする。
【0079】
(c)ステップ:有機物層硬化ステップ
前記の通りナノワイヤー1400、1401が有機物層1600の内部に内挿されると、上部のPDMS基板層1500を除去して有機物層1600を紫外線に露出させて有機物層1600を硬化させる。
【0080】
(d)ステップ:有機物層除去後転写完了ステップ
有機物層1600の硬化が完了した後、有機物層1600を酸素プラズマまたはエタノールに溶かして除去すると、最終的にナノワイヤー1400、1401のPDMS層1500に対する転写が完了して、強固な転写状態を維持できる。
【0081】
前記の通りに製造される本発明の熱電発電モジュールは、自動車温度調節シーツ(Climate C-ntr-l)のような自動車部品、半導体(循環器、冷却版)、バイオ(血液分析器、PCR、試料温度サイクルテスター器)、理学分野(スペクトロフォトメーター)、光学分野(CCDクーリング、赤外線センサー冷却、レーザーダイオード冷却、フォトダイオード冷却、SHGレーザー冷却)、コンピュータ(CPU冷却)、家電製品(キムチ冷蔵庫、小型冷蔵庫、冷温水器、ワイン冷蔵庫、米びつ、除湿機等)、発電(廃熱発電機、リモートパワー発電)等、熱と電気が連動する多様な分野に適用可能である。 すなわち、熱源から熱が放出される素子などに対して面接触可能な構造を取って、熱源から放射状に放出される熱の伝達方向に垂直するように水平配置されて、大面積化可能なハイブリッド構造をなす範囲で多様な変形が可能で、フレキシブル基板に実装される構造または柔軟材料としての機能性繊維等に実装される構造を取って人体から発散される熱を利用して自己発電を成してスマートフォン、タブレット等の携帯機器の電源として活用することもできる。
【0082】
前記の通りに製造される本発明の熱電発電モジュールは、基板または電極を透明材料なまたは所定の材料で形成して、ビル、車両などのガラスなどに設置することによって、外部熱源を利用した発電設備として活用してもよく、装置の誤作動発生を防止するように所定の制御状態で電気を供給して面接触または離隔した構造(好ましくは面接触)を介した囲繞された領域での緊急冷却動作を介した放熱性向上構造を形成することもできることは、前記事項から本発明の効果として明白である。
【0083】
また、本発明のハイブリッド構造の熱電発電モジュールの特性上、面に垂直した方向への熱伝達性を改善するように大面積化されて実装された基板の両面に別途の熱伝達向上層がさらに備わってもよいなど、互いに対向して配置されて、熱の流出入一面が互いに反対になる第二の電極及び第一、二の電極の配置構造をなす範囲で様々な構成が可能である。
【0084】
以上の説明で本発明のハイブリッド型熱電発電モジュール及びその製造方法の構成及び作動を添付された図面を参照して詳細に説明したが、本発明は当業者によって多様な修正、変更及び置換が可能で、このような修正、変更及び置換は、本発明の保護範囲に属すると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0085】
10 熱電発電モジュール単位体
20 第一の電極
30 第二の電極
50 第一のナノワイヤー
60 第二のナノワイヤー
70 熱源
100 基板