特許第6400546号(P6400546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6400546半導体装置、駆動制御装置、および駆動制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6400546
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】半導体装置、駆動制御装置、および駆動制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20180920BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20180920BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   H01L29/80 H
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-180011(P2015-180011)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-55071(P2017-55071A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2017年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】仲 敏行
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−248753(JP,A)
【文献】 特開2010−278407(JP,A)
【文献】 特開2012−065070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 29/778
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の上に設けられた窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層の上に設けられたドレイン電極及びソース電極と、前記ドレイン電極と前記ソース電極との間に挟まれたゲート電極と、を有する電界効果トランジスタと、
前記基板の電位を、複数の電位に切り替え可能なスイッチと、
前記ドレイン電極の入力に基づいて、前記複数の電位の中からいずれかの電位になるように前記スイッチを制御する制御部と、
を備え
前記スイッチは、前記基板が前記ソース電極と電気的に接続される第1の状態と、前記基板が前記ドレイン電極と電気的に接続される第2の状態と、前記基板が前記ゲート電極と電気的に接続される第3の状態と、前記基板が電気的にオープンになる第4の状態と、に切り替え可能である、半導体装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ドレイン電極の入力値に、前記複数の電位のいずれかに対応する前記スイッチの状態を関連付けたデータを記憶し、当該データを用いて前記スイッチを制御する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記制御部の制御に基づいて、前記複数の電位の各々における前記ドレイン電極の入力電流を計測する電流センサをさらに備え、
前記制御部は、前記電流センサで計測された入力電流が最小となる電位になるように前記スイッチを制御する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記スイッチが、前記基板を、定電圧源に電気的に接続される第5の状態にも切り替え可能である、請求項1からのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
基板と、前記基板の上に設けられた窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層の上に設けられたドレイン電極及びソース電極と、前記ドレイン電極と前記ソース電極との間に挟まれたゲート電極と、を有する電界効果トランジスタの駆動制御装置であって、
前記基板の電位を、複数の電位に切り替え可能なスイッチと、
前記ドレイン電極の入力に基づいて、前記複数の電位の中からいずれかの電位になるように前記スイッチを制御する制御部と、
を備え
前記スイッチは、前記基板が前記ソース電極と電気的に接続される第1の状態と、前記基板が前記ドレイン電極と電気的に接続される第2の状態と、前記基板が前記ゲート電極と電気的に接続される第3の状態と、前記基板が電気的にオープンになる第4の状態と、に切り替え可能である、駆動制御装置。
【請求項6】
基板と、前記基板の上に設けられた窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層の上に設けられたドレイン電極及びソース電極と、前記ドレイン電極と前記ソース電極との間に挟まれたゲート電極と、を有する電界効果トランジスタの駆動制御方法であって、
前記ドレイン電極の入力に基づいて、前記基板の電位を複数の電位に切り替え可能なスイッチの状態を選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された状態になるように前記スイッチを制御する制御ステップと、
を備え
前記スイッチは、前記基板が前記ソース電極と電気的に接続される第1の状態と、前記基板が前記ドレイン電極と電気的に接続される第2の状態と、前記基板が前記ゲート電極と電気的に接続される第3の状態と、前記基板が電気的にオープンになる第4の状態と、に切り替え可能である、駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置、駆動制御装置、および駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一例として、窒化物半導体層を備える電界効果トランジスタが知られている。この電界効果トランジスタは、例えば、基板と、少なくとも2つの窒化物半導体層を備える。これらの窒化物半導体層のバンドギャップは、相互に異なっている。その結果、これらの窒化物半導体層の界面には、二次元電子ガスと呼ばれる電流経路(チャネル)が形成されている。
【0003】
上記電界効果トランジスタには、二次元電子ガスの濃度が低下してオン抵抗が増大する現象、いわゆる電流コラプス現象が起こる場合がある。電流コラプス現象は、基板の電位とドレイン電圧に依存すると考えられている。
【0004】
基板の電気的な接続先は、一般的に、上記電界効果トランジスタを駆動する前に設定されている。そのため、上記電界効果トランジスタを駆動する際、基板の電位は、ドレイン電圧に関わらず常時固定されている。その結果、電流コラプス現象に対して基板電位の最適化が不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5386246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、電流コラプス現象に対して基板電位を最適化することが可能な半導体装置、駆動制御装置、および駆動制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、半導体装置は、電界効果トランジスタと、スイッチと、制御部と、を備える。前記電界効果トランジスタは、基板と、前記基板の上に設けられた窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層の上に設けられたドレイン電極及びソース電極と、前記ドレイン電極と前記ソース電極との間に挟まれたゲート電極と、を有する。前記スイッチは、前記基板の電位を、複数の電位に切り替え可能である。前記制御部は、前記ドレイン電極の入力に基づいて、前記複数の電位の中からいずれかの電位になるように前記スイッチを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の概略的な構成を示す回路図である。
図2図1に示す電界効果トランジスタの概略的な構造を示す断面図である。
図3図1に示す制御部に記憶されたデータの一例を示す図である。
図4】入力電圧とオン抵抗の増加率との関係の一例を示すグラフである。
図5】第1の実施形態に係る半導体装置の動作手順を示すフローチャートである。
図6】基板の電位を切り替え可能なスイッチの変形例を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る半導体装置の概略的な構成を示す回路図である。
図8】第2の実施形態に係る半導体装置の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の概略的な構成を示す回路図である。なお、図1には、本実施形態に係る半導体装置1の他に、ダイオードDと、コイルLと、コンデンサCと、抵抗負荷Rとが記載されているが、これらは、本実施形態に係る半導体装置1をバックコンバータに適用する際に用いられる外部部品である。また、図1に記載の比較器70は、当該バックコンバータの出力電圧が基準電圧Vrefよりも低いか否かを検出するための外部部品である。ここでは、これらの外部部品についての詳細な説明は省略し、以下、本実施形態に係る半導体装置1の構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る半導体装置1は、電界効果トランジスタ10と、スイッチ20と、制御部30と、PWM(Pulse Width Modulation)部40と、ゲート駆動部50と、を備える。まず、図2を参照して電界効果トランジスタ10の構造について説明する。
【0012】
図2は、電界効果トランジスタ10の概略的な構造を示す断面図である。図2に示すように、電界効果トランジスタ10は、基板11と、第1の窒化物半導体層12と、第2の窒化物半導体層13と、ドレイン電極14と、ソース電極15と、ゲート電極16と、を有する。
【0013】
基板11は、シリコン基板等の導電性基板で構成されている。基板11の上には、第1の窒化物半導体層12と第2の窒化物半導体層13を含む複数の窒化物半導体層が設けられている。基板11の裏面、換言すると、第1の窒化物半導体層12と第2の窒化物半導体層13が設けられている面と反対側の面には、スイッチ20が接続されている。
【0014】
第1の窒化物半導体層12は、例えば、窒化ガリウム(GaN)で構成されている。第1の窒化物半導体層12の上には、第2の窒化物半導体層13が設けられている。
【0015】
第2の窒化物半導体層13は、例えば、第1の窒化物半導体層12よりもバンドギャップが大きい窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)で構成されている。第1の窒化物半導体層12と第2の窒化物半導体層13との界面には、2次元電子ガスが発生している。
【0016】
ドレイン電極14と、ソース電極15と、ゲート電極16は、第2の窒化物半導体層13の上に設けられている。第2の窒化物半導体層13の上において、ゲート電極16は、ドレイン電極14とソース電極15との間に挟まれている。
【0017】
次に、図1に戻って、スイッチ20について説明する。スイッチ20は、基板11の電位を、複数の電位に切り替え可能である。本実施形態では、スイッチ20は、基板11がソース電極15と電気的に接続される第1の状態と、基板11がドレイン電極14と電気的に接続される第2の状態と、基板11がゲート電極16と電気的に接続される第3の状態と、基板11が電気的にオープンになる第4の状態とに切り替え可能である。つまり、第1の状態では基板11の電位がソース電極15の電位と同じになり、第2の状態では基板11の電位がドレイン電極14の電位と同じになり、第3の状態では基板11の電位がゲート電極16の電位と同じになり、第4の状態では基板11の電位がフローティング電位と同じになる。
【0018】
なお、本実施形態では、電界効果トランジスタ10は、ノーマリーオン型の電界効果トランジスタであるので、上記第3の状態において基板11の電位は、負電位となる。
【0019】
制御部30は、スイッチ20とともに電界効果トランジスタ10の駆動制御装置を構成する。制御部30は、基板11の電位を設定するためのスイッチ20の状態を、ドレイン電極14に入力される入力電圧Vinに関連付けたデータを記憶している。
【0020】
図3は、制御部30に記憶されたデータの一例を示す図である。また、図4は、入力電圧とオン抵抗の増加率との関係の一例を示すグラフである。
【0021】
図4において、横軸は、ドレイン電極16に入力される電圧、換言するとドレインーソース間電圧を示し、縦軸は、オン抵抗(Ron)の増加率を示す。また、実線Aは、基板11をドレイン電極14に電気的に接続した第2の状態におけるオン抵抗の増加率を示し、点線Bは、基板11をソース電極15に電気的に接続した第1の状態におけるオン抵抗の増加率を示す。
【0022】
図4によれば、入力電圧が100Vの場合には、第2の状態のオン抵抗の増加率が、第1の状態のオン抵抗の増加率よりも小さい。一方、入力電圧が150Vの場合には、第1のオン抵抗の増加率が、第2の状態のオン抵抗の増加率よりも小さい。そのため、入力電圧が100Vの場合、スイッチ20は、基板11をドレイン電極14に接続する状態であることが望ましく、入力電圧が150Vの場合には、スイッチ20は、基板11をソース電極15に接続する状態であることが望ましい。
【0023】
そこで、図3に示すデータ100には、入力電圧の値に応じて最適なスイッチ20の状態、換言すると電流コラプス現象に対して最適化された基板11の電位が示されている。このようにして、制御部30は、入力電圧の値に応じて最適な基板11の電位をデータ100から選択している。
【0024】
なお、図4に示すグラフにおいて、横軸がドレイン電極14に入力される入力電流である場合にも、入力電流とオン抵抗との関係は、入力電圧とオン抵抗との関係と同様になる。そこで、データ100には、入力電流の値が、スイッチ20の状態に関連付けて示されていてもよい。この場合でも、制御部30は、入力電流の値に応じて最適な基板11の電位を選択できる。
【0025】
また、制御部30は、予め記憶された所定のプログラムに基づいてPWM部40も制御する。ここで、再び図1に戻って、PWM部40を説明する。PWM部40は、PWM信号を生成してゲート駆動部50に出力する。ゲート駆動部50は、PWM部40から入力されたPWM信号に基づいて電界効果トランジスタ10のゲートを駆動する。なお、本実施形態では、PWM部40とゲート駆動部50は、半導体装置1の内部に設けられているが、これらは、半導体装置1の外部に設けられていてもよい。
【0026】
以下、本実施形態に係る半導体装置1の動作について説明する。図5は、本実施形態に係る半導体装置1の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、基板11の電位を選択する動作について説明する。
【0027】
半導体装置1のドレイン電極14の電位が、0Vから入力電圧Vinの値に上昇すると、制御部30が、データ100からその入力電圧Vinの値に対応するスイッチ20の状態を選択する(ステップS11)。
【0028】
続いて、制御部30は、ステップS11で選択した状態となるようにスイッチ20を制御する(ステップS12)。ステップS12では、例えば、スイッチ20が、基板11の4つの状態(第1の状態〜第4の状態)にそれぞれ対応して設けられた4つのトランジスタで構成されている場合、制御部30は、選択した状態に対応するトランジスタをオンさせ、残りのトランジスタをオフさせる。
【0029】
以上説明した本実施形態に係る半導体装置1によれば、制御部30が、データ100に基づいて、基板11の電位を切り替え可能なスイッチ20を制御している。データ100は、基板11の電位を電流コラプス現象に対して最適な電位にするためのスイッチ20の状態を、入力電圧毎に示している。これにより、入力電圧に応じて、基板11の電位を最適化することが可能となる。
【0030】
なお、スイッチ20によって切り替え可能な基板11の状態は、上述した4つの状態に限定されない。図6は、基板11の電位を切り替え可能なスイッチの変形例を示す図である。
【0031】
図6に示すスイッチ20aは、上述した第1の状態から第4の状態だけでなく、基板11が定電圧源Vddに接続される第5の状態にも切り替え可能である。このスイッチ20aによれば、基板11の電位が、定電圧源Vddと同電位となるときにオン抵抗が最小となる入力電圧が存在する場合に、制御部30がスイッチ20aを制御することによって、電流コラプス現象に対して基板11の電位を最適化することが可能となる。
【0032】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る半導体装置の概略的な構成を示す回路図である。図7にも、シリコン半導体からなるN型MOSトランジスタQと、コイルLと、コンデンサCと、抵抗負荷Rとが記載されているが、これらは、本実施形態に係る半導体装置2をバックコンバータに適用する際に用いられる外部部品である。また、図7に記載の比較器70も、第1の実施形態と同様に、当該バックコンバータの出力電圧が基準電圧Vrefよりも低いか否かを検出するための外部部品である。ここでは、これらの外部部品についての詳細な説明は省略し、以下、本実施形態に係る半導体装置2の構成について、第1の実施形態に係る半導体装置1と異なる点を中心に説明する。
【0033】
図7に示すように、本実施形態に係る半導体装置2は、電流センサ60を備える点で第1の実施形態に係る半導体装置1と異なる。電流センサ60は、制御部30の制御に基づいて、ドレイン電極14に入力される入力電流を計測する。
【0034】
以下、本実施形態に係る半導体装置2の動作について説明する。図8は、本実施形態に係る半導体装置2の動作手順を示すフローチャートである。ここでも、第1の実施形態と同様に、基板11の電位を選択する動作について説明する。
【0035】
半導体装置1のドレイン電極14の電位が、0Vから入力電圧Vinの値に上昇すると、制御部30は、基板11がソース電極15に電気的に接続されるようにスイッチ20を制御し、その後、電流センサ60が入力電流を計測する(ステップS21)。
【0036】
続いて、制御部30は、基板11がドレイン電極14に電気的に接続されるようにスイッチ20を制御し、その後、電流センサ60が入力電流を計測する(ステップS22)。
【0037】
続いて、制御部30は、基板11がゲート電極16に電気的に接続されるようにスイッチ20を制御し、その後、電流センサ60が入力電流を計測する(ステップS23)。
【0038】
続いて、制御部30は、基板11がゲート電極16に電気的に接続されるようにスイッチ20を制御し、その後、電流センサ60が入力電流を計測する(ステップS23)。
【0039】
続いて、制御部30は、基板11が電気的にオープンになるようにスイッチ20を制御し、その後、電流センサ60が入力電流を計測する(ステップS24)。
【0040】
上述ステップS21〜S24では、制御部30が、基板11の電位を、ソース電極15の電位、ドレイン電極14の電位、ゲート電極16の電位、およびフローティング電位の順に設定しているが、この順番は、特に限定されず、適宜変更可能である。
【0041】
また、上述したステップS21〜S24において、電流センサ60の計測値は制御部30に記憶される。制御部30は、記憶した計測値の中で最小となるスイッチ20の状態を選択する(ステップS25)。
【0042】
電界効果トランジスタ10において、ステップS21〜S24における入力電圧が同じ場合、入力電流が小さい程、オン抵抗が小さいことを示している。つまり、入力電流が最も小さいスイッチ20の状態が、電流コラプス現象に対して最適な基板11の電位に対応している。そこで、制御部30は、ステップS25で選択した状態になるようにスイッチ20を制御する(ステップS26)。
【0043】
以上説明した本実施形態に係る半導体装置2によれば、制御部30が、電流センサ60の計測値に基づいて、基板11の電位を切り替え可能なスイッチ20を制御している。電流センサ60は、基板11が取り得る全ての電位について入力電流を計測し、制御部30は、電流センサ60の計測値の中で最小となるスイッチ20の状態を選択している。選択された状態は、上述したように、電流コラプス現象に対して最適な基板11の電位に対応している。これにより、入力電圧に応じて、基板11の電位を最適化することが可能となる。
【0044】
特に、本実施形態では、入力電圧Vinが電界トランジスタ10のドレイン電極16に印加されたときに、その都度、基板11が取り得る全ての電位について入力電流が計測され、この計測結果に基づいて、電流コラプス現象に対して最適な基板11の電位が選択されている。そのため、例えば、入力電圧Vinが変動した場合に、速やかに最適な基板11の電位を選択することが可能となる。
【0045】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1,2 半導体装置、11 基板、12 第1の窒化物半導体層、13 第2の窒化物半導体層、14 ドレイン電極、15 ソース電極、16 ゲート電極、20,20a スイッチ、30 制御部、60 電流センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8