(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付す。
【0008】
また、以下の各実施形態において、末尾に区別化のための数字/英字を伴った参照符号(例えば、ワード線WLやビット線BL、各種の電圧及び信号など)が相互に区別されない場合、末尾の数字/英字が省略された記載(参照符号)が用いられる。
【0009】
[実施形態]
図1乃至
図14を参照して、実施形態に係るメモリデバイスを、説明する。
【0010】
(1) 第1の実施形態
(a) 構成
図1乃至
図7を用いて、実施形態のメモリデバイスの構成例を説明する。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態のメモリデバイスを含むメモリシステム9は、ストレージデバイス500、及び、ホストデバイス600を含む。
【0012】
ホストデバイス600は、例えば、コネクタ、ケーブル、無線通信、又はインターネットなどによって、ストレージデバイス500に結合される。
ホストデバイス600は、データの書き込み/消去、データの読み出しを、ストレージデバイス500に要求する。
【0013】
ストレージデバイス500は、メモリコントローラ5と、メモリデバイス(半導体メモリ)1と、を含む。
【0014】
メモリコントローラ5は、ホストデバイス600の要求に応じた動作を、メモリデバイス1に実行させる。
メモリコントローラ5は、例えば、プロセッサ(CPU)、DRAM、SRAM及びECC回路などを含む。CPUは、メモリコントローラ5全体の動作を制御する。DRAM及びSRAMは、データ、プログラム(ソフトウェア/ファームウェア)及び管理情報(管理テーブル)を、一時的に保持する。ECC回路は、メモリデバイスから読み出されたデータ内の誤りを検出し、検出された誤りを訂正する。
【0015】
メモリデバイス1は、データを記憶する。メモリデバイス1は、コントローラ5からの指示(ホストデバイス600の要求)に基づいて、データの書き込み及びデータの読み出しを実行する。
【0016】
メモリデバイス1は、例えば、NAND型フラッシュメモリである。例えば、フラッシュメモリ1を含むストレージデバイス500(又は、メモリシステム9)は、メモリカード(例えば、SD
TMカード、eMMC
TM)、USBメモリ、又は、Solid State Drive(SSD)などである。
【0017】
図2に示されるように、NAND型フラッシュメモリ1は、メモリセルアレイ10、ロウ制御回路20、センスアンプ回路30、データラッチ回路35、電圧生成回路40、ソース線・ウェル制御回路50、アドレスバッファ60、データ入出力バッファ65及びシーケンサ19などを含む。
【0018】
メモリセルアレイ10は、複数のメモリセルMCを含む。1つのメモリセルは、1ビット以上のデータを保持できる。
【0019】
ロウ制御回路20は、メモリセルアレイ10のロウ(例えば、ワード線)を制御する。
【0020】
センスアンプ回路30は、データの読み出し時に、メモリセルアレイ10内のビット線に出力された信号を、センス及び増幅する。例えば、センスアンプ回路30は、ビット線における電流の発生、又は、ビット線の電位の変動を、メモリセルMCからの信号として、センスする。これによって、センスアンプ回路30は、メモリセルMCに保持されたデータを読み出す。また、センスアンプ回路30は、データの書き込み時に、書き込みデータに応じた信号に応じて、ビット線の電圧を制御する。
【0021】
データラッチ回路(ページバッファ回路)35は、メモリセルアレイ10から出力されたデータ、メモリセルアレイ10に入力されるデータを一時的に保持する。
【0022】
電圧生成回路40は、メモリセルアレイ10の動作に用いられる各種の電圧を生成する。
【0023】
ソース線・ウェル制御回路50は、メモリセルアレイ10内のソース線の電位を、制御する。ソース線・ウェル制御回路50は、メモリセルアレイ10内のウェル領域の電位を制御する。
【0024】
アドレスバッファ60は、メモリコントローラ5からのアドレスADRを一時的に保持する。アドレスバッファ60は、アドレスADRを、ロウ制御回路20及びデータラッチ回路35に供給する。
【0025】
データ入出力バッファ65は、メモリコントローラ5からのデータ及びデータラッチ回路35からのデータを、一時的に保持する。
【0026】
シーケンサ19は、フラッシュメモリ1全体の動作を制御する。シーケンサ19は、メモリコントローラ5とフラッシュメモリ1との間で送受信される制御信号及びコマンドに基づいて、フラッシュメモリ1内部の動作を、制御する。
【0027】
<3次元構造メモリセルアレイの構成>
図3乃至
図6を参照して、本実施形態のフラッシュメモリにおけるメモリセルアレイの内部構成の一例について、説明する。
【0028】
本実施形態のフラッシュメモリ1は、3次元構造のメモリセルアレイ10を含む。
【0029】
図3に示されるように、メモリセルアレイ10は、1以上のブロックBLK(BLK<h>,BLK<h−1>)を含む。hは、0以上の整数である。ブロックBLKはデータの消去単位である。但し、メモリセルアレイ10に対する消去動作は、ブロックより小さい単位(記憶領域)に対して、実行されてもよい。フラッシュメモリの消去動作に関して、“不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法”という2010年3月25日に出願された米国特許出願12/679,991号、“半導体メモリ及びその製造方法”という2009年3月23日に出願された米国特許出願12/532,030号に記載された構成が、参照され、本実施形態に援用される。
【0030】
ロウ制御回路20は、複数のアドレスデコーダ210、複数のスイッチ回路220及びワード線/セレクトゲート線ドライバ290を含む。
【0031】
アドレスデコーダ210は、メモリコントローラ5からのアドレスADRをデコードする。アドレスデコーダ210は、デコード結果を、スイッチ回路220に供給する。
【0032】
スイッチ回路220は、アドレスデコーダ210に1対1で対応する。スイッチ回路220は、ブロックBLKに1対1で対応する。複数のスイッチ回路220は、共通の配線群99に接続されている。
【0033】
スイッチ回路220は、デコード結果に基づいて、アドレスADRに示されるブロックBLKを選択する。スイッチ回路220は、選択されたブロックBLK内のワード線WL及びセレクトゲート線SGD,SGSの選択及び非選択を制御する。
【0034】
スイッチ回路220は、選択されたブロック内のワード線WL及びセレクトゲート線SGD,SGSを、配線群99に含まれる複数の制御線のうち選択されたブロック内の配線に対応する制御線に接続する。
【0035】
ワード線/セレクトゲート線ドライバ290は、複数の制御線を含む配線群99に接続されている。ワード線/セレクトゲート線ドライバ290は、ワード線WL及びセレクトゲート線SGD,SGSに印加されるべき電圧を、電圧生成回路40から配線群99に転送する。これによって、各種の電圧が、選択されたスイッチ回路220を介して、選択ブロックBLK内のワード線WL及びセレクトゲート線SGD,SGSに、印加される。
【0036】
図4に示される例のように、3次元構造のメモリセルアレイにおいて、1つのブロックBLKは、複数(例えば、4つ)のストリングユニットSU(SU0,SU1,SU2・・・)を含む。
【0037】
複数のストリングユニットSUは、複数のNANDストリング(メモリストリング)NSを含む。NANDストリングNSは、直列接続された複数のメモリセルMCを含む。メモリセルアレイ10内のブロックBLKの数、1つのブロックBLK内のストリングユニットSUの数、NANDストリングNS内のメモリセルMCの数は、任意である。
NANDストリングNSは、複数のメモリセル(メモリ部又はメモリ素子ともよばれる)MCと、複数のセレクトトランジスタSTD,STS,STSBを含む。
【0038】
メモリセルMCは、制御ゲートと電荷蓄積層(メモリ膜)とを含む。NANDストリングNS内において、複数のメモリセルMCは、セレクトトランジスタSTD,STS間に、直列接続される。直列接続された複数のメモリセルMCのうち、ドレイン側のメモリトランジスタMCの一端(ソース/ドレイン)は、ドレイン側セレクトトランジスタSTDの一端に接続されている。直列接続された複数のメモリセルMCのうち、ソース側のメモリセルMCの一端は、ソース側セレクトトランジスタSTSの一端に接続されている。
【0039】
複数のワード線WL(WL0,WL1,・・・,WLn−2,WLn−1)は、対応するメモリセルMCのゲートにそれぞれ接続されている。“n−1”は、1以上の自然数である。例えば、ワード線WLは、複数のセンスユニットSU内のメモリセルMCに共通に接続される。データの書き込み及びデータの読み出しは、いずれか1つのストリングユニットSUにおけるいずれかの1つのワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTに対して、一括して行われる。この単位PAGEは、「ページ」とよばれる。
【0040】
複数のドレイン側セレクトゲート線SGD(SGD0〜SGD3)は、対応するストリングユニットSUのドレイン側セレクトトランジスタSTDのゲートに、それぞれ接続されている。
【0041】
複数のソース側セレクトゲート線SGS(SGS0〜SGS3)は、対応するストリングユニットSUのソース側セレクトトランジスタSTSのゲートに、それぞれ接続されている。
【0042】
また、1本のセレクトゲート線SGSBが、複数のストリングユニットSUに共通に、設けられている。
【0043】
共通化されたセレクトゲート(以下では、共通ソース側セレクトゲート線とよばれる)SGSBは、複数のストリングユニットSU内において、セレクトトランジスタSTSBのゲートに接続されている。NANDストリングNS内において、セレクトトランジスタ(以下では、共通ソース側セレクトトランジスタとよばれる)STSBの一端は、ソース側セレクトトランジスタSTSの他端に接続され、セレクトトランジスタSTSBの他端はソース線SLに接続されている。
1つの共通ソース側セレクトゲート線SGSBは、ブロックBLK内の複数の共通ソース側セレクトトランジスタSTSBのゲートに共通接続される。
【0044】
ドレイン側セレクトトランジスタSTDの一端は、複数のビット線のうちいずれか1つのビット線BL(BL0,BL1,・・・,BLm−1)に接続される。尚、“m−1”は、1以上の自然数である。
【0045】
図5のメモリセルアレイの模式的な断面構造図のように、メモリセルアレイ10内において、NANDストリングNSは、半導体基板(例えば、Si基板又は絶縁層上の半導体領域)700内のp型ウェル領域702上に、設けられている。
【0046】
p型ウェル領域702は、ウェルコンタクトCPWELLを介して、ソース線・ウェル制御回路50に接続される。p型ウェル領域702は、ブロックBLKを規定する。例えば、ブロックBLK内のNANDストリングNSは、ウェルコンタクトCPWELLに囲まれた領域内に、設けられている。ウェルコンタクトCPWELLは、p型ウェル領域702内のp
+型拡散層703上に設けられている。
【0047】
ソース線コンタクトCELSRCは、ストリングユニットSU間において、p型ウェル領域702内のn
+型拡散層704上に設けられている。ソース線コンタクトCELSRCは、ソース線SLに接続される。
【0048】
NANDストリングNSは、半導体ピラー75を含む。半導体ピラー75は、p型ウェル領域702に接続されている。半導体ピラー75は、p型ウェル領域702(基板)の表面に対してほぼ垂直方向(D3方向)に延在している。半導体ピラー75は、D1方向及びD2方向に沿って、基板700上にアレイ状に配列されている。
【0049】
半導体ピラー75の上端の上方に、ビット線(図示せず)が、設けられている。
【0050】
複数の導電層70,71,72が、p型ウェル領域702上に、積層されている。各導電層70,71,72は、メモリ膜(図示せず)を介して、半導体ピラー75の側面に対向する。
【0051】
ドレイン側セレクトトランジスタSTDは、半導体ピラー75と導電層71とを含む領域に配置されている。積層された複数(本例では、4つ)の導電層71は、セレクトトランジスタSTDのゲート電極となる。積層された導電層70は、ドレイン側セレクトゲート線SGDとして機能する。
【0052】
ソース側セレクトトランジスタSTSは、半導体ピラー75と導電層72とを含む領域に配置されている。積層された複数(本例では、3つ)の導電層72は、ソース側セレクトトランジスタSTSのゲート電極となる。積層された導電層72は、ソース側セレクトゲート線SGSとして機能する。
【0053】
共通ソース側セレクトトランジスタSTSBは、半導体ピラー75と導電層72とを含む領域に配置されている。最下層の導電層72Bは、絶縁膜(図示せず)を介して、半導体基板700上に設けられている。導電層72Bは、共通ソース側セレクトゲート線SGSBである。導電層72Bは、共通ソース側セレクトトランジスタSTSBのゲート電極となる。
【0054】
メモリセルMCは、半導体ピラー75と導電層70とを含む領域に配置されている。導電層70は、ワード線WLとして機能する。
【0055】
図6に示されるように、メモリセルMCは、半導体ピラー75と導電層(ワード線)71との間に、メモリ膜79を含む。メモリ膜79は、半導体ピラー75の側面を覆っている。メモリ膜79は、半導体ピラー75の上端から下端までの間において連続している。
【0056】
メモリ膜79は、積層構造を有する。メモリ膜79は、ゲート絶縁膜791と、電荷蓄積層792と、ブロック絶縁膜793とを含む。
【0057】
ゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)791は、半導体ピラー75の側面上に、設けられている。電荷蓄積層792は、ゲート絶縁膜791とブロック絶縁膜793との間に設けられている。ブロック絶縁膜793は、電荷蓄積層792と導電層70,71,72との間に設けられている。電荷蓄積層792は、トラップ準位を含む絶縁膜(例えば、SiN膜)を含む。尚、電荷蓄積層792は、半導体膜(例えば、シリコン膜)を含んでもよい。電荷蓄積層792内に半導体膜が設けられる場合、半導体膜は、メモリセルごとに互いに分離されている。
【0058】
D3方向(半導体基板表面に対して垂直方向)において、層間絶縁膜89が、導電層70,71,72間に設けられている。層間絶縁膜89は、例えば、2つの絶縁膜801間に挟まれた絶縁膜803とを含む。
【0059】
例えば、半導体ピラー75は、コア部759と、半導体領域751とを含む。コア部759は、柱状の絶縁体(例えば、酸化シリコン)を含む。半導体領域751は、コア部759の側面を覆う。半導体領域751は、メモリセルMCのチャネル領域となる。
【0060】
半導体領域751は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンを含む。
【0061】
尚、メモリセルアレイの製造工程に起因して、半導体ピラーの下端側(NANDストリングのソース側)の直径が、半導体ピラーの上端側(NANDストリングのドレイン側)の直径より小さくなる場合がある。
【0062】
本実施形態において、3次元構造のメモリセルアレイの構造、動作及び製造方法は、例えば、“三次元積層不揮発性半導体メモリ”という2009年3月19日に出願された米国特許出願12/407,403号、“三次元積層不揮発性半導体メモリ”という2009年3月18日に出願された米国特許出願12/406,524号、“不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法”という2010年3月25日に出願された米国特許出願12/679,991号、“半導体メモリ及びその製造方法”という2009年3月23日に出願された米国特許出願12/532,030号に記載された構成が、参照され、援用される。
【0063】
本実施形態のフラッシュメモリは、半導体ピラー75を充電し、半導体ピラー75内の欠陥準位(トラップサイト)にトラップされたキャリア(電子/正孔)を、半導体ピラー75内から排出する。
【0064】
この結果として、本実施形態において、半導体ピラー75内が浄化(パージ)され、半導体ピラー75が浄化された状態(電気的に安定な状態)で、プログラム動作が実行される。
【0065】
本実施形態において、例えば、後述の動作のように、半導体ピラー75の充電及びキャリアの排出は、ベリファイ動作におけるベリファイリードの後に、実行される。
【0066】
これによって、本実施形態のフラッシュメモリは、書き込み動作の信頼性を向上できる。
【0067】
(b) 動作例
図7を参照して、第1の実施形態のメモリデバイスの動作例(制御方法)を、説明する。ここでは、
図7に加えて、
図1乃至
図6も適宜用いて、本実施形態のメモリデバイスの動作について、説明する。
【0068】
以下では、フラッシュメモリの書き込み動作について説明する。
【0069】
例えば、メモリコントローラ5は、ホストデバイス600からの要求に応じて、書き込みコマンド、書き込むべきアドレス(選択アドレス)及び書き込むべきデータを、フラッシュメモリ1に送信する。
【0070】
フラッシュメモリ1は、書き込みコマンド、選択アドレス及びデータを受信する。
【0071】
シーケンサ19は、書き込みコマンドに基づいて、1以上の書き込みループを含む書き込み動作を開始する。1つの書き込みループは、プログラム動作とベリファイ動作とを含む。
【0072】
シーケンサ19は、以下のように、プログラム動作を実行するように、フラッシュメモリ1内の各回路を制御する。プログラム動作によって、メモリセルMCのしきい値電圧が、書き込むべきデータに対応するしきい値分布に向かって、シフトされる。
【0073】
<時刻T1>
電圧生成回路40は、シーケンサ19の制御によって、データの書き込みに用いられる各種の電圧を、生成する。
センスアンプ回路30は、シーケンサ19の制御によって、書き込むべきデータに応じて、ビット線BLの電位を制御する。ここで、選択ワード線WLkに、書き込みセル及び書き込み禁止セルとが接続されている。書き込みセルは、しきい値電圧をシフトさせるメモリセルである。書き込み禁止セルは、しきい値電圧をシフトさせないメモリセルである。
【0074】
時刻T1において、センスアンプ回路30は、書き込みセルに接続されたビット線BLに、電圧Vssを印加する。センスアンプ回路30は、書き込み禁止セルに接続されたビット線BLに、0Vより大きい電圧V1を印加する。
【0075】
ソース線・ウェル制御回路50は、ソース線CELSRCに、電源電圧VDDを印加する。ソース線・ウェル制御回路50は、p型ウェル領域CPWELLに、グランド電圧Vssを印加する。
【0076】
シーケンサ19の制御に基づいて、ロウ制御回路20は、選択されたストリングユニットSUのソース側セレクトゲート線SGS及び共通ソース側セレクトゲート線SGSBに、電圧Vssを印加する。
【0077】
また、ロウ制御回路20は、選択されたストリングユニットSU内において、選択されたドレイン側セレクトゲート線SGDに、電圧VSGDを印加する。
【0078】
これによって、ビット線BLが、書き込みセルに関して、オン状態のドレイン側セレクトトランジスタSTDを介して、半導体ピラー75に電気的に接続される。一方、書き込み禁止セルに関して、ビット線BLの電位V1とドレイン側セレクトトランジスタSTDのゲート電圧VSGDとによって、トランジスタSTDは、カットオフする。
【0079】
<時刻T2〜T3>
時刻T2において、ロウ制御回路20は、非選択ワード線otherWLsに、非選択電圧(書き込みパス電圧)VPASSを印加する。
【0080】
また、ロウ制御回路20は、非選択ワード線otherWLsに対する電圧VPASSの印加と同時に、書き込みパス電圧VPASSを、選択ワード線WLkに印加する。kは、0以上の整数である。
【0081】
この後、ある時刻T3において、ロウ制御回路20は、選択ワード線WLkの電位を、書き込みパス電圧VPASSからプログラム電圧VPGMまで、上昇させる。
これによって、選択ワード線WLkに接続されたメモリセルに関して、書き込みセルのメモリ膜79に、電子が注入される。メモリセルのしきい値電圧が、プログラム電圧VPGMの印加前の状態から正の方向にシフトされる。一方、半導体ピラー75内における書き込み禁止セルのチャネル領域はセルフブーストされ、書き込み禁止セルのメモリ膜79に対する電子の注入が防止される。
【0082】
<時刻T4〜T5>
プログラム電圧VPGMの印加の後、シーケンサ19は、プログラム動作を終了するように、各回路の動作を制御する。これによって、時刻T4において、ワード線WLk,otherWLs及びセレクトゲート線SGD,SGS,SGSBの電位は、電圧Vssに設定される。また、時刻T5において、ソース線CELSRCの電位が、グランド電圧Vssに設定される。
【0083】
シーケンサ19は、プログラム動作の後、ベリファイ動作を実行する。ベリファイ動作によって、メモリセルのしきい値電圧が、書き込むべきデータに対応する分布に属しているか否か、判定される。
【0084】
<時刻T6>
時刻T6において、センスアンプ回路30は、ベリファイ動作の実行のために、ある大きさの電圧V2(V2>Vss)を、ビット線BLに印加する。
【0085】
ソース線・ウェル制御回路50は、ソース線CELSRCに、電圧VSRCを印加する。ソース線・ウェル制御回路50は、ウェル領域CPWELLに、電圧VSRCを印加する。
【0086】
ロウ制御回路20は、各セレクトゲート線SGD,SGS,SGSBに、電圧VSGを印加し、セレクトトランジスタSTD,STS,STSBをオンさせる。
ロウ制御回路20は、非選択ワード線otherWLsに、非選択電圧(読み出しパス電圧)VREADを、印加する。非選択ワード線otherWLsに接続されたメモリセルは、オンする。
【0087】
ロウ制御回路20は、選択ワード線WLkに、ベリファイ電圧(読み出し電圧)VCGRVを、印加する。
【0088】
ベリファイ電圧VCGRVの印加によって、選択セルMCがオンした場合、電流(セル電流)がビット線BLとソース線CELSRCとの間を流れる。この時、ビット線BLに接続されたノードの電位が、変動する。
【0089】
センスアンプ回路30が、電流の発生(又は、ノードの電位の変動)をセンスする。センスアンプ回路30は、センス結果に対応する信号を、ラッチに取り込む。
【0090】
選択セルMCがオンする場合、オンした選択セルMCのしきい値電圧は、ベリファイ電圧以下である。これは、選択セルMCのしきい値電圧が、書き込むべきデータに対応するしきい値電圧に達していないことを意味する。すなわち、ベリファイ電圧VCGRVの印加によってオンする選択セルは、データの書き込みが完了していないことを示す。
この結果として、ビット線BLに電流が発生した選択セルMCは、ベリファイフェイルであると、判定される。
【0091】
ベリファイ電圧VCGRVの印加時に、選択セルがオフしている場合、電流は、オフ状態の選択セルに接続されたビット線BLとソース線SLとの間に、発生しない。この時、ビット線BLに接続されたノードの電位は、変動しない。
【0092】
センスアンプ回路30は、電流の非発生(ノードの電位の維持)をセンスする。センスアンプ回路30は、センス結果に対応した信号を、ラッチに取り込む。
【0093】
選択セルMCがオフする場合、オフした選択セルMCのしきい値電圧は、ベリファイ電圧より大きい。これは、選択セルMCのしきい値電圧が、書き込むべきデータに対応するしきい値電圧に達したことを意味する。すなわち、ベリファイ電圧VCGRVの印加によってオフする選択セルは、データの書き込みが完了したことを示す。
この結果として、ビット線に電流が発生しない選択セルMCは、ベリファイパスであると、判定される。
【0094】
このように、時刻T6から時刻T7の期間において、ベリファイ動作におけるビット線の電流(又は電位)のセンス(以下では、ベリファイリードともよばれる)が、実行される。
【0095】
以下のように、本実施形態において、ベリファイリードが終了した後に、シーケンサ19は、半導体ピラー75内にトラップされたキャリアの排出を行う。以下において、半導体ピラー75内にトラップされたキャリアを排出し、半導体ピラー内のパージを行う動作は、リセット動作ともよばれる。
【0096】
<時刻T7>
時刻T7において、シーケンサ19は、半導体ピラー75をビット線BLから電気的に分離するために、ビット線BLの電位及びドレイン側セレクトゲート線SGDの電位を、グランド電位Vssに設定する。
【0097】
これと実質的に同時に、シーケンサ19は、選択ワード線WLkの電位を、読み出し電圧VCGRVから読み出しパス電圧VREADまで、上昇させる。これによって、選択セルMCにおいて、半導体ピラー75内にチャネルが形成される。
【0098】
シーケンサ19は、非選択ワード線otherWLsの電位を、読み出しパス電圧VREADに維持し、ソース側セレクトゲート線SGS,SGSBの電位を、電圧VSGに維持する。
【0099】
この結果として、NANDストリングの半導体ピラー75の上端から下端までの全体が、ソース線CELSRC及びウェル領域CPWELLと電気的に接続される。
【0100】
シーケンサ19は、ソース線CELSRCの電位及びウェル領域CPWELLの電位を、電源電圧VDDに設定し、ソース線CELSRC及びウェル領域CPWELLを充電する。
【0101】
例えば、ウェル領域CPWELL(702)の電位が、オン状態のソース側セレクトトランジスタSTS,STSB及びメモリセルMCを介して、半導体ピラー75に印加される。それゆえ、半導体ピラーSP(75)は、ウェル領域CPWELL(702)の電位VDD程度に、プリチャージされる。尚、電源電圧VDDの代わりに、電圧VSRCが、ソース線CELSRC及びウェル領域CPWELLが印加されてもよい。
【0102】
<時刻T8〜T9>
時刻T8において、シーケンサ19は、ソース線CELSRCの電位及びウェル領域CPWELLの電位を、電源電圧VDDからグランド電位Vssに設定し、ソース線CELSRCの電位及びウェル領域CPWELLを放電する。
【0103】
この後、時刻T9において、シーケンサ19は、選択ブロック内の全てのワード線WLk,otherWL及びソース側セレクトゲート線SGS,SGSBの電位を、グランド電位Vssに設定する。
【0104】
この結果として、プリチャージされた半導体ピラー75内にチャネルが形成されている時刻T7から時刻T9までの期間において、半導体ピラー75内に形成されたチャネルがキャリア(電子)の移動経路となって、半導体ピラー75内のトラップサイトにトラップされていたキャリアが、半導体ピラー75から半導体基板700(ウェル領域702)に引き抜かれる。
【0105】
これによって、本実施形態のフラッシュメモリにおける半導体ピラー75のプリチャージ(半導体ピラー内にトラップされているキャリアの排出)ベリファイ動作が、終了する。
【0106】
ベリファイ動作によって得られたベリファイ結果に基づいて、シーケンサ19は、書き込みループを再度実行するか否か判定する。
【0107】
選択ページ内に、ベリファイフェイルの選択セルMCが存在する場合、シーケンサ19は、書き込みループ(時刻T1〜T9までの動作)を再度実行する。
【0108】
本実施形態のように、半導体ピラー75内にトラップされたキャリアが排出された状態で、ベリファイ動作後のプログラム動作を実行できる。それゆえ、本実施形態のフラッシュメモリにおいて、プログラム動作時に、書き込み禁止セルのセルフブーストが不十分な領域付近において、GIDL(Gate induced drain leakage)に起因した電子がメモリセルMCの電荷蓄積層に注入されること(誤書き込み)を、抑制できる。
【0109】
選択ページ内の選択セルの全てがベリファイパスである場合、シーケンサ19は、選択ページに対する書き込み動作が完了したと、判定する。
【0110】
フラッシュメモリ1(シーケンサ19)は、書き込み動作の完了を、メモリコントローラ5に通知する。メモリコントローラ5は、フラッシュメモリ1からの通知(例えば、Hレベルのレディ/ビジー信号)に基づいて、フラッシュメモリ1のデータの書き込みの完了を、検知する。
【0111】
以上のように、フラッシュメモリ1のデータの書き込みが、終了する。
【0112】
尚、本実施形態のフラッシュメモリにおいて、読み出し動作及び消去動作は、周知の技術を適用できる。それゆえ、本実施形態のフラッシュメモリの読み出し動作及び消去動作の説明は、省略する。
【0113】
(c)まとめ
メモリセルが設けられる半導体ピラーが、アモルファスシリコン又はポリシリコンである場合、半導体ピラーのシリコン領域は、シリコン原子の配列、結晶の向きが不均一であり、トラップサイトも、単結晶シリコンに比べて多くなる傾向がある。
【0114】
それゆえ、半導体ピラー内にトラップされたキャリアに起因して、書き込み禁止セルのチャネル領域におけるセルフブーストが不十分となる場合、書き込み禁止セルに対する誤書き込みが発生する可能性がある。
【0115】
本実施形態のフラッシュメモリにおいて、ベリファイリードとプログラム電圧の印加との間の期間において、半導体ピラー内にチャネルが形成された状態で、例えばソース線及びウェル領域を介して、半導体ピラーが充電される。
【0116】
これによって、本実施形態のフラッシュメモリは、半導体基板に対して垂直に方向に延在する半導体ピラー内にトラップされたキャリアを、半導体ピラー内から効果的に排出でき、半導体ピラーの内部の電気的な状態を、安定な状態(浄化された状態)にできる。
【0117】
この結果として、本実施形態のメモリデバイスは、書き込み禁止セルに対するブーストを、効率的に実行できる。
【0118】
したがって、本実施形態のメモリデバイスは、書き込み動作の信頼性を向上できる。
【0119】
(2) 第2の実施形態
図8を参照して、第2の実施形態のメモリデバイスについて、説明する。
【0120】
本実施形態のように、半導体ピラー内にトラップされたキャリアは、NANDストリングのドレイン側から半導体ピラーの外部へ、排出されてもよい。
【0121】
図8に示されるように、時刻T7Aにおいて、ベリファイリード(ビット線のセンス)が完了した後、シーケンサ19は、ソース側及び共通セレクトゲート線SGS,SGSBの電位、及びソース線CELSRC及びウェル領域CPWELLの電位を、グランド電圧Vssに設定する。
【0122】
一方、ドレイン側セレクトゲート線SGDの電位は、電圧VSGに維持され、半導体ピラーSP(75)は、ビット線BLに電気的に接続される。
【0123】
シーケンサ19は、ビット線BLの電位を電圧VDD程度に上昇させる。これによって、半導体ピラーSPは、オン状態のドレイン側セレクトトランジスタSTDを介して、ビット線BLの電位VDD程度に、プリチャージされる。
【0124】
この後、時刻T8Aにおいて、シーケンサ19は、ビット線BLの電位を、電圧VDDからグランド電位Vssに放電する。
【0125】
この結果として、NANDストリングの半導体ピラー75内にチャネルが形成されている時刻T7Aから時刻T9までの期間において、半導体ピラー75内のトラップサイトにトラップされていたキャリアが、半導体ピラー75からビット線BLに引き抜かれる。ビット線BLに引き抜かれたキャリアは、センスアンプ回路30内のグランド端子に放出される。
【0126】
このように、本実施形態のメモリデバイスは、ビット線側からの半導体ピラーのプリチャージ及びキャリアの排出によって、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0127】
(3) 第3の実施形態
図9を参照して、第2の実施形態のメモリデバイスについて、説明する。
【0128】
図9に示されるように、本実施形態のメモリデバイスにおいて、半導体ピラーのプリチャージ及び半導体ピラー内のキャリアの排出時におけるワード線の電位制御のタイミングが、第1の実施形態のメモリデバイスと異なる。
【0129】
図9に示されるように、時刻T7において、ソース線CELSRC及び半導体ピラーSPが、電位VDD程度に充電される。
時刻T8において、ソース線CELSRC及びウェル領域CPWELLは、グランド電位Vssに放電される。
【0130】
この後、時刻T9Aにおいて、シーケンサ19は、選択ワード線WLkの電位及びドレイン側非選択ワード線otherWLs−Dの電位を、グランド電圧Vssに設定する。これによって、選択ワード線WLk及びドレイン側非選択ワード線otherWLs−Dは、放電する。ドレイン側非選択ワード線otherWLs−Dは、選択ワード線WLkとドレイン側セレクトゲート線SGDとの間に存在する非選択ワード線である。
【0131】
時刻T9Bにおいて、選択ワード線WLk及びドレイン側非選択ワード線otherWLs−Dの放電後に、シーケンサ19は、ソース側セレクトゲート線SGS,SGSBの電位及びソース側非選択ワード線otherWLs−Sの電位を、グランド電圧Vssに設定する。これによって、ソース側非選択ワード線otherWLs−S及びソース側セレクトゲート線SGS,SGSBは、放電する。ソース側非選択ワード線otherWLs−Sは、選択ワード線WLkとソース側セレクトゲート線SGSとの間に存在する非選択ワード線である。
【0132】
このように、NANDストリングNSを論理的な複数の領域に分けてワード線WLの放電タイミングをずらすことにより、半導体ピラー75内のチャネルによって、半導体ピラー75と半導体基板700と導通させつつ、ワード線WLを放電することが可能になる。
【0133】
本実施形態において、ワード線の電位が制御されることによって、半導体ピラーの下端側の半導体領域がウェル領域/ソース線に電気的に接続されている期間が、半導体ピラーの上部側がウェル領域/ソース線に電気的に接続されている期間よりも長い。これによって、半導体ピラー内のある領域からウェル領域までにおいて、キャリアの移動経路となるメモリセルのチャネルが、長期間にわたって半導体ピラー内に存在する。
それゆえ、本実施形態のメモリデバイスは、半導体ピラーの上部側にトラップされたキャリアを、ウェル領域(又は配線)に十分に、排出できる。
【0134】
本実施形態において、半導体ピラーの下端側のワード線に対する電圧の印加が長くされることによって、直径の小さい半導体ピラーの下端側の多量のキャリアが排出される時間を確保できる。
【0135】
この結果として、本実施形態のフラッシュメモリは、半導体ピラー内にトラップされていたキャリアを、効率的に放出できる。
【0136】
尚、ビット線側から半導体ピラーの充電及びトラップキャリアの排出を実行する場合、選択ワード線WLk及びソース側選択ワード線otherWLs−Sが放電された後、ドレイン側非選択ワード線otherWLs−D及びドレイン側セレクトゲート線SGDが放電される。
【0137】
以上のように、本実施形態のメモリデバイスは、メモリデバイスの動作の信頼性を向上できる。
【0138】
(4) 第4の実施形態
図10を参照して、第4の実施形態のメモリデバイスについて、説明する。
【0139】
図10に示されるように、本実施形態のフラッシュメモリは、ベリファイリード後における半導体ピラー75のキャリアの排出時において、ドレイン側(ビット線側)のワード線からソース側(ソース線側)のワード線に向かって、ワード線を1本ずつ順番に放電する。
【0140】
時刻T9Aにおいて、シーケンサ19は、ドレイン側セレクトゲート線SGDに隣り合うn番目のワード線WLn−1の電位を、読み出しパス電圧VREADからグランド電圧Vssに遷移する。選択ワード線WLk及び他の非選択ワード線WLの電位は、読み出しパス電圧VREADに維持される。
【0141】
n番目のワード線WLn−1の電位が放電された後、シーケンサ19は、時間dTだけずれたタイミングで、(n−1)番目のワード線WLn−2の電位を、読み出しパス電圧VREADからグランド電圧Vssに遷移させる。
【0142】
これと同様に、シーケンサ19は、(n−2)番目のワード線WLn−3からワード線WL0まで、時間dTずつずれたタイミングで、各ワード線WLの電位を、読み出しパス電圧VREADからグランド電圧Vssに順次遷移させる。
【0143】
時刻T9Yにおいて、ソース側セレクトゲート線SGSに隣り合うワード線WL0の電位が、グランド電圧Vssに設定され、ワード線WL0が、放電される。
【0144】
この後、時刻T9Zにおいて、シーケンサ19は、ソース側セレクトゲート線SGS,SGSBの電位を、グランド電圧Vssに設定する。
【0145】
このように、時刻T9Aから時刻T9Yまでの期間において、時間dTずつずれたタイミングで、ワード線WLの電位が、グランド電圧Vssに設定される。
【0146】
これによって、本実施形態は、第3の実施形態と同様に、半導体ピラー内にトラップされたキャリアを、効率的に引き抜くことができる。
【0147】
尚、本実施形態において、隣り合う2本のワード線(又は、3本以上のワード線)WLn−1,WLn−2が同時に放電され、2本のワード線WLn−1,WLn−2ごとに、時間dTずつずらして放電されてもよい。
【0148】
以上のように、本実施形態のメモリデバイスは、動作の信頼性を向上できる。
【0149】
(5) 第5の実施形態
図11及び
図12を参照して、第5の実施形態のメモリデバイスについて、説明する。
【0150】
プログラム動作において、ステップアップ書き込みが実行される場合、書き込み電圧VPGMの電圧値は、書き込み動作に含まれる書き込みループの回数の増加にしたがって、高くなる。
【0151】
これに伴って、半導体ピラー75内にトラップされたキャリアに起因する誤書き込みのリスクも上昇するため、書き込み動作の後半における書き込みループで、半導体ピラーのブースト効率を上げることが好ましい。
【0152】
書き込みループの回数が少ない場合において、トラップされたキャリアに起因した誤書き込みのリスクは比較的低い。それゆえ、書き込み動作の前半において、ベリファイ動作の期間の短縮のために、ベリファイリード後の半導体ピラー75からのキャリアの排出は、省略されてもよい。
【0153】
例えば、本実施形態のフラッシュメモリは、ある判定値を用いた判定処理に基づいて、書き込み動作中に、半導体ピラーのプリチャージ無しのベリファイ動作(リセット動作無しのベリファイ動作)と半導体ピラーのプリチャージ有りのベリファイ動作(リセット動作有りのベリファイ動作)とを選択的に実行する。
【0154】
例えば、本実施形態のフラッシュメモリにおいて、シーケンサ19は、書き込み動作から得られるある値と判定値とを比較することによって、半導体ピラー75のプリチャージを含むベリファイ動作を実行するか否か判定する。
【0155】
図11のフローチャート及び
図12のタイミングチャートに示されるように、メモリコントローラ5が、フラッシュメモリ1に書き込みコマンドなどを、送信する(ステップS0)。
【0156】
シーケンサ19は、時刻T0において、コマンドに基づいて、書き込み動作を開始する(ステップS1)。
【0157】
シーケンサ19は、
図12に示されるように、上述の実施形態と同様(
図7参照)に、ある電圧値のプログラム電圧を用いて、プログラム動作を実行する(ステップS2)。
【0158】
シーケンサ19は、プログラム動作の後又はプログラム動作に並行して、現在の書き込みループの回数NNが、判定値CRを超えているか否か、判定する(ステップS3)。
【0159】
書き込みループの回数NNが、判定値CR以下である場合、シーケンサ19は、プリチャージ無しのベリファイ動作を実行する(ステップS4)。
【0160】
図12に示されるように、ベリファイ動作時に半導体ピラー75のプリチャージが実行されない場合(書き込み動作中の期間Z1)、時刻T7Aにおいて、選択ワード線WLkの電位及びソース線CELSRCの電位が上昇されること無しに、各配線の電位が、グランド電圧Vssに設定される。
【0161】
例えば、書き込み動作の前半の期間Z1は、書き込みループの回数が少ないので、プリチャージ無しのベリファイ動作が実行され、半導体ピラーからのキャリアの排出処理は、実行されない。
【0162】
シーケンサ19は、ベリファイ動作の結果に基づいて、ベリファイパスであるかどうか判定する(ステップS6)。
【0163】
ベリファイ結果がフェイルであると判定された場合、シーケンサ19は、次の書き込みループに移行するために、書き込み電圧VPGMに、ステップアップ電圧dVを加算する(ステップS6Z)。これによって、次の書き込みループに用いられるプログラム電圧は、動作する。ステップアップ電圧が加算されたプログラム電圧VPGMを用いて、ステップS2,S3,S4,S6に示されるプログラム動作及び半導体ピラーのプリチャージ無しのベリファイ動作が再度実行される。
【0164】
ベリファイパスせずに書き込み動作の進行に伴って、書き込みループ(プログラム動作)の回数NNが、判定値CRを超えた場合(書き込み動作中の期間Z2)、シーケンサ19は、プリチャージを含むベリファイ動作を実行する(ステップS5)。
【0165】
この場合、例えば、フラッシュメモリ1の設定情報に基づいて、第1乃至第4の実施形態で説明されたベリファイ動作(
図6乃至10)のうちいずれか1つが、実行される。
【0166】
例えば、書き込み動作の後半の期間Z2は、書き込みループの回数NNが判定値CRを超えるのため、判定値CRを超えた書き込みループ以降の全ての書き込むループにおいて、半導体ピラー75のプリチャージを伴うベリファイ動作が実行される。
【0167】
プリチャージを含むベリファイ動作の結果に基づいて、プログラム動作の正否が、判定される(ステップS6)。
【0168】
ステップS5の後のベリファイ結果の判定がフェイルである場合、書き込みループが再度実行される。
【0169】
ベリファイ結果がパスである場合、シーケンサ19は、書き込み動作が完了したと判定する。シーケンサ19は、書き込み動作の完了を、レディ/ビジー信号によってメモリコントローラ5に通知する(ステップS7)。
【0170】
メモリコントローラ5は、フラッシュメモリ1からの通知を受信し、書き込み動作の完了を検知する(S8)。
【0171】
これによって、本実施形態のフラッシュメモリにおける書き込み動作が、完了する。
【0172】
以上のように、本実施形態において、書き込み動作中の書き込みループの回数NNが、判定値CRを超えた場合に、上述の実施形態におけるプリチャージを含むベリファイ動作を実行し、半導体ピラー内にトラップされたキャリアを半導体ピラー内から引き抜く。
【0173】
この場合、書き込みループの回数NNが判定値CRを超える前の1以上の書き込みループのそれぞれにおいて、プログラム動作の後に、プリチャージ無しのベリファイ動作が実行される。
【0174】
この結果として、本実施形態のフラッシュメモリは、ある書き込みループにおける半導体ピラーのプリチャージのための期間が削減され、書き込み動作の全体の期間が、短縮される。
【0175】
以上のように、本実施形態のフラッシュメモリの書き込み動作において、書き込み動作の開始から取得値が判定値以下のi回目の書き込みループまでの期間Z1の各書き込みループにおいて、プリチャージ無しのベリファイ動作が実行され、判定値CRを超えた(i+1)回目の書き込みループから書き込み動作の終了までの期間Z2の各書き込みループにおいて、プリチャージ有りのベリファイ動作が実行される。iは、1以上の整数である。
【0176】
尚、書き込み動作中に実行されるプログラム動作の回数の代わりに、書き込み電圧VPGMの電圧値の大きさに応じて、ベリファイリード後に半導体ピラーのプリチャージを行うか否か判定されてもよい。
【0177】
この場合、シーケンサ19が、書き込み電圧VPGMの電圧値が、あらかじめ設定されたある判定値を超えたか否か判定する。シーケンサ19が書き込み電圧VPGMの電圧値が判定値CRより大きくなったことを検知した場合、シーケンサ19は、その電圧値を用いたプログラム動作に続くベリファイ動作において、第1乃至第4の実施形態のうちいずれか1つのベリファイ動作を行う。
【0178】
以上のように、本実施形態のメモリデバイスは、書き込み動作の長期化を抑制しつつ、フラッシュメモリの信頼性を向上できる。
【0179】
(6) 変形例
図13及び
図14を参照して、上述の実施形態のメモリデバイスの変形例について、説明する。
【0180】
図13に示されるように、本実施形態のメモリデバイスは、1つのNANDストリングNSが、2つの半導体ピラー75A,75Bを含んでいてもよい。
【0181】
例えば、
図13のフラッシュメモリにおいて、NANDストリングNSは、第1及び第2の半導体ピラー75A,75Bと、2つの半導体ピラー75A,75Bを接続する半導体部76とを含む。
【0182】
半導体部76は、第1の半導体ピラー75Aの下端を、第2の半導体ピラー75Bの下端に接続する。
【0183】
第1の半導体ピラー75Aの上端は、ビット線BLに接続され。第2の半導体ピラー75Bの上端は、ソース線SLに接続される。
【0184】
ドレイン側セレクトトランジスタSTDは、第1の半導体ピラー75Aの上部側に、設けられている。ソース側セレクトトランジスタSTSは、第2の半導体ピラー75Bの上部側に設けられている。
図13のNANDストリングNSにおいて、ソース側セレクトトランジスタSTSは、ドレイン側セレクトトランジスタSTDと同じ高さに位置する。
【0185】
メモリセルMCは、セレクトトランジスタSTD,STSと半導体部76との間の領域において、第1及び第2の半導体ピラー75A,75Bの側面上に、それぞれ設けられている。
【0186】
例えば、半導体部76は、薄い絶縁膜(図示せず)を介して、基板700上の配線層77に対向する。これによって、半導体部76の部分に、バックゲートトランジスタBGTが設けられる。配線層77は、バックゲート線BG及びバックゲートトランジスタBGTのゲート電極として機能する。シーケンサ19が、バックゲート線BGの電位を制御することによって、バックゲートトランジスタBGTがオン又はオフする。
【0187】
図14のタイミングチャートに示されるように、シーケンサ19は、ベリファイリード中(時刻T6から時刻T7までの期間)において、バックゲート線BGに、電圧VBGを印加する。これによって、バックゲートトランジスタBGTは、オンする。
【0188】
半導体ピラー75A,75B内にトラップされたキャリアを排出する場合、シーケンサ19は、時刻T7において、バックゲート線BGの電位を、グランド電圧Vssに設定する。これによって、バックゲートトランジスタBGTは、オフする。シーケンサ19は、ドレイン側及びソース側セレクトゲート線SGD,SGSの電位を、電圧VSGに維持する。時刻T7において、シーケンサ19は、ビット線BL及びソース線SLに、電圧VDDを印加する。
【0189】
これによって、半導体ピラー75Aは、オン状態のドレイン側セレクトトランジスタSTDを介して、ビット線BLに電気的に接続される。半導体ピラー75Aは、ビット線BLの電位VDD程度に、プリチャージされる。時刻T7から時刻T9の期間において、半導体ピラー75A内にトラップされたキャリアは、ビット線BLに放出される。
【0190】
また、時刻T7から時刻T9の期間において、半導体ピラー75Bは、オン状態のソース側セレクトゲートトランジスタSTSを介して、ソース線SLに電気的に接続される。半導体ピラー75Bは、ソース線SLの電位VDD程度にプリチャージされる。半導体ピラー75B内にトラップされたキャリアは、ソース線SLに放出される。
【0191】
以上のように、NANDストリングNSが、複数の半導体ピラー75A,75Bが接続された構造を有している場合であっても、半導体ピラー75A,75Bの上端側からのプリチャージによって、複数の半導体ピラー75A,75B内にトラップされたキャリアを、半導体ピラー75A,75Bの外部に放出できる。
【0192】
尚、本実施形態の別の変形例として、本実施形態における半導体ピラー75のプリチャージ及び半導体ピラー75内のキャリアの排出は、読み出し動作におけるビット線のセンス後に、実行されてもよい。
【0193】
また、3次元構造のメモリセルアレイを含むフラッシュメモリにおいて、複数のワード線のうち、ドレイン側セレクトゲート線SGDに隣り合うワード線及びソース側セレクトゲート線SGSに隣り合うワード線は、ダミーワード線として、用いられる場合がある。ダミーワード線に接続されたメモリセルは、データの記憶に用いられないセル(ダミーセル)である。NANDストリングがダミーワード線及びダミーセルを含む場合であっても、本実施形態のメモリデバイスは、上述の各実施形態のように、ワード線に対して実行された制御と実質的に同じ制御を、ベリファイ動作時のダミーワード線の電位の制御に適用することができる。
【0194】
したがって、本変形例のメモリデバイスは、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0195】
(3) その他
本実施形態のメモリシステムに用いられるフラッシュメモリは、多値フラッシュメモリでもよい。
【0196】
多値フラッシュメモリの読み出し動作は、以下のような判定電圧を含む。
【0197】
Aレベルの読み出し動作に選択されたワード線に印加される判定電圧は、例えば、0V〜0.55Vの間である。但し、Aレベルの判定電圧は、この値に限定されることなく、0.1V〜0.24V、0.21V〜0.31V、0.31V〜0.4V、0.4V〜0.5V、及び、0.5V〜0.55Vのうち、いずれの範囲でもよい。
【0198】
Bレベルの読み出し動作に選択されたワード線に印加される判定電圧は、例えば1.5V〜2.3Vの間である。但し、Bレベルの判定電圧は、この値に限定されず、1.65V〜1.8V、1.8V〜1.95V、1.95V〜2.1V、及び、2.1V〜2.3Vのうち、いずれの範囲でもよい。
【0199】
Cレベルの読み出し動作に選択されたワード線に印加される判定電圧は、例えば、3.0V〜4.0Vの間である。Bレベルの判定電圧は、、これに限定されることなく、3.0V〜3.2V、3.2V〜3.4V、3.4V〜3.5V、3.5V〜3.6V、及び、3.6V〜4.0Vのうち、いずれの範囲でもよい。
【0200】
尚、読み出し動作の期間(tR)は、例えば、25μs〜38μs、 38μs〜70μs、 70μs〜80μsのうち、いずれか1つの期間でよい。
【0201】
多値フラッシュメモリの書き込み動作は、プログラム動作とベリファイ動作を含む。
【0202】
多値フラッシュメモリの書き込み動作において、プログラム動作時に選択されたワード線に最初に印加される電圧は、例えば、13.7V〜14.3Vの間である。この電圧は、この値に限定されることなく、例えば、13.7V〜14.0V及び14.0V〜14.6Vのうち、いずれの範囲でもよい。
【0203】
プログラム動作が、incremental step pulse Program(ISPP)方式である場合、ステップアップの電圧は、例えば、0.5V程度である。
【0204】
非選択のワード線に印加される非選択電圧(パス電圧)は、例えば、6.0V〜7.3Vの範囲の値である。但し、非選択電圧は、この値に限定されることなく、例えば、7.3V〜8.4Vの範囲の値でもよく、6.0V以下でもよい。
【0205】
非選択のワード線が奇数番目のワード線であるか、偶数番目のワード線であるかで、印加するパス電圧を変えてもよい。
【0206】
書き込み動作の時間(tProg)は、例えば、1700μs〜1800μs、 1800μs〜1900μs、及び、1900μs〜2000μsのうち、いずれかの1つの期間でよい。
【0207】
多値フラッシュメモリの消去動作は、半導体基板の上部上に形成され、かつ、メモリセルが上方に配置されたウェル領域に最初に印加される電圧は、例えば、12V〜13.6Vの範囲の値である。この電圧は、この値に限定されることなく、例えば、13.6V〜14.8V、14.8V〜19.0V、 19.0〜19.8V或いは19.8V〜21Vのうち、いずれかの範囲の値でよい。
【0208】
消去動作の時間(tErase)は、例えば、3000μs〜4000μs、4000μs〜5000μs、及び、4000μs〜9000μsのうち、いずれか1つの期間でよい。
【0209】
メモリセルは、4nm〜10nmのトンネル絶縁膜を介して半導体ピラーの側面上に配置された電荷蓄積層を、有している。この電荷蓄積層は、2nm〜3nmの膜厚を有する絶縁膜(例えば、SiN又はSiONなど)と3nm〜8nmの膜厚のポリシリコンとの積層構造でもよい。また、ポリシリコンはRuのような金属を、含んでいてもよい。
【0210】
電荷蓄積層上に、絶縁膜を有している。この絶縁膜は、例えば、3nm〜10nmの膜厚を有する下層High−k膜と、3nm〜10nmの膜厚を有する上層High−k膜と、下層及び上層High−k膜に挟まれた4〜10nmの膜厚を有するシリコン酸化膜とを、含む。High−k膜は、HfOなどの膜が挙げられる。また、シリコン酸化膜の膜厚は、High−k膜の膜厚より厚くともよい。
【0211】
絶縁膜上に、3nm〜10nmの膜厚の仕事関数調整用の材料を介して、30nm〜70nmの膜厚を有する制御ゲート電極が設けられている。仕事関数調整用の材料は、TaOなどの金属酸化膜、TaNなどの金属窒化膜である。制御ゲート電極は、W(タングステン)などの金属でもよい。
【0212】
メモリセル間に、エアギャップが設けられてもよい。
【0213】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。