【実施例】
【0169】
実施例1:対応する閾値に照合される周波数勾配の監視
第1の実施例は、対応する閾値に照合される周波数勾配の監視を含み、
図23〜28を参照して示される。この第1の実施例は、最も単純であり、周波数勾配のみに基づいて、応答セットをトリガする実施例である。表4は、本明細書で開示される超音波器具100、120、1004などの対応する超音波器具を備える、本明細書で開示される外科用器具19、190、1000のうちのいずれか1つなどの外科用器具に関する、この目的のための代表的なパラメータを含む。
【0170】
【表4】
* これらのパラメータ値は、論理フローに事実上発生しないように、適切な過度に設定される(例えば、常に「真」であるように設定)
【0171】
図23〜25は、表4に含まれる代表的/例示的パラメータを使用する発生器によって生成される、信号データを示す。この発生器は、本明細書で開示される発生器30、500、1002のうちのいずれか1つと同様のものとすることができ、本開示に従って組織に対して適用される超音波モードで動作する、対応する外科用システム19、190、1000(例えば、超音波システム19、190、1000)の一部分を形成する。
【0172】
周波数勾配のみを使用して応答セットをトリガすることは、「バーンイン」シナリオ又は試験で更に明示することができる。
図26〜28は、「バーンイン」シナリオ又は試験の間の、表4に含まれる代表的/例示的パラメータを使用する発生器によって生成される、信号データを示す。「バーンイン」は、ユーザーがハサミ型超音波外科用器具を、介在する組織なしに起動する(例えば、つかみ具を閉鎖した状態での後部切断)ユースケースをシミュレートする。この試験はまた、例えば「応答時間」などの、装置特性を定量化するためにも有用であり得る。
【0173】
超音波器具の応答時間は、超音波システム(器具、ハンドピース、及び組織アルゴリズムを使用する発生器)が、ブレードにクランプアームパッドが接触することに応答するために必要とされる時間として、定義することができる。超音波システムは、通常、最初に「空中で」(すなわち、非負荷で)起動され、クランプアームが、ブレードに接して閉鎖されて、一定の期間にわたって保持され、次いで、クランプアームは開放され、超音波システムが停止される。応答時間は、クランプアームパッドがブレードとの接触を開始することにより、休止電力(空中での電力)が変化を開始する点と、応答セットがトリガされる点との間の時間である。これはまた、冷却速度の定量化を可能にする試験でもあり、冷却速度が高速になるほど(同様の対流境界条件を仮定して)、より多くの熱エネルギー又は残留熱が、ブレード内に存在する。冷却速度は、周波数勾配に比例する(補足すると、正の周波数勾配値は、ブレード外への瞬間熱流束に相関する)。後に詳述されるように、冷却速度はまた、制御目的のために監視及び使用することもでき、それにより、例えば、正の周波数勾配によって定義されるような冷却速度が、閾値を超える場合には、ブレードが大量の熱エネルギーを「伝達」しており、かつその熱エネルギーを急速に消散していることが分かる。
【0174】
図23Aは、典型的な組織切断の間の、発生器の一形態の、時間に対する周波数勾配(周波数の1次時間導関数)の波形1502のグラフ表示1500である。電力レベル5に設定された対応する超音波外科用器具を備える超音波システムのうちのいずれか1つを使用する、典型的な組織切断に関して、周波数勾配(kHz/秒)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。この適用例に関して使用された周波数勾配閾値1504は、−0.06kHz/秒であり、水平の破線によって示される。垂直の一点鎖線1506は、組織が分離を開始した時間(2.32秒)を示し、垂直の破線1508は、超音波システムが応答セット(この場合、表4により可聴音のみ)をトリガした時間(2.55秒)を示す。
【0175】
図23Bは、典型的な組織切断の間の、発生器の一形態の、
図23に示す波形1502上に重ね合わされた、(破線で示される)時間に対する周波数の2次時間導関数(周波数勾配の勾配)の波形1503のグラフ表示である。
【0176】
図24は、
図23Aに示すグラフ表示1500に関連する、典型的な組織切断の間の、発生器の一形態の、時間に対する周波数の波形1512のグラフ表示1510である。電力レベル5に設定された超音波システムのうちのいずれか1つを使用する典型的な組織切断に関して、共振周波数(kHz)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。垂直の一点鎖線1506は、組織が分離を開始した時間(2.32秒)を示し、垂直の破線1508は、超音波システムが応答セット(この場合、可聴音のみ)をトリガした時間(2.55秒)を示す。
【0177】
図25は、
図23Aに示すグラフ表示1500に関連する、典型的な組織切断の間の、発生器の一形態の、時間に対する電力消費の波形1514のグラフ表示1514である。電力レベル5に設定された超音波システムのうちのいずれか1つを使用する典型的な組織切断に関して、電力(W)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。垂直の一点鎖線1506は、組織が分離を開始した時間(2.32秒)を示し、垂直の破線1508は、超音波システムが応答セット(この場合、可聴音のみ)をトリガした時間(2.55秒)を示す。
【0178】
図26は、バーンイン試験の間の、発生器の一形態の、時間に対する周波数勾配の波形1518のグラフ表示1516である。この試験に関するパラメータは、表4に含まれるものと一致している。電力レベル5に設定された超音波システムのうちのいずれか1つを使用する典型的な組織切断に関して、周波数勾配(kHz/秒)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。この適用例に関して使用された周波数勾配閾値1504は、−0.06kHz/秒であり、水平の破線によって示される。垂直の点線1524は、クランプすることにより休止電力が変化を開始する時点(2.49秒)を示し、垂直の一点鎖線1506は、電力が立ち上がり傾斜を完了した時間(2.66秒)を示し、垂直の破線1508は、超音波システムが応答セット(この場合、可聴音のみ)をトリガした時間(2.72秒)を示す。グラフ表示1516に示されるように、1520での周波数勾配は、冷却速度又はブレード外への熱流束に相関する。また、超音波システムの応答時間1522も、クランプにより休止電力が変化を開始する時点(2.49秒)と、超音波システムが応答セットをトリガした時間(2.72秒)との間の時間経過として測定される。
【0179】
図27は、
図26に示すグラフ表示1516に関連する、バーンイン試験の間の、発生器の一形態の、時間に対する周波数の波形1526のグラフ表示1524である。電力レベル5に設定された超音波システムのうちのいずれか1つを使用する典型的な組織切断に関して、共振周波数(kHz)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0180】
図28は、
図26に示すグラフ表示1516に関連する、バーンイン試験の間の、発生器の一形態の、時間に対する電力消費の波形1530のグラフ表示1528である。電力レベル5に設定された超音波システムのうちのいずれか1つを使用する典型的な組織切断に関して、電力(W)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0181】
実施例2:周波数閾値のみに基づく応答セットのトリガ
第2の実施例は、
図29〜35を参照して、周波数閾値のみに基づいて応答セットをトリガすることを含む。表5は、本明細書で開示される超音波器具100、120、1004などの対応する超音波器具を備える、本明細書で開示される外科用器具19、190、1000のうちのいずれか1つなどの外科用器具に関連する、この目的のための代表的なパラメータを含む。周波数閾値を介してトリガすることは、動的なエンドエフェクタ条件の指示性がより低いため、有用性が制限される可能性があり、本明細書では開示の完全性ために提示されることが理解されるであろう。論理フローチャート1200、1300、1400に関連して論じられる組織アルゴリズムに周波数勾配を含めることは、本明細書の次のセクションで扱う(周波数勾配閾値の使用と組み合わされた)組み合わせ論理での使用を目的とするものである。
【0182】
【表5】
* これらのパラメータ値は、論理フローに事実上発生しないように、適切な過度に設定される(例えば、常に「真」であるように設定)。
【0183】
図29〜34は、表5に含まれる代表的/例示的パラメータを使用する発生器によって生成される、波形を示す。この発生器は、本明細書で開示される発生器30、500、1002のうちのいずれか1つと同様のものとすることができ、本開示に従って組織に対して適用される超音波モードで動作する、対応する外科用システム19、190、1000(例えば、超音波システム19、190、1000)の一部分を形成する。
【0184】
表5での周波数閾値としての55,100Hzの選択は、(1)超音波器具が、長期間にわたって、組織パッドに接して作動される場合、及び(2)超音波器具が、発生器を稼働させ続けながら、切除されたブタの空腸組織に対する連続的な10回の切断を可能な限り迅速に実施するように使用される場合の、2つの酷使ケースに関する試験データに基づくものとした。これら2つの酷使ケースのそれぞれは、対応する
図29及び
図30、31A〜Cを参照して、より詳細に論じられる。
【0185】
図29は、バーンイン試験の間の、幾つかの発生器の、経時的な周波数変化1602の波形のグラフ表示1600である。X秒のバーンイン後の周波数変化(kHz)が縦軸に沿って示され、超音波外科用器具装置の番号が横軸に沿って示される。
図29は、超音波外科用器具が、長期間にわたって組織パッドに接して作動される(延長バーンイン)、超音波外科用器具の延長バーンイン後の周波数変化データを示す。55,100Hzの選択により、この条件は、4秒以下の期間、又は55,800Hzの公称室温共振周波数からの約700Hzの周波数低下に制限される。周波数変化データ16021、16022、16023、16024は、対応する、バーンイン開始後1、2、3、及び4秒での発生器30、500、1002のデータから引き出された。5つの超音波外科用器具に関する公称開始周波数は、55.8kHzとした(ブレードは室温で開始した)。第2及び第5の装置は、全ての時間に関する完全なデータセットを生成するには十分に長く稼動しなかった。
【0186】
図30は、発生器を稼働させ続けながら、組織に対する(例えば、切除されたブタの空腸組織に対する)連続的な10回の切断を可能な限り迅速に実施するように使用される、対応する超音波器具に結合された、発生器の一形態に関する、正規化された、時間に対するインピーダンス、電流、及び周波数、並びに電力消費、供給エネルギー、及び温度の波形の組み合わせのグラフ表示1604である。このデータ、及びデータを得るために使用される方法は、酷使条件を表す。
【0187】
図31A〜Cを参照して、
図30の代表的データを、より明確に示す。
図31Aは、一定の期間にわたる連続的な組織切断の間の、発生器の一形態の、時間に対するインピーダンスの波形1608及び時間に対する電流の波形1610のグラフ表示1606である。インピーダンス(オーム)及び電流(mA)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0188】
図31Bは、一定の期間にわたる連続的な組織切断の間の、発生器の一形態の信号の、時間に対する共振周波数の波形1614のグラフ表示1612である。共振周波数(kHz)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0189】
図31Cは、一定の期間にわたる連続的な組織切断の間の、発生器の一形態の、時間に対する電力の波形1618、エネルギーの波形1620、及び温度の波形1622のグラフ表示1616である。電力(W)、エネルギー(J)、及び温度(C)が横軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0190】
したがって、ここで
図31A〜Cを参照すると、グラフ表示1612に示されるように、共振周波数曲線1614は、1615での第3の切断(組織が先端負荷された、特に酷使的な切断)で、700Hz(55.8kHzから55.1kHzまで)低下したことが分かる。共振周波数の波形1614が、第3の切断で700Hz(55.8kHzから55.1kHzまで)低下した後、超音波器具は、発生器を飽和させ始め、電流の波形1610は、全ての連続的な切断で僅かに低下する。この駆動電流の波形1610は、ブレード先端の変位に比例するため、低下する電流波形1610は、より低速な組織作用を、またそれゆえ、より低いエネルギー付与速度(及び、より低い加熱速度、すなわち周波数勾配の、より小さい負の度合い)をもたらす。適用シーケンス内での、低下する電流波形1610によるこの変化の管理は、本明細書の後続のセクションで、実施例3及び実施例4に関連して説明されるように、周波数変化及び周波数勾配変化の双方を使用して可能となる。
【0191】
図32は、本明細書で説明される発生器の一形態と同様の発生器によって生成される、時間に対する、周波数の波形1632、加重周波数勾配の波形1634(0.1のα値で指数荷重移動平均を介して算出される)、及び温度の波形1636の、グラフ表示の組み合わせ1630である。この超音波システムは、表5を構成するものよりも僅かに高い室温共振周波数(縦モード)を有するものとした。それゆえ、周波数閾値1633は、それに伴い、表5に示す55,100Hzから、
図33に示す、破線で示されるような約55,200Hzまで増大された。起動は、電力レベル5に設定された、約55.9kHzの室温共振を有する超音波システムを使用して、組織に対して(例えば、切除されたブタの空腸組織に対して)実行された。組織分離は、6.25秒で生じており、組織の一方の側が約8秒でブレードから分離し、約10秒で完全な分離が生じる。
図33は、発生器30、500、1002の一形態の、時間に対する周波数の波形1632のグラフ表示である。周波数(kHz)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
図33は、表5に示すものと一致するが、破線1633によって示されるように、約55,200Hzに調節されたパラメータのみを使用する、周波数閾値1633の使用の実施例を示す。共振周波数1632は、約11秒で周波数閾値1633(水平の破線、室温共振よりも700Hz下に設定)と交差し、この時間で応答セットをトリガすることができる。
【0192】
図34は、発生器の一形態の、時間に対する加重周波数勾配の波形1634のグラフ表示1634である。加重周波数勾配(kHz/秒)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。周波数勾配波形1634は、0.1のα値で指数加重移動平均を介して算出される。
図34では、周波数勾配波形1634は、約5.8秒で周波数勾配閾値1635(水平の破線)と交差して、応答セットをトリガすることができる。
【0193】
残りの実施例3及び実施例4は、組織アルゴリズムのより複雑な適用を必要とし、かつ周波数勾配及び/又は周波数を、それらの対応する閾値に照合して監視することを含む、複数の条件セットの使用に関するものであり、応答セットをトリガするための階層的アプローチを含み得る。
【0194】
実施例3:周波数勾配閾値及び周波数閾値の双方に基づく応答セットのトリガ
第3の実施例は、周波数勾配閾値及び周波数閾値の双方に基づいて、応答セットをトリガすることを含む。表6は、本明細書で開示される超音波器具100、120、1004などの対応する超音波器具を備える、本明細書で開示される外科用器具19、190、1000のうちのいずれか1つなどの外科用器具に関連する、この目的のための代表的なパラメータを含む。
【0195】
【表6】
* これらのパラメータ値は、論理フローに事実上発生しないように、適切な過度に設定される(例えば、常に「真」であるように設定)。
【0196】
この実施例3の場合には、段階的又は階層的応答が実証される。周波数勾配閾値と周波数閾値との組み合わせ論理を、
図32〜34に示される同じグラフ表示を使用して説明する。
図34では、条件セット1は、周波数勾配の波形1634が、約6秒で周波数勾配閾値1635値と交差することによってトリガされる。条件セット1に関する応答セットとしては、例えば、低レベルの可聴インジケータを挙げることができる。ユーザーが最小限の介在組織と共に器具を作動させ続けると、
図33に示されるように、共振周波数が、約11秒で周波数閾値1633を下回る際に、条件セット2がトリガされる。条件セット2に関する応答セットとしては、例えば、可聴インジケータの上昇を挙げることができる。
【0197】
実施例4:周波数勾配閾値及び周波数閾値の双方に基づく応答セットのトリガ
第4の実施例は、外科用器具の酷使条件の間の、周波数閾値及び周波数勾配閾値の双方の適用に拡張される。様々な理由により、拡張された適用では周波数勾配の信号レベルが減退する(すなわち、より負の度合が小さくなる)可能性がある。
【0198】
酷使条件では、超音波器具のつかみ具が1秒間開放され、次いで、1秒間閉鎖され、17サイクル繰り返される、超音波器具が電力レベル5で絶えず起動される間に、標準動作から偏移し得る周波数、周波数勾配、及び電流の波形が、生成される場合がある。
【0199】
超音波器具がパッドに直接接して複数回起動される場合、発生器が飽和する前の第1の領域での特性周波数勾配の波形は、主にシステム効率及び結果として生じる変位/電流の低下により、発生器が飽和した第2の領域よりも、負の度合が小さくなる。周波数勾配の波形の非飽和領域内では、超音波システムは、未だ飽和されておらず、電流は、電力レベル5に関する標的電流で、又は標的電流の近くで維持される。周波数勾配の波形の飽和領域内では、電流(またそれゆえ、ブレード先端の変位)は、継続的に低下して、周波数勾配を増大させる(加熱速度が低下する)。幾つかの酷使サイクル、例えば、非飽和領域と飽和領域との間の近似的境界である、第4の酷使サイクルの後に、共振周波数は、
図29〜31A〜Cと一致して低下することに留意されたい。非飽和領域及び飽和領域のそれぞれに関する、別個の条件セットを適用することができる。第1の周波数勾配閾値は、共振周波数条件が既定の周波数閾値を上回るときの、非飽和領域内で採用することができ、第2の、より負の度合が小さい周波数勾配閾値は、共振周波数条件が、同じ既定の周波数閾値を下回るときの、飽和領域内で採用することができる。
【0200】
時間に対する加重周波数勾配(kHz/秒)の波形は、発生器の一形態のものとすることができる。器具がパッドに接して酷使条件で使用されるとき、非飽和領域内の特性周波数勾配の波形は、材料軟化及び対応するパッドの摩擦係数の低減により、飽和領域内よりも負の度合が小さくなる。周波数勾配の波形の非飽和領域内は、組織パッドが未だ著しく加熱を開始していないときに対応する。周波数勾配の波形の飽和領域内では、パッドは軟化し始め、ブレードとパッドとの間の界面が、より滑り易くなることにより、周波数勾配の波形を上昇させる(加熱速度が低下する)。非飽和領域及び飽和領域のそれぞれに関する、別個の条件セットを認めることができる。第1の周波数勾配閾値は、共振周波数条件が既定の周波数勾配閾値を上回るときの、非飽和領域内で採用することができ、第2の、より負の度合が小さい周波数勾配閾値は、共振周波数が、同じ既定の周波数勾配閾値を下回るときの、飽和領域内で採用することができる。
【0201】
別の実施例を、ここで考察する。表7は、システム飽和による周波数勾配の信号レベルの減退及び電流降下を考慮するために2つの条件セットが使用される、超音波器具に関するパラメータを含む。
【0202】
【表7】
* これらのパラメータ値は、論理フローに事実上発生しないように、適切な過度に設定される(例えば、常に「真」であるように設定)。
【0203】
本実施例の実行に関して生成されるデータは、超音波器具を使用して、空腸組織での連続的な10回の切断を可能な限り迅速に実施して生成された。表7からのパラメータ値を使用して、例示的なサンプルケースに関する周波数対時間のプロットを、
図35、36に示す。
【0204】
図35は、組織(例えば、空腸組織)に対する10回の切断にわたる、発生器の一形態の、時間に対する周波数の波形1802のグラフ表示1800、及び時間に対する温度の波形1805のグラフ表示1804である。グラフ表示1800に関しては、周波数(Hz)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。グラフ表示1804に関しては、温度(°F)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0205】
図36は、参照番号1806によって指示される部分での、介在組織の活性化を伴う、組織(例えば、空腸組織)に対する10回の切断にわたる、発生器の一形態の、
図35に示す時間に対する周波数の波形1802のグラフ表示1805である。周波数(Hz)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0206】
図35及び36に示される周波数の波形1802は、電気的なシステム飽和に起因する周波数勾配の減退(減退する変位)を考慮するために、2つの条件セットを使用する実施例に関するものである。これは、
図29〜31A〜Cに示されるものと同じ試験の実行であることに留意されたい。
図36では、強調部分1806は、介在組織を伴う作動を指示し(周波数が低下する、組織の乾燥に関連する局所的周波数曲線の形状、浅い開始勾配は、組織が乾燥するにつれて急勾配となる)、強調部分1808は、介在組織が最小限か又は全くない状態での作動を指示し(局所的周波数勾配は、非常に急であり、曲線形状は、より直線的であり、徐々に急勾配になる)、非強調部分1810を有する曲線の部分は、装置が次の切断のために再配置され、ブレードが空中で冷却され、組織上に定置されるときに急速に冷却される時間を示す(周波数は上昇する)。
【0207】
図37は、空腸組織に対する10回の切断にわたる、発生器の一形態の、時間に対する周波数勾配の波形1814のグラフ表示1812である。周波数勾配(kHz/秒)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。周波数勾配の波形1814の領域Bは、10回の切断実行の間、条件セット2が、初めて条件セット1に先行してトリガされる(周波数が55.1kHzを下回り、周波数勾配が−0.045kHz/秒未満である)、10回の切断実行の領域を示す。条件セット2が条件セット1に先行してトリガされる、領域B内に示される条件は、超音波システムが、実行中この時点までに一貫して飽和している(電圧は飽和して、電流は減退していることにより、変位の減退がもたらされ、それゆえ、より大きい周波数勾配閾値を必要とする減退された加熱速度がもたらされる)ため、望ましい。
【0208】
図38は、組織(例えば、空腸組織)に対する10回の切断にわたる、発生器の一形態よって消費される電力を表す、時間に対する電力の波形1818のグラフ表示1816である。電力(W)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0209】
図39は、空腸組織に対する10回の切断にわたる、発生器の一形態の、時間に対する電流の波形1822のグラフ表示1820である。電流(mA)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0210】
周波数勾配、共振周波数、又は双方を、それらの対応する閾値に対して監視する観点から、
図20〜22に示される論理フローチャート1200、1300、1400に関連して論じられる組織アルゴリズムの基本的適用を説明してきたが、ここで、ラッチ論理、及び組織アルゴリズムに関する対応する使用の説明を論じる。組織アルゴリズムにラッチ論理を追加する動機は、(a)パッド上のブレードが酷使条件の間にブレード/パッド界面がより滑り易くなることにより、条件セットがリセットする(条件セットが真から偽に変化する)ことを防ぐため、及び(b)急速加熱の期間が、より低速加熱の期間と混在する(ブレード内への熱流束の部分とブレードからの熱流束部分とが混在する)パルス状作動により、条件セットがリセットする(条件セットが真から偽に変化する)ことを防ぐためである。第1及び第2のこれらの動機は、それぞれ、
図48及び
図49に示される。本開示で先に定義されたように、これらの2つの動機に対処する2つのラッチパラメータは、
図40に示されるような「クロスバック周波数勾配閾値」、及び「最小ラッチ時間」である。本開示の完全性のため、
図43は、
図41及び42A〜Cに示されるパルス状実行に関する、算出された周波数勾配曲線を示す。
【0211】
図40は、時間に対する周波数勾配の波形1902に関連する、「クロスバック周波数勾配閾値」パラメータのグラフ表示1900である。
図40に示されるように、「周波数勾配閾値」1904は、−0.15kHz/秒での水平の破線によって示される。「クロスバック周波数勾配閾値」1906は、−0.02kHz/秒での水平の一点鎖線によって示される。この例では、下向きの矢印1908によって示されるように、局所的な算出された周波数勾配が「周波数勾配閾値」と交差するとき、条件セットが満たされ、応答セットがトリガされる。上向きの矢印1910によって示されるように、局所的な算出された周波数勾配が「クロスバック周波数勾配閾値」を超えて交差するとき、条件セットが満たされない(応答セットは、もはやトリガされない)。この場合に「クロスバックオーバー周波数勾配閾値」を使用しなければ、クロスオーバー点1911に示される約4.7秒で、局所的周波数勾配が水平の破線1904を超えて交差したときに、応答セットはトリガされないことに留意されたい。
【0212】
図41は、時間に対してプロットされた、正規化された電力、電流、エネルギー、及び周波数のデータを示す、切除された頚動脈に対する超音波器具の一形態のパルス状適用の、グラフ表示の組み合わせ1920である。
【0213】
図42Aは、一定の期間にわたる連続的な組織切断の間の、発生器の一形態の、時間に対するインピーダンスの波形1922及び時間に対する電流の波形1924のグラフ表示1921である。インピーダンス(オーム)及び電流(mA)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0214】
図42Bは、一定の期間にわたる連続的な組織切断の間の、発生器の一形態の、時間に対する周波数の波形1925のグラフ表示1923である。周波数(kHz)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0215】
図42Cは、一定の期間にわたる連続的な組織切断の間の、発生器の一形態の、時間に対してプロットされた、電力の波形1926、エネルギーの波形1927、第1の温度の波形1928、及び第2の温度の波形1929のグラフ表示1930である。電力(W)、エネルギー(J)、及び温度(℃)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0216】
図42A〜Cは、切除された頚動脈に対する超音波器具のパルス状適用を示し、第1のパルス時間が1秒であり、第1のパルス振幅が電力レベル3の出力電流の100%である。第2のパルス時間は1.5秒であり、第2のパルス振幅は電力レベル3の出力電流の10%未満である。共振周波数の波形1925は、加熱(ブレード内への熱流束)及び冷却(ブレードからの熱流束)の双方の部分を提示することに留意されたい。「最小ラッチ時間」パラメータは、本明細書では、トリガされる条件セットXへの応答のための、最小限の時間量として定義され、パルス状適用の間に応答セットのトリガを維持することを意図するものである(ラッチ時間の1つの実施例は、約1秒とすることができる)。
図42Aに示すように、負荷又はインピーダンスの波形1922は、実行シーケンスの全体を通して、200オームを下回らないことに更に留意されたい。このことは、切断の合間の空中での操作中、マーチング適用に関するインピーダンスの波形1922が、一貫して約150オームを下回ることを考慮すると、好ましい場合があり、インピーダンス制限が条件セットをリセットするために使用することができる点を示唆している。一態様では、このインピーダンス制限は、Thomasの米国特許第5,026,387号に開示されるような、「空中での低駆動」コンセプトの実装のために使用することができる。
【0217】
図43は、粗いスケール上にプロットした、
図41及び
図42A〜Cに示すパルス状適用に関して算出された周波数勾配の波形1934のグラフ表示1932である。
図44は、
図43に示すパルス状適用に関して算出された周波数勾配の波形1934のグラフ表示の、拡大図である。
図43及び44の双方とも、
図41及び
図42A〜Cに示すパルス状適用に関して算出された周波数勾配波形1934を示す。周波数勾配(kHz/秒)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。2つのスケールが示され、
図43は周波数勾配に関する粗いスケールを示し、
図44は「拡大された」図を示す。周波数勾配に関しては、連続駆動下で見られるものと同じ傾向が、ブレード内への熱流束(負の周波数勾配)及びブレードからの熱流束(正の周波数勾配)と良好に相関する値を含めて、パルス状駆動で示される。パルス化に起因する周波数曲線及び周波数勾配曲線の滞留性質は、周波数勾配の移動平均計算と相まって、パルス中の周波数勾配曲線の使用を困難にする。組織は、13秒で分離したことに留意されたい。
図43、及び特に
図44に見られるように、冷却速度は、周波数勾配波形1934が、滞留期間の終了時(すなわち、安定領域)でサンプル抽出されるときに、この場合約0.04kHz/秒の閾値を超過する論理(
図20〜22の論理フローには示さず)を使用して、パルス状出力の滞留部分での急速冷却を組織離断の完了に相関させる応答を、トリガするために使用することができる。
図42Aに見られるように、インピーダンスの波形1922は、トランスデューサインピーダンス波形1922が、滞留期間の開始時(すなわち、安定領域)でサンプル抽出されるときに、この場合約700オームの閾値を超過する論理(同様に、
図20〜22の論理フローには示さず)を使用して、高インピーダンス(機械的動作又は振動に対する高抵抗)を組織離断の完了に相関させる応答を、トリガするために使用することができる。
【0218】
図45は、インピーダンス、電力、エネルギー、温度などの、対象となる他のデータの波形1938のグラフ表示1936である。
図45では、右側の縦スケールは、インピーダンス曲線のみに適用される。
【0219】
本開示は、ここで、超音波器具内の電力レベル及びクランプ圧プロファイルを考察する。ブレードとパッドとの界面の加熱速度は、ブレード変位、界面摩擦係数、及び負荷(クランプ圧又は垂直力)に比例する。一定の範囲の変位(電力レベル)、及び装置特有のクランプ圧と摩擦係数(主に、パッド材料及びブレードコーティングによって規定される)との組み合わせでの、組織アルゴリズムを評価するために、試験を実行した。
【0220】
図46は、様々な超音波器具のタイプに関する、電力レベルに対する加重周波数勾配の概要のグラフ表示1940である。加重周波数勾配(kHz/秒)が縦軸に沿って示され、電力レベル、装置のタイプ、及び装置が横軸に沿って示される。グラフ表示1940に要約されるデータを生成するために使用される器具は、一部を除いて一般に市販されている。1つの試験手順は、装置をクランプすること、装置を3秒間作動させること、及び全3秒間にわたる平均周波数勾配を計算することを含むものとした。しかしながら、他の測定基準を採用することもできる。殆どの装置に関しては、
図46に要約されるデータは、最小周波数勾配を概ね示している。
図46は、ハサミ型超音波器具に対するバーンイン試験の間の周波数勾配の概要データを示し、この器具は、クランプされ、次いで3秒間作動され、次いでクランプ解除され、作動の全3秒間にわたる平均周波数勾配が算出され、図示のようにプロットされた。
【0221】
既定の試験及び
図46からの試験データに基づいて、一部の超音波器具と共に使用される主要電力レベルに関して、次の周波数勾配閾値が示唆される。
(1)レベル5周波数勾配閾値:−0.060kHz/秒
(2)レベル3周波数勾配閾値:−0.045kHz/秒
(3)レベル5周波数勾配閾値:−0.070kHz/秒、及び
(4)レベル3周波数勾配閾値:−0.050kHz/秒
【0222】
システム剛性には、ブレード剛性(片持ち梁)及びパッド剛性/パッド熱安定性の双方が含まれる。非負荷の(組織がない)システム剛性が、負荷された(組織に対してクランプされている)システム剛性から差異化されるほど、組織アルゴリズム性能は、より堅牢になる。当然ながら、他の制約が、システム剛性を上限に制限する場合もある。
【0223】
より大きいデータセットに基づいて、変位効果の更なる探究を分析した。超音波システムに関しては、電力レベルは、本質的に、出力電流標的値及び電流によって差異化され、電流は、振動振幅又は変位に比例する。このデータの分析はまた、使用可能な周波数勾配曲線を得るための、周波数データのデジタル平滑化も含み得る。
【0224】
図47〜49は、電力レベル5でブタの頚動脈を切除するために、発生器及び超音波器具の一形態を使用して得られた、時間に対する周波数及び電流の波形を示す。
【0225】
図47は、発生器の一形態の、時間に対する共振周波数の波形1972、時間に対する平均共振周波数の波形1974、及び時間に対する周波数勾配の波形1976のグラフ表示1970である。周波数(kHz)及び周波数勾配(kHz/秒)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。周波数勾配の波形1976は、平均周波数のデータに基づくものであり、周波数の波形1972のデータを後処理することによって得られた。未加工の周波数データがプロットされ、並びに(単純移動平均を介して)平滑化された周波数データ及び(未加工の周波数データには、ストリーミングされたデータを四捨五入することより段差が含まれるため、平滑化されたデータから算出された)周波数勾配がプロットされる。平均共振周波数の波形1974は、共振周波数データの70ミリ秒移動平均(kHZ)を介して得られる。
【0226】
図48は、発生器の一形態の、時間に対する共振周波数の波形1972及び時間に対する平均共振周波数の波形1974の拡大
図1978である。周波数(kHz)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。
【0227】
図49は、発生器の一形態の、共振周波数の波形1972及び時間に対する電流の波形1982の拡大
図1980である。周波数(Hz)及び電流(A)は縦軸に沿って示される。
【0228】
図48及び
図49では、それぞれの拡大
図1978、1980は、周波数データの平滑化の効果が分かるように、かつ適用の開始時での上昇情報が分かるように示され、このことは、待機時間などのパラメータの評価に役立ち得る。
【0229】
本明細書で説明される組織アルゴリズムの他の態様は、介在組織が殆ど又は全く(超音波ブレードとクランプアームとの間に)維持されず、廃エネルギーがエンドエフェクタ内に放出されている状況に適用することができる。したがって、一形態では、組織アルゴリズムは、この状況に関連してユーザーにフィードバックを提供するように、修正することができる。具体的には、組織アルゴリズムは、超音波ブレードの共振が、温度に関連して変化する(温度の上昇と共に減少し、減温度の低下と共に増大する)事実を活用する。
【0230】
一態様では、本明細書で開示される組織アルゴリズムを採用して、波形の周波数勾配を監視することができ、このアルゴリズムは、組織の変化する条件を示す、共振周波数勾配の変化を監視する。
図50に示す場合では、例えば、周波数応答曲線の変曲は、組織が分離を開始する(すなわち、組織タグが存在し、ユーザーが器具を作動させ続ける)点と相関し、このことは、実験によって検証することができる。周波数勾配の変化を使用して、視覚的、可聴、及び/又は触覚的フィードバック(例えば、前述されたものの中でもとりわけ、識別可能なビープ音、フラッシュ光、触覚的振動)をユーザーに提供することができ(廃エネルギーがエンドエフェクタ内に放出される)、あるいは、発生器出力を制御又は停止することができる。
【0231】
別の態様では、本明細書で開示される組織アルゴリズムを採用して、波形の周波数閾値を監視することができ、このアルゴリズムは、波形が何らかの閾値を超えるか、又は何らかの既知の状態(例えば、室温)とは異なるときの、周波数の変化を監視する。周波数勾配の監視と同様に、周波数の変化が、何らかの閾値を下回るか又は異なるとき、ユーザーに対して、装置のエンドエフェクタが加速度的に加熱しているという指示を与えることができる。再び、
図50は、周波数閾値のグラフ説明図を提供する。
【0232】
更に別の態様では、本明細書で開示される組織アルゴリズムを採用して、周波数勾配の変化と周波数閾値とを組み合わせて監視することができる。周波数勾配の有意な変化と、何らかの閾値を下回る周波数の低下との組み合わせはを使用して、高温の指示を提供することができる。
【0233】
ここで、超音波器具に結合された発生器の一形態の、正規化された、電力1991、インピーダンス1992、電流1993、エネルギー1994、周波数1995、及び温度1996の波形の組み合わせのグラフ表示1990である、
図50を参照する。図示のように、組織は、6.672秒で分離を開始する。この点から、組織が完全に分離するまでに、周波数低下全体の約55〜60%が得られ、温度は、約1.92の係数で上昇し(219℃〜418℃)、適用されるエネルギー全体の約28%が送達される。周波数の局所的勾配対時間の波形は、第1の破線のセット1997によって示され、これは、共振周波数勾配の急速な変化を表す。この勾配1997を監視することにより、限定された介在組織が存在するか又は全く存在せず、電力の大部分がブレード/組織パッド界面に適用されているときに典型的に生じる、劇的な変化を指示する機会が与えられる。同様に、周波数の、既知の状態(例えば、室温)でのその共振からの変化を使用して、高温を示すことができ、周波数変化の閾値は、第2の破線1998で示される。また、これらの2つの、周波数勾配の変化、及び周波数変化の閾値の組み合わせも、指示の目的のために監視することができる。この場合には、周波数は、55,712Hzの初期値〜55,168Hzの終了値で変化し、閾値は約55,400Hzで示されることに留意されたい。
【0234】
一部の例示的形態では、外科的条件及び/又は器具関連の条件は、器具の状態を正確に反映するための、上述の条件セットの能力を低減する可能性がある。一部の状況では、ブレードが、通常よりも緩徐に加熱されることにより、予想されるよりも共振周波数が高くなり、周波数勾配が緩やかになる場合がある。そのような状況の一例は、ブレードの非クランプ表面に、組織が付着する場合に生じ得る。この状況及び他の状況では、ブレードとクランプアームパッドとの間に、最小限の組織が存在するか又は全く存在しない場合の、組織食い込みの完了時であっても、より穏やかな加熱の速度が見られる。このことは、また、局所的周波数勾配と周波数勾配閾値パラメータとの比較、及び/又は局所的狂信周波数と周波数閾値パラメータとの比較に基づいて、様々な条件セットを満たすことを、遅延させる恐れがある。結果として、可聴トーン、パルスモード、電流停止などを実施する応答セットが、不必要に遅延する恐れがある。
【0235】
図51A及び
図51Bは、それぞれ、超音波組織食い込みの間に、超音波器具の一形態によって表示される、共振周波数及び周波数勾配のグラフ表示である。
図51A及び
図51Bで示される食い込みは、超音波器具のブレードを徐々に加熱することでもたらされた。
図51Aは、横軸2100上に時間を示し、縦軸2104上にブレードの共振周波数を示す図である。プロット2105は、経時的なブレードの共振周波数を示す。
図51Bは、横軸2104上に時間を示し、縦軸2106上に周波数勾配を示す図である。プロット2107は、経時的な周波数勾配を示す。
図51A及び
図51Bで示される例示的な切断では、組織の分離は、2〜3秒で生じた。この組織の分離は、2108で指示される共振周波数の小さい変化、及び、2100で指示される周波数勾配の浅い最小値を引き起こした。しかしながら、これらの信号特徴部2108、2110は、周波数勾配閾値パラメータを周波数勾配が下回ることを必要とし、かつ/又は周波数閾値パラメータを共振周波数が下回ることを必要とする、条件セットを適時にトリガするためには、十分ではない恐れがある。
【0236】
図52A及び
図52Bは、それぞれ、別の超音波組織食い込みの間に、超音波器具の一形態によって表示される、共振周波数及び周波数勾配のグラフ表示である。この場合も、例示される組織食い込みは、超音波器具のブレードを徐々に加熱することでもたらされた。プロット2112は、
図52A、52Bの組織食い込みに関する、時間に対する共振周波数を示し、その一方で、プロット2114は、
図52A、52Bの組織食い込みに関する、時間に対する周波数勾配を示す。例示される組織食い込みでは、組織は、5〜7秒でブレードから分離を開始して、組織タグは、約9秒でブレードから完全に分離した。看取され得るように、組織分離は、2166で開始する、周波数の小さい変化、及び、2118によって指示されるような、周波数勾配の小さい最小値を引き起こした。しかしながら、この場合も、ブレードの緩徐な加熱により、信号特徴部2116、2118は、所望の条件セットをトリガするためには、十分ではない恐れがある。
【0237】
特定の形態では、30、500、1002などの発生器、及び/又は100、120、1004などの超音波外科用器具は、動的な周波数カットオフを考慮する1つ以上の条件セットで実施することができる。本明細書で説明される、これらの条件セット及び他の条件セットは、スイッチ、ボタン、又はペダルからの入力信号の受信の際、臨床医によって作動させることができ、あるいは、一部の形態では、他のアルゴリズム(例えば、器具制御アルゴリズム)が実行されている間に、バックグラウンドで実行することができる。例えば、超音波インピーダンスが閾値インピーダンスを超過する場合、基準共振周波数を捕捉することができる。例えば、閾値インピーダンスを超過することは、クランプアームが閉鎖されている(例えば、組織食い込みが開始する寸前である)ことを指示し得る。1つ以上の条件セットは、ブレードの共振周波数が、基準周波数と、基準偏差閾値パラメータを超えて異なる場合に満たされる、基準周波数カットオフ条件を含み得る。特定の形態では、基準周波数カットオフ条件は、共振周波数又は周波数勾配に基づく他の条件が満たされない場合であっても、満たされる。他の条件との論理「OR」構成で利用される場合、基準周波数カットオフ条件は、ブレードが通常よりも徐々に加熱されている、上述のような状況で、特定の条件/応答セットのペアがトリガされることを可能にする。
【0238】
図53は、超音波ブレードの基準共振周波数を考慮するために、発生器の一形態で実施することが可能な、基準周波数カットオフ条件を実施する組織アルゴリズム2120の一形態の論理フローチャートである。2122で、ブレードの作動が開始する。例えば、発生器は、「N」として指示される特定の電力レベルで作動させることができる。任意選択的に、2124で、発生器は、閾値期間を待機することができる。この閾値期間は、作動時に生じるあらゆる周波数又は他の過渡現象が消散することを可能にするために、十分なものであり得る。例えば、
図54A及び
図54Bは、異なる例示的な超音波起動で実証される、ブレードの周波数のグラフ表示である。プロット2136は、第1の例示的駆動に関する、時間に対する周波数を示し、2140での一過性の周波数特徴部又はブリップを実証している。プロット2138は、第2の例示的駆動に関する、時間に対する周波数を示し、一過性の特徴部又はブリップ2142を実証している。
【0239】
2124を再び参照すると、アルゴリズム2120は、全て又は殆どの信号過渡現象又はブリップの消散を超えて延長する、任意の好適な閾値期間を利用することができる。例えば、一部の形態では、閾値期間は、0.1〜1.0秒とすることができる。一部の例示的形態では、閾値期間は、0.2〜0.5秒とすることができる。例示的一形態では、閾値期間は、約0.2秒とすることができる。2126で、このアルゴリズムは、超音波インピーダンスの指示を受信することができる。様々な例示的形態では、超音波インピーダンスは、本明細書で上述されたような、トランスデューサブレードシステムの電気インピーダンス、及び/又は「動作ブランチ」のインピーダンスを表す。2128で、発生器は、超音波インピーダンスが閾値インピーダンスを超えているか否かを判定することができる。例えば、このことは、ブレードに対する、又は組織に対する、クランプアームの閉鎖であり得る。一部の形態では、2128での発生器は、設定された時間量(「インピーダンス上回り時間」の期間)にわたって閾値を超えない限りは、超音波インピーダンスが閾値インピーダンスを超えていると結論付けることができない。このインピーダンス上回り時間の期間は、任意の好適な値とすることができ、例えば、30ミリ秒を含めた、10〜100ミリ秒とすることができる。
【0240】
超音波インピーダンスが、2128で閾値インピーダンスを上回らない(又は、「インピーダンス上回り」期間にわたって閾値インピーダンスを上回らない)場合には、発生器は、2126及び2128に戻り、超音波インピーダンスが閾値インピーダンスを超過するまで、超音波インピーダンスを継続して監視することができる。超音波インピーダンスが、2128で閾値インピーダンスを上回る場合には、発生器は、2130で、基準周波数として、ブレードの局所的共振周波数を捕捉することができる。作動が継続するにつれて、発生器は、2132で、周波数Δ、すなわち、ブレードの基準周波数と局所的共振周波数との差異が、基準偏差閾値パラメータを超過するか否かを判定することができる。この周波数Δが、基準偏差閾値パラメータを超過する場合には、基準カットオフ条件を満たすことができる。基準カットオフ条件を満たすことにより、完了条件セットが満たされる場合には、対応する応答セットを、2134でトリガすることができる。一部の形態では、周波数Δが、周波数Δ上回り時間の期間にわたって、基準偏差閾値パラメータの値を上回るまで、又は上回らない限りは、基準カットオフ条件は満たされない。
【0241】
一部の例示的形態では、アルゴリズム2120に関連して説明されるように、基準周波数及び周波数Δを利用することはまた、作動又は切断の間に超音波ブレードの共振周波数が浮動する外科的状況で生じる、問題にも対処する。このことは、例えば、超音波ブレードが、停止されることなく複数の切断のために使用される場合に生じ得る。
図55は、超音波ブレードを使用する複数の切断を含む一形態に関する、経時的な共振周波数2144及び超音波インピーダンス2150のグラフ表示である。各特長2147は、超音波ブレードを利用する、別個の組織食い込み、切断、又は他の組織処置を表す。
図55から、各切断の最初に、共振周波数が(例えば、クランプアームが組織に対して閉鎖する際に)急上昇することがわかる。例えば、クランプアームが組織に対して閉鎖する際、ブレードを、比較的冷たい組織と接触させることができる。このことが、ブレードを冷却して、図示のように、共振周波数の一時的な正の勾配を引き起こすことができる。超音波エネルギーがブレードに適用されると、そのブレードは加熱を開始して、各切断に関する共振周波数の、図示の減退を引き起こす。ここで、アルゴリズム2120と併せて
図55を参照すると、超音波インピーダンスは、各切断2147の最初に、高調波閾値インピーダンスを超過することにより、発生器に、その時点での基準周波数を捕捉させることができる。例えば、線2148は、超音波インピーダンスが閾値インピーダンスを超過して、基準周波数が取得された、例示的な時点を示す。
【0242】
特定の形態では、基準周波数カットオフ条件は、1つ以上の他の条件と共に、共通の条件セットで利用することができる。
図56は、他の条件と併せて基準周波数カットオフ条件を実施するように、発生器及び/又は器具の一形態で実施することが可能な、組織アルゴリズム2150の論理フローチャートである。2152で、発生器は、周波数Δを算出することができる。周波数Δは、例えば、アルゴリズム2120に関連して上述されたように、算出することができる。例えば、発生器は、超音波インピーダンスがインピーダンス閾値を超過すると、基準周波数を捕捉して、局所的共振周波数と基準周波数との差異として、周波数Δを見出す。2154で、発生器は、1つ以上の他の条件を適用することができる。そのような条件は、
図20〜22に関連して上述されたものと同様のものとすることができる。例えば、それらの他の条件としては、局所的周波数勾配が周波数勾配閾値パラメータ1404よりも小さいか否か、局所的共振周波数が周波数閾値パラメータよりも小さいか否か、などを挙げることができる。これらの他の条件は、任意の論理方式で適用することができる。例えば、これらの他の条件は、これらの他の条件のうちの1つが満たされる場合に、満たされると見なすことができ(例えば、論理OR)、これらの他の条件のうちの全てが満たされる場合にのみ、満たされると見なすことができる(例えば、論理AND)などである。
【0243】
他の条件が、2154で満たされる場合には、条件セットが満たされたと見なすことができ、発生器は、2158で、適切な応答セットをトリガすることができる。他の条件が、2154で満たされない場合には、発生器は、周波数Δが基準偏差閾値パラメータを超えているか否かを、2156で判定することができる。超えていない場合には、再度2154で、他の条件を適用することができる。超えている場合には、他の条件が満たされない場合であっても、条件セットが満たされていると見なすことができる。応答セットが2128でトリガされると、その応答セットは、応答セットを終了させるためのパラメータが満たされると2160で判定されるまで、継続して実行することができ、トリガされた条件は、2162で終了する。そのようなパラメータとしては、例えば、条件セット最小ラッチ時間パラメータの満了、クロスバック周波数勾配閾値を超過する周波数勾配などを挙げることができる。
【0244】
様々な例示的形態では、基準周波数カットオフ条件は、上述の
図20〜22の論理フローチャート1200、1300、1400の文脈で利用することができる。例えば、
図57は、基準周波数カットオフ条件を考慮する、
図20に示す組織アルゴリズム1200の信号評価組織アルゴリズム部分1300’の一形態の、論理フローチャートである。アルゴリズム1300’は、本明細書で上述されたアルゴリズム1300と同様の方式で実行することができる。しかしながら、2164で、発生器は、所与の条件セットXに関して負荷監視フラグが設定されているか否かを判定することができる。一部の例示的形態では、負荷監視フラグ2167は、周波数カットオフ条件が考慮されるか否かを示すことができる。
【0245】
負荷監視フラグ2167が設定されていない場合には、周波数Δをゼロに設定することができる(例えば、ゼロの周波数Δは、基準導出閾値を決して超過し得ないことにより、アルゴリズム1300’は、アルゴリズム1300と同様の方式で動作することが可能となる)。負荷監視フラグ2167が設定されている場合には、発生器は、負荷監視アルゴリズム2166を実行することができ、維持状態フラグ2168を入力として受け取ることができる。この維持状態フラグは、
図54A、54Bに関連して示されたような一過性の特徴部又はブリップを回避するため、超音波インピーダンスを考慮する前に閾値期間を待機するか否かを、発生器に指示することができる。
【0246】
負荷監視アルゴリズム2166は、周波数Δを返すことができる。負荷監視アルゴリズムが、どのようにして周波数Δを返すかについての更なる詳細は、
図58に関連して本明細書に以下で提供される。
図57を再び参照すると、2172で、発生器は、2つ以上の共振周波数データ点の間の勾配を算出することができ、本明細書で上述されたように、適切な平均化及び/又は平滑化を利用することができる。2172での入力としては、入来共振周波数データ点2174(Ft)及び入来超音波インピーダンスデータ点2176(|Z|
mot)を挙げることができ、これらは、瞬間的なものとすることができ、かつ/又は幾つかのデータ点にわたって平均化することもできる。待機時間タイマを、上述のように1306で適用することができる。待機時間が経過している場合には、発生器は、本明細書で説明されるように、1つ以上の条件セットアルゴリズム1400/1400’を実行することができる。各条件セットアルゴリズム1400/1400’は、超音波インピーダンス、周波数勾配、共振周波数、及び周波数デルタを、引数として受け取ることができる。
【0247】
図58は、発生器の一形態で実施することが可能な、負荷監視アルゴリズム2166の一形態の論理フローチャートである。負荷監視アルゴリズム2166は、局所的超音波インピーダンス(|Z|
mot)、局所的共振周波数(F
t)、及び維持状態フラグ(F
維持状態)の状態を、入力として取得することができる。2178で、発生器は、維持状態フラグが設定されているか否かを判定することができる。設定されていない場合には、2210で、周波数Δ(F
Δ)をゼロに設定することができる。特定の形態では、周波数Δをゼロに設定することにより、負荷監視を事実上無効化することができる。維持状態フラグが設定されている場合には、2180で、維持タイマ2180をインクリメントすることができる。2182で、発生器は、ブリップの消散が満たされるための閾値期間に、維持タイマが到達しているか否かを、判定することができる。到達していない場合には、2210で、周波数Δをゼロに設定することができる。到達している場合には、発生器は、2184で、受信された局所的超音波インピーダンスが、閾値インピーダンスを超えているか否かを判定することができる。超えている場合には、上述の閾値インピーダンス上回り時間を実施するための負荷タイマを、2192でインクリメントすることができる。
【0248】
2190で、発生器は、負荷タイマが、閾値インピーダンス上回り時間2188を超えているか否かを判定することができる。超えている場合には、発生器は、2194で、基準周波数ラッチが設定されているか否かを判定することができる。基準周波数ラッチは、基準周波数が、超音波インピーダンスによって指示される、つかみ具閉鎖イベントの間に跳ね上がることを防ぐことができる。例えば、基準周波数ラッチが設定されている場合には、所与の負荷イベントに関して、基準周波数が既に取得されていることを示すことができる。基準周波数ラッチが設定されていない場合には、発生器は、2196で、ラッチを設定して、システムの現在の共振周波数として、その基準周波数を設定することができる2206で、発生器は、基準周波数ラッチが設定されているか否かを再び判定することができる。設定されている場合には、2208で、周波数Δを、基準周波数から局所的共振周波数を差し引いたものに設定することができる。基準ラッチが設定されていない場合には、2210で、周波数Δをゼロに設定することができる。
【0249】
2184を再び参照すると、超音波インピーダンスが閾値インピーダンスを超えない場合には、発生器は、2198で、負荷タイマをリセットすることができる。2202で、発生器は、超音波インピーダンスが、リセット閾値インピーダンス(|Z|
motリセット閾値)未満であるか否かを判定することができる。超音波インピーダンスが、リセット閾値インピーダンス未満である場合には、発生器は、上述のように、2204で基準周波数ラッチをリセットして、2206に進むことができる。超音波インピーダンスが、リセット閾値インピーダンス以上である場合には、発生器は、基準周波数ラッチをリセットすることなく、上述のように、2206に進むことができる。
【0250】
図59は、発生器の一形態で実施することが可能な、
図57に示す信号評価組織アルゴリズム1300’に関する条件セットを評価するための、論理フローチャート1400’である。2212で、発生器は、フィルタ未処理条件セットが、評価された条件セットに関して満たされているか否かを判定するための、論理を実施することができる。論理2212は、
図60に関連して以下でより詳細に説明され、「真」又は「偽」の応答を返すことができる。2214で、発生器は、フィルタ処理条件セットラッチが設定されているか否かを判定することができる。フィルタ処理条件セットラッチは、以下で説明されるように、例えば、フィルタ処理条件セットが閾値期間にわたって設定されるように指示されることを保証するために、フィルタ処理条件セットが満たされている場合に設定することができる。フィルタ処理条件セットラッチが設定されている場合には、発生器は、2218でラッチタイマをインクリメントして、2220で、フィルタ未処理条件セットが満たされているか否かを判定することができる。フィルタ未処理条件セットが満たされている場合には、論理フロー1400’は、フィルタ処理条件セットが満たされているという指示を返すことができる。
【0251】
2220でフィルタ未処理条件セットが満たされていない場合には、発生器は、2222で、条件セットが依然として満たされているか否かを判定することができる。例えば、発生器は、(i)フィルタ処理条件セットラッチタイマが最小ラッチ時間1422を超過しているか否か、及び(ii)周波数勾配がクロスバック周波数勾配閾値1424を超えているか否か、及び(iii)[負荷監視2167が無効化されているか否か、又は負荷イベントが完了しているか否か](例えば、超音波インピーダンスが、インピーダンスリセット閾値2228未満であるか否か)を判定することができる。これらの条件が満たされる場合には、発生器は、2224で、フィルタ処理条件セットラッチを解除し、デバウンスタイマ(例えば、
図22のタイマX)をリセットし、ラッチタイマをリセットし、負荷タイマ(例えば、インピーダンス上回り時間の期間)をリセットし、基準周波数ラッチをリセットし、周波数Δをゼロに等しく設定することができる。論理フロー1400’は、フィルタ処理条件セットが満たされていないという指示を返すことができる。
【0252】
ここで2214を再び参照すると、フィルタ処理条件セットラッチが設定されていない場合には、発生器は、2216で(例えば、2212の返答に基づいて)、フィルタ未処理条件セットが満たされているか否かを判定することができる。満たされていない場合には、1410でデバウンスタイマをリセットすることができ、論理フロー1400’は、フィルタ処理条件セットが満たされていないという指示を返すことができる。満たされている場合には、発生器は、1408で、デバウンスタイマをインクリメントすることができる。1414で、発生器は、デバウンスタイマが、上述のような、トリガ前の必要時間パラメータ1412を超えているか否かを、判定することができる。超えている場合には、アルゴリズム1400’は、「はい」の経路に沿って進み、1416でフィルタ処理条件セットラッチをラッチして、フィルタ処理条件セットが満たされているという指示を返すことができる。
【0253】
図60は、発生器の一形態で実施することが可能な、
図59に示すフィルタ未処理条件セットの論理2212の一形態を実施するための、論理フローチャートである。2232で、発生器は、局所的周波数勾配が、周波数勾配閾値パラメータ1404を下回るか否かを判定することができる。一部の形態では、周波数勾配閾値パラメータは、上述のように、発生器によって送達される電力レベルに応じて決定することができる。局所的周波数勾配が、周波数勾配閾値パラメータ1404を下回る場合には、発生器は、2236で、局所的共振周波数が、周波数閾値パラメータ1406を下回るか否かを判定することができる。下回る場合には、アルゴリズム2212は、フィルタ未処理条件セットが満たされているという指示を返すことができる。一部の形態では、条件2232、2236は、図示の論理「AND」方式の代わりに、論理「OR」方式で実施することができる。例えば、局所的周波数勾配が周波数勾配閾値パラメータ1404を下回るという判定の後に、このアルゴリズムは、フィルタ未処理条件セットが満たされているという指示を返すことができる。同様に、局所的周波数勾配が周波数勾配閾値パラメータ1404以上であるという判定の後に、このアルゴリズムは、2236で、共振周波数及び周波数閾値パラメータ1406を評価することができる。
【0254】
2232及び2236で評価される条件が(いずれの論理構成が使用されても)満たされない場合には、発生器は、2240で、基準周波数(例えば、2196で設定されるような)と局所的共振周波数(例えば、周波数Δ)との差異が、基準偏差閾値パラメータ2242を超過するか否かを判定することができる。超過する場合には、アルゴリズム2212は、フィルタ未処理条件セットが満たされているという指示を返すことができる。超過しない場合には、アルゴリズム2212は、フィルタ未処理条件セットが満たされていないという指示を返すことができる。
【0255】
特定の形態では、30、500、1002などの発生器、及び/又は100、120、1004などの超音波外科用器具は、応答セットトリガを作動可能にするために負荷イベントを利用する、1つ以上の条件セットで実施することができる。例えば、発生器は、本明細書で説明されるように、負荷イベントを検出することができる。負荷イベントは、例えば、超音波ブレードに対する負荷が、変化(例えば、突然又は急激な変化)を経験する場合に生じ得る。負荷の変化を引き起こし得る物理的条件としては、例えば、クランプアームの開放及び/又は閉鎖、組織を通過する超音波ブレードの突然の下降などが挙げられる。様々な形態では、負荷イベントの検出時に、応答セットトリガをサ動可能状態にするか、又は、対応する条件セット内の他の条件の発生時にトリガ可能とすることができる。負荷イベントが検出されない場合には、応答セットトリガを作動解除状態にするか、又は、対応する条件セット内の他の条件の発生時であってもトリガ不能とすることができる。負荷イベントの存在は、様々な条件セットによって検出される物理的条件のタイプ(例えば、組織の分離、乾燥などの、組織の状態の変化など)の、代替的指示としての役割を果たし得る。したがって、負荷イベントトリガを利用する条件セットは、誤検出を返す(例えば、条件セットが満たされているが、基礎となる物理的条件が存在しない状況)可能性がより少ない。結果として、負荷イベントを利用する条件セットはまた、周波数勾配閾値1404、周波数閾値1406などに関する、より感度が低いか又は高い閾値も利用することができる。
【0256】
様々な形態によれば、負荷イベントは、周波数勾配の変化を経時的に検査することによって、検出することができる。
図61は、1組の負荷イベントを説明する、超音波ブレードに関する周波数勾配2302及び周波数の2次時間導関数2304のグラフ表示である。負荷イベントは、周波数勾配プロット2302内では、特徴部2305及び特徴部2306で明らかであり、2次時間導関数プロット2304内では、特徴部2307及び特徴部2308で明らかである。
図61に示される特性を生成したブレードは、横軸上で指示されるように、約1/2秒で非負荷で作動され、約11/2秒でクランプされ、約31/2秒でクランプ解除された。クランプ及びクランプ解除は、2305、2307、及び2306、2308によって指示される負荷イベントに対応し得る。周波数勾配自体が、熱イベント(例えば、ブレードの温度の変化)及び負荷イベントの双方によって影響され得ることが理解されるであろう。このことは、周波数勾配プロット2302が、特徴部2305、2306に加えて様々な変化を含むように、
図61によって示される。対照的に、2次時間導関数プロット2304は、特徴部2307、2308での劇的な変化を除いて、ほぼ一定である。
【0257】
この観点から、特定の形態は、ローリングウィンドウを介して周波数勾配の変化を検査することによって、負荷イベントの存在を検出する。例えば、現在の周波数勾配又は局所的周波数勾配が、その局所的周波数勾配からウィンドウオフセット時間でオフセットされた過去の周波数勾配と比較される。この比較の継続的な結果は、ローリングΔと称することができる。ウィンドウオフセット時間は、任意の好適な時間とすることができ、特定の形態では、約100ミリ秒とすることができる。ローリングΔが周波数勾配閾値パラメータを超過する場合、負荷イベントを検出することができる。特定の形態では、ブレードが非負荷であるときに開始する負荷イベントは、考慮されない場合がある(例えば、応答セットトリガが作動可能状態にされない場合がある)。例えば、ローリングウィンドウを介して周波数勾配を検査する前に、発生器は、インピーダンス閾値を上回る超音波インピーダンスの増大を、最初に検出することができる。(一部の形態では、インピーダンス閾値は、発生器が負荷イベントを検出する前に、インピーダンス閾値上回り時間パラメータにわたって保持されなければならない。)インピーダンス閾値は、任意の好適な値にすることができ、特定の形態では、約5オームの分解能で、約5オーム〜約260オームである。例示的一形態では、インピーダンス閾値は、約100オームである。この閾値を上回る超音波インピーダンスの増大は、例えば、クランプアームが閉鎖されていることを示すことにより、負荷イベントの可能性を高めることができる。
【0258】
図62は、負荷イベントを実証する、周波数勾配2310、周波数の2次時間導関数2312、及びローリングΔ 2314のグラフ表示である。ローリングΔプロット2314の特徴部2316は、ローリングΔが周波数勾配閾値パラメータを超過したことを指示しており、それゆえ負荷イベントを指示している。
図63は、別の負荷イベントを実証する、周波数勾配2318、周波数の2次時間導関数2320、及びローリングΔ 2322の別の形態のグラフ表示である。ローリングΔプロット2322内の特徴部2324、2次時間導関数プロット2320内の特徴部2326、及び周波数勾配プロット2328内の特徴部2328は、負荷イベントを示す。
【0259】
図64は、発生器の一形態で実施することが可能な、負荷イベントトリガを含む条件セットを適用するアルゴリズム2330の一形態を実施するための、論理フローチャートである。2332で、発生器は、負荷イベントが発生しているか否かを判定することができる。負荷イベントが発生しているか否かを発生器がどのように判定するかの更なる例は、
図65に関連して本明細書で提供される。負荷イベントが発生していない場合には、発生器は、2332で、負荷イベントに関する試験を継続することができる。負荷イベントが発生している場合には、発生器は、2334で、関連する応答セットを「作動可能にする」ことができる。応答セットを作動可能状態にすることは、その対応する条件セットが満たされる場合に、応答セットがトリガされることを可能にすることを含み得る。2336で、発生器は、局所的超音波インピーダンスが、インピーダンスリセット閾値パラメータを下回るか否かを判定することができる。インピーダンスリセット閾値パラメータは、負荷イベントが完結していると発生器が結論付ける、インピーダンスのレベルとすることができる。局所的超音波インピーダンスが、インピーダンスリセット閾値パラメータを下回る場合には、発生器は、2342で、応答セットを作動解除することができる。局所的超音波インピーダンスが、インピーダンスリセット閾値パラメータを下回らない場合には、発生器(例えば、30、500、1002)は、2338で、条件セットパラメータが満たされているか否かを判定することができる。条件セットが満たされている場合には、発生器は、2340で、適切な応答セットをトリガすることができる。
【0260】
図65は、負荷条件が外科用器具内に存在するか否かを判定するためのアルゴリズム2332の一形態を実施するための、論理フローチャートである。2342で、発生器は、超音波ブレード/トランスデューサシステムの局所的超音波インピーダンスが、インピーダンス閾値を超過するか否かを判定することができる。例えば、超音波インピーダンスが閾値を超過すると、そのことは、クランプアームの閉鎖を指示し得る。超過しない場合には、アルゴリズム2332は、2334で、負荷イベントが存在しないという指示を返すことができる。局所的超音波インピーダンスが、インピーダンス閾値を超過する場合には、発生器は、2346で、周波数ローリングΔが周波数勾配閾値パラメータを超えているか否かを判定することができる。超えている場合には、アルゴリズム2332は、2348で負荷イベントありを返すことができる。超えていない場合には、アルゴリズム2344は、負荷イベントなしを返すことができる。
【0261】
様々な例示的形態では、応答セットトリガを作動可能にするために負荷イベントを利用する条件セットは、上述の
図20〜22の論理フローチャートの文脈で利用することができる。例えば、
図66は、応答セットトリガを作動可能にするために負荷イベントを利用する条件セットを考慮する、
図20に示す組織アルゴリズム1200の信号評価組織アルゴリズム部分1300’’の一形態の、論理フローチャートである。様々な形態では、信号評価組織アルゴリズム1300’’は、上述のアルゴリズム1300と同様の方式で動作することができるが、幾つかの相違を有する。例えば、アルゴリズム1300’’では、信号評価/監視関数1308を、1306での待機時間の比較に先行して実行することができるが、これらの行為は、本明細書で説明されるアルゴリズム1300、1300’、1300’’のいずれに関しても、任意の好適な順序で順序付けることができる点が、理解されるであろう。更には、信号評価/監視関数1308はまた、局所的超音波インピーダンス(|Z|
Mot)及びローリングΔ(F
勾配_Δ)も捕捉することができ、それらは、本明細書で説明されるような、様々な条件セット評価アルゴリズム1400に渡すことができる。例えば、アルゴリズム1300は、局所的超音波インピーダンス、ローリングΔ、局所的周波数勾配(F
勾配)、及び局所的共振周波数(F
t)を、引数として渡すことができる。
【0262】
図67は、発生器の一形態で実施することが可能な、
図66に示す信号評価組織アルゴリズム1300’’に関する条件セットを評価するための、アルゴリズム1400’’の論理フローチャートである。2352で、発生器は、維持状態フラグ2354が設定されているか否かを判定することができる。設定されていない場合には、2358で、アルゴリズム1400’’の条件セットに対応する応答セットを、作動可能状態にすることができる。特定の形態では、2358で応答セットを作動可能状態にすることにより、負荷監視を事実上無効化することができる。維持状態フラグ2354が設定されている場合には、負荷監視アルゴリズム2356を実行することができる。負荷監視アルゴリズム2356は、負荷イベントが検出されるか否かに応じて、応答セットトリガを作動可能にすることも、又は作動可能にしないこともできる。負荷監視アルゴリズム2356の更なる詳細は、
図68に関連して、以下で提供される。2360で、発生器は、フィルタ未処理条件セットが、評価された条件セットに関して満たされているか否かを判定するための、論理を実施することができる。論理2360は、
図69に関連して以下でより詳細に説明され、「真」又は「偽」の応答を返すことができる。
【0263】
2368で、発生器は、フィルタ処理条件セットラッチが設定されているか否かを判定することができる。フィルタ処理条件セットラッチは、以下で説明されるように、例えば、フィルタ処理条件セットが閾値期間にわたって設定されるように指示されることを保証するために、フィルタ処理条件セットが満たされている場合に設定することができる。フィルタ処理条件セットラッチが設定されている場合には、発生器は、2365でラッチタイマをインクリメントして、2366で、フィルタ未処理条件セットが満たされているか否かを判定することができる。フィルタ未処理条件セットが満たされている場合には、論理フロー1400’’は、フィルタ処理条件セットが満たされているという指示を返すことができる。
【0264】
2366でフィルタ未処理条件セットが満たされていない場合には、発生器は、2368で、条件セットが依然として満たされているか否かを判定することができる。例えば、発生器は、(i)フィルタ処理条件セットラッチタイマが最小ラッチ時間1422を超過しているか否か、及び(ii)周波数勾配がクロスバック周波数勾配閾値1424を超えているか否かを判定することができる。これらの条件が満たされる場合には、発生器は、2378で、フィルタ処理条件セットラッチを解除し、デバウンスタイマ(例えば、
図22のタイマX)をリセットし、ラッチタイマをリセットし、負荷タイマ(例えば、インピーダンス上回り時間の期間)をリセットし、応答セットトリガを作動解除することができる。論理フロー1400’’は、フィルタ処理条件セットが満たされていないという指示を返すことができる。
【0265】
ここで2362を再び参照すると、フィルタ処理条件セットラッチが設定されていない場合には、発生器は、2364で(例えば、2360の返答に基づいて)、フィルタ未処理条件セットが満たされているか否かを判定することができる。満たされていない場合には、1410でデバウンスタイマをリセットすることができ、論理フロー1400’’は、フィルタ処理条件セットが満たされていないという指示を返すことができる。満たされている場合には、発生器は、1408で、デバウンスタイマをインクリメントすることができる。1414で、発生器は、デバウンスタイマが、上述のような、トリガ前の必要時間パラメータ1412を超えているか否かを、判定することができる。超えている場合には、アルゴリズム1400’’は、「はい」の経路に沿って進み、1416でフィルタ処理条件セットラッチをラッチして、フィルタ処理条件セットが満たされているという指示を返すことができる。
【0266】
図68は、
図67に示すような、発生器の一形態で実施することが可能な、負荷監視アルゴリズム2356の一形態の論理フローチャートである。負荷監視アルゴリズム2356は、局所的超音波インピーダンス(|Z|
Mot)及びローリングΔ(F
勾配_Δ)を入力として受け取ることができる。出力として、アルゴリズム2356は、関連する応答セットを作動可能にすることも、又は作動可能にしないこともできる。2380で、発生器は、超音波インピーダンスが、インピーダンス閾値2381を超過するか否かを判定することができる。超過する場合には、発生器は、2382で負荷タイマをインクリメントすることができる。この負荷タイマは、局所的超音波インピーダンスをデバウンスさせるように作用することができる。例えば、発生器は、既定数のタイマの刻みにわたって閾値よりも高くない限り、超音波インピーダンスが閾値2381よりも高いと見なさない場合がある。
【0267】
2384で、発生器は、負荷タイマが、閾値上回り必要時間パラメータ2386を超えているか否かを判定することができる。超えている場合には、発生器は、2396で負荷トリガを作動可能状態にして、2398に進む。例えば、負荷トリガは、超音波インピーダンスによって負荷が指示される場合に、作動可能状態にすることができる。2384で、超えていない場合には、発生器は、負荷トリガを作動可能状態にすることなく、直接2398に進むことができる。2398で、発生器は、負荷トリガが作動可能状態であるか否かを判定することができる。作動可能状態ではない場合には、負荷セット監視アルゴリズム2356は、負荷トリガ及び応答セットトリガの双方が作動不可状態で、戻ることができる。作動可能状態である場合には、発生器は、2400で、ローリングΔが、周波数勾配閾値パラメータ2402を超過するか否かを判定することができる。超過しない場合には、アルゴリズム2356は、負荷トリガセット及び応答セットトリガが作動不可状態で、戻ることができる。超過する場合には、2404で応答セットトリガを作動可能状態にすることができ、アルゴリズム2356は戻ることができる。2380を再び参照すると、超音波インピーダンスが、インピーダンス閾値2381を上回らない場合には、発生器は、2388で負荷タイマをリセットすることができる。2390で、発生器は、超音波インピーダンスが、インピーダンスリセット閾値パラメータ2392を下回るか否かを判定することができる。下回る場合には、発生器は、2394で、応答セットトリガ及び負荷トリガを作動解除することができる。下回らない場合には、発生器は、上述のような2398に進むことができる。
【0268】
図69は、発生器の一形態によって実施することが可能な、
図67に示すフィルタ未処理条件セットの論理2360の一形態の、論理フローチャートである。2406で、発生器は、局所的周波数勾配が、周波数勾配閾値パラメータ1404を下回るか否かを判定することができる。一部の形態では、周波数勾配閾値パラメータは、上述のように、発生器によって送達される電力レベルに応じて決定することができる。局所的周波数勾配が、周波数勾配閾値パラメータ1404を下回る場合には、発生器は、2408で、局所的共振周波数が、周波数閾値パラメータ1406を下回るか否かを判定することができる。下回る場合には、発生器は、負荷トリガ及び応答セットトリガが、2410において、作動可能状態であるか否かを判定することができる。作動可能状態である場合には、アルゴリズム2360は、フィルタ未処理条件セットが満たされているという指示を返すことができる。作動可能状態ではない場合には、発生器は、2412で、フィルタ処理条件セットラッチが設定されているか否かを判定することができる。設定されている場合には、アルゴリズム2360は、フィルタ未処理条件セットが満たされているという指示を返すことができる。2406、2406、又は2412のいずれかで否である場合には、アルゴリズム2360は、フィルタ未処理条件セットが満たされていないという指示を返すことができる。
【0269】
一部の形態では、条件2406及び条件2408は、図示の論理「AND」方式の代わりに、論理「OR」方式で実施することができる。例えば、例えば、局所的周波数勾配が周波数勾配閾値パラメータ1404を下回るという判定の後に、アルゴリズム2360は、直接2410に移ることができる。同様に、局所的周波数勾配が周波数勾配閾値パラメータ1404以上であるという判定の後に、このアルゴリズムは、2408で、共振周波数及び周波数閾値パラメータ1406を評価することができる。
【0270】
信号評価組織アルゴリズム1300、1300’、1300’’に関する条件セットを評価するための、アルゴリズム1400、1400’、及び1400’’の様々な形態が説明されている。任意数の条件セット評価アルゴリズムを、本明細書で説明される信号評価組織アルゴリズム1300、1300’、1300’’のうちのいずれかと共に実施することができる点が、理解されるであろう。例えば、特定の形態では、発生器は、負荷イベントトリガを利用する条件セット評価アルゴリズム1400’’と併せて、本明細書で上述されたような条件セット評価アルゴリズム1400を実施することができる。アルゴリズム1300、1300’、1300’’、1400、1400’、1400’’の任意の好適な組み合わせを使用することができる。
【0271】
超音波外科用器具の一部の例示的形態では、電流は、比較的一定となるように維持される。このことにより、超音波ブレードに関する実質的に一定の変位を確立することができ、またそのことにより、実質的に一定の速度の、組織に作用する活動を確立することができる。一部の形態では、電流は、機械的負荷の変化を経ても維持され、この機械的負荷は、超音波インピーダンスによって反映される。このことを達成するために、印加電圧を変調することによって、機械的負荷の差異を実質的に補償することができる。
【0272】
本明細書で説明されるように、効率的に動作する(例えば、トランスデューサでの廃熱を最小限に抑える)ために、外科用器具(例えば、ブレードとトランスデューサとの組み合わせ)は、システムの共振周波数で、又は共振周波数の近くで、駆動させることができる。システムの周波数は、電流信号及び電圧信号間の位相差を介して判定することができる。本明細書で説明されるように、システムの共振周波数は、熱変化と共に変化する。例えば、熱エネルギー(例えば、熱)の追加は、ブレード及び/又は他のシステム構成要素の軟化をもたらすことにより、そのシステムの共振周波数を変化させる。したがって、発生器は、一部の例示的形態では、2つの制御ループを実施する。第1のループは、様々な負荷にわたって、実質的に一定の電流を維持し、その一方で、第2の制御ループは、システムの共振周波数を追跡して、駆動電気信号を適宜に修正する。
【0273】
本明細書で説明されるように、超音波外科用器具で使用するための様々なアルゴリズムは、器具に提供される電気信号に基づいて、器具(例えば、その器具の超音波ブレード)の物理的条件を見積もる。例えば、
図58及び
図65に関連して、クランプアームの閉鎖は、超音波インピーダンスを監視することによって判定される。しかしながら、本明細書で説明されるいずれの形態でも、クランプアームの閉鎖は、任意の好適な方式で、例えば、その器具に提供される任意の好適な電気信号及び/又はその導出から、代替的に判定することができる点が、理解されるであろう。電流が実質的に一定に保たれる、一部の例示的形態では、電圧信号の値は、超音波インピーダンスに比例する。それゆえ、本明細書で説明される様々な超音波インピーダンス閾値を、電圧閾値として代替的に実装することができる。同様に、電流が実質的に一定である場合、ブレードに送達される電力又はエネルギーもまた、超音波インピーダンスに比例することになり、対応する電力、エネルギーの変化、時間に対する電圧、電力、又はエネルギーの変化などもまた、クランプアームの閉鎖を指示し得る。また、本明細書で示されるように、クランプアームが最初に閉鎖するとき、超音波ブレードの温度は、超音波ブレードが冷たい組織と接触するため、降下し得る。したがって、ブレードの閉鎖は、ブレードの共振周波数の上昇、及び/又は本明細書で説明される他の方法のうちの1つのいずれかによって指示される、ブレード温度の降下に関して監視することによって、代替的に検出することができる。また、一部の形態では、クランプアームの閉鎖は、閉鎖トリガ及び/又は閉鎖制御装置の作動の検出に基づいて、判定することもできる。様々な形態は、説明される電気信号特性のうちの一部又は全ての組み合わせを利用して、クランプアームの閉鎖を検出することができる。
【0274】
また、例えば、負荷イベントが、例えば
図65に関連して、本明細書で説明される。
図65及び関連する説明では、負荷イベントは、周波数ローリングΔに基づいて検出される。器具に提供される電気信号の様々な他の品質もまた、負荷イベントを示すために使用することができる。例えば、周波数ローリングΔによって指示される物理的変化はまた、電圧信号、時間に対する電圧信号の変化、超音波インピーダンスの勾配を含めた超音波インピーダンス、周波数の2次導関数、電流、時間に対する電流の変化などによって示すこともできる。更には、本明細書で説明されるようなブレードの温度変化は、周波数勾配の変化の検出に基づいて判定される。ブレードの温度に基づいて変動し得る、更なる電気信号特性としては、例えば、ブレードに提供される電力及び/又はエネルギーの勾配を挙げることができる。
【0275】
様々な形態によれば、器具100、120、1004などの超音波器具は、異なる電力レベルで連続的に器具を駆動することを伴う制御アルゴリズムに従って、駆動することができる。例えば、超音波外科用器具が起動されるとき、第1の電力レベルで、その超音波外科用器具を駆動することができる。例えば、発生器(例えば、発生器30、500、1002、及び/又は内部発生器)は、第1の電力レベルで駆動信号を提供することができる。第1の期間の満了後、発生器は、第1の電力レベルよりも小さい第2の電力レベルで、第2の駆動信号を提供することができる。一部の適用では、第1の、より高い電力レベルは、本明細書で説明されるように、血管の内側筋肉層を外膜層から分離するために役立ち得る。
【0276】
図71は、2つの電力レベルで連続的に超音波器具を駆動するためのアルゴリズム3021の一形態の、論理フローチャートである。
図70は、
図71のアルゴリズムの例示的一実施に関する、電力又は変位プロットを示す線図である。アルゴリズム3021は、100、120、1004などの超音波器具を駆動するために、30、500、1002などの発生器及び/又は内部発生器によって実施することができる。
図70では、縦軸3002は、エンドエフェクタのブレードの変位に対応する。横軸3004は、秒単位の時間に対応する。アルゴリズム3021は、本明細書での発生器30、500、1002のうちの1つなどの、発生器によって実施されるとして本明細書で説明されるが、アルゴリズム3021は、100、120、1004などの器具によって(例えば、それらの器具の制御回路2009によって)代替的に実施することができる点が、理解されるであろう。
【0277】
3020で、発生器は、臨床医によって提供されるトリガ信号を受信することができる。このトリガ信号は、任意の好適な方式で提供することができる。例えば、一部の形態では、臨床医は、器具自体の上のボタン又は他の入力装置(例えば、ボタン312a、1036a、1036b、1036c、フットスイッチ434、1020など)を利用して、トリガ信号を提供する。3022で、発生器は、第1の駆動信号を提供することによって、器具を起動することができる。
図70を参照すると、器具の起動は、3006で指示される。この第1の駆動信号は、器具のエンドエフェクタに提供される、第1のレベルの電力に対応する。3024で、発生器は、第1の期間にわたって第1の駆動信号を維持する。この第1の駆動信号に対応するエンドエフェクタの変位は、
図70では3009で指示される。
図70の実施例で示されるように、第1の電力レベルは、約75マイクロメートルなどの、60〜120マイクロメートルのエンドエフェクタの変位に対応する。第1の電力レベルは、血管の内側筋肉層を外膜層から分離するように、かつ/あるいは、解離及び/又は封着プロセスを改善する傾向がある、他の組織作用を提供するように、選択することができる。一部の形態では、第1の駆動信号はまた、本明細書で説明されるように、非共振も提供することにより、血管の内側筋肉層の、外膜層からの分離を、更に支援することができる。
【0278】
発生器は、3026で、第1の期間が満了しているか否かを判定する。第1の期間は、任意の好適な方式で測定することができる。例えば、一部の形態では、第1の期間は、器具の起動から既定の時間量が経過した後に満了する、設定された期間である。このことは、
図70に示す実施例に当てはまり、第1の期間は1秒である。また、一部の形態では、第1の期間は、特定の組織の状態の変化が生じる場合に満了する。本明細書で説明される組織状態の変化のうちのいずれもが、第1の期間の終了を示すことができ、例えば、組織条件の変化を検出するための、本明細書で説明されるアルゴリズムのうちのいずれも、利用することができる。例えば、一部の形態では、第1の期間の終了は、トランスデューサのインピーダンスの変化によって示すことができる。
【0279】
第1の期間が満了すると、発生器は、3028で、第2の電力レベルで第2の駆動信号を提供する。
図70に実施例では、第1の駆動信号から第2の駆動信号への遷移は、3007で指示される。第2の駆動信号でのエンドエフェクタの変位は、
図70では、約37.5マイクロメートルなどの、約20〜60マイクロメートルであるように指示される。第2の駆動信号は、
図70では、連続信号であるように指示されるが、一部の形態では、第2の駆動信号は、例えば本明細書で説明されるような、パルス状駆動信号であることが理解されるであろう。第2の駆動信号は、任意の好適な終了点まで、器具に提供することができる。例えば、
図70を参照すると、組織の解離の完了が、3008で指示される。器具の停止は、3010で指示される。一部の形態では、組織の解離は、本明細書で説明される組織の状態の変化を検出するためのアルゴリズムのうちのいずれかを使用して、検出することができる。一部の形態では、発生器は、解離点3008で、及び/又はそれ以降(例えば、その後の既定の期間)に、器具を自動的に停止させることができる。
【0280】
アルゴリズム3021は、単一の電力レベルで単純に器具を作動させることと比較して、器具の性能を改善することができる。
図72は、
図71のアルゴリズムに従って操作される、器具1004と同様の外科用器具を使用して得られる破裂圧力(3030)、及び単一の電力レベルで器具1004を作動させることによって得られる破裂圧力(3032)を示す線図である。
図72の実施例では、プロット3032は、アルゴリズム3021の第2の電力レベルに対応する単一の電力レベルで作動される、器具1004に対応する。アルゴリズム3021に関する試験及び単一の電力レベルでの試験の双方は、5〜7mmのブタの角質の動脈に対して遂行された。看取され得るように、アルゴリズム3021は、より高い破裂圧力を引き起こし、このことは、より高品質の封着及び離断に対応し得る。
図73は、
図72で指示される試験に関して得られる、離断時間を示す線図である。図示のように、アルゴリズム3021は、優れた離断時間を提供し得る。
【0281】
使用中、アルゴリズム3021は、臨床医による誤用の可能性を有する。例えば、
図74は、アルゴリズム3021の一形態による駆動信号パターンを示す線
図3040である。
図74では、縦軸3042は、提供される電力レベルに対応し、横軸3004は時間に対応する。第1の電力レベル及び第2の電力レベルは、それぞれ、軸3042上で「5」及び「1」として指示される。例えば、Ethicon Endo−Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)から入手可能なGEN 11発生器に対して実施される場合、「5」は、電力レベル「5」に対応することができ、「1」は、電力レベル「1」に対応することができる。図示のように、臨床医は、組織の離断を完了することなく、連続して数回、器具を作動(3006)及び停止(3010)させている。図示のように、臨床医は、器具を再び作動させて、第1の(より高電力の)駆動信号を再確立するために、第2の(より低電力の)駆動信号の開始近くで、器具を停止させている。このタイプの使用は、アルゴリズム3021が設計通りに動作することを妨げる恐れがある。一部の形態では、アルゴリズム3021は、停止3010とその後の起動3006との間に、静止時間を実施するように修正することができる。
【0282】
図75は、器具の停止とその後の起動との間に静止時間を実施する、アルゴリズム3021’の別の形態の論理フローチャートである。アルゴリズム3021’は、100、120、1004などの超音波器具を駆動するために、30、500、1002などの発生器及び/又は内部発生器によって実施することができる。3020でトリガ信号を受信した後、発生器は、3050で、直近の器具の作動から静止時間が経過しているか否かを判定することができる。様々な形態では、この静止時間は、超音波ブレード及び/又は組織が静止状態に戻ることを可能にする時間量に対応するように、選択される。例示的一形態では、静止時間は4秒である。静止時間が経過している場合には、アルゴリズム3021’は、本明細書で上述されたような行為3022、3024、3026、及び/又は3028に進むことができる。3050で静止時間が経過していない場合には、発生器は、3052で、第2の電力レベル(アルゴリズム3021’の電力レベルのうちの、より低いもの)での駆動信号を器具に提供することができる。この方式で、先行の停止から静止期間が経過していない場合には、アルゴリズム3021’は、停止して終了した時点で継続することができる。
【0283】
図76は、アルゴリズム3021’の一形態による駆動信号パターンを示す線図である。臨床医は、3056で器具を起動することができる。第2の駆動信号が提供されると、臨床医は、3058で器具を停止させる。例えば、停止3058は、組織の封着及び離断が完了する前に実施される場合がある。3660で、臨床医は、例えば、本明細書で上述されたようなトリガ信号を生成することによって、器具を再び作動させる。しかしながら、図示のように、3660で再び作動させる前に、静止時間は経過していない。したがって、発生器は、3660で、第2の電力レベルで駆動信号を提供する。しかしながら、3062での停止の後、3064で再び作動させる前には、静止時間が経過している。したがって、発生器は、第1の電力レベルで駆動信号を提供し、アルゴリズム3021’は、
図70に示すように進む。
【0284】
様々な形態では、アルゴリズム3021’は、静止時間の代わりに、代替的論理条件を利用して実施することができる。例えば、3050で静止時間が満了しているか否かを判定する代わりに、発生器は、代替的論理条件が満たされているか否かを判定することができる。この代替的論理条件は、例えば、器具及び/又は作用されている組織の状態のインジケータを含めた、任意の好適な条件とすることができる。一部の形態では、この論理条件は、エンドエフェクタの温度、又はそれに関連するものとすることができる。例えば、代替的論理条件は、駆動信号の周波数によって指示されるような、超音波駆動システム及びエンドエフェクタの共振周波数に基づき得る。周波数が閾値を上回る(エンドエフェクタ温度の温度が閾値を下回ることを指示している)場合には、アルゴリズム3021’は、説明されたような行為3022、3024、3026、3028に進むことができる。駆動周波数の周波数は、例えば、上記の
図21に関連して本明細書で上述されたものを含めた、任意の方法で測定することができる。別の実施例では、代替的論理条件は、超音波トランスデューサのインピーダンスに基づき得るものであり、これは、
図10〜13に関連して本明細書で上述されたように、エンドエフェクタの温度に関する別の代理としての役割を果たし得る。また、一部の形態では、エンドエフェクタの温度は、
図16Aのエンドエフェクタに配置された温度プローブ3070などの、エンドエフェクタの温度プローブによって測定することもできる。
【0285】
図77は、第3の駆動信号を実施するアルゴリズム3021’’の別の形態の論理フローチャートである。アルゴリズム3021’’は、100、120、1004などの超音波器具を駆動するために、30、500、1002などの発生器及び/又は内部発生器によって実施することができる。発生器は、
図71に関連して上述されたような行為3020、3022、3024、3026、3028を実行することができる。しかしながら、3028で第2の駆動信号を提供した後、発生器は、3072で第2の期間が満了するまで、3070で第2の駆動信号を維持することができる。第2の期間の満了時に、発生器は、3074で第3の駆動信号を提供することができる。この第3の駆動信号は、第2の電力よりも大きく、第1の電力よりも小さいものであり得る、第3の電力のものである。例えば、例示的一形態では、第2の電力レベルは、第1の電力レベルの45%である。第3の点のレベルは、例えば、第1の電力レベルの100%、75%などとすることができる。第1の期間及び第2の期間は、それぞれ、例えば1.5秒及び12秒とすることができる。アルゴリズム3021’’は、例えば、アルゴリズム3021’のように、静止期間と共に実施することができる点が、理解されるであろう。例えば、行為3070、3072、及び3074は、
図75に示されるような行為3028の後に実行することができる。
【0286】
様々な形態では、アルゴリズム3021’’は、
図71に示されるアルゴリズム3021と比較して、より高い破裂圧力、及び短縮された離断時間をもたらし得る。例えば、
図79は、アルゴリズム3021に従って操作される器具1004と同様の外科用器具を使用して得られる破裂圧力と、アルゴリズム3021’’に従って操作される外科用器具を使用して得られる破裂圧力との比較を示す線図である。図示のように、アルゴリズム3021’’に関する破裂圧力は、アルゴリズム3021の場合よりも高い。同様に、
図80は、
図79で指示される試験に関して得られる、離断時間を示す線図である。図示のように、アルゴリズム3021’’に関する離断時間は、アルゴリズム3021に関するものを下回る。また、アルゴリズム3021’’が、組織の状態の変化(例えば、条件セット)を検出する際にフィードバック(例えば応答セット)を提供するための別のアルゴリズムと併せて実施される、一部の形態では、第3の、より高い電力の駆動信号を提供することは、組織の状態の変化を検出するための、本明細書で説明されるアルゴリズムの有効性を、改善することができる。
【0287】
一部の形態では、アルゴリズム3021、3021’、3021’’は、本明細書で説明される様々な他のアルゴリズムと併せて実施することができる。例えば、アルゴリズム3021、3021’、3021’’のうちのいずれも、器具及び/又はその器具によって作用される組織の測定された特性に基づく、条件セット及び/又は応答セットと併せて実施することができる。例えば、アルゴリズム3021、3021’、3021’’は、
図15A〜15C、
図20〜22、
図57〜60などに関連して本明細書で上述されたアルゴリズムのうちの1つ共に実施することができる。条件セットが組織の状態を示す場合、対応する応答セットを、アルゴリズム3021、3021’、3021’’に加えて実行することができる。例えば、トリガされた条件セットが、フィードバックを要求する場合、アルゴリズム3021、3021’、3021’’を継続しつつ、そのフィードバックを提供することができる。また、例えば、トリガされた条件セットが、駆動信号に対する変更を要求する場合、発生器は、トリガされた応答セットに従って、アルゴリズム3021、3021’、3021’’から離れることができる。
【0288】
図81は、初期のクランプ期間を実施するアルゴリズム3100の一形態の論理フローチャートである。アルゴリズム3100は、100、120、1004などの超音波器具を駆動するために、30、500、1002などの発生器及び/又は内部発生器によって実施することができる。3102で、発生器は、起動要求3020に関連して本明細書で上述されたような、起動要求を受信することができる。3104で、発生器は、器具が起動されていることを指示する、フィードバックを提供することができる。このフィードバックは、本明細書で説明されるような、可聴、視覚的、及び/又は触覚的フィードバックとすることができる。しかしながら、フィードバックが提供されるとき、器具は未だ起動していない。この方式で、アルゴリズム3100は、器具を起動する前に、エンドエフェクタが組織を圧迫するための時間を提供することにより、離断及び封着の有効性を向上させることができる。3106で、エンドエフェクタは、第1の期間が満了しているか否かを判定することができる。この第1の期間は、例えば、数秒とすることができる。第1の期間が満了している場合、発生器は、器具を起動して、制御アルゴリズムの実行を開始することができる。この制御アルゴリズムは、例えば、アルゴリズム3021、3021’、3021’’のうちのいずれかを含めた、任意の好適なアルゴリズムとすることができる。例えば、
図71を参照すると、行為3104、3106は、トリガ信号3020を受信した後に実行することができる。行為3022は、3108に応答するように実行される。
【0289】
図82は、初期のクランプ期間を実施するアルゴリズム3120の別の形態の論理フローチャートである。アルゴリズム3021’’は、100、120、1004などの超音波器具を駆動するために、30、500、1002などの発生器及び/又は内部発生器によって実施することができる。例えば、アルゴリズム3120は、
図6〜8に関連して本明細書で上述された階段関数と併せて、初期のクランプ期間を実施することができる。
図82を再び参照すると、発生器は、
図81に関連して本明細書で説明されたような行為3102、3104、及び3106を実行することができる。3122で、発生器は、第1のレベルで第1の駆動信号3122を提供することができる。この第1のレベルは、特定の電流、電力、エンドエフェクタの変位などに対応し得る。3124で第2の期間が満了すると、発生器は、3126で、第2の駆動信号を提供する。この第2の駆動信号は、第1のレベルよりも高いレベルでの、電流、電力、及び/又はエンドエフェクタの変位に対応する。第2の駆動信号は、発生器が、3128で、例えば、閾値周波数勾配を下回る周波数勾配の低下などの、組織の状態の変化を検出するまで、維持することができる。そのようなイベントが発生すると、発生器は、3130で、第3の駆動信号を提供することができる。例えば、この第3の駆動信号は、例えば
図15A〜13C、
図20〜22、
図57〜60などに関連して上述されたものなどのアルゴリズムによって判定されるような、組織の状態の更なる変化(例えば、離断)まで、維持することができる。
【0290】
図83は、アルゴリズム3120による駆動信号パターンを示す線図である。縦軸3132は駆動信号電流に対応し、その一方で、横軸3134は時間に対応する。起動信号が、3092で受信される。第1の期間は、3096によって表される。第1の駆動信号を有する第2の期間は、3097で指示される。第2の駆動信号は、3135で周波数勾配閾値が満たされるまで3098で提供され、3135の時点で、第3の駆動信号が3099によって指示される。離断は3008で指示され、停止は3094で指示される。
【0291】
上述のように、3021、3021’、3021’’、3100、3120などを含めた、本明細書で説明されるアルゴリズムのうちのいずれも、条件セット及び応答セットを実施するためのアルゴリズムと併せて実施することができる。条件セットは、例えば、超音波器具及び/又はその超音波器具によって作用される組織の、特定の状態の有無に基づいて、真とすることができる。応答セットは、条件セットが真である際に、器具及び/又は発生器によって実施される行為を規定することができる。一部の形態では、1つ以上の多変数モデルを利用して、様々な条件セットを推定することができる。多変数モデルの例としては、例えば、ニューラルネットワークモデル、遺伝子アルゴリズムモデル、分類木アルゴリズムモデル、再帰的ベイジアンモデルなどを挙げることができる。
【0292】
多変数モデルの1つの好適なタイプは、ニューラルネットワークを含む。ニューラルネットワークは、入力変数の複雑なパターンを認識するために有効であり得、それらの入力変数を、組織の状態(例えば、離断が生じているか否か、封着が生じているか否かなど)に基づいて条件セットを検出するために適したものにすることができる。
図84は、例示的なニューラルネットワーク3150を示す図である。ニューラルネットワーク3150は、ニューロンと称される相互接続ノード3152、3154、3156のグループを含む。種々のニューロン間の接続は、データがどのようにネットワークを通じて渡されるかを示す。入力ニューロン3152には、入力データからの値(例えば、外科用器具の様々なパラメータ、駆動信号など)が割り当てられる。様々な形態では、それらの値は、0〜1の値に基準化される。次いで、入力ニューロン3152の値(例えば、入力変数)を利用して、様々な隠れニューロン3154の値を算出し、その値を使用して、1つ以上の出力ニューロン3156の値を見出す。出力ニューロン3156の値が、例えば、駆動信号に対するフィードバック及び/又は変更などの、応答セットをトリガすることができる(又はトリガしない)。実際には、入力ノード3153、隠れノード3154、及び出力ノード3156のそれぞれの数は、
図84に示すものとは、著しく異なる場合がある。様々な形態では、ニューラルネットワークは、データサイクルで動作される。各サイクルの間に、入力値が入力ニューロン3152に提供され、出力値が出力ノード3156で取得される。
【0293】
ニューラルネットワークは、
図84に示すように、完全に接続することができ、このことは、各入力ニューロン3152が、各隠れニューロン3154に接続されることを意味する。一部の形態は、完全には接続されないニューラルネットワークを利用することができる。例えば、全ての入力ノードが、各隠れニューロン3154には接続されない場合もある。隠れニューロン3154に関する値は、活性化関数に従って決定することができる。様々な形態では、活性化関数の出力は、0〜1の範囲である。例えば、この出力関数は、0〜1の出力を生成するように選択することができ、一部の形態では、出力関数の結果を基準化することができる。一部の形態では、連続かつ微分可能な関数を選択することが有利である。このことは、ニューラルネットワークの訓練を促進することができる。例えば、勾配法を利用するバックプロパゲーション訓練は、出力関数の偏導関数を計算することが必要な場合があり、このことは、その最適化関数が連続かつ微分可能である場合、単純化することができる。活性化関数として利用することができる、そのような関数の一例は、以下の等式(8)によって指示されるような、シグモイド関数である。
【数1】
【0294】
等式(8)中、ξは、入力ニューロンの値に対応し、ωは、各入力に与えられる重みに対応し、θは、定数に対応する。ニューラルネットワークが完全に接続される場合、全ての入力ニューロンの値が、全ての隠れニューロンに渡され、このことは、各隠れニューロンに関する活性化関数が、各入力ノードに対応するξ項を含むことを意味する。各入力に与えられる重み(ω)は、各隠れニューロン及び/又は各入力値に固有のものとすることができる。定数θもまた、各隠れニューロン3154に固有のものとすることができる。各ノードでの結果は、以下の等式(9)及び(10)によって与えることができる。
【数2】
【0295】
図85は、等式(9)の1つの例示的な実施のプロットであり、その関数が連続かつ微分可能であることを実証している。
【数3】
【0296】
このシグモイド関数の出力を、
図86に示す。例えば、出力(O)は、入力ニューロンの加重和にθを加えたものから算出することができる(例えば、等式(9)に等式(8)が適用される)。
【0297】
様々な形態では、各隠れニューロンは、I個の入力を有し、これは、そのニューラルネットワークへの入力の数に等しい。J個の隠れニューロン3154が存在する場合には、ωに関してI×J個の固有の値が存在し、θに関してJ個の固有の値が存在する。一部の形態では、出力ニューロン3156は、同じ活性化等式を利用することができる。したがって、Kが出力ニューロンの数である場合、隠れニューロン3154を出力ニューロン3156に接続するJ×K個の固有のωの値、及び、出力ノード3156に関するK個の固有のシータの値が存在し得る。
【0298】
ニューラルネットワークの出力は、超音波外科用器具、外科用器具によって作用される組織、又はそれらの何らかの組み合わせの、1つ以上の条件を含む、条件セットの真偽を指示することができる。例えば、ニューラルネットワークは、分離点で、又は分離点付近で組織の離断を指示するフィードバックを提供するか否かを指示する、条件セットをモデル化するために、使用することができる。例えば、一部の形態では、ニューラルネットワークの出力は、80%の離断が達成されているか否かを指示することができる。任意の好適な数又はタイプのニューロン3152、3154、3156を、使用することができる。例えば、ニューラルネットワーク3150は、12個の入力ニューロン3152(I=12)、4つの隠れニューロン(J=4)、及び1つの出力ニューロン(K=1)を含み得る。データサイクルは、10ミリ秒とすることができる。したがって、10ミリ秒ごとに、12個の入力に関する値をネットワーク3150内に投入して、結果を算出することができる。
【0299】
入力変数(例えば、入力ノード3152に対応する変数)は、一部の状況で出力ノード3156の値に影響を及ぼすことが可能な、任意の変数を含み得る。以下で説明される例示的な入力変数は、例えば80%の離断などの、任意の好適な超音波器具関連の値に対応する出力ノードを有する、3154などのニューラルネットワークで利用することができる。本明細書で説明される入力変数はまた、例えば、遺伝子アルゴリズムモデル、分類木アルゴリズムモデル、再帰的ベイジアンモデルなどを含めた、任意の他の好適なタイプのモデルで使用することもできる。
【0300】
一部の形態では、入力ノード3152に対応する入力変数は、組織の処置の間の、外科用システムの動作を説明する変数を含む。組織の処置は、例えば、組織に対して外科用システムが起動されるときに、開始することができる。例示的な組織処置入力変数を、以下で説明する。
【0301】
起動後の経過時間の入力変数は、器具の起動(例えば、組織処置の開始時での)からの時間を表し得る。時間は、器具の起動(例えば、0.00秒)で開始する、例えば、10ミリ秒(0.010秒)を含めた、任意の好適なインクリメントで測定することができる。一部の形態では、起動後の経過時間は、発生器によって測定及び記憶することができる。
【0302】
種々の変数を利用して、例えば、トランスデューサを横断する電圧降下、トランスデューサによって引き出される電流、及びトランスデューサのインピーダンスを含めた、超音波トランスデューサ又はハンドピースの動作を説明することができる。これらの変数及び同様の変数に関する値は、任意の好適な間隔で、(例えば、発生器によって)捕捉及び記憶することができる。例えば、電圧、電流、及び/又はインピーダンスの値は、ニューラルネットワーク3150のデータサイクルと等しい間隔で、捕捉することができる。
【0303】
更なる入力変数は、既定の期間にわたる、トランスデューサの電圧、電流、及び/又はインピーダンスの、種々の置換を説明する。例えば、電圧、電流、又はインピーダンスの平均を、作動期間全体(例えば、起動後の経過時間によって説明される)にわたって取得することができる。また、一部の形態では、電圧、電流、又はインピーダンスの平均は、既定数の先行のサンプルにわたって取得される。例えば、平均インピーダンスは、最終のA個のインピーダンスのサンプルにわたって取得することができ、Aは、10に等しいものとすることができる。電圧、電流、及び/又はインピーダンスから導出可能な、電力、エネルギー、並びに他の値もまた、独立した入力変数として、又は種々の置換で、算出することができる。例えば、一部の形態では、総エネルギーが入力変数として使用される。総エネルギーは、起動後に超音波システムに送達されたエネルギーの合計を指示し得る。この総エネルギーは、例えば、電力の総和を作動全体を通した時間で積算することによって導出することができる。インピーダンスの曲線又は形状は、起動からのインピーダンスの変化を指示する。一部の形態では、スプライン適合又は他の平滑化関数を、インピーダンス曲線に適用することができる。平滑化関数の適用により、変曲点を強調することができ、この変曲点の存在又は位置を、入力変数として利用することができる。例えば、インピーダンス曲線は、一部の形態では、切断が生じる際に、突然の下降を経験し得る。インピーダンス曲線などの、様々な例示的入力変数は、値の曲線又は配列として説明される。そのような変数は、例えば、曲線下面積の取得、1つ以上のピーク値の取得、曲線の平均又は移動平均の取得によることなどを含めた、任意の好適な形態で、ニューラルネットワーク3150又は同様のモデルに入力することができる。一部の形態では、様々な曲線の積分、ピーク、平均などに限度を設けることにより、例えば、作動から過渡的効果を排除することができる。更なる変数としては、例えば、(例えば、起動からの)総エネルギー、(例えば、起動からの)インピーダンスの総合的な変化などを挙げることができる。
【0304】
様々な入力変数は、外科用システム(例えば、トランスデューサ、導波管、及びブレード)の共振周波数に基づく。外科用システムの共振周波数は、駆動信号の周波数として明示することができる。例えば、本明細書で説明されるように、外科用システムを、そのシステムの共振システムで駆動する(例えば、駆動信号を提供する)ように、発生器を調整することができる。一部の形態では、共振周波数そのもの(例えば、現在又は瞬間的な共振周波数)を、入力変数とすることができる。共振周波数は、例えば、ニューラルネットワーク又は他のモデルのデータサイクルなどの、任意の好適な間隔で、サンプル抽出することができる。別の例示的な共振周波数変数は、組織処置の過程にわたる、共振周波数の変化を説明する。例えば、共振周波数の変化は、現在の共振周波数の値と、起動時及び/又は起動後の設定点(例えば、起動後0.5秒)での周波数の値との差異に等しく設定することができる。更に別の共振周波数変数は、周波数導関数dF/dt、すなわち、共振周波数の瞬間的な勾配を説明する。更なる共振周波数変数は、周波数導関数の値の平均を取得することによって、導出することができる。1つの例示的な平均は、起動からの全ての周波数導関数の値、及び/又は、例えばニューラルネットワーク3150の過去10回のデータサイクルなどの、既定の期間にわたる周波数導関数の値を含む。一部の形態では、複数の平均周波数導関数の変数を使用することができ、各変数は、異なる期間(例えば、ニューラルネットワーク3150又は他のモデルの、異なる数の過去のデータサイクル)にわたって算出される。本明細書で説明される共振周波数変数の、様々な異なる置換もまた、使用することができる。1つの例示的な共振周波数変数は、先行のA個の平均dFdtの値にわたって算出される、最大平均周波数導関数を説明し、ここでAは、ニューラルネットワーク3150又は他のモデルのデータサイクルの数に対応し得る。例えば、Aは、10に等しいものとすることができる。別の例示的な入力変数は、位相マージンである。位相マージンは、駆動信号とブレードの変位との位相の差異を説明する。位相マージンは、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる、「Output Displacement Control Using Phase Margin In An Ultrasonic Hand Piece」と題された、同一所有者の米国特許第6,678,621号で説明されるような、任意の好適な方式で測定することができる。
【0305】
様々な形態では、ニューラルネットワーク3150又は他のモデルは、特定の外科用システムを説明する値を有する入力変数(例えば、システム固有変数)を受け取る。システム固有変数は、例えば、ハンドピース、ブレード、導波管、エンドエフェクタ、クランプアーム、クランプパッドなどを含めた、外科用システムの任意の構成要素、又は構成要素のグループの、特性を説明することができる。この方式で、システム固有変数は、各外科用システムの「指紋」を提供するために役立ち得る。種々のシステム固有変数を、様々な方法で測定及び利用することができる。例えば、システム固有変数は、ニューラルネットワーク3150若しくは他のモデルの訓練及び実行の双方で、使用することができる。
【0306】
一部のシステム固有変数は、物理的に測定することが可能な、外科用システム又はその構成要素の特性を説明する。システム長は、外科用システム(例えば、その外科用システムの導波管及びブレード)の長さを説明する。例示的なシステム調は、23cm、36cm、及び45cmを含む。一部の形態では、異なる長さを有するシステムに関して、別個のニューラルネットワーク3150が訓練及び利用される場合があるが、しかしながら、このことは、システム長を入力変数として利用することによって、回避することができる。
【0307】
一部のシステム固有入力変数は、超音波ブレードの特性を説明する。例えば、個別のブレード利得は、トランスデューサからブレードの先端までの、変位の増大又は減少の比率を説明する(例えば、ブレード利得は、ブレードと導波管との組み合わせを説明することができる)。所与の超音波ブレードの利得は、例えば、ブレードの直径の不連続性を含めた、ブレード自体の物理的特性によって決定することができる。同じ仕様に合わせて製造された異なるブレードが、例えば製造公差により、僅かに異なるブレード利得を有する場合がある。例えば、1つの好適なブレードに関する利得は、3.5±0.2とすることができる。様々な形態では、ブレード利得は、外科用システムの製造及び/又は試験の間に測定される。例えば、レーザー振動計又は他の好適な機器を利用して、発生器及びハンドピースによって既知の利得で駆動される場合の、ブレードの変位を測定することができる。
【0308】
別のブレード固有変数は、ブレードの固有共振周波数である。これはまた、静止共振周波数と称される場合もある。固有共振周波数は、ブレードの物理的特性の関数である。様々な形態では、固有共振周波数は、例えば、インパルス励振若しくは探信音試験を利用して、ブレード(又は関連するシステム)の製造又は試験の間に測定される。探信音試験に従って、特定の範囲の周波数の音波又は振動が、(通常は非負荷の)ブレードに提供される。ブレードを共振させる周波数に注目する。例えば、マイクロホン又は他の可聴周波センサを使用して、様々な周波数の探信音に対する、ブレードの応答を記録することができる。その測定値の周波数成分を分析して、共振を特定することができる。更に別のブレード固有変数は、ブレードに関するQ値である。Q値は、ブレードの、その中心周波数に対する帯域幅を説明する。換言すれば、Q値は、ブレードの周波数スペクトルが、どの程度緊密に共振周波数の周囲に圧縮されているかを説明する。Q値は、例えば、一般に入手可能なスペクトル分析器装置を利用して、例えば、ブレード又は関連システムの製造若しくは試験の間に測定することができる。
【0309】
更なるブレード固有変数は、ブレード長である。例えば、製造公差により、同じ設計の全てのブレードが、同じ長さを有するとは限らない。正確なブレード長は、例えば、マイクロメータ、光学的システム、座標測定機などを含めた、任意の好適な測定技術又は測定機器を使用して、測定することができる。ブレードの撓みは、クランプアームと接触するときにブレードが撓む程度を説明する。ブレードの撓みの程度は、例えば、非接触レーザー変位機器、ダイヤルインジケータ、又は任意の他の好適な機器を利用して、測定することができる。ブレードの様々な音響特性もまた、ブレード固有入力変数として利用することができる。種々のブレードに関するポアソン比を、横歪み及び軸歪みを測定する歪みゲージを利用して測定することができ、かつ/又はブレード材料から導出することができる。種々のブレード内の音速もまた、測定することができ、かつ/又はブレード材料から導出することができる。潜在的な入力変数である他の音響特性としては、位相速度、密度、圧縮性又は剛性、体積弾性率などが挙げられる。例えば、ブレード、クランプパッドなどの多くの音響特性が、材料メーカーによって提供される。
【0310】
更なるブレード固有変数としては、表面摩擦係数及び突出封止面が挙げられる。表面摩擦係数は、組織作用のモデルに関係し得るが、これは、表面摩擦係数が、組織に送達される出力に関連し得るためであり、この出力は、例えば、以下の等式(11)に従う。
出力=μ×2π
*d
*f
*N (11)
【0311】
等式(11)中、μは表面摩擦係数(例えば、動摩擦)であり、fは駆動信号の周波数(例えば、システムの共振周波数)であり、Nは垂直力であり、dはブレードの変位である。表面摩擦係数は、任意の好適な方式で測定することができる。例えば、ブレードを回転盤に搭載して、既知の垂直力を適用しながら回転させることができる。一部の形態では、上記の等式(11)はまた、以下の等式(12)によって指示されるように、突出封止面も考察する。
出力密度=(μ×2π
*d
*f
*N)/SS (12)
【0312】
等式(12)中、SSが突出封止面である。突出封止面は、例えば、ブレードの幾何学構成に基づいて推定することができる。例えば、ブレードの長さ、幅、及び湾曲が関係し得る。関連する例示的な入力変数は、ブレードのクロックである。例えば、一部の形態では、ブレードは湾曲している。ブレードのクロックは、長手方向軸を中心とするブレードの湾曲の角度方向を説明する。
【0313】
様々な形態では、外科用システムが組織に作用する方式は、クランプアーム及びブレードが組織に係合する方式に応じて決定される。この方式もまた、システム固有の寸法、他の特性に応じて決定される。例えば、様々なシステム固有変数は、ブレード、クランプアーム、及びクランプパッド間の相互関係を説明する。そのような1つの例示的な入力変数は、ブレードとクランプアームとの間の提供されるクランプ力である。例えば、クランプ力は、等式(1)に関連して本明細書で上述された、F
Tに対応し得る。クランプ力は、任意の好適な方式で測定することができる。例えば、
図1〜3に関連して示される外科用システム19を参照すると、クランプアーム56は、開放位置で(例えば、ブレード79と接触せずに)固定することができる。力トランスデューサを、例えば、クランプアーム56の枢動転と最遠位端との間で、クランプアーム56に固定することができる。次いで、ハンドル68を作動させて、ブレード79に対してクランプアーム56を閉鎖することができる。力トランスデューサは、提供される力を測定することができる。一部の形態では、トリガの位置を監視することにより、トリガの位置に対比するクランプ力を表す入力変数を導出することができる。一部の形態では、最大力が使用される。一部の形態では、クランプ力は、開放位置で固定されたクランプアームで測定される。例えば、TEKSCANから入手可能なもののような、圧力センサを、ブレードとクランプアームとの間に配置することができる。
【0314】
同様の変数としては、トリガ変位、トリガ力、及び管状サブアセンブリばね力が挙げられる。トリガ変位は、ブレードに対してクランプアームを閉鎖するために、トリガ34、3120(
図93)が枢軸旋回される距離である。このトリガの変位は、クランプアームを閉鎖するためにばねが変位される程度に対応し得る。例えば、ばね5051が、
図105に示される。
図93、95、及び
図105を参照すると、ばね5051は、
図95には具体的に示されないが、ばね505若しくは同様のばねは、
図95のヨーク4174、及びハンドル4122に、
図105に示すものと同様の方式で結合することができる点が理解されるであろう。
図93及び
図95に関連して説明されるように、トリガ4120の近位運動は、クランプアーム4150及びブレード4152を閉鎖するための、ヨーク4174及び管状往復作動部材4138の遠位運動をもたらす。ヨーク4174が遠位方向に移動すると、ヨーク4174は、ばね5051を伸長させることができる。したがって、トリガ(例えば、トリガ4120)の変位は、ばね(例えば、5051)の伸長を指示することにより、クランプ力の代理としての役割を果たし得る。トリガ力(例えば、トリガに提供するために必要な力)もまた、入力変数として使用することができる。トリガ変位及びトリガ力は、任意の好適な方式で測定することができる。一部の形態では、管状サブアセンブリ力もまた、入力変数として測定及び使用することができる。例えば、
図95を参照すると、管状サブアセンブリ力は、往復作動部材4138によってクランプアーム4150及びブレード4152に提供される力を表す。本明細書で説明される様々な変位及び力は、例えば、視覚測定システム、歪みゲージ、ダイヤルインジケータなどを含めた、任意の好適な機器を利用して、任意の好適な方式で測定することができる。
【0315】
他の好適なクランプ関連変数は、圧力プロファイルに関する。圧力プロファイルは、クランプアームが閉鎖されているときの、ブレード及びクランプアームに沿った圧力の分布を説明する。クランププロファイルは、任意の好適な方式で測定することができる。例えば、TEKSCANから入手可能なセンサなどの、圧力センサを、ブレードとクランプアームとの間に配置することができる。次いで、クランプアームを(例えば、本明細書で説明されるトリガ34及び/又はトリガ4120を利用して)閉鎖することができ、結果として生じる力(及び/又は力分布)が測定される。一部の形態では、クランプ力は、クランプアームの全長よりも短い範囲で取得することができる。例えば、クランプアーム又はブレード上の特定の位置での(例えば、クランプアームの近位部分での)クランプ力を、ニューラルネットワーク3150又は他の好適なモデルへの入力変数として利用することができる。
【0316】
様々な他のクランプ関連変数としては、クランプアームの撓み、クランプアームの位置若しくはライド、完全に開放されたトリガでのつかみ具の角度、及びパッドの高さが上げられる。クランプアームの撓みは、ブレードに対して閉鎖された場合の、クランプアームの撓みの程度の尺度である。クランプアームの位置又はライドは、完全に開放されたトリガでのつかみ具の角度とも称され、クランプアームとブレードとの間の距離又は角度を説明する。例えば、完全に開放されたトリガでのつかみ具の角度は、視覚システム、光学コンパレータ、分度器などを利用して測定することができる。パッドの高さは、クランプアームパッドの厚さを説明することができる。これらの値は、任意の好適な方式で測定することができる。例えば、視覚システムを利用して、ブレードの画像を捕捉し、クランプアームの撓みなどを導出することができる。また、様々な機械的又は光学的距離測定技術を使用して、特定の寸法を測定することもできる。更なるクランプ関連変数は、パッド(例えば、クランプパッド58)の特性を説明することができる。そのようなパラメータの例としては、パッドのロット番号、パッドの寸法、パッドの材料組成分布、パッドの材料硬度、パッドの熱的特性、並びに特定の製造ロットにわたる、これらの値又は同様の値に関する平均値を挙げることができる。
【0317】
一部の形態では、システム固有変数は、試験手順の間に実施される測定に基づく帰属値である。例えば、一部の入力変数は、システムのバーンインの間に判定される。バーンインの一形態は、
図26〜28に関連して、本明細書で上述されている。バーンインは、例えば、器具が、空中で、完全にクランプされ、乾燥した状態(例えば、クランプアームとブレードとの間に何もない)などの、既知の(かつ反復可能な)条件下で実行することができる。一部の形態では、バーンインの間の周波数勾配は、例えば、電力、エネルギー、電圧、電力の変化率(d電力/dt)、エネルギーの変化率(dエネルギー/dt)、電圧の変化率(dV/dt)、電流の変化率(dI/dt)、周波数の変化率(df/dt)、インピーダンスの変化率(dZ/dt)、ピークインピーダンスなどの同様の値と共に、入力変数としての役割を果たし得る。一部の形態では、バーンインが空中で(例えば、ブレードがパッドに接した状態で)実行される場合、上述の変数は、バーンインの全体を通して、比較的一定のまま維持され得る。しかしながら、変数が変化する場合には、周波数勾配又は他の変数は、起動後の既定の時間で取得して、そのバーンインサイクルの全て若しくは一部分にわたって平均化するか、又は他の方式で数学的に組み合わせることなどができる。
【0318】
一部の形態では、周波数勾配又は他の値は、種々の電力レベルにわたって設定された発生器電力を使用するバーンイン条件の下で取得される。例えば、特定の周波数勾配又は他の測定値は、第1の電力に設定された発生器を使用して取得することができ、第2の周波数勾配又は他の測定値は、第2の電力に設定された発生器を使用して取得することができる。一部の形態では、バーンインは、クランプアームとブレードとの間に、組織(例えば、ブタの組織)又は組織代用物(スポンジ材料など)を配置して、実行することができる。一部の形態では、周波数勾配及び関連変数は、組織代用物が離断されるにつれて変化し得る。例えば、周波数勾配は、バーンインサイクル内の様々な異なる点で取得して、そのバーンインサイクルの全て又は一部分にわたって平均化することなどができる。別の試験関連変数は、実行されるバーンインサイクルの数である。例えば、一部の形態では、例えば、最初のバーンインで、器具又は試験手順に関する問題が存在する場合には、複数のバーンインサイクルを実行することができる。
【0319】
バーンインを実行した後、外科用システムの様々な他の特性を測定する(かつ入力変数として使用する)ことができる。例えば、バーンインは、ブレードに対応する、クランプパッド上の陥凹を作り出す場合がある。この陥凹の分析により、バーンイン深さ(例えば、陥凹の深さ)を得ることができる。この深さは、任意の好適な装置で測定することができる。一部の形態では、バーンイン深さは、視覚システム、レーザー距離測定器、及び/又は他の機械的若しくは光学的測定具で測定することができる。一部の形態では、バーンイン深さは、バーンイン深さ分布(例えば、接触プロファイル)を指示するために、クランプパッド上の様々な点で取得される。また、一部の形態では、クランプアーム接触点もまた、この陥凹から導出することができる。例えば、陥凹の最も深い部分が、最初の接触点に対応し得る。
【0320】
更に他のシステム固有入力変数が、自由状態で測定される。自由状態は、クランプをブレードと接触させずに、ブレードを空中で稼働させることで再現することができる。自由状態で測定される変数としては、電力消費、装置のインピーダンス、種々の電力レベルにわたる周波数勾配、種々の電力レベルでのブレードのインピーダンス、ハンドピースの電流、電圧、及びインピーダンスなどを挙げることができる。様々な形態では、システム及び環境関連変数を、事前稼働の間に測定することができる。例えば、様々な外科用システムは、組織に対する操作の前に事前稼働試験を必要とするように構成される。このことは、例えば、その外科用システムが適正に組み立てられていることを保証するために、役立ち得る。しかしながら、例えば、本明細書で説明されるように、事前稼働の間に、例えば、電圧、電流、インピーダンス、共振周波数、及び、それらの置換を含めた、様々なシステム固有変数の値を捕捉することができる。
【0321】
更なるシステム固有変数は、ブレード及び/又はクランプアームの温度応答に関する。例えば、クランプアームの温度応答は、特定のクランプアームが熱流入に曝される場合の、加熱される方式を説明する。クランプアームの温度は、例えば、赤外線温度計で測定することができる。クランプアームの温度応答は、熱流入のワット当りの温度での加熱の度数として表すことができる。同様に、クランプアームの温度の冷却曲線は、単位時間当りに所与のブレードが室温で冷却される方式の尺度とすることができ、例えば、単位時間当りの度数で表される。例えばブレードの温度応答及びブレードの冷却曲線を含めた、同様の入力変数は、ブレードに基づき得る。別の例示的な温度応答変数は、温度に対するブレードのインピーダンスを含む。これは、温度の関数としての、(例えば、トランスデューサの電気インピーダンスによって表されるような)ブレードの音響インピーダンスの尺度とすることができる。ブレードの温度の変化は、周波数の変化を引き起こし得るため、シャフト内部にブレード及び導波管を固定する構成要素は、厳密な節点(例えば、ゼロの横変位を有する導波管上の位置)に存在する必要がない場合がある。したがって、それらの構成要素が厳密な節点に存在しない場合、それらは、空中にある場合のシステム内に、音響インピーダンスを引き起こし得る。この音響インピーダンスがどのように変化するか、及び結果として生じる周波数の変化を監視することにより、ブレードの温度ばかりではなく、ブレード上の後部に(例えば、ハンドルに向けて)どの程度遠く、ブレードの温度が変化しているかもまた、モデル化することが可能となり得る。それぞれの温度応答及び/又は冷却曲線は、任意の好適な方式で、ニューラルネットワーク3150への入力として使用することができる。例えば、それぞれの曲線の勾配、勾配が変化する屈折点の値、又は任意の他の好適な値を選択することができる。
【0322】
他の例示的なシステム固有変数としては、システムが製造された生産ラインの経年、及び、例えばバーンインでの、ブレード内部で測定される横周波数が挙げられる。例えば、生産機械は、その耐用期間にわたって変化することにより、その生産機械の製品寿命の異なる時点で生産されたブレード及び他の構成要素が、異なる挙動を示す場合がある。横周波数は、シャフトの方向に直交する方向での、ブレード内の振動を説明し、例えば、AGILENT TECHNOLOGIESから入手可能なN9030A PXAシグナルアナライザなどの、ベクトル信号分析器又はスペクトル分析器を利用して測定することができる。横周波数は、例えば、バーンイン又は自由状態などの既定の条件セットを含めた、任意の好適な条件で測定することができる。
【0323】
ニューラルネットワーク3150に関する様々な入力変数は、組織を処置するために外科用システムによって使用される、ハンドピース又はトランスデューサに基づき得る。そのような変数の例としては、上述のようなトランスデューサのインピーダンス、ハンドピースの共振周波数、ハンドピースの電流設定点などを挙げることができる。ハンドピースの共振周波数は、導波管又はブレードから独立したハンドピースの共振周波数を説明する。例えば、ハンドピースの共振周波数は、製造時に測定することができる。ハンドピースに関する電流設定点は、既定の変位を提供するために特定のハンドピースに提供される、電流のレベルを説明する。例えば、種々のハンドピースは、種々の製造公差に基づく種々の電流設定点を有し得る。電流設定点、周波数勾配、及びハンドピースを説明する他の変数は、例えば、電気的消去可能なプログラミング可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、又はハンドピースに関連付けられる他の記憶装置に記憶することができる。例えば、発生器は、ハンドピース固有変数を取得するために、ハンドピースに問い合わせることができる。一部の形態では、ハンドピース固有変数を利用することにより、製造及び/又は試験の間に測定された様々な他のシステム固有変数に、更なる明瞭性を提供することができる。例えば、システムが臨床医によって利用される場合、異なるハンドピースであって、多くの場合、より新しいハンドピースが利用される可能性がある。ハンドピース固有変数は、このことを補正することができる。
【0324】
ニューラルネットワーク3150は、本明細書で上述された入力変数のうちのいずれかを利用することができる点が、理解されるであろう。一部の形態では、ニューラルネットワーク3150は、行列代数を利用して評価することができる。例えば、4つの行列を使用することができる。1×I入力行列(O_i)は、I個の入力ニューロンに関する(例えば、基準化された)値を含み得る。I×J隠れニューロンω行列(W_ij)は、隠れニューロン3154の値を算出するために使用されるω値を含む。J×K出力ニューロンω行列(W_jk)は、出力ニューロン3156の値を算出するために使用されるω値を含む。1×J隠れニューロン定数行列(O_j)は、隠れニューロン3154に関する定数θ値を含む。1×K出力ニューロン定数行列(O_k)は、出力ニューロン3156に関する定数θ値を含む。任意の所与のサイクルにわたって、これらの行列を、以下の等式(13)〜(16)によって指示されるように評価することによって、ニューラルネットワークの出力を算出することができる。
x_j=O_i
*W_ij+O_j (13)
【0325】
等式(13)の結果のx_jは、各隠れニューロン3154に関する入力ニューロン値の加重和とすることができる。行列x_jを、以下の等式(14)などの等式を通じて、要素ごとに処理することにより、同サイズの行列O_jを生じさせることができる。
O_j=(1+exp(−x_j)).^(−1
*Z)(14)
【0326】
等式(14)の結果のO_jは、隠れニューロン3154のそれぞれに関する値とすることができる。等式(12)では、Zは、K×Jのサイズを有するものの行列に対応する。
x_k=O_j
*W_jk+O_k (15)
【0327】
等式(15)の結果のx_kは、各出力ニューロン3156に関する隠れニューロン値の加重和とすることができる。行列x_kを、例えば等式(16)などの等式を通じて、要素ごとに処理することにより、同サイズの行列O_kを生じさせることができる。
O_k=(1+exp(−x_k))^(−1
*Z1) (16)
【0328】
等式(16)の結果のO_kは、そのニューラルネットワークの出力とすることができる。等式(15)では、Z1は、K×1のサイズを有するものの行列に対応する。
【0329】
ニューラルネットワークは、任意の好適な方式で訓練することができる。例えば、一部の形態では、ニューラルネットワークは、バックプロパゲーションを利用して訓練することができる。バックプロパゲーション訓練の間、ニューラルネットワークのデータフローは逆転される。例えば、実際の出力に対する誤差の値を使用して、個別の重み及び定数のパラメータが修正される。
図87は、バックプロパゲーションを利用して、ニューラルネットワーク3150などのニューラルネットワークを訓練するための、アルゴリズムの一形態の論理フローチャートである。3170で、関連するデータセットを生成することができる。一部の形態では、訓練のために使用されているデータファイルをネットワークが単に学習するのではなく、実際のパターン認識が実施されていることを保証するために、別個のデータセットが、訓練及び試験のために生成される。各データセットは、例えば、必要な入力(例えば、表8を参照)の全てを含み得る。各データセットはまた、ニューラルネットワークによってモデル化された値を表す入力値の各セットに対応する、器具及び/又は組織の状態を説明する実際値も含み得る。例えば、一部の形態では、実際値は、任意の所与の入力値のセットに対して、組織が閾値レベルの離断(例えば、80%の離断)に到達しているか否かを指示し得る、離断データを含み得る。この方式で訓練されるニューラルネットワークは、組織が閾値レベルの離断に到達しているか、又は到達していないかを指示する、出力を提供することができる。例えば、任意の他の好適な離断のレベル、完全な離断、組織封着などを含めた、任意の好適な値を使用することができる点が、理解されるであろう。任意の所与のサンプルが、80%又は任意の他の好適な閾値の離断状態に到達しているか否かは、一部の形態では、離断されている切断の長さに沿った組織の量に基づいて、判定することができる。例えば、離断は、一度に全てが実施されない場合があり、その代わりに、前から後に、後から前に、又は中央から外に実施される場合がある。任意の所与の組織サンプルが閾値まで離断されているか否かは、任意の好適な方法に従って判定することができる。例えば、一部の形態では、ビデオカメラが切断を記録することができ、ユーザーは、離断が閾値まで完了しているか否かを視覚的に判定することができる。また、一部の実施形態では、光学(例えば、レーザー)測位センサを利用して、ブレードに対するクランプアームの位置を測定することができる。ブレードに対するクランプアームの傾斜は、離断の程度を指示し得る。
【0330】
3174で、ニューラルネットワークを作り出すことができる。例えば、様々なニューロン3154、3156の重み及び定数に関する値を、(例えば、均一な分布を生じる、MATLAB「rand」関数を利用して)無作為に初期化することができる。一部の形態では、−2.5〜2.5の値の範囲を利用することができるが、これは、これらの値が、シグモイド活性化関数によって処理されると、0〜1の範囲の出力を生じさせる傾向があるためである。3176で、ネットワーク3150を、入力データに対して実行させ、予測される特定の出力(又は、複数の出力ノードが存在する場合には、複数の出力)を生成することができる。3178で、誤差を計算することができる。誤差は、3176からの予測される出力と、本明細書で説明されるような組織又は器具の特性の実際値との差異である。様々な形態では、この出力は、2進数で表すことができ、1は、その条件が存在するか又は真であることに対応し、0は、その条件が存在しないか又は偽であることに対応する。例えば、条件が80%の離断である場合、この出力は、組織が80%離断されている場合は1であるべきであり、(未だ)80%離断されていない場合は0であるべきである。一部の形態では、ニューラルネットワーク3150の出力が閾値(例えば、0.85)を超過する場合、その条件を真と見なすことができる。
【0331】
3180で、各ノードに関する重みが評価される。例えば、各重みに関して、重み(ω)に対する出力又は誤差(E)の偏導関数が見出される。この偏導関数は、入力層3152と隠れ層3154との接続に関しては、δE/δω
ijとして表すことができ、隠れ層3154と出力層3156との接続に関しては、δE/δω
jkとして表すことができる。3180で、各ノードに関する定数が評価される。例えば、各定数に関して、定数θに対する出力又は誤差(E)の偏導関数が見出される。この偏導関数は、入力層3152と隠れ層3154との接続に関しては、δE/δθ
iとして表すことができ、隠れ層3154と出力層3156との接続に関しては、δE/δθ
jとして表すことができる。3184で、各重み及び定数に関して、Δを計算することができる。Δは、各偏導関数を勾配定数ηで積算することによって見出すことができる。一部の形態では、ηに関して0.1の値を使用することができる。次いで、各重み及び定数の元の値に、このΔを加えることができる。行為3176、3178、3180、3182、及び行為3184を、入力データの後続のサイクルに関して繰り返すことができる。一部の形態では、ネットワーク3150を訓練した後に、試験することができる。例えば、ネットワーク3150は、本明細書で説明されるように、訓練データセットとは別個の試験データセットで試験することができる。様々な形態では、ニューラルネットワーク又は他の多変数モデルを、事前訓練することができる。結果として得られるモデルパラメータ(例えば、ネットワーク構成、重み及び定数に関する値)を決定して、発生器及び/又は器具で記憶することができる。それらの値は、使用の間に、そのモデルを実行するために利用することができる。
【0332】
図88は、本明細書で説明されるニューラルネットワーク3150などの多変数モデルを利用して、超音波器具に関する条件セットを検出するための、アルゴリズム3160の一形態の論理フローチャートである。本明細書で説明される、他の器具制御アルゴリズムと同様に、アルゴリズム3160は、本明細書で説明される発生器30、50、1002などの発生器によって実行されるように説明されるが、一部の形態では、器具自体によって実行することもできる。また、本明細書ではニューラルネットワークが説明されるが、アルゴリズム3160は、例えば、遺伝子アルゴリズムモデル、分類木アルゴリズムモデル、再帰的ベイジアンモデルなどを含めた、任意の好適なタイプのモデルを利用して実行することができる点が、理解されるであろう。3162で、発生器は、多変数モデルを実行することができる。多変数モデルを実行することは、そのモデルに入力値を提供すること、その入力値を処理すること、及び出力を生成することを含み得る。例えば、例示的ニューラルネットワークを実行するためのプロセスが、等式(11)〜(14)に関連して本明細書で上述されている。3164で、発生器は、モデル化された条件セットが満たされているか否かを判定することができる。上記の実施例では、このことは、80%の離断が達成されているか否か(例えば、出力ノード3156の値が、閾値を超過しているか否か)を判定することを伴い得る。達成されていない場合には、このモデルは、3162で実行を継続することができる。達成されている場合には、3166で、その条件に関連付けられたトリガ応答をトリガすることができる。この応答セットは、例えば、条件セットが真であることを指示するフィードバックを提供すること、器具に関する駆動信号を修正することなどを含めた、任意の好適な行為を含み得る。
【0333】
本明細書では、ネットワーク3150などのニューラルネットワークが説明されるが、ニューラルネットワークに加えて、又はその代わりに、例えば、遺伝子アルゴリズムモデル、分類木アルゴリズムモデル、再帰的ベイジアンモデルなどを含めた、任意の好適なタイプの他変数モデルを利用することができる点が、理解されるであろう。例えば、再帰的ベイジアンモデルは、発生する出力イベント(例えば、閾値離段状態)の確立をモデル化し、その確率は、離断の開始時(例えば、t=0)ではゼロに等しく、各時間ステップで継続的に増大する。この確率の増大量は、特定の判定基準が満たされるか否かに基づく。この判定基準は、種々の入力変数の閾値を表すことができる。例えば、「周波数勾配<閾値1」が真である場合には、それが真である各時間ステップに関して、特定の量で確率を増大させることができる。「周波数Δ<閾値2」が真である場合には、更なる量で確率を増大させることが可能であり、各時間ステップでの異なる判定基準による増大の合計が、その時間での確率の増大を指示する。この確率が閾値(例えば、0.85)に到達すると、再帰的ベイジアンモデルは、モデル化された条件が真であることを指示することができる。
【0334】
別のタイプの好適な多変数モデルは、分類又は決定木である。分類又は決定木は、階層木構造に従って構成された、複数の二分決定を含む。例えば、一部の実施形態では、発生器は、外科用器具に提供される駆動信号を特徴付ける周波数勾配が閾値を下回るか否かを、最初に判定することができる。下回らない場合には、その周波数の変化を、第2の閾値に照合して測定することができる。周波数の変化が、その閾値を下回る場合には、発生器は、離断の終了を指示するフィードバックを提供することができる。周波数の変化が、その閾値を超える場合には、発生器は、フィードバックを提供し得ない。最初の判定を再び参照すると、周波数勾配が閾値を下回る場合には、発生器は、トリガ前の必要時間が、閾値を超えているか否かを判定することができる。トリガ前の必要時間とは、周波数勾配が満たされた後、発生器が離断の終了を指示するフィードバックを提供する前の、閾値時間量を指す場合がある。例えば、これは、周波数勾配信号の跳ね上がりを補正することができる。トリガ前の必要時間が経過している場合には、発生器は、離断の終了を指示するフィードバックを提供することができる。経過していない場合には、フィードバックは提供されない。
【0335】
図89は、例えば、本明細書で説明されるニューラルネットワーク3150又は他のモデルなどの、多変数モデルを利用するアルゴリズム3570の一形態を示す論理フローチャートである。アルゴリズム3570は、本明細書で説明される発生器30、50、1002などの発生器によって実行されるように説明されるが、一部の形態では、器具自体によって実行することもできる。アルゴリズム3570は、同時に実行することが可能な2つの行為スレッド3571、3573を含む。例えば、制御スレッド3571は、超音波外科用器具を制御するための行為を含み得る。この方式で、制御スレッド3571は、本明細書で説明されるアルゴリズム3021、3021’、3021’’、3100、3120と同様のものとすることができる。条件スレッド3573は、
図15A〜15C,
図20〜22、
図57〜60などに関連して本明細書で説明される、条件監視アルゴリズムと同様のものとすることができる。
【0336】
最初にスレッド3571を参照すると、その制御スレッドは、
図77のアルゴリズム3021’’と同様のものとすることができる。例えば、3572で、発生器は、本明細書で上述された3020での起動要求と同様の、起動要求を受信することができる。3574で、発生器は、例えば、第1の電力レベルで第1の駆動信号を提供することによって、第1の期間にわたって第1の電力レベルで、エンドエフェクタを駆動することができる。3576で、第1の期間の満了後に、発生器は、第2の期間にわたって第2の電力レベルで、エンドエフェクタを駆動することができ、この第2の電力レベルは、第1の電力レベルよりも小さい。このことは、例えば、第2の電力レベルで第2の駆動信号を提供することによって、達成することができる。第2の期間の満了時に、3578で、発生器は、例えば、第3の電力レベルで第3の駆動信号を提供することによって、第3の電力レベルで第3の期間にわたって、エンドエフェクタを駆動することができる。第3の電力レベルは、第2の電力レベルよりも大きく、第1の電力レベルよりも小さくすることができ、又は、一部の形態では、第1の電力レベルと等しくすることもできる。3580で、発生器は、第3の期間の満了時に、又は本明細書で説明されるような条件スレッド3573によって指示されるように、温度管理レベルでエンドエフェクタを駆動することができる。この温度管理レベル又は段階に従って、発生器は、過剰な熱産生の速度を低下させるために、エンドエフェクタに提供される電力を低減することができる。例えば、一形態では、温度管理段階に入ることは、第1の電力レベルの75%のレベルに電力を低減することを伴い得る。また、一部の形態では、この温度管理レベル又は段階は、エンドエフェクタに提供される電力を、下降傾斜及び/又は逓減することを伴い得る。
【0337】
ここで条件スレッド3573を参照すると、発生器は、3582で、本明細書で説明されるニューラルネットワーク3150、又は任意の他の他変数モデルなどの、他変数モデルを実行する。3584で、発生器は、そのモデルの出力が既定の閾値を満たすか否かを判定することができる。この閾値は、モデル化された条件セットの条件のうちの1つ以上が真であるか又は存在することを、指示することができる。満たさない場合には、発生器は、3582でモデルの実行を継続することができる。満たす場合には、発生器は、3586で警告期間を待機することができる。警告期間の満了時に、発生器は、3588で、フィードバック(例えば、可聴、視覚的、又は触覚的フィードバック)を生成することができる。このフィードバックは、検出された条件が真であるか又は存在することを、指示することができる。3590で、発生器は、温度管理期間を待機することができる。待機している間、3588で指示されたフィードバックを維持することができる。3592で、発生器は、第1の期間及び第2の期間(スレッド3571を参照)の双方が満了しているか否かを判定することができる。満了している場合には、発生器は、3596で、エンドエフェクタに提供される電力を修正することができる。満了していない場合には、一部の形態では、発生器は、エンドエフェクタに提供される電力を3596で修正する前に、3594で、第1の期間及び第2の期間が満了するまで待機することができる。例えば、発生器は、温度管理レベル又は段階に入ることができる。
【0338】
図90は、アルゴリズム3170の一実施の駆動信号パターン3200を示す線図である。
図90の実施例では、第1の期間は、1秒の期間であり、第2の期間は、16秒の期間である。第1の電力レベルは、発生器から利用可能な電力の100%(例えば、Ethicon Endo−Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)から入手可能なGEN 11発生器によって提供される、レベル5で利用可能な電力の100%)である。第2の電力レベルは、発生器から利用可能な電力の50%とすることができる。第3の電力レベルは、発生器から利用可能な電力の100%とすることができる。
【0339】
図示のように、起動時には、3572(
図89)によって指示されるように、第1の電力レベルでエンドエフェクタを駆動することができる。次いで、エンドエフェクタは、第2の期間にわたって第2の電力レベルで駆動され、第2の期間の満了時に、第3の電力レベルで駆動される。この多変数モデルは、「閾値超過」(
図89の3584を参照)と標識された点で、条件セットのうちの少なくとも1つの条件が真であることを指示する値を、返すことができる。
図90に示すようなT4は、警告期間に対応し得る。この警告期間の満了時に、発生器は、
図89の3588に関連して上述されたフィードバックを提供することができる。図示のようなT5は、温度管理期間に対応し得る。その期間の満了時には、第1の期間及び第2の期間は満了している(3194)ため、発生器は、「温度管理起動」と標識された点によって示されるように、エンドエフェクタの駆動レベルを修正することができる(3196)。例えば、発生器は、第1の電力レベル以下であり、かつ第2の電力レベルよりも大きい電力レベル(例えば、発生器から利用可能な電力の75%)で、駆動信号を提供することができる。
【0340】
図91は、アルゴリズム3570の別の実施の駆動信号パターン3202を示す線図である。
図91の実施例では、期間及び電力レベルは、
図90に関連して示されるものと同じである。起動時には、3572によって指示されるように、第1の電力レベルでエンドエフェクタを駆動することができる。第1の期間の満了時に、エンドエフェクタは、第2の期間にわたって第2の電力レベルで駆動される。しかしながら、
図91では、この多変数モデルは、「閾値超過」と標識された点で、第2の期間の満了の前に、閾値超過と標識された点で、条件セットのうちの少なくとも1つの条件が真であることを指示する値を、返すことができる。
図89で指示されるように、発生器は、警告期間を待機して、次いで、「フィードバック」と標識された点で3588のフィードバックを開始することができる。温度管理期間(3190)の満了時には、第2の期間は依然として満了していない。したがって、発生器は、第2の期間の終了まで待機して(3194)、次いで、例えば、発生器から利用可能な電力の75%の、例示的な温度管理レベルを実施することによって、エンドエフェクタの駆動レベルを修正する。
【0341】
図92は、多変数モデルを利用して複数の条件を含む条件セットを監視するためのアルゴリズム3210の一形態を示す論理フローチャートである。アルゴリズム3210は、本明細書で説明される発生器30、50、1002などの発生器によって実行されるように説明されるが、一部の形態では、器具自体によって実行することもできる。
図92に示す実施例では、多変数モデルによって監視される条件セットは、2つの条件、すなわち、組織封着の有無を指示する条件、及び組織離断の有無を指示する条件を含む。組織離断は、完全な組織離断及び/又は部分的な組織離断(例えば、本明細書で説明されるような、80%の離断)とすることができる。3212及び3214で、発生器は、組織封着条件及び組織離断条件の真偽を指示する、モデル値を監視することができる。一部の形態では、組織封着条件及び組織離断条件の双方を、同じモデルによって監視することができる。例えば、本明細書で説明されるニューラルネットワーク3150は、2つの出力ノード3156で、生成及び訓練することができる。また、一部の形態では、発生器は、別個のモデルを実施して、各条件に関して個別のモデルが使用される。
【0342】
3216で離断条件が満たされる場合には、そのことは、封着の前に離断が生じているか、又は生じるように設定されていることを指示し得る。このことは望ましくない発生であり得るため、発生器は、封着の前に離断が生じることを防ぐために、3528で外科用器具を停止させることができる。3222で、発生器は、第1の期間を待機することができる。第1の期間を待機することにより、例えば、組織は、離断が生じる前に、かつ/又は、エンドエフェクタを開放して組織を解除するための指示が臨床医に提供される前に、封着を完了することが可能となり得る。第1の期間は、既定の期間とすることができ、又は、様々な形態では、モデルの封着条件出力に基づくものとすることができる。第1の期間の満了時に、発生器は、3224で、封着の終了及び離断操作を指示するフィードバックを提供することができる。あるいは、第1の期間の満了後に、発生器は、第2の期間にわたって特定の量のエネルギーを適用し、その後、器具を停止させ、封着及び離断操作の終了を指示するフィードバックを提供することができる。3216で離断条件が満たされない場合には、そのことは、離断が封着の前に生じるように設定されていないことを指示し得る。次いで、発生器は、3220で、封着条件が真であるか否かを判定することができる。真ではない場合には、発生器は、監視行為3212、3210の戻ることができる。封着条件が生じるように設定されている場合には、発生器は、3224でフィードバックを生成することができる。一部の形態では、器具が3224で依然として作動されている場合には、発生器は、器具を停止させることができ、かつ/又は遅延期間の後に器具を停止させることができる。
【0343】
本明細書の様々なアルゴリズムは、本明細書では、発生器によって実行されるように説明される。しかしながら、特定の例示的形態では、これらのアルゴリズム全て又は一部は、外科用器具の内部論理2009(
図16A)によって実行することができる点が、理解されるであろう。また、本明細書で上述される様々なアルゴリズムは、例えば、閾値インピーダンス、インピーダンス上回り時間の期間、基準偏差閾値パラメータ周波数、周波数Δ上回り時間の期間、負荷監視フラグ、維持状態フラグなどの、様々な閾値及びフラグを利用することができる。そのような閾値、フラグなどは、例えば、発生器、及び/又は外科用器具に含まれるEEPROM若しくは他の記憶装置を含めた、任意の好適な場所に記憶することができる。
【0344】
多くの超音波外科用器具の多機能能力は、それらの器具の複数の機能及び制御に不自由なくアクセスして操作するための、ユーザーの能力を要求する。このことは、例えば、時には同時に、クランプ機構のつかみ具を不自由なく作動させ、かつ手動の制御ボタン/スイッチを起動する能力を含む。それゆえ、様々なユーザーインターフェース制御部が望ましい場合がある。超音波外科用器具の機能を制御するための、1つのユーザーインターフェース設計は、回転可能な電気接続部を必要とする、装置の2つの部分の間の回転機構を含み得る。回転可能な電気接続部は、時間が経過するにつれて故障する恐れがあり、高価な修理作業、又は、通常であれば貴重な残存動作寿命を有し得る関連器具構成要素の交換が必要となる。したがって、高価な修理作業、及び時期尚早の構成要素の交換に対する、代替的な解決策を提供することによって、様々な超音波外科用器具の動作寿命を延長する必要性が存在する。
【0345】
中空コア器具及び中実コア器具の双方を含めた、超音波外科用器具は、多くの医学的状態の安全かつ有効な処置のために使用される。超音波外科用器具、また特に、中実コアの超音波外科用器具は、超音波周波数で外科用エンドエフェクタに伝達される、機械的振動の形態のエネルギーを使用して、組織を切断及び/又は凝固するために使用することができるため、有利である。超音波振動は、好適なエネルギーレベルで組織に伝達され、かつ好適なエンドエフェクタを使用する場合、組織を切断、解離、凝固、隆起、又は分離するために使用することができる。中実コア技術を利用する超音波外科用器具は、超音波トランスデューサから超音波伝達導波管を通じて外科用エンドエフェクタに伝達することが可能な、超音波エネルギーの量のため、特に有利である。そのような器具は、内視鏡的若しくは腹腔鏡的処置などの、エンドエフェクタがトロカールを通過して手術部位に到達する、切開処置又は低侵襲性処置に使用することができる。
【0346】
そのような器具のエンドエフェクタ(例えば、切断ブレード、ボール型コアギュレータ)を、超音波振動数で起動又は励起することは、隣接組織内部に局所的な熱を発生させて、切断及び凝固の双方を促進する、長手方向の振動運動を誘起する。超音波外科用器具の性質により、特定の超音波で作動させるエンドエフェクタは、例えば、切断及び凝固を含めた、多数の機能を実行するように設計することができる。
【0347】
超音波振動は、例えば、トランスデューサを電気的に励起することによって、外科用エンドエフェクタ内に誘起される。トランスデューサは、器具ハンドピース内の1つ以上の圧電素子又は磁歪素子で構築することができる。トランスデューサ部分によって生成される振動は、トランスデューサ部分から外科用エンドエフェクタまで延在する超音波導波管を介して、外科用エンドエフェクタに伝達される。これらの導波管及びエンドエフェクタは、トランスデューサと同じ振動数で共振するように設計される。エンドエフェクタがトランスデューサに取り付けられる場合、システム全体の周波数は、トランスデューサ自体と同じ周波数とすることができる。トランスデューサ及びエンドエフェクタは、2つの異なる周波数で共振するように設計することができ、接合又は結合されると、第3の周波数で共振することができる。一部の形態では、エンドエフェクタの先端での、縦方向の超音波振動のゼロからピークまでの振幅dは、以下で与えられるように、共振周波数での単純な正弦曲線として挙動する。
d=A sin(ωt) (17)
式中、ω=繰り返し周波数fの2π倍に等しい角振動数、A=ゼロからピークまでの振幅。縦方向の可動域は、正弦波の2倍の振幅又は2Aとすることができる、ピーク間(p−t−p)の振幅として説明される。
【0348】
本明細書で説明される超音波外科用器具の様々な形態は、第1の構造及び第2の構造を含み、第2の構造は、第1の構造に対して回転可能である。一部の形態では、第1の構造と第2の構造との間の電気通信は、回転可能な電気接続部を通じて提供することができる。一形態では、第1の構造は、超音波トランスデューサを備える超音波ハンドピースを含み、多くの設計では、このハンドピースから遠位方向に延出するシャフトを回転させるために使用することができる。ハンドピースの回転は、電気的結合が必要とされる、その器具のハンドルアセンブリ又は別の構成要素などの、第2の構造に対する回転を含み得る。例えば、一形態では、第2の構造は、ユーザーインターフェースを含み得る。一形態によれば、このユーザーインターフェースは、超音波外科用システムのハンドピース、電力発生器、又は別の構成要素の間に、動作命令若しくは信号を提供するために、ユーザーが関与することができる。一形態では、ユーザーインターフェースで提供される命令又は信号は、回転可能な電気接続部を通じて電気的に結合されることにより、超音波外科用器具に関連付けられる動作に関連する情報を制御又は提供するために使用することが可能な信号を、提供することができる。一形態では、ユーザーインターフェースは、ボタン、スイッチ、ノブ、又は、当該技術分野において既知の、他の様々なインターフェースを含み得る。一形態では、回転可能な電気接続部は、ハンドピース又はハンドルアセンブリなどの、その器具の別の構成要素に対して回転可能な、エンドエフェクタを電気的に結合して、それらの間に電気通信を提供することができる。
【0349】
図93、94は、超音波外科用器具4100の一形態を示す。超音波外科用器具4100は、内視鏡外科的処置又は伝統的な切開外科的処置を含めた、様々な外科的処置で採用することができる。一形態では、超音波外科用器具4100は、ハンドルアセンブリ4102、細長形の内視鏡シャフトアセンブリ4110、及び、超音波トランスデューサアセンブリを備える超音波ハンドピース4114を備える。ハンドルアセンブリ4102は、トリガアセンブリ4104、遠位回転アセンブリ4106、及びスイッチアセンブリ4108を備える。超音波ハンドピース4114は、ケーブル4118を介して、発生器4116に電気的に結合される。細長形の内視鏡シャフトアセンブリ4110は、エンドエフェクタアセンブリ4112を備え、このエンドエフェクタアセンブリ4112は、組織を解離するか、あるいは、血管及び/又は組織を、相互に把持、切断、及び凝固するための要素と、エンドエフェクタアセンブリ4112を作動させる作動要素とを備える。
図93、94は、内視鏡外科的処置に関連して使用するためのエンドエフェクタアセンブリ4112を示すが、超音波外科用器具4100は、より伝統的な切開外科的処置で採用することもできる。本明細書での目的上、超音波外科用器具4100は、内視鏡器具の観点から説明されるが、切開型の超音波外科用器具4100もまた、本明細書で説明されるものと同じか、又は同様の操作構成要素及び機構を含み得ることが想到される。同様の超音波外科用器具の更なる実施形態は、同一所有者の米国特許出願公開第2009−0105750号で開示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0350】
超音波ハンドピース4114の超音波トランスデューサは、超音波信号発生器4116又はバッテリ(図示せず)などの電力源からの電気信号を、力学的エネルギーに変換し、この力学的エネルギーは、超音波周波数での、トランスデューサ及びエンドエフェクタアセンブリ4112のブレード4152部分の縦方向振動運動の定在音響波を、主として生じさせる。
図94に示すように、ハンドルアセンブリ4102は、近位開口部4156を通じて、超音波ハンドピース4114を近位端で受容するように適合される。一形態では、ブレード4152に対して移動可能に向き合うクランプアーム4150を含み得る、エンドエフェクタアセンブリ4112に、超音波ハンドピースがエネルギーを送達するために、ハンドピース4114の構成要素は、ブレード4152に音響結合されなければならない。一形態では、例えば、超音波ハンドピース4114は、超音波ハンドピース4114を導波管4128(
図95を参照)を音響結合するために、ハンドピース4114の遠位端に、ねじ付きスタッド4133として
図94に示される導波管結合部を含む、長手方向に突出する取り付けポストを備える。超音波ハンドピース4114は、細長形の内視鏡シャフトアセンブリ4110、及びエンドエフェクタアセンブリ4112の諸部分に、機械的に係合させることができる。例えば、
図94を参照すると、一形態では、超音波伝送導波管4128は、スタッド4133などのねじ接続部によって、超音波ハンドピース4114の表面4166に結合するために、導波管4128の近位端4131に、長手方向に延出する取り付けポスト4129を備える。すなわち、超音波伝送導波管4128及び超音波ハンドピース4114は、超音波伝送導波管4128と超音波ハンドピース4114とを、ねじ込み式に係合させて音響結合するように、それらの間のねじ接続部を介して機械的に結合することができる。一形態では、超音波ハンドピース4114が、近位開口部4156を通じて挿入される場合、超音波ハンドピース4114は、トルクレンチを使用して導波管4128に固定することができる。他の形態では、遠位の導波管結合部を、超音波伝送導波管4128の近位端上にスナップ止めすることができる。超音波ハンドピース4114はまた、近位開口部4156を通じてハンドル4102に係合するように構成された、外周隆起部4160を有する遠位リム部分4158も備える。以下でより詳細に説明されるように、遠位リム部分4158は、例えば、ハンドルアセンブリ4102を介してユーザーからの電気的制御操作命令を受信するために、ハンドルアセンブリ4102に電気的に結合されるように構成された、1つ以上の電気接点を備え得る。
【0351】
一形態では、ハンドルアセンブリ4102は、トリガ4120及び固定ハンドル4122を備える。固定ハンドル4122は、ハンドルアセンブリ4102と一体式に関連付けることができ、トリガ4120は、固定ハンドル4122に対して移動可能とすることができる。トリガ4120は、ユーザーがトリガ4120に対して圧搾力を適用するときに、固定ハンドル4122に向けた方向4121aで移動可能である。トリガ4120は、ユーザーがトリガ4120に対する圧搾力を解除するとき、方向4121bにトリガ4120を移動させるように、方向4121bに付勢することができる。例示的なトリガ4120はまた、トリガ4120を操作することが可能な追加的インターフェース部分を提供するために、トリガフック4124伸長部も含む。
【0352】
図95は、様々な形態によるハンドルアセンブリの断面図を示す。ハンドルアセンブリ4102は、固定トリガ4122に対して方向4121a及び方向4121bで移動可能な、トリガ4120を備える。トリガ4120は、方向4121a及び方向4121bでのトリガ4120の回転運動を、長手方向軸「T」に沿った往復管状作動部材4138の直線運動に変換するための、リンク機構に結合される。トリガ4120は、第1のヨークピン4176aを受容するように内部に形成された開口部を有する、第1のセットのフランジ4182を備える。第1のヨークピン4176aはまた、ヨーク4174の遠位端に形成された開口部のセットを通るように配置される。トリガ4120はまた、リンク4176の第1の末端部4176aを受容するための、第2のセットのフランジ4180も備える。トリガ4120は、枢動可能に回転されるため、ヨーク4174は、長手方向軸「T」に沿って水平に並進する。それゆえ、
図93を参照すると、トリガ4120が方向4121aで圧搾されると、往復管状作動部材4138は、方向4146aに移動して、エンドエフェクタアセンブリ4112のクランプアーム4150及びブレード4152を含む、つかみ具要素を閉鎖する。解放されると、トリガ4120は、圧搾力が解除される場合のに方向4121Bに移動されるように、付勢することができる。したがって、ヨーク4174及び往復管状作動部材4138は、方向4146Bに移動して、エンドエフェクタアセンブリ4112のつかみ具を開放する。一部の実施形態では、ばね5051(
図105)が、ヨーク4174とハンドルアセンブリ4102との間に結合される。ばね5051は、
図95に示す開放位置に、トリガ4120を付勢する。
【0353】
上記に加えて、超音波ハンドピース4114がハンドルアセンブリ4102に受容され、機械的かつ音響的に結合される場合、ハンドルアセンブリ4102の遠位端に、遠位回転アセンブリ4106を配置することができる。一形態では、遠位回転アセンブリ4106は、リング又はカラー形状のノブ4134を含む。遠位回転ノブ4134は、超音波ハンドピース4114に機械的又は摩擦的に係合するように構成される。前述のように、超音波ハンドピース4114は、細長形の内視鏡シャフトアセンブリ4110に機械的に係合される。それゆえ、回転ノブ4134を回転させることにより、超音波ハンドピース4114及び長形の内視鏡シャフトアセンブリ4110を同じ方向4170に回転させる。
【0354】
様々な形態では、超音波外科用器具4100は、器具4100の動作を制御するための電気的制御命令を提供する、1つ以上のユーザーインターフェースを備え得る。例えば、一形態では、ユーザーは、超音波ハンドピース4114への電力供給を起動するための、フットスイッチ4111を採用することができる。一部の形態では、超音波外科用器具4100は、超音波ハンドピース4114を起動し、かつ/又は超音波ハンドピース4114に関する1つ以上の電力設定を設定するための、1つ以上の電力設定スイッチを備える。
図93〜95は、スイッチアセンブリ4108を備えるハンドルアセンブリ4102を示す。スイッチアセンブリ4108は、例えば、トグルスイッチ又はロッカースイッチ4132a、4132bに関連付けられる、ユーザーインターフェースを備え得る。一形態では、スイッチアセンブリ4108は、ハンドルアセンブリ4102に少なくとも部分的に関連付けることができ、最小/最大ロッカー形式又は「トグル」スイッチとして実装することができる。1つの位置では、最小/最大ロッカー形式スイッチ(又は「トグル」形式)ボタン4132a、4132bは、電力起動のために容易にアクセス可能な場所を作り出すことができる。例えば、ユーザーはまた、第1の突出ノブ4132aを操作して、電力を第1のレベル(例えば、最大)に設定することができ、第2の突出ノブ4132bを操作して、電力を第2のレベル(例えば、最小)に設定することができる。トグルスイッチ4132a、4132bは、超音波ハンドピース4114の起動又は電力供給などの、器具の動作を制御するために、発生器4116に結合することができる。したがって、様々な形態では、トグルスイッチ4132a、4132b及び発生器4116は、回転可能接続部を通じて電気的に結合することができる。例えば、特定の形態では、外科用器具4100は、ハンドルアセンブリ4102で提供される電力制御操作が、超音波ハンドピース4114を介して、発生器4116と電気的に通信することを可能にする、回転可能な電気接続部を備え得る。トグルスイッチ4132a、4132bは、回路基板、例えば、プリント回路基板、フレックス回路、リジッドフレックス回路、若しくは他の好適な構成に電気的に結合される、制御セレクタ及び/又は起動スイッチを含み得る。一形態では、スイッチアセンブリ4108は、超音波ハンドピース4114の電力設定を、最小電力レベル(例えば、最小)と最大電力レベル(例えば、最大)との間調節するように構成された、第1の電気接点部分4132a及び第2の電気接点部分4132bを有するトグルスイッチを備える。このトグルスイッチは、回路のハンドル部分に電気的に結合させることができ、その回路としては、例えば、超音波ハンドピース4114の作動を制御するために、ハンドピース4114を通って、回転可能な接続部を介して発生器4116に電気的に結合するように構成された、フレックス回路を挙げることができる。様々な形態では、スイッチアセンブリ4108は、超音波ハンドピース4114を起動して、超音波ハンドピース4114に関する1つ以上の電力設定を設定するための、1つ以上の電力設定スイッチを備える。
【0355】
当業者には理解されるように、発生器4116は、例えば、ケーブル4118を介して超音波ハンドピース4114に起動電力を提供することができる。上述のように、ハンドルアセンブリ4102は、例えば、スイッチアセンブリ4108に関連付けられた1つ以上のスイッチを通じて、超音波ハンドピース4114への電力供給を制御する発生器4116への電力制御命令を提供するために、簡便に使用することができる。例えば、動作時には、1つ以上のスイッチを、発生器4116との電気的通信のために構成することにより、超音波外科用器具4100の電力供給及び/又は電力動作の機構を制御することができる。少なくとも一形態では、発生器4116は、ハンドピース4114の内部に存在し得ることを理解されたい。
【0356】
上述のように、超音波ハンドピース4114は、遠位回転ノブ4134を介して、ハンドルアセンブリ4102又はその構成要素に対して回転するように構成されることにより、外科的処置の間に、超音波伝送導波管4128を回転させて、適切な配向でエンドエフェクタアセンブリ4112を配置することができる。したがって、様々な形態では、超音波ハンドピース4114は、ハンドルアセンブリ4102によって提供される電力制御操作に、1つ以上の点で電気的に結合させることができる。例えば、特定の形態では、例えば、特定の形態では、外科用器具は、ハンドルアセンブリ4102によって提供される電力制御操作が、超音波ハンドピース4114を介して、発生器4116と電気的に通信することを可能にする、回転可能な電気接続部を備え得る。すなわち、一形態では、ハンドルアセンブリ4102と超音波ハンドピース4114とは、接続モジュール4190の回転可能な電気接続部を介して、電気的に結合される。
【0357】
図96は、様々な形態によるコネクタモジュール4200を示す。コネクタモジュール4200は、網掛けしたボックスで分離させた図に示されている、フレックス回路4202及びハンドピース4114の遠位部分4204に結合されると図示されている。コネクタモジュール4200は、ハウジング4206と、回転結合部4208とを含む。図示されていないが、コネクタモジュール4200及び超音波ハンドピース4114は、超音波ハンドピース4114又は導波管4128が、ハウジング4206により画定された中央内径部4210内に位置決めされて、それによって、ハンドピースの遠位部分4204が受け取られて、コネクタモジュール4200と係合するように、ハンドルアセンブリ4102の開口部4156内に位置決めすることができる。先述したように、超音波ハンドピース4114は、導波管4128に機械的に及び音響的に結合することができ、該導波管は、エンドエフェクタアセンブリ4112に作動可能に結合するように構造化することができる。超音波ハンドピース4114は、コネクタモジュール4200のハウジング4206に対して回転可能とすることもでき、該コネクタモジュールは、超音波ハンドピース4114と、フレックス回路4202に作動上関連したスイッチアセンブリ4108など、ユーザーインターフェースを含む制御又はユーザーインターフェース回路との間に回転可能な電気的接続部をもたらすこともできる。
【0358】
例示する形態では、制御又はユーザーインターフェース回路は、フレックス回路4202を含む。例えば、回転可能な電気接続部は、例えば、スイッチアセンブリ4108を介して、ユーザーインターフェースにてユーザにより提供された電気制御操作指示又は信号を、例えば、超音波ハンドピース4114を介して発生器4116に電気的に結合することができる電気的連絡又は導電路を含むことができる。したがって、電気制御操作指示又は信号は、発生器4116により受信することができ、該発生器は、器具4100の動作を制御するために超音波ハンドピース4114への電力送給を変えることにより応答することができる。上記に関して、スイッチアセンブリ4108は、フレックス回路4202を含むか、又は、該フレックス回路に電気的に結合することができ、フレックス回路は、次に、ハンドピース4114を介してスイッチ4132a、4132bと発生器4116との間の電気機械インターフェースをもたらすように構成することができる。例えば、フレックス回路4202は、トグルスイッチ4132a、4132bを介して機械的式作動に向けて構成された1つ以上のスイッチ点4202a、4202bを含むことができる。一形態では、フレックス回路4202は、発生器4116に電気信号を提供するために押すことができるドーム部スイッチなど、電気接点スイッチを含むことができる。フレックス回路4202は、4211として概ね示す、導電経路など1つ以上の導体を含むことができ、該導電経路は、当業者に知られているように、ワイヤ、配線、又は他の導電経路によりもたらされ得る。導電経路は、
図97にコネクタモジュール4200の分解図で示すように、1つ以上のスイッチ導体又はリング導体4212、4214に電気的に結合することができる。フレックス回路4202は、1つ以上の導電リード4216、4218又はそれぞれの送給リング導体4212、4214(以下で説明)のタブを介してリング導体4212、4214に結合することができる。スイッチ導体を、1つ以上の導電経路を含むことができる概ね円弧状の構造体又は本体を画定するリング導体4212、4214と概ね本明細書でいうが、様々な形態では、スイッチ導体は、例えば、円弧状軌道などの他の構造体を含むことができることを認識されたい。
【0359】
コネクタモジュール4200は、外リング導体4212と、内リング導体4214とを含む。外リング導体4212及び内リング導体4214は、それぞれ、概ね開放式かつO字形の構造体を画定して、かつ、ハンドピース4114に対する相対的な回転に向けて構成される。外部及び内部リング導体4212、4214のそれぞれは、導電接続部、例えば、1つ以上の導電経路4211を介してフレックス回路4202に電気的に結合することができるリード4216、4218を更に含むことができ、その結果、ハンドピース4114を介した発生器4116への回転可能な電気連絡に向けて、コネクタモジュール4200への導電路が提供される。したがって、制御回路を確立することができ、コネクタモジュール4200は、ユーザーインターフェース、例えば、スイッチアセンブリ4108とハンドピース4114との間の回転可能な電気接続部を提供する。
【0360】
図97を概ね参照すると、様々な形態では、1つ以上のリンク4220、4222a、4222bは、導電路を含むリング導体4212、4214の一部に対して及び/又は該一部に沿って移動可能であるように位置決めすることができる。例えば、リンク4220、4222a、4222bは、ハンドピース4114がコネクタモジュール4200と係合するために開口部4156内で受け取られたとき、超音波ハンドピース4114に回転を結合することができる。方向4170(
図93を参照)での超音波ハンドピース4114の回転は、第1の位置及び第2の位置と間で対応するリング導体4212、4214に対する長手方向軸「T」を中心とした、連結部4220、4222a、4222bの対応する回転を生じ得る。リンク4220、4222a、4222bは、リンク4220、4222a、4222bが第1の位置及び第2の位置にあるとき、対応するリング導体4212、4214に電気的に結合するように位置決めされた1つ以上の導体接触部4224a、4224b、4226a、4226bを含むことができる。リンク4220、4222a、4222bは、リンク4220、4222a、4222bが第1の位置及び第2の位置にあるとき、超音波ハンドピース4114の遠位部分4204の遠位面4232a、4232b、4234a、4234bに電気的に結合するように構成された1つ以上のハンドピース結合接触部4228a、4228b、4230a、4230bを更に含むことができる。
【0361】
上記に関して、様々な形態では、リンク4220、4220a、4220aは、それぞれのリング導体4212、4214に対して回転可能とすることができる。リング導体接触部4224a、4224b、4226a、4226bは、ハンドピース4114がハウジング4206に対して回転するとき、リング導体4212、4214の表面周りに又は該表面に沿って回転するように位置決めすることができる。一形態では、リング導体4212、4214は、リング導体接触部4224a、4224b、4226a、4226bが第1の位置及び第2の位置から又は第1の位置と第2の位置の間に延在する円弧状回転部を介して回転可能に接触することができる円弧状表面又は軌道を含む。例えば、一部の形態では、リング導体接触部4224a、4224b、4226a、4226bは、円弧状導電路に沿ったそれぞれのリング導体4212、4214との圧力接触に向けて構成された圧力接触部を含むことができる。1つの形態では、1つ以上のリンク4220、4222a、4222bは、リンク4220、4222a、4222bがリング導体4212、4214に対して回転するとき、リング導体4212、4214に対して電気的結合を維持するために1つ以上のリング導体接触部4224a、4224b、4226a、4226bをリング導体4212、4214の方に緊張させるか、又は、付勢するスプリングアーム4236a、4236b、4238a、4238bなど緊張部材を含む。特定の形態では、リング導体接触部4224a、4224b、4226a、4226bは、リング導体が超音波ハンドピース及び/又は対応するリンク4220、4222a、4222bに関連した円弧状運動部の1つ以上の部分に沿ってリング導体4212、4214とリンク4220、4222a、4222bを電気的に結合することができるように、リング導体4212、4214の内面又は外面に当接して付勢することができる。他の形態では、例えば、リンク4212、4214は、リング導体4212、4214周り又は周辺の鉤状の又はループ状の部分を介して導電路に沿ってリング導体4212、4214と係合可能とすることができるリング導体接触部4224a、4224b、4226a、4226bを含むことができる。
【0362】
リンク4220、4222a、4222b及び対応するリング導体4212、4214の作動構成を示す
図98を概ね参照すると、コネクタモジュールは、外リング導体4212と、内リング導体4214とを含むことができる。様々な形態では、それぞれのリング導体4212、4214は、リング導体4212、4214の円弧状部分に沿った導電路を画定することもできる。外リング導体4212に対して、又は外リング導体4212を中心に回転するように構成される外リンク4220を設置することができる。内リンク4222a、4222bを、同様に、内リング導体4214に対するか又は内リング導体4214周りの回転に向けて構成することができる。例えば、外リング導体4212及び内リング導体4214は、ハウジング4206内に画定されたスロット4242、4244を介してフレックス回路4202に電気的に接続するように構成された導電リード4216、4218を含む。一形態では、導電リード4216、4218は、リンク4220、4222a、4222bに対する相対的な回転を可能にするために、外リング導体4212及び内リング導体4214を少なくともある程度保持することができる。それぞれのリンク4220、4222a、4222bは、リンク4220、4222a、4222bが第1の位置及び第2の位置にあるとき、対応するリング導体4212、4214に電気的に結合するように位置決めされた1つ以上の導体接触部4224a、4224b、4226a、4226bを含むことができる。それぞれのリンク4220、4222a、422bは、超音波ハンドピース4114の遠位部分4204の遠位面4232a、4230b、4232b、4234a、4234bに電気的に結合するように構成された1つ以上のハンドピース結合接触部4228a、4228b、4230aを含むことができる。例えば、リング導体接触部4224a、4224b、4226a、4226bは、リング導体接触部4224a、4224b、4226a、4226bが回転しながら対応するリング導体4212、4214との電気的接触を維持するように、第1の位置と第2の位置の間で長手方向軸を中心に回転させることができる。
【0363】
外リンクは、接触部4224a、4224bを外リング4212の内面の方に付勢するためにスプリングアーム4236a、4236bに結合することができる1対のリング導体接触部4224a、4224bを含むことができる。一形態では、内リンク4214は、接触部4226a、4226bを内リング4214の外面の方に付勢するように構造化されたスプリングアーム4238a、4238bに装着された1対のリング導体接触部4226a、4226bを含む。内リンク4222a、4222bは、第1の部分4222aと、第2の部分4222bとを含むが、特定の形態では、内リンク4222a、4222bは、単体構造体を含むことができる。例えば、内リンク4222a、4222bは、この1対のリング導体接触部4226a、4226bの間に延在する導電又は非導電体部分を含むことができる。
【0364】
先で導入したように、様々な形態では、コネクタモジュール4202は、ハンドルアセンブリ、ハウジング4206、ユーザーインターフェース4108、トリガ4120及び/又はリング導体4212、4214に関連した導電路に対して回転するように位置決めされた1つ以上のリンク4220、4222a、4222bを含む(
図94、98〜99を参照)。様々な形態に従って、リンク4220、4222a、4222bは、超音波ハンドピース4114の遠位部分4204と係合して電気的に結合するように構造化された1つ以上のハンドピース結合接触部4228a、4228b、4230a、4230bを含む(
図96)。一形態では、ハンドピース結合接触部4228a、4228b、4230a、4230bは、それぞれのリンク4220、4222a、4222bを超音波ハンドピース4114に少なくともある程度回転を結合するために超音波ハンドピース4114の遠位部分4204と係合するように構造化された係合部材を含むことができる。
【0365】
一形態では、外部リンク4220は、ハンドピースの遠位部分から外リング導体4212までの電気導電路を提供するために、この1対の外リング接点4224a、4224bと電気的に結合された1対の外部ハンドピース結合接点4228a、4228bを含む。この1対のハンドピース結合接点4228a、4228bのそれぞれは、回転結合部4210内に画定されたそれぞれのスロット4246a、4246b、を通って延在するように構造化される。以下で更に詳細に説明するように、回転結合部4210は超音波ハンドピース4114の回転部と結合するように構成することができる。例えば、様々な形態では、回転結合部4210は、超音波ハンドピース4114の回転部をリンク4220、4222a、4222bに結合する回転可能な枠組みを提供するように構成される。
【0366】
図98に示すこの1対のハンドピース結合接触部4228、4228bは、超音波ハンドピース4114の第1の遠位面4232a、4232bに沿って配置された1つ以上の電気接点と係合して電気的に結合するように構造化された湾曲延在部を含む。図示するように、この1対の外部ハンドピース結合接触部4228a、4228bの湾曲延在部は、外リンク4220への対応する回転を生じさせるために超音波ハンドピース4114の回転部を結合することを少なくともある程度支援するように動作することができる。例えば、湾曲延在部は、第1の遠位面4232a、4232bに摩擦で係合するか、又は、超音波ハンドピース4114及び回転結合部4210の回転を結合するために第1の遠位面4232a、4232b内に画定された溝又は縁部内に位置決め可能であるように構造化された縁部を含む係合部材を含むことができる。特定の形態では、外部ハンドピース結合接触部4228a、4228bは、外部ハンドピース結合接触部4228a、4228bを長手方向軸「T」の外方に及び/又は第1の遠位面4232a(4232b)の方に付勢するか、又は、緊張させるように構成された緊張部材又はスプリングアーム4248a、4248bから延在する。一形態では、外リンク4220は、リンク4220を保持するように構造化された突出部又は留め金具など1つ以上のタブ4250a、4250bを含む。例えば、第1のタブ4250aは、回転結合部4208内に画定されたスロット4252内で受け取ることができ、第2のタブ4250bは、リンク4220の位置又は配向を保持するために、回転結合部4208の一部に留まることができ、及び/又は、該一部に当接して圧縮可能とすることができる(
図100)。
【0367】
一形態では、内リンク4222a、4222b、は超音波ハンドピース4114から内リング導体4214までの電気導電路を提供するために、1対の内リング導体接触部4226a、4226bに電気的に結合された1対の内ハンドピース結合接触部4230a、4230bを含む。この1対の外部ハンドピース結合接触部4230a、4230bは、それぞれ、回転結合部4210内に画定されたスロット4254a、4254bを通って延在するように構造化され、かつ、超音波ハンドピース4114の遠位部分4204の第2の遠位面4234a、4234bに沿って配置された1つ以上の電気接点に係合して電気的に結合するように構造化された縁部を画定する湾曲延在部を含む。図示するように、湾曲延在部は、内リンク4222a、4222bの対応する回転を生じさせるために超音波ハンドピース4114の回転部を結合することを少なくともある程度支援するように動作する(
図96)ことができる。例えば、湾曲延在部は、超音波ハンドピース4114の回転部と回転を結合するように、第2の遠位面4234a、4234bに摩擦係合するか、又は、第2の遠位面4234a、4234b内に画定された溝又は縁部内に位置決めされるように構造化された係合部材を含むことができる。様々な形態では、内ハンドピース結合接触部4230a、4230bは、ハンドピース結合接触部4230a、4230b付勢又は緊張を長手方向軸「T」の外方に、及び/又は、ハンドピース4114の第2の遠位面4234a、4234bの方に提供するように構成されたスプリングアーム4258a、4258bを含む緊張部材から延在する。様々な形態では、内リンク4220a、4220bは、リンクを所望の配向に保持するために1つ以上のタブ4256a、4256bを更に含む。例えば、内リンク4220a、4220bは、第1のタブ4256aと、第2のタブ4256bとを含むことができる。第1及び第2のタブ4256a、4256bは、回転結合部4210内に画定されたスロット内で受け取られるか、又は、回転結合部4210の一部(図示せず)に留まり、及び/又は該一部と圧接するように構成することができる。
【0368】
様々な形態では、超音波ハンドピース4114の遠位部分4204は、
図96の網掛けのある隔離窓に概ね示す、1つ以上の遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234bを含むことができる。遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234bは、リンク4220、4222a、4222bを介してリング導体4212、4214に電気的に結合することができる電気接触部又は接触点を提供することができる。一部の形態では、ハンドピース4114をリング導体4212、4214に電気的に結合すると、先述したように、フレックス回路4202など、ユーザーインターフェース回路と、発生器4116とを含む電気回路を完了することができる。
【0369】
一形態では、ハンドピース4114は、ハンドピース4114の遠位部分4204に沿って位置決めされた遠位リム4205上又は遠位リム4205内に配置された遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234bを含むことができる。遠位リム4205は、1つ以上の電気接触部又は接触面を含む遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234bを画定する1つ又は溝を画定することができる。接触面は、例えば、当技術分野において知られている金めっき又は他の適切な導電電気接触材料を含むことができる。一形態では、この遠位リム4205は、ハンドピース結合接触部4228a、4228b、4230a、4230bを補完するか又は受け取るような大きさの長手方向又は円周方向の溝を画定することができる。例えば、遠位リム4205は、それぞれのハンドピース結合接触部4228a、4228b、4230a、4230bに嵌合可能に係合するために遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234bに沿った1つ以上の溝を画定することができ、コネクタモジュール4200がハンドピース4114を受け取るときに、遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234b及びそれぞれのハンドピース結合接触部4228a、4228b、4230a、4230bが摩擦で、電気的に、及び、回転を結合されるようになっている。一形態では、遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234b及びそれぞれのハンドピース結合接触部4228a、4228b、4230a、4230bは、オスメス又はロック及びキーの関係で結合することができる。特定の形態では、遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234bは、円周隆起部の全て又は一部に沿ってそれぞれのハンドピース結合接触部4228a、4228b、4230a、4230bに電気的に結合する遠位リム4205の内周部の周りに延在する1つ以上の円周隆起部を含む。様々な形態では、遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234bは、
図96に示すように、遠位リム4205の内面の円周隆起部上に配置された金メッキ円周電気接触部を含む。
【0370】
遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234bは、超音波外科用器具4100の動作を制御するために、電気制御信号をユーザーインターフェース、例えば、スイッチアセンブリ4108から伝達するために、ハンドピース4114及びワイヤ4118を通って延在するリードを介して発生器4116に電気的に結合することができる。したがって、一形態では、フレックス回路4202は、スイッチ4132a、4132b、と連動して、導電リード4216、4218に導電経路4211に沿って電気信号を提供するように構成することができ、次に、該導電リードは、リング導体4212、4214を介して、リンク4220、4222a、4222bとの電気接続部を提供し、次に、該リング導体は、超音波ハンドピース4114及びケーブル4118を介して発生器4116までの導電路を提供するために、超音波ハンドピース4114の遠位部分に配置された遠位接触面4232a、4232b、4234a、4234bに、ハンドピース結合接触部4228a、4228b、4230a、4230bを介して、電気的に結合する。
【0371】
様々な形態に従って、コネクタモジュール4202は、スピンドル4240を含む。スピンドルは、長手方向軸「T」に沿ってハウジング606から延在することができ、かつ、ハンドピース4114及び/又は導波管4128の長さを受け取るような大きさの中央内径部4210を長手方向軸「T」に沿って画定することができる。
図96〜97に示すように、スピンドルは、長手方向軸「T」に沿ってハウジング4206から近位に延在する。回転結合部4208は、ハウジング4206に対する長手方向軸「T」周りの回転に向けて、スピンドル4240上に回転可能に取り付けられる。特定の形態では、スピンドル4240は、回転結合部4208の長手方向の偏倚運動を保持、したがって、制限するように構造化された1つ以上の保持構造体4260a、4260bを含む。
【0372】
図99は、そのような、ハンドピース4114がリング導体4212、4214に対して回転することができるように、ハウジング4206に取り付けられたか、ないしは別の方法で該ハウジングに対して位置決めされたリング導体4212、4214を示す。リング導体4212、4214の1つ以上の部分は、ハウジング4206に対する固定部を提供するために、ハウジング4206内に画定されたスロットを通って延在することができる。上述したように、リング導体4212、4214は、ハウジング内に画定されたスロット4242、4244を通って延在するリード4216、4218を含むことができる。
図97及び99に示すように、外リング導体4212は、ハウジング4206内に画定された2つの保持スロット4264a、4264b内で受け取られるような大きさの2つのタブ4262a、4262bを含む。様々な形態では、リング導体4212、4214及び/又はハウジングは、超音波ハンドピース4114及びリング導体4212、4214と間の相対的な回転を可能にするためにハウジング4206に近接してリング導体4212、4214を位置決めするために使用することができる、例えば、フック、ラッチ、留め金具、又は、接着剤などの更なる位置決め用特徴を含むことができる。
図99では、内リング導体4214は、ハウジング4206から延在する表面4268に嵌合可能に係合するように構成された内周部4266(
図97を参照)を含む。一形態では、内リング導体4212は、摩擦で及び/又は接着剤で表面4268に付着することができる。
【0373】
図100は、内及び外リング導体4212、4214、及び、対応する内及び外リンク4220、4222a、4222bが中に位置決めされた回転結合部4210の遠位部分の斜視図を示す。回転結合部4210は、内及び外リンク4220、4222a、4222bを受け取って中に保持するように構成された複数の内側スロットを含む。様々な形態は
図100に示す以外のスロット構成を含むことができることを認識されたい。例えば、様々な形態では、回転結合部は、リンクを位置決めする位置決め拡張部を収容することができる。一形態では、リンク4220、4222a、4222bの1つ以上の部分は、接着剤により回転結合部に接着することができる。例示する形態では、回転結合部は、外リング導体4212を受け取る外スロット4270a、4270b、4270cを含む。外スロット4270a、4270b、4270cは、回転結合部4210と外リング導体4212との間の相対的な回転を可能にするような大きさでありえる。回転結合部4210は、外リンク4220を受け取るスロット4280を更に画定することができる。スロット4280は、外スロット4270a、4270b、4270cに対して長手方向軸「T」の方に内方に位置決めされる(
図96を参照)。スロット4280は、それぞれ、スプリングアーム4236a、4248a及び4236b、4248bを受け取るような大きさのスプリングアームスロット4282a、4282bを含む。スプリングアーム近傍で、スロット4282a、4282b、スロット4280は、それぞれ、外リング導体接触部4224a、4224b、を受け取るような大きさのスロット4284a、4284bを画定する。スロット4280は、更に、外ハンドピース結合接触部4228a、4228bを受け取って、スロット4246a、4246bまで近位に延在するような大きさのスロット4286a、4286bを画定する(スロット4246bを
図96に示す)。回転結合部4210は、内リング導体4214を受け取るスロット4296b、及び、内リンク4222a、4222bを受け取るスロット4281を更に画定することができる。スロット4281は、スプリングアームスロット4288a、4288bに対して長手方向軸「T」の方に内方に位置決めされ(
図96を参照)、それぞれ、スプリングアーム4238a、4238bを受け取るような大きさであり得る。それぞれのスプリングアームスロット4288a、4288bの一端の近傍で、回転結合部は、それぞれ、内リング接点4226a、4226bを受け取る内リング接点スロット4290a、4290bを画定する。それぞれのスプリングアームスロット4288a、4288bの他端の近傍で、回転結合部は、それぞれ、内ハンドピース結合接触部4230a、4230bを受け取って、それぞれ、スロット4254a、4254bまで近位に延在するような大きさのスロット4292a、4292bを画定する(スロット4254bを
図96に示す)。
【0374】
回転結合部は、更に、スピンドル4240周りに取り付けられるような大きさの内径部4294を画定する。回転結合部の近位内周面4296aは、スロット4296bを画定するより遠位内周面に対して減少した直径を含む内径部4294の部分を画定する。スロット4296aを画定する近位の内周面の減少した直径は、スピンドル4240周りの回転摩擦を低減することができ、かつ、リング導体4212、4214及びリンク4220、4222a、4222bなど、構成部品が、回転結合部4210内のスピンドル4240の周りに位置決めされるように更なる空間を提供することができる。回転結合部4210は、遠位外周面4298bよりも小さい直径を含む近位の外周面4298aを更に含む。遠位外周面4298aのより小さい直径は、リング導体4212、4214及びリンク4220、4222a、4222bなど、構成部品が、回転結合部4210内のスピンドル4240の周りに位置決めされるように、更なる空間を提供することができる。例えば、更なる回転可能な電気接続部を提供するために更なるリング導体及びリンクを提供することができることを認識されたい。
【0375】
図101〜103は、様々な形態によるコネクタモジュール4300を示す。一形態では、コネクタモジュールは、
図96〜99に関して先に説明した超音波外科用器具と類似の超音波外科用器具内の使用を見ることができる。したがって、簡潔のために、同様の特徴は、同様の数字により特定することができるので、同様に詳細には説明していない場合がある。しかしながら、様々な特徴は、同様の使用を見ることができ、コネクタモジュール4190及びコネクタモジュール4200に関して先に提示したもの及び超音波外科用器具4100としての同様の説明を共有することを理解されたい。例えば、コネクタモジュール4300は、フレックス回路4202に同様とある得るユーザーインターフェースに関連した回路に結合することができる。コネクタモジュール4300は、超音波ハンドピースの遠位部分4304に結合することもできる(
図93〜94を参照)。コネクタモジュール4300は、ハウジング4306と、回転結合部4308とを含み、かつ、ハンドルアセンブリ(例えば、
図93〜95に示すハンドルアセンブリ4102)内に位置決め可能とすることができる。先述したように、超音波ハンドピースは、エンドエフェクタアセンブリに動作可能に結合するように構造化することができる導波管に機械的及び音響的に結合することができる。超音波ハンドピースは、コネクタモジュールハウジング4306に対して回転可能とすることができ、該コネクタモジュールハウジングは、超音波ハンドピースとユーザーインターフェースとの間の回転可能な電気接続部を提供することができる。コネクタモジュール4300は、長手方向軸に沿ってハウジング4306から概ね近位に延在するスピンドル4340を含むことができる。回転結合部4308は、ハウジング4306に対し、スピンドル4340を中心に回転するように、その上に取り付けることができる。スピンドル4340は、回転結合部4308の長手方向の偏倚運動を保持して、したがって、制限するように構造化された1つ以上の保持構造体4360a、4360bを含む。
【0376】
スイッチアセンブリ4300は、超音波ハンドピースの第1の遠位面4332a、4332bに沿って配置された1つ又はそれ以上の電気接触部に電気的に結合するように構造化された圧力接触部を含む1対の外ハンドピース結合接触部4328、4328bを含む。外ハンドピース結合接触部4328a、4328bは、長手方向軸の外方に及び/又は第1の遠位面4332a、4323bの方に外ハンドピース結合接触部4328a、4328bを付勢するか、又は、緊張させるように構成された緊張部材又はスプリングアーム4348a、4348b(103図を参照)から延在することができる。外ハンドピース結合接触部4328a、4328bは、回転結合部4310内に画定されたスロット4346a、4346bをそれぞれ通って延在するように構造化することができ、超音波ハンドピースの遠位部分4304の第1の遠位面4332a、4332bに沿って配置された1つ以上の電気接触部に電気的に結合するように構造化された圧力接触部を含む。
【0377】
一形態では、スイッチアセンブリ4300は、超音波ハンドピースの第2の遠位面4334a、4334bに沿って配置された1つ以上の電気接触部に電気的に結合するように構造化された圧力接触部を含む1対の内ハンドピース結合接触部4330a、4330bを含む。内ハンドピース結合接触部4330a、4330bは、内ハンドピース結合接触部4330a、4330bを長手方向軸の外方に及び/又は第2の遠位面4334a、4334bの方に付勢するか、又は、緊張させるように構成された緊張部材又はスプリングアーム4358a、4358b(
図103を参照)から延在することができる。外ハンドピース結合接触部4330a、4330bは、回転結合部4310内に画定されたスロット4354a、4354b、を通ってそれぞれ延在するように構造化することができ、かつ、超音波ハンドピースの遠位部分4304の第2の遠位面4334a、4334bに沿って配置された1つ以上の電気接触部に電気的に結合するように構造化された圧力接触部を含む。
【0378】
図101〜102で最も明確に示すように、コネクタモジュール4300は、超音波ハンドピースと係合するように構造化された1つ以上の係合特徴部4399a、4399b、4399c、4399dを含む。係合特徴部4399a、4399b、4399c、4399dは、回転結合部4310の周りに形成された1つ以上の突出部、留め金具、又は「グリッパー」を含むことができる。係合特徴部4399a、4399b、4399c、4399dは、超音波ハンドピースの表面に嵌合可能に係合するように構造化される。係合特徴部は、回転結合部上に位置決めされた1つ以上の柔軟な、弾性の、屈曲可能な高分子材料を含むことができる。一形態では、係合特徴部4399a、4399b、4399c、4399dは、超音波器具の直径部を握持するような大きさである。例えば、係合特徴部4399a、4399b、4399c、4399dは、摩擦締り嵌めを生じるために超音波ハンドピースの寸法に対して小さ目である直径を画定することができる。様々な形態では、ハンドピースは、係合特徴部4399a、4399b、4399c、4399dの一部を受け取るように構成された隆起部又は溝を画定する遠位部分4304を含むことができる。一形態では、係合4399a、4399b、4399c、4399dは、ハンドピースが受け取られたときにハンドピースと回転方向に結合するために長手方向軸の外方に張力を提供しながら、ハンドピースを受け取るために長手方向軸の方に内方に屈曲するように構成することができる。
【0379】
図103は、内側及び外側リング導体4312、4314及び対応する内側及び外側リンク4320、4322a、4322bが中に配置された回転結合部4310の遠位図を示す。内及び外リンク4320、4322a、4322bは、外リング導体4312及び内リング導体4314に対して回転可能である。外リング導体4312及び内リング導体4314は、ハウジング4306内に画定されたスロットを介してユーザーインターフェースに電気的に接続するように構成された導電リード4316、4318を含む、該スロットは、スロット4342、4344と類似のものとすることができる。それぞれのリンク4320、4322a、4322bは、リンク4320、4322a、4322bが第1の位置及び第2の位置にあるとき、対応するリング導体4312、4314に電気的に結合するように位置決めされた1対の導体接触部4324a、4324b、4326a、4326bと、超音波ハンドピースの遠位部分4304の遠位面4332a、4332b、4334a、4334bに電気的に結合するように構成された1対又はハンドピース結合接触部4328a、4328b、4330a、4330bとを含む。例えば、リング導体接触部4324a、4324b、4326a、4326bは、リング導体接触部4324a、4324b、4326a、4326bが回転を介して対応するリング導体4312、4314との電気接点を維持するように、第1の位置と第2の位置の間で長手方向軸を中心に回転させることができる。
【0380】
外リンク4312は、接触部4324a、4324bを外リング4312の内面の方に付勢するように構造化されたスプリングアーム4336a、4336bに結合された1対のリング導体接触部4324a、4324bを含む。1対の外ハンドピース結合接触部4328a、4328bは、ハンドピースの遠位部分4304から外リングまでの電気導電路を提供するために1対の外リング接点4324a、4324bと電気的に結合される。内リンク4314は、1対のハンドピース結合接触部4320a、4320bに電気的に結合された1対のリング導体接触部4326a、4326bを含み、リング導体接触部4326a、4326bを内リング4314の外面の方に付勢するように構造化されたスプリングアーム4338a、4338bに取り付けられる。内リンク4322a、4322bは、第1の部分4322aと、第2の部分4322bとを含む。
【0381】
回転結合部4310は、近位の回転面4396a及び遠位スロット4396bにより画定された中央内径部4394を形成する。回転結合部4310は、リング導体4312、4314及び対応するリンク4320、4322a、4322bを受け取るような大きさの複数のスロットを含む。
図103に示すスロット構成は、
図100に示すスロット構成と類似のものであり、簡潔さのために詳細には説明しない。例えば、回転結合部は、内リング導体4314を受け取る外リング導体4312と、スロット4396bを受け取るスロット4370とを含む。回転結合部は、外リンク4312を受け取るような大きさのスロット4380を画定する。回転結合部は、内リンク4322bの第2の部分を受け取る内リンク4322a、及び、スロット4388bの第1の部分を受け取るスロット4388aも画定する。スロット4346a、4346bは、長手方向軸の外方に向く外周窓を含む。スロット4392a、4392bは、内ハンドピース結合接触部4330a、4320bを受け取るように外方に向く円弧状溝構造を画定する。
【0382】
図104及び105は、概ね5020と指定された、固有かつ新奇なスイッチアセンブリを採用するハンドルアセンブリ5000の一形態を示す。様々な形態では、ハンドルアセンブリ5000は、本明細書で開示する他のハンドルアセンブリとデザイン及び使用が類似のものである。したがって、先述した他のハンドルアセンブリ構成に共通である特徴部は、ハンドルアセンブリ5000のデザイン及び動作を理解するために必要であり得るもの域を越えてまで詳細には論じない。
【0383】
少なくとも1つの形態では、ハンドルアセンブリ5000は、ハンドルハウジング5002を形成するために共に結合されるように構成される2つのハンドルハウジングセグメントを含むことができる。例えば、左のハンドルハウジングセグメント5004を
図104に示し、右のハンドルハウジングセグメント5006を
図105に示す。ハンドルハウジングセグメント5004、5006は、それぞれ、プラスチック、又は、他のポリマ材料から作製し、かつ、ネジ、ボルト、締め金特徴部、接着剤などの締結具により共に結合することができる。ハンドルハウジングセグメント5004、5006は、簡単に握持し、かつ、片手で操作することができるピストル形の握り5008を形成することができる「固定式」ハンドル部を有するハンドルハウジング5002を形成するように協働する。
図104でわかるように、左のハンドルハウジングセグメント5004は、概ね5010と指定された「親指溝」領域を確立するように輪郭をつけることができる。当業者は、臨床医が右手でピストル形の握り5008を握持しているとき、例えば、臨床医の親指が当然ながら親指溝領域5010内に位置することができると容易に認識するであろう。少なくとも1つの形態では、右のハンドルハウジング5006も、臨床医が左手でハンドルアセンブリ5000を握持する場合、臨床医の左の親指が当然ながらその領域内に位置するように類似の親指溝領域(図示せず)を形成することができる。
【0384】
先に示したように、ハンドルアセンブリ5000は、第1のスイッチ構成部5030と、第2のスイッチ構成部5060とを含むことができるスイッチアセンブリ5020を含む。少なくとも1つの形態では、第1のスイッチ5030は、ハンドルハウジング5002の「前方部分」5003に対する枢動移動に向けて支持される第1のボタンアセンブリ5032を含む。第1のボタンアセンブリ5032は、例えば、ポリマー又は他の適切な材料で形成され、かつ、ジャーナル部分5038により相互接続される第1のフィンガーボタン5034と、第2のフィンガーボタン5036とを含むことができる。ジャーナル部分5038は、左右のハウジングセグメント5004、5006の間に延在する第1のピボットピン5040上で、第1のボタンアセンブリ5032を枢動可能に支持する役目をする。第1のピボットピン5040は、他のハウジングセグメント5004、5006の1つ内に成形され、かつ、他のハウジングセグメント5004、5006内に形成された対応するソケット(図示せず)内に受け取られ得る。第1のピボットピン5040は、他の手段により、ハンドルハウジングセグメント5004、5006に取り付けることもできる。第1のピボットピン5040は、アセンブリ5032を「揺動させる」ことができる第1のボタン軸線FS−FSを画定する。
図107を参照されたい。少なくとも1つの形態では、第1及び第2のフィンガーボタン5034、5036は、
図106及び107に示すように、多少「球状」の形状を設けることができる。更に、フィンガーボタン5034、5036を直接見ることなく第1のフィンガーボタン5034と第2のフィンガーボタン5036とを区別する臨床医の能力を更に高めるために、フィンガーボタンの1つは、際立った特徴部又は特徴部類を設けることができる。例えば、
図106及び107に示すように、第1のフィンガーボタン5034は、外周部に形成された複数の戻り止め5042又は他の形成体を有する。
【0385】
図105でわかるように、スイッチフレーム5050は、第1のボタンアセンブリ5032の近位に、かつ、親指溝領域5010の近傍であるハウジングアセンブリ5002の部分内に位置するようにハンドルアセンブリ5002内に支持される(
図104)。一形態では、スイッチフレーム5050は、第1のボタンアセンブリ5032に対して非移動可能であり、かつ、ハンドルハウジングセグメント5004、5006内に成形されたか、又は、該ハウジングセグメント上にその他の方法で形成された隔離支持体又は他のガセット板のような支持体特徴部上でしっかりと支持することができる。スイッチフレーム5050は、第1のフィンガーボタン5034に対応する第1の接点パッド5054と、第2のフィンガーボタン5036に対応する第2の接点パッド5056とを含む回路基板5052、例えば、プリント回路基板、フレックス回路、剛性フレックス回路、又は他の適切な構成体を支持することができる。当業者は、第1のボタンアセンブリ5032を第1のスイッチ軸線FS−FS周りに揺動させる、又は、枢動することにより、臨床医は、第1のフィンガーボタン5034を枢動して第1の接点パッド5054と作動接触させることにより第1の接点パッド5054を作動することができると理解するであろう。本明細書で使用するとき、「作動接触」という用語は、接点パッド(又は類似の接点構成部)の作動を開始するためには必要とされるフィンガーボタンと第1の接点パッドとの間で十分な量の物理的接触を含むことができる。「作動接触」は、接点パッドの作動を開始するのに十分である接点パッド(又は、他の接点構成部)に対するフィンガーボタンの物理的な近接−ただし、指のいかなる部分も接点パッドに実際に物理的に触れることなく−の十分な量も含むことができる。臨床医は、第2のフィンガーボタン5036を枢動して第2の接点パッド5056と作動接触させることにより、第2の接点パッド5056をアクティブ化することができる。そのような独自かつ新奇な第1のスイッチ構成部は、臨床医がハンドルアセンブリ5000のピストル形の握り部分5008を握持しているときに、人差し指により簡単に作動させることができる。したがって、スイッチアセンブリのあらゆるボタンは、ハンドルアセンブリを支持する単一の手により簡単に作動させることができる。先述した様々な形態の場合と同様に、第1のスイッチ構成部5030は、超音波ハンドピースの電力設定を変調し及び/又は本明細書で説明する様々なアルゴリズムをアクティブために採用することができる。
【0386】
一部の形態では、第1のスイッチ構成部5030は、発生器30、500、1002のいずれかなど、発生器に結合される。例えば、それぞれの接点パッド5054、5056は、一部の形態では、本明細書で先に説明したコネクタモジュール4200と類似のものであるコネクタモジュール5057を介して、発生器と電気的に連絡することができる。コネクタモジュール5057は、内部又は外部発生器に結合される。それぞれの接点パッド5054、5056の作動を示す信号は、発生器に器具5000の動作を修正させることができる。例えば、臨床医が第1のフィンガーボタン5034を選択したときに、発生器にエンドエフェクタに提供された電力のレベルを上げされることができる。臨床医が第2のフィンガーボタン5036を選択したときに、発生器にエンドエフェクタに提供された電力のレベルを下げさせることができる。様々な実施形態では、発生器は、最低電力レベル(例えば、MIN)と最高電力レベル(例えば、MAX)との間で構成可能とすることができる。例えば、Ohio州CincinnatiのEthicon Exndo−Surgery社から入手可能なGEN11発生器の一部の形態は、5つの電力レベルを提供する。フィンガーボタンは、生成器を電力レベル間で切り替えるために使用することができる。また、一部の形態では、フィンガーボタン5034、5036の一方又は両方は、本明細書で説明するものなど、アルゴリズムに関連づけることができる。例えば、ユーザがボタン5034の1つを選択したとき、発生器は、アルゴリズム、例えば、アルゴリズム3021、3021’、3021’’、3120、3170の1つ以上、
図15A〜15C、20〜22、57〜60に関して説明するアルゴリズムのいずれかなどを実行することができる。
【0387】
様々な形態では、スイッチアセンブリ5020は、第2のスイッチ構成部5060も含む。
図107〜109を参照すると、第2のスイッチ構成部5060は、それぞれスイッチフレーム5050に枢着される右のスイッチボタン5062及び左のスイッチボタン5066を含むことができる。例えば、右のスイッチボタン5062は、第1のスイッチ軸線FS−FSに実質的に横である右のスイッチ軸線RS−RS周りの選択的な枢動移動に向けてスイッチフレーム5050に枢着又はピン結合される。
図108及び
図109を参照されたい。同様に、左のスイッチボタン5066は、左のスイッチ軸線LS−LS周りの選択的な枢動移動に向けてスイッチフレーム5050に枢着される。代替構成では、左右のスイッチボタン5062、5066は、ハンドルハウジングセグメント5004、5006により枢支することができる。
【0388】
少なくとも1つの形態では、左右のボタン5062及び5066は、臨床医の親指及び/又はフィンガーによる作動し易さを促進するために一般的な「樽形状」を有することができる。この作動し易さは、左右のボタン5062、5066がそれぞれのハンドルハウジングセグメントに関連した一般的な親指溝領域内に戦略的に位置するという事実によりさらに高められる。例えば、臨床医は、ピストル形の握り5008を右手に保持する場合、接触用の押し流し運動で右のスイッチボタン5062全体にわたって右の親指を押し流すことにより右のスイッチボタン5062を起動することができる。同様に、臨床医は、ピストル形の握り5008を左手に保持した場合、接触用の押し流し運動で左のスイッチボタン5066全体にわたって左の親指を押し流すことにより左のスイッチボタン5066を起動することができる。そのような独自かつ新奇なスイッチ構成部は、スイッチボタンへの直接的な内方の力による軽率な作動を回避することにより、左右のスイッチボタン5062、5066の作動を可能にする。
【0389】
図108でわかるように、右のスイッチボタン5062は、回路基板5052の一部を含む右の接点パッド5058を作動させる、突出する右のスイッチアーム部5064を有する。同様に、左のスイッチボタン5062は、回路基板5052の一部を含む左の接点パッド5059を作動させる、突出する左のスイッチアーム部5068を有する。したがって、当業者は、右のスイッチ軸線RS−RSを中心に右のスイッチボタン5062を揺動させるか、又は、枢動することにより、臨床医は、右の接点パッド5058をアクティブ化することができ、左のスイッチボタン5066を揺動させることにより、臨床医は、左の接点パッド5059をアクティブ化することができることを理解するであろう。左右の接点パッド5058、5059は、例えば、コネクタモジュール5057を介して発生器と電気的に連絡することができる。発生器は、スイッチボタン5062、5066の1つの作動に応じて任意の適切な方法で器具5000の動作を修正するようにプログラムすることができる。例えば、一部の形態では、フィンガーボタン5062、5066の一方又は両方は、本明細書で説明するものなど、アルゴリズムに関連づけることができる。例えば、ユーザがボタン5034の1つを選択したとき、発生器は、アルゴリズム、例えば、アルゴリズム3021、3021’、3021’’、3120、3170の1つ以上、
図15A〜15C、20〜22、57〜60に関して説明したアルゴリズムのいずれかなどを実行することができる。一部の形態では、発生器は、例えば右利き又は左利きである臨床医に対応するように、スイッチボタン5062、5066の作動に応じて同じアルゴリズムを実行するようにも構成される。
【0390】
図109Aは、第1のスイッチ構成部5030並びに第2のスイッチ構成部5060’を含むことができるスイッチアセンブリ5020’を示す。少なくとも1つの形態では、第2のスイッチ構成部5060’は、突出する左の枢動アーム5067を有する左のスイッチボタン5066’を含む。ピボットマウント5007、又は、左のハンドルハウジング5004内に成形されたか、又は、その他の方法で形成された形成体上に枢設することができる。左のスイッチボタン5066’は、樽のような形状又は構成を有し、かつ、第1のスイッチ軸線FS−FSに実質的に横とすることができる左のスイッチ軸線LS−LS周りに選択的に枢動可能とすることができる。臨床医は、左のスイッチアーム部5067のアクチュエータ部分5069をハンドルアセンブリ内に支持された対応する左の接点パッド5059と作動接触させるために、左のスイッチボタン5066’を選択的に枢動することができる。例示する構成では、第2のスイッチ構成部は、先述したように左のスイッチボタン5066’のみを含む。代替形態では、第2のスイッチ構成部は、
図109Aに示す方法で、ハンドルハウジングの右の側面に取り付けられた右のスイッチボタンのみを含むことができる。第2のスイッチ構成部の更に他の形態は、
図109Aに示す方法で取り付けられた左右のスイッチボタンの両方を含むことができる。
【0391】
図110及び111は、左右のスイッチボタン5162、5166は、枢動せず、その代わりに、内方に押すとそれぞれの左右の接点(図示せず)と接触することができるようにそれぞれのハンドルハウジングセグメント5106、5104内に支持される点を除き、先述したハンドルアセンブリ5000と類似のものであるハンドルアセンブリ5100の別の形態を示す。しかしながら、先述したハンドルアセンブリ5000の場合と同様に、左右のスイッチボタン5162、5166は、臨床医がピストル形の握り部5108を握持しているときに操作し易さを促進するために先述した方法でそれぞれ一般的な親指溝領域5012、5010内に位置する。
【0392】
図112は、左側ボタン5266が図示するようにスイッチフレーム5250に枢動結合し、かつ、枢動して対応する左の接点パッド5059と作動接触するように適合されるスイッチ支柱5267を形成することができる別のハンドルアセンブリ5200の左のハンドルハウジングセグメント5204の一部を示す。ハンドルアセンブリ5200の右のボタンアセンブリ(図示せず)を同様に構成することができる。代替構成では、左右のボタンをそれぞれのハンドルハウジングセグメントに枢結することができる。
【0393】
図113及び114は、第2のスイッチ構成部5060の代わりに、例えば、先述したハンドルアセンブリ5000において採用することができる第2のスイッチ構成部5360の別の形態を示す。
図113及び114でわかるように、第2のスイッチ構成部5360は、先に論じたハンドルアセンブリ内に支持されるスイッチフレーム5350より上方にかつ該スイッチフレーム全体にわたって横方向に延在する左のスイッチアーム部5370を有する左のスイッチボタン5366を含むことができる。左のスイッチアーム部5370は、ハンドルアセンブリの右のハンドルハウジング(図示せず)の近傍であるスイッチフレーム5350の右の部分又は形成体5352に枢結されるように構成される。左のスイッチアーム部5370は、左のスイッチアーム部が枢動することができる右のスイッチ軸線RS−RSを画定するために、例えば、スイッチフレーム5350の右の部分5352にピン結合することができる。
図113を参照されたい。左の作動ピン又は出張り5372は、臨床医が先述した方法で左のスイッチボタン5366を揺動させたときに、左の作動ピン5372をスイッチフレーム5350上で支持される対応する左の接点パッド5359と作動接触させるように左のスイッチアーム部5370から下方に延在する。
【0394】
図113及び114を尚も参照すると、第2のスイッチ構成部5360は、ハンドルアセンブリの左のハンドルハウジング(図示せず)の近傍にあるスイッチフレーム5350の左の部分又は形成体5354に枢結される左のスイッチアーム部5370より上方にかつ該スイッチアーム部全体にわたって横方向に延在する右のスイッチアーム部5380を有する右のスイッチボタン5362を更に含むことができる。右のスイッチアーム部5380は、例えば、右のスイッチアーム部5380が枢動することができる左のスイッチ軸線LS−LSを画定するためにスイッチフレーム5350の左の部分5354にピン結合することができる。
図113を参照されたい。右の作動ピン又は出張り5382は、左のスイッチアーム部5370の対応する孔5374を通って右のスイッチアーム部5380から下方に延在し、臨床医が先述した方法で右のスイッチボタン5362を揺動させたときに、右の作動ピン5382をスイッチフレーム5350上で支持される対応する右の接点パッド5358との作動接触させるようになっている。左右のスイッチ軸線は、実質的に互いに平行とすることができるが、互いから横方向に変位させることができる。第1のスイッチ構成部5030を含むハンドルアセンブリにおいて採用されたとき、左右のスイッチ軸線は、それぞれ、その第1のスイッチ構成部の第1のスイッチ軸線FS−FSに対して実質的に横方向とすることができる。当技術分野内のもの又は普通の技術は、そのようなスイッチ構成部は、実質的に下にまっすぐであるボタン運動も促進する枢動アーム又は長さの長尺化を促進すると理解するであろう。
【0395】
図115は、第2のスイッチ構成部5060の代わりに、例えば、先述したハンドルアセンブリ5000において採用することができる第2のスイッチ構成部5460の別の形態を示す。その図でわかるように、左右のスイッチボタン5566、5562は、スイッチボタン5566、5562間で中央に配置され、かつ、単一のスイッチ軸線SAを画定するスイッチフレーム5450に枢結されるように構成される。第1のスイッチ構成部5030を含むハンドルアセンブリにおいて採用されたとき、スイッチ軸線SAは、その第1のスイッチ構成部の第1のスイッチ軸線FS−FSに対して実質的に横方向とすることができる。スイッチフレーム5450は、ハンドルハウジングアセンブリ内にしっかりと支持し、かつ、それぞれの左右のハンドルハウジングセグメント(図示せず)間に延在することができる。
【0396】
少なくとも1つの形態では、右のスイッチボタン5462は、スイッチフレーム5450に枢結される、延在する右のリンク5480を有する。同様に、左のスイッチボタンは、スイッチフレーム5460に枢結されるように延在する左のリンク5470を有する。左右のリンク5480、5470は、ボタン5462及び5466が枢動することができるスイッチ軸線SAを画定するために、共通のピン(図示せず)によりスイッチフレーム5450まで枢動することができる。右の作動ピン又は出張り5482は、右のスイッチリンク5480から内方に延在し、臨床医が先述した方法で右のスイッチボタン5462を揺動させたか、又は、枢動したときに、右の作動ピン5482が、スイッチフレーム5450上で支持された対応する右の接点パッド5458と作動接触するようになっている。同様に、左の作動ピン又は出張り5472は、左のスイッチリンク5470から内方に延在し、臨床医が先述した方法で左のスイッチボタン5466を揺動させたか、又は、枢動したときに、左の作動ピン5472がスイッチフレーム5450上の対応する左の接点パッド5459と作動接触するようになっている。スイッチアーム部5470及び5480のそれぞれは、例えば、対応するばね、又は、スイッチリンク5470、5480及びフレーム5450と間に位置決めされた付勢構成部(図示せず)により作動されない位置に付勢することができる。
【0397】
図116は、第2のスイッチ構成部5060の代わりに、例えば、先述したハンドルアセンブリ5000において採用することができる第2のスイッチ構成部5560の別の形態を示す。その図でわかるように、第2のスイッチ構成部5560は、右端が右のスイッチボタン5562を形成し、左端が左のスイッチボタン5566を形成するように、右のハンドルハウジング部分5006と左のハンドルハウジング部分5004との間に延在する単一の第2のスイッチアクチュエータ5561を採用する。第2のスイッチアクチュエータ5561は、第2のアクチュエータ5561がスイッチ軸線SA−SAに沿って選択的に軸方向に変位可能であるように、左右のハンドルハウジングセグメント5004、5006の対応する開口部5005及び5007を摺動可能に通って延在する。第1のスイッチ構成部5030を含むハンドルアセンブリ5000において採用されたとき、スイッチ軸線SA−SAは、その第1のスイッチ構成部の第1のスイッチFS−FS軸線に実質的に平行とすることができる。
【0398】
右の付勢部材5590及び左の付勢部材5592は、第2のスイッチアクチュエータ5561内に位置決めし、かつ、
図116に示すように第2のスイッチアクチュエータ5561を作動されない位置に中央に配置されたように保つためにスイッチフレーム5550の中央に配置された部分と協働するように構成することができる。スイッチ接点アセンブリ5557は、第2のアクチュエータ5561に装着されたか又は該アクチュエータ上に形成された右のアクチュエータ部材又は突出部5563と、第2のアクチュエータ5561上に形成された左のアクチュエータ部材又は突出部5565との間で中央に位置することができる。スイッチ接点アセンブリ5557は、例えば、右のアクチュエータ5563に対応する右の部分5557Rと、左のアクチュエータ部材5565に対応する左の部分5557Lとを有することができる。したがって、右のスイッチボタン5562を内方に押すことにより、第2のスイッチアクチュエータ5561は、右のアクチュエータ5563をスイッチ接点アセンブリ5557の右の部分5557Rと作動接触させるために、左方向「LD」に横方向に移動することになる。同様に、左のスイッチボタン5566を内方に押すことにより、第2のスイッチアクチュエータ5561は、左のアクチュエータ5565をスイッチ接点アセンブリ5557の左の部分5557Lと作動接触させるために、右方向「RD」に横方向に移動することになる。
【0399】
図117〜120は、多少図式の形で、本明細書で開示する様々な超音波ハンドルアセンブリに関連して採用することができるスイッチアセンブリ5620を示す。少なくとも1つの形態では、スイッチアセンブリ5620は、例えば、第1のボタンアセンブリ5032が先に詳細に説明したハンドルアセンブリ5000内に位置決めされるところに位置することができる単一のボタンアセンブリ5632を含む。例えば、ボタンアセンブリ5632は、臨床医が対応するハンドルアセンブリのピストル一部を握持しているときに臨床医の人差し指により作動可能ことができるアクチュエータボタン5634が上に形成されるボタンキャリッジアーム部5633を含むことができる。
【0400】
少なくとも1つの形態では、ボタンキャリッジアーム部5633は、ハンドルハウジング内に作動可能に支持されるスイッチハウジング5670の細長いスロット5671内で移動可能に受け取られる1対のピボットピン5637、5639を含むことができる。ボタンピボットピン5637、5639は、ボタンキャリッジアーム部5633の軸方向の動き(
図118)、並びに、スイッチハウジング5670に対するボタンキャリッジアーム部5633の回転運動又は枢動(
図119及び120)を促進する。
図117〜120でわかるように、細長いスロット5671が、開いて、右のスイッチ5658に対応する右端5675と、左のスイッチ5659に対応する左端5677と、中央スイッチ5654に対応する中央端5679とを有する3方アクチュエータ開口部5673になる。
図117でわかるように、ボタンキャリッジアーム部5633は、左のスイッチアクチュエータ部5690と、中央スイッチアクチュエータ部5692と、右のスイッチアクチュエータ部5694とを含むことができる。更に、右のばね5680及び左のばね5682を、作動されないとき、ボタンキャリッジアーム部5633を中央のかつ中立の位置(
図117)に保つためにボタンキャリッジアーム部5633とハンドルハウジング5002との間に設けることができる。
【0401】
スイッチアセンブリ5620の作動は、
図118〜120の参照から理解することができる。
図118は、矢印「D」により表すように、アクチュエータボタン5634を内方に押すことによる中央スイッチ5654の作動を示す。アクチュエータボタン5634が押されると、ボタンキャリッジアーム部5633が、中央スイッチアクチュエータ部5692を中央スイッチ5654と作動接触させるためにスイッチハウジング5670の細長いスロット5671に沿って又は該スロットに対して軸方向に移動する。
図119は、右のスイッチアクチュエータ部5694を右のスイッチ5658の作動接触させる、「MIN」と記載された矢印により表す方向にアクチュエータボタン5634を枢動することによる右のスイッチ5658の作動を示す。
図120は、左のスイッチアクチュエータ部5690を左のスイッチ5659と作動接触させる「MAX」矢印により表す方向にアクチュエータボタン5634を枢動することによる左のスイッチ5659の作動を示す。それぞれのスイッチ5654、5658、5659は、本明細書で先に説明したように、例えば、コネクタモジュール5057を介して発生器と電気的に連絡することができる。発生器は、スイッチ5654、5658、5659の1つの起動に応じて器具500に対して任意の適切な動作を実行するようにプログラムすることができる。例えば、一部の形態では、スイッチ5658及び5659は、先述したフィンガーボタン5034、5036と類似の機能を実行する。例えば、ボタン5658、5659の1つを起動させると、発生器にエンドエフェクタに提供された電力を増大させることができ、一方、他のボタン5658、5659を起動させると、発生器に、エンドエフェクタに提供された電力を減少させることができる。また、発生器は、任意の一つ以上のボタン5654、5658、5659に応じて、アルゴリズム、例えば、1つ又はそれ以上のアルゴリズム3021、3021’、3021’’、3120、3170、
図15A〜15C、20〜22、57〜60に関して説明したアルゴリズムのいずれかなどに即して構成することができる。
【0402】
臨床医が異なれば、超音波外科用器具及び本明細書で説明するようなシステムを使用する技法も異なることが多い。例えば、一部の臨床医は、通常、刃に対してクランプアーム部を完全に閉鎖することなく超音波外科用器具を起動させる。一部の臨床医はこの技法がシステム効率を向上させると考えているが、実際にはそうではないことが多く、かつ、例えば、必要とする切除時間の延長化、時には切除及び/又は凝固を損なわれることにより組織を損傷させる可能性を有する。
【0403】
様々な形態では、これ及び他の問題は、クランプアーム部が完全に閉鎖されたときを示す閉鎖スイッチを有する外科用器具を構成することにより対処することができる。発生器は、閉鎖スイッチがクランプアーム部が完全に閉鎖されたことを示すまで、又は、そのように示さない限り、外科用器具を起動させる差し控えるように構成することができる。
図95及び105をここで参照すると、閉鎖スイッチの一部の形態は、ハンドル4122内に位置決めされる(
図95)。例えば、
図95及び105は、ハンドル4122の内側の近位の部分(
図95)、及び、1つ又はそれ以上のハンドルハウジングセグメント5004、5006(
図105)上に位置決めされた任意選択的な閉鎖スイッチ5900を示す。
【0404】
スイッチ5900は、トリガ4124が最も近位の位置にてスイッチ5900に接触するように位置決めすることができる。例えば、スイッチ5900は、トリガ4124のストロークの終わりに(例えば、
図93の矢印4121aの方向に)位置決めすることができる。このようにすると、トリガ4124は、トリガ4124が刃に対してクランプアーム部を閉鎖するために近位に引き抜くときにスイッチ5900に接触することができる。様々な形態では、スイッチ5900は、エンドエフェクタが閉鎖される(例えば、クランプアーム部が刃の方へ枢動される)ときに起動される、でした、どこにでも位置決めすることができる。例えば、スイッチ5900は、エンドエフェクタを閉鎖するためにそれらの構成部品の一方又は他方が遠位に並進するときに起動されるように、ヨーク4174及び/又は往復動する管状の作動部材4138の遠位に位置決めすることができる。スイッチ5900は、例えば、本明細書で説明するように、発生器30、50、1002など、コネクタモジュール5057及び/又は4200及びハンドピースを介して、発生器と電気的に連絡することができる。様々な形態では、発生器は、スイッチ5900も起動しない限り、外科用器具を起動させないようにプログラムされる。例えば、発生器が作動要求を本明細書で説明するスイッチの1つ以上からの受信した場合、クランプアーム部が閉鎖されることを示すためにスイッチ5900が起動する場合に限り作動要求に応答することができる。
【0405】
図121は、医療器具6004及び回路6006に結合された発生器6002を示すシステム6000のブロック図を示す。発生器6002は、器具6004に直に結合することができるか、又は、ケーブル6008を介して結合することができる。回路6006は、ビットの符号化された送信フレームを信号条件付け回路2002から(例えば、1対の導電要素HS/SRを介して発生器1002ターミナルHS及びSR(
図19)から)受信するために発生器6002に接続することができる。様々な形態では、発生器6002は、発生器2002と機能的に同等であり、
図19に関連して説明済みである。したがって、簡潔さ及び明瞭さのために、発生器2002、6002の説明は、ここで繰り返さない。それにもかかわらず、他の生成器をシステム6000において採用することができることが認識されるであろう。また、開示するシリアルプロトコルの一部の態様を様々な回路及びシステムに関連して本明細書で以下に説明することができるが、本開示の範囲は、
図123〜128に開示するプロトコルタイミング図に従って送信フレーム上で信号を生成するありとあらゆる方法を包含することが意図されていることが認識されるであろう。
【0406】
図123〜127に関連して本明細書で以下で詳細に説明する符号化された送信フレームは、反復双方向通信信号であり、符号化されたフレームは、発生器6002により繰り返し送信される。フレームは、ビットの振幅及びビットのパルス幅を変調することにより単一のビットで同時に入出力(I/O)情報を符号化する一連のビットを含む。入力ビットは、回路6006の状態に関する情報が回路6006の出力、及び、したがって、器具6004の出力状態をいかに設定するかに関する発生器6002からの情報で符号化された出力ビットと同時に発生器6002に伝達されるように符号化される。本明細書で説明する様々な形態では、発生器6002は、回路6006の出力を設定する方法に関する情報を発生器6002から回路6006に伝達するためにパルスの幅(時間)を変調又は設定する。本明細書で説明する様々な形態では、回路6006は、回路の状態に関する情報を発生器6002に伝達するためにパルスの高さ(振幅)を変調又は設定する。更に、一形態では、回路6006には、双方向通信信号から寄生的に電力を供給することができる、他のいかなる電源も含まない。他の形態では、回路6006には他の電源から電力を供給することができる。他の形態では、回路6006には、双方向通信信号及び他の電源から共に寄生的に電力を供給することができる。
【0407】
器具6004は、発生器6002に関連して、作動スイッチ入力及び器具EEPROMをサポートする少なくとも1つのスイッチを含むことができる回路6006を含む。EEPROM回路6006は、(データ回路2006、2007に関して上述したように器具内に提供することができる。一部の実施形態では、回路6006は、ハンドピース1014など、ハンドピース上に位置決めすることができ、かつ、例えば、現在の設定値、利得などのハンドピース特有のデータを発生器に提供することができる。器具6004は、様々なI/O能力を提供し、かつ、複数のスイッチ入力、アナログ入力、並びに、個別の出力、アナログ出力)を採用することができる。複数のスイッチ入力及び出力の機能性を実行するために、回路6006は、新規なシリアル信プロトコルを使用して発生器6002と通信し、該シリアル通信プロトコルのタイミング図を、
図122〜127に関連して示す。回路6006は、発生器6002及び器具6004を電気的に結合するHS−SR電気導電素子を短絡させるように構成される。HS−SR方向を短絡させると、回路6006は、スタート/ストップビットと称すことができる送信フレームスタート及びストップパルスを設定することができる。フレーム長を設定することに加えて、HS−SR線を短絡させると、発生器6002は、ループ較正を行うことができ、発生器6002は、ループ抵抗を送信されるそれぞれのフレームについて測定する。
【0408】
発生器6002の各種形態は、器具6004内に収容された1つ以上の回路6006との通信を可能にすることができる。特定の形態では、回路6006は、概ねデータを送信及び/又は受信する任意の回路とすることができる。一形態では、例えば、回路6006は、情報が関連する特定の外科用器具6004に関連する情報を記憶することができる。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は他の種類の情報を含み得る。更に又はあるいは、任意の種類の情報を、回路内での保管に向けて回路6006に伝達することができる。そのような情報は、例えば、器具6004が使用された更新された回数、及び/又は使用日付及び/又は時間を含むことができる。特定の形態では、回路6006は、1つ以上のセンサー(例えば、器具を基本とする温度センサ)により取得されたデータを送信することができる。特定の形態では、回路6006は、データを発生器6002から受信して、受信したデータに基づいてユーザに表示(例えば、LED、電力スイッチ情報及び聴覚及び/又は視覚表示)を提供することができる。
【0409】
特定の形態では、回路6006は、器具6004と発生器6002の間の通信は、この目的のために、更なる導体(例えば、ハンドピースを発生器6002に接続するケーブルの専用導体)を提供する必要がなく行うことができるように構成することができる。一形態では、例えば、情報は、器具において質問信号を信号条件付け回路から回路6006に送信するために使用される導体の1つなど、既存の配線上で実行される1線式バス通信方式を使用して回路を起点、終点として伝達することができる。このようにして、その他の場合に必要であり得る器具6004の設計変更又は修正が、最小限に抑えられるか、又は、低減される。更に、異なる種類の通信を一般的な物理チャネル(周波数帯域分離の有無を問わず)上で実行することができるので、回路6004の存在は、必須データ読み取り機能性を有していない発生器には「見えない」とすることができ、その結果、器具6004の下位互換性が可能である。
【0410】
発生器6002は、情報をケーブル6008と一体型であるか、又は、該ケーブルとの使用に向けて構成される外科用装置特有である回路6006とやり取りすることができ、かつ、例えば、モデル番号、製造番号、外科用装置が使用された操作回数及び/又は任意の他の種類の情報を含むことができる。情報は、発生器6002から、内部に記憶するために回路6006に伝達することもできる。一形態では、回路6006は、器具6004上又は該器具内に位置する必要がなく、かつ、特定の器具6004形式又はモデルを発生器6002と接続するアダプター内に配置することができる。
【0411】
図122は、器具6004内の回路6006のブロック図を示す。回路6006は、1対導電対の導電要素6010、6012を介して質問信号を受信するために発生器に接続することができる。回路6006は、複数の分岐部を含むことができる。第1の分岐部は、制御装置6014を含み、第2の分岐部は、データ回路6016を含み、更なる分岐部は、更なるデータ回路6018又は他の回路、センサー、スイッチ、インジケーター(聴覚、触覚、視覚)を含むことができる制御装置6014、データ回路6018及び/又は他の回路には、フレームビットでエネルギーにより寄生的に電力を供給することができる。他の形態では、制御装置6014、データ回路6018及び/又は他の回路には、他の電源から電力を供給することができる。他の形態では、制御装置6014、データ回路6018及び/又は他の回路は、両方とも、双方向通信信号及び他の電源から寄生的に電力を供給することができる。
【0412】
制御装置6014は、特定用途向け集積回路(ASIC)、プロセッサとメモリとを含むマイクロコントローラ、デジタル信号処理回路、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、個別の回路などとすることができる。制御装置は、複数の入力部S
0〜S
nを含み、nは、適切な整数である。
図122に示すように、複数の入力部S
0〜S
nは、複数のスイッチSW
0〜SW
nに結合され、nは、任意の適切な整数である。スイッチSW
0〜SW
nは、器具6004に関連した機能を制御する入力を制御装置6014に提供する。制御装置6014は、本開示によるシリアルプロトコルを介してスイッチSW
0〜SW
nの状態を発生器6002に伝達する。
【0413】
制御装置6014は、複数の出力部O
0〜O
mも含み、mは、任意の適切な整数であり、かつ、nと同じとすることができる。出力部O
0〜O
m、発生器6002により伝達された情報に従って器具6004に関連した機能を制御するために制御装置6014により駆動される。
【0414】
様々な形態では、回路6006は、1線式プロトコルで伝達する1つ以上のデータ回路6016、6018を含むこともできる。特定の形態では、データ回路6016、6018は、1線式バス装置(例えば、1線式プロトコルEEPROM)、又は、他の1線式プロトコル又はローカルインタコネクトネットワーク(LIN)プロトコルデバイスとすることができる記憶要素を含む。一形態では、例えば、データ記憶要素302は、1線式EEPROMを含むことができる。データ記憶要素は、データ回路6016、6018内に収容することができる回路要素の一実施例である。データ回路は、データを送信又は受信することができる1つ以上の他の回路要素又は構成部品を更に又は代替的に含むことができる。そのような回路要素又は構成要素は、例えば、1つ以上のセンサー(例えば、器具ベースの温度センサー)によって捕捉されたデータを伝達し及び/又は発生器6002からデータを受信し、受信したデータに基づいてユーザーに指標(例えば、LED指標又は他の可視指標)を提供する。
【0415】
動作中、発生器6002及び回路6006は、本開示による確固とした、順応性がある、雑音に極めて強い通信プロトコルで通信する。プロトコルは、1線式EEPROM(例えば、データ回路6016、6018)通信と同じ線上で共存し、かつ、既存のレガシー回路との下位互換性を維持しながら、発生器6002が器具6004に最大8まで異常の個別の入力及び出力を伝達することを可能にするために、2つの器具導電要素6010、6012(HS、HSR)上で使用される。プロトコルは、繰り返し送信されるフレームを含む。フレームは、スタート/ストップ及びヘッダパルスなどのオーバーヘッドパルス(ビット)、及び、それぞれの情報パルスの振幅及び幅(パルス持続時間)を変調することにより両方の入出力情報を単一のパルス(ビット)に符号化する同時に符号化された情報パルス(ビット)を含む。
【0416】
そのようなプロトコルの一形態を
図123及び124に関連して示すが、
図123は、発生器6002出力部でのシリアルプロトコルのフレームにおける電流パルスのタイミング
図6020を示し、
図124は、回路6014出力部でのシリアルプロトコルのフレームにおける電圧パルスのタイミング
図6022を示す。説明を
図122に関連して読むべきである
図123をまず参照すると、タイミング
図6020は、電流パルスの形の、発生器6002から制御装置6014への出力信号を示す。電流限界(レール)は、特定の発生器6002/器具6006組み合わせに従って選択することができる。一形態では、例えば、電流レールは、+15mA及び−15mAである。フレームは、レールHS−SR全体にわたって短絡を適用することにより、制御装置6014により生成されたスタート/ストップパルス6024a、6024b、の立ち上がり6023a、6023bで始まりかつ終了する。フレームは、スタートパルス6024aの立ち上がりエッジ6023aで始まり、ストップパルス6024bの立ち上がりエッジ6023bで終了する。電流信号パルスは、発生器6002から制御装置6014へのスタートパルス6024aの送信中に、ゼロ交差を介して負のレール−Iから正のレール+Iまで揺れる。スタートパルス6024が生成された後、ヘッダパルス6026、6028、及び、符号化されたI/O情報パルス6025が送信される。最終の符号化された情報パルス6025が送信された後、ストップパルス6024bの立ち上がりエッジ6023bが、電流フレームの終了を知らせる。その後、次のフレームが開始され、このプロセスが繰り返す。一態様では、スタート/ストップパルス6024a、6024b、以外のフレームビットは、0から負のレール−Iまで揺れる。他の態様では、スタートパルス6024a後のフレームビットの一部は、正及び負のレール+I、−I間で揺れる。後者の態様を
図128に関連して本明細書で以下に論じる。
【0417】
フレーム情報パルスは、幅及び振幅の両方に関して同時に符号化される。スタート/ストップパルス6204a、6024b、の幅は、t
0である。スタートパルス6024a後の電流パルスは、ヘッダパルスであり、ヘッダパルス6026、6028を表し、更には、パルス幅t
0を有する。情報を発生器6002から器具6004に伝える出力パルスを符号化するコンテキストでは、情報パルス6025は、パルスに幅にをt
1に増大させることにより、論理回路「1」出力パルス6030として符号化し、一方、論理「0」出力パルス6032は、スタートパルス6024、ヘッダパルス6026、6028と同じパルス幅t
0を有することができる。出力論理「1」は、出力アクティブ状態に対応し、器具6004は、電力を発生器6002から引き出す。先に論じたように、フレームは、第1の導電要素6010(HS)を第2の導電要素6012(SR)に短絡させることによりスタート電流パルス6024の立ち上がり6023aで開始され、HS及びSRは、発生器6002を器具6004と接続する電力線及び信号線である。
【0418】
図124は、ゼロ交差を介した電圧パルス+/−Vのタイミング
図6022を示す。タイミング
図6022は、制御装置6014からの発生器6002への入力情報(入力)、及び、発生器6002から制御装置6014への出力情報(出力)で同時に符号化されるI/O情報パルスを示す。スタートパルス6034aの他に、シリアル通信は、ゼロと信号の負の側面との間で行われる。図示するように、論理「1」入力電圧信号−V
1は、負であるが、論理「0」入力電圧信号−V
0正である。入力論理「1」は、スイッチ(SW
0〜SW
n)閉成状態に対応する。
【0419】
図122に示す回路6006に関連して
図123、124に示すタイミング
図6020、6022をここで参照すると、フレームは、そのスタートパルス6034aの立ち上がり6023aにて開始されて、ストップパルス6023bの立ち上がりにて終了する。中間には、フレームは、スタートパルス6024aの後に送信された2つのヘッダパルス6040、6042と、複数の同時に符号化されたI/O情報パルス6044とを含む。一形態では、ヘッダパルス6042、6042と情報パルス6044との間のビット6048は、ゼロに戻り、かつ、t
0のパルス幅を有する。他の形態では、
図128に関連して本明細書で以下で説明するように、ヘッダパルス6042、6042と情報パルス6044との間のビットは、交番しながら正又は負のレールのどちらかの1つに戻る。そのような構成の1つの利点は、回路6066に電力を供給するためのフレーム信号からの更なる寄生電力の活用であることが認識されるであろう。
【0420】
情報パルス6044は、入出力の両方に関する情報を伝えるために符号化される。したがって、それぞれの情報パルス6044は、器具6004から発生器6002への入力に関連した第1の論理状態、並びに、発生器6002から器具6002への出力に関連した第2の論理状態を画定する。I/O信号の同時符号化を
図125Aに関連して更に詳細に論じ、符号化されたI/Oビットの4つの論理状態は、本開示の明瞭さのために別々に図示する。
【0421】
図124を再び参照すると、ヘッダパルス6040は、入力論理「0」を表し、ヘッダパルス6042は、入力論理「1」を表す。ヘッダパルス6040、6042は、存在検出のために、かつ、回路6006形式を特定するために発生器6002により使用することができる。発生器6002は、電流フレーム内の入力パルスについてADC範囲を較正するために、特定のADC値を使用してヘッダパルス6040、6042又は開始の一方又は両方がないかビット6084を判断することができる。発生器6002は、パラメータをEEPROM 6016、6018から読み取ることにより、特定の器具6004により使用された入力及び出力の数を判断することになる。
【0422】
フレーム当たりのI/Oパルスの数は、所与の器具6004の使用された入力又は出力の数のうち大きい方とすることができるか、又は、一定の数とすることができる。入力及び出力の最大数は所定の数、例えば8(合計16)であるが、所与の器具6004の未使用入力及び出力は、実行又は除去される場合もあれば、実行又は除去されない場合もある。未使用入力(入力より出力が多い場合)は、回路6006により論理「0」に設定することができる。未使用出力は、ポーリング速度又は回路6006へのエネルギー移動を最適化するために、必要に応じて、発生器6002により論理状態「0」又は「1」に設定することができる。回路6006は、独自の回路及び任意の出力デバイス(例えば、LED、スイッチ、トランジスタ(フィードバックデバイスを含む電源スイッチ、例えば、聴覚、視覚、触覚)の両方に電力を供給するために負のパルスからのエネルギーを保存することになる。EEPROM 6016、6018の通信が、信号の正電圧側で行われることになる。
【0423】
タイミング
図6022の下の凡例6054を参照すると、それぞれの情報パルス6044は、2つの負の電圧レベル−V
1,−V
0により示す2つの可能な入力論理状態(入力論理「1」及び入力論理「0」)、2つのパルス幅t
1,t
0により示す2つの可能な出力論理状態(出力論理「1」及び出力論理「0」)とを有することがわかる。したがって、スイッチ(SW
0〜SW
n)閉成が発生した場合、次の情報パルスは入力論理「1」状態−V
1に下がり、スイッチ(SW
0〜SW
n)が開成のままである場合、次の情報パルスは、入力論理「0」状態−V
0に下がる。同じ時間周期にて、器具6004が電力を生成器6002から引き出している場合、出力論理回路「1」パルス幅は、t
1であり、器具6004が電力を生成器6002から引き出していない場合、出力論理回路「0」パルス幅は、t
0。
【0424】
である。タイミング
図6022に示すように、リセットパルス6034、ヘッダパルス6040、6042、出力論理「0」パルスのパルス幅は、ゼロに戻り、パルス6048は、それぞれ、t
0のパルス幅を有する。出力論理「1」パルスのみが、t
1のパルス幅を有し、t
0<t
1である。本明細書で例示する特定の電圧レベル及びパルス幅は、その他の場合では、−V
1<−V
2及びt
0>t
1であるように選択することができることが認識されるであろう。また、リセットパルス6034、ヘッダパルス6040、6042、出力論理「0」パルス、及びはゼロに戻り、パルス6048は、それぞれ、異なるパルス幅を有することができる。
【0425】
図125A〜Dに示すように、情報パルス6056は、発生器6002と器具6004、例えば、回路6006との間の通信中、4つのI/O論理状態のうちの2つで符号化することができる。
図125Aでは、例えば、情報パルス6056Aは、論理電圧レベルが−V
0であり、論理電流パルス幅がt
0であるので入力論理「0」及び出力論理「0」を表す。
図125Bでは、例えば、情報パルス6056Bは、論理電圧レベルが−V
1であり、論理電流パルス幅がt
0であるので入力論理「1」及び出力論理「0」を表す。
図125Cでは、例えば、情報パルス6056Cは、論理電圧レベルが−V
0であり、論理電流パルス幅がt
1であるので入力論理「0」及び出力論理「1」を表す。
図125Dでは、例えば、情報パルス6056Dは、論理電圧レベルが−V
1論理電流パルス幅がt
1であるので入力論理「1」及び出力論理「1」を表す。
【0426】
図126は、シリアルプロトコルの1つの例示的なタイミング
図6064を示す。
図126に示すように、かつ、
図122も参照すると、タイミング
図6064は、3つの入力を含み、出力を含まないプロトコル通信信号を表す。
図22でS
0,S
1、及びS
2として参照した入力が、回路6006の制御装置6014部分に結合される。この3つの入力は、制御装置6014に結合されたスイッチSW
0、SW
1、SW
2の状態に関連づけることができるか、又は、他の形式の入力に関連づけることができる。制御装置6014は、スイッチSW
0、SW
1、SW
2の状態(開成又は開成)に基づいて−V
0又は−V
1に対応する符号化されたビットの振幅を変調する。SW
0、SW
1、SW
2この実施例におけるフレームは、合計6つのパルスについて、スタートパルス6034aと、2つのヘッダパルス6040、6042と、スイッチSW
0、SW
1、SW
2の状態と一致する3つの情報パルス6058、6060、6062とを含む。フレームは、ストップパルス6034bの立ち上がりエッジ6023bで終了する。
【0427】
図126に示すように、第1及び第2の情報パルス6058、6060は、入力スイッチSW
0、SW
1、SW
2が開成であることを示す入力論理「0」であり、第3の情報パルスは、スイッチSW
2が閉成であることを示す入力論理「1」である。出力がないことから、符号化されている出力パルスがなく、したがって、フレームは、6つのパルス、3つのオーバーヘッドパルス(例えば、リセットパルス及びヘッダパルス6034、6040、6042)及び3つの情報パルス6058、6060、6062からなる。フレームは、発生器6002に器具6004での入力スイッチSW
0、SW
1、SW
2の状態を知らせるために繰り返し送信される。変化がスイッチSW
0、SW
1、SW
2の状態において発生したときに、そのスイッチに関連したビットが、自動的に符号化され、フレームは繰り返す。
【0428】
図127は、連続プロトコルの1つの例示的なタイミング
図6068を示す。
図127に示すように、及び、
図122をまた参照すると、タイミング
図6068は4つの入力及び2つの出力を含むプロトコル通信信号を表す。
図22でS
0、S
1、S
2、及びS
3として参照した入力が、回路6006の制御装置6014部分に結合される。出力が、制御装置6014のO
0及びO
1に関連づけられる。この4つの入力は、制御装置6014に結合されたスイッチSW
0、SW
1、SW
2、SW
3の状態に関連づけることができるか、又は、他の形式の入力に関連づけることができる。出力O
0及びO
1が、例えば、他の機能の間で、聴覚、視覚、触覚フィードバック、電力制御を駆動するなどの器具6004の様々な機能を制御するために使用される。制御装置6014が、スイッチSW
0、SW
1、SW
2、SW
3の状態(開成又は閉成)に基づいて、対応する符号化されたビットのパルス高さ(振幅)を−V
0又は−V
1に変調する。発生器6002が、発生器6002が制御装置6014に伝達しようとする出力制御情報に基づいて符号化されたビットのパルス幅(時間)を変調する。この実施例におけるフレームは、合計7つのパルスについて、スタートパルス6034aと、2つのヘッダパルス6040、6042と、スイッチSW
0、SW
1、SW
2、SW
3の状態と一致する4つの情報パルス6058、6060、6062とを含む。フレームは、ストップパルス6034bの立ち上がり6023bで終了する。
【0429】
図127に示すように、制御装置6014は、入出力情報の両方を有する第1の情報ビット6070を符号化している。したがって、情報ビット6070の電圧及び第1のパルス幅が、出力を論理「0」として、入力を論理「1」として符号化するために変調される。同様に、制御装置6014は、入出力情報の両方で、第2の情報ビット6072を符号化している。したがって、第2の情報ビット6072の電圧及びパルス幅が、出力を論理「1」として、入力を論理「0」として符号化するために変調される。この実施例では4つの入力及び2つのみの出力があることから、第3及び第4のビット6074、6076が、入力情報だけで符号化され、第3のビット6074は、入力論理「1」として符号化され、第4のビットは、入力論理「0」として符号化される。フレームは、発生器6002に器具6004での入力スイッチSW
0、SW
1、SW
2、SW
3の状態を知らせるために繰り返し送信され、出力O
0及びO
1が、制御装置6014により駆動される。変更がスイッチSW
0、SW
1、SW
2、SW
3の状態において発生したか、又は、発生器6002が2つの出力O
0及びO
1の1つを制御しようとするとき、これと関連するビットが、自動的に符号化され、フレームが、繰り返す。
【0430】
図128は、シリアルプロトコルの例示的なタイミング
図6080、6083を示す。
図128及び122をここで参照すると、一番上の波形は、生成器6002により出力されたときの電流のタイミング
図6080である。電流信号は、ゼロにて交差して+Iから−Iまで揺れる。このタイミング
図6080は、スタートビット6084、入力論理「1」送信6086及びストップビット6102「誤差なし」状態中を除き、連続的に回路6014への電力を示す。一番下の波形6082は、回路6014での電圧タイミング図である。ヘッダビット6104が、フレームを開始し、次に1つのスタートビット6084が来る。12個の入力ビット及び12個の出力ビットが、先に論じたように単一のフレームにわたって同時に符号化され、入力論理ビットは、パルス振幅を変調することにより符号化され、出力論理ビットは、パルス幅を変調することにより符号化される。その後、12の情報ビットが、12個の入力及び12個の出力を符号化するために送信される。図示するように、入力#1 6086は論理「1」として符号化され、出力#1 6090は論理「0」として符号化される。入力#2 6088は論理「1」として符号化され、出力#2 6092は論理「1」として符号化される。入力#3 6094は論理「0」として符号化され、出力#3 6092は論理「1」として符号化される。最終ビットは、入力#12 6098が論理「0」として符号化され、出力#12が論理「0」として符号化されることを表す。示すように、1つ置きのビット6106が、正の電源レールに戻り、該正の電源レールは、器具6004回路6006に向けて更なる寄生電力をもたらす。
【0431】
上記において様々な詳細が説明されてきたが、医療機器のシリアル通信プロトコルの様々な態様は、これらの特定の詳細なしに実践することができることが認識されるであろう。例えば、簡潔かつ明確にするために、選択された態様は、詳細に示すのではなく、ブロック図で示されている。本明細書に示した詳細な説明のうちの一部の部分は、コンピュータメモリに記憶されたデータに対して動作する命令という点で提示されることができる。そのような説明及び表現は、当業者によって、自身の仕事の内容を当該技術分野の他者に説明及び伝達するために使用されているものである。一般に、アルゴリズムとは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、伝達、結合、比較、及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理量の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などで参照することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの物理量に当てはめられる便利なラベルである。
【0432】
別段の明確な定めがない限り、以下の議論から明らかなように、説明の全体を通じて、「処理する」又は「計算する」又は「算出する」又は「決定する」又は「表示する」などの用語を利用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ、又はそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0433】
「一態様」、「態様」、「一形態」、又は「形態」への言及は、その態様と関連して記載される、特定の機構、構造、又は特性が、少なくとも一態様に含まれていることを意味することは特記に値する。したがって、明細書を通じて様々な場所に「一態様において」、「態様において」、「一形態において」又は「形態において」という用語が出てきても必ずしも同じ態様を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様で、任意の好適なやり方で組み合わせることができる。
【0434】
一部の態様は、「連結された」、及び「接続された」という表現、加えてこれらの派生語を使用して記載され得る。これらの用語は、互いに同義語であることを意図されないことが理解されるべきである。例えば、一部の態様は、2つ以上の要素が互いに物理的に又は電気的に接触していることを示すために、「接続された」という用語を使用して記載され得る。別の実施例において、一部の態様は、2つ以上の要素が互いに物理的に又は電気的に接触していることを示すために、「連結された」という用語を使用して記載され得る。しかしながら、用語「連結された」は、また、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでも互いに協働するか、又は相互作用することを意味し得る。
【0435】
「一態様」、「態様」、「一形態」、又は「形態」への言及は、その態様と関連して記載される、特定の機構、構造、又は特性が、少なくとも一態様に含まれていることを意味することは特記に値する。したがって、明細書を通じて様々な場所に「一態様において」、「態様において」、「一形態において」又は「形態において」という用語が出てきても必ずしも同じ態様を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様で、任意の好適なやり方で組み合わせることができる。
【0436】
様々な実施形態について本明細書で説明してきたが、これらの実施形態に対する多数の修正例、変形例、置換例、変更例、及び等価物が実施することができ、また、当業者に思い付くものとなろう。また、特定のコンポーネントについて材料を開示した部分では、他の材料を使用することもできる。したがって、理解されたいこととして、上述の説明及び添付の「特許請求の範囲」では、そのようなすべての修正例及び変形例を、開示する形態の範囲に含まれるものとして網羅することが意図されている。以下の「特許請求の範囲」は、そのようなすべての修正例及び変形例を網羅することを意図したものである。
【0437】
一般的な意味において、当業者は、広範囲にわたるハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はその任意の組み合わせにより実行することができる本明細書で説明した様々な態様は、様々な形式の「電気回路」で構成されると見ることができることを認識するであろう。その結果として、本明細書で使用するとき、「電気回路」としては、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムにより構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、少なくともある程度本明細書で説明するプロセス及び/又は装置を実行するコンピュータプログラムにより構成された汎用コンピュータ又は少なくともある程度本明細書で説明するプロセス及び/又は装置を実行するコンピュータプログラムにより構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、記憶装置(例えば、種々の形のランダムアクセスメモリ)を形成する電気回路、及び/又は、通信デバイス(例えば、モデム、通を含むがこれらに限定されない信スイッチ又は光電機器)を形成する電気回路を含むがこれらに限定されない。当業者に理解されたいこととして、本明細書で述べた主題は、アナログ若しくはデジタルの形式又はそれらの一部の組み合わせで実現されることができる。
【0438】
前述の詳細な説明では、ブロック図、流れ図、及び/又は実施例によって、装置及び/又はプロセスの様々な形態が記述されている。そのようなブロック図、流れ図、及び/又は実施例が、1つ又は2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、流れ図、又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの事実上、任意の組み合わせによって、個別にかつ/又は共同に実現されることができる。一形態において、本明細書に記載された主題の一部の部分は、専用集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレー(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の集積型の形式で実現することができる。しかしながら、当業者に理解されたいこととして、その全部か一部かを問わず、本明細書で開示される形態の一部の態様は、1台又は2台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台又は2台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実現されることができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれる。加えて、当業者に明らかとなることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類に関わらず用いられる。信号搬送媒体の例には、限定するものではないが、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなどの記録可能なタイプの媒体、並びに、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバーケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信器、送信ロジック、受信ロジックなど)など)の送信タイプの媒体が含まれる。
【0439】
上述の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、本明細書で言及し、及び/又は、任意の出願データシート内に記載された非特許出版物、又は任意の他の本開示材料の全ては、本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。このように、また必要な範囲で、本明細書に明確に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する内容に優先するものとする。本明細書に参照により援用するものとされているが既存の定義、見解、又は本明細書に記載された他の開示内容と矛盾するすべての内容、又はそれらの部分は、援用された内容と既存の開示内容との間にあくまで矛盾が生じない範囲でのみ援用するものとする。
【0440】
当業者に理解されたいこととして、本明細書に記載した構成要素(例えば動作)、装置、目的、及びそれらに関連する議論は、構想を明らかにするための例として用いられており、様々な構成の変更が企図される。結果として、本明細書で用いるとき、記載した特定の例及びそれらに伴う議論は、より一般的な種類を代表することを意図したものである。一般に、特定の代表例を用いることは、その種類を代表することを意図したものであり、また、特定の構成要素(例えば動作)、装置、及び目的を含めないことは、限定するものとみなされるべきではない。
【0441】
実質的に任意の複数及び/又は単数の用語を本明細書で用いることに関して言えば、当業者は、状況及び/又は用途に適切となるように、複数から単数へ、かつ/又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数/複数の置換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的には記述されない。
【0442】
本明細書に記載する主題はときに、種々の他の構成要素の中に含められた、又はそれらと連結された種々の構成要素を示している。理解されたいこととして、そのように表現したアーキテクチャは単に例示的なものであり、実際に、同じ機能性を達成する多数の他のアーキテクチャが実現されることができる。概念的な意味で、同じ機能性を達成する構成要素の任意の配列が、所望の機能性を達成するように効果的に「関連付け」られる。したがって、特定の機能性を達成するように結合された任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間の構成要素に関わらず、所望の機能性を達成するように互いに「関連付け」られたと見なされることができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素はまた、所望の機能性を達成するように互いに「動作可能に連結」又は「動作可能に結合」されていると見なされることができ、また、そのように関連付けられることが可能な任意の2つの構成要素はまた、所望の機能性を達成するように互いに「動作可能に結合可能」であると見なされることができる。動作可能に結合可能である特定の例には、限定するものではないが、物理的に嵌合可能及び/若しくは物理的に相互作用する構成要素、並びに/又は、無線式で相互作用可能及び/若しくは無線式で相互作用可能な構成要素、並びに/又は、論理的に相互作用する、及び/若しくは論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられる。
【0443】
一部の実例において、1つ以上の構成部品は、本明細書で、「ように構成された」、「ように構成可能な」、「ように動作可能/動作する」、「適合された/適合可能な」、「できる」、「準拠した/準拠の」と称される場合がある。当業者は、文脈上、特に必要とされない限り、「ように構成された」は、アクティブ状態の構成部品や非アクティブ状態の構成部品及び/又は待機状態の構成部品を概ね包含することができることを認識するであろう。
【0444】
本明細書に記載される本主題の特定の態様が図示及び記載されてきたが、本明細書の教示に基づき、変更及び修正が、本明細書に記載される主題及びそのより広範な態様から逸脱することなく行われ得、したがって、添付の特許請求の範囲が、本明細書に記載される主題の真の趣旨及び範囲内であるように、かかる変更及び修正の全てをそれらの範囲内に包含するものとすることが当業者には明らかとなるであろう。一般に、本明細書で、特に、添付の特許請求の範囲で使用される用語(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)は、概ね、「開いた」用語であることが意図されている(例えば、「を含め」という用語は、「を含むがこれらに限定されず」と解釈すべきであり、「を有する」という用語は、「少なくともを有する」と解釈すべきであり、「を含む」という用語は、「を含むがこれらに限定されない」と解釈すべきである)ことが、当業者により理解されるであろう。特定の数の導入された請求項の記載が意図される場合、当該の意図は、請求項内で明示的に記載され、当該の記載がない場合は、そのような意図は存在しないことが、更に、当業者により理解されるであろう。例えば、理解の一助として、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記載内容を導入するために導入部の語句「少なくとも1つの」及び「1つ又はそれ以上の」の用法も含むことができる。しかしながら、そのような語句の用法は、同じ請求項が、導入的語句「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」及び、「a」又は「an」などの不定冠詞を含む(例えば、「a」及び/又は「an」は、一般的に、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈すべき)ときでさえも、不定冠詞「a」又は「an」による請求項記載内容の導入は、当該の導入された請求項記載内容を含む任意の特定の請求項を1つの当該の記載内容のみを含む請求項に限定することを意味するとは解釈すべきではなく、同じことが、請求項記載内容を導入するために使用される明確な冠詞の使用にも当てはまる。
【0445】
更に、たとえ特定の数の導入された請求項記載内容が明示的に記載されているとして、当業者は、当該の記載内容は、一般的に、少なくとも記載された数字を意味すると解釈すべきである(例えば、「2つの記載内容」という記載内容はそのままで、他の修飾語句がなくても、少なくとも2つの記載内容、又は、2つ以上の記載内容を意味する)ことを認識するであろう。更に、「A、B及びC、などの少なくとも1つ」に類似した表記法が使用される実例において、一般に、そのような構造は、当業者がこの表記法を理解する意味において意図される(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有するシステム」であれぱ、Aを単独で、Bを単独で、Cを単独で、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、及び/又は、A、B、及びCを共に有するシステムを含むがこれらに限定されない)。「A、B、又はCなどの少なくとも1つ」に類似した表記法が使用される実例において、一般に、そのような構造は、当業者がこの表記法を理解する意味において意図される(例えば、「A、B、又はCの少なくとも1つを有するシステム」であれぱ、Aを単独で、Bを単独で、Cを単独で、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、及び/又は、A、B、及びCを共に有するシステムを含むがこれらに限定されない)。通常は、2つ以上の代替用語を提示する離接語及び/又は語句は、説明、特許請求項の範囲、又は図面においてである否かを問わず、文脈上特に指示がない限り、用語の1つ、用語のいずれか一方、又は、両方の用語を含む可能性を企図すると理解すべきであることが、当業者により理解されるであろう。例えば、語句「A又はB」は、通常は「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されることになる。
【0446】
添付の「特許請求の範囲」に関して言えば、当業者に明らかとなることとして、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施されてよい。また、様々な動作上の流れがシーケンスで示されているが、理解されたいこととして、様々な動作は、図示した以外の順序で実施されてもよく、あるいは同時に実施されてもよい。そのような別の順序付けの例には、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、重複、交互配置、割込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを挙げることができる。更に、「に応答する」、「に関連する」、又は他の過去時制の形容詞は一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、そのような変化形を除外するように意図するものではない。
【0447】
特定の場合において、システム又は方法の使用が、たとえ構成部品がテリトリの外側に置かれるとしてもテリトリにおいて発生し得る。例えば、分散コンピューティングのコンテキストにおいて、分離型コンピューティングシステムの使用が、たとえシステムの部品がテリトリの外に位置し得る(例えば、テリトリの外側に位置する継電器、サーバ、プロセッサ、信号担持媒体、送信中のコンピュータ、受信中のコンピュータなど)としてもテリトリにおいて発生し得る。
【0448】
システム又は方法の販売が、同様に、たとえシステム又は方法の構成部品がテリトリの外側に位置して及び/又は使用されるとしても、テリトリにおいて発生し得る。更に、1つのテリトリにおいて方法を実行するシステムの少なくとも一部の実行は、別のテリトリにおけるシステムの使用を排除するものではない。
【0449】
様々な実施形態について本明細書で説明してきたが、これらの実施形態に対する多数の修正例、変形例、置換例、変更例、及び等価物が実施することができ、また、当業者に思い付くものとなろう。また、特定のコンポーネントについて材料を開示した部分では、他の材料を使用することもできる。したがって、理解されたいこととして、上述の説明及び添付の「特許請求の範囲」では、そのようなすべての修正例及び変形例を、開示する形態の範囲に含まれるものとして網羅することが意図されている。以下の「特許請求の範囲」は、そのようなすべての修正例及び変形例を網羅することを意図したものである。
【0450】
要約すれば、ここで説明される概念を採用する結果としてもたらされる多数の効果が説明されている。1つ以上の形態の上述の説明は、例示及び説明を目的として提示されたものである。実施形態の説明は包括を目的としたものでもなければ、開示された厳密な形態への限定を目的としたものでもない。上記の教示を考慮することで改変又は変形を行なうことが可能である。1つ以上の形態は、原理及び実際の応用を説明し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、企図される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするものである。本明細書とともに提出される特許請求の範囲によって全体的範囲を定義するものである。
【0451】
(実施例)
一般的な一観点において、記述されている形態の原理を具現化した手術器具アセンブリは、手術処置中の組織の選択的な解離、切断、凝固、及び締め付けを可能にするように構成される。発生器は、少なくとも1つの電気信号を第1の組の論理条件に照らしてモニタすることができるのうちの少なくとも1つの電気信号を生成することができる。第1の組の論理条件が満たされたときに、発生器の第1の応答をトリガすることができる。
【0452】
特定の形態では、外科用器具の超音波インピーダンスがモニタされる。外科用器具の超音波インピーダンスが閾値インピーダンスを超えたとき、少なくとも1つの電気信号の共振周波数を基線周波数として記憶することができる。また、発生器の第1の応答を、第1の組の論理条件が満たされたか、又は、少なくとも1つの電気信号の共振周波数が基線偏差閾値だけ基線周波数と異なるときにトリガすることができる。
【0453】
特定の形態では、外科用器具のエンドエフェクタでの負荷イベントをモニタすることができる。発生器の第1の応答を、第1の組の論理条件が満たされて負荷イベントが検出されたときにトリガすることができる。
【0454】
1つの一般的な形態により、片手に支持されるように構成されるハンドルハウジングを含む超音波外科用器具のスイッチアセンブリを提供する。少なくとも1つの形態では、スイッチアセンブリは、ハンドルハウジングの前方部分上で作動可能に支持され、かつ、少なくとも1つの第1のスイッチ接点に対して選択的に移動可能である第1のスイッチ構成部を含む。スイッチアセンブリは、右のスイッチボタン及び左のスイッチボタンの少なくとも1つを含むことができる第2のスイッチ構成部を更に含む。右のスイッチボタンは、ハンドルハウジングの右側に移動可能に支持することができ、かつ、ハンドルハウジングにより支持された少なくとも1つの右のスイッチ接点に対して選択的に移動可能とすることができる。左のスイッチボタンは、ハンドルハウジングの左側に移動可能に支持することができ、かつ、ハンドルハウジングにより支持された少なくとも1つの左のスイッチ接点に対して選択的に移動可能とすることができる。第1及び第2のスイッチ構成部は、ハンドルハウジングを支持する単一の手により選択的に操作されるように構成することができる。
【0455】
少なくとも1つの他の一般的な形態により、超音波外科用器具を提供する。少なくとも1つの形態では、超音波外科用器具は、超音波信号を生成する発生器と、片手に作動可能に支持されるように構成されるハンドルハウジングを含むハンドルアセンブリとを含む。器具は、ハンドルハウジングの前方部分上で作動可能に支持され、かつ、発生器と通信する少なくとも1つの第1のスイッチ接点に対して選択的に移動可能である第1のスイッチ構成部を含むスイッチアセンブリを更に含むことができる。スイッチアセンブリは、右のスイッチボタン及び左のスイッチボタンの少なくとも1つを含むことができる第2のスイッチ構成部を更に含むことができる。右のスイッチボタンは、ハンドルハウジングの右側に移動可能に支持することができ、かつ、ハンドルハウジングにより支持された少なくとも1つの右のスイッチ接点に対して選択的に移動可能とすることができる。少なくとも1つの右のスイッチ接点は、発生器と通信することができる。左のスイッチボタンは、ハンドルハウジングの左側上で移動可能に支持することができ、かつ、ハンドルハウジングにより支持される少なくとも1つの左のスイッチ接点に対して選択的に移動可能とすることができ、かつ、発生器と作動可能に通信することができる。第1及び第2のスイッチ構成部は、ハンドルハウジングを支持する単一の手により選択的に操作されるように構成することができる。
【0456】
尚も別の一般的な形態により、片手に支持されるように構成されるハンドルハウジングを含む超音波外科用器具のスイッチアセンブリを提供する。少なくとも1つの形態では、スイッチアセンブリは、右のスイッチ接点、中央スイッチ接点及び左のスイッチ接点に対する選択的な軸方向の及び枢動による移動に向けて移動可能にハンドルハウジングにより支持されるボタンアセンブリを含み、第1の方向のボタンアセンブリの軸方向の動きが、ボタンアセンブリに中央スイッチ接点を作動させ、第1の枢動式の方向のボタンアセンブリの枢動が、ボタンアセンブリに左のスイッチ接点を作動させ、第2の枢動方向のボタンアセンブリの枢動が、ボタンアセンブリに右のスイッチ接点を作動させるようになっている。
【0457】
様々な形態により、コネクタモジュールは、超音波外科用器具又は構成部品とともに付属品として供給するが、装着することができないモジュール式の構成部品とすることができるか、又は、超音波外科用器具を補修する、交換するか、又は、該器具に後付けするために使用することができる。しかしながら、特定の形態では、コネクタモジュールは、ハンドルアセンブリ又は超音波トランスデューサに関連づけることができる。一形態では、コネクタモジュールは、ユーザーにより簡単に除去及び/又は交換することができるアセンブリを含むことができる。コネクタモジュールは、ユーザーが、例えば、回転結合部、スイッチ導体又はリンクを除去及び/又は交換することを可能にする取り外し可能な特徴部を含むこともできる。したがって、特定の形態では、1つ以上のコネクタモジュールをキット内に含めることができる。キットは、1つ以上の超音波トランスデューサ又はハンドピースと適応可能な用途に向けて構成された様々な回転結合部を含むことができる。キットは、1つ、2つ、又は、それ以上の導電経路を必要とすることができるユーザーインターフェースの様々な構成を含むコネクタモジュール、回転結合部、又はハウジングを含むことができる。
【0458】
一態様では、本開示は、超音波外科用器具を対象とする。超音波器具は、エンドエフェクタと、長手方向軸に沿ってエンドエフェクタから近位に延在する導波管と、超音波ハンドピースを受け取るコネクタモジュールとを含むことができる。コネクタモジュールは、長手方向軸に沿って延在するスピンドルを画定するハウジング、スピンドル上に位置決めされ、かつ、ハウジングに対して回転可能な結合、ハウジングに機械的に結合され、かつ、長手方向軸の周りに少なくともある程度延在する第1の導体と、第1の位置と第2の位置との間で第1の導体に対して長手方向軸周りに回転可能な第1のリンクとを含むことができる。第1のリンクは、第1のリンクが第1の位置及び第2の位置にあるときに第1の導体に電気的に接触するように位置決めされた第1の接点と、第1の接点に電気的に結合され、かつ、第1のリンクが第1の位置及び第2の位置にあるときに超音波ハンドピースに電気的に接触するように位置決めされた第2の接点とを含むことができる。
【0459】
一態様では、第1及び第2の導体は、それぞれ、電力制御信号をユーザーから受信するように構成されたユーザーインターフェースに電気的に結合するように構成された導電リードを含む。超音波ハンドピースは、コネクタモジュールにより受け取られるときに、発生器に電気的に結合し、かつ、第1及び第2のリンクに回転方向に結合するように適合させることができる。コネクタモジュールは、第1及び第2のリンクがそれぞれの第1及び第2の位置にあるときに、超音波ハンドピースを介してユーザーインターフェース回路及び発生器を電気的に結合するように構成することができる。一態様では、ユーザーインターフェースは、ハンドルアセンブリに作動上結合されたトグルスイッチを含み、コネクタモジュールは、ハンドルアセンブリに固定される。超音波ハンドピースは、コネクタモジュールにより受け取られたときにハンドルアセンブリに対して回転可能とすることができる。一態様では、ハウジングは、第1及び第2の導体を互いに絶縁させる。
【0460】
本明細書で説明する主題の様々な態様は、1対の導体上でシリアルプロトコルとして信号を送信するように構成された回路を含む装置を対象とする。シリアルプロトコルは、少なくとも1つの送信フレームで配信される一連のパルスとして規定することができる。送信フレーム内の少なくとも1つのパルスは、2つの第1の論理状態の1つを表すためにパルスの振幅を変調して、2つの第2の論理状態の1つを表すためにパルスの幅を変調することにより同時に符号化される。
【0461】
本明細書で説明する主題の様々な態様は、1対の導体上でシリアルプロトコルとして信号を送信するように構成された回路を含む器具を対象とする。シリアルプロトコルは、少なくとも1つの送信フレームで配信される一連のパルスとして画定することができる。送信フレーム内の少なくとも1つのパルスは、2つの第1の論理状態の1つを表すためにパルスの振幅を変調して、2つの第2の論理状態の1つを表すためにパルスの幅を変調することにより同時に符号化することができる。器具は、回路の出力部に結合された出力装置と、回路の入力部に結合された入力デバイスとを含むこともできる。
【0462】
本明細書で説明する主題の様々な態様は、2つのワイヤインターフェースで器具と通信するように構成された条件付け回路を含む発生器を対象とする。発生器は、1対の導体で信号をシリアルプロトコルとして送信するように構成された制御回路を含むことができる。シリアルプロトコルは、少なくとも1つの送信フレームで配信される一連のパルスとして定義することができる。送信フレーム内の少なくとも1つのパルスは、2つの第1の論理状態の1つを表すためにパルスの振幅を変調して、2つの第2の論理状態の1つを表すためにパルスの幅を変調することにより同時に符号化される。発生器は、器具を駆動するように構成されたエネルギー回路を含むこともできる。
【0463】
様々な態様は、超音波外科用器具の超音波駆動システムに連結されたエンドエフェクタを駆動する装置及び方法を対象とする。トリガ信号を受信することができる。トリガ信号に応じて、第1の駆動信号を、第1の電力レベルにてエンドエフェクタを駆動するために超音波駆動システムに提供することができる。第1の駆動信号を第1の期間にわたって維持することができる。第1の期間の終わりにて、第2の駆動信号を、第1の電力レベルを下回る第2の電力レベルにてエンドエフェクタを駆動するために、超音波駆動システムに提供することができる。
【0464】
別の態様では、トリガ信号を受信した後に、外科手術用システムは、超音波器具を起動解除された状態に維持している間、超音波外科用器具が起動することを示すフィードバックを生成する。閾値時間周期の終わりにて、超音波外科用器具は、エンドエフェクタを駆動するために超音波駆動システムに駆動信号を提供することにより起動する。
【0465】
別の態様では、超音波外科用器具は、エンドエフェクタを駆動するために超音波駆動システムに提供される駆動信号を生成することにより起動する。複数の入力変数は、マルチ可変モデル出力を生成するためにマルチ可変モデルに適用されていることができ、マルチ可変モデル出力は、組織に及ぼす超音波器具の効果に対応する。複数の入力変数が、駆動信号を記述する少なくとも1つの変数と、超音波外科用器具の特性を記述する少なくとも1つの変数とを含むことができる。マルチ可変モデル出力が閾値に到達したとき、超音波外科用器具の少なくとも1つ及び超音波外科用器具が作用する組織の対応する状態を示すフィードバックを生成することができる。
【0466】
別の態様では、トリガ信号に応じて、第1の電力レベルでの第1の駆動信号が、エンドエフェクタを駆動するために超音波駆動システムに提供される。第1の駆動信号は、第1の期間にわたって第1のレベルに維持される。第2の駆動信号が、第1の電力レベルを下回る第2の電力レベルにてエンドエフェクタを駆動するために、超音波駆動システムに提供される。複数の入力変数を、マルチ可変モデル出力を生成するためにマルチ可変モデルに適用することができる。マルチ可変モデル出力は、組織に及ぼす超音波器具の効果に対応することができ、この複数の入力変数は、駆動信号を記述する少なくとも1つの変数と、超音波外科用器具の特性を記述する少なくとも1つの変数とを含むことができる。マルチ可変のモデル出力が閾値時間周期にわたって閾値を超えた後、第1の応答をトリガすることができる。
【0467】
一部の形態について図示及び説明してきたが、そのような詳細に添付の特許請求の範囲を拘束又は限定することは本出願者の意図ではない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変形、変更、及び代用が想到されるであろう。更に、記載されている形態に関連するそれぞれの要素の構造は、その要素によって実行される機能を提供するための手段として、別の方法でも記載され得る。したがって、記載されている形態は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると意図される。
【0468】
本明細書全体を通して、「様々な形態」、「一部の形態」、「一形態」、又は「形態」という参照は、その形態に関連して記述されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの形態に含まれることを意味する。したがって、明細書を通じて様々な場所に「様々な形態における」、「一部の形態において」、「一形態において」、又は、「ある形態において」という用語が出てきても必ずしも全て同じ形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の形態で、任意の好適なやり方で組み合わせることができる。故に、一形態に関して図示又は記載される特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の他の形態の特徴、構造、又は特性と、全体として又は部分的に、制限なしに組み合わせることができる。
【0469】
〔実施の態様〕
(1) 片手で支持されるように構成されたハンドルハウジングを含む超音波外科用器具のスイッチアセンブリであって、前記スイッチアセンブリは、
前記ハンドルハウジングの前方部分に動作可能に支持され、少なくとも1つの第1スイッチ接触部に対して選択的に可動である、第1スイッチ構成と、
第2スイッチ構成であって、
前記ハンドルハウジングの右側に可動に支持される右スイッチボタンであって、前記右スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングにより支持された少なくとも1つの右スイッチ接触部に対して選択的に可動である、右スイッチボタン、及び
前記ハンドルハウジングの左側に可動に支持される左スイッチボタンであって、前記左スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングにより支持された少なくとも1つの左スイッチ接触部に対して選択的に可動である、左スイッチボタン、のうちの少なくとも一方を含む、第2スイッチ構成と、を含み、前記第1及び前記第2スイッチ構成は、前記ハンドルハウジングを支持する片手により選択的に操作されるように構成される、スイッチアセンブリ。
(2) 前記第1スイッチ構成は、前記ハンドルハウジングにより動作可能に支持された少なくとも2つの第1スイッチ接触部に対し、第1スイッチ軸を中心に枢動可能な第1ボタンアセンブリを含む、実施態様1に記載のスイッチアセンブリ。
(3) 前記右スイッチボタンは、前記少なくとも1つの右スイッチ接触部に対して右スイッチ軸を中心に選択的に枢動するように、前記ハンドルハウジングに対して枢動可能に支持され、前記左スイッチボタンは、前記少なくとも1つの左スイッチ接触部に対して左スイッチ軸を中心に選択的に枢動するように、前記ハンドルハウジングに対して枢動可能に支持され、前記右及び左スイッチ軸は、前記第1スイッチ軸に対して実質的に横方向である、実施態様2に記載のスイッチアセンブリ。
(4) 前記第2スイッチ構成は、前記右スイッチボタン及び前記左スイッチボタンの両方を含み、前記右スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングの前記右側から作動可能であり、かつ前記ハンドルハウジングの前記左側に隣接する左スイッチ軸を中心に選択的に枢動可能であり、前記左スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングの前記左側から作動可能であり、かつ前記ハンドルハウジングの前記右側、及び前記右スイッチボタンに隣接する右スイッチ軸を中心に選択的に枢動可能である、実施態様1に記載のスイッチアセンブリ。
(5) 前記右スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングにより枢動可能に支持され、それによって前記右スイッチボタンが、前記ハンドルハウジングの前記右側から作動可能であり、中央スイッチ軸を中心に選択的に枢動可能であり、前記左スイッチボタンは前記ハンドルハウジングの前記左側から作動可能であり、前記中央スイッチ軸を中心に選択的に枢動するように枢動可能に支持されている、実施態様1に記載のスイッチアセンブリ。
【0470】
(6) 前記第1スイッチ構成は、前記ハンドルハウジングにより動作可能に支持される少なくとも2つの第1スイッチ接触部に対して、第1スイッチ軸を中心に枢動可能な第1ボタンアセンブリを含み、前記中央スイッチ軸は、前記第1スイッチ軸に対して実質的に横方向である、実施態様5に記載のスイッチアセンブリ。
(7) 前記第2スイッチアセンブリは、前記ハンドルハウジングの一部を通じて横方向に延びる第2スイッチ作動装置を含み、前記第2スイッチ作動装置の左端部は、前記ハンドルハウジングの左側を通じて延出して前記左スイッチボタンを形成し、前記第2スイッチ作動装置の右端部は、前記ハンドルハウジングの右側を通じて延出して前記右スイッチボタンを形成し、前記第2スイッチ作動装置は、前記ハンドルハウジング内の少なくとも1つの他のスイッチ接触部に対して選択的に横方向に可動である、実施態様1に記載のスイッチアセンブリ。
(8) 前記少なくとも1つの他のスイッチ接触部は、前記ハンドルハウジング内で中央に配置され、右接触部及び左接触部を含み、前記第2スイッチ作動装置は、前記右接触部及び前記左接触部に対する非作動位置と、前記第2スイッチ作動装置の右作動装置部分が前記右接触部と作動接触するように横方向に変位した右作動位置と、前記第2スイッチ作動装置の左作動装置部分が前記左接触部と作動接触するように横方向に変位した左作動位置との間で選択的に横方向に可動である、実施態様7に記載のスイッチアセンブリ。
(9) 前記第2スイッチ作動装置を前記非作動位置に付勢するための付勢手段を更に含む、実施態様8に記載のスイッチアセンブリ。
(10) 前記第1スイッチ構成は、前記ハンドルハウジングにより動作可能に支持される少なくとも2つの第1スイッチ接触部に対して、第1スイッチ軸を中心に枢動可能な第1ボタンアセンブリを含み、前記第2スイッチ作動装置は、前記第1スイッチ軸に対して実質的に平行な中央スイッチ軸に沿って横方向に可動である、実施態様8に記載のスイッチアセンブリ。
【0471】
(11) 超音波外科用器具であって、
超音波信号を生成する発生器と、
片手で動作可能に支持されるように構成されたハンドルハウジングを含むハンドルアセンブリと、
スイッチアセンブリであって、
前記ハンドルハウジングの前方部分に動作可能に支持され、前記発生器と通信する少なくとも1つの第1スイッチ接触部に対して選択的に可動である、第1スイッチ構成と、
第2スイッチ構成であって、
前記ハンドルハウジングの右側に可動に支持される右スイッチボタンであって、前記右スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングにより支持され、前記発生器と動作可能に通信する少なくとも1つの右スイッチ接触部に対して選択的に可動である、右スイッチボタン、及び
前記ハンドルハウジングの左側に可動に支持される左スイッチボタンであって、前記左スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングにより支持され、前記発生器と動作可能に通信する少なくとも1つの左スイッチ接触部に対して選択的に可動である、左スイッチボタン、のうちの少なくとも一方を含む、第2スイッチ構成とを含み、前記第1及び前記第2スイッチ構成は、前記ハンドルハウジングを支持する片手により選択的に操作されるように構成される、スイッチアセンブリと、を含む、超音波外科用器具。
(12) スイッチフレームを更に含み、前記スイッチフレームは、前記ハンドルハウジングに動作可能に支持され、前記少なくとも1つの第1スイッチ接触部、前記少なくとも1つの右スイッチ接触部、及び前記少なくとも1つの左スイッチ接触部を前記スイッチフレーム上に支持する、実施態様11に記載の超音波外科用器具。
(13) 前記第1スイッチ構成は、前記スイッチフレームに枢動可能に連結された第1ボタンアセンブリを含み、前記第1ボタンアセンブリは、前記少なくとも2つの第1スイッチ接触部に対して第1スイッチ軸を中心として枢動可能であり、前記右スイッチボタンは前記スイッチフレームに枢動可能に取り付けられ、これによって前記右スイッチボタンが、前記第1スイッチ軸に対して実質的に横方向である右スイッチ軸を中心にして前記スイッチフレームに対して枢動可能であり、前記左スイッチボタンは前記スイッチフレームに枢動可能に取り付けられ、これによって前記左スイッチボタンが、前記第1スイッチに対して実質的に横方向である左スイッチ軸を中心にして前記スイッチフレームに対して枢動可能である、実施態様12に記載の超音波外科用器具。
(14) 前記第2スイッチ構成は、前記右スイッチボタン及び前記左スイッチボタンの両方を含み、前記右スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングの前記右側から作動可能であり、前記スイッチフレームに枢動可能に取り付けられ、これによって前記右スイッチボタンが前記ハンドルハウジングの前記左側に隣接する左スイッチ軸を中心に選択的に枢動可能であり、前記左スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングの前記左側から作動可能であり、前記スイッチフレームに枢動可能に取り付けられ、これによって前記左スイッチボタンが前記ハンドルハウジングの前記右側及び前記右スイッチボタンに隣接する右スイッチ軸を中心に選択的に枢動可能である、実施態様12に記載の超音波外科用器具。
(15) 前記右スイッチボタンは、前記スイッチフレームに枢動可能に連結され、それによって前記右スイッチボタンが、前記ハンドルハウジングの前記右側から作動可能であり、中央スイッチ軸を中心に選択的に枢動可能であり、前記左スイッチボタンは前記スイッチフレームに枢動可能に連結され、それによって前記左スイッチボタンが前記ハンドルハウジングの前記左側から作動可能であり、前記中央スイッチ軸を中心に選択的に枢動するように枢動可能に支持される、実施態様12に記載の超音波外科用器具。
【0472】
(16) 前記第2スイッチアセンブリは、前記ハンドルハウジングの一部を通じて横方向に延びる第2スイッチ作動装置を含み、前記第2スイッチ作動装置の左端部は、前記ハンドルハウジングの左側を通じて延出して前記左スイッチボタンを形成し、前記第2スイッチ作動装置の右端部は、前記ハンドルハウジングの右側を通じて延出して前記右スイッチボタンを形成し、前記第2スイッチ作動装置は、少なくとも1つの他のスイッチ接触部に対して選択的に横方向に可動である、実施態様12に記載の超音波外科用器具。
(17) 前記少なくとも1つの他のスイッチ接触部は、前記ハンドルハウジング内で中央に配置され、右接触部及び左接触部を含み、前記第2スイッチ作動装置は、前記右接触部及び前記左接触部に対する非作動位置と、前記第2スイッチ作動装置が、前記右接触部と作動接触するように横方向に変位した右作動位置と、前記第2スイッチ作動装置が前記左接触部と作動接触するように横方向に変位した左作動位置との間で選択的に横方向に可動である、実施態様16に記載の超音波外科用器具。
(18) 片手で支持されるように構成されたハンドルハウジングを含む超音波外科用器具のためのスイッチアセンブリであって、前記スイッチアセンブリは、第1スイッチ接触部、中央スイッチ接触部及び左スイッチ接触部に対して選択的に軸方向に枢動するように前記ハンドルハウジングにより可動に支持されるボタンアセンブリを含み、それにより前記ボタンアセンブリが第1方向で軸方向に移動すると、前記ボタンアセンブリが前記中央スイッチ接触部を作動させ、前記ボタンアセンブリが第1枢動方向で枢動運動すると、前記ボタンアセンブリが前記左スイッチ接触部を作動させ、前記ボタンアセンブリが第2枢動方向で枢動運動すると、前記ボタンアセンブリが前記右スイッチ接触部を作動させる、スイッチアセンブリ。
(19) 前記ボタンアセンブリが、
前記ハンドルハウジング内に支持されたスイッチハウジングであって、前記スイッチハウジングは、作動装置開口部へと通じる細長いスロットを画定する、スイッチハウジングと、
前記細長いスロットと実質的に軸方向に位置合わせされた前記作動装置開口部の中央部と関連する中央スイッチと、
前記作動装置開口部の右部分と関連する右スイッチと、
前記作動装置開口部の左部分と関連する左スイッチと、
作動装置ボタンと、
前記作動装置ボタンから突出し、中央作動装置部分、右スイッチ作動装置部分、及び左スイッチ作動装置部分を含む、ボタンキャリッジアームと、
前記ボタンキャリッジアームから突出し、前記細長いスロット内で回転可能に軸方向に変位可能である、少なくとも1つの枢動部材と、を含む、実施態様18に記載のスイッチアセンブリ。
(20) 前記ボタンキャリッジアームが非作動向きにあるときに、前記ボタンキャリッジアームを前記細長いスロットと実質的に軸方向に位置合わせさせるように付勢するための付勢手段を更に含む、実施態様19に記載のスイッチアセンブリ。
【0473】
(21) 超音波外科用器具の超音波駆動システムと連結されたエンドエフェクタを駆動する方法であって、前記方法は、
前記超音波外科用器具の作動を要求するトリガ信号を受信することと、
クランプスイッチが、前記エンドエフェクタが閉鎖位置にあることを示すと、第1駆動信号を前記エンドエフェクタに送信することと、を含む、方法。
(22)片手で支持されるように構成されたハンドルハウジング、該ハンドルハウジングから長手方向に延在するシャフト、及び、前記ハンドルハウジングに連結されたスイッチアセンブリを含む超音波外科用器具であって、前記スイッチアセンブリは、
前記ハンドルハウジングの前方部分に動作可能に支持され、遠位方向を向いており、少なくとも1つの第1スイッチ接触部に対して選択的に可動である、第1スイッチ構成と、
第2スイッチ構成であって、
前記ハンドルハウジングの右側に可動に支持される右スイッチボタンであって、前記右スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングにより支持された少なくとも1つの右スイッチ接触部に対して選択的に可動である、右スイッチボタン、
前記ハンドルハウジングの左側に可動に支持される左スイッチボタンであって、前記左スイッチボタンは、前記ハンドルハウジングにより支持された少なくとも1つの左スイッチ接触部に対して選択的に可動である、左スイッチボタン、及び、
該左スイッチボタンに連結されると共に、アクチュエータ部を有する枢動アーム、を含む、第2スイッチ構成と、を含み、前記第1及び前記第2スイッチ構成は、前記ハンドルハウジングを支持する片手により選択的に操作されるように構成され、
前記第1スイッチ構成は、前記ハンドルハウジング
内に位置するように支持されたスイッチフレームにより支持されている第1スイッチ接触部に対し、
前記長手方向に対して実質的に垂直方向に延在する第1スイッチ軸を中心に枢動可能な第1ボタンアセンブリを含み、
前記右スイッチボタンは、前記少なくとも1つの右スイッチ接触部に対して右スイッチ軸を中心に選択的に枢動するように、前記ハンドルハウジングに対して枢動可能に支持され、前記左スイッチボタンは、前記少なくとも1つの左スイッチ接触部に対して左スイッチ軸を中心に選択的に枢動するように、前記ハンドルハウジングに対して枢動可能に支持され、前記右及び左スイッチ軸は、互いに実質的に平行に延在し、前記第1スイッチ軸に対して実質的に垂直方向に延在し、
前記左スイッチボタンが、前記左スイッチ軸を中心に
下方向に枢動した際に、前記枢動アームが上方向に向かって回転し、前記アクチュエータ部が、前記左スイッチ接触部の下方から前記左スイッチ接触部と接触するようになっている、超音波外科用器具。