特許第6400612号(P6400612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6400612エネルギー削減のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6400612
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】エネルギー削減のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20180920BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20180920BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20180920BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   H02J3/14 130
   H02J13/00 311T
   H02J13/00 311U
   H02J7/02 B
   H02J7/34 D
【請求項の数】25
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-562442(P2015-562442)
(86)(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公表番号】特表2016-511627(P2016-511627A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】IB2014059402
(87)【国際公開番号】WO2014140990
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月1日
(31)【優先権主張番号】61/778,541
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/807,161
(32)【優先日】2013年4月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パテル ムーラン ダヒーアバイ
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−271992(JP,A)
【文献】 特開2002−345177(JP,A)
【文献】 特開2002−252924(JP,A)
【文献】 特開2005−025382(JP,A)
【文献】 特開2004−234540(JP,A)
【文献】 特開2004−185050(JP,A)
【文献】 特開昭62−077825(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0140667(US,A1)
【文献】 特開2000−029576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00−5/00
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H02J1/00−1/16
H02J13/00
G06F1/26−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電網及びエネルギー蓄積電源で動作可能であるデバイスにおける電力平均分配を管理する方法であって、
前記方法は、前記デバイス内のプロセッサにおいて実行可能であり、
電力平均分配の要求を受信するステップと、
前記デバイスのユーザが、電力平均分配の前記要求への協力を許可しているかどうかを決定するステップと、
前記デバイスのユーザが、電力平均分配の前記要求への協力を許可している場合に、前記エネルギー蓄積電源における容量が、予備レベルを上回るかどうかを決定するステップと、
前記エネルギー蓄積電源における前記容量が、前記予備レベルを上回る場合、前記デバイスの選択されたコンポーネントにエネルギーを供給するために、前記エネルギー蓄積電源に切り替えるステップと、
前記エネルギー蓄積電源における前記容量が、前記予備レベルを下回る場合に、前記エネルギー蓄積電源を前記予備レベルまで充電して維持するステップと、
所定イベントが予定されている場合に、前記エネルギー蓄積電源を更にフル充電するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
電力平均分配の前記要求を引き受けるかどうかを決定するステップは、前記要求に関連付けられる重大度と、前記要求に協力する意思とのうちの一つを決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エネルギー蓄積電源内に蓄積されたエネルギーが、前記予備レベルを下回る場合、前記デバイスの前記選択されたコンポーネントにエネルギーを供給するために、前記配電網に切り替えるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エネルギー蓄積電源が少なくとも前記予備レベルを示す場合、電力平均分配すべきと示される期間中に、前記エネルギー蓄積電源の充電を抑制するステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定イベントの前に、前記エネルギー蓄積電源のフル充電容量までの充電を開始するステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記所定イベントは、予定されたイベント、ユーザ指定イベント及び指定時刻イベントのうちの1つである、請求項に記載の方法。
【請求項7】
電力平均分配の終了の指示に反応して、前記デバイスの前記選択されたコンポーネントにエネルギーを供給するために、前記配電網に切り替えるステップと、
前記エネルギー蓄積電源を少なくとも前記予備レベルまで充電するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
所定期間中に、前記エネルギー蓄積電源をフル充電容量まで充電するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記所定期間は、少なくともオフピーク期間である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
電力平均分配を管理するシステムであって、
メモリと通信するプロセッサを含み、
前記メモリは、前記プロセッサによってアクセスされると、前記プロセッサに、
電力平均分配の要求を受信させ、
前記システムのユーザが、電力平均分配の前記要求への協力を許可しているかどうかを決定させ、
前記システムのユーザが、電力平均分配の前記要求への協力を許可している場合に、エネルギー蓄積電源における容量が、予備レベルを上回るかどうかを決定させ、
前記エネルギー蓄積電源における前記容量が、前記予備レベルを上回る場合、前記システムにおける選択されたコンポーネントにエネルギーを供給するために、前記エネルギー蓄積電源に切り替えさせ
前記エネルギー蓄積電源における前記容量が、前記予備レベルを下回る場合に、前記エネルギー蓄積電源を前記予備レベルまで充電させて維持し、
所定イベントが予定されている場合に、前記エネルギー蓄積電源を更にフル充電させるコードを含む、システム。
【請求項11】
電力平均分配の前記要求を引き受けるかどうかを決定する前記プロセッサは、前記要求に関連付けられる重大度と、前記要求に協力する意思とのうちの一つを決定する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは更に、前記エネルギー蓄積電源内に蓄積されたエネルギーが、前記予備レベルを下回る場合に、前記プロセッサにエネルギーを供給するために、配電網に切り替える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは更に、前記エネルギー蓄積電源が少なくとも前記予備レベルを示す場合、電力平均分配すべきと示される期間中に、前記エネルギー蓄積電源の充電を抑制する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは更に、前記所定イベントの前に、前記エネルギー蓄積電源のフル充電容量までの充電を開始させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記所定イベントは、予定されたイベント、ユーザ指定イベント及び指定時刻イベントのうちの1つである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは更に、電力平均分配の終了の指示に反応して、前記システムにおける前記選択されたコンポーネントにエネルギーを供給するために、配電網に切り替えさせ、前記エネルギー蓄積電源を少なくとも前記予備レベルまで充電させる、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは更に、所定期間中に、前記エネルギー蓄積電源をフル充電容量まで充電させる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記所定期間は、少なくともオフピーク期間である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
電力平均分配を管理するデバイスであって、
DC電圧源と、
エネルギー蓄積デバイスと、
DC電圧を受け取り、充電電圧を前記エネルギー蓄積デバイスに印加する充電回路と、
前記DC電圧源及び前記エネルギー蓄積デバイスのうちの一方から電圧を受け取る回路と、
前記充電回路と前記エネルギー蓄積デバイスとの間の第1のスイッチと、
を含み、
前記第1のスイッチは、前記電圧を受け取る回路によって制御され、前記電圧を受け取る回路は、電力需要削減期間中は、前記エネルギー蓄積デバイスが少なくとも予備レベルにある容量を有する場合、前記エネルギー蓄積デバイスの充電を抑制するように、前記第1のスイッチを位置づけ、前記エネルギー蓄積デバイスが前記予備レベルにある容量を下回る場合に、前記エネルギー蓄積デバイスの充電を前記予備レベルにある容量まで行い維持するように、前記第1のスイッチを位置づけ、所定イベントが予定されている場合に、前記エネルギー蓄積デバイスを更にフル充電するように、前記第1のスイッチを位置づける、デバイス。
【請求項20】
前記エネルギー蓄積デバイス及び前記DC電圧源から入力される電圧を受け取る比較器を更に含み、前記比較器は、前記エネルギー蓄積デバイス及び前記DC電圧源のうちのどちらが、前記電圧を前記電圧を受け取る回路に提供するのかを決定する、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記DC電圧源と前記比較器との間に配置される第2のスイッチを更に含み、前記第2のスイッチは、前記DC電圧が前記比較器に印加されないように、前記電圧を受け取る回路によって制御される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記DC電圧源は、AC/DC変換器を含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
電力平均分配を管理するデバイスであって、
入力電圧を受け取る入力ポートと、
出力電圧を持つ出力ポートと、
電池電圧を生成する電池と、
前記電池電圧と前記入力電圧とを受け取り、第1のスイッチにより、前記入力電圧及び前記電池電圧のうちの一方が前記出力ポートにあることを可能にさせる第1の信号を生成する第1の比較器と、
基準電圧を生成する基準電圧源と、
前記電池電圧と前記基準電圧とを受け取り、第2のスイッチにより、前記入力電圧を前記第1の比較器から分離させる第2の信号を生成する第2の比較器と、
充電回路と、
前記充電回路と前記電池との間に配置される第3のスイッチと、
を含み、
前記第3のスイッチは、前記出力ポートに接続される電圧を受け取る回路により、前記電池が予備レベルにある容量を下回る場合に、前記電池の充電を前記予備レベルにある容量まで行い維持するように位置づけられ、所定イベントが予定されている場合に、前記電池を更にフル充電するように位置づけられる、デバイス。
【請求項24】
記第3のスイッチは、前記電池電圧が前記基準電圧よりも大きい場合、前記第2の信号を受け取り、前記第3のスイッチに、前記電池を前記充電回路から電気的に分離させる、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第1のスイッチは、前記電池電圧が前記基準電圧よりも大きい場合、前記電池電圧を前記出力ポートに提供する、請求項23に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エネルギー管理分野に関し、より具体的には、電気エネルギー削減(shedding)を管理するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源、HVACユニット、コンピュータ、携帯電話、TV、ラジオ及び他の電力消費デバイスは、人々の生活から切り離せないものである。通常、公益事業会社によって送電網を介して供給される電力に対する需要は、時々、変動する。電力需要の急増によって、公共事業のインフラ及びリソースが圧倒されないように、配電網にかかる負荷は、監視制御されている。電力平均分配(load shedding)との用語は、需要増加及び/又は供給減少に応えて、配電網にかかる負荷を軽減する処理を指す。
【0003】
一般に、公共事業会社は、ピーク需要に見合うように電気的インフラ(配電網)を建設し、また、その拡張を続け、これにより、設備投資額は高くなる。また、電力の短期間生成は、高価な技術を使用するので、短期間で追加の電力を生成する費用は、非常に高い。したがって、ピーク需要を低下させるために、公共事業会社は、顧客の需要に比例してより多く課金することによって、顧客にピーク需要を縮小するように奨励している。
【0004】
需要は、ある時間間隔(例えば15〜30分間隔)の間に電力が消費される平均速度として規定される。需要は、キロワット(kW)で測定される。ある時間間隔(即ち1ヶ月又は過去12ヶ月)における全間隔の最大実需が、ピーク需要と呼ばれる。公共事業配給会社は、法人顧客に、そのピーク需要に比例して課金する。顧客には、需要急増を阻止し、高費用を回避するために、需要を能動的に管理し、不必要な負荷を削減する財政上の動機がある。
【0005】
ピーク需要に基づいた使用料に加えて、顧客は更に、キロワット時(kWHr)で測定される実際の電気使用料に基づいても課金される。電気料金は、1日のうちの時間及び季節によって変動する。通常、公共事業会社は、オンピーク期間中又はオンピーク継続時間において高い料金を課金し、オフピーク期間中又はオフピーク継続時間において低い料金を課金する。
【0006】
商業実体は、オンピーク期間に使用される電力について、オフピーク期間に使用される電力に比べて、約1.5〜2倍の料金を支払う。緊急ピーク価格設定(CPP)イベント中の電気料金は、オフピーク期間に課金される料金に比べて17倍にも高くなる場合がある。したがって、オンピーク及びCPP期間中に配電網から負荷を削減すると、企業にかかるエネルギー費用も大幅に軽減することができる。
【0007】
典型的な営利企業において、ランプトップ、サーバ、PC、非常灯、アクセス制御システム等といった多くの電池搭載電子デバイスは、かなりの量の電気エネルギーを使用する。例えばコンピュータ、ディスプレイデバイス及び無停電電源(UPS)は、オフィス設備によって使用されるエネルギーのうちの40%から60%を占める。典型的なラップトップは、約30ワットを消費し、典型的なデスクトップは、約100ワットを消費する。
【0008】
更に、照明は、それが天井照明であろうと作業照明であろうと、商業ビルにおいて消費される電力の約37%を占める。
【0009】
したがって、電子機器(コンピュータ、ラップトップ等)及び電気機器(照明)によって消費されるエネルギーは、これらの機器が、通常、高料金時間(ピーク期間)中にフル稼働していることにより、消費者の運転費用に大きく寄与する。
【0010】
更に、配電網の過負荷を防ぐために、公共事業会社が、消費者にその需要を低下させることを要求することを可能にする特定の州法及び現地法が制定されている。例えばASHRAE189.1は、建物が少なくとも10%のピーク電気負荷軽減能力を有することを義務付けている。インターナショナル・グリーン・コンストラクション・コード及びカリフォルニア州法第24章2008は、照明電力消費量を少なくとも15%軽減できる需要反応型照明制御システムを義務付けている。
【0011】
電力平均分配のための1つのストラテジは、空調ユニットが配電網に課す需要を低下させるために、ピーク需要期間中は、空調ユニットの温度設定を上方向に調節することである。或いは、空調ユニットは、空調ユニットが配電網に課す需要を低下させるために、ピーク需要期間中は、空調ユニットの連続運転を防ぐ指定のデューティサイクルで動作させられてもよい。
【0012】
同様に、要求された需要削減期間中は、天井照明が消灯されてもよい。
【0013】
しかし、これらの期間中でもアクティブである残りの電子機器及び電気機器は、企業のエネルギー消費量及び費用に依然として著しく寄与する。
【0014】
したがって、当業界において、法律によって命じられる需要要件を満たし、運転費用を減らすために、電子機器及び/又は電気機器の電気エネルギー消費量を管理する方法及びシステムが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、需要応答要求を満たし、運転費用を減らすために、エネルギー削減を管理する方法及びシステムを提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、ユーザの快適さ及び利便性を損なうことなく、エネルギー削減を管理する方法及びシステムを提供することを目的とする。
【0017】
本発明は、フレキシビリティ及び携帯性が保たれることを確実にするために、スマート電池の使用及び充電を通じて、エネルギー削減を管理する方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一般に、電池/無停電電源(UPS)の主要目的は、緊急事態時に電力を供給し、携帯性を可能とすることである。本発明の原理によれば、電池及びUPSは、その主要目的を果たすのに十分なレベルの充電を保ちながら、短時間の間、電力平均分配に使用される。したがって、電池及び/又はUPSは、電池又はUPSの充電状態(SoC)又は能力が予備充電を上回ったままである限り、電力平均分配に使用される。予備充電とは、緊急事態及び電池駆動イベント用に確保される電池充電残量を意味する。
【0019】
本発明の原理によれば、配電網及びエネルギー蓄積電源で動作可能であるデバイスにおける電力平均分配を管理する方法が開示される。当該方法は、デバイス内のプロセッサにおいて実行可能であり、電力平均分配の要求を受信するステップと、電力平均分配の要求を引き受けるかどうかを決定するステップと、
エネルギー蓄積電源における容量が、予備レベルを上回るかどうかを決定するステップと、エネルギー蓄積電源における容量が、予備レベルを上回る場合、デバイスの選択されたコンポーネントにエネルギーを供給するために、エネルギー蓄積電源に切り替えるステップとを含む。
【0020】
本発明の別の態様では、電力平均分配を管理するシステムが開示される。当該システムは、メモリと通信するプロセッサを含み、メモリは、プロセッサによってアクセスされると、プロセッサに、電力平均分配の要求を受信させ、電力平均分配の要求を引き受けるかどうかを決定させ、エネルギー蓄積電源における容量が、予備レベルを上回るかどうかを決定させ、エネルギー蓄積電源における容量が、予備レベルを上回る場合、システムにおける選択されたコンポーネントにエネルギーを供給するために、エネルギー蓄積電源に切り替えさせるコードを含む。
【0021】
本発明の利点、特質及び様々な追加の特徴は、添付図面に関連して詳細に説明される例示的な実施形態をより深く検討することによって明らかとなろう。図面全体を通して、同様の要素を特定するために、同様の参照符号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A図1Aは、従来の配電網を示す。
図1B図1Bは、従来の電子デバイス構成を示す。
図2図2は、例示的な充電/放電曲線を示す。
図3図3は、本発明の原理による例示的な方法のフローチャートを示す。
図4図4は、本発明の原理による例示的な電池充電曲線の利用のグラフを示す。
図5図5は、本発明の例示的な一実施形態によるエネルギー削減管理のグラフを示す。
図6図6は、本発明の原理による例示的なデバイス構造を示す。
図7図7は、本発明の原理による第2の例示的なデバイス構成を示す。
【0023】
当然ながら、本明細書に説明される本発明の図面及び説明は、本発明の明確な理解のために関連のある要素を例示するために簡略化されている一方で、明確にするために、多くの他の要素が除かれている。しかし、これらの除かれた要素は、当技術分野において良く知られており、また、これらの要素は、本発明の理解を深める助けにはならないため、これらの要素の検討又は説明は、本明細書には提供されない。本明細書における開示は、当業者には知られている変形態様及び修正態様にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1Aは、配電網120に電気エネルギーを提供する複数の発電所110(例えば石炭、風力、原子力又はこれらの組み合わせ)を含む従来の配電網システム100を示す。商業実体130及び住居実体140が、電気サブネット又はサブ配電網112、114を介して配電網120に接続され、対応する実体内のデバイスに給電するための供給電気エネルギーを得る。供給電気エネルギーは、電気計器150によって監視され、状態把握される。各実体130、140内には、1つ以上の電気デバイス170(例えば光源、電化製品等)及び電子デバイス180(例えばコンピュータ、ラップトップ、コンピュータモニタ、UPS、サーバ等)が接続される複数の接続部、ソケット及び/又はコンセント(図示せず)を含む電気ネットワーク160が存在する。
【0025】
図1Bを参照するに、通常、各電子デバイス180は、当該デバイスが配電網160から切断された場合に、当該デバイスの処理要素に電気エネルギーを提供する電池又は蓄積デバイス(即ち、電気エネルギー電源)186を含む。例えばラップトップコンピュータは、配電網160によって提供された電気エネルギーを蓄積し、配電網160によって電子デバイス180(例えばラップトップコンピュータ)に電気エネルギーが提供されない場合に、当該電子デバイス180の処理要素187、188、189に電気エネルギーを放出する電池(又はエネルギー蓄積デバイス)186を含む。電子デバイスの処理要素としては、プロセッサ188に接続されるディスプレイ187及びメモリ189が挙げられる。
【0026】
更に、配電網160によって提供された交流電圧を、デバイス180によって使用される実質的に安定した電圧(即ち、直流電流)に変換するAC/DC変換器184が示される。直流電流に関連付けられている電圧は、電池186を実質的にフル充電に維持するように、電荷を電池186に提供する充電回路182に提供される。比較器185が、AC/DC変換器184及び電池186からの電圧を受け取り、どちらの電源が、デバイス180のコンポーネント(例えばディスプレイ187、プロセッサ188及びメモリ189)に電気エネルギーを提供すべきであるかを決定する。
【0027】
図1Bは、電池186又はAC/DC変換器184からの電圧が、例えばプロセッサ188に印加されるべきかどうかを決定する比較器185を示すが、当然ながら、比較器185は、2つの入力電圧のうちの大きい方を決定し、2つの入力電圧のうちの大きい方をプロセッサ188に印加するデバイスの論理的な表現に過ぎない。或いは、比較器185は、電池186(即ち、蓄電電源)及びAC/DC変換器184のDC出力電圧を周期的にサンプリングするサンプリング回路(図示せず)によって表現されてもよい。次に、サンプリング回路の結果は、比較器185に与えられ、比較器185は、2つのDC出力電圧のうちの大きい方をプロセッサ188に印加する。更なる代替実施形態では、比較器の出力は、蓄電デバイス186及びAC/DC変換器のうちの大きい方の電圧をプロセッサ188に印加するスイッチ(図示せず)に与えられる。
【0028】
充電可能なリチウムイオン電池は、ポータブル電子機器の電池の最も人気のあるタイプのうちの1つであり、最良のエネルギー対重量比を有し、メモリ効果がなく、又は、使用しないときの電荷損失は緩慢である。リチウムイオン電池は、本明細書においてエネルギー蓄積デバイスの一例として説明されるが、他のタイプのエネルギー蓄積デバイス(例えばニッケルカドミウム、ニッケル水素)も、本発明の範囲内であると考えられる。
【0029】
図2は、家庭用電子デバイス内に典型的に見られるリチウムイオン電池の例示的な充電及び放電特性を示す。この例示的な例では、電池に電気エネルギーが提供されると、電池の電圧レベルは、すぐに増加した後、ピーク電圧になるまで、実質的に線形速度で増加する。放電段階では、電圧は、最初に、ピーク電圧からすぐに減少した後、最低電圧に到達するまで、実質的に直線的に減少する。それ以降、電圧は迅速に減少する。
【0030】
ここでは、図2に示される例示的な充電及び放電特性を利用して、電子デバイスの電池機能の利用を介した電力需要を管理する方法が説明される。
【0031】
図3は、本発明の原理に従って電力需要及び削減を管理するための例示的な方法300のフローチャートを説明する。
【0032】
ステップ310において、デバイスが配電網(例えば160)に接続されているかどうかが決定される。回答が否の場合、処理は、配電網接続を監視し続ける。しかし、デバイスは配電網に接続されていると決定される場合、ステップ320において、デバイスに関連付けられている電池が、予備充電よりも少ない充電状態(SoC)又は容量を有するかどうかが決定される。ここでは、予備充電とは、緊急事態及び電池駆動イベント用に確保される充電レベルを示す。電池駆動イベント用の予備充電とは、デバイスが適切な動作(例えば休止状態、スリープモード又は所定のシャットダウン)を行うのに十分なエネルギーを電池が提供することを、当該適切な動作を行うために十分なエネルギー容量を電池が不足する前に、可能とする充電を示す。当然ながら、予備充電レベルは、電池に接続されるデバイスのタイプ、デバイスによって消費されるエネルギー量及び電池のタイプに基づいて設定される。したがって、予備レベルは、個々のデバイスについて、動的に決定される。
【0033】
充電状態が、予備充電よりも少ない場合、処理は、ステップ325に進む。ステップ325では、上記されたように、配電網からのエネルギーを電池に蓄積することによって電池の充電が継続する。処理は、次に、ステップ350へと続く。
【0034】
しかし、充電状態が、予備充電よりも少なくない場合、ステップ340において、配電網は、オフピーク期間内で動作しているのかどうかが決定される。ピーク期間とオフピーク期間とは、それぞれ、発電コストの高い期間と発電コストの低い期間であり、ピーク期間中は費用が高く、オフピーク期間中は費用が低いとして知られている。ピーク期間及びオフピーク期間の時間は、季節に応じて決定されるか、又は、例えば温度範囲に基づいている。
【0035】
デバイスが、オフピーク期間中に配電網に接続されていると決定されると、処理は、ステップ325へと続き、電池を充電し続ける。処理は、次に、ステップ350へと続く。
【0036】
しかし、期間がオフピーク期間ではないと決定されると、処理は、ステップ350へと続き、削減(shedding)信号を待つ。削減信号は、電力発生源(発電所110(図1))によって若しくはデバイスが接続されている配電網(例えば160(図1))に関連付けられる運営管理者によって生成されるか、デバイスのユーザによって生成されるか、又は、予めプログラムされた条件に基づいてソフトウェア制御下で生成される。
【0037】
削減信号が受信されると、ステップ370において、削減信号を生成した状況の重大度が閾値よりも大きいかどうかが決定される。例えば削減信号は、電気エネルギーに対する過剰需要を経験していて、発電設備への損傷を阻止するために要求需要を低下させる必要のある公共事業会社によって生成される。
【0038】
重大度が閾値よりも大きくない場合、処理は、ステップ310から続く。重大度が閾値よりも大きい場合、ステップ380において、ユーザが、電力平均分配要求に協力する意思があるかどうかが決定される。ユーザの意思表示は、手動(即ち、ユーザインタラクション)で行われても、自動的(即ち、ユーザプロファイル又は1つ以上の所定条件の実現を通じて)に行われてもよい。ユーザプロファイルは、運営管理者又はデバイス若しくは機器ユーザによって設定される。
【0039】
ユーザがエネルギー削減に協力する意思がない場合、処理は、ステップ310から続く。ユーザが協力する意思がある場合、ステップ390において、電池の充電状態が、予備充電よりも大きいかどうかが決定される。充電状態が予備充電よりも大きくない場合、処理は、ステップ396へと続き、デバイスは、配電網電源に切り替えられるか、又は、配電網電源のままとされる。ここでは、電池は、少なくとも予備電圧に維持される一方で、デバイスは、配電網から受け取るエネルギーで動作する。
【0040】
電池の充電状態が予備充電よりも大きい場合、ステップ392において、デバイスは、配電網電源から切断され、エネルギー蓄積デバイス(例えば電池)によって表されるエネルギー蓄積電源によって提供される電気エネルギーで動作する。
【0041】
ステップ394において、電力平均分配が終了したかどうかが決定される。ここでは、電力平均分配を終了するためのコマンドが受信されると、又は、時間がオフピーク期間に入ったことを示すと、電力平均分配は終了したと決定される。電力平均分配が終了したことが示されない場合、処理は、ステップ390に戻り、電池の状態を監視する。しかし、電力平均分配は終了したことが示される場合、処理は、ステップ396へと続き、ステップ396では、デバイスは、配電網から電気エネルギーを受け取るように切り替えられる。制御は、次に、ステップ310に戻る。
【0042】
図4は、本発明の原理によるエネルギー管理の一例を示す。この例では、本発明が、ユーザは午後3時に会議を予定しており、配電網への接続が可能ではない場合もあるため、当該ユーザは電池のフル充電を必要とするという知識を得ると、システムは、図2に示される例示的な充電曲線に基づいて、会議が始まるときには電池がフル充電になっているように、十分に前の時間(例えば正午12時)に電池の充電を開始する。ここでは、予定されている会議の知識は、例えばユーザのカレンダーから決定される。更に、ユーザは、ユーザの次の予定に関する手動入力を提供しても、いつエネルギー削減が可能であり、いつフル充電が必要であるかに関するプロファイルを設定してもよい。
【0043】
例えばユーザは、電気平均分配プログラムに参加して、ユーザのコンピュータの電池の制御部が、配電網から負荷を削減するために主要電力を提供するために使用される条件(いつ及びどうやって)を設定するユーザの優先傾向(即ち、ユーザ選択又はプロファイル)を設定してもよい。ユーザは更に、ユーザの電子デバイス(例えばコンピュータ)が、電力平均分配信号に反応して、作業照明のための電池電源に切り替える及び/又は電池電源を使用すると、アラートを設定してもよい。
【0044】
ユーザは、手動で介入して、電力平均分配信号を却下し、次に来る電池駆動イベントを見越して、電池充電を保つために配電網から電力を引込み続けてもよい。
【0045】
本発明の一態様では、ユーザは、1週間当たりの営業日、1日当たりの営業時間、昼食休憩時間、1週間当たりの電力平均分配除外日、1日当たりの電力平均分配除外時間、基準電池充電レベル、電池駆動イベントの時間及び継続時間、及び、電池が需要応答イベント中に作業照明のために使用できるかどうかといったパラメータに基づいて、週毎のスケジュール(即ち、ユーザプロファイル)を指定してもよい。
【0046】
本発明の別の態様では、ユーザのカレンダー(例えばマイクロソフトのアウトルック(マイクロソフト及びアウトルックは、アメリカ合衆国ワシントン州レッドモンドにあるマイクロソフト社の登録商標である))を使用して、ユーザがいつ充電された電池が必要になるのかが予測される。例えばユーザが、ユーザのオフィス以外の部屋での会議の招待に応じた場合、これは、電池駆動イベントと見なされ、充電された電池が必要となる。次の会議までに、コンピュータ(又はラップトップ)の電池が十分に充電されていることが望ましい。同様の電池駆動イベントが、ユーザのスケジュールに基づいてプログラムされる。
【0047】
図5は、本発明の原理によるエネルギー管理における本発明の動作の一例を示す。この例では、午前8時において、デバイスに関連付けられている電池が、4.3ボルトという例示的な値においてフル充電されている。予備充電は、4.05ボルトのレベルに示される。午前11時に、(12時30分まで)1時間30分間続く緊急ピーク価格設定期間が開始する。ここでは、デバイスは、緊急ピーク価格設定イベントの通知を受信する。この通知は、ネットワーク(IP又は他のネットワーク)(図示せず)を介して発行されるコマンドから受信されてよい。緊急ピーク価格設定イベント通知に反応して、デバイスは、配電網電源から分離され、電池電源に切り替える。更に、この緊急ピーク価格設定期間中は、天井照明は、減光又は消灯され、作業光源は、電池供給電源(例えばUPS)に切り替えられる。
【0048】
デバイスが電池電源に結合される期間中、電池の電圧レベルは、図2に示される例示的な放電曲線に従って、正午12時に、予備レベルまで減少する。この時点において、電池の緊急事態機能を維持するために、デバイスは、電池電源から分離され、配電網電源が利用可能である場合には、配電網電源に再び切り替える。ここでは、本発明の原理に従って、デバイスは、配電網から電力又はエネルギーを受け取り、電池レベルは予備レベルにあるため、電池は、従来において行われていたようには、電池をフル充電にするためにエネルギーを受け取らない。つまり、本発明の原理によれば、電池は、当該電池をフル充電に補充するためのエネルギーを配電網から引き込むことを回避するために、緊急ピーク価格設定期間の間は、予備充電レベルに留まる(12時から12時30分)。更に、12時30分から1時30分まで(1時間の期間)、電池を充電するためのエネルギーは消費されない。これは、本発明の原理によるスマート充電は、上記期間の間は、電池を充電するための追加の電気エネルギーを配電網から引き込むことなく、デバイスを動作させるのに十分なエネルギーのみを引き込むからである。したがって、配電網からエネルギーを受け取りつつ、電池を予備レベルに維持することによって、追加のエネルギー節約が達成される。
【0049】
本発明の原理によれば、電池は、オフピーク期間に入る時(午後6時)まで、予備充電に留まる。
【0050】
しかし、さらに説明されるように、また、本発明の原理によれば、ユーザの午後3時に予定されている会議に基づいて、電池は、1時30分(又は予定時間の前の所定の期間)において充電を開始して、会議時間までに、フル充電された電池を提供する。
【0051】
図2に示される例示的な充電曲線及び所望の時間(例えば午後3時)にフル充電された電池があるという要求に基づいて、本発明の原理によるスマート充電は、フル充電を提供するために、所望の時間よりも十分に前の時間に開始する。
【0052】
この説明される例では、電池充電を開始する所定の時間は、緊急ピーク価格設定期間外であるので、電池の充電は、予定されている会議よりも十分に前の時間に開始して、所望の時間には電池のフル充填が提供される。図示されていないが、電池充電は、所望の時間におけるフル充電を達成するために、所望の時間よりも十分に前の時間において充電が必要である場合は、緊急ピーク価格設定期間の間に行われてもよいことは認識されよう。
【0053】
デバイスが、所望の時間において配電網電源から物理的に切断され、電池に蓄積された電力で動作しているとすると、電池の電圧出力は、図2に示される典型的な放電曲線に従って減少する。
【0054】
この場合、デバイスが会議中に使用されるため、電池は放電し続ける。上記されたように、デバイスは、配電網から分離され、電池の容量は減少するので、予備レベルに到達しても、配電網電源に戻ることができず、したがって、電池電圧は、予備レベルを下回って減少し続ける。この時点で、電池電圧レベルが予備レベルに到達し、連続操作できる時間は限られていることを伝える警告メッセージがユーザに提供される。
【0055】
この場合、会議が終了して(即ち4時30分)、デバイスを配電網電源に戻すことが可能になると、電池の充電が開始し、これにより電池は最低レベル(即ち予備レベル)まで充電される。この例示される場合では、午後6時まで続くオンピーク期間中の電気料金は通常高いため、午後4時30分と午後6時との間は、電池を予備レベルに維持し、電気料金が下がる午後6時以降(オフピーク期間)に、電池を充電することが費用効果的である。したがって、電池は、4時から4時30分の間に、予備容量まで充電され、午後6時から午後8時の間に、予備容量からフル容量まで充電される。
【0056】
図6は、本発明の原理によるデバイスの例示的な一実施形態を示す。図1Bに関連して説明された実施形態と同様のこの図示される実施形態では、デバイス605は、充電回路182と、第1のスイッチ610と、電池(エネルギー蓄積デバイス)186と、比較器185をDC電圧源から分離する第2のスイッチ620とを組み込む。DC電圧源を表すAC/DC変換器184は、入力された交流電流(AC)に関連付けられる電圧を、直流電流(DC)に関連付けられる電圧に変換する。DC電圧は、充電回路182と、充電電池186と、比較器185とに印加される。比較器185は、上記されたように、電池186及びDC電圧源184のどちらからの電圧がディスプレイ187、プロセッサ188及びメモリ189に印加されるべきかを決定する。
【0057】
また、充電回路182と電池186との間にスイッチ610が図示される。スイッチ610は、充電回路182を、電池186に接続する、又は、電池186から切断するように使用される。スイッチ610は、プロセッサ188によって生成される信号によって制御されてもよい。又は、スイッチ610は、電池186が予備レベルを上回っているか又は下回っているかを決定する専用回路(図示せず)によって制御されてもよい。
【0058】
本発明の一態様では、スイッチ610は、充電が必要なときに、電池186に接続される。図5は、例えば午後1時30分から午後3時まで、午後4時30分から午後5時30分まで及び午後6時から午後8時までの充電が必要な期間を示す。或いは、スイッチ610は、充電が望まれない場合は、電池186から切断されてもよい。図5は、例えば午前11時から正午12時まで、午後12時30分から午後1時30分まで、午後5時30分から午後6時までの充電が行われない期間を示す。
【0059】
更に、AC/DC変換器184と比較器185との間にスイッチ620が図示される。スイッチ620は、デバイス180の要素(即ち、プロセッサ188、メモリ189及びディスプレイ187)を、配電網160を介して提供される電源供給から分離するために使用される。したがって、デバイス180が配電網160に物理的に接続されていても、スイッチ620が、デバイス180の配電網からの論理的な接続/切断を提供する。したがって、本明細書における説明において、「配電網から切断された」との表現は、配電網160からの物理的な切断(即ち、AC/DC変換器184への接続を取り除く)とも、配電網160からの論理的な切断(即ち、AC/DC変換器の出力が比較器185に接続されることを阻止するようにスイッチ160を位置づける)とも考えられる。
【0060】
スイッチ620は、プロセッサ188から、入力として、AC/DC変換器を比較器185に接続する、又は、AC/DC変換器184を比較器185から切断するようにスイッチを1つの位置に位置付ける制御信号を受信する。
【0061】
図5を参照するに、スイッチ620は、午前11時に、デバイス180が配電網160から(論理的に)切断されるように切り替えられ、また、正午12時に、デバイス180を配電網160に接続するように切り替えられる。また、デバイス180は、午後3時に、配電網160から物理的に切断されるため、スイッチ620の位置は、その最後の状態のままであってよい。
【0062】
図7は、エネルギー蓄積電源(即ち、電池186)、又は、配電網ベースのDC電源(即ち、AC/DC変換器184)からの電圧が、処理システムの要素(例えばプロセッサ188、メモリ189、ディスプレイ187、通信カード(図示せず)等)に提供されるかどうかを決定するスタンドアロンデバイス700として動作する本発明の原理による例示的な回路を示す。或いは、デバイス700の出力は、作業照明部790に提供されてもよい。
【0063】
配電網160は、交流電流をAC/DC変換器184に供給する。AC/DC変換器184は、既知の振幅を有するDC電圧Viを、デバイス700に提供する。デバイス700は、AC/DC変換器184から受け取った入力DC電圧を受け取るスイッチ(SW2)620を含む。上記されたように、充電回路182、スイッチ(SW1)610及び電池186も図示される。電池186は、Vbと示される電圧を生成する。AC/DC変換器184、スイッチ620、充電回路182、スイッチ610及び電池186は、図6に関して説明されたものに相当するので、これらの要素の更なる説明は、図7に関しては述べない。
【0064】
電池電圧Vbと、基準電圧生成器720によって生成される基準電圧Vrとを受け取る比較器730も図示される。基準電圧Vrは、上記された予備電圧に相当する。更に、基準電圧Vrは、当技術分野において知られているように、ツェナーダイオード回路を使用して決定される。
【0065】
比較器730の出力は、次に、スイッチ610、620に与えられ、電池電圧Vbが基準電圧Vrよりも大きいか又は小さいかに基づいて、スイッチ610、620の動作を制御する。
【0066】
更に、電池電圧Vbと、入力電圧Viとを受け取る比較器710も図示される。比較器710の出力は、スイッチ720の位置を制御する。スイッチ720は、入力電圧Viをデバイス700の出力から分離する。
【0067】
本発明の原理によれば、入力電圧Viが、基準電圧Vrよりも大きい電池電圧Vbよりも大きい場合、スイッチ610、620、720は開かれ、電池電圧Vbが、例えばプロセッサ188に供給される。また、入力電圧Viが、基準電圧Vrよりも小さい電池電圧Vbよりも大きい場合、スイッチ610、620、720は閉じられ、配電網から供給された電圧Viが、プロセッサ188に提供される。別の態様では、入力電圧Viが、基準電圧Vrよりも大きい電池電圧Vbよりも小さい場合、スイッチ610、620、720は開かれ、電池電圧Vbが、プロセッサ188に供給される。同様に、入力電圧Viが、基準電圧Vrよりも小さい電池電圧Vbよりも小さい場合、スイッチ610、620、720は開かれ、電池電圧Vbが、プロセッサ188に供給される。
【0068】
したがって、本発明の原理によれば、デバイス700は、電池電源が必要な電圧を適切に提供できる場合は、配電網ベースの電源が処理ユニット(即ち、プロセッサ188、メモリ189、ディスプレイ187)にエネルギーを提供しないように切断する。
【0069】
図7は、比較器回路を使用して処理システムに提供されるエネルギーを電気的に管理するデバイスを示すが、当然ながら、決定デバイス(即ち比較器)は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)といったプログラマブルデバイスに組み込まれてもよく、当該プログラマブルデバイスに、本明細書において述べられた決定論理が組み込まれてもよい。
【0070】
また、図7に示されるデバイスは、条件が満たされたときには悪(ハードな)条件(例えばVrはVbよりも大きい)がスイッチングを引き起こす場合にもスイッチングが行われることを示唆する。しかし、このような悪条件は、スイッチングシステムを、悪条件点の周りで動作させる。したがって、好適な(ソフトな)条件も、本発明に組み込まれることが考えられる。好条件では、本発明の範囲を変更することなく、悪条件点よりも上及び/又は下で動作することを可能にする。例えば電池電圧Vbは、スイッチングが生じる前に、基準電圧の許容範囲内で動作する。一例として、例えば基準電圧が10ボルトである場合、電池電圧Vbは、配電網電圧へのスイッチングが生じるまでに、9ボルト(即ち、10パーセント)に降下する(即ち、Vrより小さいVbより大きいVi)。したがって、本明細書において言及される電圧は、電圧範囲(例えば±10パーセント)であり、厳密な電圧値ではないと考えられる。
【0071】
本発明は、電子デバイス(例えばコンピュータ、ラップトップ、UPS、携帯電話等)に関連して説明されたが、当然ながら、電気デバイス(例えば光源、作業光源)は、ピーク需要期間中にUPS/ラップトップ電池によって給電される。照明は、商業ビルにおいて消費される電力の約37%を占める。需要応答イベント中に、天井光源が消灯及び/又は減光され、ラップトップ及び/又はUPS電池によって給電される作業光源が点灯されるならば、かなりの量の負荷が配電網から削減される。両ストラテジの組み合わされた電力平均分配の可能性は非常に大きい。また、作業照明は、図7に示される回路によって制御されるところ、作業照明が、配電網電源又はエネルギー蓄積電源によって給電されてもよい場合、作業照明は、エネルギー蓄積電源が作業照明に給電するのに十分なエネルギー容量を有するときは、エネルギー蓄積電源によって給電される。
【0072】
例えば作業照明は、汎用シリアルバス接続によって給電されてもよい。したがって、需要削減が要求される場合、配電網(例えば120V、240V)によって給電される天井照明は、減光され、作業照明が起動される。作業照明は、作業照明のローカルにある蓄積デバイス(即ち、ラップトップUSBポート)か又はリモートにあってもよい蓄積デバイス(UPS)によって給電される。
【0073】
したがって、作業光源は、ピーク需要期間中(また、CPPイベント中)は、UPS/ラップトップ電池によって給電される。需要応答イベント中に、天井光源が消灯/減光され、ラップトップ/UPS電池によって給電される作業光源が点灯されると、かなりの量の負荷が配電網から削減される。需要応答イベント中に、光源を自動的に点灯するように、LEDに基づいた作業光源が、ドッキングステーション又はモニタに組み込まれてもよい。
【0074】
例えば図1に戻るに、デバイス170は、デバイス180に関連付けられた作業照明を示す。本発明の原理によれば、CPP期間中は、作業照明は、デバイス180内に含まれるエネルギー蓄積電源から動作するように起動される。又は、作業照明は、配電網160に接続された専用UPSから動作されてもよい。したがって、CPP期間中は、天井照明は減光される一方で、作業照明は、1つ以上の電池電源における蓄積されたエネルギーによって給電される。
【0075】
更に、本発明は、電池に関連して説明されたが、当然ながら、任意のエネルギー蓄積デバイスを、本発明の原理による蓄積デバイス電源として使用してもよい。したがって、本発明は、配電網から負荷を削減するために、商業ビルの駐車場に駐車されたプラグインハイブリッド車両(PHV)の電池に蓄積されたエネルギーを利用することもできる。ビル占有者のスケジュール及び設定を使用して、電力平均分配のために、PHVの電池がいつ、どれくらい使用されるかが決定される。もう1つの応用分野は、光源に電池が搭載された非常用照明である。これらの非常灯の多くは、日中、日が当たる領域では不要である。これらの非常灯の電池を、緊急ピーク価格設定期間(ほぼ必ず日中に生じる)の間、電力平均分配のために利用し、暗くなる前に充電することができる。
【0076】
ピーク時間又はCPPイベント中に、電子機器を動作させるために電池電力を利用し、オフピーク時間中に、電池を充電することによって、経営組織は、電気料金を節約し、及び/又は、条例の要求事項を満たすことができる。
【0077】
本明細書に述べられたストラテジは、全需要が所定の限界を超えないように、短期間の需要の急増時における瞬間的な電力平均分配に非常に有用である。電力平均分配に参加するデバイスは、需要が所定の限界まで落ちると、配電網に戻ることができる。
【0078】
本発明は、単一のデバイスに関連して説明されたが、当然ながら、最新のオフィスにおける電池搭載型電子デバイスの多くは、ネットワークにつながっており、また、プログラム可能である。これらのデバイスは、必要なハードウェア及び通信インフラストラクチャを有するので、本明細書に述べられた本発明は、最低限のハードウェア及びソフトウェア変更で実施することができる。更に、ソフトウェアは、請求項に係る発明をサポートするために、既存の機器に容易にレトロフィットされることが可能である。
【0079】
開示された実施形態の他の変更態様も、図面、開示内容及び添付の請求項を検討することにより、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され実行されよう。請求項において、用語「含む」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、不定冠詞「a」又は「an」は、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に格納/分散配置されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するといった他の形態で分散されてもよい。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定しているものと解釈されるべきではない。
【0080】
本発明に係る上記の方法は、ハードウェア、ファームウェアにおいて、又は、CD ROM、RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、若しくは、磁気−光ディスクといった記録媒体に記録可能なソフトウェア、コンピュータコード、若しくは、遠隔にある非一時的記録媒体、若しくは、非一時的な機械可読媒体上にもともとは記録され、ネットワークを介してダウンロードされ、ローカル記録媒体に記憶されるべきコンピュータコードとして実施され、したがって、本明細書に説明される方法が、汎用コンピュータ、若しくは、特殊プロセッサを使用して、記録媒体に記録された当該ソフトウェアにおいて、又は、ASIC、若しくは、FPGAといったプログラム可能、若しくは、専用のハードウェアにおいてレンダリングされる。当然ながら、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサコントローラ、又は、プログラマブルハードウェアは、コンピュータ、プロセッサ、又は、ハードウェアによってアクセスされ実行されると、本明細書に説明される処理方法を実施するソフトウェア、又は、コンピュータコードを記憶、又は、受信する、例えばRAM、ROM、フラッシュ等のメモリコンポーネントを含む。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に格納/分散配置されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するといった他の形態で分散されてもよい。また、当然ながら、汎用コンピュータが、本明細書に示される処理を実施するためのコードにアクセスすると、当該コードの実行は、汎用コンピュータを、本明細書に示される処理を実行する特殊用途コンピュータに変換する。
【0081】
本明細書に使用される「a」又は「an」との用語は、本発明の要素及び構成要素を説明するためのものである。これは、便宜上、本発明の一般的な要旨を提供するために使用されたものである。本明細書における説明は、1つ、又は、少なくとも1つを含むと読むべきであり、また、単数形は、特に明記されない限り、複数形を含むと読むべきである。
【0082】
「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「〜として」、「有する」、又は、これらの任意の他の変形の用語は、非排他的な包含を対象とすることを意図している。例えば要素のリストを含む処理、方法、製品又は装置は、必ずしも、これらの要素に限定されず、当該処理、方法、製品又は装置に明示的に列挙されていない又は当該処理、方法、製品又は装置に固有の他の要素を含んでもよい。更に、特に明記されない限り、「又は」との用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を指している。例えば、条件A又はBは、次のうちいずれによっても満たされる。即ち、Aが真であり(又は存在し)、Bが偽である(又は存在しない)とき、Aが偽であり(又は存在しない)、Bが真である(又は存在する)とき、及び、A及びBが共に真である(又は存在する)ときに満たされる。
【0083】
開示された実施形態の他の変更態様も、図面、開示内容及び添付の請求項を検討することにより、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され実行されよう。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定しているものと解釈されるべきではない。
【0084】
本発明の好適な実施形態に適応された本発明の基本的で新規な特徴が示され、説明され及び指摘されているが、当然ながら、説明されている装置において、開示されたデバイスの形式及び詳細について及びその動作について、様々な省略、置換及び変更が、本発明の精神から離れることなく、当業者によってされてもよい。
【0085】
実質的に同じ機能を、実質的に同じ方法で行い、同じ結果が得られる要素のあらゆる組み合わせは、本発明の範囲内であることを明らかに意図している。1つの説明された実施形態からの要素の別の実施形態への置換も、十分に意図し、検討されているものである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7