【実施例】
【0063】
実施例
実施例1.PSA−NCAM−陽性神経前駆細胞の虚血性疾患と神経炎症疾患とに対する治療効果
実験方法
ヒトMSC及びヒトESC−由来のNPC
PSA−NCAM+細胞の培養及び分化
ヒト細胞の使用は、医学研究倫理審議委員会(Institutional Review Board、IRB No.4−2008−0643)の承認を受けた。ヒト骨髄は、事前同意書を提出した健康な成人志願者の後部腸骨稜線で収得した。要約すれば、骨髄單核細胞を密度勾配遠心分離(GE Healthcare,Uppsala,Sweden)を用いて分離し、10% FBS(Gibco,GrandIsland,NY)が補充されたDMEMにプレーティングした後、37℃で5% CO
2を含む加湿大気下で培養した。24時間後に、非吸着細胞を洗浄し、除去した。培養液を毎3日ごとに置き換え、90%のコンフルエンシ(confluency)に到逹した時、細胞を0.05% トリプシン/EDTA(Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いて継代培養した。
【0064】
3−5継代の吸着MSCを本実験で使った。神経誘導のために、bFGFがないhESC培地(Invitrogen)上でhESCから由来の胚芽体(embryoid bodies、EBs)を5μM DM(dorsomorphin)(Sigma,St.Louis,MO)及び5〜10μM SB431542(Calbiochem,San Diego,CA)を含む懸濁液で4日間培養し、以後、20ng/ml bFGFが補充された1xN2(Invitrogen)培地でマトリゲルコーティングされたディッシュ(BD Biosciences,Bedford,MA)に5日間吸着させた(Kim,D.S.,Lee,D.R.,Kim,H.S.,et al.(2012).PLoSOne,7,e39715)。吸着されたEBコロニーの中心に表われた神経ロゼットをpulledガラスピペットを用いて周辺の平らな細胞から気をつけて分離した。小さなロゼット塊をマトリゲルコーティングされたディッシュにシーディングし、1xN2、1xB27(Invitrogen)が補充されたDMEM/F12で培養した(Kim,D.S.,Lee,J.S.,Leem,J.W.,et al.(2010).Stem Cell Reviews and Reports,6,270−281)。
【0065】
MACSによるPSA−NCAM−陽性NPCの分離
80〜90%のコンフルエンシの拡張された神経ロゼットを10μM Y27632(Sigma)に1時間露出させて、MACS段階に入る前の細胞死が起こることを防止した。Accutase(Invitrogen)を用いて分離した後に、細胞(〜1x10
8cells)を1% BSAが含まれたPBSでブロッキングし、マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)が接合された抗PSA−NCAM抗体と共に4℃で15分間培養した。集中的に洗浄した後、細胞懸濁液をMASC(magnetic activated cell sorting)に入れ、カラムに残っている陽性−標職された細胞をチューブに溶離させた。分離されたNPC
PSA−NCAM+をN2B27培地または20ng/ml bFGFが追加されたNBG培地(1xN2、0.5xB27及び0.5xG21補充)(GeminiBio−Products,WestSacramento,CA)に4−5x10
5cells/cm
2の濃度で再びプレーティングした。培養培地は、毎日取り替え、細胞は、2〜3日ごとに継代培養した。
【0066】
脳卒中モデルの確立及びNPC
PSA−NCAM+の定位注入(stereotaxic injection)
2週齢の雄Sprague−Dawleyラット(体重約250〜300g)をN
2O対O
2の比率70%〜30%下で3% イソフルラン(Hana Pharm,Seoul,Korea)で麻酔した。左側総頚動脈及び外頚動脈を分離し、4−0手術用縫合糸で連結した。ナイロン糸を左側内頚動脈に挿入してウィリス環まで移動させ(永久的中大脳動脈閉塞:permanent middle cerebral artery occlusion、pMCAo)、ラットを犠牲させるまで糸を残しておいた。
【0067】
pMCAo以後、2日後にNPC
PSA−NCAM+、MSCsまたはPBSの定位注入を行った。ラットをゾレチル(VirbacS.A.,France、25mg/kg)で麻酔し、定位外科手術ツール(David Kopf Instruments,Tujunga,CA)に位置させた。A26−ケージ針(Hamilton syringe,Hamilton,Reno,NV)を左側線条体(striatum)(ブレグマからの座標:前後側(anteroposterior)+0.7mm、内外側(mediolateral)−2mm及び背腹側(dorsoventral)−5.5mm、髄膜(meninges)から−2.5mm)に挿入した;5μlのNPC
PSA−NCAM+、MSCs(それぞれ1x10
5cells/μl)またはPBSを5.5mm及び−2.5mm部位に注入した。あらゆる細胞を持続的な撹拌を通じて細胞凝集を防ぎながら、左側線条体に1μl/minの速度で注入した。9匹の実験動物が、pMCAo手術及び細胞移植途中で死亡した。
【0068】
あらゆる動物をAAALAC(Association for Assessment and Accreditation of Laboratry Animal Care)が承認した施設で12時間明暗サイクル下で育てた。動物実験は、医学研究倫理審議委員会(IRB No.4−2011−0087)の承認を受けた。
【0069】
行動検査
フットフォールト検査(Foot fault test):フットフォールト検査は、2分間の試験の間に、等距離格子板(equi−distant grid、60x60cm、6cm距離)上で前足を正確に位置させる程度を測定する。前記試験は、従来の研究に基づいて変形された手続きによって行った[12、13]。
【0070】
非対称行動検査(Asymmetric behavior test):従来に報告された変形されたEBST(elevated body swing test)を用いた。ラットのしっぽを実験区域表面の10cmまで持ち上げた後、側面運動を検査した。右側または左側へのスイング(swing)頻度を1分間測定した。非対称点数値は、次のように計算した;0点−胴体をねじる、左側または右側にスイング、1点−<30°に非対称的にねじる、2点−>30°に非対称的にねじる。胴体をねじる方向によって、点数は、同側にねじる(同側twist、梗塞部位と同じ側)または反対側にねじる(contralateral twist、梗塞部位と反対側)で計算した。
【0071】
ビーム均衡検査(Beam balance test):ビーム歩行器具は、ビーム(100x5x2cm)で構成される。運動能力は、従来の研究で使われた6点単位で評価した;1点−ビーム上で安定した姿勢及び足で均衡を成す、2点−ビームの側面を握って搖れる動作を行う、3点−1つ以上の足が滑る、4点−均衡を取ろうとする試みをするが落ちる、5点−ビームにわたっているが落ちる、点6−均衡を取ろうとする試みなしに落ちる。
【0072】
捕捉可能牽引検査(Prehensile traction test):検査のうち、捕捉可能如何は、ラットが前足で水平方向のロープにぶら下げることができる能力を通じて測定する。捕捉可能牽引検査は、ラットの筋肉強度を評価するために行われた。この検査は、従来に報告された方法で実施した。鉄棒(直径2cm、長さ100cm)を水平にスポンジゴムパッド(厚さ7.5cm)の70cm上に位置させた。ラットの前足を鉄棒に位置させた後、放した。ラットを5秒間鉄棒にぶら下げられるようにした。落ちるのにかかる時間と後足を鉄棒上に乗せるか否かを通じて、次のように点数を計算した;0点−ラットが5秒間ぶら下げられ、後足を乗せる、1点−ラットが5秒間ぶら下げられ、後足を乗せることができない;2点−ラットが3〜4秒間ぶら下げられる、3点−ラットが0〜2秒間ぶら下げられる。
【0073】
mNSS(Modified neurological severity score):神経障害点数は、運動、感覚及び反射神経の検査を複合して導出され、従来に報告された方法で実施した。客観的な定量化は、非対称行動検査、ビーム均衡検査、捕捉可能牽引検査、オープンフィールド検査(回転頻度)、及びフットフォールト検査に基づいてなされ、次のように点数を計算した;0点−欠陥がない、2点−反対側の前足を完全に伸ばすのに困難がある(3≦front foot fault<10)、4点−反対側の前足を伸ばすことができない(front foot fault≧10)、6点−反対側に多少旋回する(1≦回転または非対称にねじれる<5)、8点−激しく旋回する(回転または非対称にねじれる≧5)、10点−反対側に落ちる(捕捉可能牽引≦2)。
【0074】
免疫組織化学的分析及び定量化
脳組織を24時間4% ホルムアルデヒドで固定し、PBSで洗浄した。パラフィン断面の製作のために、累進エタノールで組織を脱水させ、パラフィンに包埋させた。パラフィン包埋された脳をミクロトーム上で5mm厚さ層に切断し、キシレンで10分間脱パラピン化した後、累進アルコールで再水和した。断面に10mM クエン酸を1時間処理した後、PBS及び0.5% トリトンX−100を含有する5% BSA溶液を添加した。以後、脳切片をDCX(Abcam)、Tuj1(Covance)、hNu(Millipore、clone 235−1)、GFAP(Millipore)、Ki67(Leica Microsystems)、hMito(Millipore)、MAP2(Millipore)、ヒトNestin(Millipore, clone 10C2)、またはED−1(Abcam)(1:100)に対する1次抗体と共に10〜12時間4℃で培養した。1次抗体と共に一晩中培養した後に、切片をPBSで洗浄し、切片を蛍光標職された2次抗体である抗ラビットIgGと31時間培養した。切片をもう一度PBSで洗浄し、DAPI(4’,6’−diamidino−2−phenylindole)を用いてマウンティングした。蛍光顕微鏡(Olympus IX71)を用いて切片の蛍光イメージを得た。脳組織内で特定抗体と反応する神経細胞の数を正確に測定するために、ブラインドテストを用いた。実験に対してあらかじめ分からない3人の実験者にスライド内の5個の50mm
2四角形内でのED−1
+細胞及びα−SMA
+血管(直径50mm以下)の数を数えるようにした。以後、調査者は、3人の実験者の結果を総合して検出されたニューロンの数を正確に決定した。
【0075】
移植後、26日目に、ラット(グループ当たり10匹)をゾレチル(Virbac S.A.,France、25mg/kg)で麻酔し、PBS及びPBSに含有された4% パラホルムアルデヒド(pH7.5)で灌流した。
【0076】
梗塞部位の測定のために、脳切片をヘマトキシリンで染色し、顕微鏡(Zeiss,Oberkochen,Germany)で撮影した。反対側半球の梗塞面積で同側半球の梗塞面積を差引いた間接的な損傷部位を計算した。相対的な梗塞面積をNIH Image Jプログラム(1.47バージョン)で分析した。反対側半球と比較した間接的損傷の平均百分率を表示した14。
【0077】
逆転写重合酵素連鎖反応(RT−PCR)
Trizol試薬(Invitrogen)を用いて総RNAを分離した。標準逆転写(RT)をTranscriptase II(Invitrogen)を用いてまず行った後、次のようなプライマーセットでRT−PCRを行った:アンジオポエチン1正方向プライマー:TGTGTCCATCAGCTCCAGTTGC(配列番号1)、逆方向プライマー:CGGCTACCATGCTCGAGATAGG(配列番号2)(Bioneer,Daejeon,Korea)。PCR産物を1.2% アガロースゲルに回した後、臭化エチジウムで染色してUV光下でバンド(約400bp)を検出した。最後に、検出されたバンドをNIH Image Jプログラム(バージョン1.47)で定量化した。
【0078】
統計的分析
データは、平均±標準誤差で表わした。行動検査及び梗塞面積のデータは、SPSS(Statistical Package for Social Sciences、バージョン20.0)を用いてANOVA及び独立t検定で分析した。P−values<0.05である場合、統計的有意性があると見なした。
【0079】
実験結果
NPC
PSA−NCAM+の移植は、宿主脳の梗塞部位を減少させる。
本発明の全体的な実験設計は、
図1aに示した。神経組織の損傷程度は、移植26日後、ヘマトキシリンを通じて正常に染色されていない脳部位(area)を通じて評価した。梗塞部位は、大脳皮質及び線条体で主に表われた。梗塞部位は、MSCsまたはNPC
PSA−NCAM+を移植した場合よりもPBSを処理した虚血性脳で明確にさらに広かった(
図1b)。反対側に対する梗塞面積の百分率は、NPC
PSA−NCAM+(7.1±2.5%)またはMSC(14.9±1.9%)が移植された群でPBS群(25.1±2.4%)に比べて、有意に減少した(F=13.64、P<0.01)。NPC
PSA−NCAM+−及びMSC−移植群間の梗塞が統計的に異ならないが、NPC
PSA−NCAM+−移植群の梗塞面積は、MSC−移植群に比べて、明白にさらに狭かった(
図1c)。
【0080】
NPC
PSA−NCAM+の移植は、ラット脳卒中モデルで行動能力を向上させる。
ラットの体重は、pMCAo後、初日に測定した基底値に比べて、40gが減少した。体重減少は、PBS−処理ラットで7日後、頂点に至った。MSC−移植群で、体重は、移植17日後、基底段階まで回復された。しかし、NPC
PSA−NCAM+−移植群では、PBS群と比較して、移植3日後から有意な体重回復が観察された(P<0.05)(
図2a)。pMCAo以後、3日(P<0.05)から13日(P<0.01)の間までフットフォールト/ラインクロス頻度は、PBS群に比べて、NPC
PSA−NCAM+及びMSC移植群で有意に減少した(
図2b)。それだけではなく、NPC
PSA−NCAM+移植群は、13日目にフットフォールト/ラインクロスがMSC移植群と比べても、有意に減少した。しかし、このような差は、以後(移植後、17及び24日)体重増加による活動性の減少によって不十分に顕著になった。
【0081】
あらゆるラットが、pMCAo前には、EBTSで相対的に低い非対称性を示した一方、pMCAo後には、あらゆる実験動物の非対称性が明確に観察された。移植3日後、NPC
PSA−NCAM+−及びMSC−移植群で同側ねじり行動を示し始めた。MSC−移植群が、移植13日後まで緩やかな向上を示した一方(P<0.05)、NPC
PSA−NCAM+−移植群の非対称行動点数は、移植後、7日目に有意に減少し始めて24日目まで持続した(P<0.01)(
図2c)。
【0082】
NPC
PSA−NCAM+移植は、MSC−移植群及びPBS群に比べて、3日から24日の間のビーム均衡検査での機能回復も改善させた(P<0.01)(
図2d)。NPC
PSA−NCAM+移植は、運動調整能力を反映するビーム上で保持する時間を有意に増加させたが、MSC−及びPBS−処理群では、統計的な差異点を示していない。
【0083】
前足の筋肉強度と負の相関関係を有する捕捉可能牽引点数は、NPC
PSA−NCAM+移植群で3〜24日の間に次第に減少した(P<0.01)(
図2e)。MSC−移植群も、移植7〜24日後に類似した改善パターンを示した。
【0084】
神経回復効果の定量化を標準化するために、本発明者らは、最後に非対称行動点数、ビーム均衡試験、捕捉可能牽引検査、オープンフィールド検査(回転頻度、データ未公開)、及びフットフォールト検査に基づいたmNSS基準を評価した。mNSSは、漸進的な神経機能回復がPBS−処理群に比べて、NPC
PSA−NCAM+−及びMSC−移植群で3日後から顕著に始めること示す(P<0.05)(
図2f)。それだけではなく、NPC
PSA−NCAM+−移植群は、7日以後から24日までMSC−移植群に比べても、実質的な改善を示した(P<0.01)。NPC
PSA−NCAM+−移植群の効果は、特に3日から7日の間に明確になったが、それを通じて移植初期強力な傍分泌効果があるということが分かる。
【0085】
移植されたNPC
PSA−NCAM+は、宿主脳で生存して神経系に分化する。
移植された細胞の密度を追跡するために、本発明者らは、26日目にhNu(ヒト−特異的核)、Ki67(増殖細胞マーカー)、DCX(神経母細胞マーカー)、ネスチン(神経幹細胞マーカー)、及びTuj1(神経マーカー)に対する抗体を用いて組織学的分析を行った。NPC
PSA−NCAM+の移植後に、ほとんどの細胞は、最初移植部位(例えば、線条体)で見つけられた。移植されたNPC
PSA−NCAM+の生存、増殖及び分化は、損傷された脳でのKi67
+、DCX
+、Tuj1
+、及びネスチン
+の存在を通じて確認した(
図3a及び
図3b)。移植されたNPC
PSA−NCAM+細胞の多数は、DCXまたはTuj1を発現した一方、一部は、ネスチンに対して陽性であった。移植された細胞の擬似分裂段階は、Ki67−免疫反応性を通じて調査した。hNu
+細胞(9184個)の一部は、移植26日目にKi67に対しても陽性であった(432個、4.7%)。NPC
PSA−NCAM+細胞でのTuj−1免疫反応性は、DCX免疫反応性と広範囲に重畳された(
図3b)。これらDCX免疫反応性細胞は、ラット由来ではないヒト由来の細胞であり(
図3c)、それを通じて脳梗塞部位の減少は、移植された細胞の融合に部分的に起因することが分かる。
【0086】
多くの移植されたNPC
PSA−NCAM+細胞が優れた生存率を見せながら、損傷された組織に編入されたが、hNuを発現するMSCは、移植26日後にいくつかの細胞のみが検出された(
図3d)。ほとんどの移植されたNPC
PSA−NCAM+細胞は、未成熟神経細胞(例えば、DCX陽性であり、一部Ki67陽性細胞)である(
図3b)。一方、移植されたMSCs(hNu
+細胞)は、損傷部位でDCX陽性を示せず、ほとんどのMSC移植群で少数の増殖中であるhNu
−Ki67
+細胞が針管内及び周囲に存在した(
図3d)。
【0087】
NPC
PSA−NCAM+が移植されたラットでhMito
+MAP2
+及びhNu
+MAP2
+二重標識細胞が検出されたが(
図4a及び
図4b)、hMito
+GFAP
+(
図4d)またはhMito
+GalC
+(データ未公開)空染色細胞はほとんど検出されないことによって、NPC
PSA−NCAM+細胞は、神経系に主に寄与する前駆細胞であることが分かった。反対側線条体でhMito
+細胞は、ほとんど観察されていない(
図4c)。
【0088】
NPC
PSA−NCAM+の移植は、宿主脳で反応性グリア細胞の活性を抑制する。
いくつかのGFAP(星状細胞マーカー)−陽性細胞が針と周辺で見つけられたが、GFAPの発現は、NPC
PSA−NCAM+移植群で目立つように低かった(
図4e)。事実、GFAP−陽性細胞の数は、NPC
PSA−NCAM+移植群で大きく減少し(P<0.001)、MSC−移植群では、その減少程度がより低かった(
図4e及び
図4f)。これは、NPC
PSA−NCAM+移植が反応性星状細胞の活性化を強く抑制し、これにより、組織再生に有利な環境を造成することを示すものである(Gonzalez,F.F.,McQuillen,P.,Mu,D.,et al.(2007).Developmental Neuroscience,29,321−330)。
【0089】
虚血性脳卒中は、組織損傷による微細グリア細胞の反対反応を誘導する。これにより、本発明者らは、移植26日目にCD68(活性微細グリア細胞マーカー)を認識するED1抗体を用いて虚血脳組織での微細グリア細胞の活性化を調査した(
図4e)。注目すべきことは、ED1−陽性細胞が、NPC
PSA−NCAM+群で有意に減少し(P<0.001)、MSC−移植群は、より不十分に減少したということである(P<0.05)(
図4f)。たとえ、線条体内のNu+細胞が6ヶ月後に検出されたが、NPC
PSA−NCAM+が移植された脳の移植部位または他の部位でテラトーマの跡は全くなかった。
【0090】
NPC
PSA−NCAM+移植は、宿主脳での血管新生を促進する。
平滑筋アクチンマーカーであるα−SMAの抗体を用いて虚血性脳での内生的血管新生を調査した。その結果、NPC
PSA−NCAM+−移植ラットでMSC−及びPBS−処理群に比べて、α−SMA反応性血管の数が移植部位周辺で増加したことを観察した(
図5a、
図5b)。微小血管の定量的分析を通じてNPC
PSA−NCAM+−移植ラットのα−SMA+血管がMSC−及びPBS−処理群のそれに比べて、梗塞部位で増加したことを明確に確認した(
図5c)。
【0091】
移植後、7日及び26日にRT−PCRを用いて脳組織での血管新生誘発因子であるアンジオポエチン−1の発現レベルを調査した結果、26日目のNPC
PSA−NCAM+移植ラットでの発現レベルは、他の群に比べて有意に高く(P<0.05)(
図5d)、それを通じて長期間生存したNPC
PSA−NCAM+によって血管新生が誘導されたということが分かった。NPC
PSA−NCAM+−移植されたラットは、26日目に7日目よりも増加したアンジオポエチン−1パターンを示した一方、MSCs−処理ラットのアンジオポエチン−1は、7日目のそれと比較して変化がないか、少し減少した。しかし、MSCs−処理ラットは、7日目のPBS−処理群に比べて増加したパターンを示した(P<0.05)。
【0092】
実施例2.神経前駆細胞分泌タンパク質の虚血性疾患と神経炎症疾患とに対する治療効果
実験材料及び実験方法
ヒトESC−由来のNPC
PSA−NCAM+細胞の収得
ヒト細胞の使用は、医学研究倫理審議委員会(IRB No.4−2008−0643)の承認を受けた。神経誘導のために、bFGFがないhESC培地(Invitrogen)上でhESCとiPSCとから由来の各胚芽体(EBs)を5μM DM(dorsomorphin)(Sigma,St.Louis,MO)及び5〜10μM SB431542(Calbiochem,San Diego,CA)を含む懸濁液で4日間培養し、以後、20ng/ml bFGFが補充された1xN2(Invitrogen)培地でマトリゲルコーティングされたディッシュ(BD Biosciences,Bedford,MA)に5日間吸着させた(Kim,D.S.,Lee,D.R.,Kim,H.S.,et al.(2012).Highly pure and expandable PSA−NCAM−positive neural precursors from human ESC and iPSC−derived neural rosettes.PLoSOne,7,e39715)。吸着されたEBコロニーの中心に表われた神経ロゼットをガラスピペットを用いて周辺の平らな細胞から気をつけて分離した。小さなロゼット塊をマトリゲルコーティングされたディッシュにシーディングし、1xN2、1xB27(Invitrogen)が補充されたDMEM/F12で培養した(Kim,D.S.,Lee,J.S.,Leem,J.W.,et al.(2010).Robust enhancement of neural differentiation from human ES and iPS cells regardless of their innate difference in differentiation propensity.Stem Cell Reviews and Reports,6,270−281)。
【0093】
80〜90%のコンフルエンシの拡張された神経ロゼットを10μM Y27632(Sigma)に1時間露出させて、MACS段階に入る前の細胞死が起こることを防止した。Accutase(Invitrogen)を用いて分離した後に、細胞(〜1x108細胞)を1% BSAが含まれたPBSでブロッキングし、マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)が接合された抗PSA−NCAM抗体と共に4℃で15分間培養した。集中的に洗浄した後、細胞懸濁液をMASC(magnetic activated cell sorting)に入れ、カラムに残っている陽性−標職された細胞をチューブに溶離させた。分離されたNPC
PSA−NCAM+をN2B27培地または20ng/ml bFGFが追加されたNBG培地(1xN2、0.5xB27及び0.5xG21補充)(GeminiBio−Products,WestSacramento,CA)に4−5x10
5細胞/cm
2の濃度で再びプレーティングした。培養培地は、毎日取り替え、細胞は、2〜3日ごとに継代培養した。
【0094】
ヒト全分化能幹細胞由来−神経前駆細胞(NPCs)で分泌タンパク質の分離
前記で収得したヒト万能幹細胞由来の神経前駆細胞(PSA−NCAM−陽性神経前駆細胞)を基本培養液(DMEM/F−12)にN2(100X−最終濃度1X)、B−27(50X−最終濃度0.5X)及びGem21(50X−最終濃度0.5X)の血清除去補充剤を入れ、bFGF(20ng/ml)を添加してマトリゲル(Matrigel)コーティングされた60mmディッシュに4継代以上繰り返し培養して増幅した後、8〜10個のディッシュに約90%まで細胞が満ちるように培養した。培養液を除去した後、リン酸緩衝溶液で3回洗浄し、無血清基本培養液(DMEM/F12)にITS(100X−最終濃度1X)とbFGF(20ng/ml)のみを添加して24時間培養した。対照群は、細胞がないディッシュに同量の同じ組成の培養液(基本培養液にITSとbFGFとを同量で添加)を入れ、培養器で24時間培養した後、回収したものを対照群として使った。培養液をいずれも集めて遠心分離して(800gで30分)細胞の破片などを除去した後、−70℃の冷凍庫に直ちに氷らせた後、必要時に解凍して使った。
【0095】
脳卒中モデルの製作
局所脳虚血による神経細胞の損傷に対して神経細胞の保護効果を測定するために応用された血管内縫合糸挿入法(intraluminal suture method)を使った。Zia Longa(Zea Longa,et al,Stroke.,1989,20,84−91)が開発した方法である局所脳虚血モデルであって、他のモデルとは異なって、臨床的に類似しているという長所がある。このような理由で虚血再灌流(ischemia−reperfusion)に対する機転研究やさまざまな薬物の効果をスクリーニングするのに適したモデルである。
【0096】
一週間の順化後、呼吸麻酔器を使って実験動物(雄Sprague−Dawley rat、体重250〜300g)を麻酔させ、麻酔剤としてイソフルラン(isoflurane)を使った。まず、白ラットを80% N
2Oと20% O
2とが混ぜられた混合ガスに5%のイソフルランで全身麻酔を誘導した後、2〜2.5%で麻酔を保持した。脳卒中モデルの製作のために、白ラットの左側首の皮膚を切開した後、内側に総頚動脈(common carotid artery)、外頚動脈(external carotid artery)及び内頚動脈(internal carotid artery)を剥離して導出した後、それぞれの血管をブラックシルク糸で少し縛って血流を遮断した。総頚動脈を半分程度切断し、切断面を通じてナイロン縫合糸の端部を焼灼してラウンディングして、0.40mmになるように製作した25mmの4−0ナイロンプローブ(probe)を挿入した。外頚動脈を通じて挿入したナイロンプローブを内頚動脈を経て中大脳動脈部位に入れて固定して、総頚動脈盆地で約18〜20mm程度挿入した後、中大脳動脈の起始部を塞いだ後、糸で固定して中大脳動脈を永久に閉鎖した後、皮膚切開部位を再び縫合した後、麻酔から自然回復させた。
【0097】
脳卒中モデルに脳動脈を通じる分泌タンパク質の注入及び行動実験
脳卒中誘発一日後に、行動実験に対する基準点(baseline)を確立した後、脳卒中モデルの製作と同じ方式で右側外頚動脈を通じて内頚動脈部位にインスリン注射器針を挿入した後、それを通じて分泌タンパク質を0.2mg/kg(体積50μl)ほど動脈注射し、対照群には同じ体積の培養液あるいはリン酸緩衝溶液(PBS)を投与した。分泌タンパク質液を注入した後、14日間動物の状態を観察し、注入前1回、注入後4回にわたって体重を測定し、行動分析を実施した。
【0098】
(1)上体姿勢(torso twisting)検査:実験動物の大脳皮質と線条体感覚と見なされる上体姿勢を試験するために、非対称運動行動を測定した。
【0099】
(2)ビーム均衡(beam balance)検査:実験動物が狭いビーム上で安定して均衡を取ることを通じて総前庭運動機能(gross vestibulomotor function)を評価した。
【0100】
(3)フットフォールト検査:運動において、運動動き(motor movement)の調整(協同)と統合(総合)とを検査する時に使う実験方法であって、フットフォールト(Foot−fault)は、動物が前足や後足を元の場所に置かないか(misplace)、足が格子板バー(grid bar)の間に落ちる場合と定義し、フットフォールトは、正常な動物においては特に対称的である。
【0101】
(4)捕捉可能牽引検査:検査のうち、捕捉可能如何は、実験動物が前足で水平方向のロープにぶら下げることができる能力を通じて測定した。捕捉可能牽引検査は、実験動物の筋肉強度を評価するために行われた。この検査は、従来に報告された方法で実施した。鉄棒(直径2cm、長さ100cm)を水平にスポンジゴムパッド(厚さ7.5cm)の70cm上に位置させた。実験動物の前足を鉄棒に位置させた後、放した。実験動物を5秒間鉄棒にぶら下げられるようにした。落ちるのにかかる時間と後足を鉄棒上に乗せるか否かを通じて、次のように点数を計算した:0点−実験動物が5秒間ぶら下げられ、後足を乗せる、1点−実験動物が5秒間ぶら下げられ、後足を乗せることができない、2点−実験動物が3〜4秒間ぶら下げられる、3点−実験動物が0〜2秒間ぶら下げられる。
【0102】
(5)オープンフィールド検査(open−field test):一般的な歩行活動レベルを調べるのに使われる検査であって、動物の行動態様と特性とを直接観察して動物の活動性、情緒性及び行動パターンなどを測定した。
【0103】
(6)mNSS:前記の多様な検査を通じて得られた運動、感覚、均衡、反応及び情緒の検査値の総合成績で、点数を下記の基準によって計算した(一個体当たり点数を合算してmNSSを測定)。
【0104】
−オープンフィールド検査(動物の情緒性、活動性、行動パターンなどを測定)
動きない:3
1〜20回:2
21〜30回:1
30回以上:0
【0105】
−捕捉可能牽引検査(筋力測定)
0〜5秒:3
6〜10秒:2
11〜20秒:1
21秒以上:0
【0106】
−ビーム均衡検査(均衡感覚測定)
0点:1=安定的姿勢
2=ビームの側面を握って多少搖れる程度
1点:3=1本以上の足がビームから脱落する場合
4=均衡を取ろうと努力するが、落ちる場合
2点:5=均衡を取ることができず、ビームに逆にぶら下げられてから落ちる場合
6=ビーム上で全く均衡を取ることができず、落ちる場合
【0107】
−フットフォールト検査(運動協応能力)
0〜5回:0
6〜10秒:1
11〜20秒:2
21秒以上:3
【0108】
−上体姿勢検査(非対称運動行動)
0回:2
1〜4回:1
5回以上:0
【0109】
脳虚血誘発14日後に、白ラットをゾレチルで麻酔した後、開胸した後、右心耳を切開して針を左心室に注入した後、ポンプを用いてリン酸緩衝溶液を心臓に灌流させて血液を除去した後、脳組織を摘出した。標本製作のための組織切片をブレグマ(bregma)を基準にパラフィンに包埋し、損傷された脳組織を確認するために、脳組織切片をヘマトキシリンに染色し、脱水し、固定し、スライドをデジタルカメラで撮影した後、コンピュータに移した。イメージ分析プログラム(image J)を使って脳梗塞の比率(%)を下記の数式1で計算した。
脳梗塞の比率(%)=(正常左半球の面積−脳梗塞部位の正常組織の面積)/正常左半球の面積×100 ・・・ 数式1
【0110】
分泌タンパク質の分析(Secretomics)
hESC由来の神経前駆細胞の分泌タンパク質とヒトiPSC由来の神経前駆細胞の分泌タンパク質は、それぞれ4〜12%の勾配ノベックスビス−トリスゲル(Invitrogen)でSDS−PAGEして分離した後、ゲルコードブルー染色試薬(Pierce)でタンパク質バンドが見えるようにゲルを染色した。該染色されたゲルは、同じサイズの10バンドで切って、リン−ゲルトリプシン分解を公知の方法で行った。
【0111】
リン−ゲル分解によって製造されたペプチドをNano Ultra Performance液体クロマトグラフィー(Eksigent Technologies)と結合したLinearTrap Quadrupole(LTQ)質量分光計(Thermo Finnigan)とを使って分析した。具体的に、トリプシン処理したペプチドをC18レギュラー5マイクロンサイズレジンがパッキングされた分析カラム(75μmx11cm)に適用した。97% 溶液A(蒸留水に0.1% ギ酸)から60% 溶液B(アセトニトリルに0.1% ギ酸)に流速0.3μl/時間の条件で分線型45分勾配を実施した。分離されたペプチドイオンをナノElectrospray Ionization(ESI)ソースで電気噴霧した。MS/MSスペクトルは、全体MSスキャンを断片で選別して最も多い5種のスペクトルを結果−依存スキャンで求めた。動的排除に対する繰り返し係数を1に、繰り返し期間を30秒に、動的排除期間を180秒に、排除質量幅を1.5Daに、動作排除リストを50に設定した。
【0112】
ペプチド及びタンパク質の確認は、ipi.HUMAN v3.76データベース(89 378エントリー)でターボ−SEQUESTアルゴリズム(Thermo Finnigan)を使って検索した。データベース検索後、スカーフフォルド2(Proteome Software)を用いて確認されたペプチド及びタンパク質を確認した。SEQUEST検索で得たペプチドのうち、0.95以上のペプチドプロフェット(PeptideProphet)蓋然性を有する1セットのペプチドを選別した。また、0.99以上のプロテインプロフェット(ProteinProphet)蓋然性及び2個以上の固有ペプチドを有するタンパク質リストを求めた。
【0113】
統計分析
グループ間の統計学的有意度は、Tukey’s correctionが適用されたone−wat analysis of variance(ANOVA)を用いて求め、p value<0.05を統計学的に有意なものと判定した。
【0114】
実験結果
脳卒中モデルで神経前駆細胞の分泌タンパク質による疾患の改善を見るために、次の3個の群で2週間実験を行った。脳卒中誘発24時間後、行動実験で疾患の誘導が確認された白ラットを3個群に任意に割り当てた後、右側外頚動脈に分泌タンパク質(0.2mg/kg、体積50μl)、培地またはPBSを同量(50μl)で注射した。各物質を注入した後、3、7、10及び14日に動物の状態と体重とを確認し、行動分析を実施した。
【0115】
【表1】
【0116】
虚血病変部位の分析結果
白ラットで永久MCAOを通じる脳卒中の誘導は、幅広い脳病変の損傷を誘導した。脳卒中誘発14日経過後、脳を摘出した後、TTC(2,3,5−triphenyltetrazolium chloride)染色で脳の損傷有無と損傷部位とを確認した。TTC染色は、細胞内の正常ミトコンドリア酸化酵素システム(mitochondrial oxidative enzyme system)と反応して染色されるが、脳虚血損傷を受けてミトコンドリアが損傷されれば、酸化システムが撹乱されて染色にならず、白色を表わすので、脳の損傷部位を区別することができる。
【0117】
図7に示されたように、中脳動脈結紮によって誘発された損傷は、主に右側脳の皮質部位と線条体部位とに発生した(
図7)。また、神経前駆細胞の分泌タンパク質の注入が虚血性病変部位(infarct size)を減少させた。PBS対照群は、右脳の60%近く損傷され、培地対照群は、46%程度が損傷されたが、分泌タンパク質処理群は、損傷部位が29%程度で対照群に比べて損傷部位が著しく減少した。
【0118】
体重分析の結果
脳卒中誘発が白ラットの運動能力を減少させて、直ちに体重の減少が7日まで進行し、多様な治療剤は、運動能力の回復を通じて体重の増加を誘導する。分泌タンパク質の注入も、細胞移植と類似に体重増加を誘導した(
図8)。神経損傷の回復で最も目立つ現象は、体重の回復である。分泌タンパク質処理群は、PBS対照群に比べて有意な改善を示した。
【0119】
行動分析の結果
分泌タンパク質処理群は、ビーム均衡検査で2つの対照群に比べて、統計的に有意な行動改善効果を示し、この効果は、治療3日目から表われるなど即刻な効果が表われた(
図9a)。
【0120】
また、捕捉可能牽引検査(prehensile traction)でも、治療(注入)7日目に2つの対照群に比べて、統計的に有意な効果を示した(
図9b)。
【0121】
さらに、分泌タンパク質の注入は、網での失足(foot fault)頻度を減少させる効果を示した(
図9c)。単位時間当たり行動の活発さを測定するラインクロスも、改善される趨勢を示した(
図9d)。
【0122】
総合的な行動神経改善効果(mNSS)の分析結果
mNSS(Modified Neurological Severity Score test)は、神経学的機能を測定するための構成表である。運動(筋肉状態)とmensory(時刻、触覚及び自己収容(proprioceptive))の項目で評価した。正常は、0点であり、点数が高いほど機能異常の程度が激しいと判断する。
図10に示されたように、mNSSの分析で分泌タンパク質処理群は、治療序盤からPBS対照群と培地対照群よりも遥かに高い治療効果(行動改善)を示した(
図10)。
【0123】
mNSS検査でPBS対照群は、脳虚血を誘発させた1日後、平均5.4点で、14日後、平均5.5点で、脳卒中による神経行動学的障害が保持されることが見られた。培地対照群の場合には、一時的な行動改善効果が治療3日に見えたが、追加的な改善効果は発揮することができなかった。一方、分泌タンパク質処理群の場合には、治療3日(mNSS 4.5点)から10日(mNSS 3点)まで持続的な行動改善効果を示した。
【0124】
分泌タンパク質の分析結果
iPSCs由来の神経前駆細胞から得た分泌タンパク質は、次のタンパク質を含んでいた:アグリン、アネキシンA5、BSG、ビグリカン、カルポニン−3、コアクトシン−類似タンパク質、コフィリン−1、コラーゲンα−2、クリン−3、デストリン、ジストログリカン、エフリン−B2、エクスポーチン−2、エズリン、フィブロネクチン、ファイブリン−1、Frizzled−relatedタンパク質、ゼラチン−3結合タンパク質、グラニュリン、成長/分化因子11、ハプトグロビン、ヘモペキシン、High mobility group protein B2、ホルネリン、インポーチン−9、インスリン−類似成長因子結合タンパク質2、ループスLaタンパク質、大食細胞移動抑制因子、ミッドカイン、モエシン、ニューロピリン2、プレイオトロフィン、プロフィリン−1、タンパク質DJ−1、ラディキシン、Secreted frizzled−related protein−2、セプチン−11、タリン−1、テスティカン、チモポエチン、トランスゲリン−3、ビメンチン。
【0125】
ヒト胚芽幹細胞の神経前駆細胞から得た分泌タンパク質は、次のタンパク質を含んでいた:アグリン、アネキシンA2、アトラクチン、ビグリカン、セルロプラスミン、コフィリン−1、コラーゲンα−1、コロニン−1X、ダームシジン、DERP12、エフリン−B3、エクソストシン−2、エズリン、ゼラキン−3結合タンパク質、グラニュリン、成長/分化因子11、ハプトグロビン、ヘモペキシン、High mobility group protein B2、ホルネリン、インスリン−類似成長因子結合タンパク質2、ループスLaタンパク質、ミッドカイン、モエシン、マルチプル上皮成長因子−類似ドメインタンパク質8、ニドゲン−1、パラチモシン、プロフィリン−2、タンパク質DJ−1、Secreted frizzled−related protein−2、セクレトグラニン、タリン−1、チモシンβ4、TGFBI、トランスゲリン、ビメンチン。
【0126】
以上、本発明の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者にとって、このような具体的な技術は、単に望ましい具現例であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物とによって定義される。