(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物体距離検出部によって物体距離を計測する被写体位置を指定するためのレンジング用カーソルが前記測距可能枠内に表示されると共に、前記レンジングカーソルは前記測距可能枠内のみで移動可能であることを特徴とする請求項2記載の計測内視鏡装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態による内視鏡装置(計測内視鏡装置)の全体構成を示している。
図1に示すように、内視鏡装置1は、細長な挿入部20を有する内視鏡2と、この内視鏡2の挿入部20を収納する収納部を備えた制御装置であるコントロールユニット3と、装置全体の各種動作制御を実行する際に必要な操作を行うためのリモートコントローラ4と、内視鏡画像や操作制御内容(例えば処理メニュー)等の表示を行う表示装置であるLCD5(液晶モニタ、表示部)等で主に構成されている。
【0018】
挿入部20は硬質な先端部21と、柔軟性を有する可撓管部と(例えば上下左右に湾曲可能な湾曲部22(
図2))を連設して構成されている。先端部21には光学アダプタ7(アダプタ式光学系)等、各種光学アダプタが着脱自在になっている。
【0019】
図2に示すように、コントロールユニット3内には、内視鏡ユニット8、CCU9(カメラコントロールユニット)、および制御ユニット10が設けられており、挿入部20の基端部は内視鏡ユニット8に接続されている。内視鏡ユニット8は、観察時に必要な照明光を供給する光源装置(不図示)と、挿入部20を構成する湾曲部22を湾曲させる湾曲装置(不図示)とを備えて構成されている。
【0020】
挿入部20の先端部21には撮像素子2a(撮像部)が内蔵されている。撮像素子2aは、光学アダプタ7を介して結像された被写体像を光電変換し、撮像信号を生成する。CCU9には、撮像素子2aから出力された撮像信号が入力される。この撮像信号は、CCU9内で例えばNTSC信号等の映像信号に変換されて、制御ユニット10へ供給される。
【0021】
制御ユニット10内には、映像信号が入力される映像信号処理回路12(画像処理部)、ROM13(記憶部)、RAM14(記憶部)、PCカードI/F15(PCカードインターフェイス)、USB I/F16(USBインターフェイス)、およびRS−232C I/F17(RS−232Cインターフェイス)等と、これら各種機能を主要プログラムに基づいて実行し動作制御を行うCPU18(計測処理部、表示変更部、物体距離検出部)とが設けられている。
【0022】
RS−232C I/F17には、CCU9および内視鏡ユニット8が接続されると共に、これらCCU9や内視鏡ユニット8等の制御および動作指示を行うリモートコントローラ4が接続されている。ユーザがリモートコントローラ4を操作すると、その操作内容に基づいて、CCU9および内視鏡ユニット8を動作制御する際に必要な通信が行われる。
【0023】
USB I/F16は、コントロールユニット3とパーソナルコンピュータ31とを電気的に接続するためのインターフェイスである。このUSB I/F16を介してコントロールユニット3とパーソナルコンピュータ31とを接続することによって、パーソナルコンピュータ31側で内視鏡画像の表示指示や、計測時における画像処理等の各種の指示制御を行うことが可能になると共に、コントロールユニット3とパーソナルコンピュータ31との間での各種の処理に必要な制御情報やデータ等の入出力を行うことが可能になる。
【0024】
また、PCカードI/F15には、PCMCIAメモリカード32やフラッシュメモリカード33等の記録媒体である、いわゆるメモリカードが自由に着脱されるようになっている。メモリカードをPCカードI/F15に装着することにより、CPU18による制御によって、このメモリカードに記憶されている制御処理情報や画像情報等のデータのコントロールユニット3への取り込み、あるいは制御処理情報や画像情報等のデータのメモリカードへの記録を行うことが可能になる。
【0025】
映像信号処理回路12は、CCU9から供給された内視鏡画像と、グラフィックによる操作メニューとを合成した合成画像を表示するため、CPU18の制御により生成される、操作メニューに基づく表示信号とCCU9からの映像信号を合成する処理や、LCD5の画面上に表示するのに必要な処理等を行い、映像信号をLCD5に供給する。また、この映像信号処理回路12は、単に内視鏡画像、あるいは操作メニュー等の画像を単独で表示するための処理を行うことも可能である。したがって、LCD5の画面上には、ライブ画像、フリーズ画像、内視鏡画像、操作メニュー画像、内視鏡画像と操作メニュー画像との合成画像等が表示される。
【0026】
CPU18は、ROM13に格納されているプログラムを実行することによって、目的に応じた処理を行うように各種回路部等を制御して、システム全体の動作制御を行う。RAM14は、CPU18によって、データの一時格納用の作業領域として使用される。
【0027】
本実施形態を説明するにあたり、2つの対物光学系を左右に配置した光学アダプタ7を用いて三次元計測を行うステレオ計測法の場合について記載する。
【0028】
本実施形態の内視鏡装置1では、次の(a1)〜(d)に示すように、各内視鏡2に特有の撮像光学系の光学データが測定され、その光学データが、記録媒体である例えばメモリカード(PCMCIAメモリカード32やフラッシュメモリカード33等)に記録される。この光学データは以下の通りである。
【0029】
(a1)2つの対物光学系の幾何学的歪み補正テーブル
(a2)像伝送光学系の幾何学歪み補正テーブル
(b)左右の結像光学系それぞれの焦点距離
(c)左右の結像光学系の主点間の距離
(d)左右の結像光学系それぞれの画像上での光軸位置座標
【0030】
上記の光学データの収集を行った後、内視鏡装置1が備えるCPU18は計測処理部として動作し、次に示す(A)〜(E)の処理を行って各種寸法計測(計測処理)を行うことができる。なお、内視鏡装置1にパーソナルコンピュータ31を接続して、次に示す
(A)〜(E)の処理を行って各種寸法計測(計測処理)を行うことも可能である。
【0031】
(A)上記(a1)〜(d)の光学データを読み込む。
(B)本内視鏡2にて被写体である被計測物を撮像し、画像を取り込む。
(C)上記の取り込んだ画像を、上記(a1)〜(d)の光学データを基に座標変換する。
(D)座標変換された画像を基に、撮像データのマッチングにより任意の点の三次元座標を求める。
(E)上記三次元座標を基に各種三次元計測を行う。
【0032】
次に、本実施形態の内視鏡装置1による被写体計測の原理を説明する。
図3は、x,y,z軸をもつ三次元空間座標系上の左右の2画像の位置関係を示している。この
図3には、被写体までの距離(物体距離)の計測対象となる測距点Pが撮像素子の右結像面101Rおよび左結像面101L上に結像した状態が示されている。
図3において、点OR,OLを光学系の主点とし、距離fを焦点距離とし、点QR,QLを点Pの結像位置とし、距離Lを点OR−点OL間の距離とする。
【0033】
図3において、直線QR−ORから次式が成立する。
x/xR={y−(L/2)}/{yR−(L/2)}=z/(−f)・・・(1)
また、直線QL−OLから次式が成立する。
x/xL={y+(L/2)}/{yL+(L/2)}=z/(−f)・・・(2)
この式をx,y,zについて解けば、点Pの三次元座標が得られる。これにより、内視鏡2の撮像面から被写体までの距離(物体距離)が求まる。
【0034】
ここで、光学系の主点である点ORと点OL間の距離、および結像光学系の焦点距離は、光学データとして予め記録されている。点QLの座標は測距点の座標そのものである。点QRは、測距点に対応する点を右画像の中から探索することで得ることができる。このことから、例えば、左画像を基準とした場合には、左画像での測距点(QL)に対応する右画像の対応点(QR)をマッチング処理により探索し、右画像の対応点が探索されたら、上式により空間座標を計算することで、測距点までの距離を求めることができる。
【0035】
次に、撮像素子2aが生成する撮像信号に基づいてLCD5が表示する画像について説明する。本実施形態における内視鏡装置1は、視認性を良くするため、撮像素子2aが撮像する左視野画像と右視野画像の領域が広くなるように、広角の光学アダプタ7を備えている。これにより、ユーザはより広範囲の画像を観察することができる。なお、左視野画像と右視野画像の領域が広いため、左視野画像と右視野画像との重なりが少なくなるため、視野領域の一部に計測できない領域が存在する。
【0036】
そこで、本実施形態における内視鏡装置1は、LCD5が表示するライブ画像上に、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す計測可能領域を表示する。これによりユーザは、より容易に物体の大きさを計測することができる領域を把握することができる。
【0037】
なお、上述したとおり、内視鏡装置1のCPU18が計測処理部として動作することで、内視鏡装置1は物体の大きさを計測する。物体の大きさの計測としては以下のものがある。
・物体上の2点間の距離の計測
・物体の欠損量を測定する際に用いる基準線からの距離の計測
・物体の凹凸を測定する際に用いる基準面からの距離の計測
・欠陥部位や対象物の大きさを測定する際に用いる所定範囲の面積の計測
・物体の全長を測定する全長計測
・物体の表面形状を計測して表面形状を表示する表面形状表示
なお、物体の大きさの計測はこれらに限らない。
【0038】
図4は、本実施形態において、映像信号処理回路12が実行する画像処理によって、LCD5が表示するライブ画像を示した概略図である。図示する例では、左側の結像光学系が結像した像に基づいて撮像素子2aが撮像した左視野画像401と、右側の結像光学系が結像した像に基づいて撮像素子2aが撮像した右視野画像402とが示されている。また、左視野画像401に重畳されて計測可能領域枠403が表示されている。また、右視野画像402に重畳されて計測可能領域枠404が表示されている。計測可能領域枠403,404は、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す矩形の破線表示である。図示する例では、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域は、計測可能領域枠403,404の矩形の破線表示で示された内側の領域である。なお、計測可能領域枠403,404の表示は破線に限らず実線でもよく、色や太さもどのようなものでもよく、点滅させてもよく、操作メニュー等で任意に変更できるようにしてもよい。
【0039】
図示するように、本実施形態における内視鏡装置1は、LCD5が表示するライブ画像に重畳して、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す計測可能領域403,404を表示する。これによりユーザは、より容易に物体の大きさを計測することができる領域を把握することができる。
【0040】
次に、内視鏡装置1が表示する計測可能領域枠403,404の設定方法について説明する。内視鏡装置1の設計上から、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域が予め決まる。そこで、ROM13は、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す計測可能領域情報を予め記憶している。そして、映像信号処理回路12は、LCD5にライブ画像を表示させる際に、ROM13が記憶している計測可能領域情報に基づいて、左視野画像401に計測可能領域枠403を重畳して表示させ、右視野画像402に計測可能領域枠404を重畳して表示させる。
【0041】
なお、内視鏡装置1の特性(性質)が個々異なり、その固体差が大きい場合は、あらかじめキャリブレーションすることによって、計測可能領域がどの位置かを固体毎に求めるようにしてもよい。そして、ROM13は、キャリブレーションによって求めた、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す計測可能領域情報を予め記憶するようにしてもよい。
【0042】
次に、内視鏡装置1の動作を説明する。
図5は内視鏡装置1の動作の手順を示したフローチャートである。内視鏡装置1は、電源が投入されると、光学アダプタ7を通して取得したライブ画像をLCD5に表示する画像表示モードで動作する。また、内視鏡装置1は、リモートコントローラ4を介して操作入力が行われると、計測に使用する全ての画像をユーザに確認させる画像確認モードで動作する。画像確認モードでの動作中に、計測に使用する全ての画像の確認が終了し、リモートコントローラ4を介して操作入力が行われると、内視鏡装置1は、操作入力に応じた各種処理モードで動作する。以下では、各種処理モードとして、計測処理、画像情報の記録処理を行うモードの場合の例で説明する。
【0043】
画像表示モードでは、ユーザは、光学アダプタ7を装着した挿入部20を被検体に挿入する。光学アダプタ7を通して撮像素子2aに結像した被写体像を含む2つの画像情報は、CCU9を通して入力画像信号としてコントロールユニット3に出力される。
【0044】
図5に示すように、ST101では、コントロールユニット3の映像信号処理回路12は1フレーム分の画像情報を取得する。続いて、ST102では、映像信号処理回路12は、1フレーム分の入力画像信号を、左視野画像401と右視野画像402とに分割する。このとき、画像の中央で画像を2つに分割してもよいし、予め測定によって得られている2つの視野領域の位置に関する情報を用いて左視野画像401と右視野画像402のみを抽出してもよい。
【0045】
続いて、ST103では、映像信号処理回路12は、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す情報をROM13から読み出し、計測可能領域枠403,404を生成する。
【0046】
続いて、ST104では、映像信号処理回路12は、ST102の処理で分割した左視野画像401に重畳してST103の処理で生成した計測可能領域枠403を表示し、ST102の処理で分割した右視野画像402に重畳してST103の処理で生成した計測可能領域枠404を表示するように画像処理を行い、処理後の出力画像信号をLCD5に対して出力する。LCD5は、出力画像信号に基づいてライブ画像を表示する。これにより、左視野画像401上に計測可能領域枠403が表示され、右視野画像402上に計測可能領域枠404が表示されたライブ画像がLCD5に表示される。
【0047】
続いて、ST105では、CPU18は、リモートコントローラ4を介して操作入力が行われたか否かを判定する。操作入力が行われた場合には、ST106の処理が行われる。また、操作入力が行われていない場合にはST101の処理が行われ、次の1フレーム分の画像情報に関して、上述した処理が再度行われる。つまり、操作入力が発生しない場合には、左視野画像401上に計測可能領域枠403が表示され、右視野画像402上に計測可能領域枠404が表示された1フレームのライブ画像を時系列的にLCD5にリアルタイムで動画像として表示する画像表示モードが実現される。ユーザは、表示されたライブ画像を見ながら、被検体の所望の計測部位が、計測可能領域枠403,404内に収まるように、リモートコントローラ4により湾曲部22の湾曲を調整する。
【0048】
続いて、ST106では、映像信号処理回路12は、LCD5にライブ画像の表示をフリーズさせた計測用画像を表示する。なお、ST106で計測用画像を表示する際にも、映像信号処理回路12は、左視野画像401に重畳して計測可能領域枠403を表示し、右視野画像402に重畳して計測可能領域枠404を表示するように画像処理を行い、処理後の出力画像信号をLCD5に対して出力する。LCD5は、出力画像信号に基づいてフリーズ画像を表示する。これにより、左視野画像401上に計測可能領域枠403が表示され、右視野画像402上に計測可能領域枠404が表示されたフリーズ画像がLCD5に表示される。
【0049】
続いて、ST107では、CPU18は、リモートコントローラ4を介して操作入力が行われたか否かを判定し、操作入力が行われた場合には、動作入力に応じたそれぞれの処理を行う。計測の指示を意味する操作入力が行われた場合、ST108の処理(計測処理)が行われる。ST108では、内視鏡装置1のCPU18が計測処理部として動作することで計測処理を行い、その後、ST109の処理(画像情報の記録処理)を行う。また、ST107において、画像情報の記録を指示する操作入力が行われた場合にも、ST109の処理を行う。
【0050】
ST109では、CPU18による制御に従い、映像信号処理回路12が生成した1フレーム分の画像信号がPCMCIAメモリカード32やフラッシュメモリカード33等の外部記録媒体へ出力され、PCMCIAメモリカード32やフラッシュメモリカード33等の外部記憶媒体に記憶される。その後、ST101の処理が行われ、内視鏡装置1は画像表示モードで動作する。また、ST107において、計測も画像情報の記録も行わないことを意味する操作入力が行われた場合にも、ST101の処理が行われ、内視鏡装置1は画像表示モードで動作する。
【0051】
上述したとおり、本実施形態によれば、内視鏡装置1は、LCD5が表示するライブ画像に重畳して、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す計測可能領域を表示する。これにより、ユーザは、より容易に物体の大きさを計測することができる領域を把握することができる。例えば、被写体の欠陥の大きさを計測する場合には、ユーザは、LCD5に表示されているライブ画像を見ながら被写体に欠陥があるかどうかを確認し、もし、欠陥が見つかった場合は、その部位を計測可能領域枠内に移るように、内視鏡2の位置を微調整して撮影すればよい。よって、ユーザは観察中にその場で計測可能な領域を容易に把握することができるため、検査の作業効率が向上する。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、内視鏡装置1が表示する計測可能領域枠の形状である。なお、その他の内視鏡装置1の構成および動作については第1の実施形態と同様である。
【0053】
図6は、本実施形態において、映像信号処理回路12が実行する画像処理によって、LCD5が表示するライブ画像を示した概略図である。図示する例では、左側の結像光学系が結像した像に基づいて撮像素子2aが撮像した左視野画像401と、右側の結像光学系が結像した像に基づいて撮像素子2aが撮像した右視野画像402とが示されている。また、左視野画像401に重畳されて計測可能領域枠603が表示されている。また、右視野画像402に重畳されて計測可能領域枠604が表示されている。計測可能領域枠603,604は、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる矩形領域の角を示すL字型の表示である。図示する例では、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域は、計測可能領域枠603,604のL字型の表示で示された角を結んだ矩形の内側の領域である。
【0054】
図示するように、本実施形態における内視鏡装置1は、LCD5が表示するライブ画像に重畳して、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す計測可能領域603,604を表示する。これによりユーザは、より容易に物体の大きさを計測することができる領域を把握することができる。
【0055】
また、本実施形態では、計測可能領域枠603,604として、計測できる矩形領域の四隅のみを表示している。これにより計測可能領域枠603,604の表示が観察の邪魔になることを防ぐことができる。なお、計測可能領域枠603,604の表示方法はこれに限らず、計測領域を判別することができる表示であればどのような表示でも良い。例えば、計測領域を判別することができる程度に、数箇所(例えば8箇所程度)に印を表示するようにしてもよい。また、その表示スタイルは、操作メニュー等で任意に変更できるようにしてもよい。また、計測可能領域枠603,604を表示したり、非表示にしたりと任意に切り替えられるようにしてもよい。
【0056】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、内視鏡装置1が表示する計測可能領域枠の設定方法である。なお、その他の内視鏡装置1の構成および動作については第1の実施形態と同様である。
【0057】
左右の視野を持ち、三角測量を用いて計測処理を行うステレオ方式の内視鏡装置1において、内視鏡装置1の設計によっては、撮像素子2aから被写体までの距離(物体距離)によって計測可能領域が変化する場合がある。そこで、本実施形態では、映像信号処理回路12は、物体距離に応じた計測可能領域枠を表示する。なお、内視鏡装置1の設計上、撮像素子2aから被写体までの距離が決まれば、計測可能領域も決定する。
【0058】
具体的には、CPU18は物体距離検出部として動作し、撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を計測する。例えば、CPU18は、物体距離検出部として動作する際に、物体距離を計測するレンジング機能を用いて撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を計測する(例えば、特許文献5参照)。そして、映像信号処理回路12は、CPU18が計測した物体距離に応じて計測可能領域枠の表示を変更する。なお、撮像素子2aから被写体までの距離に応じた計測可能領域については、ROM13が予め記憶していてもよく、CPU18が算出するようにしてもよい。これにより、撮像素子2aから被写体までの距離によって計測可能領域が変化する場合においても、正確な計測可能領域枠をLCD5に表示することができる。
【0059】
図7は、本実施形態において、映像信号処理回路12が実行する画像処理によって、LCD5が表示するライブ画像を示した概略図である。図示する例では、左側の結像光学系が結像した像に基づいて撮像素子2aが撮像した左視野画像401と、右側の結像光学系が結像した像に基づいて撮像素子2aが撮像した右視野画像402とが示されている。また、左視野画像401に重畳されて計測可能領域枠603が表示されている。また、右視野画像402に重畳されて計測可能領域枠604が表示されている。計測可能領域枠603,604は、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる矩形領域の角を示すL字型の表示である。図示する例では、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域は、計測可能領域枠603,604のL字型の表示で示された角を結んだ矩形の内側の領域である。
【0060】
また、左視野画像401に重畳されて測距可能枠701が表示されている。測距可能枠701は、物体距離を計測することができる測距可能領域を示す表示である。なお、物体距離を計測するレンジング機能は、物体の大きさを計測可能な物体距離の範囲であれば、被写体までの距離がどこであっても測距できなければならないため、物体の大きさを計測することができる計測可能領域よりも、物体距離を計測することができる測距可能領域の方が狭い。また、内視鏡装置1の設計上、測距可能領域は計測可能領域に含まれる。従って、測距可能枠701は、計測可能領域枠603の内側の領域に含まれる。
【0061】
このように、計測可能領域枠603は、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す表示であり、測距可能枠701は、内視鏡装置1が物体までの距離を計測できる領域を示す表示である。そのため、ユーザは、測距可能枠701を見たとしても、内視鏡装置1が物体の大きさを計測することができる領域をより容易に把握することができない。従って、計測可能領域枠603と測距可能枠701とは目的および効果が異なるものである。
【0062】
また、左視野画像401に重畳されてレンジング用カーソル702が表示されている。CPU18は物体距離検出部として動作する際には、レンジング用カーソル702で指定された被写体までの物体距離を計測する。なお、物体距離を計測することができるのは測距可能枠701の内側であるため、レンジング用カーソル702は、測距可能枠701内のみで移動することが可能である。
【0063】
上述したとおり、本実施形態によれば、CPU18は物体距離検出部として動作し、撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を計測する。そして、映像信号処理回路12は、CPU18が計測した物体距離に応じて計測可能領域枠の表示を変更する。これにより、撮像素子2aから被写体までの距離によって計測可能領域が変化する場合においても、正確な計測可能領域枠をLCD5に表示することができる。従って、ユーザは、内視鏡装置1が物体の大きさを計測することができる領域をより容易に把握することができる。
【0064】
なお、上記第1〜3の実施形態では、三次元計測方法としてステレオ計測法を用いた場合について説明してきたが、三次元計測を行う手法としてはこれに限定するものではなく、特許文献4に記載されているようにパターン投影によって三次元計測を行う計測内視鏡装置においても同様に行うことができる。これについては、後述する第6の実施形態にて説明する。
【0065】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態と第3の実施形態とで異なる点は、撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を計測する方法である。なお、その他の内視鏡装置1の構成および動作については第3の実施形態と同様である。
【0066】
以下、本実施形態において、撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を計測する方法について説明する。本実施形態では、CPU18は、物体距離検出部として動作する際に、撮像素子2aが撮像した画像の照度あるいはボケ量を用いて、撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を計測する。なお、撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を計測する方法はどのような方法でもよい。例えば、撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を計測する方法として、先端部21に距離センサを備え、距離センサを用いて計測する方法を用いてもよい。また、物体の大きさを計測する際の測定条件の一つである物体距離をユーザがあらかじめ決めている場合がある。そのような場合は、撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を、ユーザが内視鏡装置1に直接入力するようにしてもよい。
【0067】
上述したとおり、本実施形態においても、CPU18は物体距離検出部として動作し、撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を計測する。そして、映像信号処理回路12は、CPU18が計測した物体距離に応じて計測可能領域枠の表示を変更する。これにより、撮像素子2aから被写体までの距離によって計測可能領域が変化する場合においても、正確な計測可能領域枠をLCD5に表示することができる。従って、ユーザは、内視鏡装置1が物体の大きさを計測することができる領域をより容易に把握することができる。
【0068】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、計測処理中にLCD5が表示するフリーズ画像の表示が異なる点である。なお、その他の内視鏡装置1の構成および動作については第1の実施形態と同様である。
【0069】
図8は、本実施形態において、映像信号処理回路12が実行する画像処理によって、LCD5が表示するフリーズ画像を示した概略図である。図示する例では、左側の結像光学系が結像した像に基づいて撮像素子2aが撮像した左視野画像のうち計測可能領域の計測可能領域画像801と、右側の結像光学系が結像した像に基づいて撮像素子2aが撮像した右視野画像のうち計測可能領域の計測可能領域画像802と、計測可能領域枠403,404とが示されている。また、計測可能領域画像801,802以外の領域(計測可能外領域)は黒や赤などのグラフィックでマスク表示されている。
【0070】
上述したとおり、内視鏡装置1は計測処理中に上記の表示を行う。これにより、計測したい場所にユーザの目線を集中させることができので、ユーザは内視鏡装置1の操作を行いやすくなる。
【0071】
なお、上述した例では、マスク表示は黒や赤などのグラフィックで行う例を示したが、これに限らず、マスクの色や、模様や、透明度や、表示および非表示等を操作メニューで変更できるようにしてもよい。また、
図8に示した例では、計測可能領域枠403,404を表示しているが、マスク表示を行っている場合には、計測可能領域枠403,404を表示しなくてもよい。
【0072】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、計測処理の方法が異なる点である。なお、その他の内視鏡装置1の構成および動作については第1の実施形態と同様である。
【0073】
以下、本実施形態における計測処理方法について説明する。本実施形態では、CPU18(計測処理部)は、計測処理時に、パターン投影を用いて物体の大きさを計測する(例えば、特許文献4参照)。なお、パターン投影を用いて物体の大きさを計測するときには被写体にパターンが映ってしまうため、ライブ画像を表示する際には、光源装置は被写体に対してパターンを投影しない。しかしながら、パターンが投影されていない場合、ユーザは計測可能外領域を把握することができない。そのため、本実施形態においても、内視鏡装置1は、LCD5が表示するライブ画像上に、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す計測可能領域を表示する。これにより、ユーザは、より容易に物体の大きさを計測することができる領域を把握することができる。
【0074】
図9は、本実施形態における光源装置が、計測処理時に、被写体に対して投影するパターンと、撮像素子2aの撮影範囲との関係を示したグラフである。図示するグラフの横軸は、撮像素子2aから被写体までの距離である物体距離を示している。また、図示するグラフの縦軸は、撮像素子2aの撮像面をxy平面で表したときのx方向またはy方向の位置を示す。
【0075】
図示する例では、光源装置が、計測処理時に、被写体に対して投影するパターンの範囲を示す領域901と、撮像素子2aの撮像範囲を示す領域902とが示されている。図示する通り、撮像素子2aの撮像領域の一部にパターンが投影されている。このような投影パターンを被写体に照射した場合に内視鏡装置1がLCD5に表示するライブ画像は、
図10に示す通りである。
【0076】
図10は、本実施形態において、映像信号処理回路12が実行する画像処理によって、LCD5が表示するライブ画像を示した概略図である。図示する例では、撮像素子2aが撮像した画像1001が示されている。また、画像1001に重畳されて計測可能領域枠1002が表示されている。計測可能領域枠1002は、計測時に光源装置によってパターンが投影される領域であり、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す円形の破線表示である。図示する例では、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域は、計測可能領域枠1002の円形の破線表示で示された内側の領域である。
【0077】
上述したとおり、本実施形態によれば、内視鏡装置1は、LCD5が表示するライブ画像上に、内視鏡装置1が物体の大きさを計測できる領域を示す計測可能領域を表示する。これにより、パターンが投影される前においても、ユーザは、より容易に物体の大きさを計測することができる領域を把握することができる。
【0078】
なお、計測可能領域枠1002の位置や大きさが、撮像素子2aから被写体までの距離に応じて変化するようにしてもよい。その物体距離については、第4の実施形態で示したように、画像の照度あるいはボケ量を用いて測距したり、別で設けた距離センサを用いて測距したりしてもよいし、あるいは、ユーザがメニュー等であらかじめ設定するようにしてもよい。
【0079】
以上、この発明の第1の実施形態から第6の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。