(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6400864
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】磁気式床ドレン
(51)【国際特許分類】
E03C 1/28 20060101AFI20180920BHJP
【FI】
E03C1/28 A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-566009(P2017-566009)
(86)(22)【出願日】2016年6月27日
(65)【公表番号】特表2018-517865(P2018-517865A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】CN2016087272
(87)【国際公開番号】WO2017000855
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2017年12月14日
(31)【優先権主張番号】201510365767.9
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201520913447.8
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517439007
【氏名又は名称】張金栄
【氏名又は名称原語表記】ZHANG, Jinrong
(74)【代理人】
【識別番号】717007675
【氏名又は名称】許 麗穎
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】張金栄
【審査官】
油原 博
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第102031810(CN,A)
【文献】
特開2015−068039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12−1/33
E03F 3/00−3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床ドレン本体と密閉カバーを備え、床ドレン本体の下部に直通式排水口が設置される磁気式床ドレンであって、
前記排水口の一側辺に位置決め面が設置され、位置決め面に少なくとも1つの固定磁石が取り付けられ、各固定磁石は間隔を開けて配列するように設置され、前記密閉カバーの一側辺がヒンジ構造によって床ドレン本体の位置決め面に可動接続されるとともに、密閉カバーのヒンジ側に可動磁石が設置され、可動磁石と固定磁石のいずれの中心もヒンジ構造の軸線に位置し、前記可動磁石と前記固定磁石とが近接配置されており、可動磁石と固定磁石は異なる磁極が引き合い又は同じ磁極が反発しあう原理を利用してリセット力を発生させることによって、密閉カバーが前記排水口をきっちりと密閉することを特徴とする磁気式床ドレン。
【請求項2】
前記固定磁石および前記可動磁石はそれぞれ複数個あり、前記可動磁石はそれぞれ1つの固定磁石に対応し、又は、2つの可動磁石は1つの固定磁石に対応し且つ該固定磁石の両側に分布し、又は、それぞれの可動磁石は2つの固定磁石に対応し且つ2つの固定磁石の中間に位置することを特徴とする請求項1に記載の磁気式床ドレン。
【請求項3】
前記可動磁石と固定磁石の磁極はいずれも上端と下端に設置され、且つ両方の同一端の磁極が異なって引き合うことを特徴とする請求項2に記載の磁気式床ドレン。
【請求項4】
前記固定磁石は、密閉カバーに向かって所定角度傾斜するように設置されて、ヒンジ構造に対して軸線円周に可動磁石と所定角度ずれるようにすることを特徴とする請求項3に記載の磁気式床ドレン。
【請求項5】
前記可動磁石の磁極が上端と下端に設置され、固定磁石の磁極が前側と後側に設置され、且つ、固定磁石は密閉カバーに近い磁極が可動磁石の上端の磁極と異なるので引き合い、又は、
可動磁石の磁極が前側と後側に設置され、固定磁石の磁極が上端と下端に設置され、且つ、可動磁石は密閉カバーに近い磁極が固定磁石の上端の磁極と同じなので反発しあうことを特徴とする請求項2に記載の磁気式床ドレン。
【請求項6】
前記固定磁石が外側へ所定角度傾斜するように設置されて、ヒンジ構造に対して軸線円周に可動磁石と所定角度ずれることを特徴とする請求項5に記載の磁気式床ドレン。
【請求項7】
前記固定磁石と可動磁石の形状が、正方形、円弧形状、円形又は正多角形であることを特徴とする請求項1−6のいずれか1項に記載の磁気式床ドレン。
【請求項8】
前記ヒンジ構造は2つの接続柱とヒンジ構造の軸線に位置する2つの係着ピンとを備え、
2つの接続柱は間隔を開けて位置決め面に設置され、各接続柱に外向きノッチ付き係着溝が設置され、
前記2つの係着ピンは密閉カバーの側辺に設置され、それぞれ前記ノッチ付き係着溝に係着されて、床ドレン本体に移動可能にヒンジ連結されることができることを特徴とする請求項1−6のいずれか1項に記載の磁気式床ドレン。
【請求項9】
前記固定磁石は、取付台で完全に被覆されて床ドレン本体の位置決め面に位置決めされ、前記可動磁石は、接続シートで完全に被覆されて密閉カバーの側辺に位置決めされ、前記接続シートと前記取付台は係着ピンの軸線を中心にして角度がずれるように設置されていることを特徴とする請求項1−6のいずれか1項に記載の磁気式床ドレン。
【請求項10】
前記した各接続柱の下方から密閉カバーまでの間には、可動磁石と固定磁石を排水口側の排水と完全に離間させる円弧状遮断カバーが設置されていることを特徴とする請求項8に記載の磁気式床ドレン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床ドレン、具体的に、磁気式床ドレンに関する。
【背景技術】
【0002】
発明特許CN2013103905824は磁気式直通組合せ型床ドレンを開示しており、従来の磁気式床ドレンは、排水時に密閉カバーの下降につれて吸力が減少するという問題を解決し、密閉カバーが確実にリセットできないことを効果的に回避できるものの、構造的に、構成部品が多く、構造が複雑で、内蔵部材が組み立てられにくいという問題が存在し、さらに、磁気式構造が床ドレン本体の内部中間に設置されることから、排水過程において磁性異物を吸着して目詰りを引き起こしやすく、最も重要なことは、密閉カバーの下降により床ドレン本体との間に隙間を形成して排水する排水方式を採用するため、使用時に短時間で大量の排水を排出するというニーズを満足できず、安全上のリスクがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記問題に対し、本発明は、排水時に密閉カバーのリセット力を減少させることなく、床ドレンの適応性の高い排水を実現し、構成が簡単且つ実用的であり、構成部品が少なく、組み立てやすいという特徴を有する磁気式床ドレンを設計する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成させるために、本発明は以下の技術案を採用する。
【0005】
床ドレン本体と密閉カバーを備え、床ドレン本体の下部に直通式排水口が設置される磁気式床ドレンであって、
前記排水口の一側辺に位置決め面が設置され、位置決め面に少なくとも1つの固定磁石が取り付けられ、各固定磁石は間隔を開けて配列するように設置され、前記密閉カバーの一側辺がヒンジ構造によって床ドレン本体の位置決め面に可動接続されるとともに、密閉カバーのヒンジ側に可動磁石が設置され、可動磁石と固定磁石のいずれの中心もヒンジ構造の軸線に位置し、可動磁石と固定磁石は異なる磁極が引き合い又は同じ磁極が反発しあう原理を利用してリセット力を発生させることによって、密閉カバーが前記排水口をきっちりと密閉する。
【0006】
さらに、前記可動磁石はそれぞれ1つの固定磁石に対応し、又は、2つの可動磁石は1つの固定磁石に対応し且つ該固定磁石の両側に分布し、又は、それぞれの可動磁石は2つの固定磁石に対応し且つ2つの固定磁石の中間に位置する。
【0007】
さらに、上記可動磁石と固定磁石の磁極はいずれも上端と下端に設置され、且つ両方の同一端は磁極が異なるので引き合う。
【0008】
さらに、上記固定磁石は、密閉カバーに向かって所定角度傾斜するように設置されて、ヒンジ構造に対して軸線円周に可動磁石と所定角度ずれる。
【0009】
さらに、上記可動磁石の磁極が上端と下端に設置され、固定磁石の磁極が前側と後側に設置され、且つ、固定磁石の密閉カバーに近い磁極が可動磁石の上端の磁極と異なるので引き合い、又は、
可動磁石の磁極が前側と後側に設置され、固定磁石の磁極が上端と下端に設置され、且つ、可動磁石の密閉カバーに近い磁極が固定磁石の上端の磁極と同じなので反発しあう。
【0010】
さらに、上記固定磁石は外側へ所定角度傾斜するように設置されて、ヒンジ構造に対して軸線円周に可動磁石と所定角度ずれる。
【0011】
さらに、上記固定磁石と可動磁石の形状が、正方形、円弧形状、円形又は正多角形である。
【0012】
さらに、上記ヒンジ構造は2つの接続柱とヒンジ構造の軸線に位置する2つの係着ピンとを備え、
2つの接続柱は間隔を開けて位置決め面に設置され、各接続柱に外向きノッチ付き係着溝が設置され、
前記2つの係着ピンは密閉カバーの側辺に設置され、それぞれ前記ノッチ付き係着溝に係着されて床ドレン本体に移動可能にヒンジ連結されることができる。
【0013】
さらに、上記固定磁石は、取付台で完全に被覆されて床ドレン本体の位置決め面に位置決めされ、前記可動磁石は、接続シートで完全に被覆されて密閉カバーの側辺に位置決めされ、前記接続シートと前記取付台は係着ピンの軸線に位置がずれるように隣接設置されている。
【0014】
さらに、上記の各接続柱の下方から密閉カバーまでの間には、可動磁石と固定磁石を排水口側の排水と完全に離間させる円弧状遮断カバーが設置されている。
【0015】
本発明で設計された床ドレンは、片側に設置されたヒンジ構造によって床ドレン本体における位置決め面に移動可能にヒンジ連結され、両方のヒンジ部位に固定磁石と可動磁石で構成された磁気式リセット機構が設置されている。
【発明の効果】
【0016】
ここで、上記固定磁石と可動磁石で構成された磁気式リセット機構は全体として床ドレン本体の外側に位置し、且つ、可動磁石と固定磁石の排水口側をカバーする円弧状遮断カバーが設置されて、可動磁石と固定磁石が床ドレン本体中の流水と接触しないようにし、このため、該構造を設置することによって、床ドレン本体中の磁性異物を吸着させることがなく、床ドレン本体の排水口の目詰りを効果的に回避できる。
【0017】
また、上記固定磁石と上記可動磁石はいずれも正方形、円形、円弧形状又は正多角形であり、且つ両方の中心又は円心がヒンジ構造の軸線に対応して設置され、該構造を設置することによって、可動磁石と固定磁石の間に生じるリセット力は密閉カバーがヒンジ連結点に対して回転して開くにつれて減少することはない。初期状態では、固定磁石と可動磁石は共に上端の磁極が異なって引き合い、又は、一方は先端の磁極が、他方は上端の磁極が異なって引き合い、更に密閉カバーが住床ドレン本体の排水口をきっちりと密閉するようにし、密閉カバーがヒンジ連結点とともに回転する時に可動磁石を同期して回転させ、可動磁石の回転によって可動磁石と固定磁石の一端にある異なる磁極との距離を増大して吸力を低減させるが、固定磁石の他端にある同じ磁極との距離を減少させて反発力を増大し、このように、吸力を減少させると同時に反発力を増大するものの、全体的にリセット力は密閉カバーが回転して開くにつれて減少することがない。
【0018】
使用時に、排水圧力が各固定磁石と可動磁石の間のリセット力を克服するのに不十分である場合は、密閉カバーが開かず、この際、床ドレン本体に所定の水量が貯蔵されてウォーターシールを構成して、床ドレンの防虫や防臭機能を果たす。排水圧力が各固定磁石と可動磁石の間のリセット力を超える場合は、密閉カバーはその側辺にあるヒンジ構造を巡って回転して、床ドレン本体の排水口を徐々に開いて排水し、該開き過程は排水圧力とリセット力が再びバランスを取るまで続けて、この際、密閉カバーは固定されて、床ドレン本体の排水口との間にある隙間が排水口となり、該排水口の大きさが排水圧力に正比例し、排水量が小さいほど、排水口は小さくなり、排水量が大きいほど、排水口は完全に開くまで大きくなるような、排水量の変化に応じて排水口の大きさを変える構造の設計によって、排水効率を確保できるとともに、排水口が過剰に大きくて隙間を発生させ、臭気を還流させることを効果的に防止できる。排水量の減少に伴って、排水圧力がリセット力を克服するのに不十分になると、密閉カバーはそのリセット力の作用下で徐々に閉合して、排水終了後、密閉カバーは再び床ドレン本体の排水口を密閉するようになる。
【0019】
さらに、本発明は、構造全体が床ドレン本体、密閉カバー、固定磁石及び可動磁石で構成されるため、構成部品が少なく構成が簡単である。さらに、組み立てるための接続柱、取付台、接続シートはすべて外付け式構造であり、密閉カバーと床ドレン本体の組み立てや接続を大幅に簡素化させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】本発明の密閉カバーが開けた時の立体構造模式図である。
【
図4】本発明の1つの可動磁石が2つの固定磁石に対応する場合の構造模式図である。
【
図5】本発明の固定磁石と可動磁石の構造レイアウトの原理図である。
【
図6】本発明の固定磁石が密閉カバーへ傾斜した場合の立体構造模式図である。
【
図7】本発明の固定磁石の磁極が上端と下端に分布し、可動磁石の磁極が前側と後側に分布している場合の立体構造模式図である。
【
図8】本発明の固定磁石が外側へ所定角度傾斜する時の立体構造模式図である。
【
図9】、本発明の可動磁石に一対一対応するように2つの固定磁石が設置された場合の立体構造模式図である。
【
図10】本発明の可動磁石と固定磁石の排水口側に設置された円弧状遮断カバーの立体構造模式図である。
【
図11】本発明の可動磁石と固定磁石の排水口側に設置された円弧状遮断カバーを別の角度から見た時の立体構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1−3に示すように、磁気式床ドレンは、床ドレン本体1と密閉カバー2を備え、床ドレン本体1の下部に直通式排水口11が設置される。
【0022】
前記排水口11の一側辺に位置決め面12が設置され、位置決め面12に少なくとも1つの固定磁石3が取り付けられ、各固定磁石3は間隔を開けて配列するように設置され、本実施例では、固定磁石3は1つ設置されているが、実際に使用される時に密閉カバー2の大きさに応じて2つ又は複数の固定磁石3が設置されてもよい。前記密閉カバー2の一側辺がヒンジ構造4によって床ドレン本体1の位置決め面12に可動接続されるとともに、密閉カバー2のヒンジ側に可動磁石5が設置され、可動磁石5と固定磁石3のいずれの中心もヒンジ構造4の軸線Lに位置し、可動磁石5と固定磁石3は異なる磁極が引き合い又は同じ磁極が反発しあう原理を利用してリセット力を発生させることによって、密閉カバー2が前記排水口11をきっちりと密閉する。
【0023】
本実施例では、前記可動磁石5はそれぞれ1つの固定磁石3に対応し、
図1−3に示される構造を有し、
図9は、可動磁石5に一対一対応するように2つの固定磁石3が設置された場合の立体構造模式図である。実際には、
図4に示すように、2つの可動磁石5が1つの固定磁石3に対応し且つ2つの可動磁石5が該固定磁石3の両側に分布し、又は、それぞれの可動磁石5は2つの固定磁石3に対応し且つ可動磁石5は2つの固定磁石3の中間に位置するように構成してもよい。
【0024】
ここで、
図5に示すように、前記可動磁石5と固定磁石3の磁極はいずれも上端と下端に設置され、且つ両方の同一端は磁極が異なるので引き合うようにしてもよく、本実施例では、固定磁石3は上端の磁極がN、下端の磁極がSであり、対応した可動磁石5は上端の磁極がS、下端の磁極がNであるが、実際には、固定磁石3と可動磁石5の上磁極と下磁極を変換してもよい。
【0025】
ここで、密閉カバー2の初期状態での密封性を確保するために、
図6に示すように、前記固定磁石3は、密閉カバー2側へ所定角度傾斜するように設置されて、ヒンジ構造4に対して軸線円周に可動磁石5と所定角度ずれるように構成しており、該構造を設置することによって、可動磁石5は固定磁石3に対して完全にリセットされず、更に可動磁石5に始終リセットしようとする傾向を付与し、それにより、密閉カバー2を排水口11に押し付けて有効な密封を実現する。
【0026】
前記ヒンジ構造4は、2つの接続柱41とヒンジ構造の軸線Lに位置する2つの係着ピン42とを備え、2つの接続柱41は間隔を開けて配列するように位置決め面12に設置され、それぞれの接続柱41のいずれにも外向きノッチ4111付きの係着溝411が均等に設置されている。前記2つの係着ピン42は密閉カバー2の側辺に設置されて、それぞれ前記ノッチ付き係着溝411に係着されて床ドレン本体1に移動可能にヒンジ連結されることができる。
【0027】
前記固定磁石3は、取付台121で完全に被覆されて床ドレン本体1の位置決め面12に位置決めされる。
【0028】
前記可動磁石5は、接続シート21で完全に被覆されて密閉カバー2の側辺に位置決めされ、前記接続シート21と前記取付台121は、係着ピン42の軸線に位置がずれるように隣接設置される。
【0029】
ここで、
図7は本発明の第二実施形態を示し、可動磁石5の磁極は上端と下端に設置され、固定磁石3の磁極は前側と後側に設置され、且つ、固定磁石3の密閉カバー2に近い磁極は可動磁石5の上端の磁極と異なるので引き合う。勿論、以上の可動磁石5の磁極のレイアウトと固定磁石3の磁極のレイアウトは交換し、すなわち、可動磁石5の磁極は前側と後側に設置され、固定磁石3の磁極は上端と下端に設置され、且つ可動磁石5の密閉カバー2に近い磁極は固定磁石3の上端の磁極と同じなので反発しあうようにしてもよい。
【0030】
同様に、密閉カバー2の初期状態での密封性を確保するために、該実施例では、
図8に示すように、固定磁石3は外側へ所定角度傾斜するように設置されて、ヒンジ構造4に対して軸線Lの円周に可動磁石5と所定角度ずれるように構成しており、該構造を設置することによって、可動磁石5は固定磁石3に対しても完全にリセットせず、更に可動磁石5に始終リセットし続けようとする傾向を付与し、それにより、密閉カバー2を排水口11に押し付けて効果的な密封を実現する。
【0031】
以上に述べたとおり、本発明で設計された床ドレンは、側辺にあるヒンジ構造4を介して床ドレン本体1の位置決め面12に移動可能にヒンジ連結され、さらに両方のヒンジ部位に固定磁石3と可動磁石5で構成される磁気式リセット機構が設置されている。
【0032】
ここで、作動中のリセット力の安定性を考慮して、上記固定磁石3と可動磁石5はすべて正方形、円弧形状、円形又は正多角形であり、且つ両方の中心が対応してヒンジ構造4の軸線Lに位置し、該構造を設置することによって、2つの磁石間に生じるリセット力は密閉カバー2がヒンジ連結点に対して回転して開くにつれて減少しないようにする。
【0033】
初期状態では、固定磁石3と可動磁石5は、共に上端の磁極が異なって引き合い、或いは一方は先端の磁極が、他方は上端の磁極が異なって引き合い、それによって、密閉カバー2が床ドレン本体1の排水口11をきっちりと密閉するようにし、密閉カバー2がヒンジ連結点につれて回転する時、可動磁石5を同期して回転させ、可動磁石5の回転によって固定磁石3の一端にある異なる磁極との距離を増大して吸力を減少させるが、同時に固定磁石3の他端にある同じ磁極との距離を短縮させて斥力を増大することによって、吸力が減少するとともに斥力が増加するものの、リセット力は全体的に密閉カバー2が回転して開くにつれて減少することがない。
【0034】
使用時に、排水圧力が各固定磁石3と可動磁石5の間のリセット力を克服するのに不十分である場合は、密閉カバー2が開かず、この際、床ドレン本体1に所定の水量が貯蔵されてウォーターシールを構成して、床ドレンの防虫や防臭機能を果たす。排水圧力が各固定磁石と可動磁石の間のリセット力を超える場合は、密閉カバー2は全体としてその側辺にあるヒンジ構造4を巡って回転して、床ドレン本体の排水口を徐々に開いて排水し、該開き過程は排水圧力とリセット力が再びバランスを取るまで続けて、この際、密閉カバー2は固定されて、床ドレン本体の排水口との間にある隙間が排水口となり、該排水口の大きさが排水圧力に正比例し、排水量が小さいほど、排水口は小さくなり、排水量が大きいほど、排水口は完全に開くまで大きくなるような、排水量の変化に応じて排水口の大きさを変える構造の設計によって、排水効率を確保できるとともに、排水口が過剰に大きくて隙間を発生させ、臭気を還流させることを効果的に防止できる。排水量の減少に伴って、排水圧力がリセット力を克服するのに不十分になると、密閉カバー2はそのリセット力の作用下で徐々に閉合して、排水終了後、密閉カバー2は再び床ドレン本体1の排水口を密閉する。
【0035】
ここで、上記固定磁石3と可動磁石5で構成された磁気式リセット機構は全体として床ドレン本体1の外側に位置し、且つ、床ドレン本体1中の流水と接触しないため、該構造を設置することによって、床ドレン本体1中の磁性異物を吸着させることがなく、床ドレン本体1の導水口の目詰りを効果的に回避し、排水口11の目詰りを防止できる。
【0036】
そこで、可動磁石5と固定磁石3が床ドレン本体の排水口11側での排水と接触する可能性を本格的に防止するために、
図10−11に示すように、前記した各接続柱41の下方から密閉カバー2までの間に可動磁石5と固定磁石3を排水口11側と完全に離間させる円弧状遮断カバー6が設置されている。上記円弧型遮断カバーは可動磁石5と固定磁石3を排水口11側での排水と完全に離間でき、可動磁石5と固定磁石3が排水に直接接触して磁性異物を吸着するという問題を本格的に解決し、毛髪の蓄積による排水口11の目詰りを防止し、密閉カバー2を順調に開いたりリセットしたりする。
【0037】
さらに、本発明は、構造全体が床ドレン本体1、密閉カバー2、固定磁石3及び可動磁石5だけで構成されるため、構成部品が少なく且つ構成が簡単である。さらに、組み立てるための接続柱41、係着ピン42、取付台121、接続シート21はいずれも外付け式構造であり、密閉カバー2と床ドレン本体1の組み立てや接続を大幅に簡素化させる。
【0038】
以上は本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明を何らか制限するものではなく、本発明の技術原理に基づいて以上の実施例について行う簡単な修正、等同変化や修飾は本発明の技術案の範囲に属する。