(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加熱部は、前記揮発性溶媒が供給された前記基板に対して電磁波を照射する照射部であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記処理液供給部は前記処理液を吐出する第1のノズル、前記溶媒供給部は前記揮発性溶媒を吐出する第2のノズル、前記加熱部は前記基板を加熱する照射部をそれぞれ有し、前記第1のノズルと前記第2のノズルは、いずれも前記照射部内に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記加熱部は、前記基板を加熱する照射部を有し、この照射部は、前記テーブルと、このテーブルに支持される前記基板との間に、前記基板の前記テーブル側の面に対して光を照射するように設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について
図1ないし
図4を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置1は、処理室となる処理ボックス2と、その処理ボックス2内に設けられたカップ3と、そのカップ3内で基板Wを水平状態で支持するテーブル4と、そのテーブル4を水平面内で回転させる回転機構5とを備えている。さらに、基板処理装置1は、テーブル4上の基板Wの表面に第1の処理液を供給する第1の処理液供給部6と、テーブル4上の基板Wの表面に第2の処理液を供給する第2の処理液供給部7と、揮発性溶媒を供給する溶媒供給部8と、ガスを供給するガス供給部9と、光を照射する照射部10と、その照射部10を移動させる移動機構11と、各部を制御する制御部12とを備えている。
【0014】
カップ3は、円筒形状に形成されており、テーブル4を周囲から囲んで内部に収容する。カップ3の周壁の上部は径方向の内側に向かって傾斜しており、テーブル4上の基板Wが露出するように開口している。このカップ3は、回転する基板W上から流れ落ちたあるいは飛散した処理液を受け取る。なお、カップ3の底部には、受け取った処理液を排出するための排出管(図示せず)が設けられている。
【0015】
テーブル4は、カップ3内の中央付近に位置付けられ、水平面内で回転可能に設けられている。このテーブル4は、ピンなどの支持部材4aを複数有しており、これらの支持部材4aにより、ウェーハや液晶基板などの基板Wを着脱可能に保持する。
【0016】
回転機構5は、テーブル4に連結された回転軸やその回転軸を回転させる駆動源となるモータ(いずれも図示せず)などを有しており、モータの駆動により回転軸を介してテーブル4を回転させる。この回転機構5は制御部12に電気的に接続されており、その駆動が制御部12により制御される。
【0017】
第1の処理液供給部6は、テーブル4上の基板Wの表面に対して斜め方向から第1の処理液を吐出するノズル6aを有しており、このノズル6aからテーブル4上の基板Wの表面に第1の処理液、例えばレジスト剥離処理用のAPM(アンモニア水及び過酸化水素水の混合液)を供給する。ノズル6aはカップ3の周壁の上部に装着されており、その角度や吐出流速などは基板Wの表面中心付近に第1の処理液が供給されるように調整されている。この第1の処理液供給部6は制御部12に電気的に接続されており、その駆動が制御部12により制御される。なお、第1の処理液供給部6は、第1の処理液を貯留するタンクや駆動源となるポンプ、供給量を調整する調整弁となるバルブ(いずれも図示せず)などを備えている。
【0018】
第2の処理液供給部7は、テーブル4上の基板Wの表面に対して斜め方向から第2の処理液を吐出するノズル7aを有しており、このノズル7aからテーブル4上の基板Wの表面に第2の処理液、例えば洗浄処理用の純水(超純水)を供給する。ノズル7aはカップ3の周壁の上部に装着されており、その角度や吐出流速などは基板Wの表面中心付近に第2の処理液が供給されるように調整されている。この第2の処理液供給部7は制御部12に電気的に接続されており、その駆動が制御部12により制御される。なお、第2の処理液供給部7は、第2の処理液を貯留するタンクや駆動源となるポンプ、供給量を調整する調整弁となるバルブ(いずれも図示せず)などを備えている。
【0019】
溶媒供給部8は、テーブル4上の基板Wの表面に対して斜め方向から揮発性溶媒を吐出するノズル8aを有しており、このノズル8aからテーブル4上の基板Wの表面に揮発性溶媒、例えばIPAを供給する。ノズル8aはカップ3の周壁の上部に装着されており、その角度や吐出流速などは基板Wの表面中心付近に揮発性溶媒が供給されるように調整されている。この溶媒供給部8は制御部12に電気的に接続されており、その駆動が制御部12により制御される。なお、溶媒供給部8は、揮発性溶媒を貯留するタンクや駆動源となるポンプ、供給量を調整する調整弁となるバルブ(いずれも図示せず)などを備えている。
【0020】
ここで、揮発性溶媒としては、IPA以外にも、例えば、エタノールなどの1価のアルコール類、また、ジエチルエーテルやエチルメチルエーテルなどのエーテル類などを用いることが可能である。なお、揮発性溶媒は、水に可溶であることが好ましい。
【0021】
ガス供給部9は、テーブル4上の基板Wの表面に対して斜め方向からガスを吐出するノズル9aを有しており、このノズル9aからテーブル4上の基板Wの表面にガス、例えば窒素ガスを供給し、基板Wの表面上の空間を窒素ガス雰囲気にする。ノズル9aはカップ3の周壁の上部に装着されており、その角度や吐出流速などは基板Wの表面中心付近にガスが供給されるように調整されている。このガス供給部9は制御部12に電気的に接続されており、その駆動が制御部12により制御される。なお、ガス供給部9は、ガスを貯留するタンクや供給量を調整する調整弁となるバルブ(いずれも図示せず)などを備えている。
【0022】
ここで、供給するガスとしては、窒素ガス以外の不活性ガス、例えば、アルゴンガスや二酸化炭素ガス、ヘリウムガスなどを用いることが可能である。この不活性ガスが基板Wの表面に供給されるため、基板Wの表面上の酸素を除去し、ウォータマーク(水シミ)の生成を防ぐことが可能となる。なお、供給するガスは、加熱されたガスであることが好ましい。
【0023】
照射部10は、複数のランプ10aを有しており、テーブル4の上方に設けられ、各ランプ10aの点灯によりテーブル4上の基板Wの表面に光を照射する。この照射部10は移動機構11により上下方向(昇降方向)に移動可能に構成されており、カップ3に近接した照射位置(
図1中の実線で示すように、基板Wの表面に近接した位置)とカップ3から所定距離だけ離間した待機位置(
図1中の一点鎖線で示すように、基板Wの表面から離間した位置)とに移動する。照射部10は制御部12に電気的に接続されており、その駆動が制御部12により制御される。
【0024】
ここで、照射部10としては、例えば、直管タイプのランプ10aを複数本並列に設けたものや電球タイプのランプ10aを複数個アレイ状に設けたものなどを用いることが可能である。また、ランプ10aとしては、例えば、ハロゲンランプやキセノンフラッシュランプ(一例として、400〜1000nmの波長光を有するフラッシュランプ)などを用いることが可能である。
【0025】
この照射部10は、基板Wを加熱する加熱部として機能する。なお、照射部10としては、テーブル4上の基板Wに対して電磁波を照射する各種の照射部を用いることが可能であり、光を照射するランプ10a以外にも、例えば、テーブル4上の基板Wに対して遠赤外線を照射する遠赤ヒータやマイクロ波を照射するマイクロ波ヒータなどを用いることが可能である。
【0026】
移動機構11は、照射部10を保持する保持部やその保持部を照射部10の昇降方向に移動させる機構、駆動源となるモータ(いずれも図示せず)などを有しており、モータの駆動により保持部と共に照射部10を移動させる。この移動機構11は制御部12に電気的に接続されており、その駆動が制御部12により制御される。
【0027】
制御部12は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部とを備えている。この制御部12は、基板処理情報や各種プログラムに基づいて回転機構5や第1の処理液供給部6、第2の処理液供給部7、溶媒供給部8、ガス供給部9、照射部10、移動機構11などを制御し、回転中のテーブル4上の基板Wの表面に対し、第1の処理液供給部6による第1の処理液の供給、第2の処理液供給部7による第2の処理液の供給、溶媒供給部8による揮発性溶媒の供給、ガス供給部9によるガスの供給及び照射部10による照射(加熱)などの制御を行う。
【0028】
次に、前述の基板処理装置1が行う基板処理(基板処理方法)について
図2を参照して説明する。なお、テーブル4上には基板Wがセットされており、前準備は完了している。また、照射部10はカップ3から所定距離だけ離間した待機位置(
図1中の一点鎖線参照)で待機している。
【0029】
図2に示すように、まず、制御部12は回転機構5を制御し、テーブル4を所定の回転数で回転させ(ステップS1)、次いで、第1の処理液供給部6を制御し、回転するテーブル4上の基板Wの表面に第1のノズル6aから第1の処理液、すなわちAPMを所定時間供給する(ステップS2)。第1の処理液としてのAPMは、第1のノズル6aから、回転するテーブル4上の基板Wの中央に向けて吐出され、基板Wの回転による遠心力によって基板Wの表面全体に広がっていく。これにより、テーブル4上の基板Wの表面はAPMにより覆われて処理されることになる。なお、テーブル4の回転数や所定時間などの処理条件はあらかじめ設定されているが、操作者によって任意に変更可能である。
【0030】
ステップS2の後、制御部12は、第1の処理液の供給を停止させてから、第2の処理液供給部7を制御し、回転するテーブル4上の基板Wの表面に第2のノズル7aから第2の処理液、すなわち超純水を所定時間供給する(ステップS3)。第2の処理液としての超純水は、第2のノズル7aから、回転するテーブル4上の基板Wの中央に向けて吐出され、基板Wの回転による遠心力によって基板Wの表面全体に広がっていく。これにより、テーブル4上の基板Wの表面は超純水により覆われて洗浄されることになる。
【0031】
ステップS3の後、制御部12は、第2の処理液の供給を停止させてから、移動機構11を制御し、照射部10を待機位置から照射位置に下降させ、さらに、ガス供給部9を制御し、回転するテーブル4上の基板Wの表面にノズル9aからガス、すなわち窒素ガスを所定時間供給する(ステップS4)。なお、このとき照射部10の各ランプ10aは、点灯させていない。窒素ガスは、ノズル9aから、回転するテーブル4上の基板Wの中央に向けて吐出され、基板Wの回転による気流によって基板Wの表面全体に広がっていく。これにより、テーブル4上の基板Wの表面と照射部10との間の空間は窒素雰囲気となる。この空間を窒素雰囲気にすることで、酸素濃度を減少させて、基板Wの表面におけるウォーターマークの発生を抑止することができる。なお、照射部10が待機位置から照射位置に移動することで、テーブル4上の基板Wの表面と照射部10との間の空間は狭くなるので、その空間を窒素雰囲気とする時間を短くし、全体の処理時間を短縮することができる。
【0032】
ステップS4の後、制御部12は、窒素ガスの供給を停止させてから、溶媒供給部8を制御し、回転するテーブル4上の基板Wの表面にノズル8aから揮発性溶媒、すなわちIPAを所定時間供給する(ステップS5)。なお、IPAの供給は、超純水が乾燥する前に行われることが好ましい。揮発性溶媒としてのIPAは、ノズル8aから、回転するテーブル4上の基板Wの中央に向けて吐出され、基板Wの回転による遠心力によって基板Wの表面全体に広がっていく。これにより、テーブル4上の基板Wの表面は超純水からIPAに置換されることになる。このとき、溶媒供給部8のノズル8aから吐出されるIPAの温度はその沸点未満とされており、IPAを確実に液体の状態として基板Wの表面に供給することによって、基板Wの表面の全域において超純水がIPAに均等に置換される。本実施形態において、基板Wに対してIPAは、液体の状態で連続的に供給される。
【0033】
なお、IPA供給時のテーブル4、すなわち基板Wの回転数は、基板Wの表面が露出しない程度に、揮発性溶媒の膜が基板Wの表面上で薄膜となるように設定されている。また、ノズル9aからの窒素ガスの供給に関して、ステップS4の後に窒素ガスの供給を停止させず、ステップS5においても継続させるようにしても良い。
【0034】
ステップS5の後、制御部12は、揮発性溶媒の供給を停止させてから、照射部10を制御し、照射部10の各ランプ10aを点灯して、回転するテーブル4上の基板Wを所定時間加熱する(ステップS6)。このとき、照射部10は、基板Wの温度が10秒で100度以上になることを可能にする加熱を行うことができる。このため、IPAが残留している基板Wの表面を瞬時に乾燥することが可能となる。なお、照射部10の照射による加熱はIPAの供給停止後に開始されているが、これに限るものではなく、IPAの供給中から加熱を開始しても良い。
【0035】
ここで、照射部10による加熱乾燥では、パターン倒壊を抑止するため、前述のように数秒で百度以上の高温まで基板Wを加熱することが重要である。さらに、IPAを加熱せず、基板Wだけを加熱することも必要である。この瞬時の高温到達のためには、波長400〜3000nmにピーク強度を有する照射部10を用いることが望ましい。また、確実な乾燥のためには、基板Wの最終温度(加熱による到達する最終温度)は、処理液や溶媒の大気圧における沸点よりも20℃以上高めの加熱温度であることが望ましく、加えて、最終温度に達する時間が10秒以内、例えば、数10msec〜数秒の範囲内であることが望ましい。
【0036】
ステップS6の後、制御部12は移動機構11を制御し、照射部10を照射位置から待機位置に上昇させ、次いで、照射部10を制御し、照射部10の各ランプ10aを消灯して、基板Wの加熱を停止し(ステップS7)、最後に、回転機構5を制御し、基板Wの回転を停止して(ステップS8)、処理が完了する。その後、基板Wがテーブル4の各支持部材4aから取り外されて搬出される。
【0037】
なお、基板Wの搬出に先立ち、照射部10が待機位置に位置付けられるため、基板Wの搬出時に照射部10が邪魔になることを防止することができる。また、処理ボックス2内のテーブル4に基板Wがセットされる時にも、照射部10を待機位置に位置づけておくことで、基板Wの搬入時に照射部10が邪魔になることを防止することができる。さらに、基板Wに第1の処理液や第2の処理液を供給する時、照射部10を待機位置に位置付けておくことで、処理液が照射部10に付着することを抑止することができる。
【0038】
前述の照射部10を用いた乾燥工程(ステップS6)では、その照射部10による加熱によって、
図3に示すように、基板Wの表面上のパターンPの周囲から液体A1が気化するため、基板表面は瞬時に乾燥することになる。このとき、照射部10は、液体A1が供給された基板Wの表面に気層A2を生じさせて液体A1を液玉化させる(液体A1の液玉を生成する)ように、前述の最終温度まで基板Wだけを瞬時に加熱する。
【0039】
詳しくは、基板Wが照射部10の照射によって瞬時に加熱されると、基板Wの表面上のパターンPに接触している液体A1が他の部分の液体A1よりも早く気化を始める。これにより、基板Wの表面上のパターンPの周囲には、液体A1の気化(沸騰)により
ガスの層、すなわち気層A2が薄膜のように生成される。このため、隣り合うパターンPの間の液体A1は、気層A2によって基板Wの表面に押し出されながら乾燥が進行することになる。
【0040】
つまり、基板Wを瞬時に加熱することで、基板Wの表面上のパターンPに接触している揮発性溶媒の液体A1が瞬時に気化し、基板Wの表面上における他の部分の揮発性溶媒の液体A1が直ちに液玉化する(液玉化現象)。こうして生成された液玉は、基板Wの回転による遠心力で基板W上から飛ばされ、結果的に基板Wの乾燥が完了する。このようにして、一部のパターン間に液体A1が残留することを抑えることが可能となり、基板Wの表面における液体A1の乾燥速度は均一となるため、残留した液体A1による倒壊力(例えば、表面張力など)によってパターンPが倒壊することを抑止することができる。
【0041】
一方、照射部10を使用しない場合の乾燥では、IPAの液体A1が乾燥していく過程で液体A1の乾燥速度に不均一が生じ、
図4に示すように、一部のパターンPの間に液体A1が残り、その部分の液体A1による倒壊力によってパターンPが倒壊してしまう。例えば、パターンPの一つの幅は20nmであり、その高さは200nmである(幅に対して高さが10倍である)。このようにパターンPが微細なパターンであり、そのパターンPの間の隙間に入り込んだ液体A1は乾燥しづらくなる。このため、他の部分が乾燥した後も、一部のパターンPの間には液体A1が残り、その液体A1による倒壊力によってパターンが倒壊してしまう。
【0042】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、揮発性溶媒(例えば、IPA)が供給された基板Wに対して光を照射し、その揮発性溶媒が供給された基板Wの表面にガスの層(気層)を生じさせるように基板Wを加熱することによって、基板W上のパターンに接触する揮発性溶媒から気化(沸騰)を進行させる。このとき発生するガスの層によりパターン間に揮発性溶媒を残すことなく、基板Wの表面を瞬時に乾燥することが可能となる。このように、揮発性溶媒がパターン間に残ることを防止し、残留した揮発性溶媒によるパターン倒壊を抑止することが可能となるので、パターン倒壊を抑えつつ良好な基板乾燥を行うことができる。
【0043】
また、揮発性溶媒の供給完了後に照射部10の照射による加熱を行うことによって、揮発性溶媒の供給量が少なくても、揮発性溶媒を基板Wの表面全体に確実に行き渡らすことが可能であり、確実な乾燥を実現することができる。つまり、加熱が供給中に実行されると、その熱によって供給中の揮発性溶媒が気化してしまい、揮発性溶媒が基板の表面全体に行き渡らないことがあるが、揮発性溶媒の供給完了後に加熱を行うことによってそれを抑止することが可能となる。
【0044】
一方、揮発性溶媒の供給量が十分であり、揮発性溶媒が基板の表面全体に行き渡るときには、揮発性溶媒の供給中に照射部10の照射による加熱を開始するようにしても良い。この場合には、揮発性溶媒の供給完了後に加熱を開始する場合と比べ、基板Wの乾燥時間を短くすることが可能となるので、全体の処理時間を短縮することができる。
【0045】
なお、前述の実施形態では、第1の処理液としてAPMを用いているが、これに限るものではなく、例えば、SPM(硫酸及び過酸化水素水の混合液)を用いることが可能である。APMはIPAと反応しにくいが、SPMはIPAと反応しやすい。このSPMとIPAの反応を避けるために、SPM処理を行う第1のスピン処理モジュールと、照射部10による加熱及びIPA乾燥を行う第2のスピン処理モジュールとを別体として設けることが望ましい。この場合には、第1のスピン処理モジュールのSPM処理後、乾燥処理を実行せずに第2のスピン処理モジュールに基板Wを搬送し、その第2のスピン処理モジュールにより乾燥処理を行う。
【0046】
また、前述の実施形態では、基板Wに対する洗浄液の供給が停止してからIPAなどの揮発性溶媒の供給を開始したが、超純水などの第2の処理液による洗浄の終期で、まだその処理液が基板Wに対して供給されているときから揮発性溶媒の供給を開始させるようにしても良い。
【0047】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について
図5を参照して説明する。
【0048】
第2の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。このため、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0049】
図5に示すように、第2の実施形態に係る基板処理装置1においては、第1の処理液供給部6のノズル6a、第2の処理液供給部7のノズル7a、溶媒供給部8のノズル8a及びガス供給部9のノズル9aが照射部10内に設けられている。これらのノズル6a、7a、8a及び9aは、テーブル4上の基板Wの表面にそれぞれの流体(第1の処理液、第2の処理液、揮発性溶媒又はガス)を供給可能に形成されている。なお、各ノズル6a、7a、8a及び9aの材料としては、熱により変形しない材料を用いており、例えば、照射部10の各ランプ10aにより加熱されない石英などの材料を用いることが可能である。
【0050】
この第2の実施形態に係る基板処理装置1では、各ノズル6a、7a、8a及び9aがテーブル4上の基板Wの直上に位置するため、液体や気体を供給するときの流速が遅くても、基板中心に液体や気体を容易に供給することができる。また、供給する液体の流量を少なくしても液体により基板Wの表面を被覆することが可能となるので、液体の使用量を削減することができる。同様に、供給する気体の流量を少なくしても基板Wの表面上の空間を、供給したガス雰囲気にすることが可能となるので、気体の使用量を削減することができる。
【0051】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、照射部10内に各ノズル6a、7a、8a及び9aを設けることによって、液体や気体を供給するときの流速が遅い場合でも、基板中心に液体や気体を容易に供給することができる。加えて、液体や気体の流量を少なくすることも可能であり、それらの液体や気体の使用量を削減することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について
図6を参照して説明する。
【0053】
第3の実施形態は基本的に第2の実施形態と同様である。このため、第3の実施形態では、第2の実施形態との相違点について説明し、第2の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0054】
図6に示すように、第3の実施形態に係る基板処理装置1においては、照射部10が基板Wの下方に、すなわち、各支持部材4a上の基板Wとテーブル4との間に、その基板Wのテーブル4側の面に対して光を照射するように設けられている。この照射部10は、第2の実施形態と同様、移動機構11により昇降方向(上下方向)に移動可能である。
【0055】
この第3の実施形態に係る基板処理装置1では、照射部10が各支持部材4a上の基板Wとテーブル4との間に位置するため、各支持部材4a上の基板Wの上方の空間を空けることが可能であり、その空間に他の部材や装置など(例えば、ノズル6aや7a、8a、9aなど)を複雑な構造とせずとも容易に設けることができる。
【0056】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、各支持部材4a上の基板Wの下方、例えば各支持部材4a上の基板Wとテーブル4との間に照射部10を設けることによって、各支持部材4a上の基板Wの上方の空間を空けることが可能となるため、その空間に他の部材や装置などを容易に設置することができる。
【0057】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について
図7ないし
図9を参照して説明する。
【0058】
第4の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。このため、第4の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0059】
図7及び
図8に示すように、第4の実施形態に係る基板処理装置1においては、照射部10Aがラインレーザ光を照射するラインレーザである。この照射部10Aは、その長手方向の長さが基板Wの直径よりも長く形成されており、テーブル4上の基板Wの表面に沿って移動機構11Aにより移動可能に構成されている。照射部10Aは、第1の実施形態と同様、揮発性溶媒が供給された基板Wの表面にガスの層(気層)を生じさせるようにその基板Wを加熱する。
【0060】
移動機構11Aは、照射部10Aを保持して移動させる一対の移動機構21及び22(
図8参照)と、移動機構21を支持する支柱23と、移動機構22を支持する支柱24(
図8参照)とにより構成されている。一対の移動機構21及び22は、照射部10Aがテーブル4上の基板Wの上方に位置するようにその照射部10Aを保持しており、テーブル4上の基板Wの表面に沿って平行に移動させる。これらの移動機構21及び22としては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ式の移動機構やリニアモータを駆動源とするリニアモータ式の移動機構などを用いることが可能である。
【0061】
この第4の実施形態に係る基板処理装置1において、照射部10Aは、加熱乾燥を行う場合、回転しているテーブル4上の基板Wの表面に沿って平行に一対の移動機構21及び22により移動しながらレーザ光を照射することで、基板Wの表面全体に対するレーザ光の照射を行う。このとき、照射部10Aは、例えば基板Wの中心から外周に移動する。このような加熱乾燥により、揮発性溶媒が供給された基板Wの表面には、第1の実施形態と同様に、ガスの層(気層)が生じるため、基板Wの表面は瞬時に乾燥することになる。
【0062】
ここで、ラインレーザ型の照射部10Aにより基板Wの表面全体に対してレーザ光を照射する場合の他の構成の一例について説明する。
【0063】
図9に示すように、照射部10Aが、支柱として機能する移動機構11Bの上部に設けられ、その支柱である移動機構11Bの軸心を回転軸として移動機構11Bにより基板Wの表面に沿って揺動可能(回動可能)に構成されている。この照射部10Aは、移動機構11Bにより回転軸を中心として回動し、回転しているテーブル4上の基板Wの表面に沿って平行に移動(揺動)しながらレーザ光を照射することで、基板Wの表面全体に対するレーザ光の照射を行う。
【0064】
以上説明したように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、ラインレーザ型の照射部10Aを用いることによって、テーブル4上の基板Wの表面全体を覆うような照射部に比べ、照射装置の大型化を防止することができる。
【0065】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について
図10を参照して説明する。
【0066】
第5の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。このため、第5の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0067】
図10に示すように、第5の実施形態に係る基板処理装置1においては、処理ボックス2内を減圧する減圧部31が設けられている。この減圧部31は、処理ボックス2内につながる配管31aと、その配管31aの途中に設けられた減圧ポンプ31bとを備えている。減圧ポンプ31bは制御部12に電気的に接続されており、その駆動が制御部12により制御される。このような減圧部31は、減圧ポンプ31bの駆動によって処理ボックス2内の気体を配管31aから排気してその処理ボックス2内を減圧し、真空状態にする。
【0068】
この第5の実施形態に係る基板処理装置1では、照射部10による加熱乾燥前、例えば、揮発性溶媒であるIPAの供給後に(すなわち、第1の実施形態における
図2中のステップS5とステップS6との間に)、処理ボックス2内が減圧部31により所定の真空圧まで減圧される。処理ボックス2内が真空状態となると、照射部10による加熱乾燥が実行される(第1の実施形態における
図2中のステップS6)。このとき、処理ボックス2内の減圧によってIPAの沸点が下がり、その沸点が下がる分、大気下よりも低い加熱温度で前述の液玉化現象を生じさせることが可能となる。このため、取り扱う基板Wが高温加熱に適さない場合などでも加熱乾燥を行うことができる。
【0069】
以上説明したように、第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、処理ボックス2内を減圧状態として照射部10による加熱乾燥を実行することによって、処理ボックス2内の基板Wの表面に存在する液体の沸点を下げ、その沸点が下がる分、大気下よりも低い加熱温度で液玉化現象を生じさせることが可能となる。このため、処理ボックス2内を減圧状態とせずに照射部10による加熱乾燥を実行する場合に比べ、取り扱う基板Wが高温加熱に適さない場合などでも、大気下よりも低い加熱温度で加熱乾燥を行い、確実にパターン倒壊を抑えつつ良好な基板乾燥を行うことができる。
【0070】
(第6の実施形態)
第6の実施形態について
図11を参照して説明する。
【0071】
第6の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。このため、第6の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0072】
第6の実施形態に係る基板処理装置1においては、
図11に示すように、基板Wを搬送する搬送部41が設けられている。この搬送部41は処理ボックス2内のテーブル4上から基板Wを搬出し、多数の基板Wを収容するバッファ部42まで搬送する。なお、第6の実施形態に係る基板処理装置1は、第1の実施形態に係る照射部10を備えておらず、第6の実施形態に係る基板処理工程では、照射部10による加熱乾燥は実行されず、基板Wの回転による振り切り乾燥が行われる。
【0073】
搬送部41は、処理ボックス2とバッファ部42との間の基板Wの搬送を可能とする搬送アーム41aと、その搬送アーム41aに取り付けられて基板Wを支持する搬送アームヒータ41bと、搬送アームヒータ41b上の基板Wに向けて気体(例えば、窒素ガスなどの不活性ガス)を吹き付ける気体吹き付け部41cと、基板Wから戻ってくる気体を吸引して排気する排気部41dとを備えている。
【0074】
搬送アームヒータ41bは、基板Wの搬送途中で基板Wを瞬間的に高温に加熱するものであり、基板Wを支持し、その支持している基板Wを加熱する加熱部として機能する。この搬送アームヒータ41bは、第1の実施形態と同様、揮発性溶媒が供給された基板Wの表面にガスの層(気層)を生じさせるようにその基板Wを加熱する。なお、処理ボックス2から取り出された基板Wは、処理ボックス2内では振り切り乾燥しかされていないため、揮発性溶媒が完全に乾燥していない状態(ある程度付着した状態)で搬送アームヒータ41b上に置かれることになる。
【0075】
気体吹き付け部41c及び排気部41dは、処理ボックス2からバッファ部42までの基板Wの搬送経路(搬送アーム41aによる基板Wの搬送経路)に沿って設けられている。気体吹き付け部41cは、排気部41dよりも基板Wの搬送方向の上流側に位置付けられている。したがって、排気部41dは気体吹き付け部41cよりも下流側に位置しており、気体吹き付け部41から吹き出されて基板Wの表面に当たる気体を吸い込むように設置されている。
【0076】
気体吹き付け部41cは、搬送アームヒータ41bの加熱によって基板Wの表面に生成される揮発性溶媒の液玉を吹き飛ばして除去するものであり、基板Wの搬送経路の上方に位置しており、搬送アームヒータ41b上の基板Wの表面に対して傾斜するように設けられている。この気体吹き付け部41cは、基板Wの搬送方向に垂直な方向の基板幅とほぼ同じか、それより大きい幅を有するスリット状の開口部(図示せず)から気体を吹き出す。
【0077】
排気部41dは、気体吹き付け部41cによって吹飛ばされた液玉を吸引して、搬送経路に飛び散らないようにするものであり、基板Wの搬送経路の上方に位置しており、搬送アームヒータ41b上の基板Wの表面に対して垂直になるように設けられている。この排気部41dは、基板Wの搬送方向に垂直な方向の基板幅とほぼ同じか、それよりも大きい開口幅を有するスリット状の開口部(図示せず)から気体を吸い込む。
【0078】
この第6の実施形態に係る基板処理装置1では、処理ボックス2から取り出された基板Wが、ヒータオフ状態の搬送アームヒータ41b上に置かれる。この状態で、搬送アーム41aは
図11中の右から左に移動する。搬送アームヒータ41bが気体吹き付け部41cに近づいたときにヒータがオンされ、ヒータのオンによって基板Wが急速加熱される。この加熱によって基板Wの表面上に揮発性溶媒の液玉が生成される。その後、基板Wの表面上に生成された揮発性溶媒の液玉は、気体吹き付け部41cからの気体によって基板Wの表面上から吹き飛ばされて、排気部41dにより吸引され除去されることになる。これにより、基板Wの表面は瞬時に乾燥することになる。なお、基板Wの加熱時には、基板Wは一方向に搬送されており、回転することはない。
【0079】
以上説明したように、第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、基板Wの搬送途中に、搬送アームヒータ41bによる加熱乾燥を行うことによって、処理ボックス2内での加熱乾燥を行わなくても、パターン倒壊を抑えて良好な基板乾燥を行うことが可能となる。このため、処理ボックス2内での加熱乾燥を省略し、処理ボックス2内での基板処理時間を短縮することができる。
【0080】
なお、第6の実施形態においては、気体吹き付け部41c及び排気部41dを基板Wの搬送経路の上方(基板Wの上部に位置するよう)に設けているが、これに限るものではなく、例えば、基板Wの搬送経路の横に気体吹き付け部41cを設け、その反対側に排気部41dを設けるようにしても良い。この場合には、搬送アームヒータ41b上の基板Wの表面に対して横から気体を吹き付け、その反対側から気体を吸引することになる。
【0081】
また、搬送アームヒータ41bによる急速加熱によって基板Wの表面上に生成された揮発性溶媒の液玉を、基板Wを傾けることで基板Wの表面上から除去するようにしても良い。これは、基板Wの搬送途中にて、搬送アームヒータ41bにより基板Wを急速加熱した後、搬送アーム41aを、例えば搬送方向に沿った軸を中心に回動させ、保持している基板Wを傾斜させるようにすることで実施できる。基板Wが傾斜させられることで、揮発性溶媒の液玉は、基板Wの表面上を滑るようにして基板Wの表面上から除去されることになる。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、第1の処理液、第2の処理液、ガス、揮発性溶媒等の供給は、それぞれの供給時間が重ならない実施形態で説明したが、一部重なっても構わない。また、上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。