(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記仕切り用凸部および前記弁体保持用凸部は各々、周方向において同数かつ等角度間隔の複数の個所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流体ダンパ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の流体ダンパ装置において、回転軸が第1方向に回転したとき、ケースとロータとの軸線方向の隙間から流体が不用意に漏れると、十分な負荷が得られない。そこで、ケースや回転軸の寸法精度を高めて、ケースとロータとの軸線方向の隙間から流体が漏れることを防止する必要があるが、ケースや回転軸の寸法精度や、組み立て時の精度からみて、軸線方向においてケースとロータとの間を十分に詰めることが困難である。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、負荷が発生する方向に回転軸を回転させた際にケースとロータとの軸線方向の間から流体が漏れることを容易に抑制することのできる流体ダンパ装置および該流体ダンパ装置を備えたダンパ付き機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る流体ダンパ装置は、軸線方向の一方側に底壁を備えた筒状のケースと、該ケースの内側において前記軸線方向の他方側で前記底壁に対向して当該底壁との間にダンパ室を区画するフランジ部を備えた回転軸、および前記回転軸に保持された弁体を備えたロータと、前記ダンパ室に充填された流体と、を有し、前記ケースは、当該ケースの内周面から径方向内側に突出して仕切り用凸部を備え、前記ロータは、前記回転軸の外周面から径方向外側に突出して前記弁体を保持する弁体保持用凸部を備え、前記回転軸と前記ケースとの間には、
前記底壁に対向する前記回転軸の端部に前記底壁に向けて突出するように形成されて径方向に延在する第1リブ、および前記フランジ部に対向する前記仕切り用凸部の端部に前記フランジ部に向けて突出するように形成されて径方向に延在する第2リブの少なくとも一方のリブが
設けられており、前記リブは、該リブの突出方向において根元部分が先端側より幅が広いことを特徴とする。
【0007】
本発明では、回転軸とケースとの間には、回転軸の一方側で底壁に対向する部分から底壁に向けて突出して径方向に延在する第1リブ、および仕切り用凸部の他方側の端部からフランジ部に向けて突出して径方向に延在する第2リブの少なくとも一方のリブが形成されているため、軸線方向においてケースとロータとの間を十分に詰めることができる。また、リブの高さ(突出寸法)が高すぎる場合でも、流体ダンパ装置を組み立てる際、リブが潰されて、リブは適正な高さ(突出寸法)となる。従って、負荷が発生する方向に回転軸を回転させた際、ケースとロータとの軸線方向の隙間から流体が漏れることを容易に抑制することができる。
また、前記リブは、該リブの突出方向において根元部分が先端側より幅が広いため、流体ダンパ装置を組み立てる際、リブを潰しやすい。
【0008】
本発明において、前記仕切り用凸部および前記弁体保持用凸部は各々、周方向において同数かつ等角度間隔の複数の個所に設けられていることが好ましい。かかる構成の場合、ダンパ室が複数に区切られることになるため、大きな負荷を発生させることができる。一方、ダンパ室を複数に区切ると、その分、ケースとロータとの軸線方向の隙間から流体が漏れようとする箇所が増えることになるが、本発明によれば、かかる漏れを容易に抑制することができるため、ダンパ室を複数に区切ることの不利益を解消することができる。
本発明において、前記第1リブおよび前記第2リブの双方が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、ケースとロータとの軸線方向の隙間から流体が漏れることを確実に抑制することができる。
【0009】
本発明において、前記仕切り用凸部の前記一方側の端部は前記底壁と繋がっており、前記弁体保持用凸部の前記他方側の端部は前記フランジ部と繋がっていることが好ましい。かかる構成によれば、仕切り用凸部の一方側の端部と底壁との間での流体の漏れや、弁体保持用凸部の他方側の端部とフランジ部との間での流体の漏れが発生しない。
【0010】
本発明において、前記リブは、該リブの突出方向における先端側が前記軸線方向に対して直交する面になっていることが好ましい。すなわち、流体ダンパ装置を組み立てる際、リブが潰されていることが好ましい。かかる構成によれば、リブは適正な高さ(突出寸法)となるので、負荷が発生する方向に回転軸を回転させた際、ケースとロータとの軸線方向の隙間から流体が漏れることを確実に抑制することができる。
【0012】
本発明において、前記第1リブは、前記回転軸の前記一方側で前記底壁に対向する部分のうち、前記弁体保持用凸部の前記一方側の端部から前記底壁に向けて突出していることが好ましい。
【0013】
本発明において、前記ロータが回転した際に負荷が発生する方向を第1方向とし、該第1方向に対して反対側を第2方向としたとき、前記弁体保持用凸部は、径方向外側に突出した第1凸部と、該第1凸部に対して第2方向で隣り合う位置で径方向外側に突出し、前記第1凸部との間に前記弁体を支持する第2凸部と、を備え、前記第1リブは、前記第1凸部および前記第2凸部のうち、周方向の幅が広い凸部に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、第1リブを潰した際、弁体保持用凸部が変形しにくい。
【0014】
本発明において、前記第2凸部は、前記第1凸部より周方向の幅が広いことが好ましい。かかる構成によれば、負荷が発生する第1方向に回転軸を回転させた際、第2凸部が大きな負荷を受けることになるが、その場合でも、第2凸部が変形することを抑制することができる。
【0015】
本発明において、前記第1凸部の先端部は、前記第2凸部の先端部より径方向内側に位置し、前記弁体は、前記第1凸部と前記第2凸部との間において前記ロータの回転中心軸線に平行な軸線周りに回転可能に支持された基部と、該基部から径方向外側に突出し、前
記第1方向に傾いて前記第1凸部に径方向外側から被さった先端部と、を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、負荷が発生する第1方向に回転軸を回転させた際、弁体が流体圧を受けて閉方向に変位しやすい。
【0016】
本発明において、前記弁体保持用凸部は、周方向の幅が径方向外側より径方向内側で狭いことが好ましい。かかる構成によれば、弁体保持用凸部が仕切り用凸部の根元部分(径方向内側)に当接しにくい。それ故、ロータの回転可能な角度を広くすることができる。
【0017】
本発明において、前記第2リブは、前記仕切り用凸部から前記フランジ部に向けて突出している構成を採用することができる。
【0018】
本発明に係る流体ダンパ装置を備えたダンパ付き機器は、機器本体に前記流体ダンパ装置を介して蓋が取り付けられている。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、回転軸とケースとの間には、回転軸の一方側で底壁に対向する部分から底壁に向けて突出して径方向に延在する第1リブ、および仕切り用凸部の他方側の端部からフランジ部に向けて突出して径方向に延在する第2リブの少なくとも一方のリブが形成されているため、軸線方向においてケースとロータとの間を十分に詰めることができる。また、リブの高さ(突出寸法)が高すぎる場合でも、流体ダンパ装置を組み立てる際、リブが潰されて、リブは適正な高さ(突出寸法)となる。従って、負荷が発生する方向に回転軸を回転させた際、ケースとロータとの軸線方向の隙間から流体が漏れることを容易に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、ロータ30において、回転軸40の中心軸が延在する方向を軸線L方向とし、軸線L方向において、ケース20が位置する側を一方側L1とし、ケース20が位置する側とは反対側(回転軸40が突出している側)を他方側L2として説明する。
【0022】
(ダンパ付き機器および流体ダンパ装置10の全体構成)
図1は、本発明を適用した流体ダンパ装置10が搭載された洋式便器1を備えた洋式トイレユニット100の説明図である。
図2は、本発明を適用した流体ダンパ装置10の斜視図であり、
図2(a)、(b)は各々、流体ダンパ装置10を軸線L方向の他方側L2からみた斜視図、および流体ダンパ装置10を軸線L方向の一方側L1からみた斜視図である。
【0023】
図1に示す洋式トイレユニット100は、洋式便器1(ダンパ付き機器)および水タンク3を備えている。洋式便器1は、便器本体2、樹脂製の便座5(蓋材)、樹脂製の便蓋6(蓋材)、およびユニットカバー7等を備えている。ユニットカバー7の内部には、後
述する流体ダンパ装置が弁座用および弁蓋用として内蔵されており、便座5および便蓋6は各々、流体ダンパ装置を介して便器本体2に連結されている。
【0024】
図2に示すように、流体ダンパ装置10は、一方側L1に円柱状の流体ダンパ装置本体10aを有している。流体ダンパ装置本体10aから他方側L2には軸状の連結部10bが突出しており、連結部10bは、便座5あるいは便蓋6に連結される。かかる流体ダンパ装置10は、起立している便座5や便蓋6が便器本体2に被さるように倒れようとする際、それに抗する力(負荷)を発生させ、便座5や便蓋6が倒れる速度を低下させる。ここで、連結部10bは、相対向する面が平坦面10cになっており、かかる平坦面10cによって、連結部10bに対する便座5や便蓋6の空周りが防止されている。
【0025】
(流体ダンパ装置10の構成)
図3は、本発明を適用した流体ダンパ装置10の分解斜視図であり、
図3(a)、(b)、(c)は各々、ケース20からロータ30等を外した状態を軸線L方向の他方側L2からみた分解斜視図、ロータ30の回転軸40から弁体50を外した状態を軸線L方向の他方側L2からみた分解斜視図、およびケース20からロータ30等を外した状態を軸線L方向の一方側L1からみた分解斜視図である。
図4は、本発明を適用した流体ダンパ装置10の断面図であり、
図4(a)、(b)は各々、流体ダンパ装置10を軸線Lに沿って切断したときの断面図、および流体ダンパ装置10のダンパ室11を軸線Lに対して直交する方向で切断した状態を軸線L方向の他方側L2からみたときの断面図である。
図5は、本発明を適用した流体ダンパ装置10の要部を示す説明図であり、
図5(a)、(b)は各々、ロータ30を軸線L方向の一方側L1からみた斜視図、およびケース20を軸線L方向の他方側L2からみた斜視図である。なお、
図5(b)は、2つの弁体50も表してある。
【0026】
図3および
図4に示すように、流体ダンパ装置10は、一方側L1に底壁21を備えた筒状のケース20と、一方側L1がケース20の内側に配置されたロータ30と、他方側L2でケース20の開口29を塞ぐリング状のカバー60とを有している。カバー60は、樹脂製であり、円環部61と、円環部61の内側から一方側L1に突出した円筒部62とを有している。
【0027】
図3、
図4および
図5において、ケース20は、樹脂製であり、底壁21の外周縁から他方側L2に向けて延在する円筒状の胴部22を有している。胴部22の内周面220のうち、他方側L2に位置する部分228は、一方側L1に位置する部分229よりわずかに内径が大になっている。
【0028】
ケース20において、底壁21の中央には、一方側L1に凹んでロータ30の回転軸40の一方側L1の端部49を回転可能に支持する円形の凹部210が形成されており、かかる凹部210に対して径方向外側には、一方側L1に凹んだ2つの円弧状の凹部211が形成されている。2つの凹部211は、周方向で180°ずれた角度位置に形成されている。
【0029】
2つの凹部211の各々に対して周方向でずれた位置では、胴部22の内周面220から径方向内側に2つの仕切り用凸部23が突出している。2つの仕切り用凸部23は、周方向で180°ずれた角度位置に形成されている。本形態において、2つの仕切り用凸部23はいずれも、一方側L1の端部が底壁21と繋がっている。本形態において、仕切り用凸部23は、断面台形形状であり、径方向外側から内側に向かって周方向の寸法(厚さ)が薄くなっている。
【0030】
ロータ30は、軸線L方向の一方側L1がケース20の内側に配置された回転軸40と
、回転軸40に保持された弁体50とを備えている。回転軸40は、樹脂製であり、ケース20の内側に位置する第1軸部41と、第1軸部41よりも他方側L2で延在する第2軸部42とを有している。第1軸部41は、回転軸40の一方側L1の端部49より外径が大であり、第2軸部42は、第1軸部41より外径が大である。本形態において、端部49は円筒状に形成されており、樹脂成形時のヒケを緩和する構造になっている。なお、第2軸部42は、第1軸部41より外径が小であってもよい。
【0031】
回転軸40において第1軸部41と第2軸部42との間には、第1軸部41に対して他方側L2で隣接する円形の第1フランジ部43と、第1フランジ部43に対して所定の間隔をあけて他方側L2で対向する円形の第2フランジ部44とが形成されている。このため、第1フランジ部43と第2フランジ部44との間には環状の溝45が形成されている。従って、溝45にOリング70を装着して回転軸40の第1軸部41をケース20の内側に配置すれば、Oリング70がケース20の胴部22の内周面220のうち、一方側L1に位置する部分229に当接し、ケース20と回転軸40とに挟まれた空間が密閉される。また、ケース20の底壁21と、第1軸部41において他方側L2で対向する第1フランジ部41とによって区画された空間がダンパ室11として密閉される。その際、ダンパ室11にはオイル等の流体12(粘性流体)が充填される。その後、カバー60の円筒部62を回転軸40の第2軸部42とケース20の胴部22との間に差し込み、溶接等の方法でカバー60を固定すれば、流体ダンパ装置10が構成される。
【0032】
この状態で、回転軸40の一方側L1の端部49は、ケース20の底壁21の凹部210に回転可能に支持されているとともに、第2軸部42がカバー60の円筒部62の内側で回転可能に支持される。また、第2軸部42の一部がカバー60を貫通し、連結部10bが構成される。
【0033】
(ダンパ室11内の詳細構成)
図4および
図5に示すように、ダンパ室11において、ケース20の2つの仕切り用凸部23の径方向内側端部231は、回転軸40の第1軸部41の外周面410に接する。
【0034】
また、回転軸40の第1軸部41の外周面410において、周方向で180°ずれた角度位置からは、径方向外側に2つの弁体支持用凸部46が形成されており、かかる2つの弁体支持用凸部46の各々に弁体50が支持されている。ここで、2つの弁体支持用凸部46はいずれも、回転軸40の一方側L1の端部49から所定の寸法だけ、他方側L2に位置する部分を起点にして第1フランジ部43まで軸線L方向に延在しており、2つの弁体支持用凸部46はいずれも、他方側L2の端部が第1フランジ部43と繋がっている。
【0035】
弁体支持用凸部46の径方向外側部分には、径方向外側に突出した第1凸部461と、第1凸部461に対して第2方向Bで隣り合う位置で径方向外側に突出する第2凸部462とが形成されており、第1凸部461と第2凸部462との間には溝460が形成されている。第1凸部461および第2凸部462はいずれも、他方側L2の端部が第1フランジ部43と繋がっている。
【0036】
溝460は、内周面が約180°以上の角度範囲にわたって湾曲した円弧状になっており、溝460には弁体50が支持されている。本形態において、第2凸部462は、第1凸部431より周方向の幅が広い。また、第1凸部461の先端部は、第2凸部462の先端部より径方向内側に位置する。また、弁体支持用凸部46は、周方向の幅が径方向外側より径方向内側で狭くなっている。
【0037】
弁体50は、第1凸部461と第2凸部462との間の溝460において軸線Lと平行な軸線周りに回転可能に支持された断面略円形の基部51と、基部51から径方向外側に
突出して第1凸部461に被さるように第1方向Aに向けて傾いた断面凸状の先端部52とを備えており、先端部52の径方向外側部分は、第1凸部461および第2凸部462より径方向外側に位置する。
【0038】
(ダンパ室11内での軸線L方向での密閉構造)
弁体50は弁体支持用凸部46と同様、軸線L方向に延在しており、弁体50の他方側L2の端部56は、第1フランジ部43と接している。従って、弁体50と第1フランジ部43との間に隙間がほとんどあいていない。従って、弁体50と第1フランジ部43との間を流体12が通過しないようになっている。これに対して、弁体50の一方側L1の端部57は、弁体支持用凸部46の一方側L1の端部よりわずかに他方側L2に位置する。このため、弁体50に対して一方側L1では、弁体支持用凸部46とケース20の胴部22の内周面220との間にはわずかな隙間G0が空いている。従って、流体は、隙間G0を通ってわずかに通過することができる。
【0039】
第1軸部41の一方側L1の端面417および弁体支持用凸部46の一方側L1の端部467とケース20の底壁21との間にはわずかな隙間が存在するが、第1軸部41の一方側L1の端面417および弁体支持用凸部46の一方側L1の端部467に形成された第1リブ(
図4(a)には図示せず)がケース20の底壁21と接している。このため、第1軸部41の一方側L1の端面417と底壁21との間、および弁体支持用凸部46の一方側L1の端面417と底壁21との間を流体12が通過しないようになっている。かかる第1リブについては、
図6等を参照して後述する。
【0040】
仕切り用凸部23の他方側L2の端面236と回転軸40の第1フランジ部43との間にはわずかな隙間が存在するが、仕切り用凸部23の他方側L2の端面236に形成された第2リブ(
図4(a)には図示せず)が第1フランジ部43と接している。このため、仕切り用凸部23の他方側L2の端面236と第1フランジ部43との間を流体12が通過しないようになっている。かかる第2リブについては、
図6等を参照して後述する。
【0041】
(動作)
このように構成した流体ダンパ装置10において、ロータ30(回転軸40)が軸線L周りに第1方向Aに回転すると、弁体50は、流体圧を受けて回転し、先端部52が第2凸部462の側に向けて移動する。その結果、先端部52の径方向外側部分は、ケース20の胴部22の内周面220に当接する。従って、弁体50および弁体支持用凸部46では、第2方向Bへの流体の移動が阻止される結果、ロータ30(回転軸40)には負荷(抗力)が加わる。このような場合でも、弁体50より一方側L1では、弁体支持用凸部46とケース20の胴部22の内周面220との間にはわずかな隙間G0が空いている。従って、弁体50および弁体支持用凸部46では、第2方向Bへの流体の移動がわずかに許容される。それ故、ロータ30(回転軸40)は、負荷が加わるものの、低速度での第1方向Aへの回転が許容される。
【0042】
これに対して、ロータ30(回転軸40)が軸線L周りに第2方向Bに回転すると、弁体50は、流体圧を受けて回転し、先端部52が第1凸部461の側に向けて移動する。その結果、先端部52の径方向外側部分とケース20の胴部22の内周面との間には隙間があく。従って、弁体50および弁体支持用凸部46では、第1方向Aへの流体の移動が許容される結果、ロータ30(回転軸40)には負荷が加わらない。
【0043】
(リブの構成)
図6は、本発明を適用した流体ダンパ装置10の回転軸40に形成した第1リブ16の説明図であり、
図6(a)、(b)、(c)、(d)は各々、回転軸40の一方側L1の端部を拡大して示す説明図、回転軸40の一方側L1の端面を示す背面図、潰す前の第1
リブ16の断面形状を示す説明図、および潰した後の第1リブ16の断面形状を示す説明図である。
【0044】
図5(a)および
図6(a)、(b)に示すように、本形態では、ダンパ室11内において、回転軸40と底壁21との間で流体12の通過を制限するために、回転軸40の一方側L1で底壁21に対向する部分、および底壁21のうちの一方から他方に突出して径方向に延在する第1リブ16が形成されている。本形態において、第1リブ16は、回転軸40の一方側L1で底壁21に対向する部分に形成されている。
【0045】
より具体的には、
図5および
図6に示すように、回転軸40の一方側L1で底壁21に対向する部分のうち、第1軸部41の一方側L1の端面417、および弁体保持用凸部46の一方側L1の端部467には、底壁21に向けて突出した第1リブ16が形成されており、第1リブ16は、端部49の外周面と繋がる位置から弁体保持用凸部46の径方向外側の端部まで径方向に延在している。
【0046】
第1リブ16は、弁体保持用凸部46に形成された第1凸部461および第2凸部462のうち、第1凸部461より周方向の幅が広くて径方向外側まで延在している第2凸部462の一方側L1の端面に形成されている。
【0047】
このように構成した第1リブ16は、流体ダンパ装置10を組み立てる際にケース20の内側に回転軸40を配置したとき、底壁21と当接する。また、第1リブ16の高さ(突出寸法)が高すぎる場合、底壁21と第1軸部41の一方側L1の端面417との間、および底壁21と弁体保持用凸部46との間で潰される。本形態において、第1リブ16は潰された状態で底壁21に接している。このため、第1軸部41の一方側L1の端面417と底壁21との間、および弁体支持用凸部46の一方側L1の端面417と底壁21との間を流体12が通過しないようになっている。
【0048】
ここで、第1リブ16は、
図6(c)に示すように、潰される前は断面三角形形状をもって形成されている。このため、第1リブ16は、第1リブ16の突出方向において根元部分161が先端側162より幅が広い。また、第1リブ16は、
図6(d)に示すように、潰された後は断面台形形状になっており、潰された後の第1リブ16は、第1リブ16の突出方向において根元部分161が先端側163より幅が広い。また、第1リブ16は、第1リブ16の突出方向における先端側163が軸線L方向に対して直交する面になっている。
【0049】
また、本形態では、
図5に示すように、ケース20の仕切り用凸部23の他方側L2の端部236および第1フランジ部43の一方側L1の端面436のうちの一方には、他方に向けて突出して径方向に延在する第2リブ17が形成されている。本形態では、ケース20の仕切り用凸部23の他方側L2の端部236に、第1フランジ部43の一方側L1の端面436に向けて突出して径方向に延在する第2リブ17が形成されている。ここで、第2リブ17は、仕切り用凸部23の他方側L2の端部236の径方向の全体に形成されている。
【0050】
このように構成した第2リブ17は、流体ダンパ装置10を組み立てる際にケース20の内側に回転軸40を配置したとき、第1フランジ部43と接する。また、第2リブ17の高さ(突出寸法)が高すぎる場合、第2リブ17は、仕切り用凸部23の他方側L2の端部236と第1フランジ部43との間で潰される。本形態において、第2リブ17は潰された状態で第1フランジ部43に接している。このため、ケース20の仕切り用凸部23の他方側L2の端部236と第1フランジ部43との間を流体12が通過しないようになっている。
【0051】
ここで、第2リブ17は、第1リブ16と同様、
図6(c)に示すように、潰される前は断面三角形形状をもって形成されている。このため、第2リブ17は、第2リブ17の突出方向において根元部分171が先端側172より幅が広い。また、第2リブ17は、第1リブ16と同様、
図6(d)に示すように、潰された後は断面台形形状になっており、潰された後の第2リブ17は、第2リブ17の突出方向において根元部分171が先端側173より幅が広い。また、第2リブ17は、第1リブ16と同様、第2リブ17の突出方向における先端側173が軸線L方向に対して直交する面になっている。
【0052】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の流体ダンパ装置10において、ロータ30の回転軸40とケース20との間では、回転軸40の一方側L1でケース20の底壁21に対向する部分(第1軸部41の一方側L1の端面417、および弁体保持用凸部46の一方側L1の端部467)には、底壁21に向けて突出した第1リブ16が形成されているため、ケース20とロータ30との軸線L方向の間を十分に詰めることができる。また、第1リブ16の高さ(突出寸法)が高すぎる場合でも、流体ダンパ装置10を組み立てる際、第1リブ16が潰されて、第1リブ16は適正な高さ(突出寸法)となる。従って、回転軸40やケース20の精度や組み立て精度が極端に高くなくても、負荷が発生する方向に回転軸40を回転させた際、ケース20とロータ30との軸線L方向の隙間から流体が漏れることを容易に抑制することができる。それ故、ダンパ室11における封止状態が安定するので、弁座6や便蓋5が倒れる際の時間を安定することができる。また、流体12として、粘度の低い流体12を用いることができるので、弁体50等に加わる負荷を軽減することができる。また、粘度の低い流体12であれば、比較的安価であるため、流体ダンパ装置10の低コスト化を図ることができる。
【0053】
また、ロータ30の回転軸40とケース20との間では、他方側L2でケース20の仕切り用凸部23において回転軸40の第1フランジ部43に対向する端部236には、第1フランジ部43に向けて突出した第2リブ17が形成されているため、ケース20とロータ30との軸線L方向の間を十分に詰めることができる。また、第2リブ17の高さ(突出寸法)が高すぎる場合でも、流体ダンパ装置10を組み立てる際、第2リブ17が潰されて、第2リブ17は適正な高さ(突出寸法)となる。従って、回転軸40やケース20の精度や組み立て精度が極端に高くなくても、負荷が発生する方向に回転軸40を回転させた際、ケース20とロータ30との軸線L方向の隙間から流体が漏れることを容易に抑制することができる。それ故、ダンパ室11における封止状態が安定するので、弁座6や便蓋5が倒れる際の時間を安定することができる。また、流体12として、粘度の低い流体12を用いることができるので、弁体50等に加わる負荷を軽減することができる。また、粘度の低い流体12であれば、比較的安価であるため、流体ダンパ装置10の低コスト化を図ることができる。
【0054】
また、第1リブ16および第2リブ17は、先端側163、173が軸線L方向に対して直交する面になっている。すなわち、流体ダンパ装置10を組み立てる際、第1リブ16および第2リブ17が潰されている。このため、第1リブ16および第2リブ17は、適正な高さ(突出寸法)となるので、負荷が発生する方向に回転軸40を回転させた際、ケース20とロータ30との軸線L方向の隙間から流体が漏れることを確実に抑制することができる。また、第1リブ16および第2リブ17は、根元部分161、162が先端側162、163、172、173より幅が広いため、流体ダンパ装置10を組み立てる際、第1リブ16および第2リブ17を潰しやすい。
【0055】
ここで、仕切り用凸部23および弁体保持用凸部46は各々、周方向において同数かつ等角度間隔の複数の個所(2箇所)に設けられている。このため、ダンパ室11が複数(
2つ)に区切られることになるため、大きな負荷を発生させることができる。一方、ダンパ室11を区切ると、その分、ケース20とロータ30との軸線方向の隙間から流体が漏れようとする箇所が増えることになる。しかるに本形態によれば、かかる漏れを第1リブ16および第2リブ17の形成によって抑制することができるため、ダンパ室11を複数に区切ることの不利益を解消することができる。
【0056】
また、ケース20において、仕切り用凸部23の一方側L1の端部は底壁21と繋がっており、回転軸40において、弁体保持用凸部46の他方側L2の端部は第1フランジ部43と繋がっている。このため、仕切り用凸部23の一方側L1の端部と底壁21との間での流体の漏れや、弁体保持用凸部46の他方側L2の端部と第1フランジ部43との間での流体の漏れが発生しない。
【0057】
ここで、第1リブ16は、弁体保持用凸部46の第1凸部461および第2凸部462のうち、周方向の幅が広い第2凸部462に形成されている。このため、第1リブ16を潰した際、弁体保持用凸部が変形しにくい。また、第1凸部461および第2凸部462のうち、第2方向Bに位置する第2凸部462は、第1凸部461より周方向の幅が広いため、負荷が発生する第1方向Aに回転軸40を回転させた際、第2凸部462が大きな負荷を受けても、第2凸部462に変形や破損が発生することを抑制することができる。
【0058】
また、第1凸部161の先端部は、第2凸部462の先端部より径方向内側に位置し、弁体50において、先端部52は、基部51から径方向外側に突出し、第1方向Aに傾いて第1凸部461に径方向外側から被さっている。このため、負荷が発生する第1方向Aに回転軸40を回転させた際、弁体50は、流体圧を受けて閉方向に変位しやすい。
【0059】
また、弁体保持用凸部46は、周方向の幅が径方向外側より径方向内側で狭いため、弁体保持用凸部46が仕切り用凸部23の径方向内側部分(根元部分)に当接しにくい。それ故、ロータ30の回転可能な角度を広くすることができる。
【0060】
[他の実施の形態]
上記実施の形態において、回転軸40やケース20は樹脂製であったが、回転軸40やケース20が金属製であってもよい。