(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反力発生部材は、前記操作部材の押下に応じて、当該反力発生部材が弾性座屈変形するまで前記操作部材の押下荷重が増加し、前記反力発生部材の弾性座屈変形後に前記操作部材の押下荷重が減少する荷重変位特性を有し、
前記押下部材は、前記操作部材の押下量に応じて前記操作部材の押下荷重が線形増加する荷重変位特性を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のキースイッチ装置。
前記押下部材は下方に向けて伸びる第2突起を有する皿バネであり、当該第2突起が前記スイッチ上に配置されていることを特徴とする請求項10に記載のキースイッチ装置。
操作部材の押下に応じて、弾性座屈変形するまで前記操作部材の押下荷重が増加し、前記弾性座屈変形後に前記操作部材の押下荷重が減少する荷重変位特性を有する第1部分と、
前記操作部材の下方に配置されたスイッチを押下し、前記操作部材の押下量に応じて前記操作部材の押下荷重が増加する荷重変位特性を有する第2部分とを有し、
前記第2部分と前記スイッチの間の距離は、前記操作部材の押下量に応じて、前記第1部分が弾性座屈変形した後に前記第2部分から前記スイッチに押下荷重が加わり始めるように調整されていることを特徴とする反力発生部材。
前記操作部材の押下量に応じた前記操作部材の押下荷重の増加量は、前記弾性座屈変形後の前記操作部材の押下荷重の減少量よりも小さいことを特徴とする請求項14の反力発生部材。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。
【0017】
図1(a)は本実施の形態に係るキースイッチ装置を例示する分解斜視図である。
図1(b)は
図1(a)のキースイッチ装置が複数配列されたキーボードを備えるコンピュータを示す図である。
図2(a)は接点押下部材の構成図である。
図2(b)はドームラバーの断面図である。
図3は
図1のキースイッチ装置の断面図である。
【0018】
図1(a)に示すように、キースイッチ装置100は、キートップ10、リンク部材としての2つのギアリンク12a及び12b、メンブレンシート14、接点押下部材16及びサポートパネル17を含む。
図1(b)に示すように、キーボード200は複数のキースイッチ装置100が配列されて構成されている。尚、
図1(b)のキーボードでは、メンブレンシート14及びサポートパネル17は、複数のキースイッチ装置100に対応する1つのメンブレンシート14及び1つのサポートパネル17が使用されるものとする。
【0019】
図2(b)に示すように、メンブレンシート14は、一対のシート基板14b及び14cと、スイッチとして機能する一対の接点14dを備えている。シート基板14b及び14cは所定距離だけ離れており、間に不図示のスペーサが設けられている。対となる接点14d同士は対向するように、シート基板14b及び14c上の、スペーサが設けられていない位置にそれぞれ形成されている。メンブレンシート14上には、反力発生部材としてのドームラバー15が形成されている。
【0020】
ドームラバー15は、ゴム材料から一体成型により構成されるドーム状部材であり、リング状の基部15a、基部15aからドーム状に立ち上がるドーム部15bと、ドーム部15bから上方に延在する円筒部15cとを備えている。ドーム部15bの内部は空間であり、ドーム部15bは、押し下げる力により弾性変形する。ドームラバー15は、メンブレンシート14に接着などにより固定されている。ドームラバー15の上端はキートップ10の裏面と接触する。円筒部15cは、接点押下部材16を収容する凹部15e(支持部)を有する。ドーム部15bと円筒部15cとの間に、壁15fが形成されており、壁15fの中央には、接点押下部材16のコイルスプリングを貫通する貫通穴15dが形成されている。
【0021】
接点押下部材16は、
図2(a)に示すように、ベース材16a及びコイルスプリング16bで形成されている。ベース材16aは、平板状のモールド、板金又は樹脂等で形成されており、コイルスプリング16bの一端を垂直に固定する。コイルスプリング16bの他端はベース材16aから垂直上方に延びている。
図3に示すように、ベース材16aは、ドームラバー15の凹部15eに収容され、コイルスプリング16bは貫通穴15dを介してドーム部15bの内部に突出する。接点押下部材16は、ドームラバー15の上方から取り付けられる。ベース材16aがキートップ10と壁15fとにより挟み込まれるので、接点押下部材16は固定され、ドームラバー15から外れることはない。
【0022】
図1(a)に示すように、サポートパネル17はキートップ10の下に配置され、メンブレンシート14はキートップ10とサポートパネル17との間に配置される。サポートパネル17の上面はメンブレンシート14の下面と対向する。サポートパネル17は、後述するギアリンク12a及び12bの軸12cの垂直方向の移動を規制する4つの規制部17aを備えている。各規制部17aは、サポートパネル17に対して垂直に形成されており、
図3に示すように、水平方向に移動する軸12cが挿入される略矩形の穴17bを備えている。メンブレンシート14に設けられた穴14aから、サポートパネル17の上面の一部及び規制部17aが露出する。
【0023】
図1(a)に示すように、ギアリンク12a及び12bの先端部12dには、突起12eが形成されており、突起12eは回転可能にキートップ10の裏面に固定される。ギアリンク12a及び12bの後端には、軸12cが形成されており、軸12cは規制部17aの穴17bに挿入される。これにより、ギアリンク12a及び12bは
図3の矢印方向に移動可能なようにサポートパネル17に固定される。
【0024】
ギアリンク12aの一方(
図1(a)中の手前側)の先端部12dには第1歯12gが設けられ、他方(奥側)の先端部12dには第2歯12hが設けられている。ギアリンク12bには第1歯12g及び第2歯12hが設けられている。ギアリンク12aの第1歯12gとギアリンク12bの第2歯12hとが噛み合い、ギアリンク12aの第2歯12hとギアリンク12bの第1歯12gとが噛み合う。このように、一対のギアリンク12a及び12bは先端部12dにおいて連結されており、連動して動くことができる。アーム部12fは先端部12dから軸12cに向けて伸びている。
【0025】
キートップ10が押下されていないとき(非押下時)において、2つのギアリンク12a及び12bは逆V字状に組みつけられ、キートップ10を支持する。例えば操作者の指などでキートップ10が押下されると(押下時)、キートップ10の下面がドームラバー15を押し下げる。これにより、ドームラバー15が座屈変形し、コイルスプリング16bがメンブレンシート14を押し下げ、接点14dがオンになる。指をキートップ10から離すと、ドームラバー15の上方向の弾性力によりキートップ10は上に押し上げられる。
図3の矢印で示すように、キートップ10の押下に伴い、ギアリンク12a及び12bの後端は左右方向にスライドする。またアーム部12fは下方向に倒れる。このように、ギアリンク12a及び12bは、キートップ10を水平に保ちながら、キートップ10を上下方向に案内する。
【0026】
図1(a),
図3では、2つのギアリンク12a及び12bは逆V字状に組みつけられ、キートップ10を支持する。しかし、
図4に示すように、2つのギアリンク12a及び12bはV字状に組みつけられてもよい。
図4は、第1変形例に係るキースイッチ装置101の断面図である。
図4では、接点押下部材16が表示されていないが、
図3と同様に、接点押下部材16はドームラバー15の凹部15eに収容されている。
【0027】
図4では、キートップ10の下面からはフック10aが突出している。先端部12dとは反対側(キートップ10側)の先端部には軸12cが設けられている。軸12cがフック10aに係合することにより、キートップ10とギアリンク12a、キートップ10とギアリンク12bとはそれぞれ連結される。フック10aのキートップ10の外側に向いた面は開放されている。また、この場合、サポートパネル17上には、2つの規制部17aが形成され、各規制部17aには、ギアリンク12a及び12bの先端部12dにそれぞれ形成された2つの突起12eが挿入される。
【0028】
図4に示すように、キートップ10が押下されていないとき(非押下時)において、2つのギアリンク12a及び12bはV字状に組みつけられ、キートップ10を支持する。例えば操作者の指などでキートップ10が押下されると(押下時)、キートップ10の下面がドームラバー15を押し下げる。これにより、ドームラバー15が座屈変形し、コイルスプリング16bがメンブレンシート14を押し下げ、接点14dがオンになる。指をキートップ10から離すと、ドームラバー15の上方向の弾性力によりキートップ10は上に押し上げられる。
図4中の矢印で示すように、キートップ10の押下に伴い、ギアリンク12a及び12bの軸12cは左右方向にスライドする。またアーム部12fは下方向に倒れる。このように、ギアリンク12a及び12bは、キートップ10を水平に保ちながら、キートップ10を上下方向に案内する。
【0029】
以下、キートップ10のストロークS(押し下げ量)と荷重(押し下げ力)Fとの関係について説明する。
図5(a)は、本実施の形態に係るキースイッチ装置100の荷重変位特性を示す図であり、
図5(b)は、比較例に係るキースイッチ装置の荷重変位特性を示す図である。なお、
図5(a),(b)では、横軸にストロークSを、縦軸に荷重Fをとり、接点オンのポイントaを併せて示している。
【0030】
図5(a)において、点線は、ドームラバー15の荷重変位特性を示し、一点鎖線は、接点押下部材16(具体的にはコイルスプリング16b)の荷重変位特性を示し、実線は、ドームラバー15及び接点押下部材16の荷重変位特性を合成した特性を示す。
図5(a)に示すように、キートップ10の荷重Fが0から増加すると、それに伴いストロークSも0から増加する。このとき、ドームラバー15が弾性変形し、キートップ10にはドームラバー15からの反力が作用する。荷重Fが0からF
0である場合のキースイッチ装置100の荷重変位特性は、ドームラバー15自体の荷重変位特性に等しい。ドームラバー15に作用する荷重がドームラバー15の座屈荷重(即ち荷重F
0)に達するまでは荷重Fが上昇し、座屈荷重に達すると、以降、荷重FはストロークSの増加に伴いなだらかに減少する。このドームラバー15の弾性座屈変形によりピーク荷重F
0を得ることで、操作者は打鍵操作において特有のクリック感を得ることができる。
【0031】
この場合、ストロークS
3は、接点押下部材16の下端(即ちコイルスプリング16bの下端)とメンブレンシート14との間の初期長さL(
図3参照)に相当する。この長さLは、コイルスプリング16bの長さを調整することで設定することができる。長さLを調整することによりストロークS
3を変更することができ、その結果、接点オン時のキートップ10のストロークS
1を変更することができる。即ち、長さLを調整することにより、接点オン時のキートップ10のストロークS
1を任意に設定できる。
【0032】
本実施の形態では、ピーク荷重F
0が発生するストロークS
0よりも大きく、かつ、エンドストロークS
2よりも小さい値(例えばS
0とS
2の中間)に、ストロークS
1を設定している。これにより、操作者がクリック感を得た後に荷重Fの減少領域で接点14dがオンするため、操作者の操作感覚と接点14dのオン動作とが良好に対応し、キースイッチの操作性が向上する。
【0033】
図5(b)は、ドームラバー15の円筒部15cから下方に向けて突起を設けた場合のキースイッチ装置の荷重変位特性を示す。ここでは、
図6に示すように、円筒部15cが閉じられたドームラバー15を用い、その円筒部15cから下方に向けて突起151が設けられている。尚、
図6は、比較例に係るキースイッチ装置の断面図である。この場合には、
図5(b)に示すようにキートップ10の荷重Fが0から増加すると、それに伴いストロークSも0から増加し、ドームラバー15に作用する荷重が座屈荷重に達すると、荷重Fは最大F
0となる。その後、荷重Fは減少し、ストロークS
3で突起151がメンブレンシート14に接触すると、再び荷重Fが上昇する。
【0034】
このとき、メンブレンシート14の接点14dは、突起151がメンブレンシート14に接触した後に所定の押圧力が付加されると、オンする。したがって、接点オン時のストロークS
1は、荷重Fが最小F
3となるストロークS
3よりも大きい。このため、接点14dをオンするために操作者は、ピーク荷重F
0を超えた後に荷重が減少し、再び荷重が増加するまでキー操作する必要がある。しかし、通常、操作者は、ピーク荷重F
0を超えた後の荷重Fの減少領域で接点がオンされたとみなすため、荷重Fの増加領域までキー操作する必要があるとすると、操作感覚と接点押下動作との間に乖離が生じ、違和感がある。この点、本実施の形態では、荷重Fの減少領域で接点をオンできるため、操作感覚と接点押下動作とが良好に対応し、違和感が生じない。
【0035】
以上説明したように、
図3のキースイッチ装置100及び
図4のキースイッチ装置101の各々は、キートップ10に対して弾性座屈変形に応じた反力を付与するドームラバー15と、キートップ10と接点14dとの間に設けられ、ドームラバー15からの反力に抗して接点14dを押下する接点押下部材16とを備え、ドームラバー15は、接点押下部材16を収容する凹部15eを有し、接点押下部材16は凹部15eに収容される。従って、操作感覚と接点押下動作とを良好に対応させ、且つキースイッチ装置100,101の薄型化を図ることができる。特に、従来使用されていたキートップの裏側に固定されるステム又はスライダーや、キートップを昇降自在に案内支持するハウジングが不要になるので、キースイッチ装置100,101の薄型化を図ることができる。
【0036】
図7は、第2変形例に係るキースイッチ装置102の断面図である。
【0037】
図7に示すように、キートップ10の裏面にフック部10bが形成されている。接点押下部材16のベース材16aは、フック部10bによりキートップ10の裏面に固定されている。ドームラバー15の円筒部15cには、コイルスプリング16bを通すための貫通穴15dが形成されている。
図3と異なり、ドームラバー15の円筒部15cには、接点押下部材16を収容する凹部15eは形成されていないが、凹部15eが形成されていてもよい。その他の構成は、
図3の構成と同様である。
図7のキースイッチ装置も、
図5(a)の押し下げ特性を有する。
【0038】
第2変形例に係るキースイッチ装置102も、キースイッチ装置100及び101と同様に、操作感覚と接点押下動作とを良好に対応させ、且つキースイッチ装置102の薄型化を図ることができる。
【0039】
図8は、第3変形例に係るキースイッチ装置103の断面図である。
【0040】
図8では、コイルスプリング16bの一端がキートップ10の裏面と一体成形されている。コイルスプリング16bの他端は貫通穴15dを介してキートップ10の裏面から垂直下方向に延出している。その他の構成は、
図7の構成と同様である。
図8のキースイッチ装置も、
図5(a)の押し下げ特性を有する。
【0041】
第3変形例に係るキースイッチ装置103によれば、コイルスプリング16bの一端がキートップ10の裏面と一体成形されているので、ベース材16aが不要になる。よって、キースイッチ装置100〜102と比べて、さらにキースイッチ装置103の薄型化を図ることができる。
【0042】
図9は、第4変形例に係るキースイッチ装置104の断面図である。
図9では、接点押下部材16の代わりに、接点押下ラバー21を使用している。
【0043】
接点押下ラバー21は、ゴム材料から一体成型により構成されるドーム状部材であり、リング状の基部21aと、基部21aからドーム状に立ち上がるドーム部21bと、ドーム部21bから上方に延在する円筒部21cとを備えている。ドーム部21bと円筒部21cとの間に、壁21dが形成されており、壁21dの中央には、接点14dを押下する突起21eがメンブレンシート14に向けて形成されている。基部21a及びドーム部21bの内部は空間であり、ドーム部21bは、押し下げる力により弾性変形する。
【0044】
ドームラバー15の円筒部15cの中央には、
図7及び
図8の貫通穴15dよりも口径が大きい貫通穴15dが形成されている。
図9の貫通穴15dの口径は、上面視において、接点押下ラバー21の外周形よりも大きい。キートップ10の押下により、接点押下ラバー21は貫通穴15dに進入する。
【0045】
第4変形例による接点押下ラバー21は、ドームラバー15の内側に配置され、押下時に、
図5(a)の一点鎖線で示されるようなリニアな荷重変位特性を有する。リニアな荷重変位特性とは、ストローク(押し下げ量)の増加に比例して荷重F(押し下げ力)が増加する特性である。なお、ストロークの増加に応じて荷重が増加する特性であれば、荷重変位特性は必ずしもリニアな特性でなくてもよい。接点押下ラバー21は、メンブレンシート14上に接着により固定され、接点押下ラバー21の外側にドームラバー15がメンブレンシート14上に接着により固定されている。これにより、キートップ10の押下開始時には、ドームラバー15の荷重変位特性のみが機能し(
図5(a)の点線)、キートップ10の押下の途中から、キートップ10がドームラバー15及び接点押下ラバー21を同時に押下する。従って、キースイッチ装置100は、
図5(a)の実線で示すような、ドームラバー15及び接点押下ラバー21の荷重変位特性を合成した荷重変位特性を得ることができる。
【0046】
第4変形例に係るキースイッチ装置104によれば、ドームラバー15が使用され、接点押下部材16の代わりに、ドームラバー15の内部に配置され且つ接点14dを押下する突起21eを有する接点押下ラバー21が使用される。また、接点押下ラバー21の上端がキートップ10の裏面と接触するように、ドームラバー15の上面が開口されている。従って、操作感覚と接点押下動作とを良好に対応させ、且つキースイッチ装置104の薄型化を図ることができる。
【0047】
図10は、本実施の形態に係るキースイッチ装置100の荷重変位特性を示す図である。点線は、ドームラバー15の荷重変位特性を示す。一点鎖線は、ドームラバー15及び後述する接点押下部材12iの合成された荷重変位特性を示す。
【0048】
上述したように、キースイッチ装置100は、2つの部材(即ち、ドームラバー15、及びコイルスプリング16b又は接点押下ラバー21)の荷重変位特性を合成して、
図10の点線(ストローク0〜S
4の区間)及び
図10の一点鎖線(ストロークS
4以降の区間)、即ち、
図5(a)の実線で示すような荷重変位特性を取得している。
【0049】
ところで、
図10の点線で示すように、ドームラバー15の荷重変位特性は、ピーク荷重F
0(ストロークS
0)を超えると、急激に減少する。そのため、ドームラバー15の荷重変位特性の減少よりも小さな荷重増加で接点14dをオンにできれば(
図10の一点鎖線参照)、キースイッチ装置100は、
図5(a)の実線で示すような荷重変位特性が得られることになる。この場合、操作者がクリック感を得た後に荷重Fの減少領域で接点14dがオンするため、操作者の操作感覚と接点14dのオン動作とが良好に対応し、キースイッチの操作性が向上する。
【0050】
以下、ドームラバー15の荷重変位特性の減少よりも小さな荷重増加で接点14dをオンにできるキースイッチ装置100の構成を説明する。
【0051】
図11は、第5変形例に係るキースイッチ装置105の断面図である。
図12は、ギアリンク12a及び12bの変形例を示す図である。
【0052】
図11及び
図12に示すように、ギアリンク12a及び12bの各々の後端中央部に、接点押下部材12iが一体的に固定されている。接点押下部材12iは、クランク状に形成されており、接点押下部材12iの先端は、ギアリンク12a及び12bのアーム部12fの下側から突出している。
図11に示すように、キートップ10の押下により、ギアリンク12a及び12bは水平方向に倒れるように回転し、各軸12cは水平方向に移動し、接点押下部材12iは接点14dを押下する。尚、接点押下部材12iは、接点14dの押下後にギアリンク12a及び12bの回転動作を妨げないように弾力性を有する。
【0053】
図3及び
図7〜9では、接点14dはキートップ10の中心に対向する位置に配置されているが、
図11では、接点14dは規制部17aの近傍に配置されている。
【0054】
ところで、
図11のキートップ10の押下時に、キートップ10に固定されている各突起12eは力点となり、ギアリンク1つに対して全荷重の半分の荷重が加わる。
図11に示すように、ギアリンク12aの軸12c(支点)とギアリンク12aの突起12e(力点)との間の距離をAとし、接点14dをオンにするための接点押下部材12iの先端(作用点)を支点から距離B(B<A)の位置に配置し、力点に加わる押下荷重をPaとする。この場合、作用点の位置に発生する荷重Pbは、Pb=Pa×A/Bで表され、力点よりに加わる押下荷重よりも大きくなる。
【0055】
一般に、接点14dをオンさせるためには、数gfから10gf前後の荷重を必要とする。一方、キー押下のピーク荷重は、一般に、50gf前後に設定され、ピーク位置を超えるとキー押下に必要な荷重は減少していく。ピーク荷重時には、ギアリンク1個当たり25gf程度の荷重がギアリンクの力点に加わる。接点14dをオンさせるための10gfの荷重を作用点の位置で得るために必要な押下荷重Paは、10gf=Pa×A/Bで算出される。例えばA/B=4である場合には、押下荷重Paは2.5gfとなる。このとき、
図10に示すように、ドームラバー15の荷重変位特性において、ピーク荷重F
0から接点オン位置aに対応する荷重F
1までの荷重降下量を2.5gf以上に設定すれば、押下荷重がピーク荷重に到達した後に、合成された荷重変位特性が上昇することはない(
図10の一点鎖線参照)。これにより、理想の荷重変位特性を得ることが可能となる。
【0056】
第5変形例に係るキースイッチ装置105によれば、ドームラバー15及び接点押下部材12iを備え、且つギアリンク12a及び12bの各々の後端中央部に接点押下部材12iが設けられているので、操作感覚と接点押下動作とを良好に対応させ、且つキースイッチ装置105の薄型化を図ることができる。さらに、ドームラバー15の荷重変位特性の減少よりも小さな荷重増加で接点14dをオンにできる。
【0057】
図13は、第6変形例に係るキースイッチ装置106の断面図である。
図13では、説明の都合上、規制部17aを省略している。
【0058】
図13では、2つのギアリンク12a及び12bはV字状に組みつけられ、キートップ10を支持する。接点押下部材12iは、ギアリンク12aの軸12cと突起12eとの間で、先端部12dと一体的に形成されている。尚、接点押下部材12iは、接点14dの押下後にギアリンク12a及び12bの回転動作を妨げないように弾力性を有する。
【0059】
図13に示すように、ギアリンク12aの軸12c(力点)とギアリンク12aの突起12e(支点)との間の距離をAとし、接点14dをオンにするための接点押下部材12iの先端(作用点)を支点から距離B(B<A)の位置に配置し、力点に加わる押下荷重をPaとする。この場合、
図11と同様に、作用点の位置に発生する荷重Pbは、Pb=Pa×A/Bで表され、力点よりに加わる押下荷重よりも大きくなる。
【0060】
第6変形例に係るキースイッチ装置106によれば、ドームラバー15及び接点押下部材12iを備え、接点押下部材12iが先端部12dと一体的に形成されているので、操作感覚と接点押下動作とを良好に対応させ、且つキースイッチ装置106の薄型化を図ることができる。さらに、ドームラバー15の荷重変位特性の減少よりも小さな荷重増加で接点14dをオンにできる。
【0061】
図14は、ドームラバー15の変形例の断面図である。上述したキースイッチ装置100では、キートップ10を押下した際に反力を発生させる部材(即ちドームラバー15)と、接点14dを押下する接点押下部材16、12i又は接点押下ラバー21とが個別に設けられている。すなわち、反力発生部材と接点押下部材とは互いに分離されている。一方、
図14のドームラバー15は、反力発生部材としての機能と、接点押下部材としての機能とを単体で有する。
【0062】
図14のドームラバー15は、ゴム材料から一体成型により構成されるドーム状部材であり、リング状の基部15a、基部15aから斜め上方に延在する外ドーム部15gと、外ドーム部15gから上方に延在する円筒部15cと、円筒部15cから逆円錐形状に延在された内ドーム部15hとを備えている。外ドーム部15gが反力発生部材として機能し、内ドーム部15hが接点押下部材として機能する。外ドーム部15gは垂直方向から角度α(α<45度)だけ傾斜している。内ドーム部15hの半頂角θは45度以上である。これは、内ドーム部15hが座屈せずに、
図5(a)の一点鎖線で示すリニアな荷重変位特性のように、ストロークの増加に応じて荷重が増加する荷重変位特性を得るためである。例えば、内ドーム部が突起である場合、キートップ10の押下で突起が座屈し、望まれる荷重変位特性が得られない場合がある。
【0063】
キートップ10が押下されて、内ドーム部15hの頂点Xがメンブレンシート14に到達するまで、外ドーム部15gが座屈変形する。内ドーム部15hの頂点Xがメンブレンシート14に到達すると、内ドーム部15hの変形が開始される。従って、外ドーム部15gは、
図5(a)の点線で示される荷重変位特性を有し、内ドーム部15hは
図5(a)の一点鎖線で示される荷重変位特性を有する。よって、
図14のドームラバー15は、単体で、
図5(a)の実線で示される荷重変位特性を有する。この場合、追加の部品を用いることなく、最適な荷重変位特性が実現可能である。
【0064】
尚、内ドーム部15hは、逆円錐形に形成されているが、内ドーム部15hの形状はこれに限定されるものではなく、例えば、逆多角錐形や逆円錐台等でもよい。例えば、
図5(a)の一点鎖線で示すようなリニアな荷重変位特性のように、ストロークの増加に応じて荷重が増加する特性が得られる限り、内ドーム部15hの形状は限定されない。
【0065】
図14のドームラバー15によれば、反力発生部材としての機能と、接点押下部材としての機能とを単体で有するので、操作感覚と接点押下動作とを良好に対応させ、且つキースイッチ装置の薄型化を図ることができる。また、コイルスプリングなどが不要になるので、キースイッチ装置の製造コストを低減することができる。
【0066】
図15(a)は、第7変形例に係るキースイッチ装置107の断面図である。
図15(b)は、キートップの押下時のキースイッチ装置107の断面図である。
図15(c)は、
図15(a)のキースイッチ装置107の変形例の断面図である。
【0067】
図15(a)に示すように、キートップ10の裏面には下方に向けて伸びる突起121が設けられている。ドームラバー15の円筒部15cには、突起121を通すための貫通穴15dが形成されている。
図3と異なり、ドームラバー15の円筒部15cには、接点押下部材16を収容する凹部15eは形成されていない。また、
図15(a)では、コイルスプリング122がメンブレンシート14の接点14d上に接着され、固定されている。コイルスプリング122は、上述したコイルスプリング16bと同様の弾性特性を有する。
図15(a)に示すように、キートップ10の非押下時には、突起121はコイルスプリング122から距離Lだけ離れて、対向している。
図15(b)に示すように、キートップ10の押下時には、ドームラバー15が座屈変形して、突起121がコイルスプリング122に接触する。さらに、コイルスプリング122を縮めるようにキートップ10を押し下げると、接点14dがオンになる。
図15(a)のキースイッチ装置107も、
図5(a)の押し下げ特性を有する。この場合、
図5(a)の点線が、ドームラバー15の荷重変位特性を示し、一点鎖線は、接点押下部材としてのコイルスプリング122の荷重変位特性を示し、実線は、ドームラバー15及びコイルスプリング122の荷重変位特性を合成した特性を示す。
【0068】
図15(a)では、キートップ10の裏面に、下方に向けて伸びる突起121が設けられていたが、
図15(c)のキースイッチ装置107Aでは、ドームラバー15の円筒部15cの中央に、下方に向けて伸びる突起152が設けられている。ここでは、ドームラバー15の円筒部15cには、貫通穴15dが形成されていない。キースイッチ装置107Aのその他の構成は、
図15(a)のキースイッチ装置107と同様である。従って、
図15(c)のキースイッチ装置107Aも、
図5(a)の押し下げ特性を有する。
【0069】
キースイッチ装置107及び107Aも、キースイッチ装置100及び101と同様に、操作感覚と接点押下動作とを良好に対応させ、且つキースイッチ装置107及び107Aの薄型化を図ることができる。また、第7変形例に係るキースイッチ装置107及び107Aでは、メンブレンシート14の接点14d上にコイルスプリング122を取り付けているため、メンブレンシート14の接点14dの中心にコイルスプリング122を配置することが容易になる。これにより、接点14dの中心を押下する精度が向上し、接点の押し位置のばらつきによる、オン荷重(即ち、接点14dをオンするのに必要な荷重)のばらつきを低減することができる。
【0070】
図16(a)は、第8変形例に係るキースイッチ装置108の断面図である。
図16(b)は、キートップの押下時のキースイッチ装置108の断面図である。
図16(c)は、
図16(a)のキースイッチ装置108の変形例の断面図である。
【0071】
図16(a)に示すように、キートップ10の裏面には下方に向けて伸びる突起121が設けられている。ドームラバー15の円筒部15cには、突起121を通すための貫通穴15dが形成されている。
図3と異なり、ドームラバー15の円筒部15cには、接点押下部材16を収容する凹部15eは形成されていない。また、
図16(a)では、皿バネ161がメンブレンシート14の上に接着され、固定されている。皿バネ161の中央には、下方に向けて突出する突起162が設けられている。また、皿バネ161の突起162は、接点14dの上方に配置されている。皿バネ161は、上述したコイルスプリング16bと同様の弾性特性を有する。
図16(a)に示すように、キートップ10の非押下時には、突起121は、皿バネ161から距離Lだけ離れて、対向している。
図16(b)に示すように、キートップ10の押下時には、ドームラバー15が座屈変形して、突起121が皿バネ161に接触する。さらに、皿バネ161が変形するようにキートップ10を押し下げると、皿バネ161の突起162が接点14dに接触し、接点14dがオンになる。
図16(a)のキースイッチ装置108も、
図5(a)の押し下げ特性を有する。この場合、
図5(a)の点線が、ドームラバー15の荷重変位特性を示し、
図5(a)の一点鎖線は、接点押下部材としての皿バネ161の荷重変位特性を示し、
図5(a)の実線は、ドームラバー15及び皿バネ161の荷重変位特性を合成した特性を示す。
【0072】
図16(a)では、キートップ10の裏面に、下方に向けて伸びる突起121が設けられていたが、
図16(c)のキースイッチ装置108Aでは、ドームラバー15の円筒部15cの中央に、下方に向けて伸びる突起152が設けられている。ここでは、ドームラバー15の円筒部15cには、貫通穴15dが形成されていない。キースイッチ装置108Aのその他の構成は、
図16(a)のキースイッチ装置108と同様である。従って、
図16(c)のキースイッチ装置108Aも、
図5(a)の押し下げ特性を有する。
【0073】
キースイッチ装置108及び108Aも、キースイッチ装置100及び101と同様に、操作感覚と接点押下動作とを良好に対応させ、且つキースイッチ装置108及び108Aの薄型化を図ることができる。また、第8変形例に係るキースイッチ装置108及び108Aでは、メンブレンシート14の接点14d上に皿バネ161の突起162が配置されるように、皿バネ161をメンブレンシート14に取り付けている。これにより、接点14dの中心を押下する精度が向上し、接点の押し位置のばらつきによる、オン荷重(即ち、接点14dをオンするのに必要な荷重)のばらつきを低減することができる。
【0074】
尚、キースイッチ装置107及び107A、並びにキースイッチ装置108及び108Aでは、2つのギアリンクが逆V字状に組みつけられているが、
図4に示すように、2つのギアリンクがV字状に組みつけられてもよい。
【0075】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。