(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油揚を一定間隔をおいて一定方向へ間欠搬送する油揚間欠搬送機構の下流一側に配置した掴持機構により油揚の切口部を開口する工程と、油揚間欠搬送機構側への進出移動に伴って後方からの押圧力によって先端が開放される上下一対のガイドピースからなる寿司飯導入案内機構を通して、予め所定形状に成形してある寿司飯を前記開口側から油揚内部へ押込む工程とを有するいなり寿司製造方法であって、前記寿司飯導入案内機構を構成するガイドピースに付設された送風機構から前記掴持機構によって開口された油揚の内部にエアーを吹き付ける工程を有することを特徴とするいなり寿司製造方法。
前記寿司飯導入案内機構を構成するガイドピースが油揚の前記開口位置まで前進してくる時点を前記送風機構からの油揚内部へのエアーの吹き付け開始点とし、当該開始点から前記掴持機構が油揚を離す直前まで油揚内部へのエアーの吹き付けを継続する工程を含むことを特徴とする請求項1記載のいなり寿司製造方法。
油揚を一定間隔をおいて一定方向へ間欠搬送する油揚間欠搬送機構と、油揚の切口部を開口するよう前記油揚間欠搬送機構の下流一側に配置された掴持機構と、予め所定形状に成形してある寿司飯を前記開口側から油揚内部へ押込む寿司飯押出機構および前記寿司飯押出機構の押圧力によって先端が開放される上下一対のガイドピースからなる寿司飯導入案内機構とを備えたいなり寿司製造装置であって、前記寿司飯導入案内機構を構成するガイドピースに、前記掴持機構によって開口された油揚内部へエアーを吹き付けるための送風機構を付設したことを特徴とするいなり寿司製造装置。
前記送風機構は、前記寿司飯導入案内機構を構成する上側のガイドピースの上壁面あるいは下側のガイドピースの下壁面にノズル内蔵の送風口を備え、前記ノズルはエアー供給源に接続していることを特徴とする請求項3記載のいなり寿司製造装置。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のいなり寿司製造方法と製造装置としては、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載されている技術が公知である。
【0003】
このうち、特許文献1に記載されているいなり寿司製造装置は、油揚を一定間隔をおいて一定方向へ間欠搬送する油揚間欠搬送機構の下流一側に配置した上下一対の掴持用爪を有する油揚開口機構により油揚の切口部を開口し、寿司飯押出機構によって所定形状に成形した寿司飯を当該開口部から油揚内部へ押込むように構成されている。
【0004】
因みに、本装置には、前記油揚間欠搬送機構の上流一側に上下動自在なるよう配置された油揚押え機構によって前記油揚の切口部を前記油揚間欠搬送機構上面へ押圧し閉鎖すると共に、注射針状のエアーノズルを前記油揚内部へ抜き刺すエアー注入機構が具備されている。
【0005】
こうして、前記エアーノズルが油揚に突き刺さると同時に、エアーコンプレッサーの始動によってエアーがエアーノズルを通して油揚内部に注入され、これによって、油揚の上下両表皮は剥離され膨張し、前記切口部を除いた油揚内部が袋状に予備開口される。
【0006】
また、特許文献2及び特許文献3に示すいなり寿司製造装置は、当該明細書に記載されている如く、寿司飯を寿司飯受台上に供給する寿司飯供給手段と、前記寿司飯受台の前の寿司飯挿入位置に油揚を搬送する搬送手段と、前記寿司飯挿入位置に搬送された油揚を開口状態で保持する上下一対のクリップによる保持手段と、前記寿司飯挿入位置において前記油揚の内部に開口を通じて空気を送る送風手段と、前記寿司飯受台上の寿司飯を前記油揚の内部に挿入するために前記油揚の開口の方向に押し出す押出手段(押出棒)とを備えている。
【0007】
而して、前記送風手段は、油揚の内部に寿司飯を挿入する前に油揚の内部に空気を吹き込んで油揚の内部奥を広げる機構部であり、風を送り出す駆動体と、送り出された風を寿司飯挿入位置に導く送風管と、該送風管において寿司飯挿入位置側の先端に設けられた送風口とを備えている。このとき、前記送風口は、油揚の載置面に対して斜め上方に配置され、上下一対のクリップによる保持手段で油揚を上下に開く段階において、送風口から放出された風が油揚の開口部から内部に斜め上方から吹き込まれるものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記した特許文献1の場合、油揚の上下皮内側が繊維質で結着しているため、エアーノズルで空気を注入しただけでは上下皮部分の結着が充分に断ち切れないことがあった。特に四角形状の油揚の上下皮部分の内奥部(特に両隅部)は当該繊維質が結着したままであることが多く、このため内奥部まで寿司飯を詰めようとしてもこの繊維質部分が抵抗し、寿司飯が充分に詰まりきれないものであった。しかも寿司飯を油揚の内奥部まで無理に押し広げようとすると、油揚皮が簡単に破れてしまう虞があった。
【0010】
また、近年の油揚はその上下皮とも柔軟性のある肉薄で且つ油揚上下皮が合わさった総厚みも薄いため、予備工程でエアーノズルを挿し込むと油揚上下皮の中間にエアーノズル先端を挿し込み位置付けさせることは技術的に困難性を伴い、往々にして反対側まで、すなわち下皮側の油揚までエアーノズル先端が貫挿されてしまう虞もあった。
【0011】
一方、前記した特許文献2及び特許文献3の場合、前記送風手段の送風口は、油揚の載置面に対して斜め上方の離間位置に配置されていることから、当該送風手段の前記駆動体の動作(ターボファンモータの回転数)を制御することで送風タイミング、送風時間および送風量を任意に変更することが可能になっているとしても、油揚の開口部位置でのエアーの風量、吹き付け時間の調整が困難であった。
【0012】
特に、上下一対のクリップで油揚の上下皮を上下に開く段階において、エアーの風力が油揚の開口部全体に対し斜め角度で作用し、しかも送風手段の送風口が大きいことから、風力の過度な上昇によっては油揚の内奥部が膨らみ過ぎて破損してしまうことがあった。
【0013】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、エアーの風量、吹き付け時間の調整が容易で、油揚の内壁に効率的にエアーを流して当該油揚を確実に且つ安定した状態に膨らますことができ、これによって油揚を破損することなく内奥部まで容易に寿司飯を入れることができ、しかも油揚内部への寿司飯挿入後に、作業者によって寿司飯の油揚内奥部まで入れる手直作業の必要性も皆無としたいなり寿司製造方法と製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明に係るいなり寿司製造方法にあっては、油揚を一定間隔をおいて一定方向へ間欠搬送する油揚間欠搬送機構の下流一側に配置した掴持機構により油揚の切口部を開口する工程と、油揚間欠搬送機構側への進出移動に伴って後方からの押圧力によって先端が開放される上下一対のガイドピースからなる寿司飯導入案内機構を通して、予め所定形状に成形してある寿司飯を前記開口側から油揚内部へ押込む工程とを有するいなり寿司製造方法であって、前記寿司飯導入案内機構を構成するガイドピースに付設された送風機構から前記掴持機構によって開口された油揚の内部にエアーを吹き付ける工程を有することを特徴とする。
【0015】
前記寿司飯導入案内機構を構成するガイドピースが油揚の前記開口位置まで前進してくる時点を前記送風機構からの油揚内部へのエアーの吹き付け開始点とし、当該開始点から前記掴持機構が油揚を離す直前まで油揚内部へのエアーの吹き付けを継続する工程を含むことを特徴とする。
【0016】
一方、本発明に係るいなり寿司製造装置にあっては、油揚を一定間隔をおいて一定方向へ間欠搬送する油揚間欠搬送機構と、油揚の切口部を開口するよう前記油揚間欠搬送機構の下流一側に配置された掴持機構と、予め所定形状に成形してある寿司飯を前記開口側から油揚内部へ押込む寿司飯押出機構および前記寿司飯押出機構の押圧力によって先端が開放される上下一対のガイドピースからなる寿司飯導入案内機構とを備えたいなり寿司製造装置であって、前記寿司飯導入案内機構を構成するガイドピースに、前記掴持機構によって開口された油揚内部へエアーを吹き付けるための送風機構を付設したことを特徴とする。
【0017】
前記送風機構は、前記寿司飯導入案内機構を構成する上側のガイドピースの上壁面あるいは下側のガイドピースの下壁面にノズル内蔵の送風口を備え、前記ノズルはエアー供給源に接続していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エアーの風量、吹き付け時間の調整が容易で、油揚の内壁に効率的にエアーを流して当該油揚を確実に且つ安定した状態に膨らますことができ、これによって油揚を破損することなく内奥部まで容易に寿司飯を入れることができ、しかも油揚内部への寿司飯挿入後に、作業者によって寿司飯の油揚内奥部まで入れる手直作業の必要性も皆無とすることができる。
【0019】
本発明に係るいなり寿司製造方法にあっては、油揚を一定間隔をおいて一定方向へ間欠搬送する油揚間欠搬送機構の下流一側に配置した掴持機構により油揚の切口部を開口する工程と、油揚間欠搬送機構側への進出移動に伴って後方からの押圧力によって先端が開放される上下一対のガイドピースからなる寿司飯導入案内機構を通して、予め所定形状に成形してある寿司飯を前記開口側から油揚内部へ押込む工程とを有するいなり寿司製造方法であって、前記寿司飯導入案内機構を構成するガイドピースに付設された送風機構から前記掴持機構によって開口された油揚の内部にエアーを吹き付ける工程を有するので、油揚の内壁に効率的にエアーを流して当該油揚部を確実に且つ安定した状態に膨らますことができ、油揚の内奥部への寿司飯の挿入が容易となる。
【0020】
前記寿司飯導入案内機構を構成するガイドピースが油揚の前記開口位置まで前進してくる時点を前記送風機構からの油揚内部へのエアーの吹き付け開始点とし、当該開始点から前記掴持機構が油揚を離す直前まで油揚内部へのエアーの吹き付けを継続する工程を含むので、油揚を風圧によって破損することなく内奥部まで容易に寿司飯を入れることができる。
【0021】
一方、本発明に係るいなり寿司製造装置にあっては、油揚を一定間隔をおいて一定方向へ間欠搬送する油揚間欠搬送機構と、油揚の切口部を開口するよう前記油揚間欠搬送機構の下流一側に配置された掴持機構と、予め所定形状に成形してある寿司飯を前記開口側から油揚内部へ押込む寿司飯押出機構および前記寿司飯押出機構の押圧力によって先端が開放される上下一対のガイドピースからなる寿司飯導入案内機構とを備えたいなり寿司製造装置であって、前記寿司飯導入案内機構を構成するガイドピースに、前記掴持機構によって開口された油揚内部へエアーを吹き付けるための送風機構を付設したので、ガイドピースの外側に沿ってエアーを油揚の内部に効率的に流すことができるとともに、油揚の上下皮を内突部まで確実に且つ安定した状態に膨らますことができる。また、送風機構が、寿司飯を前記開口側に挿入される寿司飯導入案内機構を構成するガイドピースに設けられていることから、当該開口に対するエアーの風量、吹き付け時間の調整が容易となる。
【0022】
前記送風機構は、前記寿司飯導入案内機構を構成する上側のガイドピースの上壁面あるいは下側のガイドピースの下壁面にノズル内蔵の送風口を備え、前記ノズルはエアー供給源に接続されてなるので、ノズルから吐出するエアーを前記送風口先端から上側のガイドピースの上壁面あるいは下側のガイドピースの下壁面に沿いつつ油揚の開口部内に向けて幅広均一で効率的に流すことができる。したがって、エアーを油揚の開口部から内壁に沿って上から下にあるいは下から上に層流状に旋回するように略均一に流すことができることから、油揚を破損することなく内奥部まで容易に開放させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明を実施するための一形態に係るいなり2個入生産用のいなり寿司製造装置の全体構成を示す概略平面図である。
【
図2】同じくいなり寿司製造装置の寿司飯導入案内機構周辺の構成を示す斜視図である。
【
図3】同じくいなり寿司製造装置の油揚上部押え機構を取外した状態の寿司飯導入案内機構周辺の構成を示す斜視図である。
【
図4】寿司飯導入案内機構の構成の一例を示し、(a)はガイドピースの斜視図、(b)はガイドピースの平面図、(c)はガイドピースが閉じている状態の右側面図、(d)はガイドピースが開いた状態の右側面図である。
【
図6】いなり寿司製造工程の動作フローを示す説明図である。
【
図7】いなり寿司製造工程における各構成部の動作を例示するタイミングチャートの図である。
【
図8】掴持機構、寿司飯導入案内機構、送風機構の動作工程の一部を示すもので、(a)はターンテーブルの回転始点から回転停止するまでの期間における一部切欠平面図、(b)は一部切欠側面図である。
【
図9】同じく掴持機構、寿司飯導入案内機構、送風機構の動作工程の一部を示すもので、(a)はターンテーブルの回転停止後に寿司飯を寿司飯導入案内機構に投入する状態の一部切欠平面図、(b)は一部切欠側面図である。
【
図10】同じく掴持機構、寿司飯導入案内機構、送風機構の動作工程の一部を示すもので、(a)は掴持用爪が作動する状態の一部切欠平面図、(b)は一部切欠側面図である。
【
図11】同じく掴持機構、寿司飯導入案内機構、送風機構の動作工程の一部を示すもので、(a)は掴持機構により油揚の切口部を開放すると同時に送風機構を作動させた状態の一部切欠平面図、(b)は一部切欠側面図である。
【
図12】同じく掴持機構、寿司飯導入案内機構、送風機構の動作工程の一部を示すもので、(a)は切口部を開口した油揚内にガイドピース先端から寿司飯押出機構で寿司飯を導入する直前の状態の一部切欠平面図、(b)は一部切欠側面図である。
【
図13】同じく掴持機構、寿司飯導入案内機構、送風機構の動作工程の一部を示すもので、(a)は切口部を開口した油揚内にガイドピース先端から寿司飯押出機構で寿司飯を導入した直後の状態の一部切欠平面図、(b)は一部切欠側面図である。
【
図14】同じく掴持機構、寿司飯導入案内機構、送風機構の動作工程の一部を示すもので、(a)は油揚から掴持用爪を離すと同時に送風機構の作動を停止した状態の一部切欠平面図、(b)は一部切欠側面図である。
【
図15】同じく掴持機構、寿司飯導入案内機構、送風機構の動作工程の一部を示すもので、(a)は寿司飯押出機構を最前進させ、ガイドピースを後退させた状態の一部切欠平面図、(b)は一部切欠側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明に係るいなり寿司製造装置の実施の一形態を詳細に説明する。尚、以下の実施形態においては、いなり2個入生産用として各部分(後述する掴持機構としての上下一対の掴持用爪17a及び17b、寿司飯押出機構としての寿司飯押出ロッド9およびガイドピース10a、10bを備えた寿司飯導入案内機構10、送風機構21等)が各二連に構成されたいなり寿司製造装置について説明するが、本発明はこれに限定されないことは勿論である。
【0025】
本実施形態におけるいなり寿司製造装置全体は、
図1に示すように、油揚間欠搬送コンベアV1(油揚間欠搬送機構)の上流側から下流側に沿って順次配置された油揚置き作業部A、側部にリフタLを備えたいなり寿司製造機構部B、90°旋回移載装置Cと、整列コンベアV2および該整列コンベアV2の下流前方に配置した完成後のいなり寿司Sを2個ずつパックKに詰めるパック詰め作業部Eとから概ね構成されている。
【0026】
前記いなり寿司成形機構部Bは、
図2、
図3に示すように、寿司飯Pを成形するための間欠的に1ピッチ回転可能としたターンテーブル1を備え、該ターンテーブル1には、その円周方向に沿って寿司飯Pを1個ずつ供給されるよう複数の成形孔2が形成されている。この成形孔2は、全体的には略矩形状の孔に形成されている。
【0027】
また、前記ターンテーブル1の周回域の一側上方には、1つの成形孔2内に寿司飯Pを充填するための寿司飯供給部3が配置され、さらに、ターンテーブル1の周回域において、寿司飯供給部3の下流側位置には、前記成形孔2内にある寿司飯Pを型押しするための型押し部(図示省略)が配置されている。
【0028】
加えて、この型押し部(図示省略)の下流側位置には、成形された寿司飯Pを2つ同時にターンテーブル1下方にある2つの寿司飯移送台6(
図4、
図5及び
図8(b)参照)それぞれ内部に落とし込むよう、昇降機構5に連動して昇降可能とした下方押出機構8が配置されている。尚、前記寿司飯移送台6には、成形された寿司飯Pを2つ同時に、当該寿司飯移送台6の側方にある油揚間欠搬送コンベアV1に供給するためのピストンロッド機構により進退自在とした寿司飯押出機構が配置されている。
【0029】
前記寿司飯移送台6の前端には、
図3、
図4、
図5、及び
図8乃至
図15に示すように、導入案内室15内において切口部を開口した油揚Q内に寿司飯Pを導入するために、略アヒルの嘴状のガイドピース10a、10bが引っ張りバネ10cでもって常時閉塞された状態に保持されるとともに、前記寿司飯押出機構としての寿司飯押出ロッド9とからなる寿司飯導入案内機構10が設けられている。すなわち、ガイドピース10a、10bそれぞれの末端の回動支持部C1、C2(
図4、
図5参照)の両端部から突設された突出部10d、10eにコイル状の引っ張りバネ10cが掛け渡されており、この引っ張りバネ10cの張力によりガイドピース10a、10bが常時閉塞された状態に保持されている。そして、前記油揚間欠搬送コンベアV1側に向けての寿司飯導入案内機構10の進出移動に伴い、ガイドピース10a、10bそれぞれに形成されている突当部(図示せず)に、前記寿司飯押出ロッド9の先端が突き当たることで、前記ガイドピース10a、10bそれぞれに引っ張りバネ10cの張力に抗した押圧力が作用し、これによって当該ガイドピース10a、10b先端が互いに上下方向へ開放されるようになっている。
【0030】
また、前記寿司飯導入案内機構10を構成する上下一対のガイドピース10a、10bには、後述する掴持機構を構成する上下一対の掴持用爪17a、17bによって開口された油揚Q内部へエアーを吹き付けて当該油揚Qの上下皮内部を広げるための送風機構21が付設されている。
【0031】
具体的には、前記送風機構21は、
図4(a)乃至
図4(d)及び
図5に示すように、前記上側のガイドピース10aの上壁面に送風口24が一体形成され、該送風口24の背面側には、内部にノズル23aを備えたジョイント部23が設けられ、該ノズル23aはフレキシブルな送風パイプ22を介して、エアー供給源(図示せず)に接続されている。このようにしてターンテーブル1、寿司飯押出ロッド9およびガイドピース10a、10bを含む寿司飯導入案内機構部10等によって二連式の寿司飯供給機構11が形成される。
【0032】
尚、前記送風機構21の送風口24は、図示例では横長扁平筐体状に形成されているがこれ以外の形態に形成されていても良いことは勿論である。また、この送風口24は前記下側のガイドピース10bの下壁面に一体形成されていても良い。更に、前記送風機構21の送風口24は、ガイドピース10a、10bと一体構造ではなく、例えば上下一対のガイドピース10a、10bの左右片側もしくは左右両側等の別箇所に設けても良い。
【0033】
前記油揚間欠搬送コンベアV1は、
図2及び
図3に示すように、半截された油揚Qを一定間隔をおいて、且つターンテーブル1の回転方向と同じ方向へ間欠的に2ピッチ移動可能として水平に配置して構成されている。この油揚間欠搬送コンベアV1は、その一側端近くにあって、所用複数個の長孔13が当該油揚間欠搬送コンベアV1の長手方向に沿って所定ピッチ間隔で貫通してあると共に、各長孔13相互間にあって、当該油揚間欠搬送コンベアV1の長手方向と直角に油揚Qの位置決め用突条14を突設させてある。
【0034】
また、前記寿司飯押出装置としての寿司飯押出ロッド9の進行方向に対向する油揚間欠搬送コンベアV1の反対側の側部には、二連の寿司飯押出ロッド9によって2つの寿司飯Pを同時に2つの油揚Qの各内部に挿入する際の受となる押え部材16が配設されている。
【0035】
さらに、
図3、
図8(b)乃至
図15(b)に示すように、油揚間欠搬送コンベアV1の長孔13と一致させた状態で、該油揚間欠搬送コンベアV1の上部と下部に対向し、且つ成形された寿司飯Pを2つ同時に供給可能とした寿司飯移送台6に対応して二連式に配置され、油圧シリンダー等の駆動源(不図示)によって上下方向へ対称に移動可能とした掴持機構を構成する上下一対の掴持用爪17a、17bを備えている。
【0036】
これら掴持用爪17a、17bは、
図10(b)に示すように、油揚間欠搬送コンベアV1の間欠停止時に駆動源が作動して上部の掴持用爪17aが下降すると同時に下部の掴持用爪17bを上昇させ、油揚間欠搬送コンベアV1の長孔13から上方へ突出した際、両爪17a、17bを閉じ動作させ、油揚Qの切口部を掴持し、次いで、
図11(b)に示すように、駆動源の逆動作によって上部の掴持用爪17bだけを上昇して油揚Qの切口部を開放させる。
【0037】
また、前記油揚間欠搬送コンベアV1の上流一側には、
図2に示すように、左右一対の昇降機構32に連動して昇降可能とした略矩形状の保持枠体33の前縁下面に左右一対のポール状のバネ34を介して油揚上部押え機構35が上下動自在なるよう配置されている。この油揚上部押え機構35は、油揚Q開口部の奥部に寿司飯Pを寿司飯押出ロッド9によって押込み充填後、当該寿司飯押出ロッド9を油揚Q開口後から後退させ抜く際、寿司飯Pが寿司飯押出ロッド9とともに油揚Q内部から出てこないように油揚Qを上方から押える油揚上部押え板35aにて形成されている。
【0038】
次に、本実施の形態のいなり寿司製造方法の一例を
図6の動作フロー及び
図7の動作タイミングチャートに沿って
図8乃至
図15を参照しながら説明する。
【0039】
図6の動作フローにおいて、先ず、ステップS1で予備開口が実施される。この予備開口は、油揚Qの切口部を閉じたままエアーノズル(不図示)を油揚Qに突き刺して内部を膨らます。
【0040】
ステップS2では、間欠的に2ピッチ移動可能とした油揚間欠搬送コンベアV1により油揚Qを前記導入案内室15位置まで搬送する。
【0041】
ステップS3では、油揚間欠搬送コンベアV1の間欠停止時に駆動源が作動し、下降する上部の掴持用爪17aと、長孔13から上方へ突出上昇する下部の掴持用爪17bとで油揚Qの切口部上下の外面を各掴持し、次いで、駆動源の逆動作によって上部の掴持用爪17aだけを上昇させ、これにより油揚Qの切口部を開放させる。これと同時に前記寿司飯導入案内機構10のガイドピース10a、10bそれぞれの先端が、前記導入案内室15内で開放されている油揚Qの切口部に挿入され、前記送風機構21の送風口24から、前記開口された油揚Qの上下皮内部へエアーを吹き付けて当該油揚Qの上下皮を内奥部(両隅部)まで広げる。
【0042】
ステップS4では、前記押え部材16で油揚Qの後側を押えつつ、互いに開いたガイドピース10a、10bを通して、前記導入案内室15内の開放されている油揚Qの切口部から寿司飯押出機構としての寿司飯押出ロッド9によって寿司飯Pを押込み挿入する。
【0043】
ステップS5では、間欠的に2ピッチ移動可能とした油揚間欠搬送コンベアV1により油揚Qを後工程の油揚余端折込位置(不図示)まで搬送する。
【0044】
先ず、時刻t0〜t1は、ターンテーブル1の回転始点から回転停止するまでの時間を示している。この時刻においては、
図8に示すように、油揚間欠搬送コンベアV1にて油揚Qが寿司飯導入案内機構10の前方に位置している。
【0045】
時刻t2は、ターンテーブル1で成形された寿司飯Pを、下方押出機構8によって寿司飯導入案内機構10の後部の寿司飯移送台6に投入する時間を示している。この時刻においては、
図9に示すように、下方押出機構8の下降により寿司飯移送台6に寿司飯Pが投入されている。
【0046】
時刻t3は、上下の掴持用爪17a、17b(掴持機構)で油揚Qを掴み、寿司飯押出ロッド9が前進してくる時間を示している。この時刻においては、
図10に示すように、油揚間欠搬送コンベアV1の間欠停止時に駆動源が作動して上部の掴持用爪17aが下降すると同時に、下部の掴持用爪17bが上昇して油揚間欠搬送コンベアV1の長孔13から上方へ突出した際に、両爪17a、17bを閉じ動作し、油揚Qの切口部を掴持する。
【0047】
時刻t4は、上側の掴持用爪17aが上昇し、寿司飯導入案内機構10のガイドピース10a、10bが前進してくる時間を示している。この時刻が送風機構21の作動開始点(送風口24からの吹出開始点)となる。この時刻においては、
図11に示すように、駆動源の逆動作によって上方の掴持用爪17aが上昇し、これにより油揚Qの切口部を開放する。
【0048】
その後、前記寿司飯導入案内機構10のガイドピース10a、10bそれぞれの先端が前記導入案内室15内で油揚Qの開口部に挿入され、送風口24から上側のガイドピース10a上壁面に沿って油揚Qの内部にエアーが吹き込まれる(
図11(b)の矢印方向)。このとき、エアーの風圧によって油揚Qの開口部は縦向きに広がり、油揚Qの上下皮の間の最奥部(両隅部を含めて)全体にエアーが吹き込まれる。
【0049】
この場合、タイミング的にガイドピース10a上側よりエアーを吹き付けた方が油揚Qは開き易い。しかも最大約0.44秒まで吹き付け時間を延長可能であり、油揚Qの隅々まで空気が回り込める。好ましくは、ガイドピース10a、10bが前進してくる時点をエアーの吹き付け開始点として、上側の掴持用爪17aが油揚Qを離す直前までエアーを吹き付けることが望ましい。
【0050】
時刻t5は、ガイドピース10a、10bそれぞれの先端が開放されて最前進した時間を示している。この時刻においては、
図12に示すように、寿司飯移送台6の前端のガイドピース10a、10bが寿司飯Pの進出に伴う寿司飯押出ロッド9先端の押圧力によって開放される。
【0051】
時刻t6は、押え部材16で油揚Qの後側を押えつつ、寿司飯押出ロッド9が前進して油揚Q内部に寿司飯Pを挿入する時間を示している。この時刻が、上側の掴持用爪17aによる油揚Qの掴みを解放する開始点となる。この時刻においては、
図13に示すように、押え部材16がストッパとして機能し、切口部を開口した油揚Q内に寿司飯Pを導入する。
【0052】
時刻t7〜t8は、送風口24からのエアーの吹き出しが終了し、寿司飯押出ロッド9が最前進する時間を示している。この時刻において、寿司飯Pは、
図14に示すように、前記エアーの吹き出しによって内奥部まで広げられているため、寿司飯Pは油揚Q内部において、特にその最奥部にまで余すことなく充填することが可能となる。
【0053】
そして、
図15に示すように、寿司飯押出ロッド9が最前進し、ガイドピース10a、10bが後退しつつある状態となる。寿司飯Pの導入後には、前記上下両爪17a、17bの開放(
図15も参照)と同時に寿司飯押出ロッド9とが反対方向(後方)に退避する。このとき、寿司飯移送台6の前端のガイドピース10a、10bは引っ張りバネ10cの付勢力によって閉塞される。以下、同様の動作が繰り返される。