特許第6401039号(P6401039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6401039モータベース及びこれを用いた冷凍サイクル装置の室外ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6401039
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】モータベース及びこれを用いた冷凍サイクル装置の室外ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/38 20110101AFI20180920BHJP
【FI】
   F24F1/38
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-254627(P2014-254627)
(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-114322(P2016-114322A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小谷 浩一
(72)【発明者】
【氏名】田島 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓浩
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−020740(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02180266(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/06−1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンを駆動するモータを保持するモータベースであって、
前記モータベースは、前記モータを保持するモータ保持部と、
前記モータ保持部をはさんで設けられるモータベース上面およびモータベース下面とを有し、
前記モータベース上面は、モータベース脚部側に位置する第1上面部と、第1上面部から前面側に連続して設けられる第2上面部と、前記第2上面部の前側端部から上方に形成される前面固定部と、前記第2上面部の左右側端部に下方に形成される折曲げ片と、を有し、
前記第1上面部の幅をWa、前記第2上面部の幅をWb、前記折曲げ片の板厚をtとしたときに、Wb>Wa+2tの関係を満たすように前記第2上面部が前記第1上面部よりも幅広に構成されるモータベース。
【請求項2】
前記第1上面部の前後方向の長さに対して、前記第2上面部の前後方向の長さが2倍に構成される請求項に記載のモータベース。
【請求項3】
前記モータベース下面の前後方向の長さは、前記第1上面部の長さと等しく、前記モータベース下面の幅は、前記第1上面部の幅と等しく構成される請求項に記載のモータベース。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載のモータベースを備えた冷凍サイクル装置の室外ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、モータベースの構造、及びこのモータベースを備えて構成される冷凍サイクル装置の室外ユニットの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機の室外機は、圧縮機やアキュムレータ等が備えられた機械室と、熱交換器や送風ファン等が備えられた送風機室とを有している。送風機室内では、モータベースにモータが取付けられ、モータにファンが取付けられ、モータによりファンを駆動し、送風を行っている。
また一般的に、ものを製造する際には、部品等の輸送にも注意を払う必要がある。運搬状態をより良くし、輸送費等の費用はできるだけ削減したい、というニーズは常にある。空気調和機の製造に関しても例外ではなく、輸送を効率的に行うために様々な工夫が行われている。
しかしながら、従来のモータベース構造では、輸送に際し、部品を重ねても無駄な空間が生じていた。このため、数多くの部品を重ねて輸送する場合、かさばってしまい、安定性にも欠けるので、輸送効率が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−20740号公報
【特許文献2】特開2013−36703号公報
【特許文献3】特開2014−35134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、定型的に部品を重ねることができ、部品輸送時に安定して積み重ねられ、無駄を省いた輸送効率の良いモータベース及びこれを用いた冷凍サイクル装置の室外ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、実施形態のモータベースは、モータを保持するモータ保持部と、このモータ保持部をはさんで設けられるモータベース上面は、モータベース脚部側に位置する第1上面部と、第1上面部から前面側に連続して設けられる第2上面部と、第2上面部の前側端部から上方に形成される前面固定部と、第2上面部の左右側端部に下方に形成される折曲げ片とを有する。そして、第1上面部の幅をWa、第2上面部の幅をWb、折曲げ片の板厚をtとしたときに、Wb>Wa+2tの関係を満たすように第2上面部が前記第1上面部よりも幅広に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態による冷凍サイクル装置の室外ユニットを示す斜視図である。
図2】同実施形態にかかる冷凍サイクル装置の室外ユニットの分解斜視図である。
図3】同実施形態にかかるモータベースの斜視図である。
図4】同実施形態にかかるモータベース上面の斜視図である。
図5】同実施形態にかかるモータベース上面の上面図である。
図6】同実施形態にかかるモータベースを積み重ねた側面図である。
図7】第2の実施形態にかかるモータベースの側面図である。
図8】同実施形態にかかるモータベースを互い違いに複数積み重ねた斜視図である。
図9】同実施形態にかかるモータベースを互い違いに複数積み重ねた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態のモータベース及びこれを用いた冷凍サイクル装置の室外ユニットについて、図1乃至図6を参照して説明する。図1は、第1の実施形態の冷凍サイクル装置の室外ユニットを示す斜視図である。
【0008】
実施形態の冷凍サイクル装置の室外ユニット1は屋外に設置され、空調室内に設置される少なくとも1台以上の室内機(図示せず)と冷媒配管を介して接続されて、冷凍サイクルを構成する。
室外ユニット1の筐体は、底面を形成する底板11、正面および側面を構成する前面カバー12、天井面を構成する天板13により形成される。前面カバー12の正面部には、吹出し口14が設けられると共に、この吹出し口14を覆うファンガード15が取付けられる。
室外ユニット1の筐体内部は、仕切板(図示せず)によって、機械室(図示せず)と送風機室2とに区画されている。
【0009】
図2に示すように、送風機室2には、ファン3が、動力源となるモータ4のシャフト部に取り付けられる。モータ4は、そのシャフト部が室外ユニット1の前面側を向くようにモータベース5に取り付けられる。このモータベース5を構成する各部材は、ファン3やモータ4を安定して支えるために、十分な厚みを有する。また、モータベース5を構成する各部材が、絞り加工やプレス加工等により一体的に形成されており、十分な剛性を有する。
【0010】
モータベース5は、図3に示すように、モータベース下面51と、モータベース脚部52と、モータベース上面53と、モータ取付面54と、で構成される。
【0011】
図4及び図5に示すように、モータベース上面53は、例えば、モータベース脚部52の上端を折曲加工により一体に形成される。モータベース上面53は、モータベース脚部52側の第1上面部53aと、第1上面部53aから前面側に連続して設けられる第2上面部53bと、を有している。
さらにモータベース上面53は、第2上面部53bの前側端部から上方に折曲げて形成される前面固定部53cと、左右側端部に下方に折曲げて形成される折曲げ片53eと、を有している。
【0012】
第2上面部53bは、第1上面部53aよりも幅広に構成される。ここで、第1上面部53aの幅をWa、第2上面部53bの幅をWb、折曲げ片53eの板厚をtとすると、Wb>Wa+2tの関係を満たすとことが望ましい。
【0013】
以上のように構成されたモータベース5は、モータベース下面51は底板11にネジによって固定される。モータベース上面53は、前面固定部53cが室外ユニット1の前面カバー12にネジによって固定される。こうして、モータベース5は室外ユニット1に装着される。そしてモータ4は、モータベース5のモータ取付面54に取付られる。
【0014】
また、送風機室2の背面側には熱交換器6が搭載される。モータ4の駆動によりファン3が回転し、室外空気が熱交換器6を介して送風機室2に流れ込む。送風機室2に流れ込んだ空気は、吹出し口14及びファンガード15を介して、送風機室2外へ排出される。
【0015】
第1の実施形態においては、モータベース5を輸送する場合は、図6に示すように、定型的に重ねて運ばれる。
【0016】
モータベース5を複数積み重ねる際は、第1モータベース5Aにおける幅の広い第2上面部53bの内側に、第2モータベース5Bにおける幅の狭い第1上面部53aがはまるように構成される。詳述すると、第1モータベース5Aの第2上面部53bの下面及び左右両側の折曲げ53e、53eの間に第2モータベース5Bの第1上面部53aの上面部分がはまり込む。ここでモータベース上面53の前面固定部53cは、上方に折曲げられているので、第1モータベース5Aの第2上面部53bに第2モータベース5Bの第1上面部53aがはまり込んだ際に、前面固定部53cが邪魔にならない。このように構成されることで、図6に示すように、第2上面部53bの部分が重ね代となり、複数のモータベース5A〜5Eを、積み重ね方向上へ向かって直線的に綺麗に積み重ねていくことができる。
【0017】
このような重ね代を設けず、ただ単に上へと複数のモータベース5A〜5Eを積み重ねた場合、積み重ねれば積み重ねるほど、下に位置するモータベースに対して、上に位置するモータベースがモータベース上面53の厚みT分ずつ外側に突出し、側面からみると斜めに重なっていき、安定性に欠ける。また、輸送時に無駄な空きスペースが生じてしまう。しかし、重ね代として、第2上面部53bを設け、第1上面部53aよりも幅を広くすることで、無駄なく積み重ねることができる。
【0018】
よって、第1の実施形態では、定型的に重ねることができ、部品輸送時に安定して積み重ねられ、無駄を省いた輸送効率の良いモータベース及びこれを用いた冷凍サイクル装置の室外ユニットを提供することができる。
【0019】
(第2の実施形態)
図7乃至図9は、第2の実施形態に係るモータベースを表す図である。この第2の実施形態の各部について、図1乃至図6の第1の実施形態と同一部分は同一符号で示す。
【0020】
この第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、図7に示すように、モータベース上面53の前後方向の長さを、第1上面部53aの長さ(L)に対して、第2上面部53bの長さを2倍(2L)とし、さらに、第1上面部53aの長さ(L)をモータベース下面51の長さと同じ長さ(L)としたことにある。
【0021】
このように、モータベース下面51、モータベース上面53の第1上面部53a及び第2上面部53bの長さを調整すると、図8及び図9に示すように、モータベース5を、上面と下面を互い違いに積み重ねることができる。
【0022】
第1モータベース5Aを、この背面側が地面側を向くように、モータベース取付面52の背面側を下側として、モータベース下面51及びモータベース上面53の前端部が上側を向くように置いた場合、第2モータベース5Bを、第1モータベース5Aとは天地反転させたうえで、第2モータベース5Bの背面側を上側として、モータベース下面51及びモータベース上面53が下側を向くように第1モータベース5Aの上に重ねる。さらに第3モータベース5Cを、第1モータベース5Aと同じ方向にして第2モータベース5Bの上に重ねる。
【0023】
このように積み重ねると、第1モータベース5Aの第2上面部53bに、第2モータベース5Bのモータベース下面51がはまり、第2モータベース5Bの第2上面部53bに、第1モータベース5Aのモータベース下面51がはまる。
【0024】
さらに、この二つのモータベース5が重なっている上へ、第3モータベース5Cを重ねると、第1モータベース5Aの第2上面部53b部分に、第3モータベース5Cの第1上面部53aがはまるように積み重なる。これに続けて、第4モータベース5Dを第2モータベース5Bと同じ向きに上へ重ね、第5モータベース5Eを第1・第3モータベースと同じ向きに重ねていくことができる。
【0025】
このように、モータベース5を複数個互い違いに積み重ねていく場合、第1モータベース5Aが、二つ上の第3モータベース5Cまで支えるように構成されるため、安定して積み重ねていくことができる。
【0026】
上述のように第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、定型的に重ねることができ、部品輸送時に安定して積み重ねられ、無駄を省いた輸送効率の良いモータベース及びこれを用いた冷凍サイクル装置の室外ユニットを提供することができる。
【0027】
また、本実施形態では、モータベース5を複数個互い違いに積み重ねていく場合、隙間へのスペーサー等を要さずに、安定して積み重ねていくことができる。このため、輸送時の包装を簡易にすることができる。また、荷崩れしにくい。
【0028】
なお、本実施形態では、モータベース5は、一体成型されているが、各部品をそれぞれに製造し、組み立てて使用しても良い。
【0029】
また、本実施形態では、モータベース5の上部は、モータベース上面53の前面固定部53cが室外ユニット1のカバーに螺着されることで、室外ユニット1に装着されるが、これに限らず、熱交換器6に固定する方法で装着されても良い。
【0030】
また、本実施形態では、モータベース上面53を長くし、モータベース下面51を短くした構成が説明されているが、モータベース上面53と、モータベース下面51の長さを同じにしても良い。
【0031】
また、本実施形態では、第1上面部53a、第2上面部53bを段形状としたが、第2上面部53bが広いテーパ形状としても良い。
【0032】
以上説明した少なくとも一つの実施形態のモータベース及びこれを用いた冷凍サイクル装置の室外ユニットによれば、定型的に部品を重ねることができ、部品輸送時に安定して積み重ねられ、無駄を省くことができるので、輸送効率の良いモータベース及びこれを用いた冷凍サイクル装置の室外ユニットを提供することが可能となる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1…室外ユニット、11…底板、12…前面カバー、13…天板、14…吹出し口、15…ファンガード、2…送風機室、3…ファン、4…モータ、5…モータベース、51…モータベース下面、52…モータベース脚部、53…モータベース上面、53a…第1上面部、53b…第2上面部、53c…前面固定部、53d…リブ、53e…折曲げ片、54…モータベース脚部、5A…第1モータベース、5B…第2モータベース、5C…第3モータベース、6…熱交換器、L…第1上面部53aの長さ及びモータベース下面の長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9