特許第6401099号(P6401099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6401099
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】容器取出し装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20180920BHJP
   B65G 65/23 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   B65B69/00 103
   B65G65/23
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-80254(P2015-80254)
(22)【出願日】2015年4月9日
(65)【公開番号】特開2016-199289(P2016-199289A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2017年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】村浜 政貴
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−095534(JP,A)
【文献】 特開2006−187861(JP,A)
【文献】 特開昭54−152595(JP,A)
【文献】 特開2008−200397(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0260506(US,A1)
【文献】 米国特許第7118319(US,B1)
【文献】 中国実用新案第201052933(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
B65G 65/00−65/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状の容器を積み重ねて形成され、梱包箱内に収容された容器群を前記梱包箱から取り出す容器取出し装置であって、
前記容器が鉛直方向に積み重ねられた状態で収容された前記梱包箱を、開口面を側方に向けた状態で支持する支持手段と、
前記容器群を保持する保持手段とを備え、
前記支持手段は、前記梱包箱が略水平な状態で支持される第1の姿勢と、前記保持手段側に傾斜するように支持される第2の姿勢との間において選択可能に切り換えられ、
前記支持手段が第2の姿勢に定められた状態で、前記保持手段が前記第2の姿勢に対応した容器受取り姿勢に定められ、前記容器群を保持する
ことを特徴とする容器取出し装置。
【請求項2】
前記保持手段が前記容器受取り姿勢で前記容器群を保持した後、前記支持手段は前記第1の姿勢に復帰することを特徴とする請求項1に記載の容器取出し装置。
【請求項3】
前記梱包箱の開口に隣接した部分を、前記梱包箱の内方に向けて押圧する箱押圧部材をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の容器取出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重ねた状態で梱包箱に収容されたカップ状の容器を梱包箱から取出す容器取出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器取出し装置として特許文献1に記載された構成が知られている。この容器取出し装置は、倒立状態すなわち容器の底部を上方に向けて積み重ねられた状態で梱包箱に収容された容器に対し、容器の側面を把持して上方へ引き上げ、梱包箱から取出すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−55701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、梱包箱の開口が水平方向を向くように定められ、複数の容器を積み重ねて形成される容器群が直立した状態で収容された梱包箱から容器群を取出す場合、容器群を上端と下端において挟持して取出すことが可能である。この取出し工程に先立ち、容器群の上下端が梱包箱の開口から突出するまで容器群を引出すことが必要である。このとき、容器群の上方位置と下方位置において、容器の側面に吸盤を当てて容器群を引出すことが考えられるが、梱包箱の開口には積み重ねられた容器の縁部が露出している。したがって容器群の上方位置では、吸盤が容器の縁部に干渉し、容器群を梱包箱の開口から引出すことは困難である。
【0005】
本発明は、梱包箱の開口から容器群を容易かつ確実に引出すことができ、しかも構成が単純である容器引出し装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カップ状の容器を積み重ねて形成され、梱包箱内に収容された容器群を梱包箱から取り出す容器取出し装置であって、容器が鉛直方向に積み重ねられた状態で収容された梱包箱を、開口面を側方に向けた状態で支持する支持手段と、容器群を保持する保持手段とを備え、支持手段は、梱包箱が略水平な状態で支持される第1の姿勢と、保持手段側に傾斜するように支持される第2の姿勢との間において選択可能に切り換えられ、支持手段が第2の姿勢に定められた状態で、保持手段が第2の姿勢に対応した容器受取り姿勢に定められ、容器群を保持することを特徴としている。
【0007】
支持手段は、保持手段が容器受取り姿勢で容器群を保持した後、第1の姿勢に復帰するように構成されてもよい。また本発明の容器取出し装置は、梱包箱の開口に隣接した部分を、梱包箱の内方に向けて押圧する箱押圧部材をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構成により、梱包箱の開口から容器群を容易かつ確実に引出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態を適用した容器搬送システムを示す平面図である。
図2】梱包箱に収容された容器群を示す斜視図である。
図3】支持機構と保持機構を示す側面図である。
図4】支持機構と保持機構の作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示された実施形態を参照して本発明を説明する。
図1は本発明の一実施形態を適用した容器搬送システムを示している。この図において搬送コンベヤ11は左右方向に延びており、矢印A方向(図において右方向)へ梱包箱Bを搬送する。梱包箱Bは開口Dを上方に向けた状態で搬送コンベヤ11に載置され、各梱包箱Bには多数のカップ状容器Cが収容されている。図2に示すように、容器Cは互いに積み重ねられて容器群Eを形成し、中袋Fに入れられた状態で梱包箱Bに収容されている。開口Dには4つの容器群Eが露出しているが、この実施形態では、梱包箱B内には4つの容器群Eから成る層が3段に積まれている。すなわち梱包箱Bには12個の容器群Eが収容されている。
【0011】
搬送コンベヤ11の途中には梱包箱Bが載置される載置部12が設けられる。搬送コンベヤ11は多数のローラを配置して構成されるローラコンベヤであり、載置部12には、ローラ間の隙間を通過可能な細長い形状の底支持部材21(図3参照)を有する支持機構20が設けられる。後述するように支持機構20は、搬送コンベヤ11上の梱包箱Bを、開口Dの面が載置部12の面に対して略垂直になるように梱包箱Bを90°横転させ、この横転状態で支持する。支持機構20の近傍には、容器群Eを梱包箱Bから取出して保持し、容器供給マガジン13に受け渡す保持機構30が設けられる。保持機構30は、梱包箱Bの開口Dに露出する4つの容器群Eを同時に保持し、水平面内に回動して容器供給マガジン13に受け渡す。
【0012】
図3および図4を参照して支持機構20と保持機構30の構成を説明する。支持機構20は、搬送コンベヤ11のローラに平行に延びる複数の底支持部材21と、底支持部材21に対して垂直方向に延びる横支持部材22とを有し、底支持部材21と横支持部材22は図示しない回転駆動装置により、支持軸23の回りに90°回転可能である。すなわち、容器群Eを収容した梱包箱Bが載置部12に向かって搬送されてくるとき、底支持部材21は水平状態にあってローラの上面よりも下側に位置し、横支持部材22は直立して梱包箱Bの側面に平行な状態にある(図3の破線の状態)。梱包箱Bが載置部12上まで搬送されると、底支持部材21と横支持部材22は回転駆動され、図3において反時計方向に90°回転する(図3の実線の状態)。これにより梱包箱Bは、開口Dの面が側方を向いて保持機構30に対向する状態になり、容器Cは鉛直方向に積み重ねられた状態となる。
【0013】
保持機構30は支持アーム31と、支持アーム31の先端に取付けられた補助アーム39とを有する。保持機構30は水平面内および鉛直面内において回転可能である。支持アーム31は水平方向に突出可能であり、補助アーム39は支持アーム31に対して鉛直面内において揺動自在である。補助アーム39の先端には昇降支持部材32が固定され、昇降支持部材32には昇降部材33が取付けられる。昇降部材33の上端には、第1の爪34が設けられる。昇降支持部材32の下側位置には第2の爪36と端部吸着部材37が設けられ、端部吸着部材37は図示しない負圧源に接続される。第1および第2の爪34、36は、図示しない爪駆動装置によって開閉駆動され、容器群Eの上端と下端を挟む。具体的には、第1の爪34は容器群Eの上端に位置する容器Cの開口縁部に係合し、第2の爪36は容器群Eの下端に位置する容器Cの底部に係合し、これにより容器群Eは保持機構30によって保持される。
【0014】
図4に示すように横支持部材22には箱吸着部材25が設けられる。箱吸着部材25の先端は横支持部材22よりも梱包箱B側に突出し、横転状態の梱包箱Bの側部外面に吸着可能である。すなわち箱吸着部材25は図示しない負圧源に接続されており、梱包箱Bが横転状態にあって横支持部材22の上に載置された状態において、箱吸着部材25は梱包箱Bの側面に吸着する。したがって、この状態から横支持部材22が保持機構30側に傾斜しても、梱包箱Bは箱吸着部材25に吸着されることにより横支持部材22に対して固定され、滑り落ちることはない。
【0015】
また、図4に示すように横支持部材22に対向した部分には箱押圧部材26が設けられる。箱押圧部材26は図示しない連結部材によって底支持部材21に支持され、梱包箱Bにおいて、横支持部材22に接触する側面とは反対側の側面に当接する。より詳しくは、箱支持部材22は梱包箱Bの開口Dに隣接した部分に対して接離するように構成され、この部分を梱包箱Bの内方に向けて押圧することができる。
【0016】
図1、3、4を参照して本実施形態の作用を説明する。容器群Eを収容した梱包箱Bが搬送コンベヤ11によって搬送され、載置部12まで到達すると、支持機構20が90°回転し、これにより梱包箱Bは底支持部材21に押されて横転し、その側面が横支持部材22によって略水平な状態に支持される第1の姿勢に定められる(図3の実線の状態)。このとき箱吸着部材25に負圧が発生し、梱包箱Bは横支持部材22に吸着される。
【0017】
この後、図4(A)に示すように支持機構20が、梱包箱Bの開口Dが下方になるように回転し、梱包箱Bが保持機構30側に傾斜する第2の姿勢に定められる。このとき、保持機構30の支持アーム31が突出するとともに、補助アーム39が支持アーム31に対して屈曲し、昇降支持部材32と昇降部材33が容器群Eに平行になる。すなわち保持機構30は支持機構20が第2の姿勢に定められた状態で、第2の姿勢に対応した容器受取り姿勢に定められる。この状態において梱包箱Bは箱吸着部材25によって保持されており、横支持部材22に対して滑動することはなく、容器群Eが梱包箱Bに対して滑り、開口Dの近くに位置する各容器群Eの下端に位置する容器Cの側面が端部吸着部材37に当接する。
【0018】
ここで端部吸着部材37に負圧が生じ、容器群Eは安定した状態で固定される。これと同時に第1および第2の爪34、36が回転して容器群Eの上端と下端を挟み、保持機構30は容器受取り姿勢で、梱包箱Bの開口Dに位置する4つの容器群Eを保持する。具体的には、第1の爪34は容器群Eの上端に位置する容器Cの開口縁部に係合し、第2の爪36は容器群Eの下端に位置する容器Cの底部に係合する。そして保持機構30が後退することにより、第1および第2の爪34、36によって把持された容器群Eは梱包箱Bから引出される。これと略同時に箱押圧部材26の下端部が下降することにより、図4(A)において梱包箱Bの上側に位置する側面が押圧されて変形し、このとき開口Dに近接する容器群Eの上端が押さえられ、梱包箱Bから飛び出すことが防止され、また梱包箱Bはより確実に支持機構20に固定される。
【0019】
そして図4(B)に示すように、保持機構30の昇降支持部材32と昇降部材33が鉛直になるように回転し、また支持機構20は第1の姿勢に復帰する。これにより、梱包箱Bから引出された容器群Eよりも梱包箱Bの底(図4において右側)に位置する容器群Eは、相対的に梱包箱Bの開口D側に移動した位置に保持される。一方、箱押圧部材26の下端部は梱包箱Bから離間する方向に変位し、これにより梱包箱Bの上側の側面は元の平面状に復元する。
【0020】
保持機構30に保持された容器群Eは、保持機構30が水平面内で回転することにより容器供給マガジン13側に移送され、容器供給マガジン13に受け渡される。その後、上述した動作が繰り返され、梱包箱B内の全ての容器群Eが梱包箱Bから取出された後、横支持部材22をさらに大きく傾斜されることにより、中袋Fが梱包箱Bから滑り落ち、梱包箱Bから除去される。
【0021】
なお上記実施形態では箱押圧部材26は梱包箱Bの上側に位置する側面を押圧するように配設されているが、これに替えて、梱包箱Bの側方に位置する側面(すなわち開口Dから見て左右に位置する両側面)を押圧するように構成されていてもよい。
【0022】
また容器群Eが梱包箱Bから引出された後、支持機構20は第1の姿勢に復帰するが、この第1の姿勢は、梱包箱Bが正確に水平な状態である必要はなく、容器群Eが梱包箱B内で滑動しない程度に、例えば2〜5°くらい傾斜していてもよい。
【0023】
さらに、端部吸着部材37は省略することもできる。
また、支持機構20によって梱包箱Bを横転させるとき、容器群Eにおいて、各容器Cは開口縁部が上側になるように積み重ねられていてもよく、あるいは開口縁部が下側になるように積み重ねられていてもよい。
【符号の説明】
【0024】
12 載置部
20 支持機構
30 保持機構
B 梱包箱
C 容器
D 開口
E 容器群


図1
図2
図3
図4