特許第6401300号(P6401300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6401300サンプリング及び分析用キット、サンプルホルダ並びに方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6401300
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】サンプリング及び分析用キット、サンプルホルダ並びに方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20181001BHJP
   G01N 1/12 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   G01N1/00 101H
   G01N1/12 B
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-568509(P2016-568509)
(86)(22)【出願日】2015年5月12日
(65)【公表番号】特表2017-516109(P2017-516109A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】EP2015060505
(87)【国際公開番号】WO2015177004
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2017年1月17日
(31)【優先権主張番号】14169315.0
(32)【優先日】2014年5月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506005237
【氏名又は名称】オリオン ダイアグノスティカ オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ユッカ ロッコーネン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーナ ロッシ
(72)【発明者】
【氏名】サンナ エイロラ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーッコ リッサネン
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01366715(EP,A1)
【文献】 特開2004−138502(JP,A)
【文献】 特表2010−513900(JP,A)
【文献】 実開昭58−169553(JP,U)
【文献】 特表2000−501191(JP,A)
【文献】 実開平05−025358(JP,U)
【文献】 特表2011−503608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00− 1/44
G01N 35/00−35/02
G01N 33/48−33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の液体及びサンプルホルダ(1;21)を保持するためのレセプタクル(6)と、ストッパ(7)とを備えるサンプリング及び分析用キットであって、
前記サンプルホルダ(1;21)は、
サンプラ(4)と、
前記サンプラ(4)を保持し、前記レセプタクル(6)内に挿入可能であり、突起手段(10A,10B)を含む管状の本体部(3)と、を備え、
前記レセプタクル(6)は、前記レセプタクル(6)内における前記レセプタクル(6)の端の上方の所定の位置での前記サンプラ(4)の位置決めをもたらすように、前記本体部(3)が前記レセプタクル(6)内に挿入されたときに前記本体部(3)の前記突起手段(10A,10B)がその上に着座するような内部突起(15)を有し
前記ストッパ(7)は、試薬を保持するためのチャンバ(16)と前記チャンバ(16)を開くのに効果的なプランジャデバイス(19)とを含み、
前記本体部は、前記ストッパ(7)が前記レセプタクル(6)内に挿入されたときに前記チャンバ(16)内に保持された試薬の前記レセプタクル(6)内への放出を可能にするように、当該試薬チャンバが開くことを可能にする凹部(13)を含むサンプリング及び分析用キット。
【請求項2】
前記所定の位置は、前記サンプラ(4)の一部が前記液体内にあるが、前記レセプタクル(6)の内容物の光学的分析を行うための測定ゾーン(11)の上方にあるような位置である請求項1に記載のサンプリング及び分析用キット。
【請求項3】
前記サンプラがキャピラリチューブ(4)である請求項1又は2に記載のサンプリング及び分析用キット。
【請求項4】
前記レセプタクルがキュベット(6)を備える請求項1〜のいずれかに記載のサンプリング及び分析用キット。
【請求項5】
前記液体が緩衝溶液である請求項1〜のいずれかに記載のサンプリング及び分析用キット。
【請求項6】
当該サンプルが血液サンプルである請求項1〜のいずれかに記載のサンプリング及び分析用キット。
【請求項7】
前記サンプルホルダ(21)がハンドル部(22)を更に備える請求項1〜のいずれかに記載のサンプリング及び分析用キット。
【請求項8】
前記サンプルホルダ(21)は、前記ハンドル部(22)と前記本体部(3)の分離を可能にするように前記ハンドル部(22)と前記本体部(3)を接続する脆弱部(5)を更に備える請求項に記載のサンプリング及び分析用キット。
【請求項9】
サンプリング及び分析用キットにおけるサンプルホルダの使用であって、前記サンプリング及び分析用キットは所定量の液体及び前記サンプルホルダ(1;21)を保持するためのレセプタクル(6)と、ストッパ(7)とを備え、
前記サンプルホルダ(1;21)は、
サンプラ(4)と、
前記サンプラ(4)を保持し、前記レセプタクル(6)内に挿入可能である管状の本体部(3)と、を備え、
前記本体部(3)は突起手段(10A,10B)を含み、前記突起手段(10A,10B)は、前記本体部(3)が前記レセプタクル(6)内に挿入されたときに、前記レセプタクル(6)内で前記レセプタクル(6)の端から所定の位置に前記サンプラ(4)を位置決めするように、前記レセプタクル(6)内の内部突起上に着座することに効果的であり、
前記ストッパ(7)は、試薬を保持するためのチャンバ(16)と前記チャンバ(16)を開くのに効果的なプランジャデバイス(19)とを含み、
前記本体部は、前記ストッパ(7)が前記レセプタクル(6)内に挿入されたときに前記チャンバ(16)内に保持された試薬の前記レセプタクル(6)内への放出を可能にするように、当該試薬チャンバが開くことを可能にする凹部(13)を含むサンプリング及び分析用キットにおけるサンプルホルダの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング及び分析用キット、そのようなキットにおける使用のためのサンプルホルダ並びにそのようなキットの使用の方法に関する。本発明は、排他的ではないが、特に、血液等の生体液の臨床検査における使用のためのサンプルホルダ並びにサンプリング及び分析用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
そのような検査においては、生体液が採取されると、典型的には試薬及び緩衝液と混合される。試薬は液体又は固体の形態にあることが多い。緩衝液内の生体サンプル及び試薬の定量分析では、典型的には、光学的測定技術を用いる分析機器が利用され、その分析機器においては、光ビーム又はレーザビームが上記の混合物を通過するように方向付けられ、吸光度、反射率、蛍光発光、リン光、発光等のサンプルの光学的特性を表す信号が得られる。
【0003】
そのような定量分析技術においては、通常は臨床医によって得られたばかりの生体サンプルが、試薬及び緩衝液と極めて正確な比率で混合されることが必要である。そのような正確な比率をもたらすために、予め測定された量の試薬及び緩衝液を既に含んでいるサンプリング及び分析用キットを提供することが知られている。
【0004】
そのような検査用キットの1つが欧州特許明細書EP0859664に開示されている。この文献はサンプリング及び分析用キットを開示する。そのような分析キットにおいては、生体サンプルはキャピラリによって得られ、キャピラリのプランジャによって測定用キュベット(measuring cuvette)内にある緩衝液へと放出される。測定用キュベットは、本体部を含むキュベット密閉デバイスによって密閉され、本体部は、本体部の蓋とプランジャとの間の空間内に、密封された試薬収容チャンバを有している。密閉デバイスの試薬収容チャンバ内には、予め測定された量の試薬が収容される。オペレータがデバイスのプランジャを押し下げて密閉デバイスの下蓋を強制的に開放すると、キュベット内にある緩衝液内へと試薬を放出することができる。
【0005】
代替的な配置がWO2005/071388に開示されており、この文献は、1列に並んで互いに接続された少なくとも3つのチャンバ部を備えるサンプリング及び分析用キットを開示している。一方の端のチャンバは生体サンプルを受け入れることができる。中央のチャンバは分析のための試薬を含む。デバイスの残りの部分は、緩衝液を含む反応チャンバを備える。反応チャンバが分析デバイス内へと挿入されると、収容された緩衝液、試薬及び生体サンプルの光学的分析が可能になる。
【0006】
WO2009/118444は、少なくとも一方の側に貫通可能部材により結合された密封チャンバを含む容器を備える分析用デバイスを開示している。生体サンプルを受け入れるためのキャピラリ通路を有するサンプラが設けられており、貫通可能部材を貫通させるように構成された手段をサンプラが有することで、密封チャンバ内への生体サンプルの受け渡しが可能である。
【0007】
米国特許5833630は、血液サンプルを保持するためのキャピラリホルダを備えるサンプル採取デバイスを開示しており、キャピラリホルダは、試薬液を含むキュベット内に挿入可能である。キャピラリホルダをキュベット内へと押し込むために圧力キャップが用いられることがある。
【0008】
米国特許出願2012/21451は、光度測定デバイスのための検査セットを開示しており、この検査セットにおいては、サンプル取り込みデバイスが薬注容器(dosing container)上に一体化され、薬注容器は、混合容器の充填開口内へと密封可能に挿入され得る。
【0009】
米国特許出願2013/0302219は、採取管内へと挿入される採取パッドを有するハンドルを用いることによる、口腔液サンプルの採取及び溶離のためのデバイスを開示している。採取管内には、パッドからのサンプルをしぼるための狭くなった部分を有するアダプタが設けられている。
【0010】
米国特許3475127は、液状サンプルの正確な容積を測定するためのサンプル測定デバイスを開示している。血液サンプルがキャピラリチューブ内に採取され、チューブには分割用の切り欠き又は溝が設けられている。キャピラリチューブは分割線に沿って割られ、キャピラリチューブにおける血液が充填された区間は、分析のための試薬を含む容器内に入れられる。
【0011】
米国特許出願2008/0193926は、塗抹サンプル(smear sample)を抽出するためのデバイスを開示している。塗抹サンプルは、サンプルキャリアを有するキャビティへと移される。綿スワブ(cotton swab)を用いてサンプルをキャビティへと導入することができ、綿スワブは次いで破棄されてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これら既知のサンプリング及び分析用キットは、サンプルの採取、移動、及び試薬緩衝液との混合が時間的制約のある臨床医にとって困難な場合があるという不利な点を有している。本発明の目的は、容易で迅速なサンプルの採取、移動、及び試薬緩衝液との混合に対処した、サンプリング及び分析用キット、そのようなキットの使用の方法、並びにそのようなキットにおけるサンプルホルダの使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の側面によると、
所定量の液体及びサンプルホルダを保持するためのレセプタクルを備えるサンプリング及び分析用キットであって、
サンプルホルダは、
サンプラと、
サンプラを保持し、レセプタクル内に挿入可能であり、突起手段を含む本体部と、を備え、
レセプタクルは、レセプタクル内におけるレセプタクルの端の上方の所定の位置でのサンプラの位置決めをもたらすように、本体部がレセプタクル内に挿入されたときに本体部の突起手段がその上に着座するような内部突起を有しているサンプリング及び分析用キットが提供される。
【0014】
本発明の第2の側面によると、
脆弱部を介してハンドル部に接続された本体部内に保持されるサンプラを用いて検体の量を分析するための方法であって、
サンプラによりサンプルを採取するステップと、
液体を保持しているレセプタクルであってサンプルがサンプラからレセプタクル内にある液体へと希釈されることを可能にするレセプタクル内にサンプラを挿入するステップと、
本体部からハンドル部を撤去するステップと、
レセプタクル内にストッパを挿入するステップと、
サンプル内の検体の量を測定するステップと、を含む方法が提供される。
【0015】
本発明の第3の側面によると、
サンプリング及び分析用キットにおけるサンプルホルダの使用であって、サンプリング及び分析用キットは所定量の液体及びサンプルホルダを保持するためのレセプタクルを備え、
サンプルホルダは、
サンプラと、
サンプラを保持し、レセプタクル内に挿入可能である本体部と、を備え、
本体部は突起手段を含み、突起手段は、本体部がレセプタクル内に挿入されたときに、レセプタクル内でレセプタクルの端から所定の位置にサンプラを位置決めするように、レセプタクル内の内部突起上に着座することに効果的である、サンプリング及び分析用キットにおけるサンプルホルダの使用が提供される。
【0016】
好ましくは、サンプリング及び分析用キットは、このキットのためのストッパを更に備え、ストッパは、試薬チャンバを開くのに効果的なプランジャデバイスを含み、本体部は、ストッパがレセプタクル内に挿入されたときに試薬チャンバ内に保持された試薬のレセプタクル内への放出を可能にするように、試薬チャンバが開くことを可能にする凹部を含む。
【0017】
このような配置により、分析すべきサンプルを形成しているそれぞれ所定量の成分をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
次に、本発明の種々の実施形態に従うサンプリング及び分析用キット、方法並びにサンプルホルダを、以下の添付図面を参照して例示のみを目的として説明する。
【0019】
図1図1は、本発明の第1実施形態に従うサンプリング及び分析用キットにおける使用のための、第1実施形態に従うサンプルホルダの概略断面図である。
図2図2は、図1に示されるサンプルホルダを保持するキュベットの概略断面図であり、ストッパの挿入を示している。
図3図3は、検査装置に挿入された図1及び2のサンプリング及び分析用キットの概観図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態に従うサンプリング及び分析用キットにおける使用のための、第2実施形態に従うサンプルホルダの概略断面図である。
図5図5図4のサンプルホルダを示しており、このサンプルホルダにおいては、ハンドルの一部はサンプルホルダの残りの部分から既に分離されている。
図6図6は、図5に示されるサンプルホルダを保持するキュベットの概略断面図であり、ストッパの挿入を示している。
図7図7(a)〜7(e)は、本発明の第2実施形態に従いサンプルを採取し移送する方法の種々のステップの概略的な提示であり、ここでは図4〜6に示されるサンプリング及び分析用キットを用いている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
先ず図1及び図2を参照すると、本発明に係る分析用キットの第1実施形態は、3つの別個の部分、即ち、
キャピラリチューブ4を含むサンプルホルダ1と、
キュベット6と、
ストッパ7と、
を含む。
【0021】
次いで図3も参照すると、サンプリング及び分析用キットの使用において、サンプルホルダ1はキュベット6内に配置され、キャピラリチューブ4内のサンプルは、キュベット6内の液体へと希釈され得る。サンプルの計測は、後で詳述するように、測光法、好ましくは比濁法(turbidometric method)に基づく。従って、キュベット6は、光ビーム又は放射がキュベット6内の測定ゾーン11内にある検体を通過するように配置された検査装置9内に挿入される。検体を通過する光又は放射の量は、検出器12により測定され、検体の分析のために用いられる。
【0022】
次に、分析用キットの3つの部分をより詳細に説明する。
【0023】
先ず特に図1を参照すると、サンプルホルダ1は管状の本体部3を有しており、本体部3内にはキャピラリチューブ4の上部開放端が装着される。本体部3の上端には、機能については後述する肩10A,10Bの形態にある2つの突起が形成され、肩10A,10Bの間には凹部13が画定されている。理解されるであろうように、キャピラリは、本体部に装着されることに代えて、本体部と共に単一部品として成形されてもよい。
【0024】
次いで特に図2を参照すると、この図の下部は、キュベット6内に挿入された後のサンプルホルダ1を示している。キュベット6は、キャピラリ4からのサンプルを希釈するための液体14で予め満たされていてよい。この液体は例えば緩衝溶液であってよく、好ましくは、サンプルと混合されたときにキュベット6内で透明な溶液を生じさせることになる。緩衝溶液は任意の適切な緩衝溶液であってよい。好ましくは、緩衝溶液はトリス緩衝液又はリン酸緩衝液であってよい。緩衝液は、何らかの試薬、例えば溶血化合物(haemolysing compound)を含有していてよい。
【0025】
キュベット6は内側に向く棚部(ledge)15を有し、棚部15上には、使用に際して、サンプルホルダ1をキュベット6内の適切な位置に正確に維持するように、サンプルホルダ1の本体部3の肩部10A,10Bが着座し、この状態においては、キャピラリチューブ4の端は、キュベット6内で液体14内に位置してサンプルがキャピラリ4から液体14内へと移動することを可能にしているが、キャピラリチューブ4は、測定ゾーン11の上方に位置している。
【0026】
次に特に図2を参照すると、我々の先の出願EP0859664により詳細に記載されているように、ストッパ7は、予め測定された量の試薬が収容されてよいチャンバ16と、下蓋17と、雄ネジ部18と、プランジャ19と、を含む。試薬は任意の適切な形態のものであってよく、液体又は固体のいずれであってもよい。試薬の例は、検体結合試薬(例えば抗体)(analyte binding reagent (e.g. antibodies))、固体粒子、溶血化合物(サポニン)、又は赤血球凝集化合物(レクチン)(red blood cells agglutinating compound (lectin))である。
【0027】
プランジャ19を押し下げると下蓋17が下方向に動き、チャンバ16内に収容された試薬の放出が可能になる。図2は、キュベット6の外側で開いている状態にある下蓋17を示している。ストッパ7がキュベット6内へと挿入されると、ストッパ7の雄ネジ部18がシールとして作用し、ストッパ7をキュベット6の上端で適切な位置に維持する。
【0028】
サンプルホルダ1の凹部13は、サンプルホルダ1がキュベット6内に位置しているときに、ストッパ7の下蓋17がキュベット6内で開くのに十分な空間をキュベット6内にもたらす。これにより、コンパートメント16内に収容されていた試薬は、キュベット6の基部内の液体14へと移動することができる。
【0029】
分析用キットの使用に際して、キャピラリチューブ4は、サンプルホルダの突起10A,10Bがキュベット6の内側に向く棚部15上に着座することによって、キュベット6の基部の上方で適切な位置に保持され、キャピラリチューブ4は、キュベット6を通る光路又は放射経路の外に維持される。従って、血液サンプルはキャピラリチューブ4から緩衝溶液内へと移動することができる一方で、キャピラリチューブの存在は、測定ゾーン11内での検体の光学的測定には影響しない。
【0030】
理解されるであろうように、本実施形態では、サンプルホルダ1は、キュベット6内で内側に向かって形成された棚部15上に着座する肩10A,10Bの形態にある2つの突起を有しているが、サンプルホルダ1は異なる数の突起を有していてもよいし、あるいはキュベット6内で棚部15上に着座し得る連続的な突起がサンプルホルダ1に形成されていてもよい。
【0031】
次に図4〜7を参照すると、本発明に係る分析用キットの第2実施形態は、第1実施形態において説明された分析用キットの適応であり、従って対応する特徴には対応する符号が付されている。
【0032】
その一方で、図4に示されるように、第2実施形態におけるサンプルホルダ21は撤去可能ハンドル部22を有しており、この撤去可能ハンドル部22は、キャピラリチューブ4の上部開放端がその内部に装着された管状の本体部3に、円筒状スパー(spur)24を介して取り付けられる。第1実施形態と同様、本体部3の上端には、肩10A,10Bの形態にある2つの突起が形成され、肩10A,10Bの間には凹部13が画定されている。
【0033】
撤去可能ハンドル部22は、図5に示すようにサンプルホルダ21の残りの部分から取り外し可能である。この取り外しは、図5に示すように、本体部3上の凹部13上にスタブ(stub)を残すように、撤去可能ハンドル部22を円筒状スパー24にてひねってハンドル部22を本体部3から引き離すことによって達成され得る。
【0034】
次いで特に図6を参照すると、この図の下部は、キュベット6内に挿入された後のサンプルホルダ21を示しており、サンプルホルダ21の撤去可能ハンドル部22は、上述したようにして撤去されている。
【0035】
第1実施形態と同様、キュベット6は内側に向く棚部15を有し、棚部15上には、使用に際して、サンプルホルダ21をキュベット6内の適切な位置に正確に維持するように、サンプルホルダ21の本体部3の肩部10A,10Bが着座し、この状態においては、キャピラリチューブ4の端は、キュベット6内で液体14内に位置してサンプルがキャピラリ4から液体14内へと移動することを可能にしているが、キャピラリチューブ4は、測定ゾーン11の上方に位置している。
【0036】
第1実施形態と同様、プランジャ19を押し下げると下蓋17が下方向に動き、チャンバ16内に収容された試薬の放出が可能になる。図6は、キュベット6の外側で開いている状態にある下蓋17を示しており、撤去可能ハンドル部22をサンプルホルダ21の残りの部分から撤去することによって、ストッパ7は、図6に示すように、サンプルホルダ21の管状本体部3の上方の空間内でキュベット6内に挿入され得る。第1実施形態と同様、ストッパ7がキュベット6内へと挿入されると、ストッパ7の雄ネジ部18がシールとして作用し、ストッパ7をキュベット6の上端で適切な位置に維持する。
【0037】
次に図7を参照すると、この図は、本発明の第2実施形態に係るサンプリング及び分析用キットの臨床オペレータによる使用を示している。
【0038】
先ず図7(a)を参照すると、臨床オペレータはキュベットからフォイルシールを取り去る。
【0039】
次に図7(b)を参照すると、ハンドル部22を用いてキャピラリチューブ4を操作することによって、患者の指から血液サンプルが汚染されることなくキャピラリ4へと採取される。血液サンプルは、毛細管現象によってキャリラリに引き上げられる。
【0040】
次に図7(c)を参照すると、ハンドル部22を用いてサンプルホルダ21をキュベット6内へと移すことができ、サンプルホルダ21は、上述したように、キュベットの内側に向く棚部15上に着座しているサンプルホルダ1の肩10A,10Bの形態にある突起によってキュベット6内で吊り下がる。これにより、血液サンプルは、キャピラリチューブ4からキュベット6内にある液体14内へと移動することができる。ハンドル部22をひねることによって、上述したように、サンプルホルダ21のハンドル部22をサンプルホルダ21の本体部3から撤去することができる。
【0041】
次に図7(d)を参照すると、ストッパ7の下蓋17が閉じられた状態でストッパがキュベット6内に入れられ、ストッパ内のチャンバ16に収容された試薬は、チャンバ16内で維持されたままでいる。
【0042】
最後に図7(e)を参照すると、ハンドル部22が撤去されたサンプルホルダ21とストッパ7とを含むキュベット6が、次いで検査装置9内へと入れられる。ストッパ7内のプランジャ19を押すとストッパ7の下蓋17が開き、チャンバ16内に保持されていた試薬は、チャンバ16から解放され、サンプルホルダ21内を通り、続いてキュベット6の基部内へと移動する。
【0043】
このようにして、キュベット6の基部内の混合物、即ち測定ゾーン11内の混合物を、図3に関連して上述したように光学的に計測することができ、キュベット6の基部の液体内にある検体の存在又は濃度が、例えば分光光度法(spectrophotometry)を用いて判定又は決定される。
【0044】
理解されるであろうように、第2実施形態では、撤去可能ハンドル部22と管状本体部3は円筒状スパー5によって接続されているが、サンプルホルダ21のハンドル部22と管状本体部3との間に他の脆弱部(weakened portions)を設けてハンドル部22の撤去を可能にしてもよい。そのような代替的な配置の例としては、サンプルホルダ21の穿孔部が挙げられる。
【0045】
理解されるであろうように、ハンドル部22の形態は、サンプル採取のためのサンプルホルダ21の取り扱いをより容易にすることができる。その一方で、このサンプリング及び分析用キットは他の用途に用いられてもよい。例えばサンプルバイアル(sample vials)からの血液サンプル以外のサンプルの移送、又は例えば標準溶液若しくは参照溶液の入っている試薬びんからの液体移送についても容易になる。
【0046】
上記実施形態において説明したサンプル採取デバイスはキャピラリチューブ4であるが、本発明に係るサンプリング及び分析用キットにおいては、他のサンプル採取配置、例えばスワブ(swab)も可能である。キャピラリチューブ4それ自体に試薬、例えばヘパリンが塗布されていてもよい。
【0047】
理解されるであろうように、サンプルホルダ1又は21及びキュベット6はキットとして提供されてよい。このキットはストッパ7を更に含んでいてもよい。キュベット6及びストッパ7内に予め組み込まれた所定量の緩衝液及び試薬を提供すると好都合であるが、これらは別途提供されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図7(d)】
図7(e)】