特許第6401423号(P6401423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6401423内視鏡システムおよび内視鏡のリーク検知処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6401423
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】内視鏡システムおよび内視鏡のリーク検知処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20181001BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A61B1/00 630
   A61B1/12 510
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-518755(P2018-518755)
(86)(22)【出願日】2017年9月19日
(86)【国際出願番号】JP2017033775
【審査請求日】2018年4月11日
(31)【優先権主張番号】特願2017-45066(P2017-45066)
(32)【優先日】2017年3月9日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 通宏
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5379446(JP,B2)
【文献】 特開2015−029649(JP,A)
【文献】 特開2014−070950(JP,A)
【文献】 特許第4656951(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 −1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の内部空間を機密保持する弁と、
前記弁を有するリーク検知機構に接続可能な口金と、
前記リーク検知機構と前記口金とを接続した状態で、陰圧をかけることにより前記弁を開き、加圧することで前記弁を閉じ、加圧を続けることで前記リーク検知機構と前記口金とを外す送気吸引機構と、
前記陰圧をかけたとき圧力を検知し、前記内視鏡の前記内部空間を形成する部材に孔が発生していないことを表す第1の検出信号を出力する圧力センサーと、
前記圧力センサーから前記第1の検出信号が入力されることにより、前記陰圧をかけている前記送気吸引機構に対して加圧するように駆動制御する制御部と、
を具備することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記リーク検知機構が第1の口金であって、
前記口金が第2の口金であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記圧力センサーは、さらに、加圧したときの圧力を検知し、
前記制御部は加圧したとき、前記圧力センサーから圧力検知した第2の検出信号が入力されると、前記送気吸引機構に停止信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記送気吸引機構及び前記制御部を備え、前記陰圧及び加圧によって前記弁を開閉して前記内視鏡の前記内部空間を形成する部材に孔が発生していないことを検知するリーク検知処理を行った後に、前記内視鏡を洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記陰圧をかけたとき、前記内視鏡の内圧が一定とならない前記圧力センサーから第3の検出信号が前記制御部に入力されると、前記制御部から制御信号が入力される警告部を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記陰圧をかけたとき、前記内視鏡の内圧が所定の閾値を超えていた場合の前記圧力センサーからの第4の検出信号が前記制御部に入力されると、前記制御部から制御信号が入力される警告部を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
請求項1に記載の内視鏡システムによる内視鏡のリークを検知処理方法であって、
前記送気吸引機構を駆動して前記口金を介して前記陰圧をかけて前記口金と接続した前記リーク検知機構に設けられた前記弁を開くステップと、
前記陰圧を所定の時間かけるステップと、
前記圧力センサーによって前記内視鏡の内部の圧力を検出するステップと、
前記センサーから、前記内視鏡の前記内部空間を形成する部材に孔が発生していないことを表す第1の検出信号が入力されると、前記送気吸引機構を駆動して加圧することで前記弁を閉じ、加圧を続けることで前記リーク検知機構と口金とを外すステップと、
を有することを特徴とする内視鏡のリーク検知処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡を洗浄消毒するときに漏水検知を行う内視鏡システムおよび内視鏡のリーク検知処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体内の検査、治療などの目的に使用される内視鏡は、体内に挿入する挿入部の外表面だけでなく、処置具挿通用チャンネルなどの管路内にも汚物が付着する。そのため、使用済みの内視鏡は、簡易洗浄後に内視鏡洗浄消毒装置などによって外表面だけでなく管路内も洗浄消毒する必要がある。
【0003】
この内視鏡洗浄消毒装置は、内視鏡の可撓管もしくは湾曲管の外皮部分、または管路に、孔が発生すると、内視鏡の内部空間に水が入り、故障を起してしまうおそれがあるためのいわゆる漏水検知処理を行う機能が備わっているものがある。
【0004】
漏水検知処理では、例えば、日本国特開2015−29649号公報に開示されているように、内視鏡内部に連通する漏水検知用口金と、内視鏡洗浄消毒装置の送気部に連通する漏水検知用コネクタとが、漏水検知用チューブを介して接続される。
【0005】
なお、漏水検知用コネクタなどは、未接続時に水が内部に侵入するのを防止するために、未接続時には閉状態に付勢された弁を有する逆止弁構造などを有している。
【0006】
そして、内視鏡洗浄消毒装置の送気部から、漏水検知用コネクタおよび漏水検知用口金を介して、空気などの気体が内視鏡内部に所定圧力になるまで送気された後、内視鏡内部と漏水検知用配管などとからなる内視鏡内部の密閉空間の圧力変化を測定するなどの方法で漏水検知が行われる。
【0007】
しかしながら、従来の内視鏡では、漏水検知用口金に内視鏡洗浄消毒装置の漏水検知用コネクタを接続するため、漏水検知用口金の外表面に内視鏡洗浄消毒装置による洗浄液および消毒液が触れず、漏水検知用口金が汚れたときに漏水検知用口金の洗浄および消毒が行えないという課題があった。
【0008】
そのため、従来の内視鏡は、内視鏡洗浄消毒装置による洗浄消毒後に漏水検知用口金から漏水検知用コネクタを外して漏水検知用口金の外表面を洗浄消毒する必要が生じユーザにとっての作業に手間がかかるという問題があった。
【0009】
さらに、漏水検知用口金は、漏水検知用コネクタを装着した後、回転させることで内部の弁が開く複雑な構造となっており、小型化が困難な高価な部品であるため製造コスト高となるという課題があった。
【0010】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡洗浄消毒装置によって内視鏡のリーク検知口金の外表面も洗浄消毒を行えるようにし、ユーザの洗浄消毒作業を軽減すると共に、リーク検知口金の構造を簡素化および小型化でき製造コストを低減することができる内視鏡システムおよび内視鏡のリーク検知処理方法を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様における内視鏡システムは、内視鏡の内部空間を機密保持する弁と、前記弁を有するリーク検知機構に接続可能な口金と、前記リーク検知機構と前記口金とを接続した状態で、陰圧をかけることにより前記弁を開き、加圧することで前記弁を閉じ、加圧を続けることで前記リーク検知機構と前記口金とを外す送気吸引機構と、前記陰圧をかけたとき圧力を検知し、前記内視鏡の前記内部空間を形成する部材に孔が発生していないことを表す第1の検出信号を出力する圧力センサーと、前記圧力センサーから前記第1の検出信号が入力されることにより、前記陰圧をかけている前記送気吸引機構に対して加圧するように駆動制御する制御部と、を具備する。
【0012】
本発明の一態様における前記内視鏡システムによる内視鏡のリーク検知処理方法は、前記送気吸引機構を駆動して前記口金を介して前記陰圧をかけて前記口金と接続した前記リーク検知機構に設けられた前記弁を開くステップと、前記陰圧を所定の時間かけるステップと、前記圧力センサーによって前記内視鏡の内部の圧力を検出するステップと、前記センサーから、前記内視鏡の前記内部空間を形成する部材に孔が発生していないことを表す第1の検出信号が入力されると、前記送気吸引機構を駆動して加圧することで前記弁を閉じ、加圧を続けることで前記リーク検知機構と口金とを外すステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】内視鏡装置の構成を示す全体図
図2】内視鏡コネクタを示す斜視図
図3】内視鏡が内視鏡洗浄消毒装置のシンクにセットされた状態を示す平面図
図4】リーク検知口金およびエアー口金の構成を示す断面図
図5】リーク検知口金にエアー口金が接続される状態を示す斜視図
図6】リーク検知口金にエアー口金が接続された状態を示す斜視図
図7】リーク検知口金にエアー口金が接続された状態を示す断面図
図8】リーク検知口金にエアー口金が接続されており、陰圧をかけた状態を示す断面図
図9】リーク検知口金にエアー口金が接続されており、陽圧をかけた状態を示す断面図
図10】リーク検知口金からエアー口金が外れた状態を示す断面図
図11】内視鏡および内視鏡洗浄消毒装置の内部構成を示すブロック図
図12】第1の変形例の内視鏡および内視鏡洗浄消毒装置の内部構成を示すブロック図
図13】第2の変形例のリーク検知口金にエアー口金が接続された状態を示す断面図
図14】第3の変形例のリーク検知口金にエアー口金が接続された状態を示す断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。また、以下の説明においては、図の紙面に向かって見た上下方向を構成要素の上部および下部として説明している場合がある。
【0015】
図1は、内視鏡装置の構成を示す全体図、図2は内視鏡コネクタを示す斜視図、図3は内視鏡が内視鏡洗浄消毒装置のシンクにセットされた状態を示す平面図、図4はリーク検知口金およびエアー口金の構成を示す断面図、図5はリーク検知口金にエアー口金が接続される状態を示す斜視図、図6はリーク検知口金にエアー口金が接続された状態を示す斜視図、図7はリーク検知口金にエアー口金が接続された状態を示す断面図、図8はリーク検知口金にエアー口金が接続されており、陰圧をかけた状態を示す断面図、図9はリーク検知口金にエアー口金が接続されており、陽圧をかけた状態を示す断面図、図10はリーク検知口金からエアー口金が外れた状態を示す断面図、図11は内視鏡および内視鏡洗浄消毒装置の内部構成を示すブロック図である。
【0016】
先ず、本実施の形態の内視鏡について以下に説明する。
図1に示すように内視鏡装置1は、内視鏡2と、外部装置である例えばカメラコントロールユニット(以下、CCUと記載する)3と、モニタ(不図示)と、を有して構成される。
【0017】
本実施形態のCCU3は、内視鏡2に照明光を供給するための光源を内蔵する光源装置と内視鏡2が備える撮像素子の各種信号処理等を行うビデオプロセッサとを兼用している。そして、CCU3内には、送気管路に空気などを供給する送気ポンプ(不図示)が設けられている。
【0018】
内視鏡2は、挿入部5と、操作部6と、ユニバーサルケーブル7とを有している。挿入部5は、観察対象部位へ挿入される細長な長尺部材である。挿入部5は、先端部8と、湾曲部9と、可撓管部10とを連設して構成されている。
【0019】
先端部8にはライトガイドを備える照明光学系、撮像装置を備える撮像光学系が内蔵され、先端面にはノズル、処置具導出口を兼用する吸引口が設けられている(何れも不図示)。
【0020】
湾曲部9は、例えば上下左右の四方向に湾曲自在に構成されている。可撓管部10は、長尺で可撓性を有する管状部材である。
【0021】
操作部6は、把持部6aを備え、この把持部6aが挿入部5の基端部に連設している。操作部6には、湾曲操作部11、各種スイッチ12、送気送水ボタン13、吸引ボタン14などが設けられている。
【0022】
湾曲操作部11は、湾曲部9の湾曲操作を行うための湾曲操作ノブ11aと、この湾曲操作ノブ11aを所望の回転位置で固定するための固定レバー11bとを有している。
【0023】
スイッチ12は、例えば、レリーズスイッチ、フリーズスイッチなどの切替を行うための観察モード切替スイッチなどである。なお、符号6bは処置具挿入口である。
【0024】
ユニバーサルケーブル7は、操作部6の側面より延出されている。ユニバーサルケーブル7の端部には図2に示す内視鏡コネクタ30が設けられている。
【0025】
ここで、内視鏡コネクタ30の構成について説明する。
本実施形態における内視鏡コネクタ30は、図2に示すように、側部から信号伝達ケーブル33が延設されている。信号伝達ケーブル33の他端側には図1の電気コネクタ34が設けられている。
【0026】
また、内視鏡コネクタ30は、基端面からライトガイド口金35および外部接続部である送気口金36が突出して設けられている。
【0027】
さらに、内視鏡コネクタ30は、外装体の表面に外部接続部である吸引口金37、送水口金38および加圧口金39が設けられている。
【0028】
なお、符号40はリーク検知口金、符号41はアース端子、符号42はユニバーサルケーブル用折れ止め、符号43は信号伝達ケーブル用折れ止め、符号44はタグ内蔵凸部である。タグ内蔵凸部44の内部にはRFIDチップなどの個体識別情報チップが内蔵されている。
【0029】
ところで、使用後の内視鏡2は、図3に示すように、内視鏡洗浄消毒装置50によって洗浄および消毒される。
【0030】
具体的には、内視鏡2は、ユーザによって、内視鏡洗浄消毒装置50のシンク51内にセットされる。このとき、ユーザは、内視鏡洗浄消毒装置50と接続されているシンク51内の洗浄消毒チューブ52を内視鏡2の処置具挿入口6bなどに接続すると共に、エアーチューブ53をリーク検知口金40と接続する。
【0031】
そして、内視鏡洗浄消毒装置50は、内視鏡2がセットされたシンク51を覆う蓋が閉められて、電源がONされ、スタートボタンなどが押されると、洗浄消毒処理を実行する。
【0032】
なお、内視鏡洗浄消毒装置50の詳細な構成および内視鏡2の洗浄消毒処理に関しては周知であるため、それらの説明を省略する。
【0033】
なお、内視鏡2および内視鏡洗浄消毒装置50によって、本実施の形態の内視鏡システム60が構成される。
【0034】
ここで、本実施の形態の要部となる第1の口金としてのリーク検知口金40および、このリーク検知口金40に接続するエアーチューブ53の延出端に配設された第2の口金としてのエアー口金54について説明する。
【0035】
図4に示すように、エアー口金54は、硬質樹脂、金属などから形成された環状部材である。このエアー口金54は、チューブ接続部54aにエアーチューブ53が接続され、エアーチューブ53が抜けないように挟持するための押え管55がチューブ接続部54aに螺着されている。
【0036】
エアー口金54は、内周部にリーク検知口金40の外周部に密着して気密保持するOリングなどのシール部材56が設けられている。また、エアー口金54の内部空間には、リーク検知口金40の上端面に当接する段部57が形成されている。
【0037】
リーク検知口金40は、弁体20が金属などから形成された円環状の弁ケース21内に設けられた、いわゆる逆止弁を有している。
【0038】
弁体20は、上端部に外向フランジ状の上板部22を有し、この上板部22に当接するようにOリングなどの弁ゴム23が弁ケース21の内部側に設けられている。そして、弁体20は、下端部分に外向フランジ状のバネ受24を有している。
【0039】
このバネ受24に下端が当接するようにバネ25が弁体20を下方側に付勢するように配設されている。なお、ここでのバネ25は、逆円錐状をしており、上端が弁ケース21の内部上面に当接するように配設されている。なお、バネ25は、上端が弁ケース21の内部上面に当接するならば、必ずしも逆円錐形状でなくてもよい。
【0040】
即ち、リーク検知口金40は、通常時において、弁体20がバネ25からの下方への付勢力を受けて、弁ケース21の上部開口部に弁ゴム23を密着させて気密に閉じた状態となっている。また、リーク検知口金40は、内視鏡コネクタ30との接続部分に気密保持するOリングなどのシール部材26が配設されている。
【0041】
以上のように構成されたリーク検知口金40およびエアー口金54は、図4および図5に示す状態から、図6および図7に示すように接続される。即ち、エアー口金54がリーク検知口金40を覆うように装着される。
【0042】
そして、内視鏡2が内視鏡洗浄消毒装置50のシンク51内にセットされた状態から内視鏡洗浄消毒装置50の電源がONされ、スタートボタンなどが押されると、洗浄消毒処理の前に、リーク検知処理が行われる。
【0043】
即ち、従来の内視鏡洗浄消毒装置50では、シンク51内にセットされた内視鏡2を水に浸してリーク検知処理をしていたが、本実施の形態の内視鏡洗浄消毒装置50では、内視鏡2を水に浸さずリーク検知処理を行うようになっている。
【0044】
リーク検知処理では、先ず、内視鏡洗浄消毒装置50によってエアーチューブ53を介して内視鏡2に陰圧(吸引)がかけられる。すると、エアーの吸引により、リーク検知口金40の上端面がエアー口金54の段部57に当接する。
【0045】
そして、リーク検知口金40の弁ケース21の外周面にエアー口金54の内部に設けられたシール部材56が密着しているため、エアー口金54とリーク検知口金40が気密に接続された状態となる。
【0046】
このように内視鏡洗浄消毒装置50によって内視鏡2の内部に陰圧をかけた状態では、内視鏡2内よりもエアーチューブ53内のほうの圧力が低下する。そのため、図8に示すように、リーク検知口金40の弁体20が開く。即ち、弁体20は、バネ25の付勢力に抗して、上方側に移動する。
【0047】
これにより、リーク検知口金40は、弁ケース21の上部開口部に密着していた弁ゴム23が離れて、隙間が生じる。これにより、内視鏡2内のエアーが内視鏡洗浄消毒装置50側のエアーチューブ53内に吸引される(図中の点線NP)。
【0048】
この陰圧処理を所定の時間実行して、一定の内圧(定常圧)に安定していれば、内視鏡2の可撓管部10、湾曲部9の外皮部分、内部管路などに、孔(リーク)が発生していないと検知することができる。
【0049】
一方、陰圧処理を所定の時間実行して、一定の内圧(定常圧)に安定しない場合、内視鏡2の可撓管部10、湾曲部9の外皮部分、内部管路などに、孔(リーク)が発生していることを検知することができる。この場合、内視鏡2の修理が必要となる。
【0050】
なお、リーク検知処理は、その他のリーク検出方法として、陰圧処理を所定の時間実行して、所定の閾値よりも低い圧力であった場合、陰圧処理が十分であるため、内視鏡2の可撓管部10、湾曲部9の外皮部分、内部管路などに、孔(リーク)が発生していないと検知することもできる。
【0051】
一方、陰圧処理を所定の時間実行して、陰圧処理を所定の時間実行して、所定の閾値よりも高い圧力であった場合、陰圧処理が十分でないため、内視鏡2の可撓管部10、湾曲部9の外皮部分、内部管路などに、孔(リーク)が発生していることを検知することができ、内視鏡2の修理が必要となる。
【0052】
即ち、ここでは、検出圧力が所定の閾値を超えていない圧力であれば、孔(リーク)が発生しておらず、所定の閾値を超えている圧力であれば、孔(リーク)が発生していることを検知している。
【0053】
なお、内視鏡洗浄消毒装置50は、内視鏡2のリーク検知結果が正常であった場合、次に、エアーチューブ53を介して内視鏡2に陽圧(加圧)をかける。すると、図9に示すように、エアーによる加圧で、リーク検知口金40の弁体20が閉じる。即ち、弁体20は、バネ25の付勢力によって、下方側に移動する。
【0054】
これにより、リーク検知口金40は、弁ケース21の上部開口部に弁ゴム23が密着して内視鏡2の内部が気密状態となる。さらに、内視鏡洗浄消毒装置50は、そのままエアーチューブ53を介して陽圧(図中の点線PP)をかけると、エアー口金54内の圧力が上がり、エアー口金54のシール部材56による保持力を超えると、図10に示すように、エアー口金54がリーク検知口金40から外れる。
【0055】
そして、内視鏡洗浄消毒装置50は、圧力低下により、リーク検知処理を終了して、続いて内視鏡2の洗浄消毒処理を実行する。
【0056】
なお、図11に示すように、内視鏡洗浄消毒装置50は、内部に内視鏡2に陰圧または陽圧をかけたときの圧力を検出する圧力センサ61を有している。また、内視鏡洗浄消毒装置50内には、陰圧をかけるためのエアポンプである吸引ポンプ62および陽圧をかけるためのエアポンプである加圧ポンプ63が設けられている。
【0057】
これら圧力センサ61、吸引ポンプ62および加圧ポンプ63は、内視鏡洗浄消毒装置50内の制御部64と信号を授受しており、圧力センサ61から制御部64に検出信号が入力され、吸引ポンプ62および加圧ポンプ63に制御部64から駆動信号が出力される。
【0058】
さらに、内視鏡洗浄消毒装置50は、内視鏡2に孔(リーク)が発生していた場合に、ユーザに知らせるための警報部65を有している。
【0059】
制御部64は、万が一、内視鏡2に孔(リーク)が発生していると判断すると、警報部65に制御信号を出力する。なお、警報部65は、警告ランプ、警告音、液晶モニタなどに文字表示による警告などを行う構成である。なお、吸引ポンプ62および加圧ポンプ63を1つのエアポンプとし、陰圧と陽圧を切り替える構成としてもよい。
【0060】
以上のように構成された本実施の形態の内視鏡システム60は、内視鏡洗浄消毒装置50によって内視鏡2を洗浄消毒する際に、先ず、内視鏡2に陰圧をかけてリーク検知処理を行い、内視鏡2にリークがなければ、内視鏡2に陽圧をかけて、自動でリーク検知口金40からエアー口金54を外す構成となっている。
【0061】
これにより、内視鏡システム60は、リーク検知処理後に実行する洗浄消毒処理において、リーク検知口金40が露出した状態となり、その外表面も洗浄液および消毒液によって洗浄および消毒が行える。
【0062】
その結果、内視鏡洗浄消毒装置50による洗浄消毒後に内視鏡2のリーク検知口金40からエアー口金54を外す必要もなく、内視鏡洗浄消毒装置50の洗浄消毒処理によってリーク検知口金40の外表面も洗浄消毒され、ユーザの手間を軽減することができる。
【0063】
さらに、内視鏡2のリーク検知口金40は、いわゆる逆止弁を設けた簡単な構造となっており、小型化が容易で安価に製造できるため、内視鏡2の製造コストを低減することができる。
【0064】
以上の説明から本実施の形態の内視鏡システム60は、内視鏡洗浄消毒装置50によって内視鏡2のリーク検知口金の外表面も洗浄消毒を行えるようにし、ユーザの洗浄消毒作業を軽減すると共に、リーク検知口金40の構造を簡素化および小型化でき製造コストを低減することができる構成となる。
【0065】
(第1の変形例)
図12は、第1の変形例の内視鏡および内視鏡洗浄消毒装置の内部構成を示すブロック図である。
【0066】
図12に示すように、圧力センサ61は、内視鏡2内に設けた構成としてもよい。この構成の場合、内視鏡洗浄消毒装置50の制御部64との有線通信または無線通信が行えるようにして、検出信号を制御部64に出力する構成とすればよい。
【0067】
なお、上述の実施の形態および本変形例では、内視鏡2のリーク検知処理を内視鏡洗浄消毒装置50によって行う構成を例示しているが、これに限定されることなく、圧力センサ61、吸引ポンプ62、加圧ポンプ63および警報部65を備えたリーク検知処理装置としてもよいし、内視鏡2の洗浄のみを行う内視鏡洗浄装置、内視鏡2の消毒のみを行う内視鏡消毒装置にリーク検知処理を行う機能を設けた構成としてもよい。
【0068】
(第2の変形例)
図13は、第2の変形例のリーク検知口金にエアー口金が接続された状態を示す断面図である。
図13に示すように、エアー口金54の長手軸方向の寸法を長くして、開口側の端面にOリングなどのシール部材58を設けて、陰圧をかけたときに、内視鏡コネクタ30の外表面に直接密着する構成としてもよい。
【0069】
(第3の変形例)
図14は、第3の変形例のリーク検知口金にエアー口金が接続された状態を示す断面図である。
図14に示すように、第3の変形例のエアー口金54の構成であれば、内視鏡コネクタ30の外装表面部分に弁体20を設けた構成としてもよい。
【0070】
以上の実施の形態に記載した発明は、それらの形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
例えば、各形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【0071】
本発明によれば、内視鏡洗浄消毒装置によって内視鏡のリーク検知口金の外表面も洗浄消毒を行えるようにし、ユーザの洗浄消毒作業を軽減すると共に、リーク検知口金の構造を簡素化および小型化でき製造コストを低減することができる内視鏡システムおよび内視鏡のリーク検知処理方法を実現できる。
【0072】
本出願は、2017年3月9日に日本国に出願された特願2017−045066号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
【要約】
内視鏡システム60は、内視鏡2の内部空間を気密保持する弁20と、陰圧および陽圧をかけて弁20を開閉するエアポンプ62,63と、陰圧および陽圧をかけたときの圧力を検出する圧力センサ61と、圧力センサ61から検出信号が入力され、エアポンプ62,63を駆動制御する制御部64と、を具備する。
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