(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
化粧板と、前記化粧板の裏面に設けられた硬化剤層とを備え、前記硬化剤層は二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液からなり、且つ2枚の前記化粧板が、各々の前記裏面側同士が対向するようにして積層された一組の積層体、又は前記一組の積層体に、更に一組以上の前記積層体が積層された積層体であることを特徴とする化粧板積層体。
木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とする前に、前記木質基材の裏面に、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布され、その後、前記木質基材の表面に前記化粧材を接合させて前記化粧板とする、又は前記木質基材と前記化粧材とを接合させて前記化粧板とした後、前記木質基材の前記化粧材が接合された面とは反対側の面に、前記二液分離塗布型接着剤の一方の液である前記硬化剤液を塗布する硬化剤液塗布工程と、
2枚の前記化粧板を、各々の裏面側同士が対向するようにして積層してなる一組の積層体、又は一組以上の前記積層体を更に積層してなる積層体である化粧板積層体とする積層工程と、
前記化粧板積層体を積層された状態のまま保管する保管工程と、を備えることを特徴とする化粧板の保管方法。
木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とする前に、前記木質基材の裏面に、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布され、その後、前記木質基材の表面に前記化粧材を接合させて前記化粧板とする、又は前記木質基材と前記化粧材とを接合させて前記化粧板とした後、前記木質基材の前記化粧材が接合された面とは反対側の面に、前記二液分離塗布型接着剤の一方の液である前記硬化剤液を塗布する硬化剤液塗布工程と、
一の前記化粧板を、表面側が下面となるようにして静置し、次いで、前記一の化粧板の裏面側に他の化粧板の裏面側を積層してなる積層体、又は前記他の化粧板の表面に更に他の化粧板の表面を積層させ、その後、複数の化粧板の裏面側同士と表面同士とを交互に順次積層させてなる積層体である化粧板積層体とする積層工程と、
前記化粧板積層体を積層された状態のまま保管する保管工程と、を備えることを特徴とする化粧板の保管方法。
木質基材と化粧材とを接合させて前記化粧板とする前に、前記木質基材の裏面に、前記二液分離塗布型接着剤の一方の液である前記硬化剤液が塗布され、その後、前記木質基材の表面に前記化粧材を接合させて前記化粧板とする請求項4に記載の木質建材の製造方法。
木質基材と化粧材とを接合させて前記化粧板とした後、前記木質基材の前記化粧材が接合された面とは反対側の面に、前記二液分離塗布型接着剤の一方の液である前記硬化剤液を塗布する請求項4に記載の木質建材の製造方法。
前記化粧板積層体が、積層された状態のままで、前記化粧板積層体を保管していた事業者から、前記木質建材を製造する事業者へと搬送され、その後、前記離間及び前記接合がなされる請求項4乃至6のうちのいずれか1項に記載の木質建材の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような接着剤を用いたフラッシュパネルの製造方法及び複合木質基材の製造方法、並びに各種の分離塗布型の接着剤は、木質材を短時間で接合させることができるため極めて有用である。しかし、主剤と硬化剤とを用いる二液分離塗布型接着剤であるため、接合に先立って硬化剤液を塗布する工程が必須である。また、塗布後、硬化剤液塗布面の保護状態によっては、工程間を移動する際に、塗布された硬化剤液からなる硬化剤層が他物品に付着して部分的に薄層化してしまう等、徐々に硬化剤としての作用が低下するなどの欠点がある。
【0006】
更に、特許文献1〜4には、硬化剤の塗布方法は詳述されていないが、実際に二液分離塗布型接着剤を用いてフラッシュパネル等を製造する場合、製造者が、化粧板等の面材の裏面に硬化剤液を塗布する工程、基材の表面に主剤液を塗布する工程、及び面材と基材を貼り合わせる工程といった、少なくとも3工程を必ず行う必要がある。そのため、硬化剤液の塗布機及びそれに付帯する設備が必要となる。また、二液分離塗布型接着剤の種類によっては、硬化剤液を塗布した後、乾燥して用いなければならないこともあり、その場合、付帯設備として乾燥機が必須となる。更に、乾燥するためのスペースや養生期間も必要となる。
【0007】
そこで、2枚の化粧板の各々の裏面に、二液分離塗布型接着剤の硬化剤液を塗布し、塗布面が対向するようにして積層し、その状態で保管することとした。このようにすれば、硬化剤が塗布された化粧板を基材と接合させる工程へと移動させる際、及び硬化剤液が塗布された化粧板をフラッシュパネル等の製造業者に納品するため搬送する際等に、塗布された硬化剤液からなる硬化剤層が他物品に付着して部分的に薄層化してしまう等の問題が生じることがなく、化粧板の裏面に塗布された硬化剤液は長期間安定的にプライマーとしての作用効果を発現することができる。更に、上述のようにして保管され、搬送されて供給される化粧板を用いてフラッシュパネル等を製造する業者は、化粧板の裏面には予め硬化剤液が塗布されているため、基材に主剤液を塗布し、予め硬化剤液が塗布された化粧板と貼り合わせるのみでよく、短時間で効率よくフラッシュパネル等を製造することができる。
本発明は、このような知見などに基づいてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下のとおりである。
1.化粧板と、前記化粧板の裏面に設けられた硬化剤層とを備え、前記硬化剤層は二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液からなり、且つ2枚の前記化粧板が、各々の前記裏面側同士が対向するようにして積層された一組の積層体、又は前記一組の積層体に、更に一組以上の前記積層体が積層された積層体であることを特徴とする化粧板積層体。
2.木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とする前に、前記木質基材の裏面に、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布され、その後、前記木質基材の表面に前記化粧材を接合させて前記化粧板とする、又は前記木質基材と前記化粧材とを接合させて前記化粧板とした後、前記木質基材の前記化粧材が接合された面とは反対側の面に、前記二液分離塗布型接着剤の一方の液である前記硬化剤液を塗布する硬化剤液塗布工程と、
2枚の前記化粧板を、各々の裏面側同士が対向するようにして積層してなる一組の積層体、又は一組以上の前記積層体を更に積層してなる積層体である化粧板積層体とする積層工程と、
前記化粧板積層体を積層された状態のまま保管する保管工程と、を備えることを特徴とする化粧板の保管方法。
3.木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とする前に、前記木質基材の裏面に、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布され、その後、前記木質基材の表面に前記化粧材を接合させて前記化粧板とする、又は前記木質基材と前記化粧材とを接合させて前記化粧板とした後、前記木質基材の前記化粧材が接合された面とは反対側の面に、前記二液分離塗布型接着剤の一方の液である前記硬化剤液を塗布する硬化剤液塗布工程と、
一の前記化粧板を、表面側が下面となるようにして静置し、次いで、前記一の化粧板の裏面側に他の化粧板の裏面側を積層してなる積層体、又は前記他の化粧板の表面に更に他の化粧板の表面を積層させ、その後、複数の化粧板の裏面側同士と表面同士とを交互に順次積層させてなる積層体である化粧板積層体とする積層工程と、
前記化粧板積層体を積層された状態のまま保管する保管工程と、を備えることを特徴とする化粧板の保管方法。
4.化粧板と基材とを接合させてなる木質建材の製造方法であって、
裏面に二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布された化粧板の、裏面側同士が対向するようにして積層された積層体として保管されていた少なくとも一組の前記積層体からなる化粧板積層体を構成する前記化粧板を前記裏面側で離間させ、その後、それぞれの前記化粧板の前記硬化剤液が塗布された前記裏面側と、前記基材の前記二液分離塗布型接着剤の他方の液である主剤液が塗布された面側とを接合させることを特徴とする木質建材の製造方法。
5.木質基材と化粧材とを接合させて前記化粧板とする前に、前記木質基材の裏面に、前記二液分離塗布型接着剤の一方の液である前記硬化剤液が塗布され、その後、前記木質基材の表面に前記化粧材を接合させて前記化粧板とする前記4.に記載の木質建材の製造方法。
6.木質基材と化粧材とを接合させて前記化粧板とした後、前記木質基材の前記化粧材が接合された面とは反対側の面に、前記二液分離塗布型接着剤の一方の液である前記硬化剤液を塗布する前記4.に記載の木質建材の製造方法。
7.前記化粧板積層体が、積層された状態のままで、前記化粧板積層体を保管していた事業者から、前記木質建材を製造する事業者へと搬送され、その後、前記離間及び前記接合がなされる前記4.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の木質建材の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧板積層体によれば、硬化剤液が塗布された裏面側同士が対向するようにして積層されているため、基材と接合させるまで、所要量の硬化剤液からなる硬化剤層を化粧板の裏面に安定して保持させることができる。
他の化粧板積層体によれば、硬化剤液が予め乾燥されてなる乾燥硬化剤層であるため、化粧板の裏面側同士、表面同士、又は裏面側と表面が対向するように積層しても、基材と接合させるまで、所要量の硬化剤液からなる硬化剤層が化粧板の裏面に安定して保持され、且つ硬化剤が化粧板の表面に付着し、汚染されることもない。
本発明及び他の化粧板の保管方法によれば、硬化剤液が塗布された裏面側同士が対向するようにして積層されて保管されるため、例えば、複数枚、積み重ねて保管しておくことで、塗布された硬化剤液がそのまま保持され、何ら問題なく木質建材の製造に供することができる。
更に他の化粧板の保管方法によれば、硬化剤液が予め乾燥されているため、化粧板の裏面側同士、表面同士、又は裏面側と表面が対向するように積層して保管しても、塗布された硬化剤液がそのまま保持され、且つ硬化剤液が化粧板の表面に付着し、汚染されることもなく、何ら問題なく木質建材の製造に供することができる。
本発明の木質建材の製造方法によれば、硬化剤液が塗布された裏面側同士が対向するようにして積層されて保管されていた化粧板を用いるため、積層されていた化粧板を離間させ、接着剤の主剤液が塗布された基材と接合させることができ、容易に、且つ効率よく木質建材を製造することができる。
他の木質建材の製造方法によれば、硬化剤液が予め乾燥されているため、裏面側同士、表面同士、又は裏面側と表面が対向するように積層して保管されていた化粧板を用いることができ、積層されていた化粧板を離間させ、接着剤の主剤液が塗布された基材と接合させることで、容易に、且つ効率よく木質建材を製造することができる。
また、木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とする前に、木質基材の裏面に、二液分離塗布型接着剤の硬化剤液が塗布される場合は、木質基材の表面に化粧材を接合するための接着剤を塗布し、木質基材の裏面に硬化剤液を塗布し、その後、インラインで裏面に硬化剤液が塗布された化粧板を効率よく製作することができる。
更に、木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とした後、木質基材の裏面に、二液分離塗布型接着剤の硬化剤液が塗布される場合は、硬化剤液を塗布するときに、既に化粧板となっているため、硬化剤液の塗布方法及び塗布量等をより幅広く調整することが可能になる。
また、複数の化粧板積層体が、積み重ねられた状態で、化粧板積層体を保管していた事業者から、木質建材を製造する事業者へと搬送され、その後、離間及び接合がなされて木質建材が製造される場合は、木質建材を製造する事業者は、積層体を離間させ、基材と接合させるのみでよく、少ない工程で効率よく木質建材を製造することができる。
本発明の木質建材の製造方法により製造される木質建材は、化粧板の裏面に塗布された硬化剤がそのまま保持され、接合部が均質であって、品質のよい木質建材とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。
(1)化粧板積層体
本発明の化粧板積層体は、化粧板と、化粧板の裏面に設けられた硬化剤層とを備え、硬化剤層は二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液からなり、且つ2枚の化粧板が、各々の裏面側同士が対向するようにして積層された一組の積層体、又は一組の積層体に、更に一組以上の積層体が積層された積層体である。
また、化粧板と、化粧板の裏面に設けられた乾燥硬化剤層とを備え、乾燥硬化剤層は二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が乾燥されてなり、且つ少なくとも2枚の化粧板が積層された積層体
とすることもできる。
尚、化粧板の裏面とは、化粧板における各種の木質基材からなる側の面であり、意匠面ではない面である。
【0011】
化粧板は特に限定されないが、例えば、合板、パーティクルボード、ファイバーボード、配向性ストランドボード、集成材、ブロックボード等の木質基材の一面(表面)に、各種の接着剤により、各種の化粧紙、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン及びポリエチレンテレフタレート等からなる化粧シート、並びに天然銘木を薄くスライスした突板などの化粧材を接合してなるものが挙げられる。化粧板の用途としては、例えば、壁材、床材、天井材、階段の側板及び段板、窓枠、幅木等の木質建材が挙げられる。また、家具及びピアノ等の楽器などの構成部材として用いることもできる。木質基材と化粧材とは、各種の方法により接合させることができるが、蒸気プレス等のホットプレス及びヒートロールなどを利用した熱圧締により接合されることが多い。更に、化粧板の厚さも特に限定されず、木質基材と化粧材との合計厚さで1〜50mm、特に2〜10mmであれば、コスト面及び次工程での取扱い易さ等の観点で好ましい。
【0012】
木質基材としては上述のように各種のものを用いることができる。例えば、合板は、木材を薄層にスライスしてなる単板を、複数枚、繊維方向が互い違いとなるように積層させ、熱圧着して接合させた木質ボードである。合板は、厚さ方向の一部に、繊維の配向方向が同一方向である2層又は3層の単板を有する構成であってもよい。また、合板は、木材を薄層にスライスしてなる単板を、複数枚、繊維方向が同一方向となるように積層させ、熱圧着して接合させた木質ボードであってもよい。
【0013】
更に、パーティクルボード及び中密度繊維板は、木材の切削及び破砕等により発生した木片を、接着剤とともに混合し、マット状に成形したものを熱圧締してなる木質ボードであり、接着剤は木片同士を結着させるためのバインダーとなる。また、ファイバーボードは、木材の蒸射、解繊等により発生する木材繊維を接着剤とともに混合し、マット状に成形したものを熱圧締してなる木質ボードであり、接着剤は木材繊維同士を結着させるためのバインダーとなる。更に、配向性ストランドボードは、木材の薄い削片を配向させて積層し、接着させたものであり、削片は、パーティクルボードに用いられる木片より面積が大きく薄いため、木材の異方性がより多く残存したボードとなる。
【0014】
また、集成材は、ひき板又は小角材などを、繊維方向を互いに平行にして長さ、幅、厚さ方向に集成接着したものである。更に、
ブロックボードは、ブロック状の木材の小片を、板状に集成接着したものである。
【0015】
化粧材も特に限定されず、例えば、化粧紙及び化粧シート等が挙げられる。より具体的には、天然木の木目模様などを印刷した各種の合成樹脂フィルム等からなる化粧シートなどを用いることができる。また、メラミン樹脂フィルムなどを貼着した場合は、化粧板の耐水性を高めることができる。このように耐水性の高い化粧板は、厨房、洗面所、風呂などの建物における湿気の多い箇所に用いられる木質建材などに好適に用いることができる。
【0016】
木質基材に接合される化粧材としては突板を用いることもできる。この突板は、国内外の各種の樹木をスライサー、ロータリーといった機械で薄層にスライスしたものであり、この突板の木目によって優れた外観を有する化粧板とすることができる。突板の原木の樹種としては、例えば、ホワイトオーク、レッドオーク等のオーク、チーク、メイプル、杉、ウォルナット、チェリー及びバンブー等が挙げられる。更に、化粧材の厚さは特に限定されないが、通常、0.1〜0.5mmであり、0.2〜0.3mmであることが好ましい。
【0017】
化粧材である化粧紙、化粧シート及び突板等を木質基材に接合させるための接着剤は特に限定されず、各種の接着剤を使用することができる。接着剤としては、化粧材等の製造に従来から用いられている各種の接着剤を用いることができる。例えば、酢酸ビニル系の接着剤を使用することができ、酢酸ビニル樹脂にイソシアネート系架橋剤又は尿素樹脂を配合した接着剤を使用することもできる。また、アクリル変性酢酸ビニル樹脂接着剤及びエチレン酢酸ビニル共縮合樹脂接着剤等も使用することができる。
【0018】
また、突板の場合、その表面に、木目の視認性が損なわれないように表面塗装を施すこともできる。表面塗装に用いる塗料は特に限定されず、ウレタン系塗料、ポリエステル系塗料、フェノール樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料等を用いることができ、これらの塗料のうちではウレタン系塗料が好ましい。表面塗装に用いる塗料は、透明、半透明の塗膜が形成され、木目の視認性が損なわれないものが好ましく、塗膜の厚さは1〜2μm程度であることが好ましい。更に、塗料には、各種の着色料、特に顔料系のホワイト、イエロー、レッド等の着色料を配合して調色することもできる。
【0019】
本発明の化粧板積層体では、化粧板の裏面には、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布され、硬化剤層が形成されている。また、硬化剤液が乾燥されていない
ため、2枚の化粧板が、各々の裏面側同士、即ち、硬化剤液が塗布されている面同士が対向するようにして積層され、化粧板積層体が製作されている。一方、硬化剤液が乾燥され、乾燥硬化剤層が形成されているときは、少なくとも2枚の化粧板を、裏面側同士、表面同士、又は裏面側と表面が対向するように積層して、化粧板積層体を製作すること
もできる。また、いずれの化粧板積層体であっても、これらの化粧板を用いて木質建材を製造する際に、工程間の移動時等に他の物品との接触等による硬化剤層又は乾燥硬化剤層の一部の欠損などの問題が生じることがない。
【0020】
本発明の化粧板積層体では硬化剤液は乾燥されて
いない。硬化剤液は、通常、水又は有機溶媒に溶解又は分散された溶液又は分散液であるため、流動性を有する。従って、化粧板に塗布するときの作業性、及び保管するときの取り扱い易さ等を考慮し、必要であれば液分の少なくとも一部を蒸散させる。ここで、乾燥されているとは、液分が十分に除去され、硬化剤層が実質的に固化され、乾燥硬化剤層となった状態であることを意味する。一方、乾燥されていないとは、硬化剤層が実質的に固化された状態ではないものの、必要に応じて液分の一部が蒸散され、保管するために移動させるとき等の取り扱い易さなどは十分に良好であることを意味する。
尚、この硬化剤液の乾燥の意味は、化粧板の保管方法及び化粧板の製造方法においても同様である。
【0021】
2枚の化粧板の各々の裏面側同士が対向するようにして積層され化粧板積層体である場合、一組の積層体のみでもよいが、通常、この一組の積層体に、更に一組以上の他の積層体が積層された化粧板積層体とされる。このように複数の積層体が積層される場合、各々の積層体の化粧材面同士が接するようにして順次積層される。一方、少なくとも2枚の化粧板を表面又は裏面側に関係なく積層してなる化粧板積層体である場合も、通常、2枚を超えて多数枚が積層される。
【0022】
二液分離塗布型接着剤は、主剤液と硬化剤液とからなり、化粧板積層体では、化粧板の裏面、即ち、木質基材の化粧材が接合される面と反対側の面に硬化剤液が塗布され、本発明の化粧板積層体では硬化剤層が形成され、他の化粧板積層体では乾燥硬化剤層が形成されている。二液分離塗布型接着剤としては、木質建材等の製造において化粧板と基材との接合に用いられる一般的な接着剤を特に限定されることなく用いることができる。
【0023】
二液分離塗布型接着剤としては、例えば、アセトアセチル化ポバールを乳化剤とした酢酸ビニル樹脂エマルジョン及びアセトアセチル化ポバール混入アクリルエマルジョン等からなる主剤液と、ヒドラジン誘導体を含有する硬化剤液との組み合わせ、反応性アクリル系構造用接着剤であるエラストマー、アクリルモノマー(アクリルオリゴマー)、硬化触媒、促進剤、安定剤の組み合わせ等が挙げられる。
【0024】
また、二液分離塗布型接着剤としては、尿素樹脂等のアミノ樹脂と、塩酸混入ポバールとの組み合わせ、及び特定のアクリルウレタン樹脂と有機過酸化物とを含有する主剤液と、この主剤液とレドックス触媒系を形成する還元剤を含有する硬化剤液との組み合わせなどの接着剤を用いることもできる。
【0025】
化粧板の裏面に硬化剤液を塗布する方法も特に限定されず、二液分離塗布型接着剤の種類等にもよるが、ロールスプレダー、エアスプレー、エアレススプレー、及び刷毛ヘラ等の通常の塗布用具を用いることができる。
【0026】
(2)化粧板の保管方法
本発明の化粧板の保管方法は、木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とする前に、木質基材の裏面に、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布され、その後、木質基材の表面に化粧材を接合させて化粧板とする、又は木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とした後、木質基材の化粧材が接合された面とは反対側の面に、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液を塗布する硬化剤塗布工程と、2枚の化粧板を、各々の裏面側同士が対向するようにして積層してなる一組の積層体、又は一組以上の積層体を更に積層してなる積層体である化粧板積層体とする積層工程と、化粧板積層体を積層された状態のまま保管する保管工程と、を備える。
【0027】
他の本発明の化粧板の保管方法は、木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とする前に、木質基材の裏面に、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布され、その後、木質基材の表面に化粧材を接合させて化粧板とする、又は木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とした後、木質基材の化粧材が接合された面とは反対側の面に、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液を塗布する硬化剤塗布工程と、一の化粧板を、表面側が下面となるようにして静置し、次いで、一の化粧板の裏面側に他の化粧板の裏面側を積層してなる積層体、又は他の化粧板の表面に更に他の化粧板の表面を積層させ、その後、複数の化粧板の裏面側同士と表面同士とを交互に順次積層させてなる積層体である化粧板積層体とする積層工程と、化粧板積層体を積層された状態のまま保管する保管工程と、を備える。
【0028】
更に
、木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とする前に、木質基材の裏面に、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布され、その後、木質基材の表面に化粧材を接合させて化粧板とする、又は木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とした後、木質基材の化粧材が接合された面とは反対側の面に、二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液を塗布する硬化剤塗布工程と、硬化剤液を乾燥させる乾燥工程と、少なくとも2枚の化粧板を積層してなる積層体である化粧板積層体とする積層工程と、化粧板積層体を積層された状態のまま保管する保管工程と、を備える
化粧板の保管方法とすることもできる。
【0029】
本発明、
及び他の化粧板の保管方法における化粧板については、前記(1)の化粧板積層体における化粧板に係る記載をそのまま適用することができる。また、二液分離塗布型接着剤及び硬化剤液を化粧板の裏面に塗布する方法についても、前記(1)の化粧板積層体における二液分離塗布型接着剤及び硬化剤液の塗布方法に係る記載をそのまま適用することができる。尚、化粧板の裏面とは、化粧板における各種の木質基材からなる側の面であり、意匠面ではない面である。
【0030】
本発明の化粧板の保管方法では、二液分離塗布型接着剤の硬化剤液が塗布された2枚の化粧板は、各々の硬化剤液が塗布された裏面側同士が対向するようにして積層され、一組の積層体からなる化粧板積層体が形成される。また、通常、この一組の積層体に、一組以上の他の積層体が更に積層されてなる化粧板積層体が形成され、保管される。
【0031】
他の本発明の化粧板の保管方法では、一の化粧板を、化粧材が接合された表面側が下面となるようにして所定の保管場所に静置し、次いで、一の化粧板の裏面側、即ち、木質基材の硬化剤液が塗布された面側に、他の化粧板の裏面側、即ち、木質基材の硬化剤液が塗布された面側を積層してなる積層体、又は他の化粧板の表面、即ち、化粧材面に更に他の化粧板の表面、即ち、化粧材面を積層させ、その後、複数の化粧板の裏面側同士と表面同士とが交互に順次積層されるようにして化粧板積層体が形成され、保管される。
【0032】
更に
、木質基材の化粧材が接合された面とは反対側の面に塗布された硬化剤液を乾燥させる乾燥工程を備え、硬化剤液が乾燥されて乾燥硬化剤層が形成された後、各々の化粧板の裏面側同士、表面同士、又は裏面側と表面が対向するように積層されるようにして化粧板積層体が形成され、保管される
保管方法とすることもできる。硬化剤液は、通常、溶液又は分散液であり、乾燥工程では、硬化剤液の種類及び塗布量等によって、液分が十分に除去され、実質的に固化された状態となるような温度、時間等の条件によって乾燥される。
【0033】
そして、本発明の化粧板の保管方法、
他の化粧板の保管方法のいずれの場合も、化粧板積層体は、積層された状態のままで保管される。どのようにして保管するかは特に限定されないが、通常、複数の積層体又は化粧板が積み重ねられた状態で保管される。積み重ねられる積層体の個数又は化粧板の枚数は特に限定されないが、特に下部の化粧板の裏面に形成された硬化剤層又は乾燥硬化剤層に過度な荷重が加わらない個数又は枚数であることが好ましい。積み重ねられる個数又は枚数は、化粧板の厚さ及び重量並びに硬化剤液の種類及び塗布量等にもよるが、積み重ねられる積層体の個数は、通常、5〜5000個、特に40〜2500個であることが好ましい。この場合、保管される化粧板の枚数は、10〜10000枚、特に80〜5000枚となる。また、積み重ねられる化粧板の枚数は、通常、10〜10000枚、特に80〜5000枚である。
【0034】
更に、保管は、通常、静置状態でなされるため、化粧材が互いに接した状態で保管される場合でも、化粧材の間に、表面を保護するための保護材を介装させる必要はない。しかし、化粧材が、互いにずれ易く、表面が傷ついて意匠性が低下することが懸念される材質からなる場合は、積み重ねられた化粧板の化粧材間に、適宜の材質の合成樹脂フィルム等からなる保護材を介装させてもよい。化粧材と化粧板の裏面側とが接した状態で保管されるときも同様である。
【0035】
また、保管時の温度、湿度等は特に限定されず、例えば、環境条件そのままであってもよく、必要に応じて、調温、調湿された特定の雰囲気において保管してもよい。更に、保管期間も特に限定されず、積層されていた2枚の化粧板が離間され、木質建材の製造に供されるまでの期間であり、通常、1〜180日間、特に3〜90日間である。尚、前述の温度、湿度等の保管条件は、保管期間の長短も勘案して設定することが好ましい。
【0036】
(3)木質建材の製造方法
本発明の木質建材の製造方法では、裏面に二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布された化粧板の、裏面側同士が対向するようにして積層されて保管されていた少なくとも一組の積層体からなる化粧材積層体を構成する化粧板を裏面側で離間させ、その後、それぞれの化粧板の硬化剤が塗布された裏面側と、基材の二液分離塗布型接着剤の他方の液である主剤液が塗布された面側とを接合させる。
【0037】
また、裏面に二液分離塗布型接着剤の一方の液である硬化剤液が塗布され、且つ硬化剤液が乾燥された少なくとも2枚の化粧板が積層された積層体として保管されていた化粧板積層体を構成する化粧板を離間させ、その後、それぞれの化粧板の硬化剤液が塗布され、乾燥された裏面の側と、基材の二液分離塗布型接着剤の他方の液である主剤液が塗布された面側とを接合させる
木質建材の製造方法とすることもできる。
【0038】
本発明及び
他の木質建材の製造方法における化粧板については、前記(1)の化粧板積層体における化粧板に係る記載をそのまま適用することができる。また、二液分離塗布型接着剤及び硬化剤液を化粧板の裏面に塗布する方法についても、前記(1)の化粧板積層体における二液分離塗布型接着剤及び硬化剤液の塗布方法に係る記載をそのまま適用することができる。更に、化粧板積層体の保管状態及び保管条件については、前記(2)の化粧板の保管方法における保管状態及び保管条件に係る各々の記載をそのまま適用することができる。尚、化粧板の裏面とは、前記化粧板における各種の木質基材からなる側の面であり、意匠面ではない面である。
【0039】
また、硬化剤液は、木質基材と化粧材とを接合して化粧板とする前の木質基材の裏面に塗布することができる。この場合、裏面に硬化剤液が塗布された木質基材の表面に、接着剤によって化粧材が接合されることになる。また、硬化剤液は、木質基材と化粧材とを接合させて化粧板とした後、木質基材の裏面、即ち、化粧板の裏面に塗布することもできる。尚、このように、木質基材の裏面に硬化剤液を塗布し、その後、化粧材を接合してもよいこと、及び化粧板の裏面に硬化剤液を塗布してもよいこと、は前記の(1)化粧板積層体、及び(2)化粧板の保管方法においても同様である。
【0040】
更に、化粧板の製作には連続加圧ローラー装置等を用いることができる。この場合、木質基材の一面(表面)に、予め、化粧材を接合させるための接着剤を塗布し、且つ他面(裏面)に二液分離塗布型接着剤の硬化剤液を塗布する。その後、接着剤と硬化剤液とを加熱し、接着剤と硬化剤液とが塗布された木質基材を、連続的に供給される化粧材とともにローラー間に連続的に供給し、木質基材と化粧材とを接合させることができ、簡易な工程で効率よく化粧板を製作することができるとともに、硬化剤層を形成することができる。
【0041】
加熱は、例えば、接着剤と硬化剤液とが塗布された木質基材を連続加圧ローラー装置等に供給する前工程及び/又は後工程に設置された遠赤外線照射装置等の熱線照射装置及び加熱炉などを用いて実施することができる。また、連続加圧ローラー装置のローラーそのものを加熱ローラーとして加熱することもできる。尚、硬化剤液は、水又は有機溶剤に溶解又は分散されており、加熱により水又は有機溶剤の少なくとも一部を蒸散させ、硬化剤層とすることができる。
【0042】
積層されていた化粧板を離間させる方法は、化粧板及び硬化剤層が傷付いたりしない限り特に限定されない。通常、それぞれの化粧板の一辺側から剥離を開始し、他辺側へと剥離し、全面を剥離させ離間させることができる。
【0043】
化粧板を接合させる基材は特に限定されない。例えば、フラッシュ加工では、無垢材、合板、単板積層材、パーティクルボード及び中密度繊維板等を用いることができる。また、練り合わせ加工では、合板、パーティクルボード及び中密度繊維板等を用いることができる。
【0044】
基材の一面又は両面には、二液分離塗布型接着剤の他方の液である主剤液が塗布される。主剤液を塗布する方法は特に限定されず、二液分離塗布型接着剤の種類等にもよるが、ロールスプレダー、エアスプレー、エアレススプレー、及び刷毛ヘラ等の通常の塗布用具を用いることができる。
【0045】
二液分離塗布型接着剤の硬化剤液が塗布された化粧板と、二液分離塗布型接着剤の主剤液が一面又は両面に塗布された基材とは、化粧板の硬化剤液が塗布され、硬化剤層が形成された面側と、基材の主剤液が塗布された面とが積層され、接合される。接合方法は特に限定されないが、接合面の全面をより均等に接合させるため、積層体を両面から押圧して加圧し、接合させることが好ましい。このような接合方法としては、連続加圧ローラー装置等を用いて、接合面の全面をより均等に加圧することができる方法などが挙げられる。また、二液分離塗布型接着剤は、通常、特に加熱しなくても、短時間で硬化可能なものが多いが、加熱によって、より短時間で完全硬化させることもできる。
【0046】
硬化剤液が塗布された化粧板と、主剤液が塗布された基材とは、積層し、接合させる前に各々を予め加熱することができる。更に、硬化剤液が塗布された化粧板と、主剤液が塗布された基材とが、連続加圧ローラー装置等に供給され、加圧されるときに同時に加熱することもできる。加熱は、遠赤外線照射装置等の熱線照射装置及び加熱炉などを用いて実施することができる。また、連続加圧ローラー装置等のローラーそのものを加熱ローラーとして加熱することもできる。
【0047】
更に、木質建材は、化粧板を製作する事業者が同一事業所内等で、積層体を離間させ、二液分離塗布型接着剤の主剤液が塗布された基材と接合させて製造することができる。更に、本発明の木質建材の製造方法では、化粧板を製作する事業者と、木質建材を製造する事業者とが異なるときに、特に有用である。即ち、複数個の積層体又は複数枚の化粧板を、積み重ねられた状態で保管していた事業者から、木質建材を製造する事業者へと搬送し、その後、離間及び接合をすることができる。
【0048】
上述のように、化粧板を保管していた事業者から、木質建材を製造する事業者へと化粧板積層体を搬送し、その後、離間及び接合する場合、木質建材を製造する事業者は、化粧板の裏面に硬化剤液を塗布する工程を省略することができる。従って、硬化剤液を購入する必要がなく、硬化剤液を塗布する装置、スペース及び硬化剤液を乾燥させる養生期間も必要とせず、効率よく木質建材を製造することができる。
【0049】
(4)木質建材
木質建材は、上記(3)の本発明の木質建材の製造方法により製造
することができる。
この木質建材では、化粧板の裏面に塗布された硬化剤液に含有された硬化剤がそのまま保持されるため、化粧板と基材との接合部が均質であって、品質のよい木質建材とすることができる。この木質建材としては、例えば、天井材、外周壁及び間仕切り壁等の壁材、化粧フローリング等の床材、階段の踏板、並びに板戸及び格子戸等の建具などが挙げられる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1(化粧板積層体及びその保管)
ラワン材からなる厚さ2.5mmの中密度繊維板に、30g/m
2の強化紙を接合させた化粧板の裏面に、二液分離塗布型接着剤の硬化剤液(住友林業クレスト社製、商品名「ハードナーXX−117)を33g/m
2の塗布量でスプレー塗布し、裏面側同士が対向するようにして30枚を積層させて保管した。
【0051】
実施例2(化粧板積層体及びその保管)
実施例1に記載の中密度繊維板を、針葉樹からなる厚さ3.0mmの中密度繊維板とした他は、実施例1と同様にして化粧板を保管した。
【0052】
製作例1(化粧板の製作)
ラワン材からなる厚さ2.5mmの中密度繊維板30枚の各々の表面に、強化紙ラミネート用の接着剤を塗布し、その直後に、化粧板の裏面となる面に二液分離塗布型接着剤の硬化剤液(住友林業クレスト社製、商品名「ハードナーXX−117)を33g/m
2の塗布量でロールコーターにて塗布した。次いで、これを乾燥炉で表面の粘着性が多少残る程度、且つ裏面に殆ど水分が残らない程度まで乾燥させ、その後、70℃のヒートロールで30g/m
2の強化紙を表面に接合して、裏面に乾燥硬化剤層が形成された化粧板を製作した。
【0053】
製作例2(化粧板の製作)
実施例1に記載の中密度繊維板を、針葉樹からなる厚さ3.0mmの中密度繊維板とし、実施例
1に記載の30g/m
2の強化紙を、厚さ0.08mmのポリオレフィンシートとした他は、
製作例1と同様にして化粧板を製作した。
【0054】
実施例3(化粧板積層体及びその保管)
針葉樹からなる厚さ3.0mmの中密度繊維板30枚の各々の表面に、ポリオレフィンシート用の接着剤を塗布し、その直後に、二液分離塗布型接着剤の硬化剤液(住友林業クレスト株式会社製、商品名「ハードナーXX−117)を40g/m
2の塗布量でスポンジロールにて塗布した。その後、直ちに表面に0.08mmのポリオレフィンシートをラミネートして脱気し、裏面側同士が対向するようにして30枚を積層させてからプレスした。その後、そのままの状態で養生させつつ化粧板を保管した。
【0055】
実施例4(木質建材の製造)
木質建材を製造する事業者が、実施例3のようにして保管されていた化粧板と、二液分離塗布型接着剤の主剤液(住友林業クレスト社製、商品名「インスターボンドKH−1085K」)とを購入し、パーティクルボードとハニカムとからなる基材の表面に120g/m
2の塗布量で主剤液をロールスプレッダーにて塗布した。その後、積層されていた化粧板を離間させ、次いで、化粧板の硬化剤液が塗布され、硬化剤層が形成された裏面側と、基材の主剤液が塗布された面とが接するようにして積層された状態で、コールドプレスにて90秒間のフラッシュ貼りして接合させ、5分後にテノーナー加工を行って木質建材を製造した。木質建材を製造する事業者は、木質建材を製造するのに7分を要したのみであり、後記の比較例3、4と比べて極めて効率的に木質建材を製造することができた。
【0056】
比較例1
裏面側同士を対向させるのではなく、表面と裏面側とが対抗するようにして30枚の化粧板を積層させた他は、実施例1と同様にして化粧板を保管した。このようにして保管した場合、一の化粧板の裏面に塗布された二液分離塗布型接着剤の硬化剤液が、積層されていた他の化粧板の表面に転写してしまい、一の化粧板の硬化剤液の添加量が減少していた。更には他の化粧材の表面が硬化剤液により汚染されていた。
【0057】
比較製作例1
製作例1において、裏面に二液分離塗布型接着剤の硬化剤液を塗布しなかった他は、同様にして化粧板を製作した。
【0058】
比較例2
実施例3において、裏面に二液分離塗布型接着剤の硬化剤液を塗布しなかった他は、同様にして30枚の化粧板を保管した。
【0059】
比較例3
木質建材を製造する事業者が、一般的な化粧板と、フラッシュ貼り用の木質建材用接着剤とを購入し、その後、化粧板と、フラッシュ貼り用の木質建材用接着剤が塗布されたフラッシュ基材とを40分間プレスしてフラッシュ貼りをし、12時間養生後にテノーナー加工をして木質建材を製造した。木質建材を製造する事業者は、木質建材を製造するのに2日間を要した。
【0060】
比較例4
木質建材を製造する事業者が、二液分離塗布型接着剤の硬化剤液が塗布されていない一般的な化粧板と、二液分離塗布型接着剤とを個別に購入した。その後、化粧板の裏面に二液分離塗布型接着剤の硬化剤液を塗布して一晩養生し、次いで、二液分離塗布型接着剤の主剤液が塗布されたフラッシュ基材を使用して90秒のプレス条件でフラッシュ貼り接着を行い、5分後にテノーナー加工をして木質建材を製造した。木質建材を製造する事業者は、硬化剤液の塗布を要し、木質建材を製造するのに2日間を要した。
【0061】
次いで、実施例1〜3、製作例1、2及び比較例1、2、比較製作例1における化粧板を使用し、フラッシュ接着加工及び練り合せ接着加工を行った。
(1)フラッシュ接着加工
中密度繊維板及びハニカムからなる厚さ30mmのフラッシュ基材に、二液分離塗布型接着剤の主剤液(住友林業クレスト社製、商品名「インスターボンドKH−1085K」)を120g/m
2の塗布量でロールスプレッダーにより塗布し、塗布面に、実施例1〜3、製作例1、2及び比較例1、2、比較製作例1の化粧板を載せて、90秒間冷圧プレスをして接合させた。そして、5分後に化粧板の側部端面を切削加工した。尚、上述の主剤液は、通常の冷圧プレスによりフラッシュ接着させることができる接着剤成分である。
(2)練り合せ接着加工
厚さ9mmのラワン合板基材に、二液分離塗布型接着剤の主剤液(住友林業クレスト株式会社製、商品名インスターボンドKH−1085K)を100g/m
2の塗布量で塗布し、塗布面に、実施例1〜3、製作例1、2及び比較例1、2、比較製作例1の化粧板を載せて、90秒間冷圧プレスをして接合させた。そして、5分後に化粧板の側部端面を切削加工した。尚、上述の主剤液は、通常の冷圧プレスにより練り合せ接着させることができる接着剤成分である。
尚、上記(1)、(2)において、90秒間冷圧プレスして接合させ、5分経過後に切削加工したが、この経過時間は、木質建材を製造する事業者の接合から切削加工までの所用時間が6分30秒であると想定したことに基づいて設定したものである。
【0062】
切削後の接着状態を表1に記載する。表1における、〇は切削加工をした後も良好な接着状態が維持されていた、△は接合された状態ではあるが剥離抵抗が著しく低い、×は接合直後に剥離した、又は切削加工時に剥離して接合状態を維持することができなかったことを意味する。尚、化粧板の品質が長期間経過後も維持されているか確認することを目的として、それぞれの接着加工は、化粧板製作から3日経過後、及び3ヶ月経過後に実施した。
【0063】
【表1】
【0064】
表1によれば、実施例1〜3及び製作例1、2の化粧板を用いた場合、化粧板を製作してから、3日及び三ケ月経過後のいずれの場合も、切削加工をした後も良好な接着状態が維持されていることが分かる。一方、比較例1の化粧板では、3日経過後は接合された状態ではあったが剥離抵抗が低く、三ケ月経過後は切削直後に剥離してしまった。また、比較製作例1及び比較例2では、3日経過後、三ケ月経過後ともに、接合直後に剥離してしまったことが分かる。