(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記誘導部が、前記物品または物品の収納場所に関連を有する前記自動読み取り可能な光学的特徴情報と同様の自動読み取り可能な光学的特徴情報による方法、電波を用いる誘導方法、加速度計とジャイロの組み合わせによる慣性航法、外部カメラを用いて作業員または作業員とともに移動する用具に付した光学的特徴を認識する方法のいずれか1の方法、または、それらの2以上の組み合わせによる方法を用いたものであることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記情報処理部において、前記特定の光学的特徴情報に係る画像情報を加工すると共に、ピッキング/収納作業を支援するためのピッキング/収納作業支援情報を作成し、前記加工された画像情報を、前記ディスプレイ上で、前記特定の光学的特徴情報に係る場所に関連付けて表示するとともに、前記ピッキング/収納作業支援情報を前記ディスプレイに表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記ディスプレイが、実際の目視風景情報と、作成された情報との両方を表示できるヘッドマウントディスプレイであり、前記情報処理部で加工された前記特定の光学的特徴情報に係る画像情報を、前記特定の光学的特徴情報に係る場所の実際の目視風景情報に関連付けて前記ディスプレイに表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記ディスプレイが可搬表示装置であり、前記加工された光学的特徴情報に係る画像情報を、前記特定の光学的特徴情報に係る場所の前記撮像部で取得した画像情報に関連付けて前記ディスプレイに表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、物品または物品の収納場所に関連を有する前記自動読み取り可能な光学的特徴情報が、識別子であることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項9に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記識別子の基材が印刷可能な基材であることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項9に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記識別子の基材が情報の書き換えが可能な基材であることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項9に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記識別子の画像情報から、作業員の現在位置を把握することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項9に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記ピッキング/収納作業指示情報またはピッキング/収納作業支援情報を、前記識別子に重ねて表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、ピッキングした、または収納すべき物品について、前記物品に付された前記物品を特定する情報を、前記撮像部で撮像し、前記ピッキング/収納作業指示情報通りの物品であるかどうかを認識することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記撮像部の視野において、作業員の手指を用いたジェスチャによって、作業や表示に関する情報が入力されることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、音声入力部及び/もしくは音声出力部を含む音声応答装置をさらに備えることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記情報処理部が遠隔に設けられることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、作業員の作業履歴を収集することが可能であることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記ディスプレイに作業指標を表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記ピッキングまたは収納すべき物品の数が不足している場合に、前記情報処理部において、予め定めてあるルールに従って、作業員に対応するための指示を与えることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記光学的特徴が検出できないことをもって、前記光学的特徴自体、または前記光学的特徴を設置してある構造物の不具合を検出することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項1または請求項2に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、更に、ディスプレイ及び作業指示部を有する管理端末が設けられることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援装置。
請求項23に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記ピッキング作業支援装置に、更に、物品の収納場所に作業員を誘導する誘導部を含み、前記ピッキングまたは収納作業支援装置の誘導部によって、前記作業員を物品の収納場所へ誘導したのちに、前記情報処理部において、前記検出された光学的特徴情報と前記第1の手段にて与えられたピッキング/収納作業指示情報とに基づき、前記特定の光学的特徴情報に係る画像情報を加工し、前記加工された画像情報を、前記ディスプレイ上で、前記特定の光学的特徴情報に係る場所に関連付けて表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記誘導部が、前記物品または物品の収納場所に関連を有する前記自動読み取り可能な光学的特徴情報と同様の自動読み取り可能な光学的特徴情報による方法、電波を用いる誘導方法、加速度計及びジャイロの組み合わせによる慣性航法、外部カメラを用いて作業員または作業員とともに移動する用具に付した光学的特徴を認識する方法のいずれか1の方法、または、それらの2以上の組み合わせによる方法を用いたものであることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、更に、ピッキング/収納作業指示情報が光学的特徴情報と関連付けられて記憶される記憶部を含み、前記情報処理部において、前記検出された光学的特徴情報と前記記憶部のピッキング/収納作業指示情報とに基づき、前記特定の光学的特徴情報に係る画像情報を加工し、前記加工された画像情報を、前記ディスプレイ上で、前記特定の光学的特徴情報に係る場所に関連付けて表示することを更に特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、更に、ピッキングまたは収納すべき物品の品質を検査する物品品質検査部を含み、前記物品がピッキングまたは収納するのに不適切であった場合に、所定の処理方法を指示することを更に特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記情報処理部において、前記特定の光学的特徴情報に係る画像情報を加工すると共に、ピッキング/収納作業を支援するためのピッキング/収納作業支援情報を作成し、前記加工された画像情報を、前記ディスプレイ上で、前記特定の光学的特徴情報に係る場所に関連付けて表示するとともに、前記ピッキング/収納作業支援情報を前記ディスプレイに表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記ディスプレイが、実際の目視風景情報と、作成された情報との両方を表示できるヘッドマウントディスプレイであり、前記情報処理部で加工された前記特定の光学的特徴情報に係る画像情報を、前記特定の光学的特徴情報に係る場所の実際の目視風景情報に関連付けて前記ディスプレイに表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記ディスプレイが可搬表示装置であり、前記加工された光学的特徴情報に係る画像情報を、前記特定の光学的特徴情報に係る場所の前記撮像部で取得した画像情報に関連付けて前記ディスプレイに表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、物品または物品の収納場所に関連を有する前記自動読み取り可能な光学的特徴情報が、識別子であることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項31に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記識別子の基材が印刷可能な基材であることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項31に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援装置であって、前記識別子の基材が情報の書き換えが可能な基材であることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項31に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記識別子の画像情報から、作業員の現在位置を把握することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項31に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記ピッキング/収納作業指示情報またはピッキング/収納作業支援情報を、前記識別子に重ねて表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、ピッキングした、または収納すべき物品について、前記物品に付された前記物品を特定する情報を、前記撮像部で撮像し、前記ピッキング/収納作業指示情報通りの物品であるかどうかを認識することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記撮像部の視野において、作業員の手指を用いたジェスチャによって、作業や表示に関する情報が入力されることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、音声入力部及び/もしくは音声出力部を含む音声応答装置をさらに備えることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記情報処理部が遠隔に設けられることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、作業員の作業履歴を収集することが可能であることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記ディスプレイに作業指標を表示することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記ピッキングまたは収納すべき物品の数が不足している場合に、前記情報処理部において、予め定めてあるルールに従って、作業員に対応するための指示を与えることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、前記光学的特徴が検出できないことをもって、前記光学的特徴自体、または前記光学的特徴を設置してある構造物の不具合を検出することを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
請求項23または請求項24に記載の物品のピッキングまたは収納作業支援システムであって、更に、ディスプレイ及び作業指示部を有する管理端末が設けられることを特徴とする物品のピッキングまたは収納作業支援システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、これまでの、表示器を使用するピッキング作業支援方法では、設備が大掛かりになり、かつ、高価な表示器を多数必要とするという問題があった。
【0007】
そこで、上記問題を解決するため、本発明は、容易に作成できる安価なタグ、すなわち、バーコードあるいはマーカーのような自動読取可能な光学的特徴を印刷した紙札などを、物品棚などに取り付け、その光学的特徴をカメラで検知するようにして、カメラで撮影した光学的特徴に対応して、ピッキング指示をディスプレイに表示するようにして、物品のピッキング作業を正確にかつ迅速に行わせる、物品のピッキング作業支援装置及びシステムを提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、第1の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置は、
A)物品または物品の収納場所に関連を有する自動読み取り可能な光学的特徴情報を含む画像情報を取得する撮像部と、
B)撮像部で取得した画像情報から光学的特徴情報を検出し、光学的特徴情報に係る画像情報を加工する情報処理部と、
C)画像情報、文字情報などの情報を表示するディスプレイと
を含み、情報処理部において、検出された光学的特徴情報と所定のピッキング作業指示情報とに基づき、特定の光学的特徴情報に係る画像情報を加工し、その画像情報を、ディスプレイ上で、その特定の光学的特徴情報に関連した場所に表示することを特徴とする。
【0009】
この第1の本発明によれば、何らかの方法で、物品の収納場所まで誘導された状態で、あるいは、コンベヤ上を搬送されてくる物品、ケース内に区分けされて収納された物品、更に、倉庫内に棚を用いずに床置きされた物品など、物品の収納場所までの誘導を必要としないピッキング作業を効率的に進めることが可能となる。
【0010】
また、第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置は、更に
D)物品の収納場所に作業員を誘導する誘導部
を含み、誘導部によって、作業員を物品の収納場所へ誘導したのちに、情報処理部において、検出された光学的特徴情報と所定のピッキング作業指示情報とに基づき、特定の光学的特徴情報に係る画像情報を加工し、その画像情報を、ディスプレイ上で、その特定の光学的特徴情報に関連した場所に表示することを特徴とする。
【0011】
なお、誘導部としては、作業員のカメラを用いて、物品または物品の収納場所に関連を有する自動読み取り可能な光学的特徴情報と同様の自動読み取り可能な光学的特徴情報を認識する方法であってもよいし、GPS・Wi−Fi・無線LAN・携帯電話基地局などのような電波を用いる誘導方法であっても、あるいは、作業員が装着する加速度計及びジャイロの組み合わせによる慣性航法のような誘導方法でも、あるいは外部カメラを用いて作業員または作業員とともに移動する用具に付した光学的特徴情報を認識する方法でも、あるいは、これらの方法の組み合わせであっても、作業員を物品の収納場所へと誘導できるものであれば、どのようなものでもよい。
【0012】
このようにすると、自動読み取り可能な光学的特徴情報による場合は、物品または物品収納部に用いる光学的特徴情報と同様のものを用いることができ、構成が簡便になる。一方、それとは異なる誘導方法を用いる場合は、収納場所の条件に合致した適切な方法を選択することができ、迅速・正確に収納場所に誘導できる。
【0013】
また、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置は、更に、
E)光学的特徴情報と関連付けたピッキング作業指示情報を記憶する記憶部、
を含むこともでき、情報処理部において、検出された光学的特徴情報と記憶部のピッキング作業指示情報とに基づき、特定の光学的特徴情報に係る画像情報を加工し、その画像情報を、ディスプレイ上で、その特定の光学的特徴情報に係る場所に関連付けて表示することを更に特徴とする。
【0014】
また、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置は、更に、
F)ピッキングすべき物品の品質を検査する物品品質検査部
を含むこともでき、物品がピッキングするのに不適切であった場合に、所定の処理方法を指示することを更に特徴とする。
【0015】
このようにすれば、ピッキングすべき物品が、例えば汚損や腐敗などをしている場合に、臭い、温度、色彩、触覚、超音波などのセンサを含む物品品質検査部によって汚損や腐敗の状況を検知することができ、そのような物品をピッキングせずにその旨を報告するとか、代品をピッキングするなどの対応をして、ピッキングの信頼度を増すことができる。
【0016】
更に、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置は、情報処理部において、特定の光学的特徴情報に係る画像情報を加工し、その画像情報を、ディスプレイ上で、その特定の光学的特徴情報に係る場所に関連付けて表示するとともに、情報処理部で作成したピッキング作業支援情報をディスプレイに表示することを特徴とする。
【0017】
更に、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置は、ディスプレイが、実際の目視風景情報と、作成された情報との両方を表示できるヘッドマウントディスプレイであり、情報処理部で加工された特定の光学的特徴情報に係る画像情報を、その特定の光学的特徴情報に係る場所の実際の目視風景情報に関連付けてディスプレイに表示することを特徴とする。
【0018】
第1または第2の本発明の更に別の態様に係る物品のピッキング作業支援装置は、ディスプレイが可搬表示装置であり、加工された光学的特徴情報に係る画像情報を、その特定の光学的特徴情報に係る場所の
撮像部で取得した画像情報に関連付けてディスプレイに表示することを特徴とする。
【0019】
第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置において、物品または物品の収納場所に関連を有する自動読み取り可能な光学的特徴情報が、識別子であることを特徴とする。なお、識別子とは、自動読み取りが容易なように考えられた、バーコードを含む1次元コード、ARマーカー、IDマーカー、NyIDマーカー、DataMatrixマーカー、フレームマーカー、分割マーカー、QRコード(登録商標)を含む2次元コード、これに色を加えて情報量を増やすなどしたカラーコードを含む多次元コードなどのコードに係る情報、OCR等で読み取れる文字や読み取りを容易にした文字に係る情報である。
【0020】
また、その識別子が付されるべき基材については、紙、布、プラスチック、フィルムなど、その表面に印刷が可能な基材であるとしてもよい。安価に作成できるため、コスト低減に資する。
【0021】
あるいは、その識別子が付されるべき基材については、情報の書き換えが可能な基材であるとしてもよい。例えば、電子ペーパー、ELディスプレイ、電光板などで、その場合は、資源ロスが少なくて済む。
【0022】
なお、識別子の画像情報から、作業員の現在位置を把握するとしてもよい。すなわち、識別子が所定の形状、寸法を有しているため、撮像された情報から、作業員と識別子の距離及び方位を求めることができる。それにより、識別子の位置が予め定められていれば、作業員の現在位置を把握することができ、その後の誘導やピッキングの指示に極めて有効である。
【0023】
また、作業指示情報や作業支援情報は、識別子に重ねて表示するとしてもよい。このようにすると、識別子から離れた場所に表示する場合に比べ、一目で必要な情報を把握することができるため、ピッキングのミスの低減に役立つ。
【0024】
ここで、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置は、ピッキングした物品について、その物品に付されたバーコードなどの物品を特定する情報を、カメラで撮像し、ピッキング指示情報通りの物品であるかどうかを認識するようにしてもよい。その結果、ピッキングが正しい場合にはディスプレイ上にOKの表示が出るようにしてもよい。ピッキングミスの減少に大きく寄与することが期待できる。
【0025】
また、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置は、カメラの視野において、作業員の手指を用いたジェスチャによって、作業や表示に関する情報を入力するようにしてもよい。例えば、作業の終了報告、作業中の追加指示の要求、表示画面の拡大縮小などに用いることができる。
【0026】
あるいは、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置は、音声入力部及び音声出力部を含む音声応答装置をさらに備え、音声応答装置によって、ピッキング作業支援情報が獲得され、及び/又は、ピッキング作業の結果に係る情報が入力されるとしてもよい。
【0027】
なお、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置は、情報処理部を分離し、遠隔に設けるとしてもよい。いわゆるクラウドコンピューティングなどのように、ネットワークを介して情報の処理を行わせてもよい。このようにすると、高価な情報処理部を削減することができ、また、多数のピッキング作業支援装置に均質のサービスを提供することができる。
【0028】
また、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置で、作業員の作業履歴を収集するとしてもよい。これらを収集することで、作業員の効率改善に役立てることができる。
【0029】
また、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置では、ディスプレイに作業指標を表示するとしてもよい。これにより、作業員に作業の進行を認識させ、効率向上に役立てることができる。
【0030】
また、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置では、ピッキングすべき物品の数が、指定の間口内に不足している場合については、情報処理部において、予め定めてあるルールに従って、不足のままピッキングを継続する、同一または近傍の間口から代品を選択する、別の保管場所へ移動し、指定間口からピッキングするなどの対応を行ってもよい。このようにすれば、不足が生じた場合にも的確に作業が完了できる。
【0031】
また、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置に、直接または、サーバー等を介して接続して、少なくともディスプレイ、及び、文字・画像・音声などによる作業指示部を有する管理端末を設けるとしてもよい。ピッキング支援装置のディスプレイに表示されている情報と同様の情報を表示でき、管理者がそれを目視できるので、作業員の作業を効率よくさせることができる。
【0032】
また、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置では、識別子などの光学的特徴が検出できないことをもって、識別子自体の脱落や汚毀損などの不具合、識別子を設置してある棚、通路などの構造物のずれや倒壊などの不具合を検出するとしてもよい。これにより、倉庫など物品の収納場所や、識別子自体の維持管理が適切に行われ、ピッキング作業の効率化に資する。
【0033】
また、第1または第2の本発明のピッキング作業支援装置において、物品のピッキング作業支援に代えて、物品の収納作業支援を行わせるとしてもよい。すなわち、ピッキング作業指示情報に代えて、収納作業指示情報を表示する。このようにすれは、ピッキング作業支援装置と同等の構成、同等の技術思想により、物品の収納作業支援装置を実現することができる。
【0034】
また、かかる課題を解決するため、第1の本発明に係る物品のピッキング作業支援システムは、
A)物品または物品の収納場所に関連を有する自動読み取り可能な光学的特徴情報と、
B)物品、または物品の収納場所に係る画像情報を取得する撮像部と、撮像部で取得された画像情報から光学的特徴情報を検出し、光学的特徴情報に係る画像情報を加工する情報処理部と、画像情報、文字情報などの情報を表示するディスプレイと、
を含むピッキング作業支援装置を備え、ピッキング作業支援装置の、情報処理部において、検出された光学的特徴情報と所定のピッキング作業指示情報とに基づき、特定の光学的特徴情報に係る画像情報を加工し、その画像情報を、ディスプレイ上で、その特定の光学的特徴情報に係る場所に関連付けて表示することを特徴とする。
【0035】
また、第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援システムは、ピッキング作業支援装置に、更に、物品の収納場所に作業員を誘導する誘導部を含み、ピッキング作業支援装置の誘導部によって、作業員を物品の収納場所へ誘導したのちに、情報処理部において、検出された光学的特徴情報と所定のピッキング作業指示情報とに基づき、特定の光学的特徴情報に係る画像情報を加工し、その画像情報を、ディスプレイ上で、その特定の光学的特徴情報に係る場所に関連付けて表示することを特徴とする。
【0036】
なお、これまでに記述した、第1または第2の本発明に係る物品のピッキング作業支援装置についての多くの特徴は、ピッキング作業支援システムに適用が可能である。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る物品のピッキング作業支援装置では、ピッキングすべき物品の収納場所に関連を有する光学的特徴情報、例えば識別子を、ピッキング
作業指示情報に基づいて、例えば識別子の枠部を赤色に着色するなどのように加工し、その加工した画像情報を、物品の収納されている場所に関連付けてディスプレイに表示するとともに、情報処理部で作成した、物品名、数量などのピッキング作業支援情報をディスプレイに表示することにより、作業員に対してピッキング作業を明確に指示しうることから、より正確で、迅速な物品取り出し作業を支援することができる。
【0038】
また、誘導部を更に設けた場合は、作業員をしてピッキングすべき物品の収納場所に間違いなく到達せしめ、迅速にピッキング作業に着手できる。
【0039】
特に、ディスプレイとしてヘッドマウントディスプレイを用いる場合には、両手が自由になることから、ピッキング作業が容易となる利点があり、更に実際の目視風景の中に加工された光学的特徴情報が表示される場合は、ピッキングすべき場所を間違えるミスが減少する。
【0040】
一方、ディスプレイとしてタブレット、スマートフォン、PC、携帯ゲーム端末(Nintendo 3DS(登録商標)、PSP(登録商標)、PSVita(登録商標)など)などの可搬型ディスプレイを用いる場合は、汎用の機器を使用できることから、簡便にシステムを構成することができる。
【0041】
また、光学的特徴情報として自動読み取りが容易な識別子、例えばARマーカーを使用する場合は、情報の検知や、マーカーの位置・方向情報の認識が容易に行えるため、システムの開発が低コストで行えるうえ、マーカー自身も低コストで製造可能であり、システム運営も安価に行える。
【0042】
更に、音声応答装置を併用する場合には、画像のみの場合に比べて、作業のより正確な実行及び作業結果の確実な入力が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1の実施形態に係るピッキング作業支援装置について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0045】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るピッキング作業支援装置100を含むピッキング作業支援システムの概略説明図であり、
図2は、本発明の第1の実施形態に係るピッキング作業支援装置100の概略構成図である。
【0046】
ピッキング作業支援装置100において、作業員に物品のピッキングを行わせるために、物品を収納してある間口、複数の間口からなる棚、複数の棚の列からなる通路にそれぞれ取り付けられた、間口識別子11、棚識別子12、通路識別子13を含む識別子10が用意される。ここで、各間口には、コンテナ、ダンボールなどの容器に特定の物品が収容されており、その容器に識別子が付設されている。なお、容器でなく、容器を置いてある棚の枠などに識別子を付設してもよいし、物品に直接識別子を付設してもよし、更には、識別子を用いずに、容器または物品自体の形状、表面模様、色彩などを識別してもよい。
【0047】
ここで、物品収納部分の間口、棚、通路の呼称は、物品の収納されている狭い場所から、階層的に広い場所へと名付けたものであり、特にこれらに限定されるものではなく、他の呼び方でもよい。また、棚識別子12、通路識別子13については、棚の前までの誘導が不要か、あるいは、識別子を用いない誘導方法による場合は、省略することもできる。
【0048】
図10に示すように、物品を収納している状態が、棚のような構造物によらず、仕切を有するケース15に収納されており、そのケース15がピッキング作業員の前に提示される場合もある。
【0049】
また、
図12に示すように、物品の形状、作業方法などによっては、物品が屋内または屋外の床に直接、またはパレットのようなものに載せられて置かれることもある。
【0050】
その他にも、移動するコンベヤ上に物品または物品を収納する容器が載置され、作業員の前に順次提示され、その中から指示された物品をピッキングする場合もある。
【0051】
また、識別子としては、好適には、自動読み取りが可能で、識別子自体が安価に製作でき、情報量も多い、ARマーカーを使用するが、これに限定されず、他の識別子であってもよい。識別子は、たとえば紙製基材の上に印刷などの方法で付着・形成される。
【0052】
ピッキング作業支援装置100は、カメラ20などの撮像部、記憶部30、情報処理部40、ヘッドマウントディスプレイ50を含んで構成されている。
【0053】
カメラ20は、物品の収納場所などを撮影するための機能を有している。カメラ20は、デジタルカメラであることが画像処理上は望ましいがこれに限定されるものではない。また、動画が撮影できることが望ましいが、静止画が撮影できるものであってもよい。
【0054】
記憶部30は、識別子10に係る情報と関連付けたピッキング作業指示情報を記憶するための機能を有している。記憶部30には、例えば、作業指示番号、当該作業を実施する作業員番号、当該作業指示にてピッキングする物品に関する、間口番号、収容物品名、ピッキング個数、間口番号に対応する識別子識別番号などに係る諸情報が一連情報として記憶されている。
【0055】
情報処理部40は、カメラ20で撮影した画像情報から識別子10に係る情報を検出し、検出された情報と記憶部30のピッキング作業指示情報とに基づき、ピッキング作業を支援するように識別子に係る画像情報を加工するとともに、ピッキング作業を支援する情報を作成する。
【0056】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)50は、光学系を用いて遠方の仮想視聴距離に画像情報や文字情報などの情報を拡大表示するための機能を有している。ここで、HMD50はハーフミラーなどのシースルー機構51を内蔵し、実際の外界を視覚するとともに、それと併せて、情報処理部40などからの画像情報や文字情報などを表示することができる。
【0057】
ここで、カメラ20は、HMD50と一体に構成されており、電気的に接続されている。更に、記憶部30、及び情報処理部40も、HMD50に内蔵されるか、或いは一体に構成され、カメラ20も含めて相互に電気的に接続されている。実際に作業員がHMD50を装着する際は、たとえば作業員の頭部に装着して使用することができる。また、カメラ20、記憶部30、及び情報処理部40、HMD50については、その駆動のために図示しないバッテリーなどの電源を内蔵しまたはこれと接続されており、更に、必要な場合は、情報の交換をするための、図示しない通信装置とも接続されている。これらのバッテリー及び通信装置は作業員の身体または衣服に固着される、或いは固着もしくは取付可能であることが望ましい。
【0058】
物品品質検査部90は、ピッキング作業支援装置100に接続される。具体的には、臭気、温度、色彩、超音波などの、ピッキングすべき物品が発する情報を検知できる検知器及びその情報解析手段である。検知器の部分は、ピッキング作業支援装置100に内蔵されてもよいし、
図13に示すように、ピッキングすべき物品に接近できるよう、有線または無線により接続された状態で、分離されていてもよい。
【0059】
また、必要に応じて、マイクロホンのような音声入力部、イヤホンのような音声出力部を備えた音声応答装置を付加してもよい。
【0060】
なお、記憶部30は、ピッキング作業の都度、通信装置を介して図示しない遠隔の倉庫管理システムのようなところからピッキング作業指示情報を受け取るように構成すれば、省略することも可能である。
【0061】
次に、上記のように構成される本発明の作用及び動作について詳述する。
【0062】
物品のピッキング作業に従事する作業員は、ピッキング作業の開始に先立ち、準備エリアで、カメラ20が内蔵されたHMD50、記憶部30、及び情報処理部40の一式を受領し、身体または衣服などに装着する。ここで、作業員の個人認証をするために、作業員証(図示しない)をカメラ20で撮影し、作業員証に記載された作業員識別子を検出し、作業員番号を認識する。そして、作業員番号から、記憶部30にある該当するピッキング作業指示情報を取出すことができる。なお、個人認証の方法はこれに限定されず、非接触ICカード、顔認証、音声認識などであってもよい。また、特に個人認証を行わず、準備エリアに到着した順に、作業指示情報を与えるようにしてもよい。
【0063】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るピッキング作業支援装置100の目視状態を示す説明図であり、
図4は本発明の第1の実施形態に係るピッキング作業支援装置100の画像情報の流れを示す説明図である。
【0064】
作業員は、その後、物品の収納されている場所に入り、カメラ20を物品の収納場所の方向に向ける。すると、画像Fが撮影されることで画像情報G1が取得される。画像情報G1には通路識別子13がいくつか含まれている。ここで、情報処理部40が、記憶部30に記憶されているピッキング
作業指示情報P1と画像情報G1に含まれる通路識別子13に係る情報とから、最初にピッキングすべき物品の収納されている通路を特定し、特定された通路識別子13に係る画像情報G2について、例えば、通路識別子13の枠部の色彩を赤色とするような加工を行う。
【0065】
HMD50のディスプレイ画面上には、記憶部40に記憶されているピッキング作業指示情報P1に基づいて、例えば、間口番号、物品名、ピッキングすべき個数などのピッキング作業支援情報P2が表示される。HMD50を装着した作業員は、実際の物品収納棚の風景Fがシースルー機構51を介して視認できるとともに、これらのピッキング作業支援情報P2を視認することができる。ここで、特定された通路識別子については、枠部が赤色に色彩を付与された画像情報G2が、実際の物品収納棚の該当する通路識別子13の位置に、重畳して表示される。
【0066】
その表示方法は次のようにして実現される。まず、HMD50が、作業員の頭部に装着された後で、シースルー機構51を透過して視認され得る目視の風景と、シースルー機構51を介したカメラによる撮影画像との両方が表示される状態とし、かつ、目視の風景と撮影画像とが、作業員にとって一致して重畳的に表示される状態に調整する。
【0067】
その際に、必要に応じ、ヘッドトラッキングデバイスを使用してもよい。例えば、X軸、Y軸、Z軸、ヨー、ピッチ、ロールの6自由度に関して計測することにより、作業員の頭や眼の位置を正確に把握することができ、作業員の移動に伴う重畳的な表示状態の維持を容易にすることができる。
【0068】
その後、カメラによる撮影画像は表示を停止する。作業員が作業を開始し、ピッキング作業指示情報を用いることによって、情報処理部40にて識別子画像情報が加工されると、その加工された識別子画像のみがシースルー機構51を介してディスプレイ画面に表示される。このようにすることにより、目視の風景の通路識別子13部分の枠部が赤色になって表示され、作業員に、ピッキング作業を行うべき通路が示される。
【0069】
なお、ピッキング作業支援情報P2としては、このほかに、ロット番号、ピック単位数、類似商品の注意、流通加工の指示、物品の上下識別方法、物品の静止画像に係る情報など、ピッキングに役立つ情報であればどんな情報であってもよい。また、この情報は、静止画の他に、作業内容を説明するような動画、CG、音声、あるいはそれらの組み合わせ(いわゆるマルチメディア)であってもよい。
【0070】
なお、HMD50は、片方の眼の側のみに情報を表示する機構であっても、両眼ともに情報を表示する機構であってもよい。
【0071】
引き続き、作業員が、通路識別子13で特定された通路に近づいてその通路の棚の群を見回すと、通路識別子13の赤色表示に加えて、通路の特定の場合と同様に、その通路に属する棚のうち、ピッキングすべき物品が収納されている特定の棚識別子12が認識され、かつ、その特定識別子の枠部も赤色になって表示され、作業員に、ピッキング作業を行うべき棚が示される。
【0072】
表示については、特定の通路識別子13及び棚識別子12がどちらも枠部が赤色で表示されるものとしたが、表示を切り替えるようにしてもよい。例えば、特定された通路に近づいたら、その通路識別子を作業員が手などで遮蔽する。作業員のかかる動作を撮影しているカメラの画像が解析されることにより、特定された通路に到達したものとみなして表示が切り替えられる。この場合、誤動作を防止するため、所定の回数(例えば2度)や時間(例えば5秒)遮蔽がなされることを条件としてもよい。なお、表示の切り替え方法についてはこれに限らず、例えば、特定された通路識別子画像が所定の大きさ以上になったことを検知して切り替える、特定の棚識別子画像が視認できたら通路識別子から棚識別子へ表示を切り替える、あるいは、作業員の指示(作業員からの指示情報が受領されたこと)によって切り替えるなど、種々の方法が考えられる。
【0073】
更に、同様に、作業員が、棚識別子12で特定された棚に近づいてその棚の間口の群を見回すと、棚の特定の場合と同様に、
図3に示すように、その棚に属する間口のうち、ピッキングすべき物品が収納されている特定の間口識別子11が認識され、かつ、特定の識別子の枠部も赤色になって表示され、作業員にピッキング作業を行うべき間口が示される。
【0074】
このようにして、作業員は目的の間口に到達すると、そこで、ピッキング作業指示情報に基づいて、指定された物品を指定された個数だけ取出し、台車60の運搬容器70に収納する。なお、同一の間口に異なる物品が収納されている場合には、間口識別子11の近傍に矢印などの案内図形を表示して取出すべき物品を指示するか、物品に更に識別子を付設しておくか、あるいは、物品の形状などを光学的特徴として検出するようにしてもよい。
【0075】
なお、この際に、
図14に示すように、物品自体または物品を収納した容器の外形形状が、例えば赤色に加工されて表示されてもよい。更に、外形形状の内部に物品に関する情報が表示されてもよい。類似形状のものが存在する場合に、ピッキングのミスを防止するのに役立つ。
【0076】
ここで、ピッキングした物品については、その物品に付されたバーコードなどの物品を特定する情報を、カメラで撮像し、ピッキング
作業指示情報通りの物品であるかどうかを認識するようにしてもよい。その結果、ピッキングが正しい場合にはディスプレイ上にOKの表示が出るようにしてもよい。なお、バーコードなどのコードではなく、物品の形状や、物品の表面の図柄などをカメラで撮像し、認識させてもよく、ピッキングが正しい場合にピッというような確認音が出るようにしてもよい。また、逆に、ピッキングが間違っている場合のみ、何らかの反応を示すようにしてもよい。
【0077】
また、ピッキングすべき物品の数が、指定の間口内に不足している場合については、情報処理部40において、予め定めてあるルールに従って、不足のままピッキングを継続する、同一または近傍の間口から代品を選択する、別の保管場所へ移動し、指定間口からピッキングするなどの対応を行う。
【0078】
また、運搬容器70が複数あり、ピッキングした物品を、例えば顧客ごとに分けて収納する場合は、ピッキングの際と同様に、運搬容器70に運搬容器識別子80を付設し、ピッキング作業指示に基づいて、収納すべき特定の運搬容器識別子80に係る情報を加工して表示することにより、収納作業を支援することもできる。
【0079】
なお、上記では、識別子画像に係る情報の加工の方法として、枠部を赤色に彩色することとしたが、それに限定されず、赤色以外の色でもよいし、識別子画像を明るくする、識別子画像を点滅させる、識別子とは異なる形状の画像を識別子位置に表示する、などの方法でもよく、また、識別子の場所に完全に一致して表示しなくとも、その場所に関連付けて表示する(例えば識別子の場所から矢印や吹き出しを付けて表示するとか、縮小した棚単位の間口を集中表示するイラスト画像上の該当する識別子の位置に表示する等)ようにしてもよい。
【0080】
更に、それらに加えて、またはそれらの代わりに、画像上で、識別子位置に関連付けてピッキング
作業指示情報を表示(例えば識別子位置に重ねて表示、または、識別子位置から吹き出しを付けて表示)してもよい。
【0081】
また、識別子部分を加工するのではなく、識別子によって特定される通路、棚、間口自体をカメラで検出し、その部分の画像情報を加工して、目視の風景に重ねて表示してもよい。これによれば、実際の物が強調されて表示されるので更にミスの防止に役立つ。
【0082】
なお、物品品質検査部90を有する場合には、その検査部を、ピッキングすべき物品に向ける、あるいは近接させることにより、その物品の品質にかかわる情報が収集できる。具体的には、臭気、温度、色彩、超音波などの情報であり、それらを物品品質検査部90内あるいは情報処理部40内の情報解析手段により解析し、予め定めてある判定基準に従って、ピッキングするのに適切か否かが判定される。
【0083】
ここで、例えば、臭気センサとしてはアンモニアや硫化水素の濃度を測定する方法、温度センサとしてはサーミスタを使用する方法、色彩センサとしてはLED光源でフォトダイオードを受光素子とする方法、超音波センサとしては画像診断に用いるような方法などが実用化されており、それ以外の方法も含めて、適切な方法を利用すればよい。
【0084】
その結果、作業員は、予め定めてある規定に従って、あるいは、都度、管理者の指示を仰いで、代わりの物品をピッキングする、別の収納場所からピッキングする、ピッキングを断念する、不適切な物品を持ち帰る、などの対応を行うことになる。
【0085】
指示されたピッキング作業が終了すると、次のピッキング指示が与えられる。ここで終了の判断は、ピッキング場所に到達してからの時間・ピッキング場所から作業員が離脱したことによるカメラ方向の変化・ピッキング棚の物品収納状態の変化などによる自動判断、カメラ画像が通信回線で伝送されている場合にその画像を遠隔地で監視している管理者の指示、作業員による入力装置または音声応答装置による終了報告などによる。入力装置としては、終了を意味する特定の識別子を作業員が保持し、その識別子をカメラで撮影することで、終了を入力することが可能であるが、それに限らず、一般のタッチパネルのような入力装置であってもよい。なお、特定の識別子としては、終了を意味するものだけでなく、再表示を意味するものがあってもよい。これにより、一旦終了した表示を再表示させることができる。
【0086】
このようにして、次のピッキング作業指示が与えられ、作業員はそれに従ってピッキング作業を継続する。
【0087】
一連のピッキング作業が終了すると、作業員は、ピッキング済の物品を所定の方法で後工程に引き渡した後に、準備エリアに戻り、カメラ20が内蔵されたHMD50、記憶部30、及び情報処理部40の一式を返却することとなる。この際に、作業終了の個人認証を、開始時と同様の方法で実行してもよい。
【0088】
なお、これまでの説明では、通路識別子13、棚識別子12、間口識別子11によって誘導されて、ピッキングすべき物品に到達するようにしたが、別の手段で棚の前まで到達せしめ、間口からのピッキングのみを作業員に指示するようにしてもよい。
【0089】
ここで、物品収納部分の間口、棚、通路の呼称は、物品の収納されている狭い場所から、階層的に広い場所へと名付けたものであり、特にこれらに限定されるものではなく、他の呼び方でもよい。また、棚識別子12、通路識別子13については、棚の前まで作業員を誘導することが不要か、あるいは、識別子を用いない誘導方法による場合は、省略することもできる。
【0090】
例えば、
図10のように、物品が仕切を有するケース15に収納されており、そのケース15がコンベヤで運搬されてきてピッキング作業員の前に提示される場合もあり、この場合、作業員が所定の位置に立っていることを想定すれば、作業員の誘導は不要である。
【0091】
ここで、ケース15の各々の仕切られた場所に識別子16を設け、これまでの説明と同様に、ピッキングすべき物品の収納された場所の識別子を加工して表示すればよい。また、
図11に示すように、ケース15には単一の識別子17のみを有し、その識別子にピッキングすべき物品の収納された場所の情報を含んでおけば、それを識別することで、ピッキングすべき物品の収納された場所に加工表示することも可能である。
【0092】
また、
図12のように、物品が屋内または屋外の床に直接またはパレットのようなものに積載されて置かれる場合で、見通しが効けば、特に誘導方法は不要で、物品または物品の載置された場所に設置された識別子18を識別し、加工表示すればよい。
【0093】
その他にも、通路、棚、間口ではなく、コンベア上を走行してくる物品自体、または物品を運搬してくる容器に識別子を付し、作業員がカメラで撮影して、作業指示に基づきピッキングすべき物品であることを、識別子の枠色の変化などで把握して、それによって作業員がコンベア上からピッキングをするような場合も考えられる。
【0094】
作業員の誘導が必要な場合は、識別子などの光学的特徴による方法のほか、GPS・Wi−Fi・無線LAN・携帯電話基地局などのような電波を用いる誘導方法であっても、あるいは、作業員が装着する加速度計及びジャイロの組み合わせによる慣性航法のような誘導方法でも、あるいは、これらの方法の組み合わせであっても、作業員を物品の収納場所へと誘導できるものであれば、どのようなものでもよい。
【0095】
識別子を用いる場合で、例えば、ARマーカーのような2次元コードであれば、マーカーを付された位置が分かっていれば、カメラで撮像した画像のマーカーの大きさ、傾きから、マーカー位置に対する作業員の距離・方位を算出することができ、作業員の現在位置が正確に把握できる。これにより、誘導の精度を高めることが可能である。なお、ARマーカーを用いた位置算出方法については、日本バーチャルリアリティ学会論文誌 Vol.4,
No.4, 1999 「マーカー追跡に基づく拡張現実感システムとそのキャリブレーション」加藤博一ほか著に詳述されている。なお、位置算出が可能な識別子は、ARマーカーに限らず、1次元バーコードやARマーカー以外の2次元コード、更には3次元コードであってもよい。
【0096】
識別子を用いない場合で、具体的には、物品の収納場所が広い範囲にわたり、場所の特定が困難な場合などには、物品の収納場所の位置情報を予め記憶しておき、GPS受信機能をピッキング作業支援装置に内蔵するようにしてもよい。このようにしておけば、それを用いてピッキング作業支援装置の現在地を把握することができ、更に地図情報を併せて使用すれば、物品の収納場所への迅速な誘導が可能となり、スムーズに作業を開始することもできる。なお、位置情報としては、GPSに係る情報のほか、Wifi、携帯電話の基地局などの位置情報も用いることができる。
【0097】
更に、作業員が装着する加速度計及びジャイロセンサとの組み合わせにより、加速度計で検出する加速度を積分することで速度を、速度を積分することで距離を求め、一方、ジャイロで方角を検知し、移動距離及び方角のベクトルを細分点ごとに合成してゆくことにより、起点からの移動距離を算出することができる。いわゆる慣性航法であり、起点の位置を入力すれば、移動中も作業員の位置及び速度を常に計算して把握でき、電波が使用できない環境では極めて有効である。これと物品の収納場所の情報とを用いて、物品の収納場所への誘導が可能である。
【0098】
また、作業員の頭上に作業員識別のためのマーカーなどの識別子を付設する方法もある。この識別子を、倉庫の天井に設けたカメラにより撮像し、カメラの設置位置と撮像画像の識別子の位置との距離・方向を算出することにより、作業員の現在位置を把握することができ、それにより、収納場所への誘導を行うこともできる。なお、頭上の識別子としては、ピッキング支援装置に保持して延出するようにしてもよいし、別に用意した帽子・メガネ・ヘアバンドなどに、両面テープなどの方法により付設してもよい。あるいは、識別子でなく、作業員の頭部の形状、頭髪の状態などの身体的特徴のような、識別子によらない光学的特徴を撮像して認識するようにしてもよい。
【0099】
更には、識別子のような光学的特徴を作業員に付設するとしたが、作業員とともに移動する、ピッキングした物品を収納する、台車、カート、フォークリフト、かばんのようなピッキングのための用具に付設した識別子、または、それらの用具の形状などの光学的特徴を撮像して認識するようにしてもよい。
【0100】
また、天井のカメラについては、ピッキング作業を実施する場所の全体が見渡せれば1個でもよいし、広さやレイアウトに応じて、複数個設けてもよい。設置場所も天井には限定せず、壁面や床面でもよく、マーカーなどの識別子は、作業員の頭上でなくても、胸部、背部や脚部であってもよい。マーカーを用いず、作業員の顔面を認識するようにしてもよい。撮像情報は、各作業員の情報処理部に無線または有線で直接送られてもよいし、後述する管理端末に送られてもよい。
【0101】
誘導方法については、これらの、作業員のカメラを用いて光学的特徴を認識する方法、電波を用いる誘導方法、加速度計及びジャイロの組み合わせによる慣性航法、外部カメラを用いて作業員に付した光学的特徴を認識する方法を単独で用いてもよいし、または、それらを2つ以上併用してもよい。それにより、精度の向上やコストの低減が期待できる。
【0102】
ここで、倉庫内の収納棚などのレイアウト情報を予め入力しておけば、作業員の現在位置、ピッキングすべき物品の収納場所を把握していることから、物品の収納場所までの最短経路を算出し、それを作業員のディスプレイに表示することができ、作業の効率向上に大きな効果を発揮する。
【0103】
更に、作業員の現在位置が把握できることから、倉庫内で移動するフォークリフト・トラックなどの移動機器にも現在位置把握手段を設けておけば、作業員同士、あるいは作業員と移動機器との、接近状態を検出することもでき、異常接近した場合に作業員のディスプレイや音声応答装置に警告を発することもできる。これによって、作業員の安全な作業が可能になり、ひいては効率のよいピッキング作業が実現できる。
【0104】
また、ジャイロセンサをピッキング作業支援装置に内蔵しておけば、ほかにもカメラやHMDの傾きなどが把握でき、表示する画像位置のずれを調整することができる。更に、ジャイロセンサ単独で、あるいは他のセンサと協同で、識別子が視野を外れた場合にも、追随を続けることもできる。
【0105】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第2の実施形態に係るピッキング作業支援装置101について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。また、先の実施形態と共通の部分は説明を省略する。
【0106】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るピッキング作業支援装置101を含むピッキング作業支援システムの概略説明図であり、
図6は、本発明の第2の実施形態に係るピッキング作業支援装置101の概略構成図である。
【0107】
第1の実施形態と同様に、ピッキング作業支援装置101の作動のために、物品を収納してある間口、複数の間口からなる棚、複数の棚の列からなる通路に取り付けられた、間口識別子11、棚識別子12、通路識別子13からなる識別子10が用意される。
【0108】
ピッキング作業支援装置101は、カメラ20などの撮像部、記憶部30、情報処理部40、ディスプレイ52を含んでおり、ピッキング作業を行う作業員が持ち運びできるようになっている。
【0109】
ここで、カメラ20は、物品の収納場所などを撮影するための機能を有している。カメラ20は、デジタルカメラであることが画像処理上は望ましいがこれに限定されるものではない。また、動画が撮影できることが望ましいが、静止画が撮影できるものであってもよい。
【0110】
記憶部30は、識別子10に係る情報と関連付けたピッキング作業指示情報を記憶する機能を有している。記憶部30には、例えば、作業指示番号、当該作業を実施する作業員番号、当該作業指示にてピッキングする物品に関する、間口番号、収容物品名、ピッキング個数、間口番号に対応する識別子識別番号などに係る諸情報が一連情報として記憶されている。
【0111】
情報処理部40は、カメラ20で撮影した画像に係る情報から識別子10に係る情報を検出し、検出された情報と記憶部30のピッキング作業指示情報とに基づき、ピッキング作業を支援するように識別子画像に係る情報を加工するとともに、ピッキング作業を支援する情報を作成する。
【0112】
ディスプレイ52は、カメラで撮影した画像情報を表示する。それと併せて、情報処理部40などからの画像情報や文字情報などを表示することができる。
【0113】
ここで、カメラ20、記憶部30、情報処理部40、ディスプレイ52は、相互に電気的に接続されている。また、これらの駆動のために図示しないバッテリーなどの電源を内蔵または接続しており、更に、必要な場合は、情報の交換をする、図示しない通信装置とも接続される。
【0114】
なお、記憶部30は、ピッキング作業の都度、通信装置を介して図示しない遠隔の倉庫管理システムのようなところからピッキング作業指示を受け取るように構成すれば、省略することも可能である。
【0115】
次に、上記のように構成される本発明の作用及び動作について詳述する。
【0116】
物品のピッキング作業に従事する作業員は、第1の実施形態と同様に、作業員の個人認証を行う。
【0117】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るピッキング作業支援装置101のディスプレイ52の画面を示す説明図であり、
図8は本発明の第2の実施形態に係るピッキング作業支援装置101の画像情報の流れを示す説明図である。
【0118】
作業員は、その後、物品の収納されている場所に入り、ピッキング作業支援装置101のカメラ20を物品の収納場所の方向に向ける。すると、画像Fが撮影されることで画像情報G1が取得される。画像情報G1には通路識別子13がいくつか含まれている。ここで、情報処理部40が、記憶部30に記憶されているピッキング
作業指示情報P1と画像情報G1に含まれる通路識別子13に係る情報とから、最初にピッキングすべき物品の収納されている通路を特定し、特定された通路識別子13に係る画像情報G2について、例えば、通路識別子13の枠部の色彩を赤色とするような加工を行う。
【0119】
具体的には、カメラで撮影された物品収納棚の画像に係る画像情報G1が、ディスプレイ52の画面の一部(例えば右方半分)に表示される。ディスプレイ52の画面の左方には、ピッキング作業指示情報P1に基づいて、例えば、間口番号、物品名、ピッキングすべき個数などのピッキング作業支援情報P2が表示される。作業員は、物品収納棚の画像情報G1を視認できるとともに、これらのピッキング作業支援情報P2を視認することができる。ここで、特定された通路識別子については、枠部が赤色に色彩を付与された画像情報G2として表示されることから、作業員は正しくその通路に向かうことができる。なお、色彩を付与された画像情報G2は、画像情報G1に重畳して表示してもよいし、画像情報G1の当該部分を直接加工することで重畳させずに表示してもよい。また、画面の構成については、この構成に限定されず、全画面をカメラで撮影された物品収納棚とし、その画面上に重ねてピッキング作業支援情報を表示するなど、種々の方法が考えられる。
【0120】
なお、ピッキング作業支援情報P2としては、このほかに、ロット番号、ピック単位数、類似商品の注意、流通加工の指示、物品の上下識別方法、物品の静止画像に係る情報など、ピッキングに役立つ情報であればどんな情報であってもよい。
【0121】
ここで、識別子画像情報の加工や、識別子画像情報に付加し、または代替するピッキング
作業指示情報の表示についても、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0122】
作業員が引き続き、指示された通路、棚、間口へと近づき、ピッキング作業を実行する方法についても、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0123】
作業員が指示されたピッキング作業が終了し、次のピッキング作業指示が与えられるまでの方法も、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0124】
このようにして、次のピッキング作業指示が与えられ、作業員はそれに従ってピッキング作業を継続する。
【0125】
一連のピッキング作業が終了すると、作業員は、ピッキング済の物品を所定の方法で後工程に引き渡した後に、準備エリアに戻り、カメラ20、記憶部30、情報処理部40、ディスプレイ52を備えるピッキング作業支援装置101を返却することとなる。この際に作業終了の個人認証を、開始時と同様の方法で実行してもよい。
【0126】
なお、本実施形態におけるディスプレイとしては、専用の装置としてもよいし、パソコン・携帯電話・タブレット型端末などの汎用装置を用いてもよい。その場合には、既にカメラなどが内蔵されているものもあり、簡便に実用化できることもある。
【0127】
また、本実施形態のディスプレイとして、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いてもよい。この場合、第1の実施形態のように実際の目視している風景に重畳して識別子を表示するのではなく、他のディスプレイの場合と同様にカメラで撮影した画像上の識別子を加工して表示するようにすることも可能である。このようにすれば、シースルー機構などの目視風景と重畳するための機構が不要になり、簡便な装置となる。
【0128】
また、
図9に示すように、ヘルメットの頭頂部から支持具を眼前に延伸し、その支持具にスマートフォン、タブレットなどの小型のディスプレイ101を装着するようにしてもよい。このようにすると、両手が空くことから作業効率の向上が期待できる。なお、支持具は、ヘルメットの頭頂部に限らず、前頭部、後頭部、側頭部などから延伸してもよいし、また、ヘルメットでなく、帽子やヘアバンドなど、頭部に装着するどんなものから支持具を延伸してもよい。
【0129】
なお、作業員の誘導を必要としないピッキング支援方法や、識別子以外の誘導についての様々な方法については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0130】
本発明のいずれの実施形態においても、情報処理部40が、ピッキング作業支援装置に内蔵されるとしたが、それに限定されない。すなわち、情報処理部40の全てまたは一部を遠隔に設けて、通信手段を介して情報処理を行わせしめてもよい。例えば、インターネット、クラウドコンピューティング、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)などの手法を用いることで実現可能である。
【0131】
また、本発明のいずれの実施形態においても、必要に応じ、音声応答装置を用いて、画像と併せて、または画像の代替として、ピッキング
作業指示情報を管理者から作業員に与えてもよい。この場合、騒音の激しい作業環境の場合などでは、骨伝導ユニットを付加して、作業員と管理者との間の通話を確保するようにしてもよい。
【0132】
また、本発明のいずれの実施形態においても、図面における説明では、カメラを1個としてきたが、複数であってもよい。特に2個のカメラを装備することによって、立体画像を表示することができる、対象物までの距離を測定することができる、複数視点からのステレオ視により精確性向上などの効果が期待できる。
【0133】
また、本発明のいずれの実施形態においても、光学的特徴として、識別子、特にARマーカーを用いるとしたが、それ以外の識別子でもよく、更に、識別子を用いずに、例えば、
図15のように収納棚110の間仕切り120または収納棚110自体の形状や色彩、
図16のように収納容器130の形状、表面模様や色彩、あるいは
図17のように物品140自身の形状、表面模様や色彩などを光学的特徴として自動読取してもよいし、それらの組み合わせ(途中までは識別子、最終段階では物品の形状によるなど)であってもよい。
【0134】
また、本発明のいずれの実施形態においても、識別子の設置範囲が広く、作業指示をすべき識別子がカメラの視野から外れて所在してしまう恐れのある場合には、予め識別子相互の位置に関する情報を記憶しておき、視野範囲にある識別子を認識して、そこから作業指示をすべき識別子の方向・距離などを算出し、それらの情報を、矢印や距離数字表示などで画面上に表示するようにしてもよい。このような方法は、現在のピッキング指示に加えて、次のピッキングを行う場所を予告表示することや、現在のピッキング作業が終了したときに次のピッキングを行う場所を案内表示するような用途にも用いることができ、迅速な作業の実現に効果がある。
【0135】
また、本発明のいずれの実施形態においても、カメラの視野において、作業員の手指を用いたジェスチャによって、作業や表示に関する情報を入力するようにしてもよい。例えば、作業の終了報告、作業中の追加指示の要求、表示画面の拡大縮小などに用いることができる。ここで、ハンドジェスチャ認識については、例えば、スマートフォンで実用化されているピンチの方法や、特開平10−214346号に記載されるような方法が知られており、これらを応用すればよい。
【0136】
また、本発明のいずれの実施形態においても、この装置において、作業員の作業履歴を収集するようにしてもよい。作業履歴とは、具体的には、物品の収納場所に向かう経路や所要時間、物品のピッキングに要する時間など、作業効率に関連する情報を含むものとする。その結果をピッキング作業の作業能率向上を目的として用いることができる。実際のピッキング作業の結果の作業時間、作業経路などを記録しておけば、習熟の度合いや作業の問題点が把握でき、速やかな作業能率向上が期待できる。また、作業員の行動分析のツールとしても用いることができる。実作業でなくても、訓練用のピッキング指示によって訓練をするようにしてもよい。
【0137】
また、本発明のいずれの実施形態においても、作業員の作業履歴の収集だけでなく、作業指標、すなわち、作業に関連する情報をディスプレイに表示するようにしてもよい。例えば、物品のピッキングに要する時間、物品の収納場所に向かう経路や所要時間、予定所要時間と実際所要時間との差異、終了目標時間、終了見込時間、その差異などで、作業員に作業の進行を認識させ、効率向上に役立てることができる。
【0138】
また、本発明のいずれの実施形態においても、GPSなどの位置情報を把握する機能を有する場合は、その機能と識別子とを利用して、物品の収納されている倉庫の照明や空調を制御することも可能である。すなわち、作業指示によって、特定の倉庫が指示され、かつ、位置情報把握機能により作業員が接近していることが判明すれば、照明や空調が作動を開始するようにすればよい。
【0139】
また、本発明のいずれの実施形態においても、ヘッドマウントディスプレイのように身体に密着または近接して装着する部分を有する装置の場合、その部分に体温センサを付加して、作業員の体調を管理することもできる。例えば冷凍倉庫や高温環境下での作業の場合には、体温の急変があれば、これを的確に感知することでピッキング作業を中止するなどの指示を発することが可能になる。
【0140】
また、本発明のいずれの実施形態においても、本発明のピッキング作業支援装置にバイブレータを付加してもよい。これによって、例えば、誤って違う間口から物品を取出した場合などに、バイブレーションによる刺激として注意を作業員に対して与えることができる。
【0141】
また、本発明のいずれの実施形態においても、ピッキングした物品は、台車60の運搬容器70に収納するような態様としたが、これに限らず、コンベア上を移動してくる運搬容器に収納するようにしてもよい。この場合、運搬容器にも識別子を付設して収納作業を支援するようにしてもよい。
【0142】
また、本発明のいずれの実施形態においても、ピッキング作業支援装置に直接または、サーバー等を介して接続して、ディスプレイ、及び、文字・画像・音声などによる作業指示部を有する管理端末を設けてもよい。管理端末は、有線または無線で、各ピッキング支援装置に接続されており、ピッキング支援装置のディスプレイに表示されている情報と同様の情報を表示することができ、管理者がそれを目視しながら、必要な指示を出したり、報告を受けたりすることができる。これにより、作業員の作業を効率よくさせることができる。
【0143】
また、本発明のいずれの実施形態においても、物品をピッキングすることとして説明したが、逆に、物品または物品を保持した容器を、所定の収納すべき場所に仕分けしたり、不足した物品を所定の収納すべき場所に補充したりする作業、及びその収納すべき場所までの誘導を支援するために用いることもできる。
【0144】
ここで、収納すべき場所への誘導は、ピッキングの場合と同様に、光学的特徴によるほか、これと異なる誘導方法を用いてもよい。例えば、GPS・Wi−Fi・無線LAN・携帯電話基地局などのような電波を用いる誘導方法であっても、あるいは、作業員が装着する加速度計及びジャイロの組み合わせによる慣性航法のような誘導方法でも、あるいは、これらの方法の組み合わせであっても、作業員を、物品を収納すべき場所へと誘導できるものであれば、どのようなものでもよい。
【0145】
更に、仕分けすべきケースなどが、作業員の面前に提示される場合のように、作業員を誘導することが不要な場合もあり、その際は、ケースの中で、所定の収納すべき場所が明示されればよい。
【0146】
また、本発明のいずれの実施形態においても、ピッキング作業中の異常事態(地震・台風・火災など)の発生時に、避難のツールとして用いることもできる。すなわち、予め用意してある避難経路情報などに従って、識別子をたどっていかせることで、速やかに安全な場所に避難するように誘導することが可能となる。
【0147】
また、本発明のいずれの実施形態においても、倉庫など物品の収納場所や、識別子自体のメンテナンス用に使用することができる。すなわち、識別子が検出できないような事態となった場合は、識別子の欠落のほか、棚の損壊などが想定されるからである。
【0148】
また、本発明のいずれの実施形態においても、識別子の基材は、紙製としたが、それに限定されない。例えば、基材を合板、プラスチック、あるいは金属とすれば、紙製よりも長寿命となる。また、電子ペーパーとすれば、表示内容を電気的に書き換えることができるため、再利用が可能であり、資源ロスが少ない。無機ELディスプレイとすれば、コストも高くなく、再利用が可能となる。その他に、有機EL、電光板などでもよい。更に、再帰性反射材を用いれば、暗所での作業には有用である。また、識別子を可視光にて読み取る方法でなく、赤外線や紫外線などに反応する識別子とすれば、検知精度を高くし得るとか識別子の存在を隠すことができるなどの利点がある。