特許第6401730号(P6401730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6401730無線電力送信装置における電力送信制御方法及び無線電力送信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6401730
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】無線電力送信装置における電力送信制御方法及び無線電力送信装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20181001BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20181001BHJP
   H02J 50/60 20160101ALI20181001BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J7/00 301D
   H02J50/60
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-60628(P2016-60628)
(22)【出願日】2016年3月24日
(62)【分割の表示】特願2012-67866(P2012-67866)の分割
【原出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-136835(P2016-136835A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2016年3月28日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0026056
(32)【優先日】2011年3月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】315005451
【氏名又は名称】ジーイー・ハイブリッド・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、チュン キル
(72)【発明者】
【氏名】クック、ヨーン サン
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−136464(JP,A)
【文献】 特開2011−045161(JP,A)
【文献】 特開2010−119246(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/006876(WO,A2)
【文献】 特表2012−533281(JP,A)
【文献】 特開2008−172874(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/010375(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/040998(WO,A1)
【文献】 特開2009−136133(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0128015(US,A1)
【文献】 特表2007−537688(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第2414121(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0017110(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0071632(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/10
H02J 7/00
H02J 50/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信コイルを含む1次側コアにパルス信号を送信する段階と、
前記パルス信号の位相の変化又は前記送信コイルの電流値の変化を測定する段階と、
前記位相の変化又は前記電流値の変化に基づいて、前記送信コイルに無線電力受信装置が置かれているかを感知する段階と、
異物感知センサを用いて前記送信コイルに異物が置かれているかを確認し、無線電力送信装置の制御部により無線充電の電力損失を計算する段階と、
前記電力損失が基準値以上である場合、無線電力信号の送信を中止し、前記電力損失が前記基準値より低い場合、温度測定部を使用して発熱温度を測定する段階と、
前記電力損失が前記基準値より低く、前記発熱温度が基準温度以上である場合、前記無線電力信号の送信を中止し、前記送信コイルに異物が置かれているが、前記電力損失が前記基準値より低く、前記発熱温度が前記準温度より低い場合、前記無線電力信号を正常に送信する段階と、
を含み、
前記電力損失は、前記制御部によって前記無線電力送信装置の送信電力で前記無線電力受信装置の受信電力を引いた値で計算される、無線電力送信装置における電力送信制御方法。
【請求項2】
前記異物感知センサは、赤外線感知センサである、請求項1に記載の無線電力送信装置における電力送信制御方法。
【請求項3】
前記赤外線感知センサは、感知角が120度以上であり、感知距離が20cm以上である、請求項2に記載の無線電力送信装置における電力送信制御方法。
【請求項4】
前記送信コイルに前記無線電力受信装置が置かれると、前記無線電力信号を送信して前記無線充電を開始する段階と、
をさらに含む、請求項1から請求項3の何か1項に記載の無線電力送信装置における電力送信制御方法。
【請求項5】
無線電力信号及びパルス信号を無線電力受信装置に送信するために構成された送信コイルを含む1次側コアと、
無線充電中に異物を感知するための異物感知センサと、
前記無線電力信号及び前記パルス信号が前記送信コイルにより送信されるように制御し、前記パルス信号の位相の変化又は電流値の変化に基づいて、前記1次側コアに前記無線電力受信装置が置かれているかを確認し、前記1次側コアに前記無線電力受信装置が置かれると、前記無線電力信号を送信により無線充電が開始されるように制御し、前記異物感知センサを用いて前記1次側コアに異物が置かれているかを確認し、前記無線充電中に前記無線充電の電力損失を計算し、前記電力損失が基準値以上であると前記無線電力信号の送信が中止させるように制御し、前記電力損失が前記基準値より低い場合、温度測定部を使用して発熱温度を測定し、前記電力損失が前記基準値より低く、前記発熱温度が基準温度以上である場合、前記無線電力信号の送信を中止させるように制御前記1次側コアに異物が置かれているが、前記電力損失が前記基準値より低く、前記発熱温度が前記準温度より低い場合、前記無線電力信号を正常に送信させるように制御する送信制御部と、
を含み、
前記電力損失は、前記送信制御部によって無線電力送信装置の送信電力で前記無線電力受信装置の受信電力を引いた値で計算される、無線電力送信装置。
【請求項6】
前記異物感知センサは、赤外線感知センサである、請求項5に記載の無線電力送信装置。
【請求項7】
前記赤外線感知センサは、感知角が120度以上であり、感知距離が20cm以上である、請求項6に記載の無線電力送信装置。
【請求項8】
前記赤外線感知センサは、前記無線電力送信装置の一側に形成された突出部に設けられる、請求項6又は請求項7に記載の無線電力送信装置。
【請求項9】
前記無線充電が正常に行われているかを表示するために、前記突出部に設けられたインジケータをさらに含む、請求項8に記載の無線電力送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力送信効率を向上させるための、無線電力送信装置における電力送信制御方法及び無線電力送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、バッテリパックは、外部の充電器から電力(電気エネルギー)が供給されて充電された状態で携帯用端末機(携帯電話、PDAなど)の動作のための電源を供給するためのものであって、電気エネルギーを充電するバッテリセル、前記バッテリセルの充電及び放電(携帯用端末機への電気エネルギーの供給)のための回路などから構成されている。
【0003】
このように携帯用端末機に用いられるバッテリパックと当該バッテリパックに電気エネルギーを充電するための充電器との電気的接続方式には、供給された商用電源をバッテリパックに対応する電圧及び電流に変換して当該バッテリパックの端子を介してバッテリパックに電気エネルギーを供給する端子供給方式がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような端子供給方式で電源を供給する場合は、充電器からバッテリパックを接離する際に、充電器の端子とバッテリパックの端子との電位差により瞬間放電現象が起こるという問題があった。
【0005】
特に、瞬間放電現象などにより両端子(充電器の端子及びバッテリパックの端子)に異物が付着すると火災などが発生する恐れがあった。
【0006】
また、湿気などによりバッテリパックに充電された電気エネルギーが当該バッテリパックの端子を介して外部に自然放電されるなどの問題があることはもちろん、これによりバッテリパックの寿命や性能の低下を招くという欠点があった。
【0007】
近年、上記問題を解決するために、無線電力送信方式を用いた無接点方式の充電システム及び制御方法が提示されている。
【0008】
このような無線電力送信システムにおいて、安定した電力受信に加えて、無線電力送信効率の向上のための努力がなされている。
【0009】
本発明は、無線電力送信システムにおいて、異物を感知し、それに応じて電力送信制御を行うことにより、無線電力送信効率を向上させるための、無線電力送信装置における電力送信制御方法、及びそれを適用した無線電力送信装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態による無線電力送信装置における電力送信制御方法は、物体感知センサにより無線充電中に無線電力送信装置の充電位置に異物が置かれるかを感知する段階と、前記物体感知センサにより前記異物が感知されると、前記無線電力送信装置の制御部により無線充電の電力損失を計算する段階と、前記電力損失が基準値以上であると、電力送信を中止する段階とを含んでもよい。
【0011】
ここで、前記物体感知センサは、赤外線感知センサでもよく、前記赤外線感知センサは、感知角が120度以上であり、感知距離が20cm以上でもよい。
【0012】
本発明の一実施形態の一態様によれば、前記無線電力送信装置における電力送信制御方法は、前記無線電力送信装置の1次側コアから発信されるパルス信号の位相の変化又は電流値の変化を測定して、前記1次側コアの充電位置に無線電力受信装置が置かれるかを感知する段階と、前記充電位置に前記無線電力受信装置が置かれると、無線電力信号を送信して前記無線充電を開始する段階とをさらに含んでもよい。
【0013】
本発明の一実施形態の一態様によれば、前記無線電力送信装置の1次側コアから発信されるパルス信号の位相の変化又は電流値の変化を測定して、前記1次側コアの充電位置に無線電力受信装置が置かれるかを感知する段階は、前記1次側コアの第1送信コイル及び第2送信コイルにパルス信号を順次送信する段階と、前記第1送信コイル及び前記第2送信コイルの一方に発生する前記パルス信号の位相の変化又は電流値の変化を測定する段階と、前記位相の変化又は電流値の変化に基づいて、前記第1送信コイル及び前記第2送信コイルの一方に前記無線電力受信装置が置かれるかを感知する段階とを含んでもよい。
【0014】
本発明の一実施形態の一態様によれば、前記無線電力送信装置における電力送信制御方法は、前記無線電力送信装置における発熱温度を測定する段階と、前記発熱温度が基準温度以上であると、前記無線充電を中止する段階とをさらに含んでもよい。
【0015】
本発明の一実施形態の一態様によれば、前記物体感知センサにより前記異物が感知されると、前記無線電力送信装置の制御部により無線充電の電力損失を計算する段階は、無線電力受信装置から送信される充電状態情報を用いて電力損失を計算する段階を含んでもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態による無線電力送信装置は、無線電力信号及びパルス信号を無線電力受信装置に送信するために構成された1次側コアと、無線充電中に異物を感知するための物体感知センサと、前記物体感知センサにより無線充電中に無線電力送信装置の充電位置に異物が置かれることが感知されると、前記無線充電の電力損失を計算し、前記電力損失が基準値以上であると、電力送信を中止するように、前記1次側コアを制御する送信制御部とを含んでもよい。
【0017】
本発明の他の実施形態の一態様によれば、前記物体感知センサは、赤外線感知センサでもよく、前記赤外線感知センサは、感知角が120度以上であり、感知距離が20cm以上でもよい。
【0018】
本発明の他の実施形態の一態様によれば、前記赤外線感知センサは、前記無線電力送信装置の一側に形成された突出部に設けられてもよい。
【0019】
本発明の他の実施形態の一態様によれば、前記無線電力送信装置は、前記無線充電が正常に行われるかを表示するために、前記突出部に設けられたインジケータをさらに含んでもよい。
【0020】
本発明の他の実施形態の一態様によれば、前記送信制御部は、前記1次側コアから発信されるパルス信号の位相の変化又は電流値の変化を測定して、前記1次側コアの充電位置に前記無線電力受信装置が置かれるかを感知し、前記充電位置に前記無線電力受信装置が置かれると、無線電力信号を送信して前記無線充電を開始するようにしてもよい。
【0021】
本発明の他の実施形態の一態様によれば、前記1次側コアは、第1送信コイル及び第2送信コイルを含み、前記送信制御部は、前記第1送信コイル及び前記第2送信コイルにパルス信号を順次送信し、前記第1送信コイル及び前記第2送信コイルの一方に発生する前記パルス信号の位相の変化又は電流値の変化を測定し、前記位相の変化又は電流値の変化に基づいて、前記第1送信コイル及び前記第2送信コイルの一方に前記無線電力受信装置が置かれるかを感知するようにしてもよい。
【0022】
本発明の他の実施形態の一態様によれば、前記無線電力送信装置は、前記無線電力送信装置における発熱温度を測定するための温度測定部をさらに含み、前記送信制御部は、前記温度測定部で測定された発熱温度が基準温度以上であると、前記無線充電を中止するように制御してもよい。
【発明の効果】
【0023】
前述の構成を有する本発明による無線電力送信装置における電力送信制御方法及び無線電力送信装置においては、無線充電中又は無線充電開始前に無線電力送信装置と無線電力受信装置との間に存在する異物を感知し、それに応じて無線電力送信制御を行うことにより、無線電力送信効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る無線電力送信システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による無線電力送信装置における異物感知を説明するための概念図である。
図3】本発明の一実施形態による無線電力送信装置における電力送信制御方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態による無線電力送信装置における電力送信制御方法及び無線電力送信装置について添付図面を参照して詳細に説明する。以下の説明で用いられる構成要素の接尾辞である「モジュール」及び「部」は、明細書の作成を容易にするために付与又は混用されるものであり、それ自体が有意性や有用性を有するものではない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線電力送信システムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る無線電力送信システムは、無線電力送信装置100及び無線電力受信装置200を含む。すなわち、電磁誘導方式により、無線電力送信装置100が無線電力信号を無線電力受信装置200に送信すると、前記無線電力信号を受信した無線電力受信装置200は、前記無線電力信号の電力でバッテリを充電したり、無線電力受信装置200に接続された電子機器に電源を供給する。
【0027】
以下、無線電力送信装置100及び無線電力受信装置200の構成についてそれぞれ説明する。
【0028】
本発明の一実施形態による無線電力送信装置100は、1次側コア(1次側コイル)110と、送信制御部120と、AC/DCコンバータ130とを含む。ここで、1次側コア110は、電磁誘導方式で電力信号を無線電力受信装置200の2次側コア210に送信するための装置であって、本実施形態においては、2つのコイル(すなわち、第1送信コイル111及び第2送信コイル112)が適用される。
【0029】
さらに図1を参照すると、1次側コア110を制御する送信制御部120は、オブジェクト感知部121、中央制御部122、スイッチング制御部123、駆動ドライバ124、及び直列共振形コンバータ125を含んでもよい。
【0030】
オブジェクト感知部121は、1次側コア110の位相の変化又は電流値の変化を感知し、その変化が無線電力受信装置200による変化であるか否かを判断する(すなわち、ID確認部としての機能を有する)だけでなく、無線電力受信装置200から受信した充電状態信号をフィルタリングして処理する機能を果たす。つまり、オブジェクト感知部121は、1次側コア110から送られるID呼出信号の応答信号であるID信号を受信すると、それをフィルタリングして処理し、充電中に、バッテリセルや充電電圧に関する情報を含む充電状態信号を受信すると、それをフィルタリングして処理する機能を果たす。
【0031】
中央制御部122は、オブジェクト感知部121の判断結果を受けて確認し、1次側コア110で受信されるID信号を分析し、1次側コア110から無線電力信号を送出するための電力信号を駆動ドライバ124に送る役割を果たす。また、中央制御部122は、1次側コア110から充電状態信号を受信すると、それに基づいて駆動ドライバ124を制御して無線電力信号を変更する機能を果たす。
【0032】
スイッチング制御部123は、直列共振形コンバータ125と第1送信コイル111及び第2送信コイル112との間に位置するスイッチのスイッチング動作を制御する。本実施形態においては、2つのコイルが用いられるが、本発明は、これに限定されるものではなく、1つのコイルを用いてもよい。1つのコイルが用いられる場合、スイッチング制御部123は不要である。
【0033】
駆動ドライバ124は、中央制御部122の制御により、直列共振形コンバータ125の動作を制御する。
【0034】
直列共振形コンバータ125は、駆動ドライバ124の制御により、送出しようとする電力信号を発生するための送出電源を生成し、1次側コア110に供給する。つまり、中央制御部122が、要求される電力値を有する電力信号の送出のための電力制御信号を駆動ドライバ124に送ると、駆動ドライバ124は、その送られた電力制御信号に基づいて直列共振形コンバータ125の動作を制御し、直列共振形コンバータ125は、駆動ドライバ124の制御により、要求される電力値に対応する送出電源を1次側コア110に印加して、要求される強度の無線電力信号が送出されるようにする。
【0035】
また、直列共振形コンバータ125は、駆動ドライバ124の制御により、第1送信コイル111及び第2送信コイル112からそれぞれ第1オブジェクト感知信号及び第2オブジェクト感知信号を発生するための電源を供給する役割を果たす。
【0036】
物体感知センサ126は、無線電力送信装置100の突出部150(図2参照)に設けられ、無線充電中に無線電力送信装置100の充電位置近傍に異物が置かれるかを感知する構成要素である。物体感知センサ126としては赤外線感知センサを使用してもよい。赤外線感知センサは、赤外線により温度、圧力、放射線の強度などの物理量又は化学量を検出して信号処理可能な電気量に変換して物体を感知する。赤外線感知センサには、自ら赤外線を放射して光が遮断されることによって変化を感知する能動型と、自体に発光器が備えられておらず外界からの赤外線の変化のみを感知する受動型がある。赤外線とは、電磁波スペクトルのうち可視光線の赤色光よりは長くマイクロ波よりは短い波長、すなわち、波長0.75μm〜1mmの放射線をいう。赤外線感知センサを使用することによって、従来の温度センサ・紫外線センサよりも感度・精度が高くなる。前記赤外線感知センサは、感知角が120度以上であり、感知距離が20cm以上であればよい。
【0037】
インジケータ127は、突出部150に設けられ、無線電力送信が正常に行われるかを確認するために構成されたものであって、LEDなどの発光装置からなるようにしてもよい。本実施形態においては、2つのインジケータが設けられ、それぞれ第1送信コイル111と第2送信コイル112から無線電力送信信号が正常に発信されるかを示す。
【0038】
そして、無線電力送信装置100は、温度測定部(温度回路部)(図示せず)をさらに含んでもよい。前記温度測定部は、無線電力送信装置100の過熱を防止するためのものであって、発熱する第1送信コイル111又は第2送信コイル112により発熱が生じる無線電力送信装置100の主面の温度を測定する。
【0039】
送信制御部120の具体的な動作については図2及び図3を参照して後述する。
【0040】
AC/DCコンバータ130は、220V又は110Vの交流電源を所定電圧の直流電源に変換する装置であり、前述のように、中央制御部122の制御により、出力電圧値が変更される。
【0041】
一方、電力信号を受信して電力の供給を受ける無線電力受信装置200は、受信した電力信号により誘導電力を生成する2次側コア210と、生成された誘導電力を整流する整流部220と、整流された電力で充電されるバッテリセルモジュール230と、2次側コア210、整流部220、及びバッテリセルモジュール230を制御する受信制御部240とを含む。無線電力受信装置200は、バッテリセルモジュールを含むバッテリパックでもよく、当該バッテリパックを含む移動通信端末機でもよい。
【0042】
2次側コア210は、無線電力送信装置100の1次側コア110から送信される無線電力信号を受信するための構成要素である。
【0043】
整流部220は、2次側コア210から受信される無線電力を直流電圧に整流し、充電開始前までは充電電圧で充電状態を維持する。
【0044】
バッテリセルモジュール230は、受信制御部240の制御下に整流部220からの直流電源で充電される充電対象となる。バッテリセルモジュール230の代わりに、PMP、MP3、携帯電話などの電子機器にしてもよい。また、バッテリセルモジュール230には、過電圧及び過電流防止回路、温度感知回路などの保護回路が含まれ、また、バッテリセルの充電状態などの情報を収集及び処理する充電管理モジュールが含まれる。
【0045】
受信制御部240は、整流部220で充電された電源の電流を制御してバッテリセルモジュール230に適切な電流が流れるようにする構成要素である。
【0046】
図2は、本発明の一実施形態による無線電力送信装置における異物感知を説明するための概念図である。同図に示すように、本発明の一実施形態による無線電力送信装置100の主面には、第1送信コイル111と第2送信コイル112とが離隔して設けられている。そして、無線電力送信装置100の主面は、無線電力受信装置200を載置できるようになっている。無線電力受信装置200が載置される位置によって、第1送信コイル111又は第2送信コイル112の一方から無線電力信号が送信され、前記無線電力信号を受信した無線電力受信装置200の受信制御部240は、バッテリセルモジュール230を充電する。このとき、前記無線電力信号を出力するコイルに対応するインジケータ127が発光する。
【0047】
ところが、無線充電中に、小銭やクリップなどの異物が無線電力送信装置100の主面に位置すると、突出部150に設けられた物体感知センサ126が前記異物を感知し、それによる電力損失を計算する。その電力損失が基準値より大きいと、前記無線電力信号の送信を中止する。同図に示すように、物体感知センサ126は2つ設けてもよい。すなわち、一方は第1送信コイル111側を感知するように設け、他方は第2送信コイル112側を感知するように設けてもよい。
【0048】
また、1次側コア110が重なる2つのコイルからなる場合、2つのコイルは、縦方向に重なるように設けられ、1つの無線電力受信装置200に対して無線電力信号を送信するようにしてもよい。この場合は、1つの物体感知センサ126が突出部150に設けられるようにしてもよい。
【0049】
以下、前述の構成を有する無線電力送信装置における電力送信制御方法について図1図3を参照して詳細に説明する。
【0050】
図3は、本発明の一実施形態による無線電力送信装置における電力送信制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0051】
同図に示すように、まず、無線電力送信装置100の1次側コア110から発信されるパルス信号の位相の変化又は電流値の変化を測定して、1次側コア110の充電位置に無線電力受信装置200が置かれるかを感知する(S11)。ここで、図1及び図2のように1次側コア110として2つのコイルが用いられる場合は、1次側コア110の第1送信コイル111及び第2送信コイル112にパルス信号を順次送信し、第1送信コイル111及び第2送信コイル112の一方に発生する前記パルス信号の位相の変化又は電流値の変化を測定し、その後、前記位相の変化又は電流値の変化に基づいて、第1送信コイル111及び第2送信コイル112の一方に無線電力受信装置200が置かれるかを感知する。
【0052】
一方、このように前記充電位置に無線電力受信装置200が置かれると、無線電力送信装置100の送信制御部120は、1次側コア110から受信される無線電力受信装置200のID信号を確認し、これにより1次側コア110から無線電力信号を送信して無線充電を開始する(S13)。次に、物体感知センサ126により、無線充電中に無線電力送信装置100の充電位置に異物が置かれるかを感知する。あるいは、物体感知センサ126により、無線電力送信装置100の充電位置から無線電力受信装置200が離脱又は移動したかを感知する(S15)。
【0053】
このように、物体感知センサ126により異物が感知されると、無線電力送信装置100の送信制御部120は、電力損失を測定する(S17)。電力損失は、無線電力送信信号を発信するための電力から、実際に充電に用いられる電力を引いた値の絶対値で計算することもでき、送信効率で計算することもできる。すなわち、無線電力受信装置200から受信した充電状態信号(すなわち、充電速度、充電電力、バッテリ充電量情報などを含む)に基づいて電力損失を測定することができる。
【0054】
前記測定された電力損失が基準値より大きいと、無線電力送信装置100の送信制御部120は、電源をオフして無線電力送信信号を発信しないようにし、電力の浪費を防止する(S19)。
【0055】
次に、前記測定された電力損失が基準値より小さいと、無線電力送信装置100の送信制御部120は、無線電力送信装置100における発熱温度(主面の発熱温度)を温度測定部により測定する(S21)。次に、前記発熱温度が基準温度以上であると、前記無線充電を中止するために、無線電力送信装置100の電源をオフする(S23)。もし、前記測定された発熱温度が基準温度より低いと、前記無線電力送信信号を正常に送信する(S25)。
【0056】
前述の構成を有する本発明の一実施形態による無線電力送信装置における電力送信制御方法及び無線電力送信装置においては、無線充電中又は無線充電開始前に無線電力送信装置と無線電力受信装置との間に存在する異物を感知し、それに応じて無線電力送信制御を行うことにより、無線電力送信効率を向上させることができる。
【0057】
本発明による無線電力送信装置における電力送信制御方法及び無線電力送信装置は、上記実施形態の構成と方法に限定されるものではなく、各実施形態の全部又は一部を選択的に組み合わせて構成することで様々に変形することができる。
【符号の説明】
【0058】
100 無線電力送信装置
111 第1送信コイル
112 第2送信コイル
120 送信制御部
121 オブジェクト感知部
122 中央制御部
123 スイッチング制御部
124 駆動ドライバ
125 直列共振形コンバータ
126 物体感知センサ
127 インジケータ
130 AC/DCコンバータ
200 無線電力受信装置
210 2次側コア
220 整流部
230 バッテリセルモジュール
240 受信制御部
図1
図2
図3